以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100を示す斜視図である。図2は、フロントカバー20を開けた状態のプリンタ100を示す正面図である。以下の説明では、プリンタ100を正面から見たときに、プリンタ100から遠ざかる方を前方、近づく方を後方とする。また、左、右、上、下とは、プリンタ100を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。また、図面中の符号Xは主走査方向を示している。主走査方向Xは、左右方向である。符号Yは、副走査方向Yを示している。ここでは、副走査方向Yは、主走査方向Xと平面視において直交している。副走査方向Yは、前後方向である。符号Zは、高さ方向、すなわち、上下方向を示している。ただし、主走査方向X、副走査方向Yおよび高さ方向Zは特に限定されず、プリンタ100の形態に応じて適宜に設定可能である。本実施形態では、副走査方向Yが本発明の「第1の方向」に対応し、主走査方向Xが本発明の「第2の方向」に対応する。
プリンタ100は、インクジェット式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット方式のことをいう。
図2に示すように、プリンタ100は、媒体5に印刷を行う。本実施形態では、媒体5には、紙などの記録紙の他に、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料、アルミ、鉄、木材などの材料によって形成された媒体が含まれる。
図1に示すように、プリンタ100は、箱状に形成されている。本実施形態では、プリンタ100は、ケース10と、フロントカバー20と、操作パネル25を備えている。ケース10は、ベース部11と、前壁部12と、後壁部13と、左壁部14と、右壁部15と、天面部16とから構成されている。ベース部11は、板状の部材である。前壁部12は、ベース部11の前端の右部に接続され、上方に向かって延びている。図示は省略するが、後壁部13は、ベース部11の後端に接続され、上方に向かって延びている。左壁部14は、ベース部11の左端に接続され、上方に向かって延びている。左壁部14の後端は、後壁部13の左端に接続されている。右壁部15は、ベース部11の右端に接続され、上方に向かって延びている。ここでは、右壁部15の前端は、前壁部12の右端に接続され、右壁部15の後端は、後壁部13の右端に接続されている。天面部16は、前壁部12の上端、後壁部13の上端、左壁部14の上端、および、右壁部15の上端にそれぞれ接続されている。ここでは、図2に示すように、ケース10の前部に開口17が形成されている。フロントカバー20は、ケース10の開口17を開閉自在に設けられている。ここでは、フロントカバー20は、後端を軸に回転可能なように、ケース10に支持されている。
本実施形態では、ベース部11、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20に囲まれることによって、内部空間18が形成されている。ここでは、フロントカバー20を上方に回転させることによって、内部空間18と外部空間とが連通される。内部空間18は、プリンタ100による印刷が行われる空間である。このように、印刷が行われる内部空間18がケース10およびフロントカバー20によって囲まれていることによって、印刷中、外部空間の塵および埃が内部空間18に入り込み難い。
ここでは、図1に示すように、フロントカバー20には、窓部21が設けられている。窓部21は、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。作業者は、窓部21から内部空間18を視認することが可能である。
操作パネル25は、ケース10の右前部に設けられている。ここでは、操作パネル25は、天面部16の右前部に設けられている。操作パネル25は、作業者が印刷に関する操作を行うパネルである。図示は省略するが、操作パネル25には、光沢感の有無などの印刷の種類、解像度、印刷の状況などの印刷に関する情報が表示される表示部、および、印刷に関する情報を入力するための入力部などが備えられている。
次に、プリンタ100の内部構成について説明する。図3は、プリンタ100の要部を模式的に示した平面図である。図3では、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20が取り外されている。図4は、ホルダ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bを模式的に示した正面図である。図3に示すように、プリンタ100は、角度調整機構30と、ホルダ34と、インクヘッド36と、紫外線照射ランプ38aおよび38b(図4参照)と、テーブル50とを備えている。
角度調整機構30は、インクヘッド36の搬送方向に対するテーブル50の搬送方向の角度を調整する機構である。ここで、「インクヘッドの搬送方向」とは、インクヘッド36が移動する方向であり、本実施形態では、主走査方向Xである。「テーブルの搬送方向」とは、テーブルが移動する方向であり、本実施形態では、副走査方向Yである。図2に示すように、角度調整機構30は、上述したベース部11と、ガイドレール32と、第1テーブル移動機構51と、第2テーブル移動機構52とを備えている。
ガイドレール32は、図示は省略するが、天面部16(図1参照)の下方に配置されており、フロントカバー20が開口17を閉じた状態において、フロントカバー20よりも後方に配置されている。図2に示すように、ガイドレール32は、主走査方向Xに延びている。本実施形態では、ケース10内には、主走査方向Xに延びた内壁41が設けられている。内壁41の左端は、左壁部14に接続され、内壁41の右端は、右壁部15に接続されている。内壁41は、ベース部11に対して固定されている。ガイドレール32は、内壁41に配設されている。本実施形態では、ガイドレール32は、内壁41を介して、ベース部11に固定されている。
図3に示すように、ホルダ34は、ガイドレール32に摺動自在に設けられている。ホルダ34は、ガイドレール32に係合している。ホルダ34は、ガイドレール32に沿って主走査方向Xへの移動が可能である。図4に示すように、ホルダ34には、インクヘッド36が設けられている。
本実施形態では、複数のインクヘッド36がホルダ34に設けられている。インクヘッド36の数は「6」であるが、インクヘッド36の数は特に限定されない。複数のインクヘッド36は、主走査方向Xに並んでいる。インクヘッド36は、媒体5に向かって紫外線硬化インクを吐出するものである。詳しくは、図示は省略するが、インクヘッド36の底面には、複数のノズルが形成されている。このノズルから下方に向かって紫外線硬化インクが吐出される。ここで、「紫外線硬化インク」とは、紫外線を照射させることによって硬化するインクのことである。以下の説明において、紫外線硬化インクのことを単に「インク」とも称する。
複数のインクヘッド36には、それぞれインクカートリッジ39(図2参照)が接続されている。ここでは、インクヘッド36には、インクチューブ(図示せず)の一端が接続されている。上記インクチューブの他端には、インクカートリッジ39が接続されている。図2に示すように、インクカートリッジ39は、複数設けられている。複数のインクカートリッジ39には、それぞれ色が異なるインクが収容されている。そのため、複数のインクヘッド36からそれぞれ異なるインクが吐出される。本実施形態では、ケース10の内部であって、ベース部11の左後部には、インクカートリッジ収容部42が設けられている。インクカートリッジ39は、インクカートリッジ収容部42に収容されている。
本実施形態では、図4に示すように、ホルダ34には、紫外線照射ランプ38aおよび38bが設けられている。紫外線照射ランプ38aおよび38bは、インクヘッド36から吐出されたインクを硬化させる紫外線を発するものである。紫外線照射ランプ38aおよび38bは、媒体5に吐出された紫外線硬化インクを硬化させる。ここでは、紫外線照射ランプ38aは、ホルダ34の左部であって、インクヘッド36よりも左方に配置されている。紫外線照射ランプ38bは、ホルダ34の右部であって、インクヘッド36よりも右方に配置されている。紫外線照射ランプ38aおよび38b、複数のインクヘッド36は、主走査方向Xに並ぶように配置されている。
ホルダ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38a、38bは、一体となって、ガイドレール32に沿って主走査方向Xに移動する。本実施形態では、図3に示すように、ホルダ34には、ヘッド駆動装置44が接続されている。ヘッド駆動装置44は、ホルダ34をガイドレール32に沿って主走査方向Xに移動させる装置である。ヘッド駆動装置44が駆動することによって、ホルダ34、インクヘッド36、紫外線照射ランプ38aおよび38bは、主走査方向Xに移動する。ヘッド駆動装置44の種類は特に限定されないが、例えば、ヘッド駆動装置44は、モータである。
図2に示すように、テーブル50は、ケース10内の内部空間18に配置されている。テーブル50は、ガイドレール32よりも下方に配置されている。図3に示すように、テーブル50は、平面視において、ベース部11における主走査方向Xの中央部分に配置されている。図2に示すように、テーブル50には、媒体5が載置される。本実施形態では、テーブル50に載置された媒体5に向かって、インクヘッド36はインクを吐出する。そして、紫外線照射ランプ38aおよび38b(図4参照)は、テーブル50に載置された媒体5に吐出されたインクに向かって紫外線を照射することによって、媒体5に吐出されたインクを硬化させる。
本実施形態では、図示は省略するが、テーブル50には、複数の微小な孔が形成されている。図2に示すように、テーブル50の下方には、吸引装置55が配置されている。吸引装置55は、テーブル50に形成された上記微小な孔を通じて、テーブル50の上方の空気をテーブル50の下方に向かって吸引する。吸引装置55は、テーブル50に載置された媒体5をテーブル50に向かって吸引する。このことによって、媒体5がテーブル50に密着するため、媒体5がテーブル50から浮き上がることを抑制することができる。また、媒体5がテーブル50から浮き上がることに起因して、印刷が歪むことを抑制することができる。
テーブル50は、副走査方向Y(前後方向)、および、高さ方向Z(上下方向)に移動可能に構成されている。本実施形態では、第1テーブル移動機構51によって、テーブル50が副走査方向Yに移動する。また、第2テーブル移動機構52によって、テーブル50が高さ方向Zに移動する。以下、第1テーブル移動機構51および第2テーブル移動機構52について説明する。
第1テーブル移動機構51は、ベース部11に設けられている。図5は、ガイド機構51aをベース部11から取り外した状態における、ベース部11とガイド機構51aとの分解斜視図である。図6は、プリンタ100のブロック図である。本実施形態では、図5に示すように、ベース部11の主走査方向Xの中央部分には、開口11aが形成されている。第1テーブル移動機構51は、平面視において、開口11a内および開口11aの周辺に設けられている。本実施形態では、第1テーブル移動機構51は、ガイド機構51aと、駆動モータ67(図6参照)を備えている。なお、本実施形態では、第1テーブル移動機構51は、本発明の「テーブル移動機構」の一例である。
ガイド機構51aは、テーブル50(図3参照)における副走査方向Yへの移動をガイドするものである。ここでは、ガイド機構51aは、第1シャフト61と、第2シャフト62と、固定部材63と、搬送部材64とを備えている。
第1シャフト61と第2シャフト62は、副走査方向Yに延びた部材である。第1シャフト61は、第2シャフト62の左方に配置されている。ここでは、第1シャフト61および第2シャフト62は、互いに主走査方向Xに並んでいる。第1シャフト61と第2シャフト62とは、互いに平行になるように配置されている。第1シャフト61の軸方向と、第2シャフト62の軸方向とは、平行である。本実施形態では、第1シャフト61および第2シャフト62が、本発明の「シャフト」の一例である。ここでは、第1シャフト61と第2シャフト62は、固定部材63によって支持されている。第1シャフト61および第2シャフト62は、固定部材63によって、互いに連結している。
固定部材63には、第1シャフト61および第2シャフト62のそれぞれの一端(ここでは、前端)61aおよび62aが固定されている。本実施形態では、固定部材63は、高さ方向Zに延びた縦板63aと、縦板63aの上端から前方に延びたフランジ63bとを有している。縦板63aの左部には、第1シャフト61の前端61aが接続されている。縦板63aの右部には、第2シャフト62の前端62aが接続されている。
図示は省略するが、搬送部材64には、テーブル50(図3参照)が載置される。ここでは、搬送部材64は、第1シャフト61および第2シャフト62に対して摺動自在に設けられている。テーブル50は、搬送部材64を介して第1シャフト61および第2シャフト62に沿って副走査方向Yに移動可能である。本実施形態では、搬送部材64は、平板64aと、前側縦板64bと、後側縦板64cと、第1筒状部64dと、第2筒状部64eとを有している。平板64aは、ベース部11の開口11aの下方に位置する。平板64aは、主走査方向Xに延びたものである。平板64aには、テーブル50が載置される。前側縦板64bは、平板64aの前端に接続されており、上方に向かって延びたものである。ここでは、前側縦板64bの左部および右部には、それぞれ貫通孔65aおよび65bが形成されている。後側縦板64cは、平板64aの後端に接続されており、上方に向かって延びたものである。後側縦板64cの左部および右部には、前側縦板64bの貫通孔65aおよび65bと同様の貫通孔66aおよび66bがそれぞれ形成されている。
第1筒状部64dおよび第2筒状部64eは、中空の筒状のものである。第1筒状部64dと第2筒状部64eは、主走査方向Xに並ぶように配置されている。第1筒状部64dと第2筒状部64eは、互いに平行になるように配置されている。第1筒状部64dおよび第2筒状部64eは、前側縦板64bと後側縦板64cとの間に配置されている。第1筒状部64dの前端は、前側縦板64bの左部に接続されている。第1筒状部64dの後端は、後側縦板64cの左部に接続されている。ここでは、第1筒状部64dの内部は、前側縦板64bの貫通孔65a、および、後側縦板64cの貫通孔66aと連通している。第1筒状部64dには、第1シャフト61が摺動自在に挿入されている。第2筒状部64eの前端は、前側縦板64bの右部に接続され、第2筒状部64eの後端は、後側縦板64cの右部に接続されている。そして、第2筒状部64eの内部は、前側縦板64bの貫通孔65b、および、後側縦板64cの貫通孔66bと連通している。第2筒状部64eには、第2シャフト62が摺動自在に挿入されている。
プリンタ100を組み立てた際、ガイド機構51aは、ベース部11に固定されている。本実施形態では、ガイド機構51aの固定部材63のフランジ63bには、複数の第1ガイド側固定孔81が形成されている。この第1ガイド側固定孔81の数は特に限定されないが、ここでは、第1ガイド側固定孔81は、5つである。詳しくは、5つの第1ガイド側固定孔81のうち、2つの固定孔81は、フランジ63bの左部に形成され、他の2つの固定孔81は、フランジ63bの右部に形成されている。残りの1つの固定孔81は、フランジ63bの中央部分に形成されている。ここでは、ベース部11の前部には、複数の第1ベース側固定孔83が形成されている。第1ベース側固定孔83の数は、第1ガイド側固定孔81と同じ数であり、ここでは、5つである。ガイド機構51aをベース部11に取り付けた際、ベース部11の前部において、第1ガイド側固定孔81に対応した位置に第1ベース側固定孔83が形成されている。
第1シャフト61および第2シャフト62の後端には、前方に向かって延びた第2ガイド側固定孔82が形成されている。本実施形態では、ベース部11は、後端から下方に延びたベース後板11bを備えている。ベース後板11bには、2つの第2ベース側固定孔84が形成されている。ここでは、ベース部11の下方にガイド機構51aを配置した際、ベース後板11bの前方に第1シャフト61および第2シャフト62が位置する。2つの第2ベース側固定孔84は、ガイド機構51aをベース部11に取り付けた際、ベース後板11bにおいて、第2ガイド側固定孔82に対応した位置に形成されている。
本実施形態では、各第1ガイド側固定孔81と第1ベース側固定孔83とが重なると共に、各第2ガイド側固定孔82と第2ベース側固定孔84とが重なるようにして、ベース部11の下方にガイド機構51aが配置される。そして、重なった第1ガイド側固定孔81と第1ベース側固定孔83に、それぞれ固定具(ここでは、固定ねじ)85を挿入する。同様に、重なった第2ガイド側固定孔82と第2ベース側固定孔84に、それぞれ固定具(ここでは、固定ねじ)86を挿入する。このことによって、ガイド機構51aは、ベース部11に固定される。
駆動モータ67は、テーブル50を副走査方向Yに移動させる駆動源である。駆動モータ67は、テーブル50に接続されている。テーブル50は、駆動モータ67の駆動によって、第1シャフト61および第2シャフト62に沿って、副走査方向Yに移動する。
上述のように、テーブル50は、高さ方向Z(上下方向)に移動可能に構成されている。本実施形態では、図2に示すように、テーブル50には、テーブル50を高さ方向Zに移動させる第2テーブル移動機構52が設けられている。なお、第2テーブル移動機構52におけるテーブル50を高さ方向Zに移動させる具体的な構成は、特に限定されない。例えば、第2テーブル移動機構52は、高さ調整部材68と、駆動モータ69(図6参照)とを備えている。テーブル50は、高さ調整部材68を介して、駆動モータ69に接続されている。高さ調整部材68は、テーブル50の底面に設けられており、高さが可変な部材である。駆動モータ69は、高さ調整部材68に接続されており、駆動することで、高さ調整部材68の高さを調整する。その結果、高さ調整部材68の高さが変更されることによって、テーブル50の高さが調整される。
図6に示すように、プリンタ100は、制御装置90を備えている。制御装置90は、印刷に関する制御をする装置である。制御装置90の構成は特に限定されない。例えば、制御装置90は、コンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。
制御装置90は、操作パネル25に接続されている。操作パネル25を作業者が操作することで、操作パネル25から制御装置90に信号が送信される。制御装置90は、操作パネル25から受信した信号に基づいて印刷の制御を行う。制御装置90は、ホルダ34に接続されたヘッド駆動装置44に接続されている。制御装置90は、ヘッド駆動装置44の駆動を制御することで、ホルダ34、インクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bにおける主走査方向Xへの移動を制御する。また、制御装置90は、複数のインクヘッド36および紫外線照射ランプ38aおよび38bに接続されている。制御装置90は、テーブル50に載置された媒体5に、複数のインクヘッド36がインクを吐出するそれぞれのタイミングなどを制御する。また、制御装置90は、媒体5に吐出されたインクに対して、紫外線照射ランプ38aおよび38bが紫外線を照射するタイミングなどを制御する。
制御装置90は、第1テーブル移動機構51の駆動モータ67、第2テーブル移動機構52の駆動モータ69、および、吸引装置55に接続されている。制御装置90は、第1テーブル移動機構51の駆動モータ67を制御することによって、テーブル50の副走査方向Yへの移動を制御する。制御装置90は、第2テーブル移動機構52の駆動モータ69を制御することによって、テーブル50の高さ方向Zへの移動を制御する。また、制御装置90は、吸引装置55の駆動を制御することによって、テーブル50に載置された媒体5をテーブル50に吸着させるタイミングなどを制御する。
本実施形態では、以下のような角度調整機構30の構成によって、インクヘッド36の搬送方向に対するテーブル50の搬送方向の角度を調整する。詳しい構成は後述するが、本実施形態に係る角度調整機構30によって、図15および図16に示したような従来技術と比較して、角度調整用の専用の部品の部品点数を少なくすることができると共に、インクヘッド36の搬送方向に対するテーブル50の搬送方向の角度を容易に調整することができる。
以下、角度調整機構30について更に詳細に説明する。図7は、ガイド機構51aをベース部11に取り付けた状態を模式的に示した平面図である。図7は、ベース部11の前部を拡大した図である。図7に示すように、角度調整機構30において、第1テーブル移動機構51の固定部材63のフランジ63bの中央部分には、第1調整孔71が形成されている。第1調整孔71は、固定部材63における第1シャフト61が固定された部位と、第2シャフト62が固定された部位との間の部位に形成されている。ベース部11の前部の中央部分には、第2調整孔72が形成されている。ここでは、第1テーブル移動機構51をベース部11に取り付けた際、フランジ63bの第1調整孔71に対応したベース部11の位置に、第2調整孔72が形成されている。そのため、ガイド機構51aをベース部11に取り付けた際、第1調整孔71と第2調整孔72とは、上下方向(図7では、手前から奥に向かう方向)に重なる位置に形成されており、かつ、第1調整孔71は、第2調整孔72と連通している。
次に、第1調整孔71と第2調整孔72の大きさの関係について説明する。本実施形態では、第2調整孔72は、第1調整孔71よりも大きい。換言すると、第2調整孔72の開口面積は、第1調整孔71の開口面積よりも大きい。第2調整孔72における主走査方向Xの最大の長さL12は、第1調整孔71における主走査方向Xの最大の長さL11よりも長い。また、第2調整孔72における副走査方向Yの最大の長さL22は、第1調整孔71における副走査方向Yの最大の長さL21よりも長い。第1調整孔71は、第2調整孔72内に収まるような大きさである。ここでは、第1調整孔71は、真円形状である。第2調整孔72は、前後方向、すなわち、副走査方向Yに長い、長円形状である。
図8は、エキセン治具110の底面図である。図9は、エキセン治具110の右側面図である。図10は、目盛り部材120の平面図である。図11は、エキセン治具110に目盛り部材120を取り付けた状態を示す平面図である。本実施形態では、図11に示すように、角度調整機構30は、エキセン治具110と、目盛り部材120とを備えている。エキセン治具110および目盛り部材120は、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整する際に、作業者が使用するものである。
図8に示すエキセン治具110は、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整するものである。エキセン治具110は、偏芯カムの構造を有する治具であって、回転時に他構造と連動する(回転動作時に外周に接する位置が微量に変化する)構成を有し、微量な動きが可能な治具である。本実施形態では、エキセン治具110は、本体部112と、第1の軸114と、第2の軸116とを備えている。本体部112は、所定の方向D1に延びた長板状の部材によって形成されている。本体部112には、視認孔117が形成されている。図11に示すように、視認孔117は、後述する目盛り部材120の目盛り線125を作業者が視認する孔である。視認孔117の位置、および、形状などは特に限定されない。例えば、本実施形態では、視認孔117は、本体部112の中央部分よりもやや一端部112a側に形成されている。視認孔117の形状は、所定の方向D1に延びた長円形状である。
図9に示すように、第1の軸114は、本体部112の一端部112aの表面に設けられている。ただし、第1の軸114が設けられる位置は特に限定されない。第1の軸114は、本体部112の一端部112aの表面から所定の方向D2に向かって突出している。方向D1と方向D2とは直交している。本実施形態では、方向D1は、本発明の「第3の方向」に対応し、方向D2は、「第4の方向」に対応する。第1の軸114は、円筒形状である。第2の軸116は、ガイド機構51aのフランジ63bに形成された第1調整孔71(図7参照)に挿入可能である。第2の軸116は、本体部112の一端部112aに設けられている。詳しくは、第2の軸116は、一端部112aに設けられた第1の軸114の表面に設けられている。第2の軸116は、第1の軸114の表面から方向D2に向かって突出している。第2の軸116の形状は、円筒形状である。
本実施形態では、第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2とは、互いに平行であり、方向D2に向かって延びた軸である。第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2とは、一致しない。ここでは、中心軸C1と中心軸C2とは、方向D1において離れた位置に配置されている。詳しくは、第1の軸114の中心軸C1は、第2の軸116の中心軸C2よりも本体部112の一端部112a側に位置している。中心軸C1と中心軸C2との間の距離は、所定の距離ΔLである。なお、ここでは、第1の軸114の中心軸C1は、第2の軸116の中心軸C2よりも一端部112a側に位置しているが、第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2との位置関係は特に限定されない。例えば、第1の軸114の中心軸C1は、第2の軸116の中心軸C2よりも一端部112aから離れる方向に位置していてもよい。また、第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2とは、方向D3(図8参照)において互いに離れていてもよい。第1の軸114の直径は、第2調整孔72(長孔)の短径L12と略同一の長さに設定されている。第2の軸116の直径は、第1調整孔71の直径L11と略同一の長さに設定されている。第1の軸114は第2調整孔72に嵌合し、第2の軸116は第1調整孔71に嵌合するように、第1の軸114および第2の軸116のそれぞれの直径は設定されている。
次に、目盛り部材120について説明する。図10に示す目盛り部材120は、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整する際の調整角度を決定するために補助的に使用されるものである。目盛り部材120は、半円形状であって、板状の部材である。目盛り部材120の外郭は、円弧121と、円弧121の両端を結ぶ直線122とによって構成されている。本実施形態では、目盛り部材120における直線122側であって、直線122が延びた方向の中央部分には、挿入孔123が形成されている。挿入孔123は、エキセン治具110の第1の軸114(図9参照)が挿入される孔である。ここでは、挿入孔123の形状は、真円形状であり、かつ、第1の軸114よりも大きい形状である。
目盛り部材120には、複数の固定孔124が形成されている。この固定孔124の数は、特に限定されず、ここでは、2つである。2つの固定孔124は、挿入孔123の両側にそれぞれ形成されている。複数の固定孔124は、目盛り部材120をベース部11に固定するために使用される孔である。本実施形態では、図7に示すように、ベース部11の前部であって、第2調整孔72の両側には、目盛り部材120をベース部11に配置した際において、固定孔124に対応した位置に目盛り固定孔88が形成されている。なお、図5において、目盛り固定孔88は省略されている。目盛り部材120の固定孔124とベース部11の目盛り固定孔88とが重なるように、ベース部11に目盛り部材120を配置し、重なった固定孔124と目盛り固定孔88に固定具(図示せず)を挿入することで、目盛り部材120は、ベース部11に固定される。
図10に示すように、目盛り部材120には、目盛りを示す線である目盛り線125が複数付されている。ここでは、挿入孔123の中心点P1を中心に放射状に延びるようにして、目盛り部材120の表面に複数の目盛り線125が付されている。
ここでは、図11に示すように、エキセン治具110、すなわち、本体部112と、第1の軸114と、第2の軸116、および、目盛り部材120を形成するそれぞれの材料は、金属であるが、材料の種類は特に限定されない。
次に、エキセン治具110および目盛り部材120を使用して、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整する手順について説明する。図12は、エキセン治具110および目盛り部材120をベース部11に取り付けた状態を示す底面図である。図13は、図12のXIII−XIII断面における断面図である。図14は、エキセン治具110を使用して、ベース部11に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整した後の状態を示す底面図である。なお、図12および図14において、ベース部11の第1ベース側固定孔83、目盛り固定孔88、固定部材63の第1ガイド側固定孔81、目盛り部材120の固定孔124などの孔は、省略されている。また、図12および図14において、角度ΔXは、ガイドレール32に対して第1シャフト61および第2シャフト62がずれている角度を示している。角度ΔXは、実際には微小な数値であるが、図12および図14では、理解し易いように誇張して表現されている。
ここでは、図14に示すように、ガイドレール32に対して第1シャフト61および第2シャフト62が厳密に直交している状態を基準にして、方向D12に角度ΔXずれている。ここでは、第1シャフト61および第2シャフト62の位置を右方に距離ΔLずらす、すなわち、第2調整孔72に対する第1調整孔71の位置を右方に距離ΔLずらすことによって、ガイドレール32に対して第1シャフト61および第2シャフト62が厳密に直交している状態となる。なお、第1調整孔71をずらす距離ΔLは、第1シャフト61および第2シャフト62がガイドレール32に対してずれた角度ΔXと、第1シャフト61および第2シャフト62の長さによって一意的に決まる値である。
上述のように、ガイドレール32は、図2に示すように、ベース部11に固定されている。よって、ベース部11に対するガイドレール32の相対的な位置は変更しない。ここでは、ベース部11に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することによって、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することができる。
上記角度を調整する前は、プリンタ100は組み立てられた状態であって、第1テーブル移動機構51のガイド機構51aは、ベース部11に固定された状態である。そこで、まず、図5に示すように、フランジ63bに形成された第1ガイド側固定孔81、および、ベース部11の前部に形成された第1ベース側固定孔83に挿入された固定具85を緩める。このことによって、ベース部11の前部と、固定部材63のフランジ63bとの固定は解除され、フランジ63bは、ベース部11の前部に対して若干の摺動が可能となる。ここでは、ガイド機構51aの第1シャフト61および第2シャフト62に形成された第2ガイド側固定孔82、および、ベース部11のベース後板11bに形成された第2ベース側固定孔84には、固定具86が挿入されている。よって、ガイド機構51aの後部、すなわち、第1シャフト61および第2シャフト62のそれぞれの後端61bおよび62bは、ベース部11に固定された状態である。したがって、図12に示すように、第1シャフト61および第2シャフト62のそれぞれの後端61bおよび62bがベース部11に固定されている点である固定点P11およびP12を中心に、第1シャフト61および第2シャフト62が方向D11および方向D12に向かって若干の回転が可能となっている。
次に、目盛り部材120の円弧121が前方に位置するようにして、ベース部11上に目盛り部材120を配置する。そして、ベース部11の目盛り固定孔88(図7参照)と、目盛り部材120の固定孔124(図10参照)とを重ね合わせて、目盛り固定孔88および固定孔124に固定具(図示せず)を挿入することで、目盛り部材120をベース部11に固定する。このとき、図13に示すように、平面視において、目盛り部材120の挿入孔123(図10参照)内に、固定部材63の第1調整孔71と、ベース部11の第2調整孔72が位置している。
次に、エキセン治具110を取り付ける。ここでは、まず、図12に示すように、エキセン治具110の本体部112の他端部112bがベース部11の前方に位置するように、エキセン治具110をベース部11上に配置する。そして、図13に示すように、エキセン治具110の第1の軸114をベース部11の第2調整孔72に挿入すると共に、エキセン治具110の第2の軸116を固定部材63の第1調整孔71に挿入する。このとき、第1の軸114は、目盛り部材120の挿入孔123にも挿入されている。このようにベース部11に配置されたエキセン治具110において、視認孔117内には、目盛り部材120の複数の目盛り線125のうち何れかの目盛り線125(図11参照)が位置する。作業者は、この視認孔117内に位置する目盛り線125を見ることによって、角度を調整することができる。
本実施形態では、図12および図14に示すように、エキセン治具110をベース部11に取り付けた状態において、作業者は、エキセン治具110の第1の軸114の中心軸C1(図8参照)を中心に、エキセン治具110を方向D11に回転させる。そして、回転させた角度に応じて、第2調整孔72に対する第1調整孔71の位置が変更される。本実施形態では、エキセン治具110の第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2との間の距離、および、エキセン治具110の回転角度によって、第1調整孔71が主走査方向Xにずれる距離が決定される。ここでは、図9に示すように、エキセン治具110の第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2との間の距離は、距離ΔLである。
そこで、図14に示すように、エキセン治具110を方向D11に所定角度(例えば90度)回転させると、第1の軸114が中心軸C1を中心に回転する。このとき、エキセン治具110の第1の軸114がベース部11(固定側)に形成された第2調整孔72に嵌合し、第2の軸116が固定部材63(移動側)に形成された第1調整孔71に嵌合した状態となっている。そのため、第1の軸114が中心軸C1を中心に回転すると、固定側であるベース部11の第2調整孔72の内周面を第1の軸114が摺動しながら回転し、移動側である第2の軸116が第1の軸114を中心に回動する。その結果、固定部材63が右方向に距離ΔL移動することに伴って、第1調整孔71は、第2調整孔72に対して右方向に距離ΔL移動する。このとき、第1シャフト61および第2シャフト62は、それぞれ固定点P11およびP12を中心に、方向D11に沿って角度ΔX回転する。この角度ΔXは、第1調整孔71の移動距離ΔLと、第1シャフト61および第2シャフト62の長さによって一意的に決まる値である。以上のことによって、ガイドレール32に対して第1シャフト61および第2シャフト62が厳密に直交するように調整することができる。
なお、図示は省略するが、例えば、本実施形態の場合、エキセン治具110を方向D12に45度回転させることによって、平面視において、第2の軸116の中心軸C2は、左方向に距離1/2ΔL移動する。このとき、第2の軸116の移動に併せて、第2の軸116が挿入された第1調整孔71は、第2調整孔72に対して左方向に距離1/2ΔL移動する。その結果、第1シャフト61および第2シャフト62は、それぞれ固定点P11およびP12を中心に、方向D12に沿って角度1/2ΔX回転することになる。
このように、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62がずれている角度に基づいて、エキセン治具110を方向D11または方向D12に回転させることで、ガイドレール32に対して第1シャフト61および第2シャフト62が厳密に直交するように調整することができる。なお、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62がずれている角度は、例えば、実際に媒体5に印刷することによって、算出することができる。
以上のように、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整した後、緩めていた固定具85を締め直すことで、固定部材63をベース部11に再度固定する。具体的には、フランジ63bに形成された第1ガイド側固定孔81、および、ベース部11の前部に形成された第1ベース側固定孔83に固定具85を緩め直す。このことによって、ベース部11の前部と、ガイド機構51aのフランジ63bとは固定されると共に、ガイド機構51aは、ベース部11に固定される。
以上のように、本実施形態では、インクヘッド36の搬送方向(ここでは、主走査方向X)に対するテーブル50の搬送方向(ここでは、副走査方向Y)の角度を厳密に調整するためには、インクヘッド36が摺動自在に設けられたガイドレール32と、テーブル50が摺動自在に設けられた第1シャフト61および第2シャフト62との角度を調整すればよい。ここでは、ガイドレール32はベース部11に固定されているため、ベース部11に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することで、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することができる。
本実施形態では、図12に示すように、ベース部11に形成された第2調整孔72に対して、第1テーブル移動機構51の固定部材63に形成された第1調整孔71の位置を主走査方向Xに移動させることによって、固定部材63が主走査方向Xに移動する。このとき、固定部材63に固定された第1シャフト61および第2シャフト62は、それぞれ他端61bおよび62b(ここでは、固定点P11およびP12)を中心に回転する。このようにして、ベース部11に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することによって、ベース部11に固定されたガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することができる。その結果、インクヘッド36の搬送方向に対するテーブル50の搬送方向の角度を調整することができる。
本実施形態に係る角度調整機構30では、ベース部11および固定部材63に大きさが異なる調整孔71、72を形成し、第2調整孔72に対する第1調整孔71の位置を変更することで、インクヘッド36の搬送方向に対するテーブル50の搬送方向の角度を調整している。よって、図15および図16に示したような従来技術と比較して、部品点数を少なくすることができる。また、従来技術とは異なり、図16に示すような調整孔275を通じて作業する必要がないため、従来技術に比べて、インクヘッド36の搬送方向に対するテーブル50の搬送方向の角度を容易に調整することができる。
また、従来技術では、図16に示すように、調整部材273によって第1の部材271と第2の部材272との間隔を変更する際、第1の部材271または第2の部材272が撓むおそれがあった。この場合、上記撓みによる誤差を考慮して、第1シャフト261および第2シャフト262の角度を調整する必要があった。そのため、上記撓みが発生すると、微妙な角度を調整することは困難であった。しかしながら、本実施形態では、ベース部11の第2調整孔72に対して、固定部材63の第1調整孔71の位置を主走査方向Xにずらすことで、第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することができる。本実施形態では、他の部材を介して、ベース部11に対して固定部材63をずらすことはない。したがって、本実施形態では、上記撓みを考慮することなく、第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することができるため、従来技術と比較して、微妙な角度を調整し易い。
図12に示すように、固定点P11およびP12を中心に、第1シャフト61および第2シャフト62を回転させる際、第1調整孔71が第2調整孔72に対して副走査方向Yにずれることがあり得る。本実施形態では、図7に示すように、第2調整孔72における主走査方向Xの最大の長さL12は、第1調整孔71における主走査方向Xの最大の長さL11よりも長い。第2調整孔72における副走査方向Yの最大の長さL22は、第1調整孔71における副走査方向Yの最大の長さよりも長い。ここでは、第1調整孔71の形状は真円形状である。第2調整孔72は、副走査方向Yに長い、長円形状である。このことによって、固定側であるベース部11の第2調整孔72と、移動側である固定部材63の第1調整孔71との大きさの相違を利用して、第2調整孔72を基準として、第2調整孔72の範囲内でベース部11に対する第1調整孔71の位置をずらすことができる。よって、作業者にとって、第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整する作業がし易い。
本実施形態では、図12に示すように、第1テーブル移動機構51は、副走査方向Yに延びた第1シャフト61と、第1シャフト61と平行に配置された第2シャフト62とを有している。第1シャフト61と第2シャフト62とは、主走査方向Xに並んでいる。第1シャフト61の一端61aおよび第2シャフト62の一端62aは、固定部材63に固定されている。第1シャフト61の他端61bおよび第2シャフト62の他端62bは、ベース部11の後部に固定されている。そして、図7に示すように、第1調整孔71は、固定部材63における第1シャフト61が固定された部位と、第2シャフト62が固定された部位との間の部位に形成されている。このことによって、図12および図14に示すように、第1シャフト61と第2シャフト62との間の平行を保った状態で、第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することができる。また、本実施形態では、テーブル50は、第1シャフト61および第2シャフト62の2つのシャフトに沿って、副走査方向Yに搬送される。テーブル50は、第1シャフト61および第2シャフト62に支持された状態である。よって、テーブル50は、副走査方向Yに延びた軸を中心にして回転することを抑制することができる。
本実施形態では、図5に示すように、固定部材63は、第1シャフト61の一端61aおよび第2シャフト62の一端62aが固定された縦板63aと、縦板63aの上端から前方に延びたフランジ63bとを有している。フランジ63bには、第1調整孔71が形成されている。このことによって、固定部材63の最も上方に位置する部位に第1調整孔71が形成されているため、作業者が第1調整孔71を主走査方向Xにずらし易い。また、作業者が視認し易い位置に第1調整孔71および第2調整孔72が形成されているため、テーブル50の搬送方向の角度を容易に調整することができる。
本実施形態では、図8に示すようなエキセン治具110を使用して、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整することができる。図9に示すように、エキセン治具110において、第1の軸114の中心軸C1は、第2の軸116の中心軸C2と所定の距離(ここでは、距離ΔL)離れている。図12および図14に示すように、エキセン治具110の第2の軸116が第1調整孔71に挿入されたとき、エキセン治具110は、第1の軸114の中心軸C1を中心に回転可能である。このことによって、第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2とのずれを利用し、回転する力によって第1調整孔71を主走査方向Xに正確にずらすことができる。
本実施形態では、図9に示すように、エキセン治具110の第1の軸114の中心軸C1と、第2の軸116の中心軸C2とは、本体部112が延びた方向D1と直交する方向D2に延びた軸である。このことによって、第2の軸116を第1調整孔71に挿入し易い。また、作業者は、本体部112を把持して、エキセン治具110を回転させ易い。
図10に示すように、目盛り部材120には、エキセン治具110の第1の軸114が挿入される挿入孔123が形成されている。目盛り部材120は、挿入孔123の中心点P1を中心に、放射状に延びた線である目盛り線125が複数付されている。ここでは、図11に示すように、エキセン治具110の本体部112には、視認孔117が形成されている。目盛り部材120の挿入孔123に、第1の軸114を挿入した際、視認孔117内には、複数の目盛り線125のうち何れかが配置されている。このことによって、作業者は、視認孔117内に配置された目盛り線125を視認しながら、第1シャフト61および第2シャフト62におけるガイドレール32に対する角度を調整することができる。よって、第1シャフト61および第2シャフト62の微妙な角度調整がし易い。
以上、本発明の実施の一形態について説明してきたが、上記実施形態は一例に過ぎず、本発明は他に種々の形態にて実施することができる。
上記実施形態では、目盛り部材120を使用していたが、目盛り部材120を使用せずに、インクヘッド36の搬送方向に対するテーブル50の搬送方向の角度を調整してもよい。また、上記実施形態では、エキセン治具110を使用して、第2調整孔72に対する第1調整孔71の位置を移動させることで、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整していた。しかしながら、エキセン治具110を使用することなく、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整してもよい。この場合、例えば、棒状の部材を第1調整孔71に挿入する。そして、棒状の部材を使用して、第2調整孔72に対する第1調整孔71の位置を主走査方向Xに移動させることで、ガイドレール32に対する第1シャフト61および第2シャフト62の角度を調整してもよい。
上記実施形態では、テーブル50が副走査方向Yに移動することをガイドするシャフトの数は、第1シャフト61と第2シャフト62の2つであった。しかしながら、シャフトの数は特に限定されない。例えば、シャフトの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。