JP2002187979A - 樹脂粒子充填オレフィン系樹脂組成物 - Google Patents

樹脂粒子充填オレフィン系樹脂組成物

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JP2002187979A
JP2002187979A JP2001087103A JP2001087103A JP2002187979A JP 2002187979 A JP2002187979 A JP 2002187979A JP 2001087103 A JP2001087103 A JP 2001087103A JP 2001087103 A JP2001087103 A JP 2001087103A JP 2002187979 A JP2002187979 A JP 2002187979A
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Japan
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polyamide
particles
polyolefin resin
resin composition
porous
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JP2001087103A
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Yukihiko Asano
之彦 浅野
Kimio Nakayama
喜美男 中山
Shigeru Yao
滋 八尾
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリオレフィン系樹脂の摩擦性や耐摩耗性を向
上させるといった機械的性質の改善、表面機能、感触性
を付与することを目的とする。 【解決手段】ポリオレフィン系樹脂99〜50重量%
と、多孔質ポリアミド粒子50〜1重量%を含むポリア
ミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、均一な粒子径のポ
リアミド多孔質粒子が充填されたポリオレフィン系樹脂
組成物に関する。本発明は、高弾性、高強度、且つ摩擦
性に優れることから、自動車、土木、電子・電気分野、
食品、医療分野、精密機器分野、廃棄物処理に有用なポ
リオレフィン系樹脂材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂は、軽くて、成形
性、透明性などに優れることから、広く包装、緩衝材に
用いられている。けれども、強度、摩擦性が不足がちな
ために、その用途が制限されている。
【0003】また一方、感触性、吸湿性、表面機能など
機能性分野の材料で、さらに、ポリオレフィン系樹脂の
有する加工性などの特徴を発揮できれば、より多くの用
途分野に拡がることが期待されている。
【0004】従来ポリオレフィン系樹脂の剛性、強度、
寸法安定性、耐熱性を改良するため無機物あるいは有機
物の粒子、繊維、板状のフィラーが用いられている。例
えば、ポリオレフィン系樹脂に、ガラス繊維、マイカ、
タルク、カーボンブラック、シリカなどのフィラーが用
いられている。
【0005】また、防曇剤、帯電防止剤、スリップ剤、
防錆剤、防カビ剤、芳香剤、消臭剤、鮮度保持剤、紫外
線吸収剤といった機能性付与のための改良剤をポリマー
に添加することが知られている。
【0006】たとえば、特開平11−217511号公
報には、ポリオレフィン樹脂などとイオン交換基を有す
るポリマーに粒子径5〜400nmの範囲の無機化合物
分散させることにより、透明性、紫外線吸収能などの複
合体が開示されている。
【0007】また、特開平11−286077号公報に
は、表面機能に関しては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂の表面にシリコーン系樹脂、フッ素系樹
脂あるいは液晶ポリマーで薄くコートすることにより、
防汚性、低吸着性、耐アルカリ洗浄性を有する包装材料
が開示されている。
【0008】また、特開平8−59852号公報には、
ポリオレフィンフィルムの帯電防止性、耐スクラッチ
性、耐ブロッキング性、滑り性付与のために、平均粒子
径0.5〜5μmのシリコーン粒子、ポリアミド粒子な
ど球状有機高分子を0.02〜0.5重量%を添加する
ことが開示されている。
【0009】しかしながら、球状の有機高分子粒子は、
滑り性には効果があるが、逆に滑りを悪くし、摩擦性を
高める等には目的には効果がない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリオレフ
ィン系樹脂の摩擦性や耐摩耗性を向上させるといった機
械的性質の改善、表面機能、感触性を付与することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリオレフィ
ン系樹脂中に、均一な粒子径の多孔質ポリアミド粒子を
分散させたポリアミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組
成物に関する。
【0012】本発明は、ポリオレフィン系樹脂99〜5
0重量%と、多孔質ポリアミド粒子1〜50重量%を含
むポリアミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物に関
する。
【0013】また、本発明は、ポリオレフィン系樹脂と
該多孔質ポリアミド粒子からなる組成物100重量部あ
たり、相溶化剤が0.1〜20重量部含有されているこ
とを特徴とするポリアミド粒子充填ポリオレフィン系樹
脂組成物に関する。
【0014】また、本発明は、多孔質ポリアミド粒子
が、平均粒子径1〜20μm、BET吸着法による比表
面積が1〜30m2/gであることを特徴とするポリア
ミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0015】また、本発明は、多孔質ポリアミド粒子の
数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比が1.0〜
1.2である粒子径分布であることを特徴とするポリア
ミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0016】また、本発明は、上記の該多孔質ポリアミ
ド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物であって、加工
温度が該多孔質ポリアミド粒子の融点より20℃以上低
い温度であることを特徴とするのポリアミド粒子充填ポ
リオレフィン系樹脂組成物に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、ポリオレフィン系樹脂
に、均一な粒子径の多孔質ポリアミド粒子を分散させた
ポリアミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物であ
る。
【0018】本発明のポリオレフィン系樹脂は、その溶
融加工温度が、ポリアミド粒子の融点より低い必要があ
る。混練、成形する際、多孔質ポリアミド粒子がその特
徴ある形態が溶融によって失われてしまう場合があるか
らである。
【0019】本発明の組成物の加工温度として、多孔質
ポリアミドの融点まではポリアミド粒子の形態は失われ
ないと思われるが、ポリオレフィン系樹脂の加工の際、
粘性発熱により樹脂温度は、設定した温度よりかなり上
がることが多い。したがって、ポリオレフィン系樹脂の
加工温度が、多孔質ポリアミド粒子の融点より20℃以
上、好ましくは25℃以上低いことが望ましい。
【0020】本発明のポリオレフィン系樹脂は、炭素数
3〜8のα−オレフィン及びそれらの誘導体の単独重合
体および共重合体である。たとえば、低密度ポリエチレ
ン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLPE)、
高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(P
P)などの単独重合体、エチレン系共重合体、プロピレ
ン系共重合体、スチレン共重合体が好ましい。またはそ
れらを混合しもいい。
【0021】エチレン系共重合体には、具体的には、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合
体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクタン
共重合体などが好ましい。
【0022】プロピレン系共重合体は、具体的には、エ
チレン−プロピレン共重合体のほか、プロピレン−ブテ
ン共重合体などがある。エチレン−プロピレン共重合体
には、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレ
ン−プロピレンブロック共重合体などが好ましい。
【0023】ポリオレフィン系樹脂は、(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルアセテー
ト、ビニルハロゲン単量体の共重合体などが好ましい。
それらの2元あるいは3元以上の共重合体でもよい。例
えば、ポリエチレンビニルアセテート共重合体(EV
A)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体(EM
MA)、エチレン−アクリレート共重合体(EMAA)
等が挙げられる。
【0024】本発明のポリアミドは、結晶性で、融点が
好ましくは110〜320℃である。さらに好ましく
は、140から280℃である。本発明で用いられるポ
リアミドとしては、公知の種々のものを挙げることがで
きる。例えば、環状アミド、あるいはジカルボン酸とジ
アミンの重縮合で得られる。モノマーとしては、ε−カ
プロラクタム、ε−アミノカプロン酸、ω−ラウロラク
タム、ω−アミノドデカン酸、ω−アミノウンデカン酸
等の環状アミド、を重合して得られる結晶性ポリアミ
ド、また蓚酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン
酸などのジカルボン酸とエチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミン、m−
キシリレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、デカメ
チレンジアミンなどのジアミンを重縮合して得られる。
【0025】結晶性ポリアミド単独重合体及びこれらの
共重合体からなる結晶性ポリアミド等が好ましい。具体
的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド1
1,ポリアミド12,ポリアミド610、ポリアミド6
6/6T(Tはテレフタル酸成分を表す)、ポリアミド
6−66,ポリアミド6−12などの共重合体である。
また上記ポリアミドの混合物であってもよい。特に好ま
しくは, ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド1
1,ポリアミド12、ポリアミド6−12である。
【0026】本発明のポリアミドの分子量は、2,00
0〜100,000が好ましい。さらに好ましくは5,
000〜40,000である。
【0027】本発明のポリアミド粒子充填ポリオレフィ
ン系樹脂組成物における配合割合は、ポリオレフィン系
樹脂が99〜50重量%であり、多孔質ポリアミド粒子
が1〜50重量%である。好ましくは、ポリオレフィン
系樹脂が96〜60重量%、多孔質ポリアミド粒子が4
〜40重量%である。多孔質ポリアミド粒子の割合が1
重量%より少なければ、ポリアミド粒子添加の効果がな
くなる。また、50重量%より多ければポリオレフィン
系樹脂がマトリックスを十分形成できなくなるから、均
一なフィルム、シート、成形体ができない。
【0028】また、本発明は、ポリオレフィン系樹脂と
該多孔質ポリアミド粒子からなる組成物100重量部あ
たり、相溶化剤が0.1〜20重量部含有されているこ
とが好ましい。
【0029】本発明の相溶化剤は、ポリアミド粒子とポ
リオレフィン樹脂マトリックスの界面に作用するもの
で、粒子分散をよくする役目、お互いの界面を化学結合
により結合する役目、あるいは界面張力の差を近づけて
密着性をよくする役目を持っているというものである。
ポリアミド粒子充填ポリオレフィン樹脂組成物は、分散
相は多孔質粒子であって、表面に凹凸を有しているの
で、ポリオレフィン樹脂マトリックスとの境界はアンカ
ー効果で接着は優れているが、加工中に、力学的に大き
な力を受けると破壊開始点となるから好ましくない。そ
のために、反応性のある変性ポリオレフィン樹脂を添加
してもよい。
【0030】本発明の相溶化剤としては、反応性を有す
る重合体、例えば酸変性重合体、エポキシ変性重合体、
オキサゾリン変性重合体、あるいは、シランカップリン
グ剤などである。このうち、酸変性重合体、エポキシ変
性重合体の変性重合体又は共重合体が好ましい。
【0031】変性重合体又は共重合体としては、ポリオ
レフィン樹脂、あるいはそれらの共重合体、シラン系ポ
リマーなどの、本発明のマトリックスに用いられるよう
なポリオレフィンのベースにした変性物又は共重合体が
好ましい。
【0032】本発明の相溶化剤として、具体的には、マ
レイン酸無水物変性ポリエチレン、マレイン酸無水物変
性ポリプロピレン、マレイン酸無水物変性ポリエチレン
プロピレン、マレイン酸変性エチレン・プロピレン・ジ
エン共重合体等のマレイン酸変性ポリオレフィン、なら
びにマレイン酸無水物変性スチレン・ブタジエン共重合
体などのマレイン酸無水物変性ジエン系ゴム、あるいは
それらの水素添加物が好ましい。またグリシジル基変性
あるいは共重合ポリオレフィンでもよい。
【0033】本発明の相溶化剤の割合は、ポリオレフィ
ン系樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜20重
量部が好ましい。特に好ましくは1〜10重量部であ
る。相溶化剤の割合が0.1重量部より少なければ、ポ
リアミド粒子とポリオレフィン系樹脂の接着が弱すぎ
る、あるいはポリアミド粒子の分散が悪くなる。20重
量部より多ければポリオレフィン系樹脂組成物のの加工
性、物性が低下する。
【0034】また、本発明は、多孔質ポリアミド粒子
が、平均粒子径1〜20μm、BET吸着法による比表
面積が1〜30m2/gであることが好ましい。
【0035】本発明の多孔質粒子とは、表面が円滑な同
じ粒子径の比表面積より、その比表面積が大きいもので
あって、粒子表面に凹凸がある外形が球状粒子あるいは
球状に近い粒子である。該多孔質ポリアミド粒子が、平
均粒子径1〜20μmが好ましい。さらに好ましくは2
〜15μmである。平均粒子径が1μmより小さいと、
取り扱いが悪くなる。また平均粒子径が20μmより大
きいと補強効果が低くなる。BET吸着法による比表面
積が1〜30m2/gである。好ましくは2〜20m2
gである。比表面積が1m2/gより小さいと補強効果
が低くなるし、また比表面積が30m2/gであると、
扱いにくくてハンドリング性が悪くなる。多孔質ポリア
ミドの粒子径と比表面積は上記の範囲が好ましい。
【0036】また、本発明の多孔質ポリアミド粒子の数
平均粒子径に対する体積平均粒子径の比が1.0〜1.
3である均一な粒子径分布であることが好ましい。
【0037】本発明の該多孔質ポリアミド粒子は、その
体積平均粒子径の数平均粒子径の比(PDI)が1.0
〜1.3である粒子径分布である。好ましくは、その比
が1.0〜1.2である。体積平均粒子径数と平均粒子
径の比が1.3より大きいと、粒子径の分布が大きすぎ
て、ポリオレフィン系樹脂組成物の表面特性、機能性、
加工性などが損なわれることがあるから好ましくない。
均一な粒径の方が好ましい。
【0038】本発明のポリアミド粒子充填ポリオレフィ
ン樹脂は、耐摩耗性、吸湿性、感触性、帯電性などの表
面特性及び破断特性に優れた樹脂組成物を提供できる。
【0039】本発明の多孔質ポリアミド粒子充填ポリオ
レフィン系樹脂が、耐摩耗性の優れ、摩擦係数が大きな
特徴を有するポリオレフィン樹脂組成物となる。また、
ポリオレフィン樹脂の吸水性、感触性、帯電性も改良さ
れる。本発明のポリオレフィン樹脂組成物が多孔質ポリ
アミド樹脂分散粒子の形態を呈しているためである。
【0040】本発明の多孔質粒子は、外形は球状粒子で
あるので、力学的および熱的に異方性が少ないため、包
装材料、耐摩耗性や摩擦性の大きな必要なフィルム、シ
ートおよび成形体材料に提供できる。
【0041】次に、本発明の均一な粒子径の多孔質ポリ
アミド粒子の製造方法を述べる。ポリアミド溶液と、ポ
リアミドの非溶媒、及び水を混合することにより、一時
的に均一な溶液を形成した後、ポリマーを析出すること
により多孔質粒子を得ることができる。
【0042】ポリアミド溶液は、ポリアミドが0.1〜
30重量%と溶媒が99.8〜70重量%であって、合
計100重量%である。好ましくは、ポリアミドが0.
2〜25重量%である。
【0043】ポリアミド溶液に用いられる溶媒は、芳香
族アルコール系、蟻酸等が挙げられる。芳香族アルコー
ルとしては、0−クレゾール、m−クレゾール、p−ク
レゾール、クロロフェノール等が好ましい。
【0044】ポリアミドの非溶媒は、溶媒と、水が少な
くとも部分的に相溶するものが好ましい。脂肪族アルコ
ール、ケトンなどが好ましい。また、水とは相溶するこ
とが重要である。例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、アセトンなどが好ましい。
【0045】ポリアミドの非溶媒と水の合計の割合が、
ポリマー溶液の割合より大きいことである。
【0046】ポリアミドの非溶媒と水の重量%は、合計
100重量%に対して、水の割合が2〜90重量%であ
る。その場合、溶液の添加順序は、ポリアミド溶液に、
ポリアミド非溶媒を添加し、次に水を加えてもよい。ま
たは、ポリアミド非溶媒と水を混合した後、ポリマー溶
液を加えてもよい。また、ポリアミド溶液に水をを混合
した後で、ポリアミド非溶媒をを加えてもよい。ポリア
ミド非溶媒と水を混合した後、ポリマー溶液を加えるの
が好ましい。溶液の均一が保たれればどの方法でも良
い。
【0047】本発明のポリアミド溶液、ポリアミド非溶
媒および水のそれぞれの割合は、3者が相溶系になるこ
とが重要である。均一な溶液を形成させて、時間的な経
過を得て、ポリマー粒子を析出させる。均一な溶液を形
成する時間は、たとえば、0.1秒〜120分程度の時
間である。一時的にも、均一な溶液を形成することが重
要である。必要ならば、適当な撹拌を加えもよい。
【0048】該3成分の溶液からポリマー粒子を析出さ
せる温度は、5〜70℃が好ましい。温度によっては、
溶液が均一になる溶媒組成範囲が広くなることがある。
温度5℃より低いと、均一ななる領域が狭くなるときが
ある。温度70℃より高いと、溶媒の蒸気圧が高くなっ
て、好ましくない。
【0049】本発明で析出したポリアミド粒子は、溶液
からデカンテーション、遠心分離、濾過などの通常の方
法で単離することができる。例えば、ポリアミド粒子を
縣濁した液を、さらにメタノールで希釈して、遠心分離
してもよい。また数回メタノールで洗浄して遠心分離を
繰り返してもよい。次に熱風乾燥、真空乾燥に供しても
よい。
【0050】このようにして製造されたポリマー粒子
は、均一な粒径の多孔質ポリアミド粒子となる。たとえ
ば、粒径1〜20μmの均一な粒子径で、かさ密度0.
1〜0.4g/cm3、好ましくは0.2〜0.3g/cm3であ
る。BET比表面積1〜30m2/g、好ましくは2〜20
m2/gとなる。好ましくは粒子径2〜15μである。
【0051】本発明のポリアミド多孔質粒子充填ポリオ
レフィン樹脂組成物は、上記のようにして得られたポリ
アミド多孔質粒子を、溶融状態のあるいは溶液状態のポ
リオレフィン樹脂に分散する。溶融状態の方が好まし
い。その混合方法としては、溶融状態ポリオレフィン樹
脂に、相溶化剤を加え、ポリアミド多孔質粒子を投入し
て混練してもよい。加工温度では、ポリアミド多孔質粒
子が、溶融しない温度が好ましい。例えば、ポリアミド
の標準的な融点としては、ポリアミド6は約225℃、
ポリアミド66は約265℃、ポリアミド12三元共重
合体は約180℃などが知られている。ポリオレフィン
の融点および加工温度としては、それぞれ、PP単独重
合体:165℃、200〜230℃、PPランダム共重
合体:140〜150℃、180〜200℃、PPブロ
ック共重合体:165℃、200〜230℃、LDP
E:106〜112℃、150〜220℃、LLDP
E:106〜112℃、150〜220℃、EVA:9
7〜101℃、150〜200℃である。
【0052】本発明のポリアミド多孔質粒子充填オレフ
ィン系樹脂の製造装置としては、バッチ式または連続式
混練機が好ましい。例えば、ブラベンダープラストグラ
フ、バンバリーミキサー、2軸押出機、単軸押出機など
が好ましい。これらの装置によりオレフィン樹脂、相溶
化剤およびポリアミド粒子の所定の配合の組成物を得る
ことができる。
【0053】本発明のポリアミド多孔粒子充填ポリオレ
フィン樹脂組成物は、フィルム、発泡体、多孔膜、成形
体等の用途に使用できる。
【0054】本発明の効果に影響がない範囲で、ゴム状
ポリマー、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂などが含ま
れていてもよい。また、潤滑剤、充填材、発泡剤、架橋
剤、着色剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング
剤、紫外線吸収剤、その他の添加剤を含んでもよい。
【0055】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。実施例、比較例における試験・評価方法または判定
基準は次に示すとおりである。
【0056】(平均粒子径)走査型電子顕微鏡で観察し
て、粒子形状と大きさと観察した。球形粒子は粒径を読
みとった。いずれも100個の数平均粒子径と体積平均
粒子径を算出した。次の式を用いた。 : 数平均粒子径 :
【数1】 体積平均粒子径:
【数2】 粒度分布指数:
【数3】 ここで、Xi;個々の粒子径、nは測定数である。
【0057】(比表面積)窒素吸着によるBET比表面
積1点法で測定した。
【0058】(ポリオレフィン組成物の物性)引張試験
ASTM−D638、曲げ弾性率ASTM−D790、
摩耗指数ASTM−D1044、摩擦係数ASTM−D
1894、誘電率ASTM−D150(at1MH
z)、表面固有抵抗はJIS−K6911に準じて測定
した。
【0059】(サンプル) LDPE(低密度ポリエチレン)(宇部興産製、J10
19,密度0.919,MFR10,融点105℃) LLDPE(線状低密度ポリエチレン)(宇部興産製、
ユメリット#0540、密度0.903,融点110
℃) EVA;エチレン−ビニルアセテート共重合体(宇部興
産製、V210,密度0.93,融点97℃) M−LDPE、LLDPE、EVA;それぞれのオレフ
ィン樹脂をベースとして無水マレイン酸でマレイン化
物。マレイン化率0.3〜0.5%
【0060】参考例1 (ポリアミド多孔質粒子の製造)ポリアミド6(分子量
13,000)を、濃度5.0重量%m−クレゾール溶
液14.3重量%とし、メタノール71.4重量%と水
14.3重量%を混合し、ポリアミド溶液に、撹拌しな
がら添加した。1分攪拌後、溶液は均一になった。撹拌
下2分後に、ポリマーが析出してきた。24時間静置し
て、析出を終了させた。その後遠心分離でポリマーを単
離した。走査型電子顕微鏡で観察したところ、数平均直
径7.81μm、体積平均粒子径8.44μm、PDI
1.08の比較的粒度分布が狭い、均一な球形粒子で
あった。また、ポリマー粒子のかさ密度は、0.25g/
cm3, 比表面積9.8m2/gの多孔質粒子、融点は、
222℃であった。
【0061】実施例1 (ポリオレフィン組成物の調製)参考例1で得られたポ
リアミド多孔質粒子を、エチレン−プロピレンランダム
共重合体PP1(グランドポリマー製、J215W、M
FI9、mp145℃)4000gに対し、ポリアミド
粒子1000g、マレイン酸無水物変性エチレン−プロ
ピレンランダム共重合体(マレイン化率0.4%)50
0gを滑剤ほかその他添加剤を表1に従って、二軸押出
機190℃で混練押出し、射出成形した。表2の結果を
示す。
【0062】実施例2〜4 オレフィン系樹脂とポリアミド粒子の配合比を表1に示
すように代えたほかは実施例1と同じように混練し、射
出成形片を作製し、物性測定に供した。表2に結果を示
す。
【0063】比較例1〜2 エチレン−ポリプロピレンランダム共重合体(PP1)
4500g、ポリアミド粒子5500g、マレイン酸
変性ポリプロピレン500gとしたほかは、実施例1と
同様に混練し、射出成形をした。表2に結果を示す。ま
た、ポリアミド粒子を添加せずに、PP1の物性を測定
した。表2に結果を示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】実施例5〜7 ポリオレフィン樹脂の種類を代えたほかは、実施例3と
同様にして、射出成形をし、ポリオレフィン樹脂組成物
の物性を測定した。配合を表3に、結果を表4に示す。
【0067】比較例3〜5 ポリアミド粒子を添加せずに、実施例5〜7で用いたポ
リオレフィン樹脂の物性を測定した。配合を表3に、表
4に結果を示す。
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【発明の効果】本発明は、多孔質のポリアミド粒子を分
散したポリオレフィン樹脂組成物に関するもので、ポリ
オレフィン樹脂の耐摩耗性、摩擦性等の表面性能が改善
されるほか、弾性率、強度、吸湿性ほか感触にも優れた
樹脂組成物を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC113 BB031 BB041 BB061 BB071 BB081 BB111 BB121 BB151 BB213 BC021 BP021 CL012 CL032 CL052 FA092 GB01 GG00 GN00 GQ00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂99〜50重量%
    と、多孔質ポリアミド粒子50〜1重量%を含むポリア
    ミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】該ポリオレフィン系樹脂と該多孔質ポリア
    ミド粒子からなる組成物100重量部あたり、相溶化剤
    が0.1〜20重量部含有されていることを特徴とする
    請求項1記載のポリアミド粒子充填オレフィン系樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】多孔質ポリアミド粒子が、平均粒子径1〜
    20μm、BET吸着法による比表面積が1〜30m2
    /gである請求項1〜2記載のポリアミド粒子充填ポリ
    オレフィン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】多孔質ポリアミド粒子の数平均粒子径に対
    する体積平均粒子径の比が1.0〜1.3である粒子径
    分布であることを特徴とする請求項1〜3記載のポリア
    ミド粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4に記載の該多孔質ポリアミド
    粒子充填ポリオレフィン系樹脂組成物であって、加工温
    度が該多孔質ポリアミド粒子の融点より20℃以上低い
    温度であることを特徴とするポリアミド粒子充填ポリオ
    レフィン系樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020050847A (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 アイカ工業株式会社 ポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法
JP7456121B2 (ja) 2019-11-01 2024-03-27 Toppanホールディングス株式会社 熱可塑性樹脂フィルム、これを用いた包装材及び包装袋

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