JP4520559B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性組成物に関する。詳しくは、本発明は、安定性に優れ、透明性、硬化性能に優れ、更に、その硬化物が耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐候性、光学特性などの諸物性に優れた組成物よりなる硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機材料と無機材料を組み合わせた複合材料は、さまざまな研究がなされており、工業的にも有機高分子に無機充填剤を添加したり、金属表面を有機高分子で修飾するコーティングの手法等が利用されている。これらの複合材料では、それぞれの素材がミクロンメートルオーダー以上の大きさを持っている。そのため、これらの複合材料では、一部の物性を向上することはできるものの、多くの性能は単純に両者の加成則から予想される値を示すに過ぎない。
【0003】
一方、近年、有機材料と無機材料のドメインの大きさがナノメートルオーダー、更には、分子レベルで組み合わされた有機・無機複合材料が盛んに研究されている。このような材料は、有機物、無機物としての特性を併せ持つのみならず、加成則では予想ができない両者の長所を兼ね備えた、それぞれの素材とは全く異なる新しい機能性材料となることが期待される。
【0004】
このような有機・無機複合材料は、共有結合を介して有機成分と無機成分が分子レベルで混合された化学結合型と、有機成分をマトリックスとして、無機成分をその中に微細に分散、複合化、或いは無機成分をマトリックスとして、有機成分をその中に微細に分散、複合化された混合型がある。この単なる分散・複合化された混合型は、有機成分と無機成分との強い結合がないために、有機成分と無機成分との分離が生じたり、例えば硬化材料として使用した場合、耐熱性、耐溶剤性等の諸物性の向上が不十分な場合がある。
【0005】
一方、有機・無機複合材料を合成する手法としてゾル・ゲル法がよく利用される。ゾル・ゲル法とは、前駆体分子の加水分解とそれに続く重縮合反応により、架橋した無機酸化物が低温で得られる反応である。例えばエポキシ基により有機成分と無機成分を化学結合させた有機・無機複合体を合成する場合、(1)エポキシ樹脂にアルコキシシランを結合後、ゾル・ゲル反応により有機・無機複合体を合成する方法、(2)アルコキシシランのゾル・ゲル反応による加水分解・縮合物にエポキシ基やアミノ基を結合し、エポキシ樹脂と結合させる方法が考えられる。
【0006】
このゾル・ゲル法で得られる有機・無機複合材料または、その構成成分である架橋した無機酸化物は、短期間でゲル化するなど、保存安定性が悪いという問題がある。日本化学会誌、1998(No.9)、571(1998)には、トリアルコキシアルキルシランのアルキル基の鎖長による縮合速度の相違に着目し、メチルトリメトキシシランの重縮合後に縮合速度の遅いトリアルコキシ長鎖アルキルシランを添加してポリシロキサン中のシラノール基を封止すること、更には、アルミニウム触媒を用いてメチルトリメトキシシランの縮合反応を行い所定の分子量に到達した時点でアセチルアセトンを添加して、反応系中で配位子交換を行い保存安定性の改良を試みている。しかしこれらの方法では保存安定性の改善は不充分であった。
【0007】
一方、紫外線硬化性樹脂には、アクリル系やエポキシ系が知られているが、紫外線硬化性樹脂技術で最も問題とされる課題の一つに無機成分との組み合わせがある。無機成分として、自由に無機充填剤を配合できれば、線膨張係数、耐溶剤性、HDTなどの物性は改良することができる。しかし、従来の無機充填剤を、紫外線硬化性樹脂に配合した場合、不均一になる、透明性が落ちる、紫外線透過性が悪くなり硬化不良となるなどの問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定性、透明性、硬化性能に優れ、更にその硬化物が、耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐候性、光学特性などの諸物性に優れた、ケイ素含有重合体を含有してなる硬化性組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬化性組成物は、必須の構成成分として、エポキシ基を有する重量平均分子量500〜50万のケイ素含有重合体及び硬化触媒を含有する組成物よりなる硬化性組成物であって、前記ケイ素含有重合体が、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランから選ばれる1種または2種以上のエポキシ基を有するアルコキシシラン、又は前記エポキシ基を有するアルコキシシランとエポキシ基を有さないアルコキシシランの混合物を加水分解・縮合反応させ、次いで、オルト蟻酸エステル、オルト酢酸エステル、テトラアルコキシメタン及び炭酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上の加水分解性エステル化合物を添加、加熱処理することにより、シラノール基を封止してシラノール基を不在としたものであることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるエポキシ基を有する重量平均分子量500〜50万のケイ素含有重合体は、エポキシ基を有するアルコキシシラン、又はエポキシ基を有するアルコキシシランとエポキシ基を有さないアルコキシシラン混合物の加水分解・縮合反応により得られる。その他ケイ酸ナトリウムからナトリウムをイオン交換等で除去後二酸化ケイ素の縮合物を利用することによっても得ることができる。
【0011】
アルコキシシランを用いる反応においては、生成するエポキシ基を有するケイ素含有重合体の無機性を考慮して、エポキシ基を有するアルコキシシランとエポキシ基を有さないアルコキシシランを混合して加水分解・縮合反応を行うのが好ましい。
【0012】
エポキシ基を有するアルコキシシランは、分子中にエポキシ基を持っていればよく、具体的にはγ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
また、エポキシ基を有さないアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0014】
エポキシ基を有するアルコキシシランとエポキシ基を有さないアルコキシシランの配合比は、モル比で1:99〜100:0が好ましい。より好ましくは、5:95〜95:5である。
【0015】
上記エポキシ基を有するアルコキシシラン、エポキシ基を有さないアルコキシシランは、所望により他の金属のアルコラートや錯体で処理したり、あるいはそれらと併用して加水分解・縮合反応を行い、ケイ素含有重合体にケイ素以外の金属、例えばチタン、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、テルル、スズ、ホウ素、リン、亜鉛などを組み入れることも可能である。
【0016】
アルコキシシランの加水分解・縮合反応は、いわゆるゾル・ゲル反応を行えばよく、そのようなゾル・ゲル反応として、無溶媒もしくは溶媒中で、酸又は塩基等の触媒で加水分解・縮合反応を行う方法が挙げられる。この時用いられる溶媒は、特に限定されず、具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらの1種を用いることも、2種以上を混合して用いることもできる。
【0017】
上記アルコキシシランの加水分解・縮合反応は、アルコキシシランが、水による加水分解により、シラノール基(SiOH基)を生成し、この生成したシラノール基同士が、又はシラノール基とアルコキシ基が縮合することにより進む。この反応を進ませるためには、適量の水を加えることが好ましく、水は溶媒中に加えてもよく、触媒を水に溶解して加えてもよい。また、空気中の水分あるいは、溶媒中に含まれる微量の水分によっても加水分解反応は進む。
【0018】
上記加水分解・縮合反応で用いられる酸、塩基等の触媒は、加水分解・縮合反応を促進するものであれば、特に限定されず、具体的には、塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸類;酢酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸モノイソプロピル等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の無機塩基類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン化合物類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンエステル類;ジブチル錫ラウレート、オクチル錫酸等の錫カルボン酸塩類;トリフルオロボロン等のホウ素化合物類;鉄、コバルト、マンガン、亜鉛等の金属の塩化物やナフテン酸塩あるいはオクチル酸塩等の金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセチルアセテート等のアルミニウム化合物等が挙げられ、これらの1種を用いることも、2種以上を併用することもできる。酸触媒を加えて、酸性下(pH7以下)で反応を進ませた後、塩基触媒を加えて塩基性下(pH7以上)で反応を行う方法が好ましい例として挙げられる。
【0019】
上記加水分解・縮合反応を行うときには、攪拌することが好ましく、また加熱することで反応を促進することができる。
加水分解・縮合反応の順序は特に限定されず、エポキシ基を有するアルコキシシランとエポキシ基を有さないアルコキシシランを両者混合して、加水分解・縮合反応を行ってもよく、またエポキシ基を有さないアルコキシシラン単独で、ある程度加水分解・縮合反応を行った後、エポキシ基を有するアルコキシシランを加えてさらに加水分解・縮合反応を行ってもよく、その逆にエポキシ基を有するアルコキシシラン単独で、ある程度加水分解・縮合反応を行った後、エポキシ基を有さないアルコキシシランを加えて加水分解・縮合反応を行ってもよい。
【0020】
加水分解・縮合反応で生成したエポキシ基を有するケイ素含有重合体を得るためには、反応溶媒、水、触媒を除去すればよく、例えば、ブタノール等の溶媒を加えて溶媒抽出後、抽出溶媒を窒素気流下で減圧留去すればよい。また、加水分解・縮合反応後の溶液を、そのままあるいは脱触媒処理を行ってから、加水分解性エステルによる処理さらに硬化性組成物を得るための処理を行ってもよい。
【0021】
本発明で用いられるエポキシ基を有するケイ素含有重合体の分子量は、ポリスチレン換算で、重量平均分子量が500から50万であり、好ましくは1000から10万である。500より小さいと望ましい物性が得られず、50万より大きいと、エポキシ樹脂とのナノメートルレベル、分子レベルでの複合化ができず、生成物が不均一になったり不透明になったり、充分な物性が得られない。
【0022】
本発明で用いられるエポキシ基を有するケイ素含有重合体中のエポキシ基の数は得られるケイ素含有重合体の分子量にもより、特に限定されるものではないが、ケイ素含有重合体1分子当たり1個以上、最高ケイ素原子1個当たり1個必要である。これより少ないとエポキシ樹脂との化学結合が行われず、これより多いとケイ素含有重合体中のエポキシ基により、いわゆる無機的物性が少なくなる。
【0023】
本発明の必須構成成分のエポキシ基を有するケイ素含有重合体は、加水分解性エステル化合物で処理することで、シラノール基を封止でき、保存安定性を著しく改善することができる。加水分解性エステル化合物としては、オルト蟻酸エステル、オルト酢酸エステル、テトラアルコキシメタン、炭酸エステル等を用いることができ、とりわけオルト蟻酸トリアルキルエステル、テトラアルコキシメタン等が好ましい。
【0024】
加水分解性エステルでの処理方法は、構成成分であるケイ素含有重合体に、又はケイ素含有重合体と溶媒を混合させた状態で、又はケイ素含有重合体とエポキシ樹脂と混合させた状態で、又はケイ素含有重合体とエポキシ樹脂と硬化触媒を混合させた状態で、過剰量の加水分解性エステルを加えればよく、その時攪拌、加熱をする。処理後、窒素気流下、加熱減圧して、未反応の加水分解性エステルを除去すればよい。この処理によって、シラノール基がなくなり、保存安定性がよくなる。もちろんケイ素含有重合体中のエポキシ基の量は、処理することによって影響を受けないようにすることが重要である。
【0025】
本発明の硬化性組成物に用いることができるエポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アルファオレフィンオキサイド、エポキシ化脂肪酸等エポキシ基を有する化合物なら制限はないが、本発明の硬化性組成物を光硬化させる場合には、脂環式エポキシ樹脂を用いることが好ましい。脂環式エポキシ樹脂の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが挙げられる。
【0026】
本発明で用いられる硬化触媒は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−フェニレンジアミン、p,p'−ジアミノジフェニルメタン、p,p'−ジアミノジフェニルスルホン、p,p'−ジアミノジフェニルエーテル、アニリン・BF、p−トルイジン・BF、o−トルイジン・BF、ジメチルアニリン・BF、N−メチルアニリン・BF、N−エチルアニリン・BF、N,N'−ジメチルアニリン・BF、N,N'−ジエチルアニリン・BF3、エチルアミン・BF、n−ブチルアミン・BF、ピペリジン・BF、ジフェニルアミン・BF、o−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン・ホウ酸塩などのアミン系硬化剤、ポリアミド樹脂、ジアセトンアクリルアミド錯体、ジシアンジアミドなどのアミド系硬化剤、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘチルナジック酸無水物、無水グルタル酸、ピロメリット酸無水物、フェニレンービス(3−ブタンー1,2−ジカルボン酸)無水物、テトラブロモフタル酸無水物などの酸無水物系硬化剤、フタルイミド、イミダゾール錯体などのその他の硬化剤などが挙げられる。
【0027】
光硬化の場合の光硬化触媒としては、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出する物質であればよく、具体的にはアリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、スルホニルアセトフェノン、アレン−イオン錯体等が挙げられる。これら硬化触媒は2種以上を併用することもできる。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂を含む硬化性組成物を得るためには、加水分解性エステル化合物で処理したエポキシ基を有するケイ素含有重合体と、エポキシ樹脂と硬化触媒を混合し、用いた硬化触媒により加熱や光照射処理を行う。
【0029】
本発明の硬化性組成物を得るためには、加水分解性エステル化合物で処理したエポキシ基を有するケイ素含有重合体と硬化触媒を混合し、用いた硬化触媒により加熱や光照射処理を行う。
【0030】
混合の方法には特に制限はなく、例えばケイ素含有重合体とエポキシ樹脂をあらかじめ混合しておき、硬化反応を行いたい時に硬化触媒を加えて熱又は光により硬化させる方法や、あらかじめ全部混合しておき、硬化反応を行いたいときに、熱又は光により硬化させる方法などが挙げられる。なお触媒によっては後者の方法は不可能なものもある。
【0031】
本発明のケイ素含有重合体は、保存中の変性や分子量増加がなく、保存安定性に優れている。特に加水分解性エステル化合物で処理したエポキシ基を有するケイ素含有重合体の保存安定性は特に優れている。
【0032】
本発明の硬化性組成物の配合比は、得ようとする硬化物の物性に応じて適宜調節すればよいが、有機物、無機物の両方の特性を併せ持った優れた有機・無機複合材料とするためには、重量比で、エポキシ基を有するケイ素含有重合体:エポキシ樹脂=100:0〜1:99が好ましい。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂を含む硬化性組成物は、硬化させることにより、有機成分であるエポキシ樹脂及び硬化触媒と無機成分であるケイ素含有重合体が、共有結合で結合することにより、ナノメートルオーダー更には分子レベルで混合した有機・無機複合材料となる。得られた硬化物は、有機成分と無機成分の両方の性質を併せ持ち、特に耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性に優れている。さらに本発明のエポキシ樹脂を含む硬化性組成物は、均一で透明なため紫外線等光の透過性がよく、光硬化に適している。
【0034】
更にまた、耐候性、硬度、耐汚染性、難燃性、耐湿性、ガスバリヤ性、伸びや強度等の力学特性、光学特性等に優れている。
【0035】
本発明の硬化性組成物を硬化させるには、一般に知られているエポキシ樹脂の硬化方法を用いればよく、加熱、又は紫外線等の光照射をすればよい。
【0036】
また、本発明の硬化性成分には、前記必須成分の他に、任意成分として、本発明の目的とする性能を損なわない範囲で、その他の公知の添加剤、充填剤、各種樹脂等も配合することができる。
【0037】
エポキシ基を有するケイ素含有重合体に、各種の有機官能基を結合させ機能付与をすることができる。またアミノ基等の他の官能基を有するケイ素含有重合体を配合することができる。更にまた、本発明の硬化性組成物又はその硬化物をマトリックスとし、他の有用な化合物を分散させた高機能複合材料を作成することができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中の「部」や「%」は重量によるものである。
合成例1:ケイ素含有重合体A
(エポキシ基を有するアルコキシシランとエポキシ基を有さないアルコキシシランの併用)
メチルトリエトキシシラン14部に0.015%リン酸水溶液8.6部を滴下し、10℃以下で1時間攪拌した。引続いて、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン6.6部[メチルトリエトキシシラン/β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン=3/1モル比]を滴下し、10℃以下で2時間攪拌した。次いで、1.9%水酸化ナトリウム水溶液0.25部を添加し(pH7.1)、60℃で15分間反応後、室温まで冷却した。得られた反応液に脂環式エポキシ樹脂3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを40部加えた。これにイオン交換水20部を加えて3回水洗を行った後、窒素気流下、40℃、1330Pa(10mmHg)にて溶媒を留去し、脂環式エポキシ樹脂混合ケイ素含有重合体Dを得た。GPCによる分析の結果、混合物中のケイ素含有重合体成分は重量平均分子量3900であり、DMSO−d を溶媒とする H−NMRによる分析の結果、エポキシ基は84%保持され、シラノール基(SiOH基)はケイ素原子1個あたり0.91個であった。
【0039】
合成例:ケイ素含有重合体のシラノール基封鎖処理
合成例で得られた脂環式エポキシ樹脂混合ケイ素含有重合体A42部に、オルトギ酸トリエチル45部を加え、130℃で1時間処理後、窒素気流下、70〜90℃、1330Pa(10mmHg)にて、未反応オルトギ酸トリエチル等の揮発性成分を留去した。GPCによる分析の結果、混合物中のケイ素含有重合体成分は重量平均分子量4300であり、DMSO−dを溶媒とするH−NMRによる分析の結果、エポキシ基は81%保持され、シラノール基(SiOH基)は検出されなかった。
【0040】
光硬化フィルムの作製
脂環式エポキシ樹脂(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)30部、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂アデカレジンEP−4080[旭電化工業(株)製、エポキシ当量240]70部、及び光硬化触媒として4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フロロフェニル)スルホニウムヘキサフロロアンチモネート)2部を室温で混合して、透明な紫外線硬化性組成物を得た。この紫外線硬化性組成物をフッ素系離型剤を表面にスプレーしたガラス板上に厚さ0.6mmになるように塗布後、高圧水銀灯により6000mJ/cm 照射した。フィルムをガラス板からはがし、更に120℃にて4時間熱処理し、均一透明なフィルムを得た。
【0041】
光硬化フィルムの作製
合成例で得たケイ素含有重合体のシラノール基封鎖処理物100部、光硬化触媒として4−(2−クロロ−4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フロロフェニル)スルホニウムヘキサフロロアンチモネート2部を室温で混合して、透明な紫外線硬化性組成物を得た。この紫外線硬化性組成物を光硬化フィルムAの場合と同様に処理し、均一透明なフィルムを得た。
【0042】
<耐溶剤試験1>
光硬化フィルムA及びBを塩化メチレン/トリメチルクロロシラン/ピリジン=100/13/21の混合溶液中に48〜49℃で1時間浸漬し、イオン交換水で洗浄した後、120℃で1時間乾燥し、外観を観測した。結果を表に示す
【0043】

実施例 比較例
光硬化フィルム
外観 異状なし ぼろぼろの状態
【0044】
上記結果より、本発明の硬化性組成物は、無機成分を含まない比較例と比較して、耐溶剤性に優れていることがわかる。
【0045】
<耐溶剤性試験2>
光硬化フィルムA及びBを塩化メチレンに25℃で2時間浸漬後、乾燥してから外観を観察した。結果を表に示す。
【0046】

実施例 比較例
光硬化フィルム
外観 異状なし ぼろぼろの状態
【0047】
上記結果より、本発明の硬化性組成物は、無機成分を含まない比較例2と比較して、耐溶剤性に優れていることがわかる。
【0048】
<保存安定性試験>
合成例のケイ素含有重合体(シラノール基封鎖処理前のもの)及び合成例のケイ素含有重合体Aのオルトギ酸トリエチル処理後のものの反応液を40℃で保存後、GPC測定によりケイ素含有重合体の分子量(重量平均分子量:Mw)変化を測定した。結果を表に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004520559
【0050】
上記結果より、本発明の加水分解性エステル化合物で処理されたケイ素含有重合体は、保存安定性に著しく優れていることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の硬化性組成物は、安定性、透明性、硬化性能に優れ、更にその硬化物が、耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐候性等の諸物性に優れているという効果を奏する。

Claims (3)

  1. 必須の構成成分として、エポキシ基を有する重量平均分子量500〜50万のケイ素含有重合体、及び硬化触媒を含有する組成物よりなる硬化性組成物であって、前記ケイ素含有重合体が、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランから選ばれる1種または2種以上のエポキシ基を有するアルコキシシラン、又は前記エポキシ基を有するアルコキシシランとエポキシ基を有さないアルコキシシランの混合物を加水分解・縮合反応させ、次いで、オルト蟻酸エステル、オルト酢酸エステル、テトラアルコキシメタン及び炭酸エステルからなる群から選ばれる1種または2種以上の加水分解性エステル化合物を添加、加熱処理することにより、シラノール基を封止してシラノール基を不在としたものであることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 更に、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、アルファオレフィンオキサイド及びエポキシ化脂肪酸から選ばれるエポキシ樹脂を含有することを特徴とする、請求項1記載の硬化性組成物
  3. 上記硬化触媒が光カチオン硬化触媒であることを特徴とする、請求項1又は2項記載の硬化性組成物。
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