JP6709016B2 - ラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤 - Google Patents

ラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6709016B2
JP6709016B2 JP2014262519A JP2014262519A JP6709016B2 JP 6709016 B2 JP6709016 B2 JP 6709016B2 JP 2014262519 A JP2014262519 A JP 2014262519A JP 2014262519 A JP2014262519 A JP 2014262519A JP 6709016 B2 JP6709016 B2 JP 6709016B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fat
lauric acid
oil
protease
protein
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014262519A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016119885A (ja
Inventor
真司 高山
真司 高山
浩一 白藤
浩一 白藤
宮本 圭一
圭一 宮本
羽木 貴志
貴志 羽木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiyo Kagaku KK
Original Assignee
Taiyo Kagaku KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiyo Kagaku KK filed Critical Taiyo Kagaku KK
Priority to JP2014262519A priority Critical patent/JP6709016B2/ja
Publication of JP2016119885A publication Critical patent/JP2016119885A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6709016B2 publication Critical patent/JP6709016B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Beans For Foods Or Fodder (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Description

本発明は、ヤシ油、パーム核油、乳脂肪などのラウリン酸系油脂を含有する食品の保存時に発生する油脂又は乳蛋白の劣化臭抑制剤及び、その劣化臭抑制剤及びラウリン酸系油脂を含有した食品の製造方法に関する。
従来、ヤシ油やパーム核油、乳脂肪などのラウリン酸やミルスチン酸を多く含むラウリン酸系油脂は、その口どけの良さから、菓子類、クリーム類などの食品に使用されてきた。しかしながらこれらの食品は、製造中の加熱や保管中に油脂が劣化し、苦味やエグ味などの不快な味や青臭さなどの不快なにおいが発生する場合があった。特に、ラウリン酸系油脂を含む食品は、オレイン酸やリノール酸などを主成分にする大豆油やナタネ油などの油脂を含む食品と異なり、冷凍及び冷蔵下での短期間の保管で劣化臭を発生する場合が多くあった。
その対策として、ビタミンEなどの酸化防止剤が使用されていた(例えば、特許文献1参照。)。しかしこれらの酸化防止剤は、油脂の酸化によるPOVやAVの上昇を抑制することは可能であるが、ラウリン酸系油脂を含む食品の短期間の保管おいて、POVやAVがほとんど上昇していない状態で発生する不快な風味を抑えることはできなかった。
特に、ホイップクリームやアイスクリームなどのラウリン酸系油脂を含有し乳蛋白を含む乳化食品は、その冷蔵又冷凍保管時にPOVやAVの上昇がなくとも、不快な匂いが強くなり、その賞味できる期限内であっても劣化臭が発生する場合があるという問題があった。
特開2006−325548号公報
ヤシ油やパーム核油や乳脂肪などのラウリン酸系油脂を含有した食品の保存時に発生する劣化臭抑制剤及び、ラウリン酸系油脂を含有する食品に劣化臭抑制剤を添加混合する工程を有することを特徴とする乳化食品の製造方法を提供することを目的とする。
なお、以下に記載する%は特記ない限り、重量%を意味する。
本発明者は鋭意研究した結果、pH5.0〜8.0の乳化状態で分散した蛋白質は疎水部分が表面に露出されるために、プロテアーゼを作用させて、蛋白質の40%以上を分子量180〜2500に分解した場合に、豆由来蛋白分解物特有の苦味やエグ味を呈することなく、劣化臭気物質と相互作用が増す状態に分解され、油脂の劣化臭の抑制に十分な効果を発揮することを見出した。
すなわち本発明は、以下に関するものである。
(1)大豆、えんどう豆、蚕豆、小豆のいずれかより、蛋白質量を固形分の25%以上まで濃縮した後、蛋白質濃度1%〜15%、pH5.0〜8.0でプロテアーゼを作用させた分子量100〜3万の蛋白質のプロテアーゼ分解物を含有するラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤。
(2)プロテアーゼ分解物の分子量が、全蛋白質の40%以上が分子量180〜2500、及び全蛋白質の80%以上が10〜1万である請求項(1)記載のラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤。
(3)プロテアーゼを作用させる際に、油脂0.1〜30%存在下にリン脂質を添加し乳化することを特長とする前記(1)又は(2)記載のラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤。
(4)トコフェロールとプロテアーゼ分解物の含有比率が20:80以上50:50以下である前記(1)〜(3)いずれか記載のラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤。
(5)ラウリン酸系油脂がヤシ油、パーム核油、乳脂肪、カカオ脂の少なくとも一種からなる前記(1)〜(4)いずれか記載の劣化臭抑制剤。
(6)ラウリン酸系油脂含有食品が、乳化食品である前記(1)〜(5)いずれか記載の劣化臭抑制剤。
(7)前記(1)〜(6)いずれか記載の劣化抑制剤を添加混合することを特徴とするラウリン酸系油脂含有食品の製造方法。
(8)ホイップクリーム、チョコレート、ヨーグルト、アイスクリームのいずれかである前記(7)記載のラウリン酸系油脂含有食品の製造方法。
本発明の劣化抑制剤は、ヤシ油やパーム核油や乳脂肪などのラウリン酸系油脂を用いた食品の保存時に発生する油脂の劣化風味を抑えるという利点がある。本発明のマスキング剤を用いることにより、油脂の不快な匂いのない食味の向上したラウリン酸系油脂使用した食品の製造が可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明における蛋白質の起源原料である大豆、えんどう豆、蚕豆、小豆は、食用に使用できるものであればよい。酵素反応の前に、粉砕し粒状〜粉状にし、含有する脂肪や繊維質を除き、蛋白質量を固形分中の25%以上であればよい。25%未満の場合は、劣化抑制剤としての効果を発揮する大量の添加が必要となり、最終食品の食感などに影響するため好ましくない。特に限定するわけではないが、蛋白含量の多い点より大豆もしくは、蚕豆を使用することが経済性の面で好ましい。
本発明におけるプロテアーゼは、pH5.0以上、8.0以下で、蛋白質を分解するものであればよく、特に限定するものではないが、至適pHが、5.0〜8.0のプロテアーゼが、少量の酵素添加で蛋白質を分解できるために経済性の面から好ましい。更に好ましくは、至適温度が45℃以上のプロテアーゼが、細菌の増殖抑制から好ましい。特に限定されるものではないが、至適pHが、5.0〜8.0、至適温度として45℃以上の酵素として、Aspergillus属、Bacillus subtili属、Streptomyces属由来のプロテアーゼが挙げられる。最も好ましくはAspergillus属由来の酵素を使用することが好ましい。
具体的な酵素としては、例えば、パパインW−40、プロテアーゼA「アマノ」SD、プロテアーゼM「アマノ」SD、プロテアーゼP「アマノ」3SD、プロテアーゼN「アマノ」G、プロテアックス、ウマミザイムG、ブロメラインF(以上、天野エンザイム社製)、コクラーゼP(三共社製)、フレーバーザイム1000L、アルカラーゼ2.4L、ニュートラーゼ0.5Lプロタメックス(以上、novozymes社製)、パパイン、デナプシン10P、ビオプラーゼSP−4(以上、ナガセケムテックス社製)、プロテアーゼYP−SS(ヤクルト薬品工業社製)などが挙げられる。
これらの蛋白質分解酵素は単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また酵素は、一度に添加しても良いが、2〜3回に分けて添加し、酵素反応を行っても良い
本発明における酵素反応は、蛋白質1%以上15%以下、pHを5.0以上8.0以下でプロテアーゼを作用させることで、蛋白質の疎水部分が表面に露出が十分となった状態で、蛋白質の80%以上を分子量10〜1万に分解調整することで目的とする油脂の劣化風味の抑制機能を発揮する。好ましくは、蛋白40%以上を分子量180〜2500までにすることが望ましい。更に好ましくは、蛋白70%以上を分子量180〜2500までに分解調整し、残りの30%以下を1万以下に分解調整することが望ましい。特に限定するものではないが、リン脂質で油脂を0.1〜30%を乳化しプロテアーゼ反応することが、リン脂質が蛋白質と複合体を形成することで蛋白質の疎水部分が表面に露出するために油脂の劣化風味の抑制機能が向上し、豆蛋白分解物特有の苦味やエグ味が低減するため好ましい。特に限定するものではないが、本発明に用いるリン脂質は、食品添加物として使用できものであればよく、大豆や卵黄から抽出されたレシチン等が挙げられる。特に限定するものではないが、本発明に用いる乳化する油脂は、食用に使用できる、植物、動物性の油脂であり、酵素反応温度で液性を呈する融点の油脂が好ましい。更に好ましくは、45℃で液性を呈する融点の油脂が、酵素反応が進行しやすいために好ましい。
本発明における蛋白分解物の劣化抑制効果は、特に限定するものではないがトコフェロールと相乗効果を有するために、トコフェロールとプロテアーゼ分解物の含有比率が20:80以上50:50以下で混合された製剤が好ましい。
本発明における蛋白分解物の分子量とは、ゲルろ過法において分子量既知の標準品から分子量が100〜3万の溶出位置を算出し、その前後の面積比から、100〜3万の分子量の分解物量が算出される。一部の蛋白質が分解されず不溶化した場合は、水溶性の蛋白質及びその分解物と不溶化蛋白質量に遠心分離などで分離し、それぞれの蛋白量をケルダール法、蛋白質比色定量法など一般的な蛋白定量法で分析し、水溶性の蛋白質及びその分解物の含量を算出し、その含量中のゲルろ過法において100〜3万の分子量の分解物量で算出される。
特に限定するわけではないが、具体的には、検出器として横河アナリティカルシステム株式会社製のHP1050、カラムとしてファルマシア製 Superdex Peptide HR 10/30、溶媒として0.3M・NaClを含む0.1Mのリン酸Na・Buffer(pH6.5)、流速0.25ml/min、検出 UV214nmにてHPLC ゲルろ過分析を実施することにより測定できる。
本発明におけるラウリン酸系油脂とは、脂肪酸組成においてラウリン酸やミリスチン酸を多く含むもので、特に限定するものではないがヤシやパームより抽出・分別・精製されたラウリン酸を40%以上含む食用油脂やミリスチン酸5%以上含む乳脂肪やカカオ脂が挙げられる。これらの油脂は口溶けが良いため広く食品に用いられるが、その保管時に劣化臭が発生する。
本発明におけるラウリン酸系油脂含有食品とは、脂肪酸組成においてラウリン酸を多く含むラウリン酸系油脂を原料に用いた食品で、特に限定するものではないが、洋菓子類などに泡立てて使用するホイップクリーム、チョコレートを用いたパン類のセンタークリーム、焼き菓子などに使われるバタークリーム、アイスクリーム、ヨーグルトなどの形態が挙げられる。特に光の影響を受けやすく、店頭で陳列時の照明などで劣化臭が発生しやすくなる。更には、カゼインや乳清蛋白などの乳蛋白質が含まれる、乳化状態にあるラウリン系油脂含有食品は劣化臭が発生しやすい状態にある。
本発明のラウリン系油脂を用いた食品の製造の実施においては、特に限定するものではないが、通常食品に使用される原材料や添加物が存在してもその機能は発揮されるため、使用原材料には制限がない。本発明の劣化臭抑制剤の使用においては、特に限定するものではないが、水溶性の物質のため、ラウリン酸系油脂を用いた乳化食品の製造中の乳化工程で水に本発明の劣化臭抑制剤の固形分を最終の乳化食品の0.01%以上0.5%以下の添加量で分散させる使用することが好ましい。
以下に本発明品を実施例として具体的に説明するが、これは本発明品を単に説明するだけのものであって、本発明を何ら限定するものではない。
実施例1
大豆、蚕豆、卵、牛乳の各々を原料として、次のとおり各蛋白分解粉末を得た。まず、反応液として大豆乾燥粉末500gもしくは、蚕豆乾燥粉末500gに8倍量の水4000gを加水して95℃で1時間加温撹拌し蛋白含有液を調製し大豆及び蚕豆それぞれの反応溶液を準備した。また、卵、牛乳については、全卵粉末(蛋白含量45%)100gに4000g加水にて、牛乳(蛋白含量3.3%)4000gを準備し、蛋白含量2.0〜4.0%の溶液を準備した。準備した各溶液の温度を45℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼとして、Aspergillus属由来の至適pH8.0のプロテアーゼ(天野エンザイム製:プロテアーゼP「アマノ」3SD)を0.5gを添加し、45℃で12時間反応させ、大豆、蚕豆、卵、牛乳から同様の分解度の物を調整した。その後、凍結乾燥させ粉末を得た。
表1に記す配合で本粉末及び比較用途品を乳脂肪分47%含有のホイップクリーム溶液200gへ0.2gを添加したの後良く混合し泡立て、8〜10℃、光照度2500ルクスにて光劣化試験を実施し、得られたホイップクリームを官能評価した。無添加のミックス直後の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。結果を表1に示す。
Figure 0006709016
表1の結果より明らかなように、大豆、蚕豆、卵、乳蛋白溶液を酵素分解物し、同程度の分解度に調整し、得られた粉末をホイップクリームへ混合することで、光照射保存時に発生する劣化臭を低減した。その内、大豆蛋白分解粉末、蚕豆蛋白分解粉末で最も劣化臭を低減することに成功した。
実施例2
大豆、蚕豆、の各々を原料として、実施例1と同様の調製法により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を50℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH5.0〜8.0に調整して、天野エンザイム製:プロテアーゼP「アマノ」3SD(Aspergillus属由来の至適pH8.0のエンド型とエキソ型の両方を含む)、プロテアーゼM「アマノ」SD(Aspergillus属由来の至適pH8.0のエンド型とエキソ型の両方を含む)、プロテアックス(Aspergillus属由来の至適pH7.0のエンド型とエキソ型の両方を含む)、サモアーゼ(Bacillus subtili属由来の指摘pH8.0のエンド型)、アルカラーゼ(Bacillus属由来の至適pH8.3)を液量に対して0.3を%添加し、40℃〜70℃で12時間反応させ分解度を調整した。その後、凍結乾燥させ粉末を得た。
表2に記す配合で本粉末及び比較用途品を植物油脂37%含有のホイップクリーム溶液200gへ0.2gを添加したの後良く混合し泡立て、8〜10℃、光照度2500ルクスにて光劣化試験を実施し、得られたホイップクリームを官能評価した。無添加のミックス直後の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。結果を表2に示す。
Figure 0006709016
表2の結果より明らかなように、プロテアーゼで分解した大豆蛋白分解物及び蚕豆蛋白分解物が、植物油脂37%含有のホイップクリームの冷蔵保存光照射時に発生する劣化臭を低減する効果があることが確認された。
また特に限定するわけではないが、好ましくは、プロテーゼP「アマノ」3SDを使用することで、ミックス直後からの風味低下を最も抑えられた。
実施例3
大豆を原料として、実施例1と同様の調製法により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を50℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼP「アマノ」3SDを液量に対して0.1%添加し、50℃で1〜15時間反応させ分解度を調整した。その後、ろ過し、Brix20まで濃縮した後スプレードライにて粉末を得た。
表3に記す配合で本粉末及び比較用途品を乳脂肪分47%含有のホイップクリーム溶液200gへ0.2g添加した後良く混合し泡立て、4〜8℃冷蔵状態にて保存し大きく酸化の進んでいないホイップクリームを調製し、官能評価した。無添加のミックス直後の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。なお、無添加ミックス直後の物と24時間保管後の物でPOV、AVが無いことを確認した。結果を表3に示す。
Figure 0006709016
表3の結果より明らかなように、プロテアーゼP「アマノ」3SDにて酵素分解を実施し得られた大豆蛋白分解粉末において、全蛋白質の20%以上が分子量1万〜3万、及び全蛋白質の25%以上が1万以下のものが乳脂肪47%含有のホイップクリームの冷蔵保存光照射時に発生する劣化臭を低減する効果が高く、ミックス直後の風味低下を抑制していた。
実施例4
乳化の差異
大豆を原料として、実施例1と同様の調製により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を50℃に調整した後、表4の配合で4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼP「アマノ」3SDを液量に対して0.015を%添加し、50℃で15時間反応させ分解度を調整した。その後、ろ過し、Brix20まで濃縮した後スプレードライにて粉末を得た。その後、乳脂肪80%以上含むバター200gへ0.2gを添加したの後、40℃にて加熱混合した後、90℃にて24時間保管したものを官能評価した。無添加のミックス直後の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。結果を表4に示す。
Figure 0006709016
表4の結果より明らかなように、酵素分解反応を油脂0.1〜30%含有した乳化状態で行うことで、ホイップクリームの保存時に発生する劣化臭を低減した。また、No.5のように30%を超える油脂を添加すると分離し、乳化状態が保てず本発明の劣化臭抑制剤を製造することは困難となった。このため、評価ができなかった。
実施例5
トコフェロールとの相乗効果
大豆を原料として、実施例1と同様の調製により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を45℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼP「アマノ」3SDを液量に対して0.1を%添加し、45℃で1〜15時間反応させ分解度を調整した。その後、ろ過し、Brix20まで濃縮した後スプレードライにて粉末を得た。
その後表4のホワイトチョコレート200gをテンパリング処理を行い0.1gを添加し良く混合したの後、8〜10℃、光照度2500ルクスにて光劣化試験を実施し、得られたホワイトチョコレートを官能評価した。無添加テンパリング直後の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。結果を表5に示す。
Figure 0006709016
表5の結果より明らかなように、ホワイトチョコレートへ本開発品を添加することでの保存時に発生する劣化臭を低減した。また、No.5のようにトコフェロール製剤との併用により、相乗効果が得られ、さらに劣化臭を低減することに成功した。
実施例6
大豆を原料として、実施例1と同様の調製により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を45℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼP「アマノ」3SDを液量に対して0.1を%添加し、45℃で1〜15時間反応させ分解度を調整した。その後、ろ過し、Brix20まで濃縮した後スプレードライにて粉末を得た。
その後表6のアイスクリーム、ラクトアイス、アイスミルクを−4〜−2℃で溶解した後0.1gを添加したの後完全に分散するまで良く混合し、再度−50℃にて冷凍した。その後、−25℃、光照度2500ルクスにて光劣化試験を実施し、得られたアイスクリーム、ラクトアイス、アイスミルクを官能評価した。無添加ミックス冷凍の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。結果を表6に示す。
Figure 0006709016
表6の結果より明らかなように、アイスクリーム、ラクトアイス、アイスミルクへ本開発品を添加することでの保存時に発生する劣化臭を低減することに成功した。
実施例7
大豆を原料として、実施例1と同様の調製により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を50℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼP「アマノ」3SDを液量に対して0.1を%添加し、50℃で15時間反応させ分解度を調整した。その後、ろ過し、Brix20まで濃縮した後スプレードライにて粉末を得た。
その後表7の乳脂肪分0.8%含有のドリンクヨーグルト200gへ0.05gを添加したの後完全に分散するまで良く混合した後、8〜10℃、光照度2500ルクスにて光劣化試験を実施し、得られたホイップクリームを官能評価した。無添加のミックス直後の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。結果を表7に示す。
Figure 0006709016
表7の結果より明らかなように、ドリンクヨーグルトへ本開発品を添加することでの保存時に発生する劣化臭を低減することに成功した。
実施例8
大豆を原料として、実施例1と同様の調製により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を50℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼP「アマノ」3SDを液量に対して0.1を%添加し、50℃で15時間反応させ分解度を調整した。その後、ろ過し、Brix20まで濃縮した後スプレードライにて粉末を得た。
その後表8の乳脂肪分47%含有の生クリーム200gへ0.05gを添加した後完全に分散するまで良く混合した後、60℃にて8時間加温しつづけ劣化試験を実施し、得られた生クリームをホイップした後生クリームを作り官能評価した。無添加のミックス直後の劣化臭を0として8時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。結果を表8に示す。
Figure 0006709016
表8の結果より明らかなように、生クリームへ本開発品を添加することでの加熱時に発生する劣化臭を低減することに成功した。
実施例9
ホワイトチョコレートへの添加熱劣化試験
大豆を原料として、実施例1と同様の調製により蛋白含量2.0〜3.0%の溶液を準備し、溶液の温度を45℃に調整した後、4N水酸化ナトリウム溶液でpH8.0に調整して、プロテアーゼP「アマノ」3SDを液量に対して0.1を%添加し、45℃で1〜15時間反応させ分解度を調整した。その後、ろ過し、Brix20まで濃縮した後スプレードライにて粉末を得た。
その後表9のホワイトチョコレート200gを30〜35℃にて溶解した後、0.1gを添加し30〜35℃にて24時間混合保管して劣化試験を実施し、テンパリング処理を実施した後得られたホワイトチョコレートを官能評価した。無添加溶解直後の劣化臭を0として24時間後の劣化臭を10としパネラー20名の10段階評価得点の平均値とした。
Figure 0006709016
表9の結果より明らかなように、ホワイトチョコレートへ本開発品を添加することでの加熱時に発生する劣化臭を低減することに成功した。
本発明の劣化抑制剤は、ヤシ油やパーム核油や乳脂肪などのラウリン酸系油脂を用いた食品の保存時に発生する油脂の劣化風味を抑え、油脂の不快な匂いのない食味の向上した食品の製造が可能となることから、産業的な価値は著しく高いものである。

Claims (5)

  1. 大豆または蚕豆より、蛋白質量を固形分の25%以上まで濃縮した後、蛋白質濃度1%〜15%、pH5.0〜8.0でプロテアーゼを作用させ得られるプロテアーゼ分解物であって、全蛋白質の40%以上が分子量180〜2500であり、かつ、全蛋白質の80%以上が分子量10〜1万である蛋白質のプロテアーゼ分解物を得る工程を含むラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤の製造方法。
  2. プロテアーゼを作用させる際に、油脂0.1〜30%存在下にリン脂質を添加し乳化する工程をさらに含む請求項1記載のプロテーゼ分解物を含有するラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤の製造方法。
  3. トコフェロールを添加する工程をさらに含み、トコフェロールと請求項1または2記載のプロテアーゼ分解物の含有比率が20:80以上50:50以下である請求項1または2記載のラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤の製造方法。
  4. ラウリン酸系油脂がヤシ油、パーム核油、乳脂肪、カカオ脂の少なくとも一種からなる請求項1〜3いずれか記載のラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤の製造方法。
  5. ラウリン酸系油脂含有食品が、乳化食品である請求項1〜4いずれか記載の劣化臭抑制剤の製造方法。
JP2014262519A 2014-12-25 2014-12-25 ラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤 Active JP6709016B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014262519A JP6709016B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 ラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014262519A JP6709016B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 ラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016119885A JP2016119885A (ja) 2016-07-07
JP6709016B2 true JP6709016B2 (ja) 2020-06-10

Family

ID=56326361

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014262519A Active JP6709016B2 (ja) 2014-12-25 2014-12-25 ラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6709016B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7477862B2 (ja) 2020-04-08 2024-05-02 奥野製薬工業株式会社 食品用風味改良剤およびそれを用いた食品の風味改良方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0476098A (ja) * 1990-07-17 1992-03-10 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 油脂組成物
JP3999920B2 (ja) * 2000-03-27 2007-10-31 ロッテスノー株式会社 アイスクリーム及びその製造方法
US20050053705A1 (en) * 2003-09-04 2005-03-10 Kraft Foods Holdings, Inc. Soluble soy protein with superior functional properties
JP2011246425A (ja) * 2010-05-31 2011-12-08 Fuji Oil Co Ltd 大豆蛋白質加水分解物含有抗酸化剤
JP5736409B2 (ja) * 2013-05-27 2015-06-17 太陽油脂株式会社 クリーム用油脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016119885A (ja) 2016-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU768268B2 (en) Process for producing powdery acid-treated egg
KR100439291B1 (ko) 대두 단백질 가수분해물, 그 제조방법 및 용도
DE60222420T2 (de) Verfahren zur hydrolyse von milcheiweissen
JP2022063269A (ja) 小豆由来の機能性組成物
US20080213428A1 (en) Cream cheese-like food and process for production thereof
JP2006197857A (ja) 飲食品の風味改善方法、それにより得られた飲食品、及び飲食品の風味改善剤
EP2106706A1 (en) A process and formulation for making an egg product with increased functionality and flavor
WO2019039490A1 (ja) タンパク臭抑制剤
JP5654540B2 (ja) ダイズペプチド含有ゲル状食品
TW201309204A (zh) 油中水型油脂組成物及其製造方法
JP6709016B2 (ja) ラウリン酸系油脂含有食品の劣化臭抑制剤
CN1170485C (zh) 水包油型乳化物
JP2009142222A (ja) ダイズペプチド含有チョコレート類
JP6633284B2 (ja) 焼菓子用食感改良材
JP2002223697A (ja) 濃縮牛乳状組成物
CN103347402A (zh) 水包油型乳化物、水包油型含气泡乳化物及酶分解乳蛋白混合物
JPH0260300B2 (ja)
JP6041667B2 (ja) 油脂の劣化風味マスキング剤及びフライ食品
JP4064602B2 (ja) 卵フレーバー及びその製造方法
JP2003009785A (ja) 乳化安定化剤、乳化飲食物及びその製造方法
JP2017184637A (ja) 起泡性水中油型乳化油脂組成物
JP2006225314A (ja) カニ殻由来のカルシウム塩結晶抑制物質
JPH09162A (ja) 苦みの低減された蛋白質加水分解物の製造法
JP5312817B2 (ja) ダイズペプチド含有ゲル状食品
WO2023189087A1 (ja) 風味剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181017

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190524

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191223

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200501

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200522

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6709016

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250