JP6719383B2 - 液状発酵乳及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液状発酵乳及びその製造方法に関する。
液状発酵乳とは、原料乳を発酵によりゲル化させて得られる固形状発酵乳や糊状発酵乳を、均質機等の機械的な剪断力により液状化させたものである。液状発酵乳には、例えば、ドリンクヨーグルト(のむヨーグルト)、乳酸菌飲料、発酵乳飲料、酸性乳飲料等と称されるものがある。
これら液状発酵乳の特徴として、実際に摂食する時にスプーン等の食器を用意する必要がなく、発酵乳(乳酸菌)を手軽に摂取できる利点がある。すなわち、液状発酵乳とは、例えば、生活の忙しい中で効果的に、栄養を補給できると共に、健康を訴求できる、いわば、発酵乳の進化形の一つといえる。
液状発酵乳には、特に決まった分類等はないが、その物性から、液状発酵乳を低粘度型と高粘度型の二つに分類することができる。
低粘度型の液状発酵乳は、例えば、固形状発酵乳や糊状発酵乳を100kg/cm〜150kg/cmの均質化圧で液状化し、低粘度で飲料を摂取する感覚で飲用できる形態にしていることが特徴である(非特許文献1)。低粘度型の液状発酵乳では、低粘度という物性的な性質から、HMペクチン等の安定化剤を添加して、乳タンパク質の粒子同士を荷電的に反発させることで、その分離や沈殿を抑制し、その品質を安定化させているものがある(特許文献1)。なお、HMペクチンと同様に、乳タンパク質の粒子同士を荷電的に反発させる作用がある安定化剤として、大豆多糖類、カルボキメチルセルロース(CMC)等が知られている。なお、低粘度型の液状発酵乳とは、一般的にその粘度が約5〜50mPa・s(測定温度:10℃)程度であるものをいう。
また、低粘度型の液状発酵乳には、液状という物性的な性質から、固形状発酵乳(例えば、セットタイプヨーグルト、ハードヨーグルト、静置型ヨーグルト、後発酵ヨーグルト)や糊状発酵乳(例えば、ソフトヨーグルト、撹拌型ヨーグルト)と比較して、乳酸菌の代謝により生成される乳酸に由来する酸味を感じやすい傾向がある。そして、特に、冷蔵保存中において、乳酸菌の代謝により乳酸が多く生成されると、賞味期限内において、発酵乳の風味(酸味)が大きく変化することになる。
低粘度型の液状発酵乳の冷蔵保存時において、乳酸の生成を抑制させる技術として、液状発酵乳の溶存酸素濃度を高める方法(特許文献2)、所定よりも高い発酵温度で、原料乳を発酵する方法(特許文献3)、所定よりも高い圧力で、固形状発酵乳や糊状発酵乳を均質化して液状化する方法(特許文献4)が知られている。
高粘度型の液状発酵乳は、例えば、固形状発酵乳や糊状発酵乳を緩やかな機械的な剪断力で液状化し、高粘度で濃厚でトロミのある飲料を摂取する感覚で飲用できる形態にしていることが特徴である。高粘度型の液状発酵乳では、高粘度という物性的な性質から、前記のHMペクチン等の安定化剤を使用しなくても、その分離や沈殿を抑制し、その品質を安定化させているものがある。なお、高粘度型の液状発酵乳とは、一般的にその粘度が約100〜1000mPa・s(測定温度:10℃)程度であるものをいう。
国際公開第2008/044533号 日本国特開2011−004711号公報 国際公開第2011/083776号 日本国特許4963747号
山内邦男、横山健吉編、「ミルク総合辞典」、朝倉書店,1992年、p.246−247
従来の低粘度型の液状発酵乳では、乳飲料等の製造条件と同程度以上に負荷を掛ける操作条件において、固形状発酵乳や糊状発酵乳を機械的な剪断力で液状化して製造され、低粘度という物性的な性質から、従来の高粘度の液状発酵乳と比較して、後味の良さ(後切れ)は十分であったが、乳成分に由来する濃厚感(コク)は弱めに感じられていた。
また、従来の高粘度型の液状発酵乳では、乳飲料等の製造条件よりも穏やかな操作条件において、固形状発酵乳や糊状発酵乳を機械的な剪断力で液状化して製造され、高粘度という物性的な性質から、従来の低粘度の液状発酵乳と比較して、乳成分に由来する濃厚感は強めに感じられていたが、後味の良さは不十分であった。
すなわち、従来の液状発酵乳の製造方法では、濃厚感と後味の良さを両立した風味や食感の液状発酵乳を商業的に実現することは困難であると考えられていた。一方、従来の液状発酵乳とは異なり、濃厚感と後味の良さを両立した風味や食感の液状発酵乳を商業的に実現できれば、嗜好性の向上を期待できる。
本発明では、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感を有する(濃厚感と後味の良さを同時に感じられる)液状発酵乳(ドリンクヨーグルト等)を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定の粘度と、所定の平均粒子径を有する液状発酵乳であれば、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感を有する液状発酵乳を提供できることを見出し、本発明を完成させた。
また、原料乳にカチオン反応性の安定化剤を配合(添加)し、乳酸菌を添加(接種)してpHが3〜5になるまで発酵させた後に、粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となるように液状化させることにより得られる液状発酵乳が、濃厚感と後味の良さを両立した風味や食感であることを見出した。
そして、この液状発酵乳を冷蔵保存(10℃、14日間)したところ、離水や沈殿が認められなかった。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[13]からなる。
[1] 粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下である、液状発酵乳。
[2] カチオン反応性の安定化剤を含む、前記[1]に記載の液状発酵乳。
[3] カチオン反応性の安定化剤を0.05〜0.5重量%含む、前記[2]に記載の液状発酵乳。
[4] カチオン反応性の安定化剤がκ-カラギナン、ι-カラギナン、脱アシルジェランガム、アルギン酸塩、ローメトキシルペクチン(LMペクチン)の何れか1種の単独又は2種以上の組合せである、前記[2]又は[3]に記載の液状発酵乳。
[5] 無脂乳固形分(SNF)を7〜12重量%含む、前記[1]〜[4]の何れか1に記載の液状発酵乳。
[6] 製造の直後から10℃、14日間保存して、離水や沈殿が認められない、前記[1]〜[5]の何れか1に記載の液状発酵乳。
[7] 単位をmPa・sで表した粘度(測定温度:10℃)が単位をμmで表した平均粒子径の20倍以上である、前記[1]〜[6]の何れか1に記載の液状発酵乳。
[8] 剪断速度で1〜1000s−1の範囲の任意の3点以上の測定点における剪断応力と剪断速度の関係を、P=μDの数式で表す場合に、nの値が0.49以下である、前記[1]〜[7]の何れか1に記載の液状発酵乳。ここで、Pは剪断応力[Pa]、Dは剪断速度[s−1]、μは非ニュートン粘性係数、nは非ニュートン粘性指数を意味する。
[9] 原料乳にカチオン反応性の安定化剤を配合し、乳酸菌を添加(接種)してpHが3〜5になるまで発酵させた後に、粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となるように液状化させる、液状発酵乳の製造方法。
[10] カチオン反応性の安定化剤を0.05〜0.5重量%配合する、前記[9]に記載の液状発酵乳の製造方法。
[11] カチオン反応性の安定化剤がκ-カラギナン、ι-カラギナン、脱アシルジェランガム、アルギン酸塩、ローメトキシルペクチン(LMペクチン)の何れか1種の単独又は2種以上の組合せである、前記[9]又は[10]に記載の液状発酵乳の製造方法。
[12] 無脂乳固形分(SNF)を7〜12重量%含む、前記[9]〜[11]の何れか1に記載の液状発酵乳の製造方法。
[13] スーパーミキサーを用いて液状化させる、前記[8]〜[12]の何れか1に記載の液状発酵乳の製造方法。
本発明によれば、粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下であることにより、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感の液状発酵乳(ドリンクヨーグルト等)を提供することができる。
図1は、液状発酵乳(発明品Cと対照品B)の官能検査(2点比較)の結果である。
<液状発酵乳>
本発明の液状発酵乳は、粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下であることを特徴とし、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感を有している。
<粘度>
本発明の液状発酵乳の粘度は、200〜800mPa・s(測定温度:10℃)である。本発明の液状発酵乳の粘度は、250〜750mPa・s(測定温度:10℃)が好ましく、250〜700mPa・s(測定温度:10℃)がより好ましく、300〜650mPa・s(測定温度:10℃)がさらに好ましく、300〜600mPa・s(測定温度:10℃)が特に好ましい。このとき、液状発酵乳の粘度が200mPa・s(測定温度:10℃)以上であれば、濃厚感を実感しやすく、液状発酵乳の粘度が800mPa・s(測定温度:10℃)を超えると、液状らしさが弱まり、糊状らしさが強まる傾向にある。本発明の液状発酵乳の粘度を上記範囲とする方法については、本発明の液状発酵乳の製造方法にて後述する。
本発明において、粘度は、B型粘度計(例えば、VISCO METER−TV−10、東機産業株式会社)で測定することができる。具体的には、試料(検体):100mLを10℃で牛乳壜(容量:110mL)に充填してから、ローターにスピンドルM2(東機産業株式会社)を使用し、ローターを回転(60rpm、30秒間)させて測定することができる。そして、B型粘度計で測定する上記以外の方法で、粘度を測定した場合には、B型粘度計で測定した粘度の測定値の差異と調整して、本発明の粘度の範囲(上限値、下限値等)を設定することができる。
<平均粒子径>
本発明の液状発酵乳の平均粒子径は、20μm以下である。本発明の液状発酵乳の平均粒子径は、1〜20μmが好ましく、2〜18μmがより好ましく、4〜18μmがさらに好ましく、6〜16μmがさらに好ましく、8〜16μmが特に好ましい。このとき、液状発酵乳の平均粒子径が20μmを超えると、すっきり感が弱まり、舌触りの滑らかさ等も弱まる傾向にある。本発明の液状発酵乳の平均粒子径を上記範囲とする方法については、本発明の液状発酵乳の製造方法にて後述する。
本発明において、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(例えば、SALD−2000、島津製作所)で測定し、50%粒子径の測定値として算出することができる。なお、この50%粒子径の測定値とは、レーザー回折・散乱法により、液状発酵乳の分散体の粒度分布を測定した結果に対して、その積算値で50%の粒子径であり、この積算値で50%の粒子径とは、小さい粒子径から粒子数を加算していき、粒子数の合計値の50%に到達したところの粒子径である。そして、レーザー回折式粒度分布計で測定する上記以外の方法で、平均粒子径を測定した場合には、レーザー回折式粒度分布計で測定した平均粒子径の測定値の差異と調整して、本発明の平均粒子径の範囲(上限値、下限値等)を設定することができる。
<カチオン反応性の安定化剤>
本発明の液状発酵乳は、所定の粘度と所定の平均粒子径を有するものであり、カチオン反応性の安定化剤を含むことが好ましい。本発明において、カチオン反応性の安定化剤とは、カチオンと反応してゲル化する安定化剤の総称である。例えば、乳成分にはカルシウムが存在しており、このカチオン反応性の安定化剤が乳成分のカルシウムと反応し、ゲル化を促進する。
ところで、低粘度型の液状発酵乳では、固形状発酵乳や糊状発酵乳を強い剪断力で破砕(微粒化)するため、乳タンパク質等が凝集して分離や沈殿しないように、ゲル化を抑制したり、防止したりする必要がある。そのため、液状発酵乳では、技術常識として、ゲル化を促進するカチオン反応性の安定化剤を使用することは避けられていた。すなわち、これまでは、低粘度型の液状発酵乳の製造において、カチオン反応性の安定化剤を使用することは想定されていなかった。
一方、高粘度型の液状発酵乳は、低粘度型の液状発酵乳に比べて、後味のすっきり感が低い。高粘度型の液状発酵乳を製造したとしても、固形状発酵乳や糊状発酵乳を緩やかな機械的な剪断力で液状化するため、カチオン反応性の安定化剤を使用することはこれまで想定されていなかった。本発明では意外なことに、高粘度型の液状発酵乳において、低粘度型の液状発酵乳の製造で避けられていたカチオン反応性の安定化剤を含有させることで、所定の粘度と所定の平均粒子径であって、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感を実現することができた。
すなわち、本発明の液状発酵乳では、原料乳の殺菌前及び/又は発酵前に敢えて、カチオン反応性の安定化剤を原料乳に添加することで、所定の粘度と所定の平均粒子径であって、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感を実現した。つまり、原料乳にカチオン反応性の安定化剤を添加してから(加熱)殺菌した後に、乳酸菌を添加してpHが3〜5になるまで発酵させるか、又は原料乳を(加熱)殺菌した後に、カチオン反応性の安定化剤を添加すると共に、乳酸菌を添加してpHが3〜5になるまで発酵させて、固形状発酵乳を調製し、この固形状発酵乳のカードを粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となるように液状化(破砕)することで、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感である液状発酵乳を製造した。
本発明において、原料乳に対するカチオン反応性の安定化剤の添加量は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、具体的には、液状発酵乳の全体に対して、0.05〜0.5重量%が例示され、0.06〜0.45重量%が好ましく、0.06〜0.4重量%がより好ましく、0.07〜0.35重量%がさらに好ましく、0.07〜0.3重量%が特に好ましい。
また、本発明において、原料乳に対するカチオン反応性の安定化剤の添加量は、原料乳の全体に対して、0.05〜0.5重量%が例示され、0.06〜0.45重量%が好ましく、0.06〜0.4重量%がより好ましく、0.07〜0.35重量%がさらに好ましく、0.07〜0.3重量%が特に好ましい。
本発明において、カチオン反応性の安定化剤の種類は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、具体的には、κ-カラギナン、ι-カラギナン、脱アシルジェランガム、アルギン酸塩、ローメトキシペクチン(LMペクチン)が例示され、これらの何れか1種を単独で使用するか、又は2種以上を組合せて使用することができる。また、本発明において、カチオン反応性の安定化剤は、市販の製剤を使用することもできる。このとき、より濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感の液状発酵乳を製造できることの他、実際の製造工程における取扱いの容易さ等から、LMペクチンを使用することが好ましい。
なお、本発明において、カチオン反応性の安定化剤の種類は、実際に製造する液状発酵乳の組成や濃度等に依存する。
例えば、カチオン反応性の安定化剤がLMペクチンの場合では、DE値は具体的には16〜46%、好ましくは18〜44%、より好ましくは20〜42%、さらに好ましくは22〜40%である。また、カチオン反応性の安定化剤のアミド基含量は、具体的には10〜30%、好ましくは13〜28%、より好ましくは16〜27%、さらに好ましくは19〜26%である。
ところで、本発明において、ペクチンとは、平均分子量が50,000〜150,000Daのポリガラクチュロン酸を意味する。この構成糖のガラクチュロン酸には、フリー型とメチルエステル型の2種類があり、全ガラクチュロン酸のうち、メチルエステルとして存在するガラクチュロン酸の割合をエステル化度(DE値)と呼ぶ。このDE値により、ペクチンの性質は異なる。そして、DE値が50%以上のものをハイメトキシペクチン(HMペクチン)と呼び、50%未満のものをローメトキシペクチン(LMペクチン)と呼ぶ。なお、従来の低粘度型のドリンクヨーグルトの安定化には、HMペクチンが用いられていた(参考:「ミルク総合辞典」3.乳製品の加工技術、p.246〜247)。
本発明において、カチオン反応性の安定化剤の添加方法は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、原料乳の殺菌前及び/又は発酵前に、カチオン反応性の安定化剤を原料乳に添加することが例示される。すなわち、カチオン反応性の安定化剤の添加方法として、原料乳に分散・溶解されていればよい。例えば、カチオン反応性の安定化剤を水等に分散させてから加温して溶解させた後に、このカチオン反応性の安定化剤の溶液を原料乳に添加する方法、カチオン反応性の安定化剤が溶解できる温度に原料乳を加温し、この加温した原料乳にカチオン反応性の安定化剤を分散・溶解させる方法、原料乳とカチオン反応性の安定化剤の溶液を別々に殺菌した後に、これらを混合する方法等が例示される。なお、この他の安定化剤等の他の物質や成分は、本発明の効果が損なわれなければ、特に制限されず、任意に添加することができる。
<原料乳>
本発明において、原料乳は、一般的に解釈される原料乳にとらわれることなく、生乳、乳製品、豆乳等を含む殺菌前及び/又は発酵前の流体(液体等)であれば、特に制限されない。例えば、脱脂粉乳を生乳に分散・溶解したもの、脱脂粉乳を水に分散・溶解したもの等が例示される。すなわち、原料乳として、牛乳等の獣乳、その加工品(例えば、全脂乳、脱脂乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、練乳、乳清、クリーム等)や、豆乳等の植物性乳や、その加工品等を含む流体が例示される。また、本発明において、原料乳は、その組成(乳脂肪、乳タンパク質、乳糖、灰分等)を適宜調整できる。例えば、液状発酵乳において、乳風味や濃厚感等を強調するために、クリーム及び/又は脱脂粉乳等を原料乳に強化して、乳脂肪や乳タンパク質等の濃度を高めてもよい。
<各種成分>
本発明において、液状発酵乳の乳脂肪の濃度は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、具体的には、液状発酵乳の全体に対して、8重量%以下が例示され、0.01〜8重量%が好ましく、0.01〜7重量%がより好ましく、0.01〜6重量%がさらに好ましく、0.01〜5重量%がさらに好ましく、0.01〜4重量%が特に好ましい。液状発酵乳全体に対する乳脂肪の濃度が上記範囲内であることによって、液状発酵乳としての風味が適している。
また、本発明において、原料乳の乳脂肪の濃度は、原料乳の全体に対して、8重量%以下が例示され、0.01〜8重量%が好ましく、0.01〜7重量%がより好ましく、0.01〜6重量%がさらに好ましく、0.01〜5重量%がさらに好ましく、0.01〜4重量%が特に好ましい。原料乳全体に対する乳脂肪の濃度が上記範囲内であることによって、液状発酵乳としての風味が適している。
本発明において、液状発酵乳の乳タンパク質の濃度は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、具体的には、液状発酵乳の全体に対して、10重量%以下が例示され、1〜10重量%が好ましく、1.5〜9重量%がより好ましく、2〜8重量%がさらに好ましく、2.5〜7重量%がさらに好ましく、3〜6重量%が特に好ましい。液状発酵乳全体に対する乳タンパク質の濃度が上記範囲内であることによって、風味が良好であるからである。
また、本発明において、原料乳の乳タンパク質の濃度は、原料乳の全体に対して、10重量%以下が例示され、1〜10重量%が好ましく、1.5〜9重量%がより好ましく、2〜8重量%がさらに好ましく、2.5〜7重量%がさらに好ましく、3〜6重量%が特に好ましい。原料乳全体に対する乳タンパク質の濃度が上記範囲内であることによって、風味が良好であるからである。
本発明において、液状発酵乳の無脂乳固形分(SNF)の濃度は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、具体的には、液状発酵乳の全体に対して、18重量%以下が例示され、1〜18重量%が好ましく、3〜16重量%がより好ましく、5〜14重量%がさらに好ましく、7〜12重量%がさらに好ましく、8〜10重量%が特に好ましい。液状発酵乳全体に対する無脂乳固形分(SNF)の濃度が上記範囲内であることによって、風味が良好であるからである。
また、本発明において、原料乳の無脂乳固形分(SNF)の濃度は、原料乳の全体に対して、18重量%以下が例示され、1〜18重量%が好ましく、3〜16重量%がより好ましく、5〜14重量%がさらに好ましく、7〜12重量%がさらに好ましく、8〜10重量%が特に好ましい。原料乳全体に対する無脂乳固形分(SNF)の濃度が上記範囲内であることによって、風味が良好であるからである。なお、無脂乳固形分(SNF)とは、乳成分のうち、乳脂肪を除いた成分を意味する。
本発明において、原料乳の成分には、本発明の効果が得られれば、公知の食品及び/又は食品添加物を適宜添加できる。すなわち、原料乳の添加成分として、例えば、砂糖、砂糖以外の糖類、高感度甘味料、香料、増粘剤、ゲル化剤、ミネラル類、ビタミン類、機能性素材、水等が例示される。
<製造方法>
本発明の液状発酵乳の製造方法は、原料乳にカチオン反応性の安定化剤を配合し、乳酸菌を添加してpHが3〜5になるまで発酵させた後に、粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となるように液状化(破砕)することを特徴とする。すなわち、本発明の液状発酵乳の製造方法は、原料乳にカチオン反応性の安定化剤を添加してから(加熱)殺菌した後に、乳酸菌を添加してpHが3〜5になるまで発酵させるか、又は原料乳を(加熱)殺菌した後に、カチオン反応性の安定化剤を添加すると共に、乳酸菌を添加してpHが3〜5になるまで発酵させて、固形状発酵乳を調製し、この固形状発酵乳のカードを粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となるように液状化(破砕)することを特徴とする。
さらに、本発明の液状発酵乳の製造方法は、原料乳にカチオン反応性の安定化剤を添加する工程、原料乳を殺菌する工程、原料乳に乳酸菌を添加する工程、原料乳をpHが3〜5になるまで発酵させて発酵乳のカードを調製する工程、発酵乳のカードを粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となるように液状化する工程、発酵乳を容器に充填する工程を有することを特徴とする。このとき、実際の製造工程における取扱いの容易さ等から、原料乳にカチオン反応性の安定化剤を添加してから殺菌する方法(工程)を有することが好ましい。そして、このようにして製造された本発明の液状発酵乳は、前述した内容を特徴とすると共に、実施例で実証されたように、製造の直後から10℃、14日間保存して、離水や沈殿が認められないことを特徴とする。
なお、本発明において「離水が認められない」とは、実質的に離水が認められないことを意味し、離水が全く認められないか、認められたとしても極少量である場合をいう。離水が認められないことは、目視により確認できる。
また、本発明において「沈澱が認められない」とは、実質的に沈澱が認められないことを意味し、沈澱が全く認められないか、認められたとしても極少量である場合をいう。沈澱が認められないことは、目視により確認できる。
本発明において、原料乳を殺菌する方法や設備には、食品分野において通常で使用される方法や設備を使用すればよい。このとき、原料乳を殺菌する方法として、例えば、低温保持殺菌法(LTLT、60〜70℃、20〜40分間等)、高温保持殺菌法(HTLT、80〜90℃、5〜20分間等)、高温短時間殺菌法(HTST、100〜110℃、1〜3分間等)、超高温瞬間殺菌法(UHT、120〜150℃、1〜10秒間等)等が例示される。
そして、原料乳を殺菌する設備として、例えば、間接加熱式殺菌機(プレート式殺菌機、チューブ式殺菌機等)、直接加熱式殺菌機(スチームインジェクション式殺菌機、スチームインフュージョン式殺菌機等)、通電加熱式殺菌機、レトルト殺菌機、撹拌・調温の機能付きのタンク、撹拌・調温・減圧・均質化の機能付きのタンク等の設備が例示され、これらの何れか1種を単独で使用するか、又は2種以上を組合せて使用することができる。
本発明において、原料乳の発酵には、食品分野において通常使用される微生物を使用すればよく、例えば、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母等が例示される。そして、本発明において、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母等には、本発明の効果が得られれば、公知のものを適宜使用できる。具体的には、乳酸菌の場合、発酵乳の製造において使用の実績があるブルガリア菌、サーモフィラス菌、ラクチス菌、クレモリス菌、カゼイ菌、ビフィズス菌が例示され、ヨーグルトの製造において一般的な使用の実績があるブルガリア菌とサーモフィラス菌の組合せ(混合物)が好ましい。以下、乳酸菌を例に挙げて、原料乳の発酵について具体的に説明するが、本発明においては原料乳の発酵に使用できる微生物は乳酸菌に限られるものではない。
本発明において、原料乳を発酵する条件は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、発酵温度及び/又は発酵時間を適宜調整することが好ましい。このとき、本発明において、発酵温度は、実際に使用する乳酸菌の種類や乳酸菌の活動の至適温度等に依存するが、例えば、30〜50℃が例示され、35〜48℃が好ましく、38〜45℃がより好ましい。具体的に例えば、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の組合せ(混合物)では、30〜45℃が例示され、32〜44℃が好ましく、34〜44℃がより好ましく、36〜43℃がさらに好ましく、38〜43℃が特に好ましい。発酵温度が前記範囲であることによって、適正な発酵時間で風味良好な液状発酵乳ができる。
また、本発明において、発酵時間は、実際に使用する乳酸菌の種類や乳酸菌の添加量や発酵温度等に依存するが、例えば、2〜15時間が例示され、2.5〜10時間が好ましく、3〜6時間がより好ましい。具体的に例えば、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の組合せ(混合物)では、1〜20時間が例示され、1.5〜15時間が好ましく、2〜10時間がより好ましく、2.5〜8時間がさらに好ましく、3〜6時間が特に好ましい。発酵時間が前記範囲であることによって、製造適性も良好で、風味良好な液状発酵乳ができる。
一方、本発明において、原料乳の発酵の終了の乳酸酸度及び/又はpHを適宜調整することが好ましい。このとき、本発明において、発酵の終了の乳酸酸度は、0.5〜1.5%が例示され、0.55〜1.4%が好ましく、0.6〜1.3%がより好ましく、0.65〜1.2%がさらに好ましく、0.7〜1.1%が特に好ましい。発酵終了時の乳酸酸度が前記範囲であることによって、風味が良好な発酵乳が得られるためである。
また、本発明において、発酵終了時のpHは、3〜5が例示され、3.2〜4.9が好ましく、3.4〜4.8がより好ましく、3.6〜4.7がさらに好ましく、3.8〜4.6が特に好ましい。原料乳の発酵終了時のpHが前記範囲であることによって、風味が良好な発酵乳が得られるためである。
なお、原料乳の発酵終了時の乳酸酸度は、例えば、次の手順に従って算出できる。すなわち、発酵乳の試料:9gを水で2倍に希釈してから、フェノールフタレインの指示薬を添加した後に、水酸化ナトリウム水溶液(0.1N)で中和滴定し、微紅色が30秒間で消失しない状態を終点と判断して、この終点における滴定量から、試料:100gの乳酸量として算出できる。また、pHは、例えばpH計で測定する。
本発明において、固形状発酵乳のカードを液状化(破砕)する条件は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、液状化後の粘度(液状発酵乳の粘度)が所定の粘度に、液状化後の平均粒子径が所定の粒子径となるよう適宜調整することが好ましい。このとき、本発明において、液状化後の粘度は、200〜800mPa・s(測定温度:10℃)であり、250〜750mPa・s(測定温度:10℃)が好ましく、250〜700mPa・s(測定温度:10℃)がより好ましく、300〜650mPa・s(測定温度:10℃)がさらに好ましく、300〜600mPa・s(測定温度:10℃)が特に好ましい。液状化後の粘度を前記範囲とすることによって、食感が良好な発酵乳が得られるためである。
さらに、このとき、本発明において、液状化後の平均粒子径(液状発酵乳の平均粒子径)は、20μm以下であり、1〜20μmが好ましく、2〜18μmがより好ましく、4〜18μmがさらに好ましく、6〜16μmがさらに好ましく、8〜16μmが特に好ましい。このとき、液状発酵乳の平均粒子径が20μmを超えると、すっきり感が弱まり、舌触りの滑らかさ等も弱まる傾向にある。
本発明において、固形状発酵乳のカードを液状化する方法や設備には、食品分野において通常で使用される方法や設備を使用すればよい。このとき、固形状発酵乳のカードを液状化する方法として、機械的な剪断力を利用でき、発酵(終了)後の冷却前に液状化する方法、発酵(終了)後の冷却後に液状化する方法、発酵途中の冷却前に液状化する方法等が例示される。
そして、固形状発酵乳のカードを液状化する設備として、例えば、ホモゲナイザー(均質機)、ホモミキサー、ホモディスパー、スーパーミキサー、メッシュフィルター、インラインミキサー、撹拌・調温の機能付きのタンク、撹拌・調温・減圧・均質化の機能付きのタンク等が例示され、これらの何れか1種を単独で使用するか、又は2種以上を組合せて使用することができる。
なお、本発明において、固形状発酵乳のカードを液状化し、粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となる液状発酵乳を得るための条件は、実際に製造する液状発酵乳の風味や食感等に依存する。本発明の技術分野における当業者であれば、製造する液状発酵乳の風味や食感等に応じて、上記の固形状発酵乳のカードを液状化する設備のいずれかを適切な条件の下で使用等することによって、所定の粘度と、所定の平均粒子径を有する液状発酵乳を得ることができる。具体的には、例えば、ホモゲナイザーを使用する場合は、その圧力を0〜20MPaとすることが例示され、0.2〜15MPaが好ましく、0.4〜10MPaがより好ましく、0.6〜8MPaがさらに好ましく、0.8〜6MPaが特に好ましい。なお、スーパーミキサーとは、ベンチュリー管の流動特性であるキャビテーションを利用しつつ、剪断力を利用する装置であり、NRKマルチミキサー(ニチラク機械社)が例示される。
本発明の液状発酵乳は、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感であることから、従来の液状発酵乳と異なる特定の性質を有している。このとき、本発明の液状発酵乳の性質は、本発明の効果が得られれば、特に制限されない。具体的には、液状発酵乳の性質を表現する指標の一つとして、単位をmPa・sで表した粘度が単位をμmで表した平均粒子径の20倍以上であることが例示され、20〜100倍であることが好ましく、20〜80倍であることがより好ましく、20〜70倍であることがさらに好ましく、20〜60倍であることがさらに好ましく、20〜50倍であることが特に好ましい。
すなわち、本発明の液状発酵乳では、従来の液状発酵乳と比較して、単位をμmで表した平均粒子径に対する、単位をmPa・sで表した粘度の割合が大きく、本発明の液状発酵乳では、粘度が高いことで、濃厚感を備えていながら、平均粒子径が小さいことで、後味の良さを備えていることとなる。
本発明の液状発酵乳は、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感であることから、従来の液状発酵乳と異なる特定の性質を有している。このとき、本発明の液状発酵乳の性質は、本発明の効果が得られれば、特に制限されないが、具体的には、液状発酵乳の性質を表現する指標の一つとして、非ニュートン粘性指数(n)が0.49以下であることが例示され、0.1〜0.49が好ましく、0.1〜0.47がより好ましく、0.1〜0.45がさらに好ましく、0.1〜0.43がさらに好ましく、0.1〜0.4が特に好ましい。
なお、非ニュートン粘性指数は、P=μDの数式(剪断流動化特性の粘性式)におけるnで表される。ここで、Pは剪断応力[Pa]、Dは剪断速度[s−1]、μは非ニュートン粘性係数、nは非ニュートン粘性指数を意味する。
ところで、一般的に、非ニュートン粘性指数(n)が小さい液状食品では、剪断力により、粘度が大きく低下するため、実際に経口摂取して口腔内へ入れたときには、粘度が高く、濃厚感がありながら、実際に飲み込むときには、粘度が低く、後味の良さがあることとなる。すなわち、本発明の液状発酵乳では、従来の液状発酵乳と比較して、非ニュートン粘性指数(n)が小さく、本発明の液状発酵乳では、粘度が高いことで、濃厚感を備えていながら、非ニュートン粘性指数(n)が小さいことで、後味の良さを備えていることとなる。
本発明において、非ニュートン粘性指数(n)は、動的粘弾性測定装置(例えば、Physica MCR301、アントンパール社)で測定し、剪断速度で1〜1000s−1の範囲の任意の3点以上の測定点における剪断応力と剪断速度の関係(測定結果)から算出することができる。具体的には、試料(検体)を25℃で所定の容器に充填してから、コーンプレート(直径:50mm)を使用し、GAPを1mmに設定して測定することができる。そして、動的粘弾性測定装置で測定する上記以外の方法で、非ニュートン粘性指数(n)を算出した場合には、動的粘弾性測定装置で測定した非ニュートン粘性指数(n)の算出値の差異と調整して、本発明の非ニュートン粘性指数(n)の範囲(上限値、下限値等)を設定することができる。なお、非ニュートン粘性指数(n)が1の場合には、ニュートン流体を意味する。
以下、実施例によって、本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1] 発明品Aの製造
脱脂粉乳(明治社):8.6kg、砂糖:6.5kg、LMペクチン(DE値:23、アミド基含量:24のLMペクチン、「LMペクチン01」ともいう):0.1kgを、温水(60℃):84.8kgに分散・溶解し、原料乳(殺菌前)を小型のタンク(撹拌翼付き)で調製した。なお、このLMペクチン01の温水への溶解性は良好であった。この分散・溶解後のLMペクチンを含む原料乳を加温(60℃)してから、プレート式殺菌機(VHX、岩井機械工業社)に通液して殺菌(130℃、2秒間)した後に冷却(45℃)し、原料乳(殺菌後)を調製した。この殺菌後のLMペクチンを含む原料乳に、乳酸菌スターター(「明治ブルガリアヨーグルト プレーン」より分離した、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合物):2kgを添加してから、小型のタンク(撹拌翼付き)で保持(43℃、6時間)して、乳酸酸度が0.8%(pHが4.2)になるまで発酵し、固形状発酵乳を調製した。この固形状発酵乳のカードを撹拌翼で破砕し、糊状発酵乳を調製してから、この糊状発酵乳をスーパーミキサー(NRKマルチミキサー、ニチラク機械社、モーノポンプ:50Hz)で破砕(微粒化)した後に冷却(10℃)し、液状発酵乳を調製した。なお、この液状発酵乳の無脂乳固形分(SNF)は、8.2重量%、脂肪分(FAT)は、0.1重量%であった。また、この液状発酵乳について、専門パネルの6名で官能検査(濃厚感、後味の良さ)したところ、この液状発酵乳は、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感であった。そして、この液状発酵乳を製造直後から冷蔵保存(10℃、14日間)したところ、離水や沈殿は認められなかった。
[実施例2] 発明品Bの製造
脱脂粉乳(明治社):8.6kg、砂糖:6.5kg、LMペクチン(DE値:23、アミド基含量:24のLMペクチン、「LMペクチン01」ともいう):0.25kgを、温水(60℃):84.65kgに分散・溶解し、原料乳(殺菌前)を小型のタンク(撹拌翼付き)で調製した。なお、このLMペクチン01の温水への溶解性は良好であった。この分散・溶解後のLMペクチンを含む原料乳を加温(60℃)してから、プレート式殺菌機(VHX、岩井機械工業社)に通液して殺菌(130℃、2秒間)した後に冷却(45℃)し、原料乳(殺菌後)を調製した。この殺菌後のLMペクチンを含む原料乳に、乳酸菌スターター(「明治ブルガリアヨーグルト プレーン」より分離した、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合物):2kgを添加してから、小型のタンク(撹拌翼付き)で保持(43℃、6時間)して、乳酸酸度が0.8%(pHが4.2)になるまで発酵し、固形状発酵乳を調製した。この固形状発酵乳のカードを撹拌翼で破砕し、糊状発酵乳を調製してから、この糊状発酵乳をスーパーミキサー(NRKマルチミキサー、ニチラク機械社、モーノポンプ:50Hz)で破砕(微粒化)した後に冷却(10℃)し、液状発酵乳を調製した。なお、この液状発酵乳の無脂乳固形分(SNF)は、8.2重量%、脂肪分(FAT)は、0.1重量%であった。また、この液状発酵乳について、専門パネルの6名で官能検査(濃厚感、後味の良さ)したところ、この液状発酵乳は、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感であった。そして、この液状発酵乳を製造直後から冷蔵保存(10℃、14日間)したところ、離水や沈殿は認められなかった。
[比較例1] 対照品Aの製造
脱脂粉乳(明治社):8.6kg、砂糖:6.5kgを、温水(60℃):84.9kgに分散・溶解し、原料乳(殺菌前)を小型のタンク(撹拌翼付き)で調製した。この分散・溶解後のLMペクチンを含まない原料乳を加温(60℃)してから、プレート式殺菌機(VHX、岩井機械工業社)に通液して殺菌(130℃、2秒間)した後に冷却(45℃)し、原料乳(殺菌後)を調製した。この殺菌後のLMペクチンを含まない原料乳に、乳酸菌スターター(「明治ブルガリアヨーグルト プレーン」より分離した、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合物):2kgを添加してから、小型のタンク(撹拌翼付き)で保持(43℃、6時間)して、乳酸酸度が0.8%(pHが4.2)になるまで発酵し、固形状発酵乳を調製した。この固形状発酵乳のカードを撹拌翼で破砕し、糊状発酵乳を調製してから、この糊状発酵乳をスーパーミキサー(NRKマルチミキサー、ニチラク機械社、モーノポンプ:50Hz)で破砕(微粒化)した後に冷却(10℃)し、液状発酵乳を調製した。なお、この液状発酵乳の無脂乳固形分(SNF)は、8.2重量%、脂肪分(FAT)は、0.1重量%であった。また、この液状発酵乳について、専門パネルの6名で官能検査(濃厚感、後味の良さ)したところ、この液状発酵乳は、実施例1や実施例2と同等の後味の良さを備えていたが、実施例1や実施例2に比べて濃厚感を備えていなかった。そして、この液状発酵乳を製造直後から冷蔵保存(10℃、14日間)したところ、離水や沈殿が認められた。
[試験例1] 発明品A(実施例1)、発明品B(実施例2)、対照品A(比較例1)の物性の評価
実施例1、実施例2、比較例1の液状発酵乳(発明品A、発明品B、対照品A)の粘度(測定温度:10℃)、平均粒子径を測定した。このとき、この粘度は、B型粘度計(VISCO METER−TV−10、東機産業株式会社)で測定した。具体的には、試料(検体):100mLを10℃で牛乳壜(容量:110mL)に充填してから、ローターにスピンドルM2(東機産業株式会社)を使用し、ローターを回転(60rpm、30秒間)させて測定した。また、この平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計(SALD−2000、島津製作所)で測定し、50%粒子径の測定値として算出した。なお、この50%粒子径の測定値とは、レーザー回折・散乱法により、液状発酵乳の分散体の粒度分布を測定した結果に対して、その積算値で50%の粒子径であり、この積算値で50%の粒子径とは、小さい粒子径から粒子数を加算していき、粒子数の合計値の50%に到達したところの粒子径である。
以上に基づいて、これらの測定した結果を表1に示すと共に、単位をμmで表した平均粒子径に対する単位をmPa・sで表した粘度(測定温度:10℃)の割合も算出して、表1に示した。このとき、実施例1、実施例2、比較例1では、発酵乳を液状化するにあたり、スーパーミキサーを用いており、LMペクチンを使用しない比較例1(対照品A)に比べて、LMペクチンを使用した実施例1(発明品A)と実施例2(発明品B)では、平均粒子径(μm)に対する粘度(mPa・s、測定温度:10℃)の割合が大きかった。また、LMペクチンを使用した実施例1(発明品A)と実施例2(発明品B)では、粘度(測定温度:10℃)が200〜800mPa・sの範囲内であったのに対し、LMペクチンを使用しない比較例1(対照品A)では、粘度(測定温度:10℃)が200未満であった。
Figure 0006719383
[試験例2] 発明品A(実施例1)、発明品B(実施例2)、対照品A(比較例1)、市販品1、市販品2の風味・物性の評価
実施例1、実施例2、比較例1の液状発酵乳(発明品A、発明品B、対照品A)と、市販の液状発酵乳について、剪断粘度(Pa・s)を測定し、非ニュートン粘性係数μを求めた。市販の液状発酵乳には、商品の表示の情報から安定化剤を使用していないと判断された「ヤスダのむヨーグルト」(市販品1、ヤスダヨーグルト社)、「毎日骨太1日分のCaのむヨーグルト」(市販品2、雪印メグミルク社)を対象とした。このとき、剪断速度を変化させた剪断粘度は、粘弾性測定装置(Physica MCR301、アントンパール社)で測定した。具体的には、コーンプレート(直径:50mm、アントンパール社)を使用し、GAPを1mm、測定温度を10℃、剪断速度を0.1s−1〜100s−1に設定して測定した。
実施例1、実施例2、比較例1の液状発酵乳(発明品A、発明品B、対照品A)と、市販の液状発酵乳(市販品1、市販品2)について、専門パネルの6名で官能検査(濃厚感、後味の良さ)し、これらの検査した結果を表2に示した。このとき、実施例1(発明品A)と実施例2(発明品B)は、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感であった。一方、比較例1(対照品A)と市販品2は、実施例1や実施例2と同等の後味の良さを備えていたが、実施例1や実施例2に比べて濃厚感を備えていなかった。そして、市販品1は、実施例1や実施例2と同等の濃厚感を備えていたが、実施例1や実施例2に比べて後味の良さを備えていなかった。ところで、LMペクチンを使用しない比較例1(対照品A)、市販品1、市販品2に比べて、LMペクチンを使用した実施例1(発明品A)と実施例2(発明品B)では、非ニュートン粘性指数(n)が低かった。すなわち、比較例1(対照品A)、市販品1、市販品2に比べて、実施例1(発明品A)と実施例2(発明品B)では、剪断力により、粘度が低下することで、濃厚感と後味の良さを兼ね備えた風味や食感が実現されていることが分かった。
Figure 0006719383
[実施例3] 発明品Cの製造
脱脂粉乳(明治社):10.8kg、砂糖:5kg、LMペクチン(DE値:23、アミド基含量:24のLMペクチン、「LMペクチン01」ともいう):0.15kgを、温水(60℃):84.05kgに分散・溶解し、原料乳(殺菌前)を小型のタンク(撹拌翼付き)で調製した。なお、このLMペクチン01の温水への溶解性は良好であった(4点、この評価の指標は後述する。表3)。この分散・溶解後のLMペクチンを含む原料乳を加温(60℃)してから、プレート式殺菌機(VHX、岩井機械工業社)に通液して殺菌(130℃、2秒間)した後に冷却(45℃)し、原料乳を調製した。この殺菌後のLMペクチンを含む原料乳に、乳酸菌スターター(「明治ブルガリアヨーグルト プレーン」より分離した、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合物):2kgを添加してから、小型のタンク(撹拌翼付き)で保持(43℃、6時間)して、乳酸酸度が1.0%(pHが4.2)になるまで発酵し、固形状発酵乳を調製した。この固形状発酵乳のカードを撹拌翼で破砕し、糊状発酵乳を調製してから、この糊状発酵乳をスーパーミキサー(NRKマルチミキサー、ニチラク機械社、モーノポンプ:50Hz)で破砕(微粒化)した後に冷却(10℃)し、液状発酵乳を調製した。なお、この液状発酵乳の粘度は、565mPa・s(測定温度:10℃)、無脂乳固形分(SNF)は、10.25重量%、脂肪分(FAT)は、0.13重量%であった。一方、ブドウ糖果糖液糖(群栄化学工業社):6kgを、温水(50℃):14kgに分散・溶解し、糖液を調製した。そして、この糖液と液状発酵乳を2:8の配合比率で混合し、加糖型の液状発酵乳を調製した。このとき、この加糖型の液状発酵乳の風味や食感は大変に良好であった(5点、この評価の指標は後述する。表3)。この加糖型の液状発酵乳の粘度は、350mPa・s(測定温度:10℃)、無脂乳固形分(SNF)は、8.2重量%、脂肪分(FAT)は、0.1重量%であった。なお、この加糖型の液状発酵乳を製造直後から冷蔵保存(10℃、14日間)したところ、離水や沈殿は認められなかった。
[比較例2] 対照品Bの製造
脱脂粉乳(明治社):15kgを、温水(60℃):85kgに分散・溶解し、原料乳(殺菌前)を小型のタンク(撹拌翼付き)で調製した。この分散・溶解後のLMペクチンを含まない原料乳を、ジャケット付のタンクで殺菌(95℃、10分間)した後に冷却(45℃)し、原料乳を調製した。この殺菌後のLMペクチンを含まない原料乳に乳酸菌スターター(「明治ブルガリアヨーグルト プレーン」から分離した、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合物):2kgを添加してから、小型のタンク(撹拌翼付き)で保持(43℃、6時間)して、乳酸酸度が1.2%(pHが4.3)になるまで発酵し、固形状発酵乳を調製した。この固形状発酵乳のカードを撹拌翼で破砕し、糊状発酵乳を調製してから、この糊状発酵乳をホモゲナイザー(イズミフードマシナリ社)で破砕(微粒化)した後に冷却(10℃)し、液状発酵乳を調製した。なお、この液状発酵乳の粘度は、80mPa・s(測定温度:10℃)、無脂乳固形分(SNF)は、14重量%、脂肪分(FAT)は、0.15重量%であった。一方、ブドウ糖果糖液糖(群栄化学工業社):8kg、HMペクチン:0.25kgを、温水(50℃):31.75kgに分散・溶解し、糖液を調製した。そして、この糖液と液状発酵乳を4:6の配合比率で混合し、加糖型の液状発酵乳を調製した。この加糖型の液状発酵乳の粘度は、20mPa・s(測定温度:10℃)、無脂乳固形分(SNF)は、8.4重量%、脂肪分(FAT)は、0.1重量%であった。なお、この加糖型の液状発酵乳を製造直後から冷蔵保存(10℃、14日間)したところ、離水や沈殿が認められなかった。
[試験例3] 発明品C、対照品Bの風味・物性の評価
実施例3、比較例2の液状発酵乳(発明品C、対照品A)について、液状発酵乳のユーザーのうち、30〜60歳代の既婚の女性の200名で官能検査(2点比較)し、これらの検査した結果を図1に示した。このとき、LMペクチンを使用しない比較例2(対照品B)に比べて、LMペクチンを使用した実施例3(発明品C)では、おいしさ、酸味の好み、甘味の好み、酸味と甘味のバランスの好み、すっきり感の好み、濃厚感(コク)の程度、濃厚感(コク)の好み、後味の好み、飲み飽きない風味、満足感の程度が高評価であった。つまり、実施例3(発明品C)の風味や食感は大変に良好であった。
[実施例4] 発明品Dの製造
実施例3において、LMペクチン(DE値:23、アミド基含量:24のLMペクチン、「LMペクチン01」ともいう)を、LMペクチン(DE値:33〜39、アミド基含量:13〜17のLMペクチン、「LMペクチン02」ともいう)に替えた以外は、実施例3と同様にして、液状発酵乳と加糖型の液状発酵乳を調製した。なお、LMペクチン02の温水への溶解性は良好であった(4点、この評価の指標は後述する。表3)。一方、この加糖型の液状発酵乳の風味や食感は普通に良好であった(3点、この評価の指標は後述する。表3)。そして、この加糖型の液状発酵乳の粘度は、320mPa・s(測定温度:10℃)、無脂乳固形分(SNF)は、8.2重量%、脂肪分(FAT)は、0.1重量%であった。
[実施例5] 発明品Eの製造
実施例3において、LMペクチン(DE値:23、アミド基含量:24のLMペクチン、「LMペクチン01」ともいう)を、LMペクチン(DE値26〜32、アミド基含量17〜22のLMペクチン、「LMペクチン03」ともいう)に替えた以外は、実施例3と同様にして、液状発酵乳と加糖型の液状発酵乳を調製した。なお、LMペクチン03の温水への溶解性は良好であった(4点、この評価の指標は後述する。表3)。一方、この加糖型の液状発酵乳の風味や食感は普通に良好であった(3点、この評価の指標は後述する。表3)。そして、この加糖型の液状発酵乳の粘度は、346mPa・s(測定温度:10℃)、無脂乳固形分(SNF)は、8.2重量%、脂肪分(FAT)は、0.1重量%であった。
ここで、LMペクチンの温水への溶解性は、LMペクチンを温水(60℃)へ添加して撹拌・混合し、その状態を目視で確認して、次の基準で総合的に評価した。
5点:温水を15秒間未満で撹拌すると、ダマが消えて、完全に溶解する。
4点:温水を15秒間以上30秒間未満で撹拌すると、ダマが消えて、完全に溶解する。
3点:温水を30秒間以上60秒間未満で撹拌すると、ダマが消えて、完全に溶解する。
2点:温水を60秒間以上で撹拌しても、ダマが消えず、完全には溶解しない。
1点:温水を60秒間以上で撹拌しても、ダマが残り、溶解しにくい。
また、試料(検体)の風味は、専門パネルの6名の平均により、次の基準で総合的に評価した。
5点:濃厚感が強く、後味の切れや、酸味と甘味のバランスが非常に良い。
4点:濃厚感があり、後味の切れや、酸味と甘味のバランスが良い。
3点:濃厚感が中程度で、後味の切れや、酸味と甘味のバランスが普通である。
2点:濃厚感が幾らか弱く、後味の切れや、酸味と甘味のバランスが幾らか悪い。
1点:濃厚感が弱く、後味の切れや、酸味と甘味のバランスが悪い。
[試験例4] 発明品C(実施例3)、発明品D(実施例4)、発明品E(実施例5)の風味・物性の評価
実施例3、実施例4、実施例5の液状発酵乳(発明品C、発明品D、発明品E)について、LMペクチンの種類を変更して風味と物性等を評価し、これらの評価した結果と各種のLMペクチンの特性等を表3に示した。このとき、実施例3(発明品C)、実施例4(発明品D)、実施例5(発明品E)の何れも、LMペクチンの温水への溶解性は良好であった(4点)。一方、実施例3(発明品C)の風味や食感は大変に良好であり(5点)、実施例4(発明品D)と実施例5(発明品E)の風味や食感は普通に良好であった(3点)。
以上の結果から、LMペクチンでは、DE値が16〜46、アミド基含量が10〜30であることが好ましく、DE値が18〜44、アミド基含量が13〜28であることがより好ましく、DE値が20〜42、アミド基含量が16〜27であることがさらに好ましく、DE値が22〜40、アミド基含量が19〜26であることが特に好ましいことが分かった。
Figure 0006719383
[比較例3] 対照品Cの製造
脱脂粉乳(明治社):10.8kg、砂糖:5kgを、温水(60℃):84.2kgに分散・溶解し、原料乳(殺菌前)を小型のタンク(撹拌翼付き)で調製した。この分散・溶解後のLMペクチンを含まない原料乳を加温(60℃)してから、プレート式殺菌機(VHX、岩井機械工業社)に通液して殺菌(130℃、2秒間)した後に冷却(45℃)し、原料乳(殺菌後)を調製した。この殺菌後のLMペクチンを含まない原料乳に、乳酸菌スターター(「明治ブルガリアヨーグルト プレーン」より分離した、ブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合物):2kgを添加してから、小型のタンク(撹拌翼付き)で保持(43℃、6時間)して、乳酸酸度が1.0%(pHが4.2)になるまで発酵し、固形状発酵乳を調製した。この固形状発酵乳のカードを撹拌翼で破砕し、糊状発酵乳を調製してから、この糊状発酵乳をスーパーミキサー(NRKマルチミキサー、ニチラク機械社、モーノポンプ:50Hz)で破砕(微粒化)した後に冷却(10℃)し、液状発酵乳を調製した。一方、ブドウ糖果糖液糖(群栄化学工業社):4kg、LMペクチン(DE値:23、アミド基含量:24のLMペクチン、「LMペクチン01」ともいう):0.1kgを、温水(50℃):15.9kgに分散・溶解し、糖液(殺菌前)を調製した。この分散・溶解後のLMペクチンを含む糖液を加温(60℃)してから、プレート式殺菌機(VHX、岩井機械工業社)に通液して殺菌(130℃、2秒間)した後に冷却し、糖液(殺菌後)を調製した。そして、この糖液と液状発酵乳を2:8の配合比率で混合したところ、この混合液がゲル化してしまい、液状発酵乳を調製できなかった。
本発明によれば、濃厚感と後味の良さを両立した風味や食感の(濃厚感と後味の良さを同時に感じられる)液状発酵乳(ドリンクヨーグルト等)を提供できる。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2014年10月30日付で出願された日本特許出願(特願2014−221937)に基づいており、その全体が引用により援用される。

Claims (6)

  1. 粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下であり、
    カチオン反応性の安定化剤を含み、
    前記カチオン反応性の安定化剤がローメトキシルペクチン(LMペクチン)であり、
    前記ローメトキシルペクチン(LMペクチン)の全ガラクチュロン酸のうち、メチルエステルとして存在するガラクチュロン酸の割合(DE値)が、22〜40%であり、かつ前記ローメトキシルペクチン(LMペクチン)のアミド基含量が、24〜26%である、
    液状発酵乳。
  2. カチオン反応性の安定化剤を0.05〜0.5重量%含む、請求項に記載の液状発酵乳。
  3. 製造の直後から10℃、14日間保存して、離水や沈殿が認められない、請求項1または2に記載の液状発酵乳。
  4. 原料乳にカチオン反応性の安定化剤を配合し、乳酸菌を添加してpHが3〜5になるまで発酵させた後に、粘度が200〜800mPa・s(測定温度:10℃)、平均粒子径が20μm以下となるように液状化させる、液状発酵乳の製造方法であって、
    前記カチオン反応性の安定化剤がローメトキシルペクチン(LMペクチン)であり、
    前記ローメトキシルペクチン(LMペクチン)の全ガラクチュロン酸のうち、メチルエステルとして存在するガラクチュロン酸の割合(DE値)が、22〜40%であり、かつ前記ローメトキシルペクチン(LMペクチン)のアミド基含量が、24〜26%である、液状発酵乳の製造方法。
  5. カチオン反応性の安定化剤を0.05〜0.5重量%配合する、請求項に記載の液状発酵乳の製造方法。
  6. スーパーミキサーを用いて液状化させる、請求項4または5に記載の液状発酵乳の製造方法。
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