JP2006197857A - 飲食品の風味改善方法、それにより得られた飲食品、及び飲食品の風味改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 容易な方法で、コラーゲン等の独特の臭いや油の劣化臭を有する飲食品の風味をフレーバー臭などを着香させることなく改善する。
【解決手段】 コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含有する飲食品、又は油の劣化臭の有する飲食品にエチルデカノエートを添加することで、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物が有する独特の臭いや、油の劣化臭を有する飲食品の風味をフレーバー臭などを着香させることなく改善できる。
【選択図】 なし
【解決手段】 コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含有する飲食品、又は油の劣化臭の有する飲食品にエチルデカノエートを添加することで、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物が有する独特の臭いや、油の劣化臭を有する飲食品の風味をフレーバー臭などを着香させることなく改善できる。
【選択図】 なし
Description
本発明はコラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含む飲食品並びに油の劣化臭のある飲食品の風味改善方法、それにより風味改善のされた飲食品、及び風味改善剤に関する。
コラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンは、関節、腱などの結合組織や皮膚に多く含まれる天然蛋白質であって、蛋白質供給源として飲食品の栄養強化に有用である。また、コラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンを摂取することにより、皮膚の新陳代謝を促進し、美肌効果をもたらす、関節炎の症状を和らげる、骨の形成を促進するなどの生理効果があるという研究も、数多く報告されていることから、機能性素材であることが知られており、飲食品の添加物や、カプセル等の包装材料として様々な用途に使われている汎用的な素材でもある。
しかしながら、コラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンは、牛や豚等の家畜や魚を解体、加工する際に副生する骨、腱、皮等から抽出して精製されるものであり、動物由来の独特の臭いや風味を有するものであり、おいしく、かつ、手軽に摂取することは困難であった。そのため、おいしく、かつ、手軽に摂取できるようにするため、オレンジなどの柑橘系のフレーバー等を用いて着香させ、コラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンの有する独特の臭いや風味をマスキングさせている。
例えばマイワシなどの魚臭については下記非特許文献1に開示されているように、みりん漬けすることでフルフラールやエチルヘキサノエートなどの作用により魚臭を抑制することができる。
また、コラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンを無臭化させるため、その製造段階で様々な処理がなされており、例えば、下記引例1のように、サメ等の魚皮を、20〜30℃の温度で水漬した後、魚皮重量に対し1〜3%の硫化物と1〜3%の水酸化カルシウムを含む温水に石灰漬させ、次いで、1〜3%水酸化カルシウム溶液で再石灰漬させ、その後、脱灰とベーチングを行い、前記水漬、石灰漬、及び再石灰漬処理を界面活性剤の存在下で行うことによってコラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンを無臭化している。
また、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物は、栄養価が高い食品素材であり、また、基礎代謝促進作用、疲労回復作用などの機能性を持っているが、独特の臭いや風味の有するものであり、手軽に摂取しにくいものであった。
更には、油脂は長期にわたって保存すると、空気中の酸素、湿気、熱、光、金属イオン、微生物あるいは酵素等の作用を受けて、加熱重合や加水分解による遊離脂肪酸の発生等により劣化してしまう。したがって、長期間保存された油脂を含む飲食品は不快な臭いや風味を有するものであって、手軽に摂取しにくいものであった。
特開2003−301144号公報
日本食品科学工学会 第51回大会講演集 社団法人日本食品科学工学会 p32 テーマ番号:1Ep7「みりん調理によるマイワシ魚臭の抑制
従来汎用的に行われているフレーバーを用いたコラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物などのマスキングによる脱臭方法では、柑橘系のフレーバーなどが頻用されているが、これらのフレーバーであっても、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物などの有する独特の臭いや風味を完全にはマスキングすることはできなかった。また、風味改善に用いたフレーバーの風味が飲食品に残存してしまうため、飲食品本来の風味を損なうという問題があった。また、油の劣化臭も上記のようなフレーバーでは完全にはマスキングすることはできなかった。
さらには、上記特許文献1のように、コラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンの製造段階で脱臭しようとすると、手間や費用がかかってしまうため、容易に行うことができなかった。
一方、魚臭については、例えば上記非特許文献1のように、フルフラールやエチルヘキサノエートなどの着香の作用により魚臭を抑制することができる。しかし、これは着香であるため、飲食品本来の風味を変化させることなく、それらの有する独特の臭いや風味のみを改善することは困難であった。
よって、本発明の目的は、上記課題を解決し、容易な方法で、コラーゲン等の独特の臭いや油の劣化臭を有する飲食品の風味をフレーバー臭などを着香させることなく改善することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、甘酒や酒粕にはコラーゲン、コラーゲンペプチド、及びゼラチンの独特の臭いや風味をマスキングする効果があることを見出した。そこで、甘酒について種々の検討を行った結果、甘酒に含まれている種々の成分のなかでも特にエチルデカノエートは、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド、及びグロビンタンパク分解物の有する独特の臭いや風味を改善する作用をもたらし、更には油の劣化臭も改善できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の風味改善方法は、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含有する飲食品に、エチルデカノエートを添加することを特徴とする。
これによれば、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の有する独特の臭いや風味を、風味改善剤の独自の臭いなどを着香させることなく、より効果的にマスキングすることができる。そのため、これにより風味の改善された飲食品は、独特の臭いが著しく軽減され、風味改善剤の独自の臭いもほとんどないため、飲食品本来の風味を損なうことがない。また、様々な風味を後から付与することもでき、風味のバラエティーが豊富なコラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物を含有する飲食品とすることができる。
本発明の風味改善方法において、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物との合計1質量部に対し、エチルデカノエートを30〜600ppm添加することが好ましい。エチルデカノエートは若干フルーツ香などの風味を有するものであるが、上記範囲であれば、飲食品にエチルデカノエートの風味をつけることなく、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の有する独特の臭いや風味を取り除くことができる。
また、本発明の風味改善方法は、油の劣化臭のある飲食品に、エチルデカノエートを添加することを特徴とする。これによれば、劣化油の臭みの改善された飲食品とすることができる。
さらに、本発明の飲食品は上記方法で風味の改善された飲食品である。
そして、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含む飲食品、又は、油の劣化臭のある飲食品に用いる風味改善剤は、エチルオデカノエートを有効成分とするものである。
本発明の風味改善方法によれば、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含有する飲食品にエチルデカノエートを添加することで、風味改善剤の独自の臭いなどを残存させることなくコラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の有する独特の臭いを軽減させて、風味を改善することができ、更には、飲食品の油の劣化した風味をも改善することができる。
また、こうして得られた飲食品は、様々な生理活性効果を有するコラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド又はグロビンタンパク分解物を含み、それらが有する独特に臭いが軽減されると共に、様々な風味を後から添加することもできるので、風味のバラエティーが豊富な飲食品とすることができる。
本発明は、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含有する飲食品、又は、油の劣化臭のある飲食品に、エチルデカノエートを添加することを特徴とする。
コラーゲンとは、分子量約10万のポリペプチド鎖が3本集まりラセン構造をとった分子量約30万の高分子蛋白質である。コラーゲンは、例えば、牛骨、牛皮を石灰漬けし、水洗し、pH6〜8に調整した後、50〜100℃で熱水抽出したり、あるいは、豚皮を酸漬けし、水洗した後、pH4〜5に調整し、50〜100℃で熱水抽出することにより製造される。
またゼラチンは、上記抽出物を精製することで得られる。
コラーゲンペプチドは、上記コラーゲンやゼラチンを、酵素、酸、アルカリ処理等により部分分解して低分子化することにより得られる。例えば上記コラーゲンやゼラチンを酵素分解した場合には、その後、酵素失活処理し、ろ過し、濃縮し、噴霧乾燥するといった工程により得ることができる。ここで、本発明の風味改善剤は、コラーゲンペプチドの分子量にかかわらず効果を発揮する。なお、コラーゲンペプチドとしては、各社から市販されており、例えば「ニッピペプタイドPRA」(商品名、(株)ニッピ製)、「発酵コラーゲンペプチドLCP」(商品名、新田ゼラチン(株)製)、「コラーゲンペプチド400」(商品名、新田ゼラチン(株)製)、「発酵コラーゲンペプチドL」(商品名、協和発酵工業(株)製)、「水溶性コラーゲンペプチドPA」(商品名、協和発酵工業(株)製)等が挙げられる。
大豆タンパクは、丸大豆などをヘキサン、エタノール等の有機溶剤で脱脂した脱脂大豆、該脱脂大豆から蛋白質を水抽出した豆乳、更に豆乳より酸沈殿或いはアルコ−ル沈殿等の方法により得られる分離大豆タンパク、濃縮大豆タンパク等が挙げられる。
大豆ペプチドは、上記大豆タンパクを加水分解して低分子化することにより得られる。例えば、分離大豆たん白をプロテアーゼにより加水分解し、精製したもの、豆乳に酸を添加してホエーを沈殿除去し、沈殿物を中和し、酵素分解し、分解物を分離・精製したものなどが挙げられる。
乳タンパクは、牛乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳等の酪農製品に含まれる各種のタンパク質及びそれらを含む組成物であり、具体的には、カゼイン、α―ラクトアルブミン、β―ラクトグロブリン、ラクトフェリン、ホエープロテインコンセントレート(WPC)、トータルミルクプロテイン(TMP)などが挙げられる。
また、乳ペプチドとは、天然の乳由来の成分である乳蛋白質をアミノ酸が少なくとも数個結合した分子に分解したものである。より具体的には、ホエー(乳清タンパク質)、カゼイン等の乳蛋白質をプロテナーゼ等の酵素により加水分解し、これを濾過して得られる濾液を殺菌・濃縮して乾燥することにより得られるホエーペプチド、カゼインペ プチド等が挙げられる。
また、グロビンタンパク分解物とは、例えば特許第2805194号公報に記載されているように、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ等の動物の血液等を、固形分が5〜30質量%となるように水に分散させ、酸若しくはアルカリによってプロテアーゼの至適pHに調整し、プロテアーゼを一度に若しくは逐次的に添加して、20〜70℃の温度で3〜48時間で酵素反応させて得られるものである。
油脂は長期にわたって保存すると、空気中の酸素、湿気、熱、光、金属イオン、微生物あるいは酵素等の作用を受けて、加熱重合や加水分解による遊離脂肪酸の発生等により劣化し、不快な臭いが発生する。したがって、本発明における油の劣化臭のする飲食品とは、例えばサラダ油、菜種油、大豆油等の植物性油脂、魚油等の動物性油脂等の油脂分子中に不飽和結合を多く有する油脂を含む飲食品中の油脂成分が経時変化により劣化した飲食品である。
本発明で風味改善剤として使用するエチルデカノエート(C9H19COOC2H5)は、食品添加物として認められた化学合成品、又は、天然素材から抽出されたものどちらであってもよい。ここでエチルデカノエートとは、(印藤元一著「合成香料 化学と商品知識」、化学工業日報社発行、1996年3月6日、初版1刷、p765)に記載されているように、微量のフルーツ臭を有する食品添加物であって食品フレーバーなどに利用されているものである。
エチルデカノエートは、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン、食用油等の食品添加物用有機溶剤や乳化剤等、あるいは、水に分散又は溶解させて使用することが好ましい。
また、本発明では、エチルデカノエートを多量に含んでいる食品素材であれば、特に成分を抽出することなくそのまま用いてもよい。エチルデカノエートを多量に含む食品素材として、甘酒、酒粕、日本酒等が挙げられる。
そして、エチルデカノエートの添加量は、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の合計1質量部に対し30〜600ppmであることが好ましく、より好ましくは60〜500ppmである。
添加量が30ppm未満であると、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の有する臭いや風味を充分には改善することができず、また、エチルデカノエートはフルーツ臭を有する化合物であるため、添加量が600ppmより多いと、エチルデカノエートの風味が飲食品に残存してしまうことがある。上記範囲内であれば、エチルデカノエートの臭いや風味を残存させることなく、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の有する独特の臭いや風味を改善することができ、更には、油脂劣化臭も改善することができる。
また、本発明の風味改善剤はエチルデカノエートの他に更に他の風味改善剤を併用してもよく、例えば、エチルオクタノエートを併用することで、添加量が少量であっても高い消臭効果が得られる。
本発明に使用することができる飲食品としては、例えば、清涼飲料、ゼリー飲料等の飲料類、キャンディ、キャラメル、ソフトキャンディー、グミ、ゼリー、クッキー、ビスケット、チョコレート等の菓子類、アイスクリーム、氷菓子などの冷菓類、錠剤、顆粒、粉体、カプセル等の形態の健康食品、その他、食用油、動物脂など様々な飲食品に使用することができ、手軽に摂取できるという点からゼリー飲料が好ましい。
また、飲食品の加熱殺菌、乾燥粉末化、造粒、焼成等の処理は、エチルデカノエートの添加前であってもよく、添加後であっても良い。
飲食品に含まれるコラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の合計量は0.01〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜80質量%であり、更に好ましくは2〜40質量%である。
なかでも、飲食品に含まれるコラーゲン、コラーゲンペプチド及びゼラチン(以下よりコラーゲン類とする)の合計量は1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量%であり、更に好ましくは5〜10質量%である。コラーゲン類の1日当たりの有効摂取量の目安は5〜10gであることから、コラーゲン類の含有量が1質量%以下では、コラーゲン類の持つ生理活性効果が得られにくくなり、また、20質量%以上となると、コラーゲン類は粘性のもった素材であるため、飲食品の取扱いが困難となる。
そして、本発明の風味改善剤は、コラーゲン類の有する独特の臭いを改善できるということから、飲食品以外への用途へも期待でき、例えば、体臭消臭剤、特に、ペットの体臭消臭剤としての効果も期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
[試験例1]
<実施例1>
コラーゲンペプチドを2質量%含有する水溶液100質量部に対し、エチルデカノエートを表1に示す量を添加して試料1〜15の水溶液を製造した。なおコラーゲンペプチドに対するエチルデカノエートの添加量を併せて示す。
<実施例1>
コラーゲンペプチドを2質量%含有する水溶液100質量部に対し、エチルデカノエートを表1に示す量を添加して試料1〜15の水溶液を製造した。なおコラーゲンペプチドに対するエチルデカノエートの添加量を併せて示す。
それぞれの水溶液を5人の熟練検査員により官能評価を行い、「コラーゲンペプチドの風味」及び「マスキング剤の風味」について評価した。それぞれの官能評価で、風味・臭いがする場合を×、風味・臭いが若干感じされるが気にならない程度である場合を○、風味・臭いが全く感じられない場合を◎とした。上記試験結果を併せて表1に示す。
エチルデカノエートを添加していない試料1の水溶液はコラーゲンペプチドの臭いや風味のするものである。また、エチルデカノエートの添加量がコラーゲンペプチド1質量部に対し30ppm未満である試料2では、その消臭効果が充分得られず、コラーゲンペプチドの臭いや風味をほとんど改善することができず、また、添加量が600ppmよりも多い試料15では、水溶液にエチルデカノエートの風味が付いてしまった。
一方、エチルデカノエートをコラーゲンペプチド1質量部に対し30ppm〜600ppm添加した試料3〜14では、コラーゲンペプチドの臭いや風味がせず、また、エチルデカノエートの風味のない水溶液であった。
[試験例2]
<実施例2>
コラーゲンペプチド10質量%、異性化糖9質量%、ピーチ果汁10質量%、酸味料0.2質量%、ピーチフレーバー0.1質量%、水70.7質量%の割合で調合し、更に、コラーゲンペプチド1質量部に対し、風味改善剤としてエチルデカノエートを80ppmの割合で添加し、130℃で1分間加熱殺菌後、冷却してコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
<実施例2>
コラーゲンペプチド10質量%、異性化糖9質量%、ピーチ果汁10質量%、酸味料0.2質量%、ピーチフレーバー0.1質量%、水70.7質量%の割合で調合し、更に、コラーゲンペプチド1質量部に対し、風味改善剤としてエチルデカノエートを80ppmの割合で添加し、130℃で1分間加熱殺菌後、冷却してコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
<実施例3>
風味改善剤として、コラーゲンペプチド1質量部に対し、風味改善剤としてエチルオクタノエートを20ppm、及びエチルデカノエートを80ppmの割合で添加した以外は実施例2と同様にしてコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
風味改善剤として、コラーゲンペプチド1質量部に対し、風味改善剤としてエチルオクタノエートを20ppm、及びエチルデカノエートを80ppmの割合で添加した以外は実施例2と同様にしてコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
<比較例1>
風味改善剤として、全液量100質量部に対し、市販のコラーゲン用マスキングフレーバー0.1質量部を添加した以外は実施例2と同様にしてコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
風味改善剤として、全液量100質量部に対し、市販のコラーゲン用マスキングフレーバー0.1質量部を添加した以外は実施例2と同様にしてコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
<比較例2>
風味改善剤を使用しない以外は実施例2と同様にしてコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
風味改善剤を使用しない以外は実施例2と同様にしてコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を製造した。
実施例2、3、及び比較例1、2のコラーゲンペプチド含有ピーチ飲料を、7名の熟練検査員により官能評価を行った。
風味改善剤を使用していない比較例2のピーチ飲料はコラーゲンペプチドの臭いや風味の感じられるものであり、また、市販のコラーゲン用マスキングフレーバーを用いた比較例1のピーチ飲料は、ピーチフレーバーの風味に変化は生じなかったが、コラーゲンペプチドの臭いや風味の若干感じられるものであった。
一方、エチルデカノエートを風味改善剤として使用した実施例2、3のピーチ飲料はコラーゲンペプチドの臭いや風味が全く感じられず、また、使用したピーチフレーバーの風味は変化がなく、おいしく飲食することができた。
[試験例3]
<実施例4>
大豆タンパクを5質量%含有する水溶液に、大豆タンパク1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
<実施例4>
大豆タンパクを5質量%含有する水溶液に、大豆タンパク1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
<実施例5>
大豆ペプチドを5質量%含有する水溶液に、大豆ペプチド1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
大豆ペプチドを5質量%含有する水溶液に、大豆ペプチド1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
<実施例6>
乳タンパクを5質量%含有する水溶液に、乳タンパク1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
乳タンパクを5質量%含有する水溶液に、乳タンパク1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
<実施例7>
乳ペプチドを5質量%含有する水溶液に、乳ペプチド1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
乳ペプチドを5質量%含有する水溶液に、乳ペプチド1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
<実施例8>
グロビンタンパク質分解物を5質量%含有する水溶液に、グロビンタンパク質分解物1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
グロビンタンパク質分解物を5質量%含有する水溶液に、グロビンタンパク質分解物1質量部に対しエチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
<実施例9>
40℃で14日間保存したサラダ油1質量部に対し、エチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
40℃で14日間保存したサラダ油1質量部に対し、エチルデカノエートを250ppmの割合で添加した。
<比較例3〜8>
実施例4〜9の水溶液にそれぞれエチルデカノエートを添加しなかった。
実施例4〜9の水溶液にそれぞれエチルデカノエートを添加しなかった。
実施例4〜9、及び比較例3〜8の水溶液の風味を7人の熟練検査員により官能評価を行った。エチルデカノエートを添加していない比較例3〜8の水溶液は、独特の臭いや風味があり飲みにくいものであった。一方、エチルデカノエートを添加した実施例4〜9の水溶液は、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド、グロビンタンパク質分解物、油の劣化物の有する臭いや風味が改善されており、クセがなく飲みやすいものであった。
[試験例4]
<実施例10>
果糖ぶどう糖液糖10質量%、果汁5質量%、コラーゲンペプチド3質量%、ゲル化剤1質量%、香料1質量%、酸味料1質量%、ビタミン類1質量%、水78質量%の配合で調合し、更に、コラーゲンペプチド1質量部に対し、風味改善剤としてエチルデカノエートを60ppmの割合で添加してコラーゲンペプチド含有ゼリー飲料を製造した。このゼリー飲料はコラーゲンペプチドの臭いや風味がなく、おいしく飲食することができた。
<実施例10>
果糖ぶどう糖液糖10質量%、果汁5質量%、コラーゲンペプチド3質量%、ゲル化剤1質量%、香料1質量%、酸味料1質量%、ビタミン類1質量%、水78質量%の配合で調合し、更に、コラーゲンペプチド1質量部に対し、風味改善剤としてエチルデカノエートを60ppmの割合で添加してコラーゲンペプチド含有ゼリー飲料を製造した。このゼリー飲料はコラーゲンペプチドの臭いや風味がなく、おいしく飲食することができた。
[試験例5]
<実施例11>
水飴50質量%、砂糖35質量%、植物油脂7質量%、果汁3質量%、ゼラチン(商品名;「クックゼラチン」 森永製菓製)2質量%、ジャム1質量%、乳成分1質量%、酸味料0.5質量%、香料0.5質量%の配合で、調合し、更に、ゼラチン1質量部に対し、風味改善剤としてエチルデカノエートを60ppmの割合で添加してゼラチン含有キャンディを製造した。このキャンディはゼラチンの臭いや風味がなく、おいしく食べることができた。
<実施例11>
水飴50質量%、砂糖35質量%、植物油脂7質量%、果汁3質量%、ゼラチン(商品名;「クックゼラチン」 森永製菓製)2質量%、ジャム1質量%、乳成分1質量%、酸味料0.5質量%、香料0.5質量%の配合で、調合し、更に、ゼラチン1質量部に対し、風味改善剤としてエチルデカノエートを60ppmの割合で添加してゼラチン含有キャンディを製造した。このキャンディはゼラチンの臭いや風味がなく、おいしく食べることができた。
本発明によれば、風味改善剤の独自の臭いなどを残存させることなくコラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の有する独特の臭いや風味を改善することができるため、飲食品本来の風味を損なうことがなく、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物を含有する飲食品の風味をバラエティー豊なものとすることができる。
Claims (6)
- コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含有する飲食品に、エチルデカノエートを添加することを特徴とする飲食品の風味改善方法。
- コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物の合計1質量部に対し、エチルデカノエートを30〜600ppm添加する請求項1に記載の飲食品の風味改善方法。
- 油の劣化臭のある飲食品に、エチルデカノエートを添加することを特徴とする飲食品の風味改善方法。
- 請求項1〜3に記載の方法により風味改善がなされた飲食品。
- エチルデカノエートを有効成分とする、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ゼラチン、大豆タンパク、大豆ペプチド、乳タンパク、乳ペプチド及びグロビンタンパク分解物から選ばれた1種以上を含む飲食品の風味改善剤。
- エチルデカノエートを有効成分とする油の劣化臭のある飲食品の風味改善剤。
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