JP6711534B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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本発明は、ゴム組成物に関する。
ゴム補強用充填剤としてシリカを配合したゴム組成物には、従来、加硫促進剤としてジフェニルグアニジン(以下、DPGと略記する)が多用されてきた。
このDPGに加えて、DPGの使用量を削減するか、又は使用しないでも加硫速度やゴム特性が従来と同レベルかそれ以上であるゴム組成物を提供できれば、DPGと組み合わせることで性能向上効果が小さくなってしまう配合剤であってもゴム組成物に使用できる可能性があり、ゴム組成物における配合剤の組合せの選択の幅を増やすことができる。
しかしながら、シリカを比較的多量配合するゴム組成物では、DPGの使用量を削減すると、加硫速度が低下するという問題や、ゴム中のシリカの分散性が悪化してシリカによるゴムの補強効果が低下する等の問題が生じることが知られている。
これに対して、シリカ配合ゴム組成物のDPGに代替する加硫促進剤として、例えば特許文献1に記載されているような、メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩からなる加硫促進剤を用いることが提案されている。
しかし、上記の加硫促進剤でも、初期の加硫速度が速すぎるなど、加硫速度を制御することが難しく、架橋剤として硫黄より反応性が低い環状アルキルポリスルフィドを併用しなければならないという問題がある。この環状アルキルポリスルフィドを用いる場合、発熱性を悪化させるという問題も生じる。
特開2009−256439号公報
本発明は、DPGの使用量を削減するか、又は使用しないゴム組成物であって、DPGを配合した場合と加硫速度やゴム特性が従来と同レベルかそれ以上であるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを課題とするものである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、シリカを配合したゴム組成物において、加硫促進剤として、DPGの代わりに、pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤を用いることによって、DPGを配合した場合と加硫速度やゴム特性が従来と同レベルかそれ以上であるゴム組成物を提供できるとともに、加硫ゴム特性も、DPGを配合した場合と同等又はそれ以上であることを見出した。発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1] ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部、pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤を0.5〜4.0質量部、pKa11以上の塩基を含む加硫促進剤を0.1質量部以下、亜鉛華を2.0質量部以下で含み、
前記加硫促進剤における、ベンゾチアゾリル基の総モル数に対するpKa11未満の塩基の総モル数のモル比(pKa11未満の塩基の総モル数/ベンゾチアゾリル基の総モル数のモル比)が1.2以下であり、
さらに、硫黄を含み、硫黄架橋により形成されるモノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合のうちポリスルフィド結合の比率(ポリスルフィド結合/{モノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合の総和}の比)が0.5〜0.9である、ゴム組成物、
〔2〕上記〔1〕項に記載のゴム組成物を用いた、空気入りタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、DPGの使用量を削減するか、又は使用しないゴム組成物であって、DPGを配合した場合と加硫速度やゴム特性が従来と同レベルかそれ以上であるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
[ゴム組成物]
以下、本発明の実施形態に係るゴム組成物について、詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るゴム組成物は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部、pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤を0.5〜4.0質量部、pKa11以上の塩基を含む加硫促進剤を0.1質量部以下、亜鉛華を2.0質量部以下で含み、前記加硫促進剤における、ベンゾチアゾリル基の総モル数に対するpKa11未満の塩基の総モル数のモル比(pKa11未満の塩基の総モル数/ベンゾチアゾリル基の総モル数のモル比)が1.2以下であり、さらに、硫黄を含み、硫黄架橋により形成されるモノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合のうちポリスルフィド結合の比率(ポリスルフィド結合/{モノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合の総和}の比)が0.5〜0.9である、ゴム組成物である。
本実施の形態のゴム組成物は、充填剤としてシリカを用いる場合において、例えばDPGのようなpKa11以上の塩基を含む加硫促進剤の配合量が0.1質量部以下であっても、DPGを加硫促進剤として用いた場合と同様又はそれ以上の加硫速度やゴム特性が得られることができる。
さらに、後述するように、亜鉛華の添加量を減少させることで好適な加硫速度が得られ、加硫ゴムの物性も同等以上を実現可能であるため、材料コストと加硫工程時間の削減が期待できる。
以下、各成分について詳細に説明する。
[ジエン系ゴム成分]
本発明で使用されるジエン系ゴム成分は、任意のジエン系ゴムを用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、ジエン系ゴム成分はその分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル基等で末端変性されていてもよい。
これらのジエン系ゴムの中でも、本発明の効果の点からジエン系ゴムはSBR、BR、NR、IRからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
また、ジエン系ゴム成分において、SBRを50質量%以上含むと、該ゴム組成物を空気入りタイヤに用いた場合、操縦の点で好ましい。
〔シリカ〕
本発明で使用するシリカはとくに制限されず、通常タイヤ用ゴム組成物に配合されるシリカを使用することができ、またシリカとしては市販のあらゆるものが使用できる。本発明で使用するシリカは、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜350m/gの範囲にあるシリカがより好ましく、BET比表面積が130m/gを超え、350m/g以下であるシリカが更に好ましく、BET比表面積が135〜350m/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積 =205m/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積 =240m/g)、デグッサ社製、商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m/g)等の市販品を用いることができる。
シリカの配合量は、ゴム組成物の補強性向上の観点から、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、30〜100質量部であり、35質量%以上であることがより好ましい。また、シリカの配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、100質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。
〔pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤〕
本発明において、pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤の配合量は、加硫速度及びゴム特性の観点から、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、0.5〜4.0質量部であり、1.5〜3.5質量部がより好ましい。
pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤として、メルカプトベンゾチアゾールの有機塩を含み、さらにスルフェンアミド類及びチアゾール類からなる群から選択される加硫促進剤を含むことが好ましい。
本実施の形態におけるゴム組成物に用いられるスルフェンアミド類としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−プロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−2−エチルヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジメチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジエチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジオクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ−2−エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。これらの内、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)は、反応性が高いので好ましい。
本実施の形態におけるゴム組成物に用いられるチアゾール類としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−(4−メチル−2−ベンゾチアゾリル)ジスルフィド、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、2−メルカプト-ナフト[1,2−d]チアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの内、2−メルカプトベンゾチアゾール及びジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドは、反応性が高く好ましい。
〔メルカプトベンゾチアゾールの有機塩〕
本実施の形態におけるゴム組成物に用いるメルカプトベンゾチアゾールの有機塩としては、メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩が好ましく、メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩において、アミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、tert−ブチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン等が挙げられるが、炭素数6以上のアミンが好ましい。これらアミンによるメルカプトベンゾチアゾールのアミン塩はいずれも本発明の効果を良好に奏するものであるが、中でも、本発明で使用されるメルカプトベンゾチアゾールのアミン塩としては、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩(CMBT)、または2−メルカプトベンゾチアゾールのtert−ブチルアミン塩がとくに好ましい。またメルカプトベンゾチアゾールのアミン塩は公知の化合物であり、例えば特開平8−81585号公報に開示され、また、商業的に入手可能であり、具体的には2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩(CMBT)は、大内新興化学工業(株)から商品名「ノクセラーM−60−OT」として、また、三新化学工業(株)から商品名「サンセラー HM」として市販されている。これらはラテックス用加硫剤として従来用いられているが、従来はタイヤゴムコンパウンドに用いられていない。
本発明において、メルカプトベンゾチアゾールの有機塩は、加硫促進剤として機能している。
ベンゾチアゾリル基の総モル数に対するpKa11未満の塩基の総モル数のモル比(pKa11未満の塩基の総モル数/ベンゾチアゾリル基の総モル数のモル比)が1.2以下であり、1.1以下が好ましい。
上記モル比を1.2以下にすることにより、加硫がほぼ完了する加硫速度{t(90)−t(10)}(すなわち、t(Δ80))は速い(時間が短い)が、ゴム硬化が始まる加硫速度t(10)は遅い(時間が長い)方が好ましいという2律背反を高度に両立化することができ、かつ、DPG単独で用いた場合と同等程度で行うことができ、また、加硫後のゴム物性も同様又はそれ以上にすることができる。
〔pKa11以上の塩基を含む加硫促進剤〕
本発明における「pKa11以上の塩基を含む加硫促進剤」としては、グアニジン類が挙げられ、グアニジン類としては、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジン等が挙げられる。
本発明では、上記pKa11未満の塩基を含む加硫促進剤を用いることにより、pKa11以上の塩基を含む加硫促進剤の配合量を、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以下にすることができる。これにより、ゴム組成物のゴムとスチールコードの接着が向上する。
〔亜鉛華〕
本発明のゴム組成物に用いられる亜鉛華(以下「ZnO」ともいう)の配合量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、2.0質量部以下であり、0.8〜2.0質量部であることが好ましい。
一般に、亜鉛華は、加硫促進助剤として重要である一方、破壊核となってゴム物性を低下させる虞があると考えられている。また、加硫後に、亜鉛華がそのまま残留する場合、亜鉛華が架橋鎖として存在するポリスルフィドや未反応のフリーサルファによる架橋をも促進させ、徐々に加硫後のゴムが硬化していく虞がある。さらに、亜鉛華の代替薬品は高価である。
本発明では、上記「pKa11未満の塩基を含む加硫促進剤」を用いることにより、従来に比べ、亜鉛華の配合量を少なくしても、好適な加硫速度が得られ、かつ、安価で加硫後のゴムの特性が安定する。
また、本発明において、加硫速度の観点から、前記メルカプトベンゾチアゾールの有機塩に対する亜鉛華のモル比(亜鉛華/メルカプトベンゾチアゾールの有機塩のモル比)が3.0〜7.0であることが好ましく、3.5〜6.5であることがより好ましい。
[シランカップリング剤]
本発明のゴム組成物には、さらにシランカップリング剤を配合することができる。
本発明のゴム組成物で用いるシランカップリング剤は、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。
また、本発明のゴム組成物の製造方法に用いられるシランカップリング剤は、下記一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物であることが好ましい。
本発明方法に係るゴム組成物は、このようなシランカップリング剤を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好な空気入りタイヤを与えることができる。
以下、下記一般式(I)〜(IV)を順に説明する。

式中、Rは複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基又は水素原子であり、Rは複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、Rは複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。
上記一般式(I)で表わされるシランカップリング剤の具体例として、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。

式中、Rは−Cl、−Br、RO−、RC(=O)O−、R10C=NO−、R10CNO−、R10N−及び−(OSiR10(OSiR1011)から選択される一価の基(R、R10及びR11は同一でも異なっていてもよく、各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、RはR、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、RはR、R、水素原子又は−[O(R12O)]0.5 −基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)、Rは炭素数1〜18の二価の炭化水素基、Rは炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。
上記一般式(II)において、R、R、R10及びR11は同一でも異なっていてもよく、好ましくは各々炭素数1〜18の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、Rが炭素数1〜18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R12は直鎖、環状又は分枝のアルキレン基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。Rは例えば炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよい。このRとしては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を好ましく挙げることができる。
上記一般式(II)におけるR、R、R、R10及びR11の炭素数1〜18の一価の炭化水素基の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記一般式(II)におけるR12の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
前記一般式(II)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(General Electric Silicones社製、商標:NXTシラン)が特に好ましい。

式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基又は水素原子であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。R16は一般式
(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)のいずれかの二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。
上記一般式(III)で表わされるシランカップリング剤(C)の具体例として、
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH10−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S2.5−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH10−S−(CH10−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH
平均組成式(CHCHO)Si−(CH−S−(CH−S−(CH−S−(CH−S−(CH−Si(OCHCH等で表される化合物が好適に挙げられる

式中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、複数あるGは同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、複数あるZは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる官能基であり、且つ [−0−]0.5、[−0−G−]0.5及び[−O−G−O−] 0.5から選ばれる官能基であり、複数あるZは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる官能基であり、且つ [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、複数あるZは同一でも異なっていてもよく、各々−Cl、−Br、−OR、RC(=O)O−、RC=NO−、RN−、R−及びHO−G−O−(Gは上記表記と一致する。)から選ばれる官能基であり、R及びRは各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v及びwは、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、且つ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZ 、Z 及びZ それぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、B部が複数である場合、複数のB部におけるZ 、Z 及びZ それぞれにおいて、同一でも異なってもよい。
上記一般式(IV)で表わされるシランカップリング剤の具体例として、化学式(V)、化学式(VI)及び化学式(VII)が挙げられる。

式中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、x=m、y=nである。
化学式(V)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Low−V Silane」、が市販品として入手できる。
また、化学式(VI)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Ultra Low−V Silane」、が同様に市販品として入手することができる。
更に、化学式(VII)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標、「NXT−Z」として挙げることができる。
上記一般式(II)、化学式(V)及び化学式(VI)で得られるシランカップリング剤は、保護されたメルカプト基を有するので、加硫工程以前の工程での加工中に初期加硫(スコーチ)の発生を防止することができるため、加工性が良好となる。
また、化学式(V)、(VI)及び(VII)で得られるシランカップリング剤はアルコキシシラン炭素数が多いため、揮発性化合物VOC(特にアルコール)の発生が少なく、作業環境上好ましい。また、化学式(VII)のシランカップリング剤はタイヤ性能として低発熱性を得ることから更に好ましい。
本発明に係るシランカップリング剤は、上記一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物の内、上記一般式(I)で表わされる化合物が特に好ましい。加硫促進剤はゴム成分と反応するポリスルフィド結合部位の活性化を起こし易いからである。
本発明においては、シランカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物のシランカップリング剤の配合量は、質量比{シランカップリング剤/シリカ}が(1/100)〜(20/100)であることが好ましい。(1/100)以上であれば、ゴム組成物の低発熱性向上の効果をより好適に発揮することとなり、(20/100)以下であれば、ゴム組成物のコストが低減し、経済性が向上するからである。更には質量比(3/100)〜(20/100)であることがより好ましく、質量比(4/100)〜(10/100)であることが特に好ましい。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
〔硫黄〕
本実施形態に係るゴム組成物に配合可能な加硫剤としては、硫黄等が挙げられる。硫黄成分としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、及び高分散性硫黄等が挙げられ、粉末硫黄が好ましい。
加硫剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、更に好ましくは1.0質量部以上5.0質量部以下である。0.1質量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低燃費性が低下するおそれがあり、10質量部を超えるとゴム弾性が失われる原因となる。
また、加硫後のゴムの耐久性の観点から、硫黄架橋により形成されるモノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合のうちポリスルフィド結合の比率(ポリスルフィド結合/{モノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合の総和}の比)が0.5〜0.9であり、0.55〜0.70であることがより好ましい。
〔その他の成分〕
本実施形態に係るゴム組成物には、必要に応じて適宜他の成分が含まれていてもよい。例えば、充填材、軟化剤、カップリング剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、遅延剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、老化防止剤など、ゴム工業界で通常使用されている適当量の配合剤を適宜配合することができる。
(加硫遅延剤)
本実施形態に係るゴム組成物に配合可能な加硫遅延剤としては、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)、スルホンアミド誘導体、ジフェニルウレア、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト等が例示され、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(CTP)が好ましく用いられる。
(プロセスオイル)
本実施形態に係るゴム組成物に配合可能な軟化剤として用いられるプロセスオイルとしては、SBRとの相溶性の観点から、芳香族系オイルが用いられる。また、低温特性を重視する観点から、ナフテン系オイル又はパラフィン系オイルが用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0質量部以上100質量部以下が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低燃費性(低発熱性)が悪化するのを抑制することができる。
(老化防止剤)
本実施形態に係るゴム組成物に配合可能な老化防止剤としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の436〜443頁に記載されるものが挙げられる。これらの中でも、例えば、3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。
老化防止剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましく、更に好ましくは0.3質量部以上3.0質量部以下である。
(有機酸)
本実施形態に係るゴム組成物に配合可能な有機酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸並びにロジン酸や変性ロジン酸等の樹脂酸などが挙げられる。
本実施形態に係るゴム組成物の製造方法においては、上記有機酸の内、加硫促進助剤としての機能を十分に発揮する必要があることから有機酸中の50モル%以上がステアリン酸であることが好ましい。有機酸中の50モル%以下は、スチレン−ブタジエン共重合体を乳化重合で作製した場合に含まれるロジン酸(変性ロジン酸も包含される。)及び/又は脂肪酸であってもよい。
[ゴム組成物の調製、空気入りタイヤの作製]
本発明のゴム組成物は、前記配合処方により、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、空気入りタイヤのトレッド、特にトレッド接地部として好適に用いられる。
本発明のゴム組成物をトレッドに用いて通常のタイヤの製造方法によってタイヤが製造される。すなわち、前記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階で各部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
このようにして、低発熱性及びウエット制動性能の良好なタイヤ、特に空気入りタイヤを得ることができる。
ゴム組成物を加硫させた後の加硫ゴムが、耐久性の観点から、JIS K6251:2010に準拠した引張り試験における300%仲張時の応力M300において、9MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがさらに好ましい。
〔空気入りタイヤ〕
本発明の空気入りタイヤは、前記本発明のゴム組成物を少なくとも用いてなり、好ましくは少なくともトレッドに用いてなる。前記空気入りタイヤにおいて、前記トレッド以外に前記本発明のゴム組成物が適用される部位としては、特に制限はないが、例えば、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、サイドゴム、ビードフィラー、ゴムチェーファーゴム、インナーライナーゴム等が挙げられる。本発明の空気入りタイヤは、前記本発明のゴム組成物を用いること以外は、特に制限はなく、公知の空気入りタイヤの構成をそのまま採用することができる。
前記空気入りタイヤの一例としては、1対のビード部、該ビード部にトロイド状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウン部をたが締めするベルト及びトレッドを有してなる空気入りタイヤなどが好適に挙げられる。本発明の空気入りタイヤは、ラジアル構造を有していてもよいし、バイアス構造を有していてもよい。
前記トレッドは、一般に、直接路面に接地する上層のキャップ部と、このキャップ部の空気入りタイヤの内側に隣接して配置される下層のベース部とから構成されており、いわゆるキャップ・ベース構造を有する。本発明においては、該キャップ・ベース構造の一部又は全部が前記本発明のゴム組成物で形成されていてもよいが、少なくとも前記キャップ部が前記本発明のゴム組成物で形成されているのが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、その製造方法につき特に制限はないが、例えば、以下のようにして製造することができる。即ち、まず、前記本発明のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物を、生空気入りタイヤケースのクラウン部に予め貼り付けられた未加硫のベース部の上に貼り付ける。そして、所定のモールドで所定温度、所定圧力の下で加硫成形することにより製造することができる。
本発明の空気入りタイヤは、いわゆる乗用車用のみならず、トラック・バス用等の各種の乗物にも好適に適用することができる。本発明の空気入りタイヤは、前記本発明のゴム組成物を用いているため、熱履歴による経時的な硬化が効果的に抑制され、特に走行性に大きな影響を及ぼすトレッドに前記ゴム組成物を用いた場合、操縦性及び乗り心地性を高いレベルで両立し、その経時的な持続性に優れる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は、実施例に限定されない。なお、以下の記載中、特別に記載がない場合、「%」及び「部」の表示はすべて「質量%」及び「質量部」を表す。また、表中の添加量の記載は、いずれも「質量部」である。なお、各種の測定及び評価法は下記の方法に基づいて行った。
実施例1〜4および比較例1〜4
<サンプルの調製>
表1に示す配合(質量部)において、加硫系(加硫促進剤、加硫促進助剤、硫黄)を除く成分を1.5リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、ミキサー外に放出させて室温冷却した。続いて、該組成物を同バンバリーミキサーに再度入れ、加硫系を加えて混練し、タイヤトレッド用ゴム組成物を得た。次に得られたタイヤトレッド用ゴム組成物を所定の金型中で170℃で10分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を調製した。得られた加硫ゴム試験片について以下に示す試験法で物性を測定した。
<加硫速度t(10)の測定方法>
JIS K6300−2:2001に準拠して、温度160℃±1℃で測定した加硫トルクカーブの最大値の10%を得るまでに要する時間(分)を測定した。この加硫速度t(10)は、耐スコーチ性を示す指標であり、値が小さい程、架橋反応が始まるまでの誘導期間が短くスコーチし易い(耐スコーチ性が悪い)ことを表す。
<加硫速度t(90)の測定方法〕
JIS K6300−2:2001に準拠して、温度160℃±1℃で測定した加硫トルクカーブの最大値の90%を得るまでに要する時間(分)を測定した。この加硫速度t(90)は、加硫完了までの加硫速度の指標を示すものであり、加硫がほぼ完了する加硫速度:{t(90)−t(10)}(すなわち、t(Δ80))値が小さいほど加硫速度が速いことを表す。
<M300
JIS K6251:2010に準拠して、引張り試験を行い、その300%伸張時の応力をM300とした。数値が大きいほどM300が高いことを表す。
<ポリスルフィド結合/{モノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合の総和}の比>
D.S. Campbell著、Rubber and Chemistry Technology Vol.43 (1970) p.210 で述べられた方法に基づいて評価を実施した。手順の概要は以下の通りである。
1mm厚スラブを作製し、1cm×1cm程度の面積で2枚切り抜いた。それぞれ、次の方法で薬液浸漬・乾燥を行い、浸漬前、浸漬後、室温乾燥後の計3度秤量した。1枚目(全スルフィド結合密度の総和:ν):n−ヘプタンに24時間浸漬させた後、乾燥させた。2枚目(モノスルフィド結合およびジスルフィド結合密度の和:ν’):n−ヘプタンに24時間浸漬させた後、プロパン−2−チオールとピペリジンをそれぞれ濃度が0.4Mになるように加え、2時間置後に石油エーテルで抽出し、最後に乾燥させた。
秤量値から、Flory-Rhenerの理論式を用いてνおよびν’を求め、(ν―ν’)/νによってポリスルフィド結合/{モノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合の総和}の比を得た。
*1:旭化成株式会社製溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、商品名「タフデン2000」
*2:東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET表面積205m/g)
*3:ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*4:三共油化工業株式会社製、プロセスオイル、商品名「A/O MIX」
*5:鶴見化学工業株式会社製、金華印油入微粉硫黄
*6:日油株式会社製、商品名「ビーズステアリン酸 YR」
*7:正同化学工業株式会社製、酸化亜鉛3種
*8:1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD」、pKa11以上の塩基を含む加硫促進剤
*9: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラー DM」、加硫促進剤
*10:N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラー CM」、加硫促進剤
*11:2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラー HM」、pKa11未満の塩基を含む加硫促進剤
*12:加硫促進剤TBBS: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラー NS」
*13:テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーTOT」、チウラム系加硫促進剤
[評価結果]
実施例1〜3は、DPGを加硫促進剤に用いた比較例1と同等程度の加硫速度及びゴム特性を有することが分かる。一方、本発明の範囲を超える比較例2、4については、加硫速度の制御がうまくいかず、ゴム特性も劣ることが分かる。また、実施例4はCMBTを用いても亜鉛華が少ないためt(10)が速くなり、比較例4は亜鉛華が多いためt(10)と{t(90)−t(10)}が遅すぎてしまう。

Claims (7)

  1. ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを30〜100質量部、pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤を0.5〜4.0質量部、ジフェニルグアニジンを0.1質量部以下、亜鉛華を2.0質量部以下で含み、
    前記加硫促進剤における、ベンゾチアゾリル基の総モル数に対するpKa11未満の塩基の総モル数のモル比(pKa11未満の塩基の総モル数/ベンゾチアゾリル基の総モル数のモル比)が1.2以下であり、
    さらに、硫黄を含み、硫黄架橋により形成されるモノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合のうちポリスルフィド結合の比率(ポリスルフィド結合/{モノスルフィド結合、ジスルフィド結合及びポリスルフィド結合の総和}の比)が0.5〜0.9である、ゴム組成物であって、前記pKa11未満の塩基及びベンゾチアゾール化合物を含む加硫促進剤が、メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩と、スルフェンアミド類と、チアゾール類と、を含む加硫促進剤である、タイヤ用のゴム組成物。
  2. 前記メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩が、シクロヘキシルアミン塩である請求項1記載のゴム組成物。
  3. 前記メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩に対する亜鉛華のモル比(亜鉛華/メルカプトベンゾチアゾールのアミン塩のモル比)が3.0〜7.0である、請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ジエン系ゴムが、スチレンーブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、天然ゴム、及びイソプレンゴムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. JIS K6251:2010に準拠した引張り試験における300%仲張時の応力M300において、ゴム組成物を加硫させた後の加硫ゴムが9MPa以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いた、空気入りタイヤ。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載のゴム組成物を少なくともトレッドに用いた、空気入りタイヤ。
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