JP5848943B2 - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関し、更に詳しくは、ゴム組成物へのシリカの分散性を改良し、未加硫ゴムの粘度低減と加硫ゴムの発熱性も良好となるゴム組成物及びそれを用いたタイヤに関する。
近年の省エネルギーの社会的な要請に伴い、自動車の燃料消費節約を目的として、タイヤ用ゴム組成物の低発熱性と湿潤路面でのグリップ性を両立させる充填剤として、シリカの配合が多用されている。
用いるシリカは、その表面官能基であるシラノール基の水素結合により粒子同士が凝集する傾向にあり、ゴム中へのシリカの分散を良くするためには混練時間を長くする必要がある。また、ゴム中へのシリカの分散が不十分なためゴム組成物のムーニー粘度が高くなり、押出しなどの加工性に劣るなどの欠点を有していた。さらに、シリカ粒子の表面が酸性であることから、加硫促進剤として使用される塩基性物質を吸着し、ゴム組成物の加硫が十分に行われず、貯蔵弾性率が上がらないという欠点を有していた。そのため、従来からシリカ配合ゴム組成物における加工性等の改良が求められている。
従来において、シリカ配合ゴム組成物における加工性を改良する技術として、例えば、シリカ配合系ジエン系ゴム組成物において、そのジエン系ゴム成分100重量部に対し、特定のトール油脂肪酸イミダゾリンを1〜10重量部配合したことを特徴とするゴム組成物、並びに、このゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ(例えば、特許文献1参照)が知られている。
しかしながら、上記特許文献1のゴム組成物は、シリカ配合系ジエン系ゴム組成物に、特定のトール油脂肪酸イミダゾリンを添加することで加工性を向上させると同時に加硫後の低発熱性と耐摩耗性を向上させるものであるが、このゴム組成物は、未だ、シリカを高配合した際のゴムの未加硫粘度と加硫後の低発熱性の改良が十分ではないといった課題があるものである。
特開2008−13619号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題等について、これを解消しようとするものであり、ゴム組成物へのシリカの分散性を改良し、未加硫ゴムの粘度低減と、加硫ゴムの発熱性を改良することができるゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題等に鑑み、鋭意検討した結果、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分に対して、特定量以上のシリカと、特定のイミダゾリン誘導体の少なくとも一種を配合することにより、上記目的のゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に存する。
(1) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、シリカ85〜200質量部と、下記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種とを配合してなることを特徴とするゴム組成物。
Figure 0005848943
〔上記式(I)において、Rは、炭素数15以下のアルキル基又はアルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、また、Rはヒドロキシアルキル基またはオキシアルキレンユニットを有するヒドロキシアルキル基である。〕
(2) ジエン系合成ゴム及び天然ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対し、上記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種を0.5〜15質量部配合してなることを特徴とする上記(1)に記載のゴム組成物。
(3) 上記式(I)中のRは、下記式(II)で表され、Rは炭素数1〜6のアルキレン基であり、また、nは1〜5の数となることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のゴム組成物。
−(RO)n−H ………(II)
(4) 更に、シランカップリング剤を配合することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載のゴム組成物。
(5) 上記(1)〜(4)の何れか一つに記載のゴム組成物をタイヤ部材に用いてなることを特徴とするタイヤ。
(6) 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、シリカ85〜200質量部と、下記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種とを配合する、未加硫ゴムの粘度低減方法。
Figure 0005848943
〔上記式(I)において、Rは、炭素数15以下のアルキル基又はアルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、また、Rはヒドロキシアルキル基またはオキシアルキレンユニットを有するヒドロキシアルキル基である。〕
本発明によれば、ゴム組成物へのシリカの分散性を改良し、未加硫ゴムの粘度低減と、加硫ゴムの発熱性を改良できるゴム組成物及びそれを用いたタイヤ、並びに、未加硫ゴムの粘度低減方法が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、シリカ85〜200質量部と、下記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種とを配合してなることを特徴とするものである。
Figure 0005848943
〔上記式(I)において、Rは、炭素数15以下のアルキル基又はアルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、また、Rはヒドロキシアルキル基またはオキシアルキレンユニットを有するヒドロキシアルキル基である。〕
本発明のゴム組成物に用いるゴム成分は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムからなる。ここで、ジエン系合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体等が挙げられる。これらのゴム成分は、一種単独で用いても、二種以上をブレンドして用いてもよい。
本発明のゴム組成物に用いるシリカとしては、特に制限はなく、市販のゴム組成物に使用されているものが使用でき、中でも湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等を使用することができ、特に、湿式シリカの使用が好ましい。
これらのシリカの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して85〜200質量部の範囲が好ましく、更に好ましくは、85〜150質量部の範囲とすることが望ましく、より更に好ましくは、85〜130質量部の範囲とすることが望ましい。特に、本発明の場合、シリカが上記ゴム成分100質量部に対して85質量部以上の高い配合であっても、本発明の効果を発揮できるものである。
この白色充填剤の配合量が上記ゴム成分100質量部に対してヒステリシスを低下させる効果の観点から、85質量部以上が好ましく、一方、作業性を向上させる観点から200質量部以下が好ましい。
本発明において、補強性の観点から、シランカップリング剤を用いることが好ましい。
用いることができるシランカップリング剤は、特に制限なく、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどの少なくとも1種が挙げられる。
これらのシランカップリング剤の配合量は、シリカの配合量によって変動するものであるが、好ましくは、シリカ100質量部に対し、1〜20質量部、更に好ましくは、発熱性の観点から、6〜12質量部の範囲が望ましい。
シランカップリング剤の配合量がシリカ100質量部に対し、カップリング剤を入れる効果の観点から、1質量部以上が好ましく、一方、補強性、発熱性を維持する観点から、20質量部以下が好ましい。
本発明では、上記白色充填剤以外にも補強性充填剤として、カーボンブラックなどを併用できる。
用いることができるカーボンブラックは、特に制限なく、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFなどのグレードを用いることができる。
これらのカーボンブラックの配合量も、特に限定されるものではないが、好ましくは、前記ゴム成分100質量部に対し、0〜60質量部、更に好ましくは、10〜50質量部であることが望ましい。なお、発熱性を維持する観点から、60質量部以下が好ましい。
本発明に用いる下記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体は、シリカ配合ゴムの未加硫粘度の低減と、加硫ゴムの発熱性を改良して本発明の効果を発揮させるために配合するものである。
Figure 0005848943
〔上記式(I)において、Rは、炭素数15以下のアルキル基又はアルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、また、Rはヒドロキシアルキル基またはオキシアルキレンユニットを有するヒドロキシアルキル基である。〕
上記式(I)において、Rは、炭素数15以下のアルキル基又はアルケニル基であり、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基などのアルキル基、アリル基、3−ブテニル基、メタリル基、2−メチル−3−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、1,1,−ジメチル−2−プロペニル基、4−ペンテニル基などのアルケニル基が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜15、さらに好ましくは炭素数6〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基である。
なお、Rが炭素数16以上のアルキル基又はアルケニル基では、立体障害によりシリカへの作用が悪化するためにシリカ分散効果が小さくなる。
また、式(I)において、Rは、ヒドロキシアルキル基またはオキシアルキレンユニットを有するヒドロキシアルキル基である。前記アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数2〜3がより好ましい。
好ましくは、Rは、下記式(II)で表されるものが好ましく、Rは炭素数1〜6のアルキレン基であり、また、nは1〜5となる数であることが好ましい。
−(RO)n−H ………(II)
中でも、Rが、エチレン基やプロピレン基が好ましく、nは1〜5となるものが好ましく、さらに1となるものが好ましい。具体的には、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基である。なお、n個のRは、同一でも異なっていてもよい。
具体的に用いることができる上記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体としては、例えば、1−ヒドロキシエチル−2−メチルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−プロピルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−ノニルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−ウンデシルイミダゾリン、1−ヒドロキシプロピル−2−メチルイミダゾリン、1−ヒドロキシプロピル−2−プロピルイミダゾリン、1−ヒドロキシプロピル−2−ヘプチルイミダゾリン、1−ヒドロキシプロピル−2−ノニルイミダゾリン、1−ヒドロキシプロピル−2−ウンデシルイミダゾリン、1−ヒドロキシブチル−2−ウンデシルイミダゾリンの少なくとも1種を挙げることができ、中でも、1−ヒドロキシエチル−2−ノニルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−ウンデシルイミダゾリン、1−ヒドロキシプロピル−2−ウンデシルイミダゾリンの使用が望ましい。なお、上記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の合成法は、既知であり、種々の製法により得ることができ、また、市販のものを使用してもよい。
これらのイミダゾリン誘導体の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜15質量部、更に好ましくは、本発明の更なる効果を発揮せしめる観点から、1〜15質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましく、3〜8質量部である。また、このイミダゾリン誘導体の配合量は、白色充填剤100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、2〜12質量部がより更に好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
このイミダゾリン誘導体の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上では、未加硫粘度低減効果が高く、一方、15質量部以下では、加硫速度への影響が小さく好ましい。
本発明のゴム組成物には、上記ゴム成分、シリカ、上記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の他に、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
また、本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、シリカと、上記イミダゾリン誘導体と、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とをロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練り、熱入れ、押出等することにより得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等の空気入りタイヤのタイヤ部材の用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業製品等の用途にも用いることができる。
このように構成されるゴム組成物が、何故、ゴム組成物へのシリカの分散性を改良し、未加硫ゴムの粘度低減と、加硫ゴムの発熱性改良も良好となるかは以下のように推察される。
すなわち、本発明のゴム組成物において、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、シリカ85〜200質量部と高配合した配合系に、上記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種が配合されると、シリカ表面の疎水化により、シリカ同士の凝集を抑制し、未加硫ゴムの粘度低減と、シリカ表面での促進剤の吸着を抑制するため、加硫ゴムの発熱性も改良できて、加工性も良好となるものと推察される。
次に、本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種配合剤を配合させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階でタイヤ部材として、例えば、トレッド用部材に押出し加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。このようにして得られた本発明のタイヤは、低発熱性に優れるので、燃費性が良好であると共に、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れたものとなる。
更に、本発明の未加硫ゴムの粘度低減方法は、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、シリカ85〜200質量部と高配合した配合系に、上記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種を配合することにより、シリカ表面の疎水化により、シリカ同士の凝集を抑制し、未加硫ゴムの粘度が低減するものとなる。
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
<製造例1〜3>
用いるイミダゾリン誘導体は、下記各製造法等により得たものを使用した。
(製造例1)
4ツ口フラスコに、ラウリン酸200g(1モル)とアミノエチルエタノールアミン109.2g(以下、「AEEA」と略記)とを仕込んだ後、還流冷却器に80℃の温水を通しながら攪拌し、140℃へ加熱した。その後反応圧力を1時間かけて400mmHgに設定し、2時間反応させアミド化を行なった。その後、Nで常圧に戻し、NaHPO:3.0g(0.025モル)を添加した。次に反応温度を200℃、圧力を1.5時間かけて200mmHgまで下げ、この条件で1時間熟成を行なった。更に圧力を約1.5時間かけて10mmHgまで下げ、この条件で1時間反応を行い過剰のAEEAを除去し、1−ヒドロキシエチル−2−ウンデシルイミダゾリンを253g得た。
(製造例2)
上記製造例1において、アミノエチルエタノールアミンをアミノエチルプロパノールアミン124.1gに変えた以外は製造例1と同様に行い、1−ヒドロキシプロピル−2−ウンデシルイミダゾリンを266g得た。
(製造例3)
上記製造例1において、ラウリン酸をデカン酸172.3gに変えた以外は製造例1と同様に行い、1−ヒドロキシエチル−2−ノニルイミダゾリンを223g得た。
〔実施例1〜3及び比較例1〜2〕
下記表1に示す配合処方で常法により、ゴム組成物を調製した。表中の数値は質量部である。
得られた各ゴム組成物について、下記測定方法により、未加硫ゴム粘度の測定を行った。また、得られたゴム組成物を160℃で14分間加硫した。得られた加硫ゴムに対し、下記測定方法により粘弾性(tanδ)の測定を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
〔未加硫ゴム粘度の測定方法〕
未加硫ゴム粘度は、JIS K 6300−1:2001(ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム)に準拠して行った。
なお、評価は、比較例1の値を100として指数表示した。未加硫ゴム粘度は、値が小さいほど作業性が良好であることを示す。
〔粘弾性(tanδ)の測定方法〕
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzでtanδを測定し、比較例1の値を100として指数表示した。この値が小さい程、低発熱性で燃費性が良好であることを示す。
Figure 0005848943
上記表1の*1〜*14は下記のとおりである。
*1)タフデン2830〔旭化成ケミカルズ社製〕(ゴム成分100質量部、油成分37.5質量部)
*2)シースト7HM〔東海カーボン社製〕
*3)東ソーシリカ株式会社製「ニプシールVN3」
*4)ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
*5)マイクロクリスタリンワックス、オゾエース0701〔日本精蝋社製〕
*6)ノクラック6C〔大内新興化学工業社製〕
*7)ノンフレックスRD−S〔精工化学社製〕
*8)ノクセラーD〔大内新興化学工業社製〕
*9)ノクセラーDM〔大内新興化学工業社製〕
*10)サンセラーCM−G〔三新化学工業社製〕
*11)ハートールM−33〔トール油脂肪酸とアミノエチルエタノールアミンとを脱水縮合反応させて得たトール油脂肪酸イミダゾリン、ハリマ化成社製〕
*12)製造例1のイミダゾリン誘導体〔1−ヒドロキシエチル−2−ウンデシルイミダゾリン〕
*13)製造例2のイミダゾリン誘導体〔1−ヒドロキシプロピル−2−ウンデシルイミダゾリン〕
*14)製造例3のイミダゾリン誘導体〔1−ヒドロキシエチル−2−ノニルイミダゾリン〕
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜3のゴム組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜2に較べて、未加硫ゴム粘度の評価結果から、未加硫ゴムの粘度低減効果と、また、加硫ゴムの発熱性も改良できて、加工性も良好となるゴム組成物となることが判明した。なお、トール油脂肪酸は、主にオレイン酸、リノレイン酸である。
タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等の空気入りタイヤのタイヤ部材の用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースなどのゴム製品に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、シリカ85〜200質量部と、下記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種0.5〜15質量部とを配合してなることを特徴とするゴム組成物。
    Figure 0005848943
    〔上記式(I)において、R1は、炭素数15以下のアルキル基又はアルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、また、R2はヒドロキシアルキル基またはオキシアルキレンユニットを有するヒドロキシアルキル基である。〕
  2. 上記式(I)中のR2は、下記式(II)で表され、R3は炭素数1〜6のアルキレン基であり、また、nは1〜5の数となることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
    −(R3O)n−H ………(II)
  3. 更に、シランカップリング剤を配合することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1〜の何れか一つに記載のゴム組成物をタイヤ部材に用いてなることを特徴とするタイヤ。
  5. 天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムから選択される少なくとも一種のゴム成分100質量部に対して、シリカ85〜200質量部と、下記式(I)で表されるイミダゾリン誘導体の少なくとも一種0.5〜15質量部とを配合する、未加硫ゴムの粘度低減方法。
    Figure 0005848943
    〔上記式(I)において、R1は、炭素数15以下のアルキル基又はアルケニル基を表し、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分枝鎖状及び環状の何れでもよく、また、R2はヒドロキシアルキル基またはオキシアルキレンユニットを有するヒドロキシアルキル基である。〕
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