JP2017218583A - ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物およびタイヤ - Google Patents

ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物およびタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】ウェットグリップ性能および耐摩耗性を向上させるとともに、燃費特性をも向上させたタイヤ用ゴム組成物の製造方法、該製造方法により製造されたゴム組成物、並びに、該ゴム組成物を用いて作製されたタイヤトレッドおよびタイヤを提供すること。【解決手段】スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分、シリカを含む充填剤、シランカップリング剤、およびアルミニウム有機化合物を含む原料薬品を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、混練工程が、加硫系薬品を含まない原料薬品を混練する前半段階と、前半段階で得た混練物に加硫系薬品を加えて混練する後半段階の少なくとも二つの段階から構成されるものであり、該前半段階が、混練中に生成したアルコール除去のため、混練物の排出温度を所定の範囲内の温度とし、かつ、該温度で混練物を所定の範囲内の時間保持する、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、とりわけ、タイヤ用ゴム組成物の製造方法、該製造方法により製造されたゴム組成物、並びに、該ゴム組成物を用いて作製されたタイヤトレッドおよびタイヤに関する。
タイヤは、トレッド、インナーライナー等、様々な部材により構成され、各部材に応じて諸性能が付与されている。路面と接触するトレッドには、安全性等の観点でウェットグリップ性能などが要求され、水酸化アルミニウムの添加により当該性能を改善する方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、水酸化アルミニウムを添加すると、破壊強度が低下し、耐摩耗性が悪化するという問題があり、更なる改善が求められている。
特開2002−338750号公報
本発明は、ゴム組成物、とりわけ、加工性、ウェットグリップ性能および耐摩耗性を向上させるとともに、燃費特性をも向上させたタイヤ用ゴム組成物の製造方法、該製造方法により製造されたゴム組成物、並びに、該ゴム組成物を用いて作製されたタイヤトレッドおよびタイヤを提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題解決のため、鋭意検討を重ねた結果、所定のゴム成分にシリカを含む充填剤とシランカップリング剤とを配合し、さらに、水酸化アルミニウムに代えて所定のアルミニウム有機化合物を配合する場合において、混練工程の前半段階の排出時に、混練物を高温で保持することで、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分、シリカを含む充填剤、シランカップリング剤、およびアルミニウム有機化合物を含む原料薬品を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、
混練工程が、加硫系薬品を含まない原料薬品を混練する前半段階と、前半段階で得た混練物に加硫系薬品を加えて混練する後半段階の少なくとも二つの段階から構成されるものであり、
該前半段階が、混練中に生成したアルコール除去のため、混練物の排出温度を所定の範囲内の温度とし、かつ、該温度で混練物を所定の範囲内の時間保持する、製造方法、
[2]充填剤が、さらにカーボンブラックを含むものである、上記[1]記載のゴム組成物の製造方法、
[3]ゴム成分100質量部に対し、シリカの配合量が50〜150質量部、好ましくは60〜120質量部、より好ましくは60〜110質量部、カーボンブラックの配合量が5〜50質量部、好ましくは5〜35質量部、より好ましくは5〜20質量部、さらに好ましくは8〜20質量部、アルミニウム有機化合物の配合量が5〜45質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜40質量部、さらに好ましくは10〜40質量部であって、シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤の配合量が1〜20質量部、好ましくは1.5〜20質量部、より好ましくは2〜20質量部、さらに好ましくは5〜20質量部、さらに好ましくは5〜15質量部、さらに好ましくは7〜12質量部である、上記[2]記載のゴム組成物の製造方法、
[4]アルミニウム有機化合物が、式(1):
Al(ORa)(ORb)(ORc3 (1)
(式中、Ra、RbおよびRcは、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基を表す。)
で示されるアルミニウムアルコレートである、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法、
[5]所定の範囲内の温度が150〜180℃であり、所定の範囲内の時間が10〜120秒である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法、
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法によりゴム組成物を準備する工程、
該ゴム組成物をタイヤトレッドの形状に押し出し加工する工程、
該タイヤトレッドを他のタイヤ部材とともにタイヤ成形機上で成形して、未加硫タイヤを形成する工程、
該未加硫タイヤを加硫する工程、
を含んでなる、タイヤの製造方法、
に関する。
本発明によれば、優れた諸特性を有するゴム組成物、とりわけ、加工性、ウェットグリップ性能および耐摩耗性を向上させるとともに、燃費特性をも向上させたタイヤ用ゴム組成物の製造方法、該製造方法により製造されたゴム組成物、並びに、該ゴム組成物を用いて作製されたタイヤトレッドおよびタイヤを提供することができる。
以下、発明を実施するための形態について説明する。
<ゴム成分>
ゴム成分は、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含むものである。SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)およびこれらの変性体(変性S−SBR、変性E−SBR)などを使用できる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性された変性SBR、スズ、ケイ素化合物などでカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するものなど)などが挙げられる。
SBRのビニル含有量は、充分なウェットグリップ性能およびドライグリップ性能の観点から、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上である。また、該ビニル含有量は、良好な耐摩耗性の観点から、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。なお、SBRのビニル含有量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される値である。
SBRのスチレン含有量は、充分なウェットグリップ性能およびドライグリップ性能の観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。また、該スチレン含有量は、良好な耐摩耗性および温度依存性(温度変化に対する性能変化が抑えられた状態)の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。
SBRのガラス転移点(Tg)は、良好なウェットグリップ性能およびドライグリップ性能の観点から、好ましくは−60℃以上、より好ましくは−50℃以上である。また、該Tgは、良好な初期グリップ性能および耐摩耗性の観点から、好ましくは0℃以下、より好ましくは−10℃以下である。
SBRの含有量は、充分な耐熱性および耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量%中、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
ゴム成分は、SBR以外に他のゴム成分を配合しても良い。そのような他のゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴムや、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)などの非ジエン系ゴムなどが挙げられる。これら他のゴム成分は特定の種類のものを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<充填剤>
充填剤は、シリカを含むものである。シリカを含むことで、ウェットグリップ性能や燃費特性の向上が期待できるからである。シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などを用いることができる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着によるBET比表面積(N2SA)は、燃費特性の向上や補強性向上に伴う耐摩耗性の向上の観点から、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは70m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上、より好ましくは120m2/g以上、更に好ましくは150m2/g以上である。一方、シリカのN2SAは、良好な分散性を確保し凝集を抑制する観点から、好ましくは500m2/g以下、好ましくは400m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下である。
シリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカは特定の種類のものを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ以外の充填剤としては、本発明の目的に反しない限り、この分野で通常使用されるものをいずれも好適に使用することができ、そのような充填剤としては、例えば、カーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックを配合することで、耐摩耗性の向上が期待できる。充填剤としては、シリカとカーボンブラックとからなるものが好ましい。
カーボンブラックとしては、例えば、オイルファーネス法により製造されたカーボンブラックなどが挙げられ、2種類以上のコロイダル特性の異なるものを併用してもよい。具体的にはGPF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、良好なウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性が得られるという理由から、70〜250m2/gが好ましく、110〜200m2/gがより好ましい。また、カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、同様の理由により、50〜250ml/100gが好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001に、DBPは、JIS K 6217−4:2001に準拠して測定される値である。
カーボンブラックは特定の種類のものを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、充分なウェットグリップ性能の観点から、50質量部以上、より好ましくは60質量部以上である。一方、該配合量は、その良好な分散、延いては良好な耐摩耗性の観点から、150質量部以下、好ましくは120質量部以下、より好ましくは110質量部以下である。
カーボンブラックを配合する場合の配合量は、良好なウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上である。一方、該配合量は、良好なウェットグリップ性能を維持する観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
充填剤の配合量としては、良好なウェットグリップ性能、ドライグリップ性能および耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、55質量部以上が好ましく、より好ましくは65質量部以上である。一方、該配合量は、良好なウェットグリップ性能および耐摩耗性の観点から、170質量部以下、より好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは120質量部以下である。充填剤全体に占めるシリカの割合は、本発明の効果を良好に発揮するとの観点から、70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。一方、該割合は、同様の理由により、95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
なお、充填剤がシリカとカーボンブラックとのみからなる時は、上記「充填剤の総量」と「シリカの配合量」からカーボンブラックの配合量を定めてもよいし、あるいは、上記「充填剤の総量」と「カーボンブラックの配合量」からシリカの配合量を定めてもよい。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤としては、特に限定されず、通常、この分野で使用されるものをいずれも好適に使用することができる。このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ポリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ポリスルフィドなどがあげられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィドが好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤の配合量は、良好な耐摩耗性の観点から、シリカ100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上である。一方、該配合量は、コストの増加に見合った改善効果を得るとの観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。
シランカップリング剤は特定の種類のものを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<アルミニウム有機化合物>
アルミニウム有機化合物とは、アルミニウムと有機化合物とからなる複合体であって、加水分解反応により水酸化アルミニウムを生成するものをいう。したがって、かかるアルミニウム有機化合物が配合されると、混練り中に、アルミニウム有機化合物の少なくとも一部が加水分解を受けて、水酸化アルミニウムを生成する。
このようなアルミニウム有機化合物としては、例えば、式(1):
Al(ORa)(ORb)(ORc3 (1)
(式中、Ra、RbおよびRcは、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基を表す。)
で示されるアルミニウムアルコレートが挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素基とは、分岐または非分岐のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基を骨格とし、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含み得るものである。また、該脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜12(C1-12)(但し、アルケニル基またはアルキニル基を骨格とする場合、炭素数の下限は少なくとも2であることを要する。以下同様。)のものが好ましく、より好ましくはC1-10、より好ましくはC1-8、より好ましくはC2-6である。Ra、RbまたはRcで示される脂肪族炭化水素基としては、例えば、エチル基(C2)、イソプロピル基(C3)、セカンダリーブチル基(C4)、3−エトキシカルボニル−2−プロペン−2−イル基(C6)などが挙げられる。
アルミニウムアルコレートとしては、例えば、アルミニウムエチレート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレート・モノセカンダリーブチレート、アルミニウムセカンダリーブチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
アルミニウム有機化合物の配合量は、良好なウェットグリップ性能および耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。一方、該配合量は、同様の理由により、好ましくは45質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
アルミニウム有機化合物は特定の種類のものを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、タイヤ工業において一般的に用いられている配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
軟化剤は、配合することにより、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能、初期グリップ性能などの向上が期待できる。軟化剤としては特に限定されないが、オイルなどが挙げられる。オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルなどが挙げられる。オイルを配合する場合の配合量は、添加による効果を十分に得るとの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上である。また、該含有量は、耐摩耗性を維持するとの観点から、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。なお、本明細書において、オイルの含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
軟化剤は特定の種類のものを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、グアニジン系加硫促進剤などが挙げられる。スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−第3ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが挙げられる。チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドなどが挙げられる。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどが挙げられる。グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジンなど挙げられる。
加硫促進剤を配合する場合の含有量は、充分な加硫を達成するとの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。また、該含有量は、充分なスコーチタイムを確保するとの観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
加硫促進剤は特定の種類のものを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物の製造方法は、混練工程が、加硫系薬品を含まない原料薬品を混練する前半段階と、前半段階で得た混練物に加硫系薬品を加えて混練する後半段階の少なくとも二つの段階から構成されるものであり、該前半段階が、混練中に生成したアルコール除去のため、混練物の排出温度を所定の範囲内の温度とし、かつ、該温度で混練物を所定の範囲内の時間保持することを特徴とする製造方法である。なお、該特徴点を有すること以外は、本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、必要に応じ、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明において、混練工程は、加硫系薬品を含まない原料薬品を混練する前半段階と、前半段階で得た混練物に加硫系薬品を加えて混練する後半段階(最終段階)の少なくとも二つの段階から構成されるものである。また、該前半段階は、必要に応じ、さらに複数の段階に分割することができる。ここで、加硫系薬品とは、いわゆる加硫(すなわち、可塑性体であるゴム成分の高分子鎖を網目状に架橋結合すること)に係る薬品であり、具体的には、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤等をいう。
(混練工程の前半段階)
混練工程の前半段階とは、より具体的には、例えば、ゴム成分(A)と充填材(B)とシランカップリング剤(C)とアルミニウム有機化合物(D)を加えて混練する段階をいう。該前半段階は、さらに、軟化剤やステアリン酸などを配合するものであってもよい。なお、ゴム成分のみを予備練りする段階などは、該前半段階には含まない。本発明において、混練工程の前半段階の混練物の排出時に、混練物の排出温度を所定の範囲内の温度とし、かつ、該温度で混練物を所定の範囲内の時間保持するのは、アルミニウム有機化合物等の加水分解により混練中に成生したアルコールを除去するためである。アルコールの除去が不十分であると、加硫時にアルコールが多量の蒸気となり、ゴム組成物内部から発泡する。これを防ぎ、後述するアルミニウム有機化合物を配合することによる効果をより引き出すために、所定の範囲内の温度での所定の範囲内の時間の保持が有効となる。
したがって、混練工程の前半段階の混練物の排出時に混練物を保持する「所定の範囲内の温度および所定の範囲内の時間」とは、「混練中に発生したアルコールを除去するのに充分な保持温度および保持時間」であればよいものである。かかる保持温度および保持時間は、用いるアルミニウム有機化合物の種類、その他用いる原料の種類等により異なり得るが、当業者であれば、上記目的の下、適宜、設定可能である。
上記保持温度は、ミキサーの回転数、ラムの降下圧力、ミキサー内を循環させる冷却水の温度などを調整することにより所定の範囲内とすることができるものであり、当業者であれば、適宜、実施可能である。
混練工程の前半段階における混練物の排出温度は、通常、150℃以上が好ましく、155℃以上がより好ましい。排出温度が150℃未満になると、シリカとシランカップリング剤の反応が充分でなくなり、耐摩耗性や燃費特性の向上が望めず、むしろ悪化する傾向があるからである。一方、該排出温度は、通常、180℃以下が好ましく、175℃以下がより好ましい。排出温度が180℃超になるとゴム中のゲル化が促進され過ぎて、加工性が悪化する傾向がある。
混練工程の前半段階における混練物排出時の保持時間は、本発明の効果を発揮するとの観点から、通常、10秒以上が好ましく、15秒以上がより好ましい。一方、該保持時間は、通常、120秒以下が好ましく、100秒以下がより好ましい。120秒超に長くしてもそれに応じた効果の向上は見込めず、却って生産性が低下する傾向がある。
混練工程の前半段階は、所望により、さらに複数の段階に分割することができる。例えば、上記(A)〜(D)の薬品等を、複数回に分けて、段階的に混練する場合などである。いずれにしても、該前半段階においては、配合したアルミニウム有機化合物から生成するアルコールの除去等を目的とした上でそれらを達成し得るよう、混練物の排出時に混練物を所定の範囲内の温度および所定の範囲内の時間保持する。
混練工程の前半段階は、上記以外は、タイヤゴム工業の分野における一般的な方法に則り、実施することができる。
(混練工程の後半段階)
混練工程の後半段階とは、それまでの混練により得られた混練物に、加硫系薬品およびその他の残りの薬品を添加して混練する、混練工程の最終段階をいう。混練工程の後半段階は、タイヤゴム工業の分野における一般的な方法に則り、実施することができる。
<用途>
本発明のゴム組成物は、その特性を生かし、種々の用途に用いることができるが、中でも、タイヤ用ゴム組成物として用いることができる。本発明のゴム組成物をタイヤ用ゴム組成物として用いる場合、タイヤを構成する各種部材、例えば、ベーストレッドを含むトレッドの他、インナーライナー、サイドウォール等に用いることができるが、その特性から、トレッド(タイヤトレッド)に用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物をタイヤに使用する場合、通常の方法により、本発明のゴム組成物からタイヤを製造することができる。すなわち、必要に応じて前記成分を適宜配合した混合物を混練りし、未加硫の段階でタイヤの各部材の形状に合わせて押出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得ることができ、これに空気を入れ、空気入りタイヤとすることができる。
なお、理論に拘束されることは意図しないが、水酸化アルミニウムに代えて、アルミニウム有機化合物を用いることによる効果は以下のように考えられる。すなわち、水酸化アルミニウムは、ウェットグリップ性能の向上に寄与するものの、粒子径が比較的大きいことおよびゴムとの結合点がないことから、耐摩耗性を悪化させてしまうことが避けられない。耐摩耗性は、粒子径を小さくすることである程度の改善が期待できるが、一方でウェットグリップ性能の伸び代は目減りしてしまうという問題がある。しかし、アルミニウム有機化合物は、加水分解により、水酸化アルミニウムを生じる化合物であり、その加水分解の様式は、シランカップリング剤と同様である。したがって、シランカップリング剤と協働して、フィラー表面の水分を高効率で消費し、混練時のシェアが大きくなる。その結果として練りが深まり、フィラー分散性が向上すると考えられる。また、アルミニウム有機化合物は、シランカップリング剤の反応と同様に、ゴムとも反応してその補強効果が高まることで、耐摩耗性が向上すると考えられる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例にのみ限定されるものではない。
以下に、本明細書において使用した各種薬品をまとめて示す。各種薬品は必要に応じて常法に従い精製を行った。
<ゴム組成物の製造に用いた各種薬品>
S−SBR:LANXESS社製のBuna VSL 2525−0(溶液重合SBR、結合スチレン量:25質量%、ビニル含有量:25モル%、Tg=−49℃)
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のN220(N2SA:114m2/g)
水酸化アルミニウム:昭和電工(株)製のハイジライトH−43(商品名)(平均一次粒子径:0.75μm)
アルミニウム有機化合物:川研ファインケミカル(株)製のアルミニウムイソプロピレート(化合物名)PADM(商品名)
オイル:ジャパンエナジー(株)製のTDAE
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン)(6PPD)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド:CBS)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン:DPG)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
<タイヤ用ゴム組成物の製造>
(工程I(混練工程の前半段階))
表1に示す配合処方に従い、(株)神戸製鋼製1.7Lバンバリーを用いて、5分間混練りし、表1に示す所定の排出温度でかつ所定の保持時間混練物を保持した後排出し、混練物を得た。
(工程II(混練工程の後半段階))
次いで、上記で得た混練物に、表1に示す配合に従い、各薬品を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
(加硫工程)
得られた未加硫ゴム組成物を、170℃で20分間加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
<評価>
(加工性)
1kgの未加硫ゴム組成物を、8インチのオープンロールに、幅20cm、厚み4mmで巻きつかせ、該未加硫ゴム組成物の温度が50℃±10℃になるまで練った。その後、該未加硫ゴム組成物をシート状にカットし、その生地肌を目視で観察し、下記基準により評価した。
○:平滑、かつ、エッヂもスムーズ
△:表面が荒れており、エッヂも波打っている(シート成型は可能)
×:表面荒れが酷く、シート成型しづらい
(ウェットグリップ指数)
各加硫ゴム組成物から試験片を切り出し、(株)上島製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪み0.1%、周波数10Hzの条件下で、0℃における加硫ゴムシートの損失正接(低温tanδ)を測定し、基準比較例のウェットグリップ指数を100とし、以下の計算式により、各配合のtanδをそれぞれ指数表示した。低温tanδの値が高いほど、またウェットグリップ指数が大きいほど、ウェットグリップ性能が高く、走行上の安全性が高い。

(ウェットグリップ指数)=(各配合のtanδ)÷(基準比較例のtanδ)×100
(低燃費性指数)
各加硫ゴム組成物から試験片を切り出し、(株)上島製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪10%、動歪み1%、周波数10Hzの条件下で、70℃における加硫ゴムシートの損失正接(高温tanδ)を測定し、基準比較例の低燃費性指数を100とし、以下の計算式により、各配合のtanδをそれぞれ指数表示した。高温tanδの値が低いほど、また低燃費性指数が大きいほど、低燃費性に優れる。

(低燃費性指数)=(基準比較例のtanδ)÷(各配合のtanδ)×100
(耐摩耗性指数)
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で加硫ゴム組成物の摩耗量を測定した。基準比較例の耐摩耗性指数を100として、以下の計算式により、各配合の摩耗量を指数表示した。摩耗量が少ないほど、また耐摩耗性指数が大きいほど、耐摩耗性が優れている。

(耐摩耗性指数)=(基準比較例の摩耗量)/(各配合の摩耗量)×100
(結果)
結果を、表1に示す。
Figure 2017218583

Claims (6)

  1. スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分、シリカを含む充填剤、シランカップリング剤、およびアルミニウム有機化合物を含む原料薬品を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、
    混練工程が、加硫系薬品を含まない原料薬品を混練する前半段階と、前半段階で得た混練物に加硫系薬品を加えて混練する後半段階の少なくとも二つの段階から構成されるものであり、
    該前半段階が、混練中に生成したアルコール除去のため、混練物の排出温度を所定の範囲内の温度とし、かつ、該温度で混練物を所定の範囲内の時間保持する、製造方法。
  2. 充填剤が、さらにカーボンブラックを含むものである、請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
  3. ゴム成分100質量部に対し、シリカの配合量が50〜150質量部、カーボンブラックの配合量が5〜50質量部、アルミニウム有機化合物の配合量が5〜45質量部であって、シリカ100質量部に対し、シランカップリング剤の配合量が1〜20質量部である、請求項2記載のゴム組成物の製造方法。
  4. アルミニウム有機化合物が、式(1):
    Al(ORa)(ORb)(ORc3 (1)
    (式中、Ra、RbおよびRcは、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基を表す。)
    で示されるアルミニウムアルコレートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  5. 所定の範囲内の温度が150〜180℃であり、所定の範囲内の時間が10〜120秒である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法によりゴム組成物を準備する工程、
    該ゴム組成物をタイヤトレッドの形状に押し出し加工する工程、
    該タイヤトレッドを他のタイヤ部材とともにタイヤ成形機上で成形して、未加硫タイヤを形成する工程、
    該未加硫タイヤを加硫する工程、
    を含んでなる、タイヤの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7415141B2 (ja) 2019-11-25 2024-01-17 横浜ゴム株式会社 ゴム組成物、及びゴム組成物の製造方法

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