JP6718271B2 - 滑り性と安定生産性の優れたポリアミドフィルム - Google Patents

滑り性と安定生産性の優れたポリアミドフィルム Download PDF

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Description

本発明は、高湿度下での滑り性に優れ、かつ長時間生産の安定生産に適した二軸延伸ポリアミドフィルムに関する。
二軸延伸ポリアミドフィルムは、強靭性、機械的特性、熱的特性に優れるとともに高いガスバリア性を有し、包装用途に多岐に渡って使用されている。
包装用途を中心に用いられるフィルムには、印刷、蒸着、ラミネート、製袋及び充填時の作業性に優れたものであることが要求されるが、従来のポリアミド系樹脂フィルムは、特に高湿度環境下で滑り性が悪化するという問題があり、特に梅雨期等の高湿度下環境での加工適性に問題があった。
そこで二軸延伸ポリアミドフィルムの滑り性を改善する手段として、数々の方法が提案されている。
例えば特許文献1〜3には無機フィラー添加によりフィルム表面に突起を形成させる方法が記載されている。特許文献4〜8には無機フィラーの表面を疎水化処理することにより、延伸時のフィラー界面のボイドによる無機フィラーの脱落やフィルムの白化を防止し滑り性を向上させることが記載されている。特許文献9〜11には更に滑り性を向上させる目的で無機フィラーに加えて滑剤を添加する方法が提案されている。
しかしながら、滑り性向上のために添加する無機フィラーは概ね相応の多孔質であるため、大量の表面処理剤を必要とする上、長時間継続して製膜した場合には、樹脂押出機内の混練によるフィラーの破壊が原因と思われるフィルム成形時のダイ出口の目ヤニやダイラインが生じやすくなってフィルムを長時間安定的に成形することが困難になるという問題があった。この問題は、特に無機フィラーがシリカの場合、顕著に発生する。
特開昭62−252452号公報 特開平9−143283号公報 特開平9−194608号公報 特開昭63−251460号公報 特開平1−156333号公報 特開平10−168309号公報 特開2001−342343号公報 特開2011−225855号公報 特開平10−168310号公報 特開2003−348465号公報 特開2004−137394号公報
本発明は、長時間継続して製膜する場合でも、ダイ出口に目ヤニやダイラインが生じず安定して製造でき、かつ高湿度下でも滑り性を有する二軸延伸ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂に配合する填料として、細孔容積が小さい無機フィラーを表面処理したものを用いることで、その目的を達成することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(1)ポリアミド樹脂に対して、0.20〜0.60重量%の表面処理された無機フィラーと、0.03〜0.1重量%の長鎖脂肪酸系ビスアミドとを含有させた二軸延伸ポリアミドフィルムであって、前記無機フィラーは窒素ガス吸着法で測定した細孔容積が0.5ml/g以下の無機フィラーである、二軸延伸ポリアミドフィルム、
(2)前記無機フィラーはBET法で測定した比表面積が200m/g以下の無機フィラーである上記(1)に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム、
(3)前記表面処理がシランカップリング剤によるものである上記(1)または(2)に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム、
(4)記シランカップリング剤の添加量が前記無機フィラーに対し3〜10重量%である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミドフィルム、
(5)前記無機フィラーがシリカである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミドフィルム
(6)前記ポリアミド樹脂の主成分がナイロン6である上記(1)〜()のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミドフィルム、
)高さ0.1μm以上の表面突起数が800個/mm以上でありかつ高さ0.2μm以上の表面突起数が250個/mm以下である上記(1)〜()のいずれかに記載の二軸延伸ポリアミドフィルム
に係るものである。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは、フィルム成形時にダイ出口の目ヤニやダイラインが生じにくいため、長時間継続して安定した製造ができ、また強靭性、機械的特性、熱的特性、ガスバリア性において優れるとともに、高湿度環境下でも良好な滑り性を有するため、加工適性が高く、包装材料として好適に用いることができる。
以下に本発明を詳しく説明する。本発明の二軸延伸ポリアミドを構成するポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られるポリアミド樹脂を用いることが出来る。具体的には、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸との塩を重縮合せしめて得られる重合体またはこれらの共重合体、例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、6・6、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6T、6I/6Tなどがあげられる。機械的特性や熱的特性に優れる点から、加工性の良さや経済性の観点から包装用ポリアミドフィルムとしては、ナイロン6を主成分とする構成が好適である。
無機フィラーとしては、シリカ、タルク、カオリンおよびゼオライトなどを挙げることができる。シリカは合成条件を変えることでその粒子形、サイズ、比表面積や細孔容積等の多孔度を任意に調整できる点で好適である。
本発明に使用される無機フィラーの、窒素ガス吸着法で測定した細孔容積は0.5ml/g以下、望ましくは0.2ml/g以下である。
従来技術としてはシリカ微粒子の比表面積や細孔容積が大きい多孔質度の高いものが用いられてきたが、これは多孔質内にポリアミド樹脂が入り込むことによるアンカー効果で、フィルム延伸時のポリアミド樹脂とシリカ界面のボイドを抑制するためであったと考えられる。しかしながら多孔質度の高いシリカは樹脂の押出混練時に破壊され易く、無機フィラーによるフィルム表面の突起状態を制御することが難しいばかりでなく、製膜時にダイ出口での目ヤニやダイラインを生じやすい。また多孔質内にポリアミド樹脂のモノマーやオリゴマーが吸着されることによるモノマー及びオリゴマー除去工程での効率を低下させる恐れがある。本発明者等は、多孔質度の低いシリカに適切な表面処理を施すことにより、製膜時のトラブルが大幅に減少して長時間継続して製膜でき、かつ延伸時のボイドを抑制し、透明性の高いフィルムが得られることを見出した。
本発明に使用される無機フィラーの平均粒子径は1〜8μm、より好ましくは2〜4μmである。平均粒子径が1μm未満では良好な滑り性を得るために多量の添加量が必要となり、一方平均粒子径8μmを超えるとフィルムの外観を悪くしたり、フィルム生産工程でのフィルム切れが発生しやすくなる。無機フィラーの平均粒子径が2〜4μmであれば、二軸延伸後のフィルムの表面に望ましい高さの突起が生じ、滑り性の優れたフィルムが得られやすい。
無機フィラーは、ポリアミド樹脂配合前に表面処理剤によって疎水化しておく。表面処理によってポリアミド樹脂への分散が容易かつ均一になるし、またフィルムの製膜工程での延伸時にポリアミド樹脂と無機フィラーとの界面におけるボイドを抑制し、無機フィラーの脱落やフィルムの透明性の低下を抑制することができる。更に、無機フィラーを表面処理することでダイ出口での目ヤニやダイラインの発生を抑制することができるため、長時間継続製膜が可能となる。
無機フィラーがシリカの場合、BET法で測定した比表面積は好ましくは200m/g
以下、より好ましくは100m/g以下、特に好ましくは50m/g以下である。
無機フィラーの表面処理剤の種類や添加量は、使用される無機フィラーの種類によっても異なるが、例えば、無機微粒子が前述のシリカである場合には、一般的にアミノ基あるいはエポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に使用される。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノジチオプロピルトリヒドロキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノプロピル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)−エチレンジアミン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系シランカップリング剤、あるいは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤を挙げることができる。さらにこれらのシランカップリング剤を2種以上混合したものも使用することができる。
また、表面処理剤の添加量についても、無機フィラーの多孔質度によって変わってくるが上記シランカップリング剤の添加量は、これらのシリカに対して概ね2〜10重量%、好ましくは3〜5重量%である。添加量が2重量%より少ないと、シリカ微粒子の表面疎水性が十分とならず、ポリアミド樹脂中の分散性が不十分となる。一方、添加量が10重量%を超える場合は、添加量を増加しても無機フィラーのポリアミド樹脂中での分散性は向上しない上に、最終的に得られるポリアミドフィルムの機械的性質を損なうなどの問題が生じる。表面処理方法は、特に限定しないが、例えば、上述のシリカの所定量に、加熱攪拌下、適量の水で希釈した前記表面処理剤の所定量を加えて表面処理する方法や、それぞれ所定量の前記表面処理剤と上述のシリカとをヘンシェルミキサーなどの適当な装置で混合し、次いで所定の温度で熱処理する方法など、一般に行われる方法を適用することができる。
無機フィラーのポリアミド樹脂に対する含有量は0.20〜0.60重量%であり、より好ましくは0.25〜0.45重量%である。含有量が0.20重量%未満では、フィルム表面の突起が少なく、特に高湿度下でのフィルムの滑り性が改善されにくい。一方、無機フィラーの含有量が0.60重量%を超えると、製膜工程において目ヤニやダイラインによるトラブルが発生しやすくなる。また、得られたフィルムの透明性が低かったり、高湿度下の滑り性が低いことがある。
無機フィラーをポリアミド樹脂に添加する方法としては特に限定されない。ポリアミド樹脂を製造する重合工程で添加しても良く、またポリアミド樹脂に無機フィラーのマスターバッチをドライブレンドして使用することもできる。本発明の表面処理された無機フィラーはポリアミド樹脂への分散において問題無い。更に多孔質度の低い無機フィラーを使用することでより容易にポリアミド樹脂への均一分散を達成できる。
ポリアミド樹脂中に無機フィラーを配合したことにより、フィルム製造時の延伸工程により、フィルム表面の凹凸が形成され、それがフィルム同士の接触面積を低下させることで良好な滑り性を発現できる。
本発明のフィルムは、炭素数が20〜50、好ましくは26〜50の長鎖脂肪族系ビスアミド化合物をポリアミド樹脂に対し0.03〜0.1重量%含むことが望ましい。具体的な長鎖脂肪族系ビスアミド化合物としては、N,N’−エチレンビスベヘナミド、N,N’−エチレンビスステアラミド、N,N’−エチレンビスパルミタミドおよびN,N’−エチレンビスラウラミドなどのエチレンビスアミド類、および、N,N’−ヘキサメチレンビスベヘナミド、N,N’−ヘキサメチレンビスステアラミド、N,N’−ヘキサメチレンビスパルミタミドおよびN,N’−ヘキサメチレンビスラウラミドなどのヘキサメチレンビスアミド類などを挙げることができる。
ビスアミド化合物の添加量が0.03重量%未満では、高湿度下の滑り性に効果が出にくく、一方0.10重量%を超えると、得られるフィルムのラミネート強度が低下する。
本発明のフィルムの滑り性は、表面処理された無機フィラーを適量配合することによって達成されるものであるが、ラミ強度の低下やフィルム製膜時の目ヤニ発生といった点で大きく支障をきたさない範囲で、必要に応じて通常配合される添加剤及び改質剤を配合することができる。例えば耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、難燃剤および着色剤(顔料、染料など)が挙げられる。
このようにして調製されたポリアミド樹脂は公知のフィルム製膜法によって、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムに成形することができる。例えば、Tダイから溶融ポリマーを押出後、キャスティングロールで冷却して未延伸シートを作製し、これを同時二軸延伸、または、逐次二軸延伸する。また他の方法としてはリングダイから溶融ポリマーを円筒状に押し出し、一旦冷却後、前後のニップロール中に空気を保持させて加熱しながら連続同時二軸延伸するチューブラー製膜が挙げられる。自動充填機への適性が高い延伸フィルムを得るためには、斜め方向の熱水収縮率の比が0.70〜1.42であることが望ましく、チューブラー同時二軸延伸が望ましい。
延伸倍率はMD及びTD共、2〜6倍、好ましくは2.5〜4倍である。2倍未満では必要な強度物性が得られないばかりか、無機フィラーによるフィルムの表面突起が十分に発現されないため、良好な滑り性が得られにくい。6倍より大きい延伸倍率では、延伸の安定性に欠け、フィルムの切断等トラブルが多くなる。
二軸延伸後のフィルムは寸法安定性を良くするために、必要に応じ熱処理を施す。また、必要に応じて、コロナ放電処理をおこなってもよい。
上記の方法で得られる本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムの厚みは8〜50μm、好ましくは10〜30μmである。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは、表面粗さ測定において、高さ0.1μm以上の表面突起がが800個/mm2以上かつ高さ0.2μm以上の表面突起が250個/mm2以下であることが望ましい。本発明者等は二軸延伸ポリアミドフィルムの表面突起と滑り性の関係を評価した結果、表面突起が前述の条件を満たす時、特に高湿度下で卓越した滑り性を示すことを見出した。高湿度下での滑り性に好適に寄与する突起高さは0.1μm以上である。高さ0.1μm未満の突起はかなり数が多くないと高湿度下滑りには好適に寄与しないことから、無機フィラーを過剰に配合することが必要となり、ひいてはフィルムの機械的特性を低下させてしまう。高さ0.2μm以上の突起は多すぎると逆に滑り性を低下させることがあり、またフィルムの透明度の低下を招く。
23℃、湿度90%における動摩擦係数が0.50以下であれば、高湿度下での滑り性は十分良好である。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは、単層フィルムであってもよいし、共押出やラミネートなどにより、他のフィルムを積層して使用することができる。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは主に包装材料として4方袋、ガゼット、スタンディングパウチ等の製袋品として使用でき、特に23℃、湿度90%における動摩擦係数が0.50以下のものは好適である。
またさらに、二軸延伸ポリアミドフィルムの厚みが30μm以下で、23℃、90%RHのフィルム同士の静摩擦係数が0.50以下、斜め方向(45°、135°)の熱水収縮率の比が0.70〜1.42であるものは、自動充填機に好適に使用できる。
斜め方向の熱水収縮率の比が1に近い二軸延伸ポリアミドフィルムを得る製造方法としてはチューブラー製膜及びその後のロール熱処理が適している。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの各物性は、以下に示す方法によって求めた。
(1)ヘーズ:ヘーズ値、グロス値はJISK7105に準じて測定した。
(2)静摩擦係数、動摩擦係数:相対湿度50%、温度23℃、および、相対湿度90%、温度23℃の環境下、ASTMD1894に準じコロナ放電処理していないフィルム/フィルム同士の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。
(3)表面突起数:三次元表面粗さ測定器(小坂研究所製SE−30KS)を用いX軸測定長さ1.5mm、3μmピッチで100ライン測定し、1mm2当たりの0.1μm以上、0.2μm以上及び0.3μm以上の高さの突起数をそれぞれ測定した
(4)目ヤニ発生時間:ダイリップに付着してくる目ヤニ発生を目視にて運転開始からの目ヤニ発生時間を測定し、12時間未満、12〜18時間、18〜24時間、24時間以上のいずれかを判定した。

(5)熱水収縮率の比:MD、TD、斜め方向(45°、135°)それぞれ5cmにカットした8角形のフィルムを沸騰した熱水に30分間浸漬し、熱水浸漬前のそれぞれの斜め方向の長さを100%としたときの収縮率を求め、以下の式より熱水収縮率の比を求めた。
熱水収縮率の比=45°の熱水収縮率/135°の熱水収縮率
フィルムの製造に使用した無機微粒子およびそのマスターバッチは下記の方法により調製した。
(1)無機微粒子の表面処理方法
無機微粒子1kgと300mlの水で希釈したγ−アミノプロピルトリエトキシシラン50gを容器に入れ80℃で撹拌しながら混合し水を蒸発させ、次いで105℃で乾燥し表面処理された無機微粒子を得た。
(2)使用した無機微粒子
微粒子A:沈降タイプの不定形シリカ。平均粒子径2.4μm、比表面積40m2/g、細孔容積0.1ml/g
微粒子B:ゲルタイプの不定形シリカ。平均粒子径3.8μm、比表面積330m2/g、細孔容積1.2ml/g
微粒子C:球状の合成ゼオライト。平均粒子径2.0μm、比表面積9m2/g、細孔容積0.0ml/g
微粒子D:ゲルタイプ不定形シリカ。平均粒子径2.5μm、比表面積380m2/g、細孔容積1.9ml/g
(3)微粒子マスターバッチの調製
(方法1)相対粘度2.5のパウダーレジン10kgと無機微粒子600gをドライブレンドし、二軸押出機で混練しながらストランド状に押し出し、水槽で冷却した後、カッティングして、無機微粒子のポリアミド樹脂マスターバッチを作成した。
(方法2)内容積50リットルの攪拌機付きオートクレーブに10kgのε−カプロラクタム、1kgの水、および600gの無機微粒子を投入し、100℃に加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。引き続き、さらに温度を260℃まで昇温させ、15kg/cm2 Gの圧力下で1時間攪拌した。その後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら常圧下、260℃で2時間重合反応を行い、さらに400mmHgの減圧下に260℃の温度で1時間重合反応させた。反応終了後、ストランド状に取り出して水槽で冷却した後、カッティングして、無機微粒子のポリアミド樹脂マスターバッチを作成した。
実施例1〜6及び比較例1〜6
無機微粒子マスターバッチおよび長鎖脂肪酸系ビスアミドを含む相対粘度3.5の6ナイロン樹脂を混練しリングダイより溶融押出し、内外水冷マンドレルで冷却して厚さ150μmのチューブ状フィルムを得た。該チューブフィルムを低速ニップロールと高速ニップロールの速度差及びその間に存在する空気圧によりMDとTDに同時に各々3.2倍の倍率で二軸延伸した。その後205℃に加熱した金属ロール上で加熱し、直ちに32℃の金属ロール上で冷却した。これを4回繰り返した。更に加熱したテンターオーブンにて210℃で5秒間熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得、片面にコロナ放電処理してロールに巻き取った。得られたフィルムを物性測定に供した。その結果を表1に示した。
実施例1〜6の二軸延伸ポリアミドフィルムは、24時間連続製膜しても目ヤニが発生せず、長時間安定生産ができた。また、透明性良好で特に高湿度下(90%湿度)での動摩擦係数0.50以下であり卓越した滑り性を有した。細孔容積が0.5ml/gを超える無機フィラーを添加する比較例1〜3、無機フィラーの表面処理を行わない比較例2、4、無機フィラーの含有量が0.2〜0.6重量%の範囲から逸脱している比較例3、5、6では、生産開始後24時間未満で目ヤニが発生するか、あるいは湿度90%での滑り性が不十分となるため、安定生産と高湿度下滑り性を両立することが困難という結果になった。
実施例7
実施例1で得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの熱水収縮率を測定したことろ、MD(0℃)=4.9%、45°=5.0%、TD(90%)=5.1%、135°=5.0%、斜め熱水収縮率の比は1.0であった。このフィルムと80μmのLLDPEとドライラミネートした後、縦25cm、横15cmの横両端部と底部をヒートシールし、3方袋を作成、100枚を重ね合わせたところ、反りも無く綺麗に重ね合わせることができた。これを液体充填包装機の供給部に装着し環境を23℃、90%の高湿度下環境として、液体充填機を稼働させ、自動供給部の安定性を観察した。結果100枚の自動供給でトラブルは生じなかった。
実施例8
実施例1と同じ無機フィラー及びエチレンビスステアリン酸アミド配合量のナイロン6レジンを押し出し機で溶融しTダイから押し出し25℃の冷却ロールで引き取り、170μの未延伸原反を得た。その後50℃に加熱したロール間で縦方向に3.2倍延伸した後、150℃に加熱したテンター式延伸機で横方向に3.7倍延伸した。加熱したテンターオーブンにて210℃で5秒間熱処理し、厚さ15μmのフィルムを得、片面にコロナ放電処理してロールに巻き取った。
この二軸延伸ポリアミドフィルムの23℃、90%の静摩擦係数及び動摩擦係数はぞれぞれ0.32、0.35であり、滑り性は優れていた。この二軸延伸ポリアミドフィルムの熱水収縮率を測定したところ、MD(0℃)=5.0%、45°=5.2%、TD(90%)=2.7%、135°=2.8%、斜め熱水収縮率の比は1.9であった。
Figure 0006718271
本発明のポリアミドフィルムは、高湿度下においても優れた加工適性を有するものであるため、単体またはラミネート、蒸着等の加工後、固体、液体、ゲル状のいずれの内容物に対しても、包装材料として用いることができる。

Claims (7)

  1. ポリアミド樹脂に対して、0.20〜0.60重量%の表面処理された無機フィラーと、0.03〜0.1重量%の長鎖脂肪酸系ビスアミドとを含有させた二軸延伸ポリアミドフィルムであって、
    前記無機フィラーは窒素ガス吸着法で測定した細孔容積が0.5ml/g以下の無機フィラーである、二軸延伸ポリアミドフィルム。
  2. 前記無機フィラーはBET法で測定した比表面積が200m/g以下の無機フィラーである請求項1に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  3. 前記表面処理がシランカップリング剤によるものである請求項1または2に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  4. 記シランカップリング剤の添加量が前記無機フィラーに対し3〜10重量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  5. 前記無機フィラーがシリカである請求項1〜4のいずれか一項に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  6. 前記ポリアミド樹脂の主成分がナイロン6である請求項1〜のいずれか一項に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  7. 高さ0.1μm以上の表面突起数が800個/mm以上でありかつ高さ0.2μm以上の表面突起数が250個/mm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
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