JP6698394B2 - 包装体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、所望の開口部を有する熱収縮性筒状ラベルが容器に装着されている包装体の製造方法に関する。
従来、容器と熱収縮性筒状ラベルとを有し、前記熱収縮性筒状ラベルが容器に熱収縮装着された包装体が広く流通している。このような包装体としては、例えば、飲料などが充填されたボトル型容器に、熱収縮性筒状ラベルが熱収縮装着されたものなどが挙げられる。熱収縮性筒状ラベルは、シュリンクラベル又はシュリンクチューブなどとも呼ばれる。
かかる容器の中で、その外面が内側に凹んだ凹み部が形成されている容器も知られている。このような凹み部は、例えば、容器を手で持つ際の取っ手として利用できる。
しかしながら、前記容器の凹み部を含んで熱収縮性筒状ラベルを装着すると、熱収縮性筒状ラベルが凹み部を完全に覆うように凹み部に被さるので、その凹み部に指を入れて持つことが困難となる。
この点、特許文献1には、熱収縮性筒状ラベルによって凹み部が覆われないように、熱収縮性筒状ラベルのうち前記凹み部に対応する部分に開口部が形成された包装体が開示されている。
1つの方法では、前記包装体は、予め熱収縮性筒状ラベルの一部分を切り欠いておき、その熱収縮性筒状ラベルの切り欠きを凹み部に合致させながら、熱収縮性筒状ラベルを容器に外装し、熱収縮させることによって得られる(同文献の[0018])。
別の方法では、前記包装体は、熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させて容器に装着した後、容器上で熱収縮性筒状ラベルのうち、凹み部に対応する部分を切欠くことによって得られる。熱収縮性筒状ラベルの切り欠き方法としては、ダイカット、レーザー切断などが用いられる(同文献の[0017])。
前記予め熱収縮性筒状ラベルの一部分を切り欠いておく方法にあっては、その切り欠きを容器の凹み部に位置合わせしつつ熱収縮性筒状ラベルを容器に外装することが困難である。さらに、この方法では、容器に外装した熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させることによってその切り欠きが拡がって開口部が生じるが、開口部の大きさが凹み部の周縁よりも大きくなったり、或いは、その開口部を形成するラベル縁部が外側に反り出ることが多い。このような包装体は、外観が悪く、商品として流通させることはできない。
また、前記容器に装着後の熱収縮性筒状ラベルの一部分を切り欠く方法のうち、ダイカットは、形成しようとする開口部の形状ごとにダイ(刃型)を作製しなければならない上、容器の形状によってはそれに装着された熱収縮性筒状ラベルをダイカットで切断できない場合もある。この点、レーザー切断は、ダイの作製が不要である上、所望の箇所を簡単に切断できる。
しかしながら、レーザーを用いた切断にあっては、そのレーザーによって容器の外面が損傷を受けることがある。
特表2003−509298号公報
本発明の目的は、熱収縮性筒状ラベルの装着された容器が実質的に損傷することなく、前記熱収縮性筒状ラベルをレーザーを用いて所望の形状に切断し、開口部を有する包装体を製造する方法を提供することである。
本発明の包装体の製造方法は、外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有し且つ外面の一部分が内側に凹んだ凹み部を有する容器の外側に、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムから形成された熱収縮性筒状ラベルを前記凹み部を覆って前記容器に装着する装着工程、前記装着後の熱収縮性筒状ラベルのうち前記オレフィン面部に対応する領域であって前記容器の外面に密着した密着領域を、炭酸ガスレーザーを用いて切断することにより、前記熱収縮性筒状ラベルの面内に前記容器の凹み部に通じる開口部を形成する切断工程、を有し、前記熱収縮性フィルムが、外面層/1層以上の中間層/内面層を有する積層フィルムであり、前記外面層及び内面層が、ポリエステル系樹脂層から構成され、前記中間層が、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む混合樹脂層及びポリスチレン系樹脂層の少なくとも何れか一方を含み、前記熱収縮性筒状ラベルとして、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの最大収縮応力が1MPa以上10MPa以下である熱収縮性筒状ラベルを用いる。
本発明の包装体の製造方法によれば、凹み部に通じる開口部が形成された熱収縮性筒状ラベルを容器に装着した包装体を容易に製造できる。この包装体の容器は、レーザーによって実質的に損傷を受けておらず、外観上綺麗である。
容器の正面図。 同容器の背面図。 同容器の右側面図。 図1のIV−IV線で切断した拡大断面図。 容器の本体の積層構造を示す参考拡大断面図。 筒状に開いた熱収縮性筒状ラベルの斜視図。 装着工程において、熱収縮性筒状ラベルを容器に外装した状態を示す正面図。 図7のVIII−VIII線で切断した拡大断面図。 装着工程において、変形例に係る熱収縮性筒状ラベルを容器に外装する途中を示す拡大断面図。 装着工程において、熱収縮性筒状ラベルを熱収縮させて容器に装着した状態を示す正面図。 図10のXI−XI線で切断した拡大断面図。 切断工程の第1例であって、装着した熱収縮性筒状ラベルをレーザーによって切断した状態を示す正面図。 第1例において、切断によって生じた切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示す正面図(第1例の包装体の正面図)。 図13のXIV−XIV線で切断した拡大断面図。 切断工程の第2例であって、装着した熱収縮性筒状ラベルをレーザーによって切断し、切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示す正面図(第2例の包装体の正面図)。 切断工程の第3例であって、装着した熱収縮性筒状ラベルをレーザーによって切断し、切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示す正面図(第3例の包装体の正面図)。 図16のXVII−XVII線で切断した拡大断面図。 切断工程の第4例であって、装着した熱収縮性筒状ラベルをレーザーによって切断し、切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示す正面図(第4例の包装体の正面図)。 同背面図 図18のXX−XX線で切断した拡大断面図。 変形例の容器を用いた包装体の正面図(第5例の包装体の正面図)。 図21のXXII−XXII線で切断した拡大断面図。 変形例の容器を用いた包装体の正面図(第6例の包装体の正面図)。 図23のXXIV−XXIV線で切断した拡大断面図。
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
なお、本明細書において、包装体及び容器の「正面」は、水平面上に自立させた容器を、容器の軸方向に対して直交する方向のうち任意の1つの方向から見たときに視認できる側をいい、包装体及び容器の「背面」は、その反対側をいう。「正面視形状」は、前記任意の1つの方向から見たときに視認される形状をいう。例えば、図1は、1つの凹み部の周面全体を視認できる側から見た、容器の正面である。
「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
各図に示される部分及び部材の寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
本発明の包装体の製造方法は、主として、容器の外側に熱収縮性筒状ラベルを装着する工程(装着工程)、及び、前記装着後の熱収縮性筒状ラベルの一部分を、レーザーを用いて切断する工程(切断工程)、を有する。本発明の製造方法は、これらの工程以外の他の工程を有していてもよい。
これら各工程を1つの製造ラインで一連に行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を、1つのラインで行い、且つ残る工程を他の1つ又は2つ以上のラインで行ってもよい。また、前記各工程の全てを一の実施者が行ってもよいし、或いは、前記各工程から選ばれる1つ又は2つ以上の工程を一の実施者が行い、且つ残る工程を他の実施者が行ってもよい。
[準備工程]
製造対象である包装体は、容器と、熱収縮された熱収縮性筒状ラベルと、から構成される。包装体は、容器と熱収縮性筒状ラベルを有していることを条件として、他の部材を具備していてもよい。かかる包装体の製造に当たって、前記容器と熱収縮性筒状ラベルを準備する。
(容器)
容器は、外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有する容器であれば特に限定されない。
換言すると、容器は、その材質の観点では、容器の外面を構成する部位(この部位が外面部である)が、ポリオレフィン系樹脂から形成されている部分(この部分を、オレフィン面部という)を有している。従って、容器は、その外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
本明細書において、「ポリオレフィン系樹脂から形成されている」とは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする材料から形成されていることをいう。また、本明細書において、「主成分」とは、その層に含まれる樹脂の中で最も多い樹脂(重量比)をいう。例えば、主成分樹脂は、その層に含まれる樹脂の全量を100重量%とした場合に、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上含まれる。
図1乃至図4において、容器1は、その構造の観点では、内容物を収納する収納空間を有する本体11と、前記本体11の端部に形成された注出口12と、前記本体11に着脱可能に取り付けられ且つ前記注出口12を塞ぐ蓋部13と、を有する。
本体11及び蓋部13の少なくとも何れか一方の少なくとも外面部が、ポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有していればよいが、好ましくは、本体11の少なくとも外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されている。
この場合、前記本体11の外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
なお、蓋部13がオレフィン面部を有する場合、その蓋部13の外面部の全体がオレフィン面部から構成されていてもよく、その外面部の一部分がオレフィン面部から構成されていてもよい。
また、本体11及び蓋部13は、それぞれ独立して、1層構造でもよく、或いは、2層以上の多層構造であってもよい。
図4及び図5(a)は、1層構造の本体11を示している。このように1層構造の本体11にあっては、その全体がポリオレフィン系樹脂から形成されている。厚み方向における構造が1層の本体11は、概念上、外面部Aを含む肉厚全体がポリオレフィン系樹脂からなる。
図5(b)は、2層構造の本体11bを示している。このように2層構造の本体11bにあっては、少なくとも外面部Aがポリオレフィン系樹脂から形成されている。2層構造の本体11bの内面部Bは、ポリオレフィン系樹脂から形成されていてもよく、或いは、ポリオレフィン系樹脂以外の材料から形成されていてもよい。ポリオレフィン系樹脂以外の材料としては、ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂、金属、ガラス、陶器などが挙げられる。
図5(c)は、3層構造の本体11cを示している。このように3層構造の本体11cにあっては、少なくとも外面部Aがポリオレフィン系樹脂から形成されている。3層構造の本体11cの内面部B及び中間部Cは、それぞれ独立して、ポリオレフィン系樹脂から形成されていてもよく、或いは、ポリオレフィン系樹脂以外の材料から形成されていてもよい。なお、4層以上の多層構造の本体については、中間部が2層以上となる点以外は、3層構造と同様である。
なお、図5では、オレフィン面部を有する本体11の積層構造を例示しているが、蓋部13がオレフィン面部を有する場合についても同様である。
本体11の厚みは、特に限定されず、例えば、本体11が合成樹脂製である場合には、その厚みは0.2mm〜3mmである。なお、本体11が上記のような多層構造である場合には、外面部Aの厚みが0.05mm〜2mmであることが好ましい。
前記ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンを必須の単量体成分として構成される重合体(オレフィン系エラストマーを含む)であり、即ち、分子中(1分子中)にオレフィンを少なくとも含む重合体である。前記オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリエチレン系樹脂)、プロピレンを必須の単量体成分として構成される重合体(ポリプロピレン系樹脂)、アイオノマー、環状オレフィン系重合体などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
前記ポリエチレン系樹脂は、エチレンを必須の単量体成分として構成される重合体であり、即ち、分子中(1分子中)にエチレンに由来する構成単位を少なくとも含む重合体である。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体;エチレンと1種以上の単量体成分(エチレン以外の単量体成分)を必須の単量体成分として構成される共重合体(エチレン共重合体)等が挙げられる。
前記エチレン以外の単量体成分としては、例えば、エチレン以外のα−オレフィン;塩化ビニルなどのビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸などの不飽和無水カルボン酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミドなどの不飽和アミド又はイミド;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸亜鉛などの不飽和カルボン酸塩;酢酸ビニルなどが挙げられる。前記エチレン以外の単量体成分は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
前記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数4〜20のα−オレフィン(好ましくは炭素数4〜8のα−オレフィン)などが挙げられる。前記α−オレフィンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
前記ポリエチレン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.89〜0.97g/cmが好ましく、より好ましくは0.91〜0.96g/cmである。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン);プロピレンと1種以上のオレフィン(プロピレン以外のオレフィン)を必須の単量体成分として構成される共重合体(プロピレン共重合体)などが挙げられる。前記プロピレン共重合体は、分子中(1分子中)にプロピレンに由来する構成単位及びプロピレン以外のオレフィン(例えば、プロピレン以外のα−オレフィン)に由来する構成単位を少なくとも含む共重合体である。また、前記プロピレン−α−オレフィン共重合体は、分子中(1分子中)にプロピレンに由来する構成単位及びプロピレン以外のα−オレフィンに由来する構成単位を少なくとも含む共重合体である。前記プロピレン−α−オレフィン共重合体の共重合成分として用いられるα−オレフィンとしては、例えば、エチレンや、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン(ただし、プロピレンを除く)が挙げられる。前記α−オレフィンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。前記プロピレン共重合体(プロピレン−α−オレフィン共重合体等)は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
オレフィン面部は、前記ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂(主成分樹脂以外の樹脂)を含んでいてもよいが、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
オレフィン面部がポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を含む場合、その樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
図1乃至図4において、容器1は、上述のように、構造の観点では、本体11と、注出口12と、蓋部13と、を有し、前記本体11には、好ましくは凹み部2が形成されている。なお、容器1は、これら以外の部分を有していてもよい。
図示例では、前記蓋部13として、本体11にネジ作用で着脱自在に取り付けられたキャップを図示している。もっとも、蓋部13は、ネジ作用で取り付けられるキャップに限られず、例えば、本体11に嵌合されるキャップ、任意の方式で本体11に取り付けられ且つヒンジを介して注出口12を開閉するキャップ、噴霧にて内容物を注出できるトリガーなどでもよい。
本体11は、容器1を自立可能とするための底部14を有し、容器1は、図1及び図2に示すように、前記底部14を下にして自立可能である。
本体11の外形は、特に限定されず、略円柱状、略楕円柱状、略四角柱状や略三角柱状などの略多角柱状、略円錐状や略三角錐状などの略錐状、略円錐台状や略四角錐台状などの略錐台状、略瓢箪形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた立体形状などでもよい。本明細書において、形状の「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。例えば、四角などの多角に付加された「略」は、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、円や楕円に付加された略は、円弧の一部が膨らむ又は窪んでいる形状、円弧の一部が直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
また、本体11の外形は、直胴状でもよく、直胴状でなくてもよい。直胴状は、軸方向において周長が変わらない形状をいう。図示例の本体11の外形は、凹み部2を除いて略楕円錐台状である。かかる本体11の上方部は、上方に向かうに従いその周長が小さくなっている上方縮径部111となっており、本体11の下方部は、下方に向かうに従い周長が小さくなっている下方縮径部112となっている。
前記本体11の外面の一部分は、内側に凹んでおり、その部分が凹み部2とされている。前記凹み部2は、容器1の外形の一部分であって、周囲よりも内側に凹んでいる部分をいう。容器1に関して、内側は、容器1の収納空間に近づく側をいい、外側は、その反対側をいう。
後述するように、熱収縮させた熱収縮性筒状ラベルは、本体11の凹み部2を除く外面に略密着することによって容器1に装着される。つまり、凹み部2は、本体11の外面のうち、熱収縮させた熱収縮性筒状ラベルが接しない部分である。以下、本体11のうち凹み部以外の部分を、凹み部と相対的な関係で「外出部」という場合がある。
詳しくは、本体11の外面の一部分は、内側へ向きを変える変曲点を複数有し、その変曲点の集合によって囲われた範囲が、内側に凹んだ凹み部2となっている。この無数の変曲点の集合が、凹み部2と外出部の境界であり、凹み部2の周縁2aを構成している。凹み部を火山のカルデラに例えると、前記複数の変曲点の集合は、カルデラの外輪山に相当する。
凹み部2の周縁2a(無数の変曲点の集合)は、正面視で無端の環状線を成している。
凹み部2は、前記周縁2aにおいて外出部に連続し且つ内側へと入り込む周面2bを有する。前記周面2bは、凹み部2の外面でもある。前記周面2bは、例えば、外側に膨らむ若しくは内側に膨らむ曲面を成した傾斜面状又は平面を成した傾斜面状とされている。
図示例では、凹み部2の周面2bは、全体として外側に膨らむ曲面を成した傾斜状に形成されている。
前記凹み部2の正面視形状は、特に限定されず、略円形状、略楕円形状、略四角形状や略三角形状などの略多角形状、略だるま形状、及びこれらの形状が組み合わされた形状などが挙げられる。なお、凹み部2の正面視形状は、正面から見たときの凹み部2の周縁2aの形状である。図示例では、凹み部2の正面視形状(周縁2aの正面視形状)は、略楕円形状とされている。
凹み部2の形成位置は、特に限定されず、凹み部2は、正面から見て、本体11の中央部、上方部又は下方部などの適宜な位置に形成されていてもよい。図示例では、凹み部2は、正面から見て、右側上方部に形成されている。
凹み部2は、本体11に1箇所又は2箇所以上形成される。本発明の製造方法において、熱収縮性筒状ラベルを、凹み部2を覆って容器1に装着する場合、少なくとも1つの凹み部2を覆えばよい。つまり、複数の凹み部2を有する容器1を用いる場合には、装着工程において、少なくとも1つの凹み部2を含んで熱収縮性筒状ラベルを装着すればよい。
図示例では、凹み部2は、2箇所形成されている。以下、一方の凹み部2を「第1凹み部」、他方の凹み部2を「第2凹み部」という場合がある。
第1凹み部21は、本体11の正面側に形成されており、第2凹み部22は、本体11の背面側に形成されている。
第1凹み部21と第2凹み部22は、容器1の正背面において同じ位置に形成されており、従って、正面から見て、第1凹み部21の背面側に第2凹み部22が位置している。また、第1凹み部21と第2凹み部22は、例えば、同形同大に形成されている。
第1凹み部21及び第2凹み部22が形成されていることによって、本体11の側部(正面から見て右側上方部)は、手で握りやすくなっている。この側部が取っ手として利用できる取っ手部15とされている。
第1凹み部21と第2凹み部22は、それぞれ、周面2bに連続した底面を有していてもよい。凹み部2の底面は、凹み部2のうち最も内側に位置する凹み部2の外面の一部をいう。
図示例では、第1凹み部21と第2凹み部22は、底面を有さず、互いに連通されている。従って、第1凹み部21の周面2bと第2凹み部22の周面2bは、互いに連続しており、これらの周面2bで囲われた範囲が、孔部16となっている。この孔部16は、手先を入れることができる大きさに形成されている。かかる孔部16が形成されることによって、手で包み込むように握持可能な取っ手部15が形成される。
なお、前記取っ手部15は、本体11の一部を成しており、その取っ手部15の内部は、中空状である。従って、取っ手部15の内部は、本体11の収納空間の一部を成している。もっとも、取っ手部15は、中実状であってもよい。
取っ手部15の厚みは、本体11と略同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。図示例のように、本体11と取っ手部15が一体的に形成されている容器1は、通常、射出成形やブロー成形などの成形法で形成されるため、本体11の厚みと取っ手部15の厚みが異なることがある。例えば、取っ手部15の厚みは、0.2mm〜1.2mmであり、好ましくは0.3mm〜1mmである。
また、取っ手部15の高さ(容器の軸方向における取っ手部の長さ)は、特に限定されないが、手で持つという観点から、50mm以上であり、好ましくは、50mm〜200mmであり、より好ましくは、60mm〜120mmである。
さらに、図示例のように孔部16を有する場合、取っ手部15は、本体11から分離されており、その取っ手部15の断面視における大きさは、特に限定されない。持ち易さや強度の観点から、取っ手部15の断面視における大きさは、取っ手部が断面視略円形状である場合を基準にして、直径10mm〜50mmであり、好ましくは直径15mm〜40mmである。ただし、取っ手部15の外形は、断面視略円形状に限られないので、取っ手部15が断面視略円形状以外の異形状である場合の前記取っ手部15の大きさは、その異形状の面積と同じ面積の円を想定し、その想定円の直径に相当する。
なお、取っ手部15は、本体11と一体的に形成されている場合に限られず、別体の取っ手部を本体に取り付けることによって、取っ手部及び孔部が形成されていてもよい(図示せず)。取っ手部が本体と別体で形成される場合、材質の観点では、取っ手部と本体は、同じ材料でもよく、或いは、異なっていてもよい。
容器1に充填される内容物は、特に限定されず、ジュースなどの飲料、食用油や醤油などの調味料、液体洗剤や詰替え用シャンプーなどのサニタリー品、消毒用アルコールなどの医薬品、化粧品などが挙げられる。また、内容物は、収納空間から取り出すことができるものであれば、その性状は特に限定されず、液状(ある程度の粘性を有する液状を含む)でもよく、或いは、粒状でもよい。
(熱収縮性筒状ラベル)
熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベル3は、図6に示すように、ラベル基材31を有し、そのラベル基材31の第1側端部31aと第2側端部31bを接着することによって筒状に形成された筒状体である。かかる熱収縮性筒状ラベル3は、容器1に外装し、加熱することによって容器1に熱収縮装着される。なお、熱収縮させる前の熱収縮性筒状ラベルに符号「3」を付し、包装体に具備された熱収縮性筒状ラベル(熱収縮させた後の熱収縮性筒状ラベル)に符号「4」を付すこととする。
熱収縮性筒状ラベル3は、容器に外装する前から筒状に形成されているものでもよく、或いは、容器に外装すると同時に筒状に形成されるものでもよい。
容器に外装すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベル3は、ラベル基材31の第1側端部31aの内面を容器に部分接着し、この基材を容器の周囲に巻き付け、前記第1側端部31aの外面に基材の第2側端部31bの内面を接着することにより、筒状に成形される。
以下、容器に外装する前から筒状に形成されている熱収縮性筒状ラベル3を中心にして説明する。
容器装着前の熱収縮性筒状ラベル3は、図6に示すように、容器1に装着する際には筒状に開かれる。もっとも、熱収縮性筒状ラベル3の製造時には、扁平状に折り畳まれている(図示せず)。
なお、現実的な製造工程では、一般に、熱収縮性筒状ラベル3は、その複数が連続的に繋がった連続体であって扁平状に折り畳まれた連続体の形態で提供され、この連続体を適宜切断して個々の熱収縮性筒状ラベル3が得られ、容器1に外装する直前に筒状に開かれる。
前記ラベル基材31は、主として熱収縮性フィルムから構成されている。ラベル基材31は、必要に応じて、前記熱収縮性フィルムに、デザイン印刷層、保護層、滑り層などが設けられているものでもよい。
前記熱収縮性フィルムは、柔軟なフィルムであって、熱収縮温度に加熱されると、熱収縮方向に収縮するフィルムである。前記熱収縮温度は、例えば、60℃〜120℃が例示される。
前記熱収縮性フィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば20μm〜100μm、更に、20μm〜80μm程度のものを用いることができる。
前記熱収縮性フィルムは、材質の観点では、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムが用いられる。
熱収縮性フィルムの主成分樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂又はポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂である。
熱収縮性フィルムは、1層構造でもよく、或いは、2層以上の多層構造の積層フィルムであってもよい。熱収縮性フィルムが多層の積層フィルムからなる場合、全体として熱収縮性を有している限り、熱収縮性を有する層と熱収縮性を有さない層の積層物でもよいが、好ましくは、全ての層が熱収縮性を有する積層物である。
熱収縮性フィルムが多層の積層フィルムからなる場合、それらの層は、それぞれ独立して、ポリエステル系樹脂を主成分とする層(以下、ポリエステル系樹脂層という)、ポリスチレン系樹脂を主成分とする層(以下、ポリスチレン系樹脂層という)、及び、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂との混合樹脂を主成分とする層(以下、混合樹脂層という)から選ばれる。
熱収縮性フィルムが2層の積層フィルムからなる場合、外面層/内面層の積層フィルムであり、熱収縮性フィルムが3層以上の積層フィルムからなる場合、外面層/1層以上の中間層/内面層の積層フィルムである。
中でも、外面層/1層以上の中間層/内面層からなる積層フィルムにおいては、外面層及び内面層がポリエステル系樹脂層から構成され、中間層として混合樹脂層及びポリスチレン系樹脂層の少なくとも何れか一方を含むものが好ましい。
熱収縮性フィルムが多層の積層フィルムからなる場合、2層などの偶数層の積層フィルムでもよいが、3層などの奇数層の積層フィルムであることが好ましい。
奇数層の積層フィルムの多層構造は、外面層/奇数の中間層/内面層で表され、例えば、外面層/1つの中間層/内面層、外面層/第1中間層/第2中間層/第3中間層/内面層などが例示される。
例えば、外面層/1つの中間層/内面層の例としては、(a)ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(b)ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(c)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(d)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(e)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(f)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層などが挙げられる。
外面層/第1中間層/第2中間層/第3中間層/内面層の例としては、(g)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(h)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(i)ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(j)ポリエステル系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(k)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(l)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層、(m)ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層、(n)ポリスチレン系樹脂層/混合樹脂層/ポリエステル系樹脂層/混合樹脂層/ポリスチレン系樹脂層などが挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂は、特に限定されないが、好ましくはポリエチレンテレフタレート系樹脂である。前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いたポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(CHDM共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ネオペンチルグリコール(NPG)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(NPG共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ジエチレングリコールを共重合成分として用いた共重合ポリエステルなどのジオール変性PET;ジカルボン酸成分において、テレフタル酸を主成分にイソフタル酸及び/又はアジピン酸で変性したジカルボン酸変性PET;ジカルボン酸成分及びジオール成分の両方を変性したジカルボン酸及びジオール変性PET;などが挙げられる。これらの中では、ジオール変性PET、ジカルボン酸変性PET、ジカルボン酸及びジオール変性PETなどの共重合成分を有する変性PETが好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレンの単独重合体である一般ポリスチレン(GPPS)などのスチレン系単量体の単独重合体又は共重合体;合成ゴムにスチレン系単量体をグラフト重合させた高衝撃性ポリスチレン(HIPS);スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBSなど)に代表される、スチレン系単量体とブタジエンやイソプレン等のジエン系単量体(共役ジエン)からなる共重合体であるスチレン−共役ジエン共重合体;スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体などの共重合体であるスチレン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体;スチレン−共役ジエン−重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体;スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体との共重合体をゴム成分にグラフト重合させた透明・高衝撃性ポリスチレン(グラフトHIPS)、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中では、所定のポリスチレン系樹脂として、スチレン−共役ジエン共重合体を含むことが好ましい。このスチレン−共役ジエン共重合体にはその水添物を含む。
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、1種単独で、又は、2種以上併用できる。前記(メタ)アクリルは、メタクリル又はアクリルを意味する。
前記スチレン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどが挙げられる。中でも、強度、成形性などの物性の観点から、スチレンが特に好ましい。なお、これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記共役ジエンとしては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、クロロプレンなどが挙げられる。中でも、脆性改良、柔軟性付与の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。なお、これら共役ジエンは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン−共役ジエン共重合体の共重合の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体など特に限定されないが、ブロック共重合体が好ましく、スチレン(S)−共役ジエンブロック(D)型、S−D−S型、D−S−D型、S−D−S−D型等が挙げられる。
前記スチレン−共役ジエン共重合体としては、例えば、水添又は非水添のスチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添又は非水添のスチレン−イソプレンブロック共重合体、水添又は非水添のスチレン−ブタジエン−イソプレンブロック共重合体などが挙げられる。これらの中では、水添又は非水添のスチレン−ブタジエンブロック共重合体が好ましい。前記水添は、「水素添加された」という意味であり、非水添は、「水素添加されていない」という意味である。
前記水添又は非水添のスチレン−ブタジエンブロック共重合体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体(SBBS)などが例示される。
前記熱収縮性フィルムは、熱的性質の観点では、少なくとも第1方向に主として熱収縮するフィルムが用いられ、第2方向に若干熱収縮又は熱伸長するフィルムを用いてもよい。前記第1方向は、フィルムの面内における1つの方向を意味し、第2方向は、前記面内において前記第1方向と直交する方向である。ラベル基材31を筒状にした際(つまり、ラベル基材31を用いて熱収縮性筒状ラベル3を形成した際)、前記熱収縮性フィルムの第1方向は、熱収縮性筒状ラベル3の周方向となる。かかる熱収縮性フィルムとしては、第1方向に主として延伸された1軸延伸又は2軸延伸フィルムを用いることができる。
前記熱収縮性フィルムの第1方向(熱収縮方向)における熱収縮率は、特に限定されないが、好ましくは40%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。なお、前記第1方向における熱収縮率は、大きいほど好ましいが、それにも自ずと限界があるため、前記第1方向における熱収縮率は、理論上、100%未満であるが、通常、90%以下である。前記熱収縮性フィルムが第2方向に熱変化するフィルムである場合、その第2方向における熱収縮率は、例えば、−3〜25%であり、好ましくは1〜20%である。前記熱収縮率のマイナスは、熱伸長を意味する。
ただし、前記熱収縮率は、加熱前のフィルムの長さ(元の長さ)と、100℃の温水中に10秒間浸漬した後のフィルムの長さ(浸漬後の長さ)の割合であり、下記式に代入して求められる。
前記熱収縮率(%)=[{(第1方向又は第2方向の元の長さ)−(第1方向又は第2方向の浸漬後の長さ)}/(第1方向又は第2方向の元の長さ)]×100。
また、前記熱収縮性フィルムの収縮応力は、特に限定されないが、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に装着した際に、容器1の取っ手部15などの変形を防止できる点から、比較的小さいことが好ましい。例えば、熱収縮性フィルムの収縮応力は、10MPa以下であり、好ましくは8MPa以下であり、より好ましくは6MPa以下である。
一方、収縮応力が余りに小さいと、熱収縮性筒状ラベル3が容器1に十分に密着せず、装着後の熱収縮性筒状ラベルが空回りするおそれがあるので、前記熱収縮性フィルムの収縮応力は、例えば、1MPa以上であり、好ましくは2MPa以上である。
前記熱収縮性フィルムの収縮応力は、そのフィルムを第1方向に80mm、第2方向に15mmに切り取り、このフィルム片の第1方向の両端部を応力測定器のチャックに保持し(チャック間距離50mm)、これを100℃の温水中に10秒間浸漬した際に生じる第1方向に於ける収縮応力の最大値をいう。
なお、必要に応じて設けられるデザイン印刷層は、前記熱収縮性フィルムの内面又は/及び外面に積層される。熱収縮性フィルムは、透明又は非透明の何れでもよいが、そのフィルムの内面側(熱収縮性フィルムの内面は、ラベル基材31が筒状に形成された際に内側となる面であり、熱収縮性フィルムの外面は、その反対面である)にデザイン印刷層を設ける場合には透明性に優れたものが用いられる。本明細書において、透明(無色透明又は有色透明)は、全光線透過率が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である場合をいう。ただし、全光線透過率は、JIS K 7361(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。
このようなデザイン印刷層などが熱収縮性フィルムに設けられている場合でも、ラベル基材31は、熱収縮性フィルムの収縮力によって、主として第1方向(熱収縮性筒状ラベル3の周方向)に熱収縮する。
前記ラベル基材31の第1方向(熱収縮方向)が周方向となるように、そのラベル基材31を筒状に丸め、第1側端部31aを第2側端部31bに重ね合わせて接着してシール部31cを形成することにより、熱収縮性筒状ラベル3が構成されている。このシール部31cは、熱収縮性筒状ラベル3の軸方向に帯状に延びている。
前記第1側端部31aと第2側端部31bの接着方法は、特に限定されず、溶剤を用いた溶着、接着剤を用いた接着などが挙げられる。
熱収縮性筒状ラベル3の周長は、例えば、容器1の被装着部位の最大周長×1倍を超え同×1.5倍以下であり、好ましくは同×1.01倍〜同×1.3倍であり、より好ましくは同×1.02倍〜同×1.15倍である。容器の被装着部位は、容器の、熱収縮性筒状ラベル3が熱収縮装着される部位をいう。
なお、熱収縮性筒状ラベル3には、必要に応じて、分断用のミシン目線(図示せず)などの公知の構造が付加されていてもよい。
[装着工程]
装着工程は、容器1の外側に熱収縮性筒状ラベル3を外装し、加熱することによって、熱収縮性筒状ラベル3を容器1に熱収縮させて装着する工程である。
具体的には、図7及び図8に示すように、予め筒状に形成された熱収縮性筒状ラベル3を容器1の被装着部位の外側に被せる。好ましくは、少なくとも1つの凹み部2を覆うように熱収縮性筒状ラベル3を外装する。
容器1の被装着部位としては、例えば、図示したように、第1凹み部21及び第2凹み部22を含み、さらに、上方縮径部111及び下方縮径部112を含む本体11の大部分などが挙げられる。
容器1の被装着部位の最大径よりも大きい熱収縮性筒状ラベル3は、容器1の外装した時点では、容器1に装着されていない。つまり、外装した時点では、熱収縮性筒状ラベル3は、容器1に対して位置ずれし得る。
なお、容器1に外装すると同時に筒状に形成される熱収縮性筒状ラベルを用いる場合には、図9に示すように、容器1の外面に、ラベル基材31の第1側端部31aの内面を接着剤などを用いて接着し、ラベル基材31を容器1の周方向に巻き付け、その第1側端部31aの外面に第2側端部31bの内面を接着剤などを用いて接着することによって、熱収縮性筒状ラベルを容器1に外装できる。
次に、熱収縮性筒状ラベル3を加熱し、熱収縮性筒状ラベル3を熱収縮させる。熱収縮によって熱収縮性筒状ラベル3が縮径し、容器1の本体11に略密着する(図10及び図11参照)。図示例では、熱収縮性筒状ラベル4は、第1凹み部21及び第2凹み部22の各外面を除き、上方縮径部111及び下方縮径部112並びに取っ手部15を含む本体11の外出部の一部又は全体に略密着する。熱収縮装着された熱収縮性筒状ラベル4は、容器1に対して不用意に位置ずれしないようになる。以下、装着された熱収縮性筒状ラベル4のうち、容器1(図示例の場合には、本体11)の外面に略密着した領域を、「密着領域」という。
ただし、主として周方向に大きく収縮するという熱収縮性筒状ラベル3の性質上、熱収縮性筒状ラベル4は、凹み部2の周縁2aに略密着するが、凹み部2(周縁2aから内側に凹んでいる凹み部2)の外面には密着していない。従って、装着された熱収縮性筒状ラベル4のうち、凹み部2に対応する領域Xは、凹み部2の外面(すなわち、周面2b)から離れている。以下、凹み部に対応する領域を「凹み部対応領域」という。また、図10において、凹み部対応領域を判り易く図示するため、便宜上、その領域に無数のドットを付加している。
装着工程において、前記熱収縮性筒状ラベル3に対する加熱温度は所定の温度で設定でき、熱収縮性筒状ラベル3の外面を基準にして、例えば、60℃〜120℃であり、好ましくは80℃〜110℃である。加熱手段も特に限定されず、例えば、スチーム、100℃〜250℃程度の温風などが挙げられる。その他の加熱手段として、放射線、紫外線、赤外線などの活性エネルギー線照射を用いた加熱でもよい。
上記のように、孔部16を介して本体11から区画されている取っ手部15を有する容器1に、熱収縮性筒状ラベル3を熱収縮装着した際に、その取っ手部15が変形する(例えば、内側に押し潰されるなど)おそれがある。この点、収縮応力が10MPa以下である熱収縮性筒状ラベル3を用いた場合には、このような取っ手部15の変形を効果的に防止できる。特に、取っ手部15が、(a)上述の断面視における大きさが直径10mm〜50mmである、(b)厚みが0.2mm〜1.2mmである、(c)ポリオレフィン系樹脂から形成されている(ポリオレフィン系樹脂を主成分とする材料から形成されている)、の3つの構成のうち少なくとも1つを満たす中空状の取っ手部15は、熱収縮性筒状ラベルの熱収縮時に変形し易いところ、前記収縮応力の熱収縮性筒状ラベル3を用いることにより、その変形を効果的に防止できる。
[切断工程]
切断工程は、前記装着工程において容器1に装着した後の熱収縮性筒状ラベル4の面内の一部分を、レーザーを用いて切断する工程である。
レーザーを用いて切断する部分は、熱収縮性筒状ラベル4のうち、容器1のオレフィン面部に対応する領域の範囲内である。以下、熱収縮性筒状ラベル4のうち、容器1のオレフィン面部に対応する領域を、「オレフィン対応領域」という場合がある。オレフィン面部は、レーザーによって実質的に損傷を受けないので、このオレフィン面部に対応する熱収縮性筒状ラベル4の一部分を切断する。
なお、図示例では、本体11の外面部の全体がオレフィン面部から構成されており、その本体11のみに熱収縮性筒状ラベル4が装着されているので、熱収縮性筒状ラベル4は、その全体がオレフィン対応領域となっている。
レーザーの種類は、熱収縮性筒状ラベル4を切断できるものでれば特に限定されず、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、YVOレーザーなどが挙げられる。
特に、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムは、炭酸ガスレーザーの吸収量が大きいので、レーザーとしては、炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。炭酸ガスレーザーの波長は、特に限定されず、例えば、9.4μm又は10.6μmの波長のものが挙げられるが、前記熱収縮性フィルムの裁断に特に適していることから、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーを用いることが好ましい。
このオレフィン対応領域の何れの箇所を切断してもよい。切断線の形状は、特に限定されず、例えば、正面視で無端の環状、正面視で両端部を有する1本の線状、或いは、正面視で両端部を有する2本以上の線状が断続的に連続している形状などが挙げられる。前記両端部を有する2本以上の線状が断続的に連続している形状としては、ミシン目線形状などが該当する。前記切断線は、レーザーの切断によって生じる線であり、レーザーの移動軌跡とも言える。
なお、前記切断線が正面視で無端の環状に形成される場合には、その環状の切断線で囲われる領域は、熱収縮性筒状ラベル4から分離独立するので、その領域は除去される。
また、凹み部2を有する容器1にあっては、凹み部対応領域Xの一部又は全部を含む範囲を刳り抜くように切断することが好ましい。凹み部対応領域Xの一部又は全部を含んで無端の環状の切断線を形成することにより、凹み部2に通じる開口部を熱収縮性筒状ラベル4に形成できる。
切断線の形成(すなわち、レーザーを用いて切断する部分)は、(1)密着領域の範囲内のみでもよく、(2)凹み部対応領域の範囲内のみでもよく、(3)凹み部対応領域の一部分及び密着領域の一部分に連続していてもよい。好ましくは、前記(1)及び(3)のように、密着領域を含んでレーザーを用いて切断する。また、好ましくは、凹み部2に通じる開口部を熱収縮性筒状ラベル6の面内に形成するように、レーザーを用いて切断する。
例えば、図12に示すように、凹み部2の周縁2aに対応して切断線Zを形成してもよい。図12の二点鎖線は、切断線Z(レーザーの軌跡)を表している。周縁2aに沿って熱収縮性筒状ラベル4の面内を切断すると、無端の環状の切断線Zが形成される。また、熱収縮性筒状ラベル4は、周縁2aを含む容器1の外出部の外面に略密着しているので、この切断線Zの形成は、上記(1)の場合である。
そして、前記切断線Zで囲われた領域を除去することにより、図13及び図14に示すような、凹み部2に通じる開口部6が熱収縮性筒状ラベル4に形成された包装体10を得ることができる。なお、開口部6は、フィルム縁4aで囲われた範囲内に生じた部分である。前記フィルム縁4aは、レーザー切断痕から構成される。かかる包装体10は、開口部6を形成するフィルム縁4aが容器1の周縁2aに沿っており、外観上好ましい。
また、図15に示す例は、切断線を、凹み部2の周縁2aの外周りに対応して無端の環状に形成する場合を示している。なお、図15では、その切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。この切断線の形成も、上記(1)の場合である。
この場合も、凹み部2に通じる開口部6が熱収縮性筒状ラベル4に形成された包装体10を得ることができるが、開口部6を形成するフィルム縁4aの正面視形状は、周縁2aの正面視形状よりも大きい。
また、図16及び図17に示す例は、切断線を、凹み部2の周縁2aの内周りに対応して無端の環状に形成する場合を示している。なお、図16及び図17では、その切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。この切断線の形成は、上記(2)の場合である。
この場合も、凹み部2に通じる開口部6が熱収縮性筒状ラベル4に形成された包装体10を得ることができるが、開口部6を形成するフィルム縁4aの正面視形状は、周縁2aの正面視形状よりも小さい。
また、図18乃至図20に示す例は、切断線を、第1凹み部21の左側周縁2a1の内周りと、第2凹み部22の右側周縁2a2の内周りと、第1凹み部21及び第2凹み部22の上下周縁2a3,2a4から容器1の外出部に対応する領域とにかけて、無端の環状に形成する場合を例示している。なお、図18乃至図20では、その切断線で囲われた領域を除去した後の状態を示している。この切断線の形成は、上記(3)の場合である。すなわち、熱収縮性筒状ラベル4のうち、第1凹み部21の左側周縁2a1の内周りと第2凹み部22の右側周縁2a2の内周りに対応する領域は、凹み部対応領域であり、容器1の外出部に対応する領域は、密着領域である。
この場合も、凹み部2に通じる開口部6が熱収縮性筒状ラベル4に形成された包装体10を得ることができる。特に、前記開口部6は、取っ手部15を含んで第1凹み部21及び第2凹み部22に対応して形成されるので、取っ手部15が露出した包装体10が得られる。
本発明の製造方法によれば、ラベル装着後にレーザーを用いて切断するので、熱収縮性筒状ラベル4の所望の位置に、所望の開口部6を容易に形成できる。
また、熱収縮性筒状ラベル4が、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムから形成され且つこれらの樹脂はレーザー吸収能に優れており、容器1が、レーザー損傷を受け難いポリオレフィン系樹脂からなるオレフィン面部を有するので、装着後の熱収縮性筒状ラベル4のうち容器1のオレフィン面部に対応する領域の一部分にレーザーを照射すると、容器1に実質的に損傷を与えることなく、熱収縮性筒状ラベル4を確実且つ良好に切断できる。
このように本発明の製造方法によれば、熱収縮性筒状ラベル4を確実に切断し、熱収縮性筒状ラベル4に所望の開口部6が形成された包装体10であって、容器1の外面が綺麗な包装体10を容易に製造できる。
上記実施形態では、第1凹み部21と第2凹み部22の間に孔部16が貫通されている容器1を図示したが、例えば、図21及び図22に示すように、底面2cを有する第1凹み部21及び第2凹み部22が形成されている容器1に熱収縮性筒状ラベルを装着することによって、包装体10を製造してもよい。このように底面2cを有する第1凹み部21及び第2凹み部22においても、それに隣接して取っ手部15が形成されている。
また、本発明は、取っ手部15や凹み部2を有する容器1に限られず、例えば、図23及び図24に示すように、取っ手部及び凹み部を有さない容器1に、熱収縮性筒状ラベル4を装着し、その熱収縮性筒状ラベル4をレーザーにて切断して開口部6を形成することによって、包装体10を製造してもよい。
1 容器
15 取っ手部
2 凹み部
2a 凹み部の周縁
3 熱収縮前の熱収縮性筒状ラベル
4 熱収縮後の熱収縮性筒状ラベル
4a フィルム縁(レーザー切断痕)
6 開口部
10 包装体

Claims (1)

  1. 外面部がポリオレフィン系樹脂から形成されているオレフィン面部を有し且つ外面の一部分が内側に凹んだ凹み部を有する容器の外側に、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂の少なくとも一方を主成分とする熱収縮性フィルムから形成された熱収縮性筒状ラベルを前記凹み部を覆って前記容器に装着する装着工程、
    前記装着後の熱収縮性筒状ラベルのうち前記オレフィン面部に対応する領域であって前記容器の外面に密着した密着領域を、炭酸ガスレーザーを用いて切断することにより、前記熱収縮性筒状ラベルの面内に前記容器の凹み部に通じる開口部を形成する切断工程、を有し、
    前記熱収縮性フィルムが、外面層/1層以上の中間層/内面層を有する積層フィルムであり、前記外面層及び内面層が、ポリエステル系樹脂層から構成され、前記中間層が、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含む混合樹脂層及びポリスチレン系樹脂層の少なくとも何れか一方を含み、
    前記熱収縮性筒状ラベルとして、100℃の温水中に10秒間浸漬したときの最大収縮応力が1MPa以上10MPa以下である熱収縮性筒状ラベルを用いる、包装体の製造方法。
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