この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
作業機となる施肥装置付きの乗用型田植機1の走行車体2は、左右の前輪14と左右の後輪15とを有し、走行時には各車輪が駆動する四輪駆動車である。また、走行車体2の後部には、作業装置となる施肥装置17が搭載されている。また、走行車体2の後側には、苗植付部昇降機構3によって走行車体2に対して昇降可能な作業部として苗植付部16が備えられる。
走行車体2は、車体の左右方向略中央に設けられたメインフレーム30に取付けられた動力部4を備える。動力部4は、走行車体2の左右方向略中央に位置する運転部10に設けられた運転座席12の下部に配置されたエンジン8と、エンジン8の動力を駆動輪である左右の前輪14及び左右の後輪15と苗植付部16とに伝える後述の動力伝達装置とを備える。つまり、乗用型田植機1は、エンジン8の動力を、走行車体2を前進や後進させるために用いるのみでなく、苗植付部16を駆動させるためにも使用する。エンジン8としては、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
エンジン8は、作業者が乗車時に足を載せるフロアステップ11よりも上方に突出させた状態でメインフレーム30に配設され、突出している部分には、エンジン8を覆うエンジンカバー5が設けられる。フロアステップ11は、機体側面視で走行車体2の前端とエンジン8の後部との間にわたって設けられており、一部が格子状となっている。
また、走行車体2の運転座席12の前方で且つ該走行車体2の前側中央部には、操縦部13が配設される。この操縦部13は、運転部10のフロアステップ11の床面から上方に突出した状態で設けられており、フロアステップ11の前部側を左右に分断している。
操縦部13の上部には、操作装置を作動させる各種操作レバー等や計器類、さらにはハンドル18が配設される。ハンドル18は、前輪14を操舵する操舵部材である。
操縦部13の上部の右寄りの位置には、走行車体2の前後進の切替と走行速度の変速操作を行う主変速レバー38を設けている。また、操縦部13の上部の左寄りの位置には、路上走行に適した速い走行速度で走行させる路上走行位置と、植付作業に適した速い走行速度で走行させる植付走行位置と、走行を停止させる中立位置とに切り替えて走行速度を変速操作する副変速レバー39を設けている。また、主変速レバー38のレバーグリップ部には、苗植付部16の作動の入切操作及び該苗植付部16の昇降操作を行う植付操作具となる植付昇降レバー50を設けている。尚、植付昇降レバー50は、主変速レバー38のレバーグリップ部を把持する手の指(親指)で操作する構成となっている。
また、フロアステップ11における操縦部13の左右それぞれの側方に位置する部分には、補給用の苗を載せておく予備苗載装置19が配置される。本実施形態では、予備苗載装置19は、3つの予備苗載台20u,20m,20dを備える。そして、これら3つの予備苗載台20u,20m,20dが縦方向に並ぶ積層状態と横方向(前後方向)に並ぶ展開状態とに切替可能な可動式としている。
かかる可動式の予備苗載装置19は、走行車体2のブラケット26に基端が固着された略L字状の支持フレーム23にそれぞれ基端が連結された予備苗載装置支持フレーム24、25によって支持されている。
なお、予備苗載装置19を構成する3つの苗載台20u,20m,20dは、メインリンク41およびサブリンク42からなるリンク機構により連結されており、電動モータからなる切替装置21を操作して回動させることにより、図1に示す積層状態と図2に示す展開状態とに切替可能である。展開状態では、3つの予備苗載台20u,20m,20dが、前後方向にレール状に並んで位置することになる。切替装置21は、操縦部13の上部の左寄りの位置に設けた苗載台切替スイッチ51の操作により作動する構成となっている。該苗載台切替スイッチ51の操作により、左右の予備苗載装置19に備える左右各々
の切替装置21が同期して作動し、左右の予備苗載装置19が常に同じ状態となる。
また、走行車体2の左右側部には、機体旋回後の次行程の機体進行位置の目安となる指標を形成する線引きマーカ200,202がそれぞれ機体左右方向内外に出退自在に設けられる。該線引きマーカ200,202は、前後方向の軸を中心に回動する線引きマーカアーム52の先端部に線引き部材53を取り付けた構成となっており、該線引きマーカアーム52は、前記略L字状の支持フレーム23に支持されたマーカフレーム54に前記前後方向の軸を中心に回動可能に支持されている。尚、マーカフレーム54は機体の左右方向外側に延びており、該マーカフレーム54の先端部に線引きマーカアーム52を回動可能に設けた構成となっている。すなわち、線引きマーカアーム52が機体の左右方向外側に向く線引き状態で機体を走行させることにより、線引きマーカ200,202ひいては線引き部材53が機体の左右方向外側に突出して圃場面に接地して該圃場面に指標となる跡を付ける。また、線引きマーカアーム52が線引き状態から上側に回動した非線引き状態になると、線引きマーカ200,202ひいては線引き部材53が圃場面から離れると共に機体の左右方向内側に移動する。この非線引き状態で、線引きマーカアーム52は、予備苗載装置19及び後述する載置台105の直ぐ側方(機体の左右方向外側)に位置する。尚、線引きマーカアーム52は電動モータであるマーカ切替モータ55で線引き状態と非線引き状態とに動作する構成となっており、左側の線引きマーカアーム52が左マーカ切替モータ203の駆動で動作し、右側の線引きマーカアーム52が右マーカ切替モータ201の駆動で動作する構成となっている。
図2において、右の線引きマーカ200は非線引き状態であり、左の線引きマーカ202は線引き状態である。左右の線引きマーカ200,202は、走行車体2が旋回するごとに、左右の線引きマーカ200,202が交互に線引き状態となる。
また、動力部4の動力伝達装置としては、主変速機としての油圧式無段変速機6と、ベルト式動力伝達機構7と、ミッションケース9とを有する。ベルト式動力伝達機構7は、油圧式無段変速機6にエンジン8からの動力を伝える。油圧式無段変速機6は、ミッションケース9の側面(左側面)に固着され、ミッションケース9内に伝動する構成となっている。ミッションケース9は、前輪14と後輪15への走行用動力と、苗植付部16への植付用動力とに分岐して伝動する。従って、油圧式無段変速機6は、走行速度を変速する変速機となる。
油圧式無段変速機6は、HST(Hydro Static Transmission)といわれる静油圧式の無段変速機として構成されている。油圧式無段変速機6は、エンジン8からの動力で駆動する無段変速用油圧ポンプ56によって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータ57で機械的な力(回転力)に変換して出力する。かかる油圧式無段変速機6は、操縦部13に設けられた主変速レバー38の操作によって、走行出力の大小および出力方向を切替可能な構成としている。具体的には、制御装置100により、主変速レバー38の操作位置を検出する主変速レバーセンサからの信号に基づいて油圧式無段変速機6を変速操作する変速操作モータを制御する構成となっている。尚、油圧式無段変速機6は、エンジン8よりも前側で且つフロアステップ11の下方に配置されている。
また、ベルト式動力伝達機構7は、エンジン8の出力軸に取り付けたプーリと、油圧式無段変速機6の入力軸に取り付けたプーリと、双方のプーリに巻き掛けたベルトと、さらに、このベルトの張力を調整するテンションプーリとを備えている。これにより、ベルト式動力伝達機構7は、エンジン8で発生した動力を、ベルトを介して油圧式無段変速機6に伝達可能である。
ミッションケース9内には伝動するギヤの切替により有段で変速する副変速装置を設けており、副変速レバー39の操作により副変速装置が変速操作される構成となっている。
ミッションケース9から出力される走行用動力は、一部が左右の前輪ファイナルケース31を介して左右各々の前輪14へ伝動され、残りが左右の後輪伝動軸58及び左右の後輪ギヤケース32を介して左右各々の後輪15へ伝動される。左右の前輪ファイナルケース31は、ミッションケース9の左右それぞれの側方に固着されている。また、この前輪ファイナルケース31は、ハンドル18の操作で左右に回動し、前輪14を転舵させることが可能である。一方、植付用動力は、ミッションケース9内に設けた植付クラッチとミッションケース9から苗植付部16にわたる植付伝動軸とを介して苗植付部16へ伝動される。尚、植付クラッチは、制御装置100からの出力信号で作動する植付クラッチモータにより、入切の切替操作が行われる構成となっている。
また、走行車体2の後部に備えられる苗植付部16を昇降させる苗植付部昇降機構3は、昇降リンク装置33を有しており、苗植付部16は、この昇降リンク装置33を介して走行車体2に取り付けられる。この昇降リンク装置33は、走行車体2の後部と苗植付部16とを連結させる四辺リンク機構として、上側に位置するアッパーリンク34と、アッパーリンク34の下側に位置するロワーリンク35とを有する。これらのアッパーリンク34とロワーリンク35とは、共に左右一対ずつ設けられる。
これらのアッパーリンク34とロワーリンク35とが、メインフレーム30の後部端に立設した後部フレームを構成するリンクベースフレーム36に回動自在に連結される。こうして、各リンクの他端側が苗植付部16に回転自在に連結されることにより、苗植付部16を昇降可能に走行車体2に連結することができる。すなわち、リンクベースフレーム36は、走行車体2の後部に上下方向に設けられており、リンク部材であるアッパーリンク34とロワーリンク35が、リンクベースフレーム36から後方に向かって設けられている。そして、アッパーリンク34とロワーリンク35とは、共に前端側がリンクベースフレーム36に対して回動可能に連結されている。
また、苗植付部昇降機構3は、油圧によって伸縮する油圧昇降シリンダ37を有しており、油圧昇降シリンダ37の伸縮動作によって、苗植付部16を昇降させることができる。苗植付部昇降機構3は、その昇降動作によって、苗植付部16を非作業位置まで上昇させたり、植付作業位置(接地する高さ)まで下降させたりすることが可能となる。
また、アッパーリンク34の後端部とロワーリンク35の後端部とを連結する昇降リンク装置33の後フレームに前後方向のローリング軸を設け、該ローリング軸回りに苗植付部16をローリング可能に支持している。後フレームと苗植付部16との間には油圧ローリングシリンダ59を設けており、該油圧ローリングシリンダ59の作動により苗植付部16が左右ローリング作動する構成となっている。従って、ローリング軸及び油圧ローリングシリンダ59等により、走行車体2に対して苗植付部16を前後方向の軸回りにローリングさせる苗植付部ローリング機構が構成されている。苗植付部16には該苗植付部16の左右傾斜角度を検出する左右傾斜センサを設けており、制御装置100により、左右傾斜センサの検出値に基づいて油圧ローリングシリンダ59を制御するローリング用油圧バルブ60を切り替えて苗植付部16が所望の姿勢(左右水平姿勢)となるようローリングさせるローリング制御により、苗の植付深さを常に一定に維持する。
次に、この乗用型田植機1が備える油圧回路について説明すると、油圧ポンプ61から吐出される油圧が分流バルブ62へ供給される。この分流バルブ62は、油圧ポンプ61の回転数が増大してもローリング用油圧バルブ60へ一定流量の油圧を供給し、余剰流を分流するバルブである。分流バルブ62から供給される一定流量の油圧により、ローリング用油圧バルブ60を介して油圧ローリングシリンダ59が作動するので、油圧ポンプ61ひいては該油圧ポンプ61を駆動するエンジン8の回転数に拘らず、油圧ローリングシリンダ59を一定の速度で作動させることができ、苗植付部16のローリング制御を適正に行える。尚、ローリング用油圧バルブ60及び油圧ローリングシリンダ59等を備えて、苗植付部ローリング機構を作動させるローリング系油圧ユニット63を構成している。
また、分流バルブ62で分流される余剰流は、油圧パワーステアリングユニット64を介して昇降用油圧バルブ65へ供給され、昇降用油圧バルブ65の切替により油圧昇降シリンダ37への油圧を給排する構成となっている。尚、昇降用油圧バルブ65とその周辺の油圧機器等を備えて、苗植付部昇降機構3を作動させる昇降系油圧ユニット66を構成している。
苗植付部16が昇降しないとき、昇降系油圧ユニット66からの戻り油は、全量が主油圧チャージ経路67を介して油圧式無段変速機6へチャージ圧として供給される。尚、苗植付部16の上昇作動時は、油圧昇降シリンダ37へ供給される油圧の残り分(余剰分)が主油圧チャージ経路67を介して油圧式無段変速機6へチャージ圧として供給される。
尚、油圧昇降シリンダ37へ供給される油圧(油量)を調整して苗植付部16の上昇速度を調節する構成となっており、昇降系油圧ユニット66に供給される油圧の全量を油圧昇降シリンダ37へ供給するときには、前記残り分(余剰分)が無く主油圧チャージ経路67へ油圧が供給されないことがあり得る。また、苗植付部16の下降作動時は、昇降系油圧ユニット66に供給される油圧が、全量戻り油として主油圧チャージ経路67を介して油圧式無段変速機6へチャージ圧として供給され、油圧昇降シリンダ37から排出される油圧は、昇降系タンク戻り経路68を介して油圧タンク69へ戻される。また、ローリング系油圧ユニット63からの油圧の戻り経路は、油圧タンク69へのローリング系タンク戻り経路70と、主油圧チャージ経路67へ合流する副油圧チャージ経路74とに分岐される。ローリング系タンク戻り経路70には油圧抵抗となる絞り75を設けており、副油圧チャージ経路74には逆止弁76を設けている。従って、主油圧チャージ経路67と副油圧チャージ経路74とにより、昇降系油圧ユニット66とローリング系油圧ユニット63からの戻り油を合流して油圧式無段変速機6へ供給する油圧チャージ経路77を構成している。また、昇降系油圧ユニット66に供給される油圧の全量又は前記残り分(余剰分)が主油圧チャージ経路67へ供給されるが、ローリング系油圧ユニット63からの油圧の戻り経路はローリング系タンク戻り経路70と副油圧チャージ経路74とに分岐されるので、昇降系油圧ユニット66から主油圧チャージ経路67へ供給される油圧が不足するときに、この不足分のみローリング系油圧ユニット63から副油圧チャージ経路74を介して主油圧チャージ経路67へ油圧が供給され、ローリング系油圧ユニット63からの残りの油はローリング系タンク戻り経路70を介して油圧タンク69に戻される。また、昇降系油圧ユニット66から主油圧チャージ経路67へ供給される油圧が十分であれば、ローリング系油圧ユニット63からの戻り油は全量ローリング系タンク戻り経路70を介して油圧タンク69に戻される。従って、油圧チャージ経路77は、ローリング系油圧ユニット63からの戻り油に優先して昇降系油圧ユニット66からの戻り油を油圧式無段変速機6へ供給する構成となっている。
尚、上述ではローリング系タンク戻り経路70に油圧抵抗となる絞り75を設けた構成について説明したが、絞り75を設けず、ローリング系タンク戻り経路70自体の油圧抵抗によりローリング系油圧ユニット63から副油圧チャージ経路74へ油圧が供給される構成としてもよい。また、ローリング系タンク戻り経路70に確実に油圧抵抗を生じさせるために、絞り75に代えてリリーフバルブ(圧力制御弁)を設けた構成としてもよい。
これにより、油圧式無段変速機6へのチャージ圧が不足するとき、ローリング系油圧ユニット63からの戻り油を副油圧チャージ経路74を介して油圧式無段変速機6へ確実に供給できる。また、主油圧チャージ経路67内の油圧の圧力を検出する圧力センサを設け、ローリング系タンク戻り経路70と副油圧チャージ経路74との分岐部に油路を切り替える電磁式の切替バルブを設け、圧力センサの検出に基づき主油圧チャージ経路67内の油圧の圧力が所望に維持されるように切替バルブを制御する構成としてもよい。尚、前記圧力センサを設けず、昇降系油圧ユニット66の昇降用油圧バルブ65が苗植付部16を上昇作動させているときに副油圧チャージ経路74へ油圧が供給されるよう、昇降用油圧バルブ65の作動に連動して前記切替バルブを制御する構成としてもよい。これにより、主油圧チャージ経路67内の油圧の圧力低下が懸念される苗植付部16の上昇時に、確実にチャージ圧の不足を防止できる。
油圧式無段変速機6において、チャージ圧として供給された油圧の余剰分(不要分)は、無段変速機用リリーフバルブ(圧力制御弁)79を介して無段変速機油圧タンク80に戻される。尚、無段変速機油圧タンク80は、油圧式無段変速機6を構成するケースの内部に形成された空間部により構成される。無段変速機油圧タンク80内の油圧は、油圧式無段変速機6の外部に設けた油圧抵抗装置となる無段変速機戻り用リリーフバルブ(圧力制御弁)78を有する排油経路81を介して油圧タンク69に戻される。従って、無段変速機戻り用リリーフバルブ(圧力制御弁)78が生じさせる油圧抵抗によって、無段変速機油圧タンク80内の油圧(内圧)が所定の圧力を有するので、油圧チャージ経路77からのチャージ圧を油圧式無段変速機6へ円滑に取り込むことができ、効率良くチャージ圧の不足を防止できる。尚、無段変速機戻り用リリーフバルブ(圧力制御弁)78により所望のチャージ圧が得られるのであれば、副油圧チャージ経路74又は該副油圧チャージ経路74に備える絞り75等の油圧抵抗機器を設けない構成としてもよい。
尚、左右の後輪15への伝動を断つ左右各々のサイドクラッチと、該サイドクラッチよりも伝動下手側となる左右各々の後輪15への伝動軸の回転数を検出して該後輪15の回転数を判断するための左右各々の後輪回転数センサとを設けている。また、左右のサイドクラッチを操作するアクチュエータとなる左右各々のサイドクラッチ用油圧シリンダと、左右のサイドクラッチ用油圧シリンダへの油路を切り替えるサイドクラッチ用油圧バルブとを設け、左右のサイドクラッチ用油圧シリンダ及びサイドクラッチ用油圧バルブを備えて左右のサイドクラッチを作動させるサイドクラッチ系油圧ユニットを構成している。そして、圃場の畦際での機体旋回のためのハンドル18の操作に連動して、左右一方のサイドクラッチ用油圧シリンダを作動させて旋回内側となる後輪15のサイドクラッチの伝動を断つと共に、旋回内側の後輪15の後輪回転数センサの検出に基づいて該後輪15の回転数が所望の回転数に維持されるように、サイドクラッチ用油圧バルブを制御し、前記左右一方のサイドクラッチ用油圧シリンダを作動させて旋回内側の後輪15の駆動を断続的に行う構成となっている。これにより、機体を円滑に旋回させることができる。
サイドクラッチ系油圧ユニットは、前述した油圧ポンプ61からの油圧でなく、サイドクラッチ専用の油圧ポンプからの油圧が供給される構成としている。尚、前述した油圧ポンプ61からの油圧がサイドクラッチ系油圧ユニットへ供給される構成としてもよい。このとき、分流バルブ62で分流される余剰流が、先ずサイドクラッチ系油圧ユニットへ供給され、サイドクラッチ系油圧ユニットから排出される油圧が油圧パワーステアリングユニット64を介して昇降用油圧バルブ65へ供給される構成とすれば、分流バルブ62から供給される一定流量の油圧で油圧ローリングシリンダ59を一定の速度で作動させることにより、苗植付部16のローリング制御を適正化を図ると共に、分流バルブ62で分流される余剰流が油圧パワーステアリングユニット64及び昇降系油圧ユニット66よりも先にサイドクラッチ系油圧ユニットへ供給されるので、ハンドル18の操作で油圧パワーステアリングユニット64が動作する状態であり、且つ走行速度の減速操作等により油圧ポンプ61ひいてはエンジン8の回転数が低い状態であっても、確実にサイドクラッチ系油圧ユニットを作動させることができる。
苗植付部16は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース82、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口83に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口83に供給すると苗送りベルト84により苗を下方に移送する苗載台85、苗取出口83に供給された苗を苗植付具86で圃場に植付ける植付装置161等を備えている。
苗載台85は、苗載面の裏面側下部に左右方向に設けた苗受板87と苗載面の裏面側上部に設けた支持ローラ88により左右移動自在に支持されている。また、この苗載台85は、上下に延びる複数の仕切り壁部85aを備えており、該仕切り壁部85aにより区分けされて各条の苗載部85bが構成され、6条分の苗を搭載できる構成となっている。尚、苗受板87に6条分の苗取出口83を設けている。また、苗載台85は、伝動ケース82の側面から突出するリードカム軸の駆動によりリードカムを介して左右往復移動する構成となっている。また、リードカム軸の駆動により、該リードカム軸の端部に設けた苗送りカムを介して苗送りベルト84が駆動し、苗載台85の左右移動端で苗を一株分の幅だけ苗を苗受板87側に送る構成となっている。従って、苗受板87、支持ローラ88、リードカム軸及びリードカム等により、苗載台を所定の左右移動ストロークで左右に往復移動させる苗載台左右移動機構が構成されている。
伝動ケース82内には、リードカム軸の回転速度を複数段に切り替える横移動切替装置を設けている。この横移動切替装置は、伝動比の異なる複数対の伝動ギヤを備え、スライドキーにより伝動する伝動ギヤを選択し、苗載台85の左右移動速度を変更する構成である。
また、伝動ケース82内の植付装置伝動部により、2条分の植付装置161へ伝動する構成となっている。尚、植付装置伝動部は、複数(計3個)設けられている。複数の植付装置伝動部の伝動経路上には、該植付装置161の駆動負荷が過大になると伝動を断つ安全クラッチを各々設けている。
苗植付部16の下部には、中央2条分の苗植付位置を整地するセンターフロート89と、その左右それぞれ外側2条分の苗植付位置を整地するサイドフロート90を設けている。これらフロートであるセンターフロート89及びサイドフロート90を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、前記フロートが泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に植付装置161により苗を植え付ける。各々のフロートは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように左右方向の回動支点軸回りに回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート89の前部の上下動が上下動検出機構により検出され、その検出結果に応じ油圧昇降シリンダ37を制御する昇降用油圧バルブ65を切り替えて苗植付部16を昇降させる昇降制御により、苗の植付深さを常に一定に維持する。尚、上下動検出機構は、センターフロート89の前部に連結される検出リンクと、該検出リンクの上下位置を検出するポテンショメータである上下動検出センサを備えて構成される。該上下動検出センサは、伝動ケース82に支持され、苗植付部16に対するセンターフロート89の前部の上下動を検出する構成である。
苗載台85の前方で且つ左右一側(右側)寄りの位置には、植付装置161に対する苗受板87ひいては苗載台85の上下方向の位置を変更して植付装置161が取り出す一株当たりの苗量を調節する苗取量調節操作具となる苗取量調節レバー91と、植付装置161に対するフロートの高さを変更して圃場への苗の植付深さを調節する植付深さ調節操作具となる植付深さ調節レバー92とを設けている。苗載台85の前方で且つ左右一側(右側)寄りの位置で且つ苗取量調節レバー91及び植付深さ調節レバー92よりも上側の位置には、苗植付部16の苗受板87の苗載台85との摺動部分に潤滑油を供給する潤滑油供給ポンプ93を設けている。該潤滑油供給ポンプ93は、潤滑油を貯留する潤滑油タンク94を備え、手動式ポンプ機構を押し操作することにより、潤滑油タンク94内の潤滑油を複数の潤滑油移送パイプを介して苗受板87上の複数の箇所に供給する構成となっている。よって、作業者は、機体の左右一側(右側)から苗載台85の前方に手を入れて苗取量調節レバー91及び植付深さ調節レバー92の操作並びに手動式ポンプ機構の押し操作又は潤滑油供給ポンプ93のメンテナンスを行うことができ、操作性又は作業性が向上する。
また、走行車体2の後部となる運転座席12の後方には、作業装置となる施肥装置17が搭載されている。この施肥装置17は、肥料を貯蔵する肥料タンク17aと、肥料タンク17a内から肥料を繰り出す各条の肥料繰出部17cと、該肥料繰出部17cから繰り出される各条ごとの肥料を移送する各々の施肥ホース17dと、施肥ホース17dで移送された肥料を圃場へ吐出して施肥する肥料吐出口17eと、施肥ホース17dへ圧力風を供給して該施肥ホース17d内の肥料の移送を促すブロア17bとを備える。尚、肥料吐出口17eの前方には、肥料を供給するための施肥溝を圃場に形成する作溝器95を設けている。従って、作溝器95で形成した圃場の施肥溝に、肥料吐出口17eから肥料を供給して施肥する構成となっている。
ところで、操縦部13の左右側に位置した予備苗載装置19の下方には、図1および図2では図示を省略した載置台105が設けられる。かかる載置台105,105は、施肥装置17に補充するための肥料が詰められた、たとえば20kgの重量の肥料袋を積載するものであり、その構成については後に詳述する。
乗用型田植機1は、上述したような構成を有し、エンジン8で発生する動力によって、走行車体2の走行と、苗植付部16による苗の植え付け作業を行う。
また、苗植付部16は、油圧昇降シリンダ37が作動することにより、必要に応じて昇降する。例えば、走行車体2が圃場の端に到達して、作業者がハンドル18を回動させた場合等に、苗植付部16は上昇する。そして、植付作業時には、施肥装置17による施肥作業も同時に行うことができる。
載置台105は、複数の作業位置W(W1〜W3)と、所定の収納位置Sとの間を移動自在に設けられる。そして、その移動軌跡は、前記収納位置Sの左右方向外側に位置する非線引き状態(起立状態)の線引きマーカアーム52と干渉する。
載置台105は、肥料袋の載置に適した広さおよび強度を有する。そして、上述したように、複数の作業位置W(W1〜W3)と所定の収納位置Sとの間を、自在に移動可能である。ここで、収納位置Sは、積層状態での予備苗載台20u,20m,20d(最も下段の予備苗載台20d)の真下位置としている。
また、基端部が回動ピン103に回動自在に支持された連結アーム104の先端に、載置台105の一端が枢支ピン106を介して回動自在に取付けられる。回動ピン103は、走行車体2に設けられた支持フレーム23に連結したステー101に設けられている。
なお、以下では、載置台105が回動する場合、連結アーム104を含めて載置台105と呼ぶ場合もある。
かかる構成により、積層状態での予備苗載台20u,20m,20dの真下位置となる収納位置Sから、枢支ピン106を中心に後側へ載置台105を略180度回動させると、最後方の作業位置W1に至る。そして、この位置から回動ピン103を中心に連結アーム104を走行車体2の前側に向けて回動させると、走行車体2から左右方向外側に突出した中間の作業位置W2、更には走行車体2から前側に突出した最前方の作業位置W3に位置させることができる。そして、回動ピン103を中心に連結アーム104を走行車体2の後側へ回動させ、最後方の作業位置W1で載置台105を枢支ピン106を中心に走行車体2の前側へ回動させると、載置台105は再び収納位置Sに復帰する。
このように、載置台105は、作業位置Wと収納位置Sとの間を略水平に移動可能である。そして、積層状態での予備苗載台20u,20m,20d及び収納位置Sにある載置台105の直ぐ側方(機体の左右方向外側)に、非線引き状態(起立状態)の線引きマーカアーム52が位置する構成であり、載置台105は、枢支ピン106を中心に回動する収納位置Sと最後方の作業位置W1との間の移動、及び回動ピン103を中心に連結アーム104を回動して最後方の作業位置W1と最前方の作業位置W3との間の移動で、非線引き状態(起立状態)の線引きマーカアーム52と干渉する位置関係にある。つまり、収納位置Sと最後方の作業位置W1との間を移動する載置台105の移動領域、及び最後方の作業位置W1と最前方の作業位置W3との間を移動する載置台105の移動領域と、線引き状態と非線引き状態との間の線引きマーカ200,202の作動域とが、重複する。
載置台105を固定する載置台固定機構を備えている。該載置台固定機構は、連結アーム104に対して枢支ピン106を中心に回動しないように載置台105を固定する第一ロック部110と、支持フレーム23及びステー101に対して回動ピン103を中心に連結アーム104を固定する第二ロック部96とを備えている。第一ロック部110は、ロックピン111とロック孔112とを備え、ロックピン111をロック孔112に挿入することで載置台105を所望の位置で固定する構成となっている。具体的には、ロックピン111は、枢支ピン106の近傍で、載置台105と一体で回動する第1フランジ113aに設けられ、連結アーム104と一体で回動する第2フランジ113bに設けたロック孔112に挿入される構成となっている。尚、ロックピン111は、軸体111aと摘み部111bとを有する。尚、第1フランジ113aと第2フランジ113bとは、互いに上下に摺動自在に接しており、枢支ピン106を中心に相対的に回転する。
第二ロック部96は、連結アーム104の中途部に設けた係合ピン121と、支持フレーム23に設けたロックレバー122とを備え、ロックレバー122が係合ピン121を係止することで連結アーム104を所望の位置で固定する構成となっている。尚、第一ロック部110と第二ロック部96とが共に固定状態のとき、載置台105が収納位置Sとなる。
ロックレバー122は、先端側にフック部124が形成され、基端側に操作部125が形成されており、両者を挟んで略中心位置に枢支部123が設けられている。そして、かかる枢支部123には、フック部124を係合ピン121と係合させる方向へ付勢するバネ体126が設けられている。
また、左右の支持フレーム23の側面(機体左右方向内側面)には、左右の線引きマーカを動作させる操作具となる左右各々のマーカ操作スイッチ97を設けている。該マーカ操作スイッチ97は、押しボタン式のスイッチであり、押し操作する度にマーカ切替モータ55を作動させて線引きマーカ200,202を線引き状態と非線引き状態とに交互に動作させる構成となっている。従って、作業者が、圃場の畦際等で機体を停止させ、施肥装置17の肥料タンク17aへ肥料を補給するために載置台105を移動させて肥料を搬送する際、線引きマーカ200,202が非線引き状態(起立状態)であれば、当該線引きマーカ200,202がある側の左右一方のマーカ操作スイッチ97を押し操作することにより、当該線引きマーカ200,202の線引きマーカアーム52が倒伏して線引き状態に切り替わる。これにより、載置台105を移動させても当該線引きマーカ200,202に干渉することがなく、またマーカ操作スイッチ97の操作を載置台105に近い位置で容易に行えるので、肥料補給作業が容易になる。尚、左右一方の載置台105のみを使用する場合は、当該載置台105がある側の左右一方のマーカ操作スイッチ97を操作して左右一方の線引きマーカ200,202を線引き状態に切り替えるようにすればよい。そして、肥料補給作業が終了し、載置台105を収納位置Sへ収納した後、再度マーカ操作スイッチ97を押し操作することにより、当該線引きマーカ200,202の線引きマーカアーム52が起立して元の非線引き状態に切り替わる。以降は、機体を走行させながら通常の植付作業(施肥作業)を行うことにより、機体が旋回する度に左右の線引きマーカ200,202が交互に線引き状態となる自動マーカ制御がなされる。
尚、上述ではマーカ操作スイッチ97の操作により線引きマーカ200,202を線引き状態にまで動作させる構成について説明したが、これに代えて、マーカ操作スイッチ97の操作により線引きマーカ200,202を線引き状態の手前で載置台105の移動領域から外れる程度の干渉回避位置まで下側に回動動作させる構成としてもよい。これにより、圃場の畦際で機体の側方に壁等の障害物があるときにマーカ操作スイッチ97の操作により線引きマーカ200,202が障害物に干渉することを防止できると共に、線引き部材53を圃場面に接地させないので該線引き部材53が無闇に圃場を荒らすことがない。また、載置台105を使用しての肥料補給作業終了後、再度マーカ操作スイッチ97を押し操作して線引きマーカ200,202を非線引き状態に戻す際の該線引きマーカ200,202の動作ストロークの短縮化が図れ、作業能率の向上が図れる。
また、別例として、操作具となる苗載台切替スイッチ51により予備苗載台20u,20m,20dを展開状態へ切り替える操作をするのに連動して、載置台105がある側(左右両側に載置台105がある場合は左右両側)の線引きマーカ200,202を線引き状態又は干渉回避位置まで動作させる構成としてもよい。これにより、機体の走行を停止させて苗植付部16への苗補給と施肥装置17への肥料補給との補給作業をするとき、予備苗載台20u,20m,20dの展開状態への切替に連動して線引きマーカ200,202を載置台105の移動領域から外れる位置まで動作させることができ、苗及び肥料の補給作業が容易になる。また、前述のマーカ操作スイッチ97が不要となり、操作性の向上及びコストダウンが図れる。そして、補給作業終了後、予備苗載台20u,20m,20dを積層状態へ切り替えるための苗載台切替スイッチ51の操作に連動して、当該線引きマーカ200,202を元の非線引き状態に戻す構成とする。尚、前述のマーカ操作スイッチ97を併用し、肥料補給作業のみをする場合等、苗載台切替スイッチ51により予備苗載台20u,20m,20dを展開状態へ切り替える操作をしなくても、マーカ操作スイッチ97の操作により線引きマーカ200,202を線引き状態又は干渉回避位置まで動作させる構成としてもよい。
ところで、操縦部13の上部の左寄りの位置には、苗載台左右移動機構を作動させて苗載台85を該苗載台85の左右移動ストロークの端部まで移動させて停止させるための停止操作具となる端寄せ操作具98を設けている。主変速レバー38が前後進中立位置に操作されていることを主変速レバーセンサが検出し、且つ端寄せ操作具98が操作されると、制御装置100により、ミッションケース9内の植付クラッチを入(伝動状態)に切り替え、その後、主変速レバー38が前進域に操作されたことを主変速レバーセンサが検出すると、変速操作モータを作動させて油圧式無段変速機6の出力軸を駆動させ、苗載台85の左右移動ストロークの端部まで移動したことを端部移動センサが検出すると、変速操作モータを作動させて油圧式無段変速機6の出力軸を停止させる端寄せ機能を有する。これにより、苗載台85が左右方向の移動端にある状態で停止するので、植付作業開始時に前記移動端にある苗載台85へ初期の苗補給を行え、マット苗の左右方向端部から植付装置161が苗を掻き取ることができる。また、倉庫等への機体の格納時に、苗載台85を前記移動端に移動させた状態とし、倉庫内の他の構造物等に干渉しないように効率良く機体を格納することができる。尚、端寄せ操作具98は、押し操作するスイッチであり、押し操作する度に上述した端寄せ機能の入切を交互に切り替える構成となっている。また、端部移動センサは、苗載台85が左右一方側の移動端に到達したときのみ検出する構成としてもよいし、苗載台85が左右何れの移動端に到達しても検出する構成としてもよい。
特に、苗載台85の左右一側部の苗載部85bを左右中央部の苗載部85bに対して移動させずに、苗載台85の左右他側部の一部の苗載部85bとなる可動苗載部のみを折りたたむ等して左右中央部のみ苗載部85bに対して左右方向内側に移動させる構成とし、機体の格納時等に苗載台85の左右幅を縮小させる構成とした場合、端部移動センサは、苗載台85が可動苗載部がある左右他側の移動端に到達したときのみ検出する構成とすることが望ましい。これにより、端部移動センサで苗載台85が前記左右他側の移動端で停止し、この状態で可動苗載部を移動させて苗載台85の左右幅を縮小すれば、左右幅を縮小した苗載台85は、概ね機体の左右方向中央に配置されることになる。
ところで、前述では線引きマーカ200,202を走行車体2の左右側方に配置した構成について説明したが、線引きマーカ200,202を苗植付部16の左右側方に配置して該苗植付部16に支持させて設けた構成としてもよい。この場合、従来は、倉庫への機体の格納スペースを縮小するために、作業者が、線引きマーカ200,202の線引きマーカアーム52を、非線引き状態よりも更に機体左右方向内側となるマーカ収納位置まで回動させ、苗植付部16に設けたマーカ収納フックに引っ掛け、線引きマーカ200,202を収納して苗植付部16ひいては機体の左右幅を縮小する構成となっている。しかしながら、機体の格納時に、作業者が線引きマーカ200,202をマーカ収納位置へ収納する作業が煩わしい。そこで、端寄せ操作具98の端寄せ機能の入操作に連動して、マーカ切替モータ55を作動させて線引きマーカ200,202をマーカ収納位置へ自動的に収納する構成とすることができる。
また、機体の走行停止操作を行うクラッチペダルもしくはブレーキペダル等の停止操作具や、苗植付部16の作動を停止させる植付昇降レバー50等の停止操作具の操作に連動して、線引きマーカ200,202をマーカ収納位置へ自動的に収納する構成としてもよい。
苗植付部16の伝動ケース82の後端面部(植付装置伝動部の後端部)には、植付装置161への出力軸の回転を検出する植付作動センサ99を設けている。尚、前記出力軸は、安全クラッチよりも伝動下手側の伝動軸となる。植付作動センサ99は、2条毎に設けられた植付装置伝動部及び前記出力軸に対応して複数(計3個)設けられている。そして、植付昇降レバー50の操作に基づき、制御装置100が植付クラッチを入にする出力信号を植付クラッチモータへ出力しているにも拘らず、何れかの植付作動センサ99が前記出力軸の回転を検出しないとき、安全クラッチにより植付装置161への伝動が断たれていると判断し、異常状態であることをブザーやランプにより警報して知らせる構成となっている。これにより、苗の植付をせずに機体を走行させて植付欠株を発生させることを防止できると共に、安全クラッチの破損を防止できる。逆に、植付昇降レバー50の操作に基づき、制御装置100が植付クラッチを切にする出力信号を植付クラッチモータへ出力しているにも拘らず、何れかの植付作動センサ99が前記出力軸の回転を検出するとき、何らかの異常が発生していると判断し、異常状態であることをブザーやランプにより警報して知らせる構成となっている。これにより、不要に植付を行うことによる苗の無駄の発生を防止できる。
伝動ケース82の後端面部を覆う着脱可能なカバーを設け、該カバーに植付作動センサ99を取り付けた構成とすることにより、カバーごと植付作動センサ99を取り外すことができ、植付作動センサ99のメンテナンス性が向上する。
尚、上述のような異常状態であるとき、制御装置100により、変速操作モータを作動させて油圧式無段変速機6を減速側に変速したりエンジン8の回転数を低下させたりする減速制御を行ってもよい。また、上述のような異常状態であるとき、制御装置100により、変速操作モータを作動させて油圧式無段変速機6の出力を停止したりエンジン8の駆動を停止させたりする停止制御を行ってもよい。これらの減速制御や停止制御により、上述のような植付欠株や安全クラッチの破損や苗の無駄の発生を防止できる。尚、油圧式無段変速機6及びエンジン8からの伝動により植付装置161を作動させる構成であるので、前記減速制御や前記停止制御は、植付装置161の作動を減速したり停止したりする制御となる。尚、減速制御や停止制御は、走行とは関係なく、苗植付部16ひいては植付装置161の作動を減速したり停止したりする制御であってもよい。また、前述の警報と上述の減速制御や停止制御とは、何れかの制御のみを実行する構成としてもよいし、複数の制御を併用する構成としてもよい。
また、植付装置161の駆動負荷が過大になることにより安全クラッチのクラッチ体が伝動を断つ動作をしていることを検出する安全クラッチセンサを設け、該安全クラッチセンサにより安全クラッチが作動(伝動遮断)したことを検出すると、前述と同様に警報、減速制御及び停止制御等を実行する構成とすることができる。
また、一部の植付装置161への伝動のみを停止する部分クラッチを設けることができる。該部分クラッチは、2条毎の植付装置161への伝動を入切する構成であり、安全クラッチと同様に植付装置伝動部の伝動経路上に設けられている。従って、6条植えの苗植付部16において、計3個の部分クラッチを設けている。そして、植付昇降レバー50の操作に基づき、制御装置100が植付クラッチを入にする出力信号を植付クラッチモータへ出力しているにも拘らず、入操作した部分クラッチに対応する植付作動センサ99が前記出力軸の回転を検出しないとき、前述と同様に警報、減速制御及び停止制御等を実行する構成とすることができる。逆に、植付昇降レバー50の操作に基づき、制御装置100が植付クラッチを入にする出力信号を植付クラッチモータへ出力しているにも拘らず、切操作した部分クラッチに対応する植付作動センサ99が前記出力軸の回転を検出するとき、前述と同様に警報、減速制御及び停止制御等を実行する構成とすることができる。
ところで、本実施形態に係る苗移植機1が備える操作レバーの一例である主変速レバー38は、操縦部13の右側位置Aに設けられている。しかし、取付位置を固定するのではなく、選択可能にすることができる。例えば、操作レバーが主変速レバー38である場合、レバー本体382と、当該レバー本体382を走行車体2の機体フレーム(不図示)に連結するためにユニット化されて取付ユニットとして機能する連結ユニット381を有する構成とする。そして、かかる主変速レバー38を、例えば、運転座席12の右側位置Bなどのように、走行車体2の互いに異なる位置に選択的に取付可能とすることができる。
かかる構成とすることにより、操作レバーの改造が可能となり、容易にオプション化が可能となり、操作レバーに関し、部品点数の少ない安価なオプション設定が可能となる。
ここで、レバーの構成としては、例えば、ライニングによる無段、ペダル、カムによるレバー中立戻し、ポテンショメータによるトライニオン電動、アーム、ケーブルによるオートアクセル構成にすることが好ましい。そして、このようにユニット化された連結ユニット381は、少なくとも半分以上を共用部品で構成するとよい。なお、ハーネスやケーブル類は、延長追加可能なものを用いるとよい。
また、本実施形態に係る苗移植機1は、走行車体2の上部(運転座席12の後側上方)に、夜間作業を行う際に用いる作業灯72を備えている。また、苗移植機1は、前述したように、肥料を圃場に向けて送給するブロワ17bも備えており、これらは、バッテリー71の電力により作動する。
かかる構成において、バッテリー71の電圧低下や発電不足を防止するために、ブロワ17bと作業灯72とのうち、いずれか一方を選択的に動作させる選択スイッチ73を設ける構成とすることができる。なお、感度調節やロータ高さ調節など、使用頻度の高い操作手段は、通常、操縦部13の右側に設けられているため、誤操作を防止するために、選択スイッチ73は、操縦部13の左側に設けるとよい。これにより、機体の走行を停止させて苗や肥料の補給作業を行うとき、選択スイッチ73を切替操作して作業灯72を点灯させることにより、補給作業を容易に且つ安全に行うことができる。また、この作業灯72の点灯に連動してブロワ17bの作動が停止するので、非植付作業時にブロワ17bを停止させることができ、バッテリー71の電力を無闇に消費することを抑える。一方、機体を走行させながら施肥と同時に植付作業を行うとき、選択スイッチ73を切替操作してブロワ17bを作動させるが、このブロワ17bの作動に連動して作業灯72が消灯するので、機体の走行を停止させての苗や肥料の補給作業中でなければ作業灯72を消灯させることができ、バッテリー71の電力を無闇に消費することを抑える。
また、苗植付部16は、昇降リンク装置33に対して着脱ヒッチを介して着脱可能に設けられている。従って、昇降リンク装置33から苗植付部16を取り外し、播種装置、除草装置、溝切り装置等の異なる作業部を装着することができる構成となっている。この作業部の取り外しにあたっては、走行車体2と作業部との間を接続する電装配線、連繋ケーブル及び走行車体2側から作業部へ伝動する作業部用伝動軸130等の接続を外す必要がある。作業部用伝動軸130には、走行車体2側となる前端部と作業部側となる後端部とに屈曲自在の軸継手を備え、軸継手の屈曲により作業部の昇降に対応可能な構成となっている。作業部を取り外す際、作業部用伝動軸130の後端部と作業部との接続を外し、昇降リンク装置33の左右一方(右側)のロワーリンク35に固着され支持される伝動軸受け部材131に、作業部用伝動軸130を載せて支持させる構成となっている。これにより、作業部用伝動軸130を他の部材に干渉しないように又は地面に接触しないように支持することができ、作業部用伝動軸130の破損や脱落を防止できる。また、伝動軸受け部材131で支持された状態でも、作業部用伝動軸130は、昇降リンク装置33の側部近傍に位置するので、作業者や周囲の構造物に接触し難くなる。尚、昇降リンク装置33の昇降位置に拘らず、伝動軸受け部材131で支持された作業部用伝動軸130の後部が、機体側面視でアッパーリンク34とロワーリンク35との間の高さに位置することが望ましい。伝動軸受け部材131は、下側へ凹む凹形状の受け部を備え、前記左右一方のロワーリンク35の左右方向外側(右側)に配置され、作業部用伝動軸130の駆動回転を許容する。従って、作業部用伝動軸130で伝動する必要のない作業部を装着した場合でも、作業部用伝動軸130を作業部に接続しないまま伝動軸受け部材131で支持させることができる。
また、苗植付部16の前部に整地ロータ132を支持して設けており、左右一方(左側)の後輪ギヤケース32から整地用伝動軸133を介して整地ロータ132へ伝動される構成となっている。整地用伝動軸133にも、後輪ギヤケース32側となる前端部と整地ロータ132側となる後端部とに屈曲自在の軸継手を備え、軸継手の屈曲により作業部及び整地ロータ132の昇降に対応可能な構成となっている。従って、苗植付部16を取り外す際、整地用伝動軸133の後端部と整地ロータ132との接続を外し、前記左右一方(左側)の後輪ギヤケース32の後部に固着され支持される整地用伝動軸受け部材134に、整地用伝動軸133を載せて支持させる構成となっている。これにより、整地用伝動軸133を他の部材に干渉しないように又は地面に接触しないように支持することができ、整地用伝動軸133の破損や脱落を防止できる。整地用伝動軸受け部材134は、下側へ凹む凹部を備える針金(棒材)で構成され、整地用伝動軸133の駆動回転を許容する。従って、整地用伝動軸133で伝動する必要のない作業部(整地ロータ132のない作業部)を装着した場合でも、整地用伝動軸133を接続しないまま整地用伝動軸受け部材134で支持させることができる。
作業部である播種装置や溝切り装置においては、圃場の落水(排水)を促すための落水用の溝を土壌面に形成する落水用作溝器135を備えている。尚、前記落水用の溝は、苗や種子の植付条間部分に形成される。落水用作溝器135は、土中に突入して溝を形成する背面視でV字状の作溝突部136と、作溝突部136の左右側方に位置する側板137とを備え、左右方向の支点軸を中心に上下回動自在の作溝支持アーム138の後端部に固着されている。従って、機体を走行させることにより、下方に鋭角に尖る作溝突部136の下部で土壌面に溝を形成すると共に、作溝突部136から左右に押し寄せられる泥流や水流を側板137が受け止め、植え付けられた苗や種子に泥流や水流が及ぶのを抑制する。
この落水用作溝器135において、作溝突部136に対して左右の側板137の前後方向の位置を調節可能に構成することが望ましい。これにより、圃場の土壌が軟らかいときは、作溝突部136から左右に泥流が発生し易くなるので、側板137を前寄りに配置して泥流を確実に受け止めることができる。逆に、圃場の土壌が硬いときは、落水用作溝器135で泥抜けし難くなって圃場面が荒れ易くなるので、側板137を後寄りに配置して泥抜けしやすくすることができる。従って、圃場状況に応じて側板137の作用を調節することができる。尚、左右の側板137の前後方向の位置を調節可能にするための具体構成としては、作溝突部136に対して左右各々の側板137を取付ボルトを介して着脱可能に構成すると共に、取付ボルトが挿入される孔(側板137に形成した孔)を前後方向に長い長孔とし、取付ボルトを弛めて側板137を前後に調節可能な構成とすればよい。
また、作溝突部136に対して左右の側板137の上下方向の位置を調節可能に構成することが望ましい。これにより、圃場の土壌が軟らかいときは、作溝突部136から左右に泥流が発生し易くなるので、側板137を下寄りに配置して泥流を確実に受け止めることができる。逆に、圃場の土壌が硬いときは、落水用作溝器135で泥抜けし難くなって圃場面が荒れ易くなるので、側板137を上寄りに配置して泥抜けしやすくすることができる。尚、左右の側板137の上下方向の位置を調節可能にするための具体構成としては、作溝突部136に対して左右各々の側板137を取付ボルトを介して着脱可能に構成すると共に、取付ボルトが挿入される孔(側板137に形成した孔)を上下方向に長い長孔とし、取付ボルトを弛めて側板137を上下に調節可能な構成とすればよい。尚、前記孔を後上がり傾斜の長孔で構成し、側板137を前後方向及び上下方向に調節可能な構成としてもよい。また、2個の取付ボルト及び孔を前後に配置し、前側の取付ボルトで締め付けられる孔の位置を変えずに後側の取付ボルトで締め付けられる孔の位置を上下方向に変更する等して、泥押し及び泥抜けの状況に応じて側板137の前後傾斜姿勢を変更調節してもよい。
以上により、この乗用型田植機1は、走行車体(2)と、圃場に資材を供給して作業する作業装置(17)と、走行車体(2)の側方へ突出作動することにより、圃場面に次行程の進行の指標を形成する線引きマーカ(200,202)と、前記資材を載置可能であると共に、線引きマーカ(200,202)の作動域と重複する領域を通過して移動する載置台(105)と、該載置台(105)の近くで線引きマーカ(200,202)を動作させる操作具(97)とを設けている。
よって、載置台(105)の移動領域と線引きマーカ(200,202)の作動域とが重複する位置関係としたので、機体をコンパクトに構成でき、倉庫等への機体の格納スペースの低減が図れると共に、作業装置(17)への資材の補給のために載置台(105)を移動させるとき、該載置台(105)近くの操作具(97)を操作して線引きマーカ(200,202)を載置台(105)の移動領域から外れる位置へ動作させることができ、資材の補給作業が容易に行える。
また、走行車体(2)と、圃場に施肥する施肥装置(17)と、走行車体(2)の側方へ突出作動することにより、圃場面に次行程の進行の指標を形成する線引きマーカ(200,202)と、肥料を載置可能であると共に、前記線引きマーカ(200,202)の作動域と重複する領域を通過して施肥装置(17)に近づく側へ移動する載置台(105)と、該載置台(105)を移動可能に支持する支持フレーム(23)と、線引きマーカ(200,202)を動作させる操作具(97)とを設け、支持フレーム(23)の近くに線引きマーカ(200,202)及び操作具(97)を配置している。
よって、載置台(105)の移動領域と線引きマーカ(200,202)の作動域とが重複する位置関係としたので、機体をコンパクトに構成でき、倉庫等への機体の格納スペースの低減が図れると共に、施肥装置(17)への肥料の補給のために載置台(105)を施肥装置(17)に近づく側へ移動させるとき、該載置台(105)及び線引きマーカ(200,202)の近くにある操作具(97)を操作して線引きマーカ(200,202)を載置台(105)の移動領域から外れる位置へ動作させることができ、肥料の補給作業が容易に行える。
また、走行車体(2)と、圃場に施肥する施肥装置(17)と、苗の植付作業を行う苗植付部(16)と、走行車体(2)の側方へ突出作動することにより、圃場面に次行程の進行の指標を形成する線引きマーカ(200,202)と、肥料を載置可能であると共に、前記線引きマーカ(200,202)の作動域と重複する領域を通過して施肥装置(17)に近づく側へ移動する載置台(105)と、苗を載置可能な複数の予備苗載台(20u,20m,20d)と、該複数の予備苗載台(20u,20m,20d)を横方向に一列状に並ぶ展開状態と上下方向に並ぶ積層状態とに切替可能な操作具(51)とを設け、該操作具(51)の操作に連動して線引きマーカ(200,202)を載置台(105)の移動領域から外れる位置まで動作させる構成としている。
よって、載置台(105)の移動領域と線引きマーカ(200,202)の作動域とが重複する位置関係としたので、機体をコンパクトに構成でき、倉庫等への機体の格納スペースの低減が図れる。また、苗植付部(16)への苗補給及び施肥装置(17)への肥料補給の補給作業時に、操作具(51)の操作により、複数の予備苗載台(20u,20m,20d)を横方向に一列状に並ぶ展開状態になると共に、線引きマーカ(200,202)が載置台(105)の移動領域から外れる位置まで動作させることができ、展開状態の複数の予備苗載台(20u,20m,20d)を使用して苗補給作業を容易に行えると共に、載置台(105)を施肥装置(17)に近づく側へ移動させて肥料補給作業を容易に行える。
また、走行車体(2)の左右側方へ突出作動する左右各々の線引きマーカ(200,202)を設け、載置台(105)が左右一側の線引きマーカ(200,202)の作動域と重複する領域を通過して移動する構成とし、操作具の操作により、左右一側の線引きマーカ(200,202)のみを動作させる構成としている。
よって、作動域が載置台(105)の移動領域と重複する左右一側の線引きマーカ(200,202)のみを動作させるので、操作具の操作により左右他側の線引きマーカ(200,202)を無闇に動作させることがなく、安全性が向上する。
また、走行車体(2)と、苗の植付作業を行う苗植付部(16)とを設け、苗植付部(16)には、苗を載置する苗載台(85)と、該苗載台(85)上の苗の端部を受けると共に苗取出口(83)を備える苗受板(87)と、苗載台(85)を所定の左右移動ストロークで左右に往復移動させる苗載台左右移動機構と、前記苗取出口(83)上の苗を取って圃場へ植え付ける植付装置(161)と、側方へ突出作動することにより、圃場面に次行程の進行の指標を形成する線引きマーカ(200,202)とを設け、苗載台左右移動機構を作動させて苗載台(85)を前記左右移動ストロークの端部まで移動させて停止させるか、走行を停止させるか、又は苗植付部(16)の作動を停止させる停止操作具(50,98)を設け、該停止操作具(50,98)の操作に連動して線引きマーカ(200,202)を収納する構成としている。
よって、停止操作具(50,98)の操作に連動して線引きマーカ(200,202)を収納するので、機体の左右幅を縮小してコンパクト化が図れ、倉庫等への機体の格納作業が容易になる。
また、走行車体(2)と、苗の植付作業を行う苗植付部(16)とを設け、苗植付部(16)には、苗を載置する苗載台(85)と、該苗載台(85)上の苗の端部を受けると共に苗取出口(83)を備える苗受板(87)と、苗載台(85)を所定の左右移動ストロークで左右に往復移動させる苗載台左右移動機構と、前記苗取出口(83)上の苗を取って圃場へ植え付ける植付装置(161)と、圃場面に接地するフロート(89,90)と、植付装置(161)に対する苗受板(87)の位置を変更して植付装置(161)が取り出す一株当たりの苗量を調節する苗取量調節操作具(91)と、植付装置(161)に対するフロート(89,90)の高さを変更して圃場への苗の植付深さを調節する植付深さ調節操作具(92)と、苗植付部(16)の各部に潤滑油を供給する潤滑油供給ポンプ(93)とを設け、苗取量調節操作具(91)、植付深さ調節操作具(92)及び潤滑油供給ポンプ(93)を機体の左右一側に配置している。
よって、苗取量調節操作具(91)、植付深さ調節操作具(92)及び潤滑油供給ポンプ(93)を機体の左右一側に配置したので、作業者が機体の左右一側から苗取量調節操作具(91)の操作、植付深さ調節操作具(92)の操作並びに潤滑油供給ポンプ(93)の操作又はメンテナンスを行うことができ、操作性又は作業性が向上する。
また、走行車体(2)と、苗の植付作業を行う苗植付部(16)とを設け、苗植付部(16)には、苗を載置する苗載台(85)と、該苗載台(85)上の苗を取って圃場へ植え付ける植付装置(161)とを設け、該植付装置(161)を作動状態と非作動状態とに切り替える植付操作具(50)を設け、植付装置(161)への伝動経路上に、該植付装置(161)の駆動負荷が過大になると伝動を断つ安全クラッチを設け、該安全クラッチよりも伝動下手側に、植付装置(161)の作動を検出する植付作動センサ(99)とを設け、植付操作具(50)による操作状態と植付作動センサ(99)に基づく植付装置(161)の作動状態とが不一致のとき、警報するか又は植付装置(161)の作動を停止もしくは減速する構成としている。
よって、安全クラッチにより植付装置(161)への伝動を断った状態で機体を走行させて植付欠株を発生させることを防止できる。また、作業者が意図しないにも拘らず、苗を植え付けてしまうことを防止できる。
また、走行車体(2)と、苗の植付作業を行う苗植付部(16)と、走行車体(2)に対して苗植付部(16)を昇降させる苗植付部昇降機構(3)と、走行車体(2)に対して苗植付部(16)を前後方向の軸回りにローリングさせる苗植付部ローリング機構と、走行速度を変速する油圧式変速機(6)とを設け、苗植付部昇降機構(3)は昇降系油圧ユニット(66)により作動し、苗植付部ローリング機構はローリング系油圧ユニット(63)により作動する構成とし、油圧ポンプ(61)からの油圧を昇降系油圧ユニット(66)とローリング系油圧ユニット(63)とに分流して供給する分流バルブ(62)と、昇降系油圧ユニット(66)とローリング系油圧ユニット(63)からの戻り油を合流して油圧式変速機(6)へ供給する油圧チャージ経路(77)とを設け、油圧チャージ経路(77)は、ローリング系油圧ユニット(63)からの戻り油に優先して昇降系油圧ユニット(66)からの戻り油を油圧式変速機(6)へ供給する構成としている。
よって、共通の油圧ポンプ(61)からの油圧を昇降系油圧ユニット(66)とローリング系油圧ユニット(63)とに分流して供給できると共に、昇降系油圧ユニット(66)とローリング系油圧ユニット(63)からの戻り油を合流して油圧式変速機(6)へチャージ圧を供給するので、油圧式変速機(6)へのチャージ圧が不足することを防止できる。更に、ローリング系油圧ユニット(63)からの戻り油に優先して昇降系油圧ユニット(66)からの戻り油をチャージ圧として油圧式変速機(6)へ供給するので、油圧式変速機(6)へチャージ圧を供給するにあたりローリング系油圧ユニット(63)への影響を極力抑えることができ、苗植付部ローリング機構を高精度で作動させることができ、植付精度が向上する。
また、油圧式変速機(6)から油圧タンク(69)への排油経路(81)に、油圧式変速機(6)内の内圧を高めるための油圧抵抗装置(78)を設けている。
よって、油圧抵抗装置(78)により油圧式変速機(6)内の内圧を高めることができ、油圧式変速機(6)へのチャージ圧の供給不足に対応することができる。
ところで、前述では載置台105及びマーカ操作スイッチ97を機体の左右両側にもうけた構成について説明したが、載置台105及びマーカ操作スイッチ97を左右何れか一側にのみ設けた構成としてもよい。載置台105を左右何れか一側にのみ設けた場合、苗載台切替スイッチ51の操作に連動して線引きマーカ200,202を作動させるときは、載置台105がある側の線引きマーカ200,202のみを作動させればよい。
また、資材として肥料、作業装置として施肥装置17について説明したが、資材として肥料の他、苗、種子、薬剤等が考えられ、作業装置として前述のような苗植付部16、播種装置、薬剤供給装置等が考えられる。
また、上述した本実施形態では、載置台105は、電動により駆動可能としたが、マニュアルによって回動させることもできる。
また、上述した本実施形態では、載置台105を収納位置Sに固定可能な載置台固定部として第一ロック部110や、係合ピン121およびロックレバー122などを備える構成とした。しかし、載置台105をサーボモータを用いて駆動するようにした場合、モータによって載置台105を収納位置Sを含む任意の位置に固定することも可能である。
また、苗移植機1は、上述した実施形態、及び変形例で用いられている構成や制御等を適宜組み合わせてもよく、または、上述した構成や制御以外を用いてもよい。