JP6702504B2 - エレベータ用ピット梯子装置 - Google Patents

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Description

この発明は、エレベータの乗場とピット床面との間を、保守点検作業者が移動するために用いられるエレベータ用ピット梯子装置に関するものである。
エレベータには、ピットに降りる場合に使用するピット梯子装置が設けられており、例えば、下記特許文献1に記載されたピット梯子装置が知られている。従来のピット梯子装置では、梯子を収納位置から使用位置に移動させる場合に手間がかかっていた。そこで、梯子を収納位置から使用位置に移動させる作業を、手間をかけず容易に行なうことができるピット梯子装置(特許文献1)がある。また、バネなどの弾性力により梯子を収納位置に定位させて、使用するときに収納位置から引き出して使用位置に移動させる構成もある。
特開2010−64869
しかしながら、このようなピット梯子装置では、梯子を収納位置から使用位置に移動させる作業の負荷は軽くなっているが、梯子を使用した後、作業員が使用位置から収納位置に戻す必要がある。そのため、梯子を使用位置から収納位置に戻す手間がかかっていた。また、梯子を使用位置から収納位置に戻す作業を忘れてしまうと、作業員が再びピットに戻って作業をおこなう必要があるという課題があった。さらに、バネなどの弾性力により梯子を使用位置から収納位置に自ら移動させることで、作業員が梯子を使用位置から収納位置に戻す手間がかからない構成もある。しかし、使用しない場合、梯子の自重によって収納位置(例えば昇降路の壁)から使用位置に自ら移動しないように、この自重に対抗して梯子を収納位置に定位可能なバネなどの弾性力が必要であった。そこで、使用する場合、収納位置から使用位置に引き出す際に、予め設定されたこの弾性力を超える力が必要になるため、作業者が乗場から身を乗り出して作業することになり、バランスを崩してピットに転落する恐れがあった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、梯子を収納位置から使用位置に移動させる作業を軽負荷でおこなうことができると共に、作業員が手間をかけることなく、梯子が使用位置から収納位置に自ら移動するピット梯子装置を提供することである。
この発明にかかるエレベータのピット梯子装置は、昇降路に固定された固定金具に設けられ、使用する使用位置と、これを使用しないときは、エレベータの運行に支障のないように収納する収納位置と、のいずれかの位置に梯子を変位可能な変位手段を備え、変位手段には、シーソー状に揺動自在に支持された取付け腕が設けられ、取付け腕の一端には梯子が取り付けられ、他端には釣合おもりが取り付けられており、釣合おもり側のモーメントを梯子側のモーメントより大きくしたことを特徴とするものである。
この発明は、使用位置と収納位置とのいずれかの位置に梯子を変位可能な変位手段が、梯子と釣合おもりとをシーソー状にバランスさせることができる。これにより、梯子を収納位置から使用位置に移動させる作業を軽負荷でおこなうことができると共に、作業員が手間をかけることなく、梯子が使用位置から収納位置に自ら移動するエレベータのピット梯子装置を実現できる。
この発明の実施の形態1によるピット梯子装置全体の使用時を示す平面図である。 この発明の実施の形態1による図1のピット梯子装置を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1による図2のピット梯子装置を別の方向から見た斜視図である。 この発明の実施の形態1によるピット梯子装置全体の収納時を示す平面図である。 この発明の実施の形態1による図4のピット梯子装置を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1による図5のピット梯子装置を別の方向から見た斜視図である。 この発明の実施の形態2によるピット梯子装置の要部を示す斜視図である。
実施の形態1.
図1〜6は、この発明の実施の形態1によるエレベータのピット梯子装置を説明するもので、図1はピット梯子装置全体の使用時を示す平面図、図2は図1のピット梯子装置を示す斜視図、図3は図2のピット梯子装置を別の方向から見た斜視図、図4はピット梯子装置全体の収納時を示す平面図、図5は図4のピット梯子装置を示す斜視図、図6は図5のピット梯子装置を別の方向から見た斜視図である。
図において、エレベータの昇降路1内には、かごを昇降案内するガイドレール2が立設され、昇降路1内のピット部3には、ピット梯子装置4が固定金具5を介してガイドレール2に取り付けられている。ピット梯子装置4は、エレベータの運行に支障のない位置であって、乗場6から作業者の手が届く位置に配置され、梯子7と、この梯子7を使用する使用位置と収納する収納位置とのいずれかの位置に変位可能な変位装置8とを備えている。変位装置8は、取付け腕9と、この取付け腕9の一端に取り付けられる釣合おもり10とを備えている。この取付け腕9の他端には、釣合おもり10と吊り合うように梯子7が取り付けられている。梯子7には、上部と下部にそれぞれ変位装置8が設けられており、変位装置8は固定金具5を介してガイドレール2に取り付けられている。
取付け腕9は、一対で水平方向に互いに離れて配置されており、この取付け腕9の一端に挟まれるように釣合おもり10が取り付けられ、他端に挟まれるように梯子7が取り付けられる。取付け腕9の他端の両側には、それぞれ回転軸11が水平方向に設けられている。この梯子7は、長手方向が鉛直方向に配置されており、梯子7を形成する支持柱の側面であって、かつ梯子7の重心位置より上部で回転軸11に取り付けられている。すなわち、取付け腕9の他端には、回転軸11によって梯子7が回動自在に取り付けられている。
取付け腕9の両端にそれぞれ設けられる梯子7と釣合おもり10との間には、取付け腕9をシーソー状に揺動自在に支持する回転軸12が設けられている。回転軸12は水平方向に配置され、変位装置8に取り付けられている。ここで、取付け腕9が回転軸12を支点にシーソー状に揺動したとき、取付け腕9の一端に設けられた釣合おもり10は、取付け腕9の揺動と共に変位して上下に移動する。また、取付け腕9の他端に設けられた梯子7も、取付け腕9の揺動と共に変位して上下に移動する。このとき、梯子7は取付け腕9に対して回転軸12で回動すると共に回転軸12に吊り下げられる状態となる。ここで、梯子7は回転軸12より下側の方が重いため、回転軸12に支持されながら、長手方向が鉛直方向に配置された状態で変位する。
取付け腕9の両端にそれぞれ設けられる梯子7と釣合おもり10とは、回転軸12を支点にシーソー状にバランスさせている。ここで、バランスとは、梯子7側のモーメントと釣合おもり10側のモーメントとの釣合状態を意味している。すなわち、この梯子7側のモーメントは、梯子7の重量(W1)と回転軸12から梯子7までの距離(L1)との積で表され、釣合おもり10側のモーメントは、釣合おもり10の重量(W2)と回転軸12から釣合おもり10までの距離(L2)との積で表される。すなわち、モーメントのバランスは、梯子7側のモーメントと釣合おもり10側のモーメントとが次の関係式(1)を満たすように設定されている。
(1)…(W1)×(L1)<(W2)×(L2)
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。ピット梯子装置4を収納位置に配置する場合、梯子7及び釣合おもり10の各重量、梯子7及び釣合おもり10から回転軸12までの各距離の値を関係式(1)で示すモーメントのバランスを満たすように、予め調整しておく。これにより、シーソー状の取付け腕9は、回転軸12から見て、モーメントが大きい釣合おもり10側は下降し、モーメントが小さい梯子7側は上昇することで、梯子7側が上側、釣合おもり10側が下側となるように変位して配置される。このとき、梯子7は長手方向が鉛直方向を維持する一方で、釣合おもり10は取付け腕9と共に梯子7側に向かって傾斜して下降するため、梯子7と釣合おもり10とは互いに接近して配置される。すなわち、上部から見てピット梯子装置4は、梯子7と釣合おもり10とが最も接近して配置されている状態、すなわち、これが収納位置に配置された状態である。
次に、ピット梯子装置4を使用する使用位置に配置する場合、収納位置の場合と同様、梯子7及び釣合おもり10の各重量、梯子7及び釣合おもり10から回転軸12までの各距離の値を関係式(1)で示すモーメントのバランスを満たすように、予め調整しておく。ただし、収納位置に配置する場合と同じように調整しても良いが、(W2)×(L2)の値が(W1)×(L1)の値より大きく、かつ両者の差ができるだけ小さくなるように調整する方が望ましい。すなわち、梯子7を収納位置から使用位置に引き出すために必要なモーメント(F)は次の関係式(2)で示される。
(2)…(F)=(W2)×(L2)−(W1)×(L1)
つまり、梯子7を収納位置から使用位置に引き出すときに、関係式(2)の(F)に対抗し、かつ(F)を超えるようなモーメントが必要になる。そこで、上記(F)を小さくなるように調整した場合、この(F)に対抗し、かつ(F)を超えるモーメントは小さくなるため、梯子7を収納位置から使用位置に必要最小限のモーメントで引き出すことができる。そこで、(W2)×(L2)の値が(W1)×(L1)の値より大きく、かつ(F)ができるだけ小さくなるように、梯子7及び釣合おもり10の各重量、梯子7及び釣合おもり10から回転軸12までの各距離の値が関係式(2)を満たすように予め調整しておく。
これにより、作業者が乗場6から収納位置にある梯子7に手をかけて、梯子7を使用位置に移動させるとき、予め小さくなるように調整された(F)に対抗するモーメントだけで移動させることができる。また、使用中は作業者の体重が梯子7に常に作用することで、作業者の体重による荷重が、(F)よりも十分に大きいため、安定して使用位置に定位することができる。さらに、使用後は、作業者が梯子7から離れると、ピット梯子装置4は上記(1)の関係式を満たすことにより、自ら使用位置から収納位置に変位して定位する。
上記のように実施の形態1によれば、エレベータの昇降路1内に配置され、乗場6からピットに出入りするピット梯子装置4において、昇降路1に固定された固定金具5に設けられ、使用する使用位置と、これを使用しないときは、エレベータの運行に支障のないように収納する収納位置と、のいずれかの位置に梯子7を変位可能な変位装置8を備え、変位装置8には、シーソー状に揺動自在に支持された取付け腕9が設けられ、取付け腕9の一端には梯子7が取り付けられ、他端には釣合おもり10が取り付けられており、釣合おもり10側のモーメントを梯子7側のモーメントより大きくしたことにより、梯子7を収納位置から使用位置に移動させる作業を軽負荷でおこなうことができると共に、作業員が手間をかけることなく、梯子7が使用位置から収納位置に自ら移動するピット梯子装置を提供することができる。
また、上記のように実施の形態1によれば、取付け腕9は、一対で水平方向に互いに離れて配置されており、一対の取付け腕9の一端には第一の回転軸11が設けられ、一対の取付け腕9の他端には釣合おもり10が挟まれるように取り付けられており、梯子7は、梯子7の重心位置より上部で第一の回転軸11に回動自在に取り付けられており、一対の取付け腕9の両端にそれぞれ設けられる梯子7と釣合おもり10との間には、一対の取付け腕9をシーソー状に揺動自在に支持する第二の回転軸12が設けられていることにより、梯子7を収納位置から使用位置に移動させる作業を軽負荷でおこなうことができると共に、作業員が手間をかけることなく、梯子7が使用位置から収納位置に自ら移動するピット梯子装置を提供することができる。
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2によるピット梯子装置13を説明するものであり、要部を示す斜視図である。この発明の実施の形態2によるピット梯子装置13の釣合おもり14は、複数のおもりが重ねられて形成されていることが異なり、それ以外の同様な部分に同じ記号を付記し説明を省略する。
図において、釣合おもり14は、複数のおもりが重ねられて形成されている。この複数のおもりは、最小単位が1枚であって、この1枚のおもりは平板で形成されている。この1枚の平板と同じ形状の平板が1枚から複数枚のいずれかに選択可能に配置されている。
次に、上記のように構成された実施の形態2の動作について説明する。図において、関係式(1)及び関係式(2)を満たすように、変位装置15における梯子7及び釣合おもり14の各重量、梯子7及び釣合おもり14から回転軸12までの各距離の値を予め調整する。このとき、釣合おもり14の重さを調整する場合、まず始めに、平板のおもりを複数枚重ねて配置する。次に、変位装置15における梯子7とのモーメントバランスを調整するため、この平板を1枚または複数枚追加したり、配置したおもりから1枚または複数枚の平板を引き出すことにより、最適なバランスが得られるように釣合おもり14の重量が選択的に調整される。
上記のように実施の形態2によれば、釣合おもり14は、複数のおもりが重ねられて形成されている。これにより、梯子7及び釣合おもり14の各重量、梯子7及び釣合おもり14から回転軸12までの各距離の値に応じて、釣合おもり14を形成する平板を1枚または複数枚追加したり、引き出すことにより釣合おもり14の重量を調整する。すなわち、釣合おもり14を構成する平板の枚数を増減するだけで、釣合おもり14の重量が調整できるため、変位装置15におけるモーメントのバランスを容易に調整することができる。
実施の形態3.
図2〜3は、この発明の実施の形態3によるピット梯子装置4を説明するものである。この発明の実施の形態3によるピット梯子装置4は使用位置に配置された梯子7の下端部は、ピット部3のピット面に当接することが異なり、それ以外の同様な部分に同じ記号を付記し説明を省略する。
図において、使用位置にある梯子7の下端部は、ピット部3のピット面に当接して配置されている。次に、上記のように構成された実施の形態3の動作について説明する。図において、使用位置に配置された梯子7を作業者が昇降するとき、作業者の昇降によって作用する荷重が梯子7から取付け腕9及び固定金具5を介してガイドレール2に作用する。このとき、ピット梯子7から作用する荷重に耐え得るガイドレール2の強度が必要になる。ここで、ガイドレール2の強度が低い場合、この荷重によってガイドレール2が変形してしまう可能性がある。
一方、ガイドレール2の強度は、かごの容量や速度、昇降高さなどのスペックに応じて所定の安全率が確保されるように決められている。しかし、かごの容量が小さく、低速または昇降高さが低いような領域では、ガイドレール2の強度は低くなる傾向にある。そのため、このような領域では、ピット梯子7を安全に使用するためには、この強度では不足する場合がある。
このような場合、エレベータ使用上の設定基準は満たしているにも拘わらず、ピット梯子7を使用するだけのためにガイドレール2の強度を上げなければならない。そこで、使用位置において梯子7の下端部をピット部3のピット面に当接させることで、ガイドレール2に作用する荷重を梯子7の下端部で支持させる。これにより、ピット梯子7を使用する際に、ガイドレール2に作用する荷重を大幅に軽減できる。
上記のように実施の形態3によれば、使用位置に配置された梯子7の下端部は、ピット部3のピット面に当接して配置される。これにより、ガイドレール2に作用する荷重は、梯子7の下端部で支持されるため、ガイドレール2に作用する荷重を大幅に軽減できる。また、ガイドレール2に作用する荷重が大幅に軽減されることで、ガイドレール2の強度を最小限に抑制することができる。
なお、実施の形態1では、梯子7には、上部と下部にそれぞれ変位装置8を設けているが、上部に1つ設ける構成にしても良い。すなわち、梯子7には、梯子7の重心位置より上部に少なくとも1つの変位装置8が取り付けられていれば良い。
また、実施の形態2では、釣合おもり14の最小単位を1枚の平板で構成しているが、その形状は平板でなくても良い。例えば、釣合おもり14の最小単位を1つのブロック形状や球状のおもりで構成する。さらに、このおもりを1つまたは複数個の単位で収容し、かつその数量を容易に増減可能な収容ケースを設けることにより、同様の作用・効果を奏することは言うまでもない。
1 昇降路、2 ガイドレール、3 ピット部、4,13 ピット梯子装置、5 固定金具、6 乗場、7 梯子、8,15 変位装置、9 取付け腕、10,14 釣合おもり、11,12 回転軸
本発明は、エレベータの乗場とピット床面との間を、保守点検作業者が移動するために用いられるエレベータ用ピット梯子装置に関するものである。

Claims (4)

  1. エレベータの昇降路内に配置され、乗場からピットに出入りするピット梯子装置において、
    前記昇降路に固定された固定金具に設けられ、使用する使用位置と、これを使用しないときは、エレベータの運行に支障のないように収納する収納位置と、のいずれかの位置に前記梯子を変位可能な変位手段を備え、
    前記変位手段には、シーソー状に揺動自在に支持された取付け腕が設けられ、前記取付け腕の一端には前記梯子が取り付けられ、他端には釣合おもりが取り付けられており、前記釣合おもり側のモーメントを前記梯子側のモーメントより大きくしたことを特徴とするエレベータ用ピット梯子装置。
  2. 前記取付け腕は、一対で水平方向に互いに離れて配置されており、前記一対の取付け腕の一端には第一の回転軸が設けられ、前記一対の取付け腕の他端には前記釣合おもりが挟まれるように取り付けられており、
    前記梯子は、前記梯子の重心位置より上部で前記第一の回転軸に回動自在に取り付けられており、前記一対の取付け腕の両端にそれぞれ設けられる前記梯子と前記釣合おもりとの間には、前記一対の取付け腕をシーソー状に揺動自在に支持する第二の回転軸が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ用ピット梯子装置。
  3. 前記釣合おもりは、複数のおもりが重ねられて形成されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のエレベータ用ピット梯子装置。
  4. 前記使用位置に配置された前記梯子の下端部は、前記ピット面に当接して配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレベータ用ピット梯子装置。
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