JP5304984B2 - マイクロカプセルおよびマイクロカプセル含有硬化性樹脂組成物 - Google Patents

マイクロカプセルおよびマイクロカプセル含有硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性樹脂の硬化剤または硬化促進剤として最適な液状のアミン化合物を含有したマイクロカプセル及びマイクロカプセルを用いた硬化性樹脂組成物に関する。
一般に接着剤、シール剤、コーティング剤などの用途に用いられている、エポキシ樹脂をはじめとした熱硬化性樹脂組成物には、架橋、硬化反応のための成分として硬化剤が、また硬化性を向上するための成分として硬化促進剤が添加されている。特に一液にするために潜在性を持たせた硬化剤又は硬化促進剤としてエポキシアダクト化合物、有機リン系化合物、有機アミン系化合物、イミダゾール誘導体系化合物などが知られており、特に有機アミン系化合物は液状の硬化剤又は硬化促進剤として用いられる。
エポキシアダクト化合物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂とアミン化合物が途中段階まで反応した反応生成物が一般的に使用される。エポキシ樹脂の硬化剤又は硬化促進剤としてエポキシアダクト化合物を微粉砕した粉体を使用する事が知られている。エポキシアダクト化合物の粉体において表面にエポキシ樹脂を反応させてシェルを形成するという手法が特許文献1に示されているが、製造工程が複雑で製造に際してはかなりの精度が求められる。また、核になる粉体が既にエポキシ樹脂をアダクトしたアミン化合物なので、既にアミンの反応性が低下しておりシェルを形成するのにかなりの時間を要している。これらエポキシアダクト化合物は通常反応性が高く取扱いが容易だが、成分の構成によっては硬化が充分に進まずに満足のいく硬化物特性が得られないことも有る。また、このエポキシアダクト化合物はエポキシ基を有する化合物に練り込んだ時、硬化剤表面のアミン構造に由来すると思われる揺変性(チクソ)が発現し易く、性状の関係で取り扱いに支障を来すため添加量を制限する必要が出てくる。当然、添加量が少なくなると硬化性が低下するという問題点も発生する。
有機リン系化合物は、エポキシ樹脂をフェノールノボラックで硬化させるときの触媒として有用ではあるが、固形であるため分散しづらいという欠点を有しており、分散性を向上する為、微粉末状にして用いられているが、分散法として不満足であり、又、この方法では、触媒の潜伏性の賦与は行えない。液状の有機アミン系化合物又はイミダゾール誘導体は、エポキシ樹脂やフェノール樹脂の硬化剤あるいは触媒として多用されているが、独特の臭気や毒性を有するものが多く、又、一旦触媒を添加すると可使時間が極めて短くなる。また、固形のものの場合は分散しづらいなどの問題点がある。可使時間については、特殊なイミダゾール塩にすることにより、ある程度潜伏性を持たすことが出来る。即ち原料への分散工程、混練工程、賦形工程は触媒能発現温度以下で行い、架橋工程は触媒能発現温度以上で行うことが可能な場合もある。しかしながら、その効果は不完全なものであり、硬化反応が遅くなると言う欠点も有している。
ところで、アミン系硬化剤/硬化促進剤として化1で表されるDBU(1,8‐ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ‐7‐エン)、化2で表されるDBN(1,5‐ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ‐5‐エン)という化合物が知られている。DBU、DBNは有機化合物では最も強い塩基性を示すものの一つであり、その強塩基性、安定性及び有機溶媒に対する広い範囲の溶解性により、エポキシ樹脂などのアミン化合物により硬化が進む硬化系では強力な硬化促進剤として使用されている。
DBU,DBNを含む強塩基性化合物は、硬化性樹脂組成物の硬化剤として用いた場合、その塩基性の高さから硬化反応が極めて迅速に進むものの、単純に硬化性樹脂と混合するだけでは保存性を維持することが難しく、作業性や取扱いに優れた一液型の硬化性樹脂組成物に用いることが困難であった。
そこで、DBU、DBNなどの硬化促進剤に硬化性樹脂組成物中での保存性を付与する目的で、DBU、DBNをマイクロカプセル化するという研究がこれまでに行われてきた。特許文献2では、DBUを含む液状アミン化合物を界面沈殿法、界面重合法、液中硬化被膜法などによりマイクロカプセル化するという手法が例示されている。これら一般的なカプセル化手法は少なくとも水、溶剤のいずれかを使用し、アミン化合物を溶解させる相溶系にて反応を行うため、均一なマイクロカプセルを取り出すことは困難であった。特にDBN、DBUは水や溶剤と相溶性が非常に良いため、前記の手法によるカプセル化では均一なカプセルを高い収率で取り出すことは極めて困難であった。さらに、これら一般的なカプセル化手法ではカプセルを合成するための加熱や長時間の撹拌を伴うため、カプセルが形成されたとしてもマイクロカプセルから液状アミン化合物が溶出するという問題も有る。
一方、特許文献3〜5は硬化促進剤となりうる成分を微粒子に吸収させマイクロカプセル化させる技術について報告してある。特許文献3及び4は単純に微粒子に硬化促進剤となりうる成分を吸収させたのみであり、弱い刺激で容易にカプセル内容物を溶出させ得る。そのため、硬化性樹脂と混合しただけで容易に硬化反応するという問題があり、液状の硬化促進剤となる成分を固形状にして取り扱い性を容易にしただけのものである。
さらに特許文献5では、DBUを含むアミン系触媒を微粒粉末に担持させた後、この微粒粉末の表面に固形成分をコートさせることにより微粒粉末をカプセル化するという手法がとられている。しかしながらこの方法では、表面をただ固形成分でコートしているに過ぎないため、熱や機械的な刺激などの影響により容易に固形成分被膜が破壊され、安定したマイクロカプセルを得ることができない。
特公平7−5708号公報 特開平1−287131号公報 特開平7−323668号公報 特開2001−55473号公報 特開平8−157570号公報
上記のような技術により製造された液状アミン化合物のマイクロカプセルは、品質の安定化が困難であった。また、硬化性樹脂と混合して硬化剤又は硬化促進剤として用いた時、取扱い性と保存安定性を両立することができないため、この用途に耐え得るものではなかった。これらの特性を満足する様な現実的なマイクロカプセルのシェル成分とシェル形成方法が案出されていなかった。
本発明者らは上記の事情を鑑み、これらの課題を改善するべく鋭意検討した結果、DBUやDBNをはじめとする液状アミン化合物を簡易に、品質のばらつきが少なくマイクロカプセル化することができ、またそのマイクロカプセルは硬化性樹脂の硬化剤又は硬化促進剤として用いたときに安定性に優れているため、保存安定性に優れた1液型の硬化性樹脂組成物を形成することのできるマイクロカプセルの製造方法を発明し、特許出願するに至った。
本発明の要旨を以下に説明する。本発明の第1の形態は以下の(A)〜(C)成分を構成成分とし、(B)成分をカプセル担体として(A)成分を吸収させ、該(B)成分の表面上に存在する(A)成分と(C)成分を反応処理して被膜を形成してなるマイクロカプセルである。
(A)成分 酸解離定数(pKa)が8.0以上である液状のアミン化合物又はその有機酸塩
(B)成分 前記(A)成分を吸収することができる多孔質微粒子粉
(C)成分 酸無水物
本発明の第2の形態は、前記(A)成分がDBU、DBN、トリエチレンジアミン、これらを主骨格とする誘導体またはこれらの有機酸塩より選ばれる少なくとも1種からなるマイクロカプセルである。
本発明の第3の形態は、前記(C)成分が可塑剤を含む酸無水物であるマイクロカプセルである。
本発明の第4の形態は、前記マイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
本発明の第5の形態は、前記硬化性樹脂組成物が、エポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、ビニル基を有する化合物より選ばれる少なくとも1種の硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物である。ここで硬化性樹脂とは1分子内に反応性を有する官能基を1以上有し、これらが重合や付加などの化学反応により硬化物になる化合物のことを指す。
本発明の第6の形態は、前記第4の形態における硬化性樹脂組成物が、エポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物より選ばれる少なくとも1種の硬化性樹脂とポリアミン化合物、ポリフェノール化合物、ポリチオール化合物、酸無水物より選ばれる少なくとも1種の硬化剤と前記マイクロカプセルを硬化促進剤として含む硬化性樹脂組成物である。
本発明では、硬化性樹脂の硬化促進剤として最適な液状のアミン化合物を含有したマイクロカプセルを用いることで、保存安定性と硬化性を両立できる硬化性樹脂組成物を提供する。
以下に本発明の詳細について説明する。本発明の(A)成分は、酸解離定数(pKa)が8.0以上の液状のアミン化合物である。ここで酸解離定数とは、酸の強さを定量的に表すための指標のひとつであり、酸からプロトンが放出される解離反応の平衡定数(Ka)の負の常用対数で表される。pKaの値は大きいほど強い塩基であることを示す。
本発明で用いることのできる(A)成分としては、pKaが8.0以上の液状アミン化合物であれば特に限定はなく、例えばDBU(pKa12.7)、DBN(pKa12.5)、ジオルソトリルグアニジン(pKa10.8)、ラウリルアミン(pKa10.6)、ジフェニルグアニジン(pKa10.1)、ジベンチルアミン(pKa9.7)、トリエチレンジアミン(pKa8.8)などが挙げられる。特にDBU、DBN、トリエチレンジアミンは求核性が強く、後述の(C)成分と容易に反応してカプセルのシェル部を形成することができるため、DBU、DBN、トリエチレンジアミンもしくはこれらの化合物の誘導体単独で、あるいはDBU、DBN、トリエチレンジアミンのカルボン酸、スルホン酸、フェノール類などとの有機酸塩として用いることが好ましい。
pKaが8.0以下の液状のアミン化合物を用いた場合、カプセル被膜を形成する工程に於いて(C)成分である酸無水物との反応が迅速に進行せず、加熱しないと反応が進まない。他方、高温の状態を維持すると(A)成分を吸収した多孔質微粒子粉(B)成分から前記(A)成分が漏出してしまうため、安定してカプセル被膜を形成させることができず、該カプセルを硬化性樹脂組成物に配合した時に保存安定性に問題が発生する。
本発明で用いることのできる(B)成分としては、前記(A)成分を吸収することができる多孔質微粒子粉であれば特に限定はなく、材質の具体例としてはカーボンブラック、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、湿式シリカ、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のケイ酸塩、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、スズ、鉄、コバルト、ニッケル等の酸化物や窒化物などが挙げられるが、特に平均粒子径20μm以下の多孔質シリカ粉が好ましい。平均粒子径20μm以下の多孔質シリカ粉として市販されているものには、例えばゴッドボール(シリカ製の球状粉、中空球状粉)(鈴木油脂工業株式会社製)、ミズカエース(ケイ酸製の不定形粉)(水沢化学工業株式会社製)などがあり、用途に応じて粒径等を適宣選択することができる。多孔質微粒子の平均粒子径が20μmを越えると、本発明のカプセルを硬化性樹脂と混合した際に粘度が高くなり過ぎるため硬化性樹脂組成物の塗工性が低下し、また保存中に分離・沈降し易くなってしまう。
本発明の(B)成分である多孔質微粒子粉の吸収性の指標としては、JIS−K−5101に規定された吸油量の測定において、50〜500ml/100gの範囲にあることが好ましい。
ここで、本発明において(B)成分を使用する目的は、前記(A)成分を擬似的に固体化するためである。
本発明で用いることのできる(C)成分としては室温において液状であり、その主成分である酸無水物が(A)成分により重合してカプセル被膜を形成し得るものであれば特に限定はない。例えばドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、テトラブロモ無水フタル酸などが挙げられる。具体的には日立化成工業株式会社製のHN−2200、HN−2000、HN−5500、MHAC−Pや新日本理化株式会社製のリカシッドTH、HT−1A、HH、MH−700、MH−700G、HNA−100、TMEG−S、TMEG−100、TMEG−200、TMEG−500、TMEG−600、TMTA−C、TMA−15、DDSA、HF−08、SA、DSDA、TMEG−100、TDA−100、BT−100や大日本インキ化学工業株式会社製 EPICLON B−570、B−650、B−4400などが挙げられる。室温で固体の酸無水物でも室温で液体の酸無水物に溶かして、結果的に室温で液体にすれば使用することができる。
強塩基である前記(A)成分と室温で短時間に反応してカプセルの殻を形成し得る化合物としては、本発明に不可欠であるのは上記に代表される酸無水物であり、前記(A)成分と(C)成分を組み合わせることにより本発明を達成できる。すなわち、本発明において前記成分(A)を吸収した多孔質微粒子粉(B)成分の表面には該(A)成分が残留しており、この残留した(A)成分と(C)成分が反応することによりカプセル担体たる(B)成分表面上にカプセル殻が形成される。
なお前記(C)成分が、前記酸無水物と相溶しやすい可塑剤を含むことでカプセルの脆さを制御することもできる。すなわち、可塑剤を増量することでカプセルを脆くすることができ、減量することで剛くすることができる。ここで用いることのできる可塑剤としては、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、ポリエステル系などが好ましく挙げられる。(C)成分と可塑剤の比率としては、(C)成分100重量部に対して可塑剤が0.1〜50重量部であることが好ましい。
カプセルを形成するための具体的手法としては、(A)成分と(B)成分を撹拌機などにより混練して(A)成分を充分に(B)成分に吸収させる。このとき吸収熱が発生する場合もあるため、発熱した場合は放置して室温になるまで冷却する。該混合物に洗浄用溶剤を添加して更に撹拌した後、吸引濾過などにより固形分を濾過して熱風乾燥炉などにより溶剤を揮発させて粉体を回収する。一連の工程が終了した(B)成分の表面には(A)成分が残留している。次に(C)成分の液相中に該(B)成分を添加し撹拌機などにより混合撹拌することにより(A)成分と(C)成分の反応を行う。その後、洗浄用溶剤を添加して更に撹拌した後、吸引濾過などにより固形分を濾過して熱風乾燥炉などにより溶剤を揮発させることにより残った固形分を回収する。この固形分がマイクロカプセル化された液状のアミン化合物である。
前記(A)成分および(C)成分がカプセル被膜を形成するメカニズムについては完全に解明されていないが、カプセル担体である多孔質微粒子粉上に存在している前記(A)成分、すなわちpKaが8.0以上である強塩基の液状アミン化合物が酸無水物を開環させ、生成したカルボキシアニオンが別の(C)成分と反応して化3に示す様な構造に高分子化していくものではないかと考えられる。
(R1、R2は(C)成分の各酸無水物に由来した炭化水素基を示す)
化4の様なエポキシ基を有する化合物、化5の様なエピチオ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、ビニル基を有する化合物などはアミン化合物を硬化剤あるいは硬化促進剤として反応する化合物であることから、(A)成分であるアミン化合物は前記の硬化性樹脂に対し硬化剤あるいは硬化促進剤として使用できるため、本発明のマイクロカプセルは硬化性樹脂に対して潜在性を持った硬化剤または硬化促進剤として用いることができる。なお、硬化性樹脂はそれぞれ分子内に反応性のエポキシ基、エピチオ基、イソシアネート基、ビニル基を1つ以上持つ化合物を指し、この条件に該当するものであれば限定はなく、さらに分子内に他の官能基を同時に持っていてもかまわない。
エポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物に対しては本発明構成中の(B)成分であるアミン化合物は硬化剤として使用できる。その機構としては、アミン化合物がアニオンとなりエポキシ基同士を開環重合させる役割を果たすというものである。一方、エポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物と共にポリアミン化合物、ポリフェノール化合物、ポリチオール化合物、酸無水物を硬化剤として組み合わせれば、前記アミン化合物は硬化促進剤として使用できる。その機構としては、前記アミン化合物がポリアミン化合物、ポリフェノール化合物などの活性水素を遊離させ、これらを複数のエポキシ基もしくはエピチオ基と反応させるというものである。さらに、ビニル基を有する化合物に対しては、前記アミン化合物はアニオン重合させるための硬化剤として使用できると共に、有機過酸化物と組み合わせることにより硬化促進剤としてラジカル重合に使用する事ができる。その機構としては、アミン化合物が有機過酸化物の分解を促進させラジカル種を発生しやすくさせるというものである。
エポキシ基を有する化合物の具体例としては、エピクロルヒドリンとビスフェノール類などの多価フェノール類や多価アルコールとの縮合によって得られるもので、例えばビスフェノールA型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、ノボラック型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、テトラフェニロールエタン型などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を例示することができる。その他エピクロルヒドリンとフタル酸誘導体や脂肪酸などのカルボン酸との縮合によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとアミン類、シアヌル酸類、ヒダントイン類との反応によって得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、さらには様々な方法で変性したエポキシ樹脂を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エピチオ基を有する化合物は刊行物や特許文献の中でチイラン化合物と表記していることが多い。エピチオ基を有する化合物の具体例としては、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
イソシアネート基を有する化合物の具体例としては、芳香族ジイソシアネートには、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートなどが例示され、脂肪族ジイソシアネートには、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネートなどが例示される。また、脂環族ジイソシアネートとしては、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネートなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
ビニル基を有する化合物としては、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基を有する化合物が好ましい。アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基を有する化合物としては単官能、2官能、3官能、多官能のモノマーやオリゴマーが有り、アミン化合物によりモノマーやオリゴマーをアニオン重合反応させてポリマー化する場合と、有機過酸化物とアミン化合物によりラジカル種を発生させてをラジカル重合反応させてポリマー化する場合がある。(以下、アクリル、メタクリルを総称して(メタ)アクリルと呼ぶ)
(メタ)アクリル基を有する単官能化合物としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート 、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下ECHと略記)変性ブチル(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(以下EOと略記)変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
二官能化合物としては、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイドサイド(以下POと略記)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ECH変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、EO変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
三官能化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ECH変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
多官能化合物としてはジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
アクリルオリゴマーとしては、ビスフェノールA型、ノボラック型、多価アルコール型、多塩基酸型、ポリブタジエン型のエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル型、ポリエーテル型のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ビニルエーテル基を有する化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,2−ブタンジオールジビニルエーテル、2,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、2−メチル−1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジオールジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジビニルエーテル、p−キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、テトラプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールプロピレングリコール共重合体ジビニルエーテルなどが上げられるがこれに限定されるものではない。
前記(メタ)アクリル化合物をラジカル重合させる際に用いる前記有機過酸化物の具体例しては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジn−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカルボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジt−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート等のパーオキシエステル類;およびアセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記で挙げたそれぞれの硬化性樹脂に対して本発明のマイクロカプセルは硬化剤または硬化促進剤として用いることができ、特にエポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物に対する硬化促進剤として好適に用いることができる。このとき、エポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物を硬化する硬化剤として分子内に2以上のアミノ基を有するポリアミン化合物、分子内に2以上のフェノール基を有するポリフェノール化合物、分子内に2以上のチオール基を有するポリチオール化合物または酸無水物と併用することが特に本発明においては好ましい。
前記ポリアミン化合物の具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジド、ピペリジンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
前記ポリフェノール化合物の具体例としては、フェノール、アルキルフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等のアルデヒド類とを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂及び、これらの変性フェノールノボラック樹脂であるザイログ型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、多官能型フェノール樹脂等の多価フェノール樹脂などが挙げられるが、限定されるものではない。特に室温で液状のポリフェノール化合物が好ましい。
前記ポリチオール化合物の具体例としては、3−メトキシブチル3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル3−メルカプトプロピオネート、トリデシル3−メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、メチルチオグリコレート、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、1,4−ブタンジチオール、3−メルカプト2−ブタノール、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチル−2,4,6−トリメチルベンゼン、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物、ポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
酸無水物の具体例としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、テトラブロモ無水フタル酸、無水ヘッド酸など環状の酸無水物が好ましいが、これに限定されるものではない。また、1分子中に2以上の酸無水物骨格を有するポリマー型の酸無水物で、具体的には株式会社クラレ製のLIR403、LIR−410やダイセル化学工業株式会社製のVEMAなども使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において顔料、染料などの着色剤、金属粉、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の無機充填剤、難燃剤、有機充填剤、可塑剤、酸化防止剤、消泡剤、シラン系カップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、溶剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により樹脂強度・接着強さ・作業性・保存性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
第一工程
DBU(サンアプロ株式会社製)200gとB−6C(鈴木油脂工業株式会社製 多孔質・中空シリカタイプ)100gをビーカーに入れて30分撹拌する。吸収時に発熱するため撹拌後に2時間放置して室温に戻す。300gのメチルエチルケトン(以下、MEKと言う)を添加して30分撹拌する。有限会社桐山製作所製のロート(通称、桐山ロート)にNo.3の濾紙により吸引濾過を行い、吸収されなかった余分なDBUと洗浄用に添加したMEKを濾過する。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。(以後、第一工程で処理を行った粉体を処理済み粉体と呼ぶ)
第二工程
処理済み粉体 100gに3又は4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸(NH−2200R 日立化成工業株式会社製)200gを添加して30分撹拌する。撹拌終了後にMEKを300g添加してさらに30分撹拌する。桐山ロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行う。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
[実施例2、実施例3、比較例1]
アミン化合物としてDBUに替わり、表1の様にDBN、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンを使用した他は実施例1と同様の処方にてカプセルの調製を行った。
[比較例2〜15]
多孔質微粉末に吸収させた液状アミン化合物を潜在化させる手法として以下の3つの手法を行った。それぞれの方法に用いた原料は表2に記載した。
(1)(C)成分に該当する酸無水物の代わりに、室温にて液状アミンと短時間で硬化反応する化合物を用いて、(B)成分表面に残留した液状アミン化合物と反応させて皮膜を形成する潜在化手法(比較例2〜10)
(2)アミン化合物と配位反応する有機金属錯体により処理することでアミン化合物の活性を低下させる潜在化方法(比較例11〜12)
(3)ワックス等の非反応系の材料を用いて皮膜を形成して物理的に遮蔽する、乾式混合法による機械的な潜在化手法(比較例13〜15)。なお、この手法ではカプセル材料は固体のまま投入されるため溶剤を使用しない。市販の装置としては、ホソカワミクロン株式会社のAMSシリーズや株式会社奈良機械製作所のHYBRIDIZERシリーズなどが用いられる。
[比較例2〜10]
第一工程
DBU 200gとB−6C 100gをビーカーに入れて30分撹拌する。吸収時に発熱するため撹拌後に2時間放置して室温に戻す。300gのMEKを添加して30分撹拌する。桐山ロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行い、吸収されなかった余分なDBUと洗浄用に添加したMEKを濾過する。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
第二工程
処理済み粉体100gに比較例〜10に使用する原料200gを添加して30分撹拌する。撹拌終了後にMEKを300g添加してさらに30分撹拌する。桐山ロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行う。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
[比較例1112]
第一工程
DBU 200gとB−6C 100gをビーカーに入れて30分撹拌する。吸収時に発熱するため撹拌後に2時間放置して室温に戻す。300gのMEKを添加して30分撹拌する。桐山ロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行い、吸収されなかった余分なDBUと洗浄用に添加したMEKを濾過する。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
第二工程
処理済み粉体100gに比較例11、12に使用する原料50gを添加して30分撹拌する。撹拌終了後にMEKを300g添加してさらに30分撹拌する。桐山ロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行う。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
[比較例13〜15]
第一工程
DBU 200gとB−6C 100gをビーカーに入れて30分撹拌する。吸収時に発熱するため撹拌後に2時間放置して室温に戻す。300gのMEKを添加して30分撹拌する。桐山ロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行い、吸収されなかった余分なDBUと洗浄用に添加したMEKを濾過する。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
第二工程
奈良機械製作所株式会社製 ハイブリダイゼーションシステム NHS−0型で乾式カプセル化処理を行った。処理済み粉体 10gに比較例13〜15に使用する原料10g添加して9700m/sで1分間処理する。処理品は掻き取って回収する。
[第二工程の状態]
実施例や比較例の第二工程において潜在化処理中の状態を目視にて確認する。処理中に反応が進み増粘して流動性が無くなった場合は不合格(NG)とし、流動性が有る場合を合格(OK)と表した。試験結果を表3の「第二工程の状態」に示す。(以下、第二工程の状態とはこの方法による)
[初期保存性]
ビスフェノール型エポキシ樹脂(エピクロンEXA−835LV 大日本インキ化学工業株式会社製)100重量部とポリチオール化合物であるjERキュアQX40(ジャパンエポキシレジン株式会社製)50重量部の混合物を検定液としてカプセル化の有無を確認した。エポキシ樹脂とポリチオール化合物の混合物にDBUを添加すると急激に発熱して瞬時に硬化するそのため、前記検定液中に実施例及び比較例にて調製した粉体を添加し、その後の状態を目視にて確認し、合否を判定した。評価条件としては、検定液30重量部に対して実施例1〜3および比較例4、5、10、11、13、14、15をそれぞれ5重量部を添加して撹拌し、25℃に静置した時に1時間以内に反応が進み増粘して流動性が無くなった場合は不合格(NG)とし、流動性が有る場合を合格(OK)表した。試験結果を表3の「初期保存性」に示す。ただし、「第二工程の状態」でNGになったものは「−」で示した。(以下、初期保存性とはこの方法による)
[保存性]
初期保存性に於いて1時間以上の保存安定性を有した実施例1〜3、比較例11、13について継続して25℃で保存安定性を確認した。1日毎に5日経過時までゲル化が発生するか確認した。ゲル化とはEHD型粘度計により粘度測定限界を超えるまでの時間(日)を指す。制御温度25℃、測定時間3分、コーンローター1°23′×R24という条件で測定を行い、測定限界は100Pa・sに相当する。試験結果を表3の「保存性」に示す。ただし、「第二工程の状態」と「初期保存性」でNGになったものは「−」で示した。(以下、保存性とはこの方法による)
表3の結果から、酸無水物で処理したものが最も保存性が良いことがわかった。未処理のB−6Cと実施例1の表面状態を確認した電子顕微鏡写真を図1及び図2にそれぞれ示す。図2には部分的に癒着している部分も有り、シリカ粉の表面に樹脂層が存在することが確認できた。
酸無水物と相溶する可塑剤を添加した場合と酸無水物を他の化合物に切り替えた場合で保存性の確認を行った。実施例1で使用したNH−2200Rと新たに4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH−700 新日本理化株式会社製)を酸無水物として用いて、可塑剤としてビス(2−エチルヘキシル)セバケート(サンソサイザーDOS 新日本理化株式会社製)の添加量による保存性を確認した。試験結果を表4に示す。可塑剤を使用すると酸無水物の被膜が軟質化し、その結果容易にカプセルが破壊されるため反応性が高くなったと推測される。可塑剤の添加量を調節することで、カプセルの破壊し易さを制御することができ、従って硬化性樹脂組成物の硬化成分として用いたときは硬化性樹脂の硬化性を制御することができる。
[実施例4〜8]
第一工程
DBU200gとB−6C100gをビーカーに入れて30分撹拌する。吸収時に発熱するため撹拌後に2時間放置して室温に戻す。300gのMEKを添加して30分撹拌する。有限会社桐山製作所製のロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行い、吸収されなかった余分なDBUと洗浄用に添加したMEKを濾過する。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
第二工程
処理済み粉体100gに表4に従いNH−2200R又はリカシッドMH−700単体と酸無水物と可塑剤としてサンソサイザーDOSを混合したものを200gを添加して30分撹拌する。撹拌終了後にMEKを300g添加してさらに30分撹拌する。桐山ロートにNo.3の濾紙により吸引濾過を行う。濾過物はパレットに薄く広げて、熱風乾燥炉により40℃×2時間乾燥を行う。
[実施例9〜17]
実施例1、実施例4、実施例5で製造したマイクロカプセルを硬化促進剤として用いた硬化性樹脂組成物を製造した。エポキシ基を有する化合物としてエピクロンEXA−835LV、ポリチオール化合物としてjERキュア QX40、ポリフェノール化合物としてMEH−8005(明和化成株式会社製)、酸無水物としてリカシッドMH−700を使用して表5に従い配合した。それぞれの配合物を撹拌機で15分間撹拌し、硬化性樹脂組成物を調製した。
[比較例16〜18]
エピクロンEXA−835LV、jERキュア QX40、硬化促進剤としてエポキシアダクト型化合物のアミキュアーPN−23J(味の素ファインテクノ株式会社)、フジキュアーFXE−1000(富士化成工業株式会社)、ノバキュアーHX−3921HP(旭化成ケミカルズ株式会社)を使用して表6に従い配合した。それぞれの配合物は撹拌機で15分間撹拌し、硬化性樹脂組成物を調製した。
[硬化性確認]
以下の条件でレオメーターにより90℃と120℃の硬化挙動確認を行った。実施例9〜17、比較例16〜18について未硬化の状態から硬化が終了して粘度が変化しなくなるところまで測定を行い、粘度が変化しなくなった時間(分)を表7にまとめた。
レオメーターの仕様
メーカー:REOLOGICA社製 VAR−50
測定条件:プレシェア:10(1/s)30秒間
ジオメトリー:P25
ギャップ:1mm
測定モード:オシレーション歪制御
歪み:0.01
周波数:1Hz
[せん断接着力確認]
MEKにより洗浄済みの1.6×25×100mmのSPCC−SD鋼板2枚を2.5×10mmの範囲をオ−バーラップした面に組成物を塗布し貼り合わせ、120℃に設定した熱風乾燥炉に60分硬化させた後、25℃まで自然冷却する。その後、万能引張試験機にて引張速度10mm/minにて測定した。詳細はJIS K 6850に従う。この方法により実施例9〜17と比較例16〜18を実施し、測定結果を表7にまとめた。
[実施例18〜20]
実施例1で製造したマイクロカプセルを硬化剤として用いた硬化性樹脂組成物製造した。硬化性樹脂としてエピチオ基を有する化合物として水添ビスフェノールA型 エピコートYL7007(ジャパンエポキシレジン株式会社製)又はイソシアネート基を有する化合物としてミリオネートMR−200(日本ポリウレタン社製)又はアクリル基を有する化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(ライトアクリレートPE−4A 共栄社化学株式会社製)を用いて表に従い配合した。それぞれの配合物を撹拌機で15分間撹拌し、硬化性樹脂組成物を調製した。
[実施例21]
実施例1で製造したマイクロカプセルを硬化促進剤として用いた硬化性樹脂組成物製造した。硬化性樹脂としてジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(ライトアクリレートDCP−A 共栄社化学株式会社製)とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE 日油株式会社製)を用いて表8に従い配合した。それぞれの配合物を撹拌機で15分間撹拌し、硬化性樹脂組成物を調製した。
前記硬化性確認と同様にレオメーターにより90℃と120℃の硬化挙動確認を行った。その結果を表9に示す。
表7及び表9の結果から、一般的には反応性が低い硬化剤とされるポリフェノール化合物や酸無水物でも本発明のマイクロカプセルを硬化促進剤として用いれば90℃という低温で硬化できる事が判明した。また、表4の様に可塑剤を使用することでさらに反応性を向上させることも可能である事が確認された。この手法では保存性の低下も同時に発生するが、商業的には低温保管する事も可能であり反応性を制御する有効な手法となる。さらに、本発明のマイクロカプセルはエポキシアダクト型化合物に匹敵する保存性も兼ね備えていると共に、これも用いた樹脂組成物ではより強靱なせん断接着力が発現するとも認められた。そのため、本発明のマイクロカプセルを含む硬化性樹脂組成物は、マイクロカプセル化された強塩基性の液状アミン化合物に由来する優れた反応性を発現でき、且つ良好な保存性を兼ね備える物となることが確認できた。
本発明のマイクロカプセルは硬化性樹脂の硬化剤又は硬化促進剤として使用することにより、反応性と保存性が両立した硬化性樹脂組成物を調製することができる。この様な硬化性樹脂組成物は、保存性と反応性を兼ね備えた硬化性樹脂組成物として半導体装置の製造に用いられる実装用アンダーフィル剤や放熱用樹脂組成物、また導電性樹脂組成物など幅広い分野において有用である。
本発明における(B)成分として用いられる多孔質中空シリカ粉の走査型電子顕微鏡写真である 本発明において得られたマイクロカプセルの走査型電子顕微鏡写真の一例である

Claims (6)

  1. 以下の(A)〜(C)成分を構成成分とし、(B)成分をカプセル担体として(A)成分を吸収させ、該(B)成分の表面上に存在する(A)成分と(C)成分を反応処理して被膜を形成してなるマイクロカプセル。
    (A)成分 酸解離定数(pKa)が8.0以上である液状のアミン化合物又はその有機酸塩
    (B)成分 前記(A)成分を吸収することができる多孔質微粒子粉
    (C)成分 酸無水物
  2. 前記(A)成分が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリエチレンジアミン、これらを主骨格とする誘導体またはこれらの有機酸塩より選ばれる少なくとも1種からなる請求項1に記載のマイクロカプセル。
  3. 前記(C)成分が可塑剤を含む酸無水物である請求項1または2に記載のマイクロカプセル。
  4. 前記請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロカプセルを硬化剤又は硬化促進剤として含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  5. 前記請求項4に記載の硬化性樹脂組成物が、エポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、ビニル基を有する化合物より選ばれる少なくとも1種の硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物。
  6. 前記請求項4に記載の硬化性樹脂組成物が、エポキシ基を有する化合物、エピチオ基を有する化合物より選ばれる少なくとも1種の硬化性樹脂とポリアミン化合物、ポリフェノール化合物、ポリチオール化合物、酸無水物より選ばれる少なくとも1種の硬化剤と前記マイクロカプセルを硬化促進剤として含む硬化性樹脂組成物。
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