JP4412759B2 - 球状シリカゲル粒子及びその製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、球状シリカ系ゲル粒子、その製法及びその用途に関するもので、より詳細には内部に空隙を有しながら吸湿性が小さく、アンチブロッキング性や耐擦傷性、インクの保持性などに優れている多孔質の球状シリカゲル粒子に関する。本発明はまた、樹脂用配合剤やインクジェット記録紙用填剤にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、微小球状非晶質シリカとしては、いわゆる沈降法によるものと、ゲル法によるものとが知られている。
【0003】
前者の例として、特開昭61−168520号公報には、一次粒子の平均粒径が12mμ以下であるシリカコロイド液を気流中に噴霧して乾燥することを特徴とする平均粒径1〜20μm、細孔容積0.15ml/g以下、嵩密度0.8g/ml以上の微小球状シリカ粉末の製造法が記載されている。
【0004】
また、後者の例として、特開昭62−275014号公報には、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を鉱酸の水溶液と反応させて得られるシリカヒドロゲルスラリーを噴霧乾燥することによりシリカゲルを得る方法において、(a)アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を鉱酸の水溶液と反応させてpH3.0〜4.0でSiO濃度6.5〜11.5重量%の活性なケイ酸を生成させ、(b)該ケイ酸を攪拌下でゲル化させ、(c)アンモニア水溶液と反応させた後、濾過水洗し、(d)得られたヒドロゲルを湿式粉砕し、(e)二流体ノズル方式により噴霧乾燥することを特徴とする液体クロマトグラフィー用シリカゲルの製造方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知の微小球状シリカゲル粒子は、沈降法によるものでも、ゲル法によるものでも未だ改善すべき問題点を有している。即ち、沈降法による球状シリカゲル粒子は嵩密度が大きいため、フィルムのアンチブロッキング剤として使用した場合、アンチブロッキング性能を得るために必要な樹脂への配合量が多くなるという問題を有している。一方、ゲル法による球状シリカゲル粒子は吸湿量が大きいため、フィルム用樹脂に配合した場合樹脂の発泡やそれによるフィルム欠陥を発生しやすいという問題を有している。
【0006】
更に、これらの球状シリカ粒子は、シリカに特有の摩耗性の問題を未だ有しており、アンチブロッキング剤として球状シリカ粒子を配合したフィルムを重ねてすり合わせた場合、フィルムにすり傷、即ち擦傷が入るという問題がある。上記欠点は、球状シリカ粒子を各種記録紙の填剤として使用した場合にも同様に認められ、記録ヘッドが摩耗しやすいという欠点がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、内部に空隙を有しながら吸湿性が小さく、嵩密度が比較的小さい範囲にあり、耐擦傷性に優れている多孔質の球状シリカゲル粒子及びその製法を提供するにある。
本発明の他の目的は、上記の球状シリカゲル粒子からなり、比較的少量の配合でアンチブロッキング性能を有効に発現できると共に、フィルムの耐擦傷性にも優れているアンチブロッキング剤を提供するにある。
本発明の更に他の目的は、上記の球状シリカゲル粒子からなり、インクの保持性などに優れていると共に、記録ヘッドの耐摩耗性にも優れている記録紙用填剤、特にインクジェット記録紙用填剤を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水銀圧入法で測定した細孔分布曲線において、細孔半径50乃至100オングストローム間での粒子内細孔容積が0.3ml/g以上有すると共に、細孔半径150乃至10000オングストロームにも細孔容積のブロードな少なくとも1個のピークを有し、鉄シリンダー法で測定して0.2乃至0.6g/mlの嵩比重を有し、関係湿度70%及び48時間後の吸湿量が10重量%以下であり且つレーザ散乱法で測定して3乃至20μmの体積基準メジアン径(D50)を有することを特徴とする球状シリカゲル粒子が提供される。
本発明によればまた、ケイ酸アルカリ溶液と、鉱酸溶液とを、pHが8乃至11.5となるまで混合を行ってシリカヒドロゲルにゲル化させる工程と、生成するシリカヒドロゲルを酸処理した後、アルカリ金属塩を除去するために水洗する工程と、水洗後のシリカヒドロゲルを水浸された状態で水熱条件下に解膠する工程と、解膠された水性スラリーを微粉砕する工程と、微粉砕スラリーをスプレー造粒する工程とから成ることを特徴とする球状シリカゲル粒子の製法が提供される。
【0009】
本発明によればまた、上記球状シリカゲル粒子からなることを特徴とする樹脂配合剤が提供される。
【0010】
本発明によれば更にまた、上記球状シリカゲル粒子からなることを特徴とする記録紙用填剤が提供される。
【0011】
【発明の実施形態】
本発明の球状粒子は、本質的にシリカゲルからなるが、この本質を損なわない範囲内でシリカ以外の成分、即ち、アルミナ及び/またはマグネシア、カルシアなどのアルカリ土類金属酸化物成分を含んでいることができる。具体的には、アルミナ成分やアルカリ土類金属酸化物成分の含有量は、それぞれ、1モルのSiO 当り1モル以下である。以下、この球状粒子を球状シリカゲル系粒子と呼ぶ。
【0012】
本発明の球状シリカゲル系粒子は、水銀圧入法で測定した細孔分布曲線において、細孔半径50乃至100オングストローム間での粒子内細孔容積が0.3ml/g以上有することが第一の特徴である。
一般のシリカゲルは、細孔半径がもっと小さい領域、即ち細孔半径20オングストローム以下であり、この微細な細孔半径の細孔が水分に対する吸着サイトとなっていると解される。
これに対して、本発明の球状シリカゲル系粒子では、上記の微細な細孔が消失し、その代わりに、より細孔半径の大きい細孔に移行することにより、内部に空隙を保持ながら、しかも吸湿量の低減が達成されているのである。
この特徴に関連して、本発明の球状シリカゲル系粒子では、BET法比表面積が100乃至300m/gの比較的小さな値に抑制されており、更にBET法で測定した細孔容積が0.5乃至1.8ml/gの範囲内にある。
【0013】
一般に、通常のシリカゲルにおける関係湿度70%及び48時間後の吸湿量は10重量%以上であり、このシリカゲル粒子を樹脂中に配合すると、混練時に離脱した水蒸気による発泡が認められるのに対して、本発明の球状シリカゲル系粒子では、関係湿度70%及び48時間後の吸湿量が10重量%以下、特に5重量%以下に抑制されており、実際に樹脂に配合したときの発泡の問題も解消されている。
【0014】
本発明の球状シリカゲル系粒子は、上記の細孔に加えて、細孔半径150乃至10000オングストロームにも細孔容積のブロードな少なくとも1個のピークを有している。細孔半径が比較的大きくしかも分布がブロードな相対的に大きな細孔は、シリカゲル粒子の柔らかさ、即ち耐擦傷性の向上に役立っていると思われる。
実際、上記範囲に細孔分布を有しない球状シリカ粒子では、後述する摩耗試験において、摩耗量が0.4%以上のレベルに達するのに対して、本発明の球状シリカゲル系粒子ではこの摩耗量が0.2%以下に抑制されている。
更に、本発明の球状シリカゲル系粒子をアンチブロッキング剤として配合したフィルムを擦り合わせたとき、フィルム表面の傷付きが発生しないことも確認されている。
【0015】
本発明の球状シリカゲル系粒子では、上記の粒子内細孔の存在にも関連して、鉄シリンダー法で測定した嵩比重が0.2乃至0.6g/mlの低い値に抑制されているという特徴がある。
一般に、プラスチックフィルムのアンチブロッキング性能は、アンチブロッキング剤を配合したプラスチックのキャストフィルムを延伸した際、フィルム表面に形成される凸部の容積及び個数により影響されるが、本発明では嵩比重が比較的小さな上記範囲にあるため、単位重量当たりの球状シリカゲル系粒子の容積或いは個数を大きくすることができ、これにより一定のアンチブロッキング性能を得るための球状シリカゲル系粒子の添加量を低減させ、或いは少ない添加量で優れたアンチブロッキング性能を実現することが可能となる。
【0016】
本発明の球状シリカゲル系粒子は、その平均粒径がアンチブロッキング剤に最適な範囲内、レーザ散乱法で測定した体積基準メジアン径が3乃至20μmに制御されている。
すなわち、この粒径が上記範囲を下回るとフィルム延伸時にフィルム表面の下に埋没されて凸部を表面に形成することが困難となる場合が多く、アンチブロッキング性能が低下する傾向がある。一方、この粒径が上記範囲を上回ると、製膜時に欠陥のあるフィルムが形成されたり、或いは延伸時に穴あきを生じたりするので、何れも好ましくない。
【0017】
本発明の球状シリカゲル系粒子は、ケイ酸アルカリ溶液と、鉱酸溶液とを混合して、シリカヒドロゲルにゲル化させる工程と、生成するシリカヒドロゲルを酸処理した後、アルカリ金属塩を除去するために水洗する工程と、水洗後のシリカヒドロゲルを水浸された状態で水熱条件下に解膠する工程と、解膠された水性スラリーを微粉砕する工程と、微粉砕スラリーをスプレー造粒する工程とにより製造される。
【0018】
すなわち、本発明の製造方法は、シリカのヒドロゲル化工程、生成するヒドロゲルの水洗工程、ヒドロゲルの微粉砕工程及び微粉砕スラリーのスプレー造粒工程を含むが、ヒドロゲルの微粉砕に先立って、水洗後のシリカヒドロゲルを水浸された状態で水熱条件下に解膠することが、前述した特性を有する球状シリカゲル系粒子を製造するために、重要である。
【0019】
この解膠処理により、シリカゲルに固有の微細な細孔が、より細孔半径の大きい細孔に転化し、シリカゲルに特有の高い比表面積や吸湿性を低減させることが可能となる。この解膠処理では、単なる水熱処理では不十分であり、ヒドロゲルが水中に浸漬された状態で行うことも重要であり、ヒドロゲル水浸状態で水熱処理を行うと、ヒドロゲルの塊がジャム状に変化しており、解膠が進んでいることが明らかである。
【0020】
シリカヒドロゲルには、pHが酸性サイドでゲル化させる酸性ゲルと、pHがアルカリサイドでゲル化させるアルカリゲルとの2種類があるが、本発明はpHが8〜11.5でゲル化させるアルカリゲルに適用する。酸性ゲルでは、ケイ酸アルカリ溶液と酸水溶液とを混合しても直ちにゲル化を生ぜず、ゲル化にかなりの長時間を必要とする。これに対して、アルカリゲルでは、ケイ酸アルカリ溶液と酸水溶液との混合により瞬間的にゲル化を生じるので、装置コストや生産速度の点でアルカリゲルが好適である。加えて、酸性ゲルはゲルが硬く、解膠処理に著しく長時間を必要とするという難点を有するのに対して、アルカリゲルではゲルが軟質であり、比較的短い処理時間で解膠処理を行えるという利点がある。これらの意味で、アルカリゲルが使用されるべきである。
【0021】
アルカリゲルの場合、一般にケイ酸分に結合したNaO分が固形分基準で1%以上含有されている。これらのアルカリ金属成分はシリカゲルの安定性を著しく損なうので、これを除去するためにシリカゲルの酸処理が必要となる。
更に、本発明の球状シリカゲル系粒子の製造では、生成したシリカヒドロゲルを水洗することも重要である。すなわち、シリカヒドロゲル中には、前述した原料の複分解により生成する芒硝等の水溶性塩類が必ず含まれており、これらの塩類は球状シリカゲル系粒子の吸湿性を増大させる原因となるので、水洗により除去する必要がある。
【0022】
水熱条件下で解膠された水性スラリーには、未だ柔らかい塊が含有されているので、これを十分に解すために湿式粉砕を行う必要がある。この湿式粉砕により、水性スラリーはシリカヒドロゲル粒子の分散状態が均一且つ一様なものとなり、このスラリーをスプレー造粒することにより、前記特性を有する球状シリカゲル系粒子を製造することが可能となる。
【0023】
本発明では、微粉砕スラリーをスプレー造粒することも、最終球状粒子の粒径を前述した範囲に制御し、この粒子内に細孔半径150〜10000オングストロームにも細孔容積のピークがある粒子を製造するために重要である。
すなわち、スプレー造粒では、スラリー液滴の表面から乾燥が進行してゲル微粒子のシェルが形成され、このシェルを通して水分の揮発が行われるため、内部に空隙が残留し、これが耐擦傷性の向上につながっているものと思われる。
【0024】
本発明では、シリカゲルの化学的改質も可能である。既に指摘したとおり、この製法では、ケイ酸アルカリ水溶液と、鉱酸水溶液とを混合してゲルを形成させるが、鉱酸水溶液にはアルミニウム塩やアルカリ土類金属塩を予め含有させることが可能であり、これによりシリカゲルをアルミニウム分やアルカリ土類金属分で変性し、球状粒子の屈折率や他の特性を調節することが至って容易にできる。
【0025】
(ヒドロゲルの調製)
本発明によれば、ケイ酸アルカリ水溶液と酸水溶液とを反応させて、先ずゲル法によるシリカヒドロゲルを製造する。
原料のケイ酸アルカリは、工業製品としてJISに規格されている水ガラスのケイ酸ソーダやケイ酸カリ、さらには酸性白土等の粘土質原料より回収した易反応性のシリカにアルカリ金属の水酸化物溶液を反応させたケイ酸アルカリ等を使用することができる。
ケイ酸アルカリ水溶液におけるSiO濃度は6乃至28重量%の範囲にあるのがよく、SiO:RO(Rはアルカリ金属である)のモル比は、一般に2:1乃至4:1特に2.5:1乃至3:1の範囲にあるのがよい。
【0026】
中和反応に用いる鉱酸は、塩酸や硫酸等が一般に使用されるが、これらの混酸を使用することもできる。鉱酸水溶液の濃度は一般に5乃至75重量%、特に10乃至60重量%の範囲にあるのがよい。
【0027】
アルミニウム成分や、アルカリ土類金属成分をシリカゲル粒子中に含有させる場合には、これらの成分を、例えば硫酸塩や塩化物などの形で鉱酸水溶液中に含有させる。
アルミニウム成分は、SiO1モルを基準として、Alとして1モル以下の量で用いるのがよく、一方アルカリ土類金属成分は、SiO1モルを基準として、MOとして1モル以下の量で用いるのがよい。
【0028】
両原料の接触による中和反応は、両原料のどちらか一方の原料をもう一方の溶液中に撹拌下に添加する方法や、両原料溶液を一定条件下に同時に接触させる方法がある。中和温度は、特に制限はないが、一般に50℃以下であり、中和終了時のpHは8乃至11.5としてアルカリゲルを生成させる。アルカリサイドの反応では、瞬間的に、シリカのヒドロゲルに転化する。
【0029】
(酸処理・水洗工程)
シリカヒドロゲルがアルカリゲルの場合、ゲル中のアルカリ分を除去するため、硫酸或いは塩酸などの酸で酸処理する。酸処理の程度はヒドロゲルのpHが1以下となるものであればよい。
また、ヒドロゲル中に含有される副生塩類を除くため、水洗を行う。水洗の程度は、ヒドロゲル中の塩類の含有量がSiOを基準として0.5重量%以下となるようなものであればよい。
【0030】
(解膠処理工程)
水洗後のヒドロゲルを水浸状態で水熱条件下に解膠処理する。この処理は、オートクレーブを使用し、ヒドロゲルが完全に水中に浸漬された状態で行う。温度は120乃至180℃、特に150乃至170℃が適当であり、処理時間はヒドロゲルの種類や温度によっても相違するが、一般に0.5乃至10時間程度であるのがよい。
【0031】
(微粉砕工程)
解膠処理されたヒドロゲルを微粉砕して均一且つ一様な分散状態の水性スラリーとする。微粉砕には、高剪断型の微粉砕機、例えばボールミル、チューブミル、コロイドミルなどが使用され、更にそれ自体公知の摩擦内板ミル例えば(ウィリー・A・バッコーフェン社製のダイノーミル)が好適に使用される。
【0032】
(球状粒子への造粒)
本発明によれば、上記シリカヒドロゲルスラリーを噴霧乾燥造粒して、3乃至20μmの体積メジアン径を有する球状粒子とする。
球状でしかも表面が滑らかな粒状物を得るためには、スラリーのSiO濃度が5乃至20重量%の高濃度であることが有利である。
上記粒径の球状シリカゲル系粒子を製造するには、二流体ノズルを使用して、液滴を微細化し、乾燥雰囲気中に噴霧するのがよく、乾燥雰囲気温度(出口温度)は90乃至150℃の範囲にあるのがよい。
【0033】
(球状シリカゲル系粒子)
本発明による球状シリカゲル系粒子は、既に述べた化学組成及び物性を有する。 添付図面の図1は、本発明の球状シリカゲル系粒子の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、この粒子は表面が非常に滑らかでしかも粒径が微細な真球状粒子であることが理解される。
【0034】
図2は、本発明の球状シリカゲル系粒子の水銀圧入法による細孔分布曲線を示す。この細孔分布曲線から、本発明の球状シリカゲル系粒子は、細孔半径50乃至100オングストロームにピーク高さが0.3ml/g以上の粒子内細孔容積のピークを有すると共に、細孔半径150乃至10000オングストロームにも細孔容積のブロードな少なくとも1個のピークを有している事実が明らかとなる。
【0035】
(用途)
本発明の球状シリカゲル系粒子は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂或いは各種ゴム配合用の充填剤、特にアンチブロッキング剤としても有用である。
即ち、本発明の球状シリカゲル系粒子は、比較的高湿度における平衡水分率が比較的低い範囲に抑制されることにより、低吸水性で発泡等の不都合がなく、また他の添加剤との間にも吸着による発色や添加剤の性能低下等の不都合がなく、優れた樹脂フィルム用の配合剤、特にアンチブロッキング剤となりうるものである。
【0036】
アンチブロッキング剤として配合する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂が好適なものであり、特に低−、中−或いは高−密度のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、あるいはこれらのエチレン乃至α−オレフィンとの共重合体であるポリプロピレン系重合体、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、これらは単独でも或いは2種以上のブレンド物の形でも使用できる。本発明の球状シリカゲル系粒子は、メタロセン触媒を用いて製造したオレフィン系樹脂フィルムのアンチブロッキング剤として有用であり、従来のアンチブロッキング剤に見られた着色傾向を解消することができる。
【0037】
勿論、本発明のアンチブロッキング剤は、それ自体公知の他の樹脂フィルムにも配合することができ、例えばナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、塩化ビニール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂等に配合することもできる。
【0038】
アンチブロッキング剤としての用途の場合、上記球状シリカゲル系粒子を、熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.1乃至1.0重量部、特に0.3乃至0.5重量部の量で用いるのがよい。
【0039】
勿論、本発明の球状シリカゲル系粒子は、充填剤として、上記熱可塑性樹脂や、各種ゴム、或いは熱硬化性樹脂に配合することができる。
【0040】
ゴム用のエラストマー重合体としては、例えばニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IIB)、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコーンゴム、アクリルゴム等;熱可塑性エラストマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0041】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、或いはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0042】
充填剤としての用途の場合、上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂或いはエラストマー100重量部当たり、10乃至100重量部、特に30乃至60重量部の量で配合することができる。
【0043】
樹脂用配合剤の場合、本発明の球状シリカゲル系粒子と配合すべき樹脂の成形温度よりも低い温度で溶融する常温で固体の有機結合媒質との組成物として使用すると、樹脂中への分散を均一且つ一様に行えると共に、シリカによる摩耗傾向を一層低減させることができるので有利である。
この組成物に用いる固体有機結合媒質としては、(イ) 天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、(ロ) ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、(ハ) ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系またはビスアミド系のもの、(ニ) ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、(ホ) セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、(ヘ) ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケンおよび(ト) 熱硬化性樹脂の初期縮合物或いはそれらの2種以上の組み合わせなどが挙げられる。
球状シリカゲル系粒子と固体有機結合媒質とは、1:1乃至1:2の重量比で組み合わせ使用するのが望ましい。
【0044】
本発明の球状シリカゲル系粒子は、インクジェット記録紙用填剤として特に有用である。インクジェット記録は、騒音が少なく、高速記録が可能で、しかも多色化が容易である等の利点があり、各種プリンター、ファクシミリ等への応用が行われている。この用途に用いる記録紙としては、通常の上質紙やコート紙では性能の点で使用困難であり、紙面に付着したインク滴が速やかに紙内に吸収されること、紙面上でのインク滴の拡がりや滲みが抑制されること、濃度のある鮮明な画像が形成されること、及びこの画像が諸堅牢性に優れていること等の特性が要求される。
【0045】
本発明による球状シリカゲル系粒子を記録紙に対する填料として用いると、インクジェット記録において、インク滴の拡がりや滲みを防止するという要求と、画像の濃度や鮮明さを向上させるという要求とを、両立させて満足させ得ると共に、この填料を用いた記録紙上にインクジェットにより形成される染料ドットは、初期の状態において、色彩の鮮明さや濃度において優れているばかりではなく、経時による光退色乃至光変色も無いという点で優れている。
【0046】
非晶質シリカは固体酸の一種であり、固体酸の酸強度分布は、ハメット指示薬を使用し、n−ブチルアミン滴定法により求めることができる。酸強度函数Hとハメット指示薬との関係を示すと、次の通りである。
指示薬
+1.5 4−ベンゼンアゾジフェニルアミン
+3.3 p−ジメチルアミノアゾベンゼン
+4.8 メチルレッド
上記表において、例えば、4−ベンゼンアゾジフェニルアミンを指示薬として滴定を行うと固体酸中の酸強度函数が+1.5迄の酸量が測定され、又、p−ジメチルアミノアゾベンゼンを指示薬として、滴定を行うと、固体酸中の酸強度函数が+3.3迄の積算酸量が測定され、以下各指示薬を用いて、滴定を行うことにより、固体酸の酸強度分布が測定される。
【0047】
本発明によれば、上述した球状シリカゲル系粒子を、紙等の基体の表面に設けるか、或いは紙中に内填してインクジェット用記録要素とする。紙等の基体表面にこの填剤のコート層を設けるには、前記填剤を5乃至40重量%、特に10乃至25重量%、及び必要により結着剤を1乃至15重量%、特に2乃至10重量%含む水性スラリーを製造し、填剤が3乃至20m/g、特に5乃至15m/gとなるような塗工量で塗布し、乾燥する。
【0048】
結着剤としては、水性系結着剤が有利であり、例えばカルボキシメチルセルローズ、エチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、澱粉、カルボキシメチル澱粉、シアノエチル化澱粉、カゼイン、アラビアゴム、トラガントゴム、デキストリン、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル/マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂等の水溶性結着剤;自己乳化型アクリル樹脂等の自己乳化型結着剤;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス等の水性ラテックス系結着剤等が使用される。
【0049】
また、前記填剤を紙中に内填するには、抄紙用スラリーに前記填剤を配合して、紙繊維中に繊維重量当り1乃至20重量%、特に2乃至10重量%の填剤が抄き込まれるようにすればよい。
【0050】
本発明において、非晶質シリカは単独でインクジェット記録用填剤として使用し得る他に、それ自体公知の他の填剤、例えばカオリン、通常のシリカ、炭酸カルシウム等と組合せて使用することもできる。
【0051】
更に、本発明の球状シリカゲル系粒子は、クロマトグラフィー用担体としても有用である。クロマトグラフィーは、固体吸着剤の粒子を円筒または細片状の層に充填した固定相に気体、液体、溶液などの試料を通し、各成分の分配係数の差を利用して物質を分離する方法として知られている。
【0052】
本発明に用いる球状シリカゲル系粒子は、クロマトグラフィー用担体に滴した適度な吸着活性を有すると共に、粒度分布も均斉で、しかも真球に近い形状を有するため、固定相の形成や、吸着、脱着等の操作が容易であり、この用途にも特に適している。
【0053】
【実施例】
本発明を次の実施例で具体的に説明をする。なお、各種物性についての測定方法は次の通りである。
【0054】
[測定方法]
(1)化学分析
JIS−M.8855に準拠して測定した。
【0055】
(2)細孔分布(水銀圧入法)
150℃、3時間乾燥した試料0.5gを水銀圧入式ポロシメーター(マイクロメリテイクス社製オートポア9220)を用いて、18乃至43500オングストロームのポアサイズを測定し、細孔容積を求めた。
【0056】
(3)嵩比重(鉄シリンダー法)
JIS−K.6220.6.8.(鉄シリンダー法)に準拠して測定した。
【0057】
(4)吸湿試験
試料約1gを予め重量を測定した40×40mmの秤量ビンに入れ150℃の電気恒温乾燥器で3時間乾燥後、デシケーター中で放冷する。次いで試料の重さを精秤し、予め硫酸水溶液で関係湿度70%に調節したデシケーター中に入れ48時間後の重量増を測定し吸湿量とした。
【0058】
(5)メジアン径(レーザー散乱法)
平均粒径(メジアン径;μm)はコールターカウンター社製のレーザー回折型粒子サイズアナライザー(コールターR LS230)を用いて測定した。
【0059】
(6)BET比表面積、細孔容積
カルロエルバ社製 Sorptomatic Series 1800を使用し、BET法により測定した。
【0060】
(7)水分(110℃×2hr減量)
JIS−K.5101.23に準拠して測定した。
【0061】
(8)吸油量(DBP法)
JIS−K.5101.19に準拠して測定した。
【0062】
(9)5%スラリーpH
JIS−K.5101.26に準拠して測定した。
【0063】
(10)摩耗試験
フィルコン式(日本フィルコン(株)製)磨耗試験機を用いて以下の条件で測定した。
使用ロール セラミックス
ロールの回転数 1500rpm
接触角度 111゜
テストピースの寸法 40×140mm
テストピースの重量 約2g
テストピースの材質 プラスチックワイヤー
重錘 850g
固型分濃度 2%
測定時間 180分
結果表現値 重量減少量(%)
【0064】
(実施例1)
SiO基準で22重量%濃度の珪酸ソーダ溶液(A液)と、13重量%濃度の硫酸(B液)とを先端部に混合部を有する二流体ノズルを用いて、pHが9になるように両者を混合した後吐出し、熟成を行う。熟成後のシリカヒドロゲルを硫酸溶液を張ったタンクに入れ攪拌しながら、pHが1.0以下になるまで酸処理を行った。酸処理後のヒドロゲルを水洗した後、ヒドロゲルをオートクレーブに移し水に浸漬し170℃の水熱条件下で4時間解膠処理を行った。次に解膠されたヒドロゲルに水を加えSiO濃度を7重量%に調整後、ダイノーミルで微粉砕しスラリーを調製した。
次いで、このスラリーをアシザワ・ニロ社製SD−25のスプレードライヤーを用いて噴霧(入口温度300℃、出口温度120℃)させて球状のシリカゲルを得た。
得られた球状シリカゲルについて物性測定を行い、その結果を表1に示す。また、SEM写真を図1に示す。
【0065】
(実施例2)
SiO基準で22%重量濃度の珪酸ソーダ溶液(A液)と、13重量%濃度の硫酸(B液)とを先端部に混合部を有する二流体ノズルを用いて、pHが9になるように両者を混合した後吐出し、熟成を行う。熟成後のシリカヒドロゲルを硫酸溶液を張ったタンクに入れ攪拌しながら、pHが1.0以下になるまで酸処理を行った。酸処理後のヒドロゲルを水洗した後、ヒドロゲルをオートクレーブに移し水に浸漬し170℃の水熱条件下で4時間解膠処理を行った。次に解膠されたヒドロゲルに水を加えSiO濃度を7重量%に調整後、コロイドミルで微粉砕しスラリーを調製した。
次いで、このスラリーをアシザワ・ニロ社製SD−25のスプレードライヤーを用いて噴霧(入口温度300℃、出口温度120℃)させて球状のシリカゲルを得た。
得られた球状シリカゲルについて物性測定を行い、その結果を表1に示す。
【0066】
(実施例3)
実施例1で得られたシリカ粒子2kgと、ポリエチレンワックス(三井石油化学工業(株)製ハイワックス110P)100gとを水冷下にスーパーミキサーにて500rpmの回転速度で3分間混合した後、アトマイザー粉砕機にて摩砕混合を行い、次いで、150℃の温度でスーパーミキサーにより表面被覆を行った。
得られた球状シリカゲルについて物性測定を行い、その結果を表1に示す。
【0067】
(比較例1)
SiO基準で18.5重量%濃度の珪酸ソーダ溶液(A液)と、17重量%濃度の硫酸(B液)とを先端部に混合部を有する二流体ノズルを用いて、pH9になるように両者を混合した後吐出し、吐き出されるシリカヒドロゲルに空気で吹き付けて造粒し、ドライの状態で熟成を行う。熟成後のシリカヒドロゲルを硫酸溶液を張ったタンクに入れ攪拌しながら、pHが1.0以下になるまで酸処理を行った。酸処理後のヒドロゲルを水洗し、ヒドロゲルのpHが7.3になるまで水を加えて洗浄を行った後、90℃で40時間蒸気の吹き込みを行いながら熱処理を行う。その後、熱処理品を水分が1%以下になるまで乾燥し、乾燥品を篩い分けして球状シリカゲルを得た。
得られた球状シリカゲルについて物性測定を行い、その結果を表1に示す。
【0068】
(比較例2)
SiO基準で22重量%濃度の3号珪酸ソーダと45重量%硫酸とを反応させてシリカヒドロゾルを調製し、次いで放置させてゲル化させて得られた寒天状のシリカヒドロゲルを2〜5mm大に解砕した後、十分に水洗させた。
次いで135℃の水熱下で4時間熟成させたこのゲルを奈良式粉砕機M−4型を用いて粗粉砕してSiOとして20重量%の水洗スラリーとした後、スラリーをシンマルエンタープライゼス社製のダイノーミルで高速剪断下に湿式粉砕をし、微粉砕スラリーを調製した。
次いで、このスラリーをアシザワ・ニロ社製SD−25のスプレードライヤーを用いて噴霧(入口温度240℃、出口温度100℃)させて球状のシリカゲルを得た。
得られた球状シリカゲルについて物性測定を行い、その結果を表1に示す。
【0069】
(比較例3)
300Lのステンレス製容器に市販3号ケイ酸ソーダ(SiO27.8重量%、NaO9重量%、SiO/NaOモル比=3.19)43.2kg(全液量中のSiO濃度として6%)と水100kg加えた後、攪拌しながらカルボキシメチルセルロース(エーテル化度1.34、1重量%粘度230cP)の粉末1.57kg(水分8%)加え十分分散後25℃に調整する。次いで、攪拌下に予め25℃に調整した5%硫酸55.3kgをゆっくり注加し、注加終了後攪拌を止めてその温度で12時間静置して本発明の前駆体である球状シリカ粒子を析出させた。次にこのゲル状の球状シリカ粒子のスラリーに、濃度14重量%の硫酸を40kg加え、攪拌下に1時間の脱Na処理を行った(この時のpHは1.1であった)。次にこのスラリーを吸引濾過後、純水で十分水洗し濾過ケーキをさらに2N−塩酸溶液中に再分散させて十分に攪拌処理し、同様に水洗して粒径2μmの多孔質球状シリカの含水ケーキを得た。このケーキを110℃の高温乾燥機で乾燥後粉砕し、更に電気炉で950℃の温度で30分焼成し球状シリカを得た。
得られた球状シリカについて物性測定を行い、その結果を表1に示す。
【0070】
(比較例4)
水澤化学製のゲル法シリカ(ミズカシル)を用いた。物性測定を行い、その結果を表1に示す。
【0071】
(比較例5)
市販の不定形シリカ(サイロブロック)を用いた。物性測定を行い、その結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004412759
【0073】
(応用例)
MI1.3/10分、密度が0.92の直鎖状低密度ポリエチレン及びMI1.1/10分、密度が0.93の低密度ポリエチレンの混合物に実施例1〜3の各試料をそれぞれ0.40%添加し、押出機で180℃の温度で溶融混合後ペレタイズした。次にこのペレットを押出機に供給し、Tダイ法で厚さ30μmのフィルムに製膜した。
得られたフィルムについてブロッキング性、スクラッチ性について調べ、その結果を表2に示す。
【0074】
ブロッキング性は、2枚のフィルムを重ね、200g/cmの荷重をかけ40℃で24時間放置後、フィルムのはがれ易さにより以下のように評価した。
◎:抵抗なくはがれるもの
○:ややはがれにくいもの
△:はがれにくいもの
×:極めてはがれにくいもの
【0075】
スクラッチ性については、製膜5時間後フィルム2枚を重ね指で擦ったときの傷付きの程度により以下のように評価した。
◎:ほとんど傷がつかない
○:わずかに傷がつく
△:少し傷がつく
×:傷がつく
【0076】
【表2】
Figure 0004412759
【0077】
【発明の効果】
本発明によれば、内部に空隙を有しながら吸湿性が小さく、嵩密度が比較的小さい範囲にあり、耐擦傷性に優れた多孔質の球状シリカゲル系粒子が得られた。また、本発明による球状シリカゲル系粒子は、比較的少量の配合でアンチブロッキング性能を有効に発現できると共に、フィルムの耐擦傷性にも優れているアンチブロッキング剤として有用である。更にこの球状シリカゲル系粒子は、インクの保持性などに優れていると共に、記録ヘッドの耐摩耗性にも優れている記録紙用填剤、特にインクジェット記録紙用填剤としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1で得られた球状シリカゲルのSEM写真(倍率:3000倍)である。
【図2】本発明の球状シリカゲル系粒子の水銀圧入法による細孔分布曲線である。

Claims (7)

  1. 水銀圧入法で測定した細孔分布曲線において、細孔半径50乃至100オングストローム間での粒子内細孔容積が0.3ml/g以上有すると共に、細孔半径150乃至10000オングストロームにも細孔容積のブロードな少なくとも1個のピークを有し、鉄シリンダー法で測定して0.2乃至0.6g/mlの嵩比重を有し、関係湿度70%及び48時間後の吸湿量が10重量%以下であり且つレーザ散乱法で測定して3乃至20μmの体積基準メジアン径(D50)を有することを特徴とする球状シリカゲル粒子
  2. BET法で測定して100乃至300m/gの比表面積と0.5乃至1.8ml/gの細孔容積とを有することを特徴とする請求項1記載の球状シリカゲル粒子
  3. ケイ酸アルカリ溶液と、鉱酸溶液とを、pHが8乃至11.5となるまで混合を行ってシリカヒドロゲルにゲル化させる工程と、生成するシリカヒドロゲルを酸処理した後、アルカリ金属塩を除去するために水洗する工程と、水洗後のシリカヒドロゲルを水浸された状態で水熱条件下に解膠する工程と、解膠された水性スラリーを微粉砕する工程と、微粉砕スラリーをスプレー造粒する工程とから成ることを特徴とする球状シリカゲル粒子の製法。
  4. 解膠工程を120乃至180℃の温度で行う請求項3に記載の製法。
  5. 請求項1または2に記載の球状シリカゲル粒子から成ることを特徴とする樹脂用配合剤。
  6. 請求項1または2に記載の球状シリカゲル粒子と配合すべき樹脂の成形温度よりも低い温度で溶融する常温で固体の有機結合媒質との組成物から成ることを特徴とする樹脂用配合剤。
  7. 請求項1または2に記載の球状シリカゲル粒子から成ることを特徴とする記録紙用填剤。
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