JP2020050847A - ポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、多孔質球状有機高分子架橋粒子を含有したポリオレフィン樹脂を押し出し成型するポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法であって、当該多孔質球状有機高分子架橋粒子は、無機系分散剤および多孔質化剤の存在下で合成された粒子であり、粒子の体積平均粒子径が5〜15μm、標準偏差/体積平均粒子径の値に100を掛けた値が40%以下、水銀圧入法により測定した累積比表面積が30〜90m2/gであることを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法である。
また、官能基を持ったモノマーを共重合させることもできる。たとえば、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を持つモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を持つモノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を持つモノマー、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を持つモノマー等が挙げられる。
また、粒子の合成後に塩酸、硫酸、硝酸等の酸を添加して無機系分散剤を溶解させ、洗浄を行うことにより、無機系分散剤がより残留しにくくすることもできる。
無機系分散剤は、モノマー混合物100重量部に対して、0.5〜30重量部用いることが好ましい。
有機系分散剤としては、ゼラチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコールの部分ケン化物等の水溶性高分子が挙げられる。
添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種安定剤、滑剤、帯電防止剤など、場合によっては無機質の充填剤等も挙げられる。上記した多孔質球状有機高分子架橋粒子や添加剤などの混合方法としては、特に限定されるものではないが、ヘンシェルミキサー、タンブラー等で混合し、単軸もしくは二軸押し出し機で溶融混練し、ペレット化するのが一般的である。本発明では、単に押し出し成型した未延伸のキャスティングフィルムにも、同キャスティングフィルムを1軸または2軸方向に延伸した延伸フィルムの何れについても適用できる。また、単層構成及び多層構成の何れについても適用できる。多層構成の場合は、上記した多孔質球状有機高分子架橋粒子は、表面層に添加するのが一般的であるが、これに限定しない。
参考例1
水1000重量部にリン酸三カルシウム20重量部、リン酸エステル型アニオン界面活性剤0.4重量部を溶解させた水溶液に、メチルメタクリレート360重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート40重量部、ラウロイルパーオキサイド2重量部、メチルイソブチルケトン200重量部からなる混合液を加え、ホモミキサー(プライミクス社製、商品名T.K.ホモミキサー)を用いて回転数4500rpmで15分間攪拌し、乳化液を得た。この乳化液を撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素吹き込み口を備えた4つ口フラスコに移し、窒素気流下で撹拌しながら60℃に昇温した後、3時間反応させた。得られた懸濁液に、35%塩酸を50重量部添加してリン酸三カルシウムを溶解し、室温まで冷却後に固液分離を行った後に洗浄し、湿ケーキを90℃で18時間乾燥させ、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−1を得た。その粒子の性状を表1に示す。
参考例1において、メチルイソブチルケトンの量を100重量部に、ホモミキサーの攪拌条件を4500rpmで10分間に変えたこと以外は、参考例1と同様に実施し、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−2を得た。
参考例2において、メチルイソブチルケトンの量を50重量部に変えた以外は、参考例2と同様に実施し、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−3を得た。
参考例2において、ホモミキサーの攪拌条件を7000rpmで3分間に変えた以外は、参考例2と同様に実施し、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−4を得た。その粒子の性状を表1に示す。
参考例2において、メチルイソブチルケトンの量を100重量部とし、トルエンを70重量部追加した以外は、参考例2と同様に実施し、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−5を得た。その粒子の性状を表1に示す。
参考例2において、メチルイソブチルケトンの量を30重量部に変えた以外は、参考例2と同様に実施し、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−6が得られた。その粒子の性状を表1に示す。
参考例2において、ホモミキサーの撹拌翼の攪拌条件を4500rpmで5分間に変えた以外は、参考例2と同様に実施し、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−7を得た。その粒子の性状を表1に示す。
水1000重量部にポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名ポバール224)を溶解させた水溶液に、メチルメタクリレート360重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート40重量部、ラウロイルパーオキサイド2重量部、メチルイソブチルケトン200重量部からなる混合液を加え、ホモミキサー(プライミクス社製、商品名T.K.ホモミキサー) を用いて回転数4500rpmで15分間攪拌し乳化液を得た。この乳化液を撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素吹き込み口を備えた4つ口フラスコに移し、窒素気流下で撹拌しながら60℃に昇温した後、3時間反応させた。得られた懸濁液に、室温まで冷却後に固液分離を行った後に洗浄し、湿ケーキを90℃で18時間乾燥させ、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−8を得た。
非多孔質球状有機高分子架橋粒子の調製
参考例2において、メチルイソブチルケトンを添加しなかった以外は、参考例2と同様に実施し、非多孔質球状有機高分子架橋粒子X−9を得た。なお、前記各参考例において得られた粒子の各種物性試験は、次の方法によって行った。
粒度分布測定装置Multisizer III(ベックマン・コールター社製)により測定を行った。測定条件は、アパチャーチューブ100μm、測定レンジは2〜50.8μmに設定した。標準偏差/体積平均粒子径の値に100を掛けた値(以下、CV値とする)とともに、体積平均粒子径の値を採用した。CV値は、粒度分布の広さを意味しており、値が低いほど粒度分布が揃っていることを意味する。
水銀圧入法による細孔径分布測定を行い、単位重量1gあたりの表面積(m2/g)を算出した。測定条件は、以下の通りである。
測定装置:全自動細孔分布測定装置Pore Master 60-GT(Quanta Chrome Co.)
サンプル量:約0.3〜0.4g
サンプルセル:スモールセル(10φ×30mm、ステム容積:0.5cc)
測定レンジ:高圧域
測定範囲:細孔直径 0.0036μm〜10μm
計算範囲:細孔直径 0.0036μm〜0.5μm
水銀接触角:140deg
水銀表面張力:480dyn/cm
多孔質球状有機高分子架橋粒子X−1を0.3重量%含むポリプロピレンを樹脂温度270℃でTダイより押し出し、厚さ30μmである実施例1のフィルムを得た。得られたフィルムは、透明性、滑り性、耐スクラッチ性に優れたフィルムであり、製膜時の「目脂」の発生が少なかった。得られたフィルムの性状を表2に示す。
実施例1において、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−1をそれぞれX−2〜X−9に変えた以外は、実施例1と同様に実施し、実施例2、3、比較例1〜6の各フィルムを得た。実施例2、3のフィルムは、透明性、滑り性、耐スクラッチ性に優れたフィルムであり、製膜時の「目脂」の発生が少なかった。一方、比較例1〜6の各フィルムは、いずれかの性状が劣っており、比較例5のフィルムは他のフィルムと比べて黄変が強かった。
多孔質球状有機高分子架橋粒子X−1を0.3重量%含むポリエチレンを樹脂温度240℃でTダイより押し出し、厚さ20μmである実施例1のフィルムを得た。得られたフィルムは、透明性、滑り性、耐スクラッチ性に優れたフィルムであり、製膜時の「目脂」の発生が少なかった。得られたフィルムの性状を表3に示す。
実施例4において、多孔質球状有機高分子架橋粒子X−1をそれぞれX−2〜X−9に変えた以外は、実施例1と同様に実施し、実施例5、6、比較例7〜12の各フィルムを得た。実施例5、6のフィルムは、透明性、滑り性、耐スクラッチ性に優れたフィルムであり、製膜時の「目脂」の発生が少なかった。一方、比較例7〜12の各フィルムは、いずれかの性状が劣っており、比較例11のフィルムは他のフィルムと比べて黄変が強かった。なお、前記実施例および比較例で得られた各フィルムの試験は次の方法によって行った。
JIS−K6714に準じ東洋精機ヘイズテスターJで測定した。
耐スクラッチ性
JIS−LO823−1971に準じ測定した。すなわち、東洋精機製染色堅牢度摩擦試験機により200gfの荷重下、50回摩擦試験を行い、試験前後の曇価の測定を行って曇価の増加度を測定した。
目脂の発生度合い
2軸押し出し機(池貝鉄鋼(株)製:PCM−30)を用い、ポリオレフィン樹脂と粒子や添加剤などを溶融混練し、4kg/hrの吐出量で1時間押し出し、ペレット化する際にダイスに発生する「目脂」の発生量と、ペレットをTダイ(中外貿易製:EXTRUDER(Type:MK−B4))によりフィルム化する際の「目脂」の発生量を目視により観察し、その総合評価を5段階の「目脂」発生度合いとして表示した(数字の大きい方が「目脂」の発生量が多いことを表す)。
Claims (2)
- 多孔質球状有機高分子架橋粒子を含有したポリオレフィン樹脂を押し出し成型するポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法であって、
当該多孔質球状有機高分子架橋粒子は、無機系分散剤および多孔質化剤の存在下で合成された粒子であり、粒子の体積平均粒子径が5〜15μm、標準偏差/体積平均粒子径の値に100を掛けた値が40%以下、水銀圧入法により測定した累積比表面積が30〜90m2/gであることを特徴とするポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法。 - 前記多孔質球状有機高分子架橋粒子を構成する単量体の組成が、アルキル(メタ)アクリレート60〜95重量%、分子内に2個以上のビニル基を有する多官能性モノマー5〜40重量%、及びその他の共重合性モノマー0〜35重量%からなることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法。
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