JP6695162B2 - 遮音界床構造の構築方法および遮音界床構造 - Google Patents

遮音界床構造の構築方法および遮音界床構造 Download PDF

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本発明は、建物の遮音界床構造の構築方法および遮音界床構造に関する。
従来、鉄筋コンクリート造のマンションなどの集合住宅における上階と下階との間の界床における床衝撃音遮断性能を向上させるために、天井部材の空気層の大きさや天井材の面密度の提案がなされている。たとえば、特許文献1は、スラブと天井材との間に300mm以上の厚さの空気層を形成することを提案し、特許文献2は、天井スラブと天井板との間の空気層の厚みを100mm以下とし、天井板の面密度を1.28〜2.4kg/m2とすることを提案している。また、特許文献3は、二重床における仕上げ床部分を床スラブから完全に離して構築することを提案している。
特開2005-9147号公報 特許第4736437号公報 特開2002-317521号公報
しかし、特許文献1では、天井空気層を300mm以上とすることで、階高を非常に大きくとる必要が生じ、マンション設計では非経済的になっていた。特許文献2は特許文献1の欠点を解消するために、空気層100mmの厚さ以下で、天井部分の面密度をごく軽いものにしたが、これは共振周波数帯を63Hz帯域から高音側にずらしただけのものであり、重量衝撃音遮断性能(63Hz帯域から500Hz帯域までを対象にしている)の根本的な改善提案にはなっていなかった。
また、特許文献3では、上階の床組みを上階の梁部分から吊り下げる方法を採用しているが、上階の床が常時揺れやすいのと、施工の煩雑さや経済性が乏しいのが難点となっている。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、界床の床衝撃音遮断性能を向上させ、比較的狭い高さで二重スラブを簡便な施工で構築できる遮音界床構造の構築方法および遮音界床構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための遮音界床構造の構築方法は、建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造を構築する方法であって、前記二重スラブを、前記下スラブと前記上スラブとの両端部近傍のみにスペーサを配置して事前にユニット化し、建物の躯体構築時に取り付けることを特徴とする。
この遮音界床構造の構築方法によれば、予めユニット化された二重スラブを用いて建物の躯体構築時に取り付けるので、コンクリート製のスラブが空気層を間にして二重に配置されて床衝撃音遮断性能が向上した遮音界床構造を比較的狭い高さで簡便な施工により構築することができる。
上記目的を達成するための別の遮音界床構造の構築方法は、建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造を構築する方法であって、前記二重スラブを、事前にユニット化し、建物の躯体構築時に取り付け、前記二重スラブが振動するときの共振周波数fdが63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側になるように前記空気層の厚さと前記下スラブの面密度とを設定するものである。これにより、二重スラブを比較的狭い高さにでき、建物の階高をむやみに大きくせずに所定の床衝撃音遮断性能を実現できる。
ただし、前記共振周波数fd(Hz)は次式(1)から算定される。
fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
d:空気層の厚さ(m)
c:音速(m/s)
ρ:空気密度(kg/m3
m1:上スラブの面密度(kg/m2
m2:下スラブの面密度(kg/m2
また、前記空気層の厚さを30〜100mmとし、かつ、前記二重スラブの下スラブの面密度を30kg/m2以上とすることが好ましい。
また、前記二重スラブの下スラブをプレストレスト配筋がされたPC板とすることで、上スラブとの間の空気層を最小にしながら、スラブの支持スパン内において他からの支持が不要とすることが可能になる。
また、前記二重スラブの支保工の設置場所において、前記二重スラブ間に別のスペーサを撤去可能に設置して前記二重スラブを揚重し取り付けることが好ましい。
また、前記二重スラブの下スラブの端面にガスケットを予め取り付けておき、隣接する二重スラブが設置された際に前記ガスケットにより前記下スラブ間の気密性を確保することが好ましい。
上記目的を達成するための遮音界床構造は、建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造であって、前記二重スラブが振動するときの共振周波数fdが63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側になるように前記空気層の厚さと前記下スラブの面密度とを設定することを特徴とする。
ただし、前記共振周波数fd(Hz)は次式(1)から算定される。
fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
d:空気層の厚さ(m)
c:音速(m/s)
ρ:空気密度(kg/m3
m1:上スラブの面密度(kg/m2
m2:下スラブの面密度(kg/m2
この遮音界床構造によれば、空気層が間に設けられたコンクリート製の二重スラブから建物の界床構造を構成し、空気層の厚さと下スラブの面密度とを適切に設定することで、二重スラブを比較的狭い高さにでき、建物の階高をむやみに大きくせずに所定の床衝撃音遮断性能を実現できる。
上記遮音界床構造において、前記空気層の厚さを30〜100mmとし、かつ、前記二重スラブの下スラブの面密度を30kg/m2以上とすることが好ましい。
本発明によれば、界床の床衝撃音遮断性能を向上させ、比較的狭い高さで二重スラブを簡便な施工で構築できる遮音界床構造の構築方法および遮音界床構造を提供することができる。
本実施形態による遮音界床構造を示す要部側面図である。 図1の二重スラブを構成するPC板を複数枚設置した建物区画の平面図(a)および二重スラブの上に乾式二重床を配置した建物区画の平面図(b)である。 本実施形態による遮音界床構造の構築方法の主要な工程を説明するためのフローチャートである。 図1の二重スラブを揚重する様子を概略的に示す斜視図である。 図1の戸境部における二重スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。 図1の外壁部における二重スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。 図2の二重スラブ10,10を図2のVII-VII線方向に切断して見た図である。 図7とは別の構成を示す図7と同様の図である。 図6とは別構成のインサートによる二重スラブの固定および支保工を示す図7,図8と同様の図である。 本実施形態における建物の必要階高の計算例を示す図(a)および従来構造における建物の必要階高の計算例を示す図(b)である。 図1の遮音界床構造において空気層の厚さと下スラブの面密度とを変化させたときの共振周波数を求めた結果を表にして示す図である。 図11の表の太線内の組み合わせについて空気層の厚さと下スラブの厚さを合計した値を図11の表と対応する升目に記載した表を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による遮音界床構造を示す要部側面図である。図2は図1の二重スラブを構成するPC板を複数枚設置した建物区画の平面図(a)および二重スラブの上に乾式二重床を配置した建物区画の平面図(b)である。
図1のように、本実施形態による遮音界床構造は、マンションなどの集合住宅における上階と下階との間の界床において構成され、下スラブ11と、上スラブ12と、下スラブ11と上スラブ12との間にスラブ面と平行に形成された空気層13と、上スラブ12の上部に配置された乾式二重床15と、を備える。
下スラブ11と上スラブ12との間には、それらの端部にスペーサ14が配置され、このスペーサ14により空気層13の厚さが規定される。スペーサ14は、躯体構築の取り付け前に下スラブ11と上スラブ12とをユニット化するときに、たとえば、モルタルやコンクリート等を用いて形成することができる。
下スラブ11と上スラブ12と空気層13とから床衝撃音遮断性能に優れた二重スラブ10が構成される。すなわち、二重スラブ10が梁B1,B2の間に配置され、上階と下階との間の遮音界床構造の主要部を構成する。また、図1のように、二重スラブ10における上スラブ12は上階の躯体スラブ(構造床)を構成し、下スラブ11は下階の天井部を構成する。なお、天井部の下方には天井化粧板等が配置される。
下スラブ11および上スラブ12は、その長手方向内部に空洞が設けられて軽量化されるとともにプレストレスト配筋がされた穴あきPC板から構成される。下スラブ11を穴あきPC板から構成することで、上スラブ12との間の空気層13を最小にしながら、梁B1,B2の間のスラブの支持スパン内において他からの支持が不要となり好都合である。
図2(a)のように、戸境部w1と外壁部w2との間の一区画20において複数の二重スラブ10が配置され、上面の上スラブ12,12の長手方向端部間に形成されるジョイント部16には、その後、コンクリートを打設し、各上スラブ12を接合することで、躯体スラブが構築され、面内せん断力の伝達が確実になる。
次に、図1,図2(b)のように、同じく一区画20’において上スラブ12の上に乾式二重床15を構築する。乾式二重床15は、たとえば、図1のように、床板部15aをスラブ面18から離間して直接支持しかつゴム等からなる防振部15cのある支持脚15bをスラブ面18上に複数配置して構成される遮音乾式二重床とすることができる。このような遮音乾式二重床の具体的構成は、たとえば、特許第5670675号公報に開示されている。なお、図2(a)(b)の建物の区画20,20’における領域17は、キッチンやバスやトイレ等の水廻り領域である。
次に、図1の遮音界床構造において高床衝撃音遮断性能および空気層の最小厚さを確保するための検討事項について説明する。
一般に二重スラブ10間に空気層13がある場合に、空気層13が弾性体となり、上スラブ12で受けた加振衝撃は、上下の面材(スラブ)の面密度の組み合わせで、一定の共振周波数を持つ連成振動となる。
二重スラブ10が振動するときの共振周波数fd(Hz)は、空気層13の厚さをd(m)、音速をc(m/s)、空気密度をρ(kg/m3)、上スラブ12の面密度をm1(kg/m2)、下スラブ11の面密度をm2(kg/m2)とすると、次式(1)で算定される。
fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
式(1)により、上スラブ12を鉄筋コンクリートスラブ200mm厚さとして面密度m1=460kg/m2とし、空気密度ρ=1.25kg/m3、音速c=340m/sとして、空気層の厚さdと下スラブ11の面密度m2とを変化させたときの共振周波数fdを求めると、図11の表のようになる。
重量衝撃音遮蔽性能試験(JIS A 1418-2:2000)における対象周波数帯域は、オクターブ分割で、中心周波数63Hzから同500Hzとなっており、63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側に共振周波数fdがくれば、比較的うるさいと感じない音環境になる。図11の表の太線内の組み合わせ(空気層13の厚さと下スラブ11の面密度)が、共振周波数fdが63Hz帯域(44.2Hz〜88.4Hz)よりも低音側に該当するものである。この空気層の厚さと下スラブの厚さを合計した値を図11の表と対応する升目に記載したのが図12の表である。
図12の表において太斜字で示したケースが、共振周波数が63Hz帯域から低音側に外れ、かつ、空気層13の厚さと下スラブ11の厚さとの合計が0.1m以下のものである。この範囲の組み合わせを使用すれば、階高をむやみに大きくせずに所定の性能の遮音性を期待できることがわかる。
すなわち、本実施形態による遮音界床構造において、空気層13の厚さを30〜100mmとし、かつ、二重スラブ10の下スラブ11の面密度を30kg/m2以上とすることで、階高をむやみに大きくせずに所定の床衝撃音遮断性能を実現できる。
なお、実際に、スラブを構架させるスパンは、集合住宅の場合に主に6m〜8mの範囲で変化し、たとえば、8mスパンとなる下スラブの場合、下スラブとしてPC板を使用しても、厚さが100mmを超えることがあり、かかるPC板には、対応する面密度が必要となる。このため、下スラブ11の面密度の上限は特に設定せず、下スラブ11の面密度は30kg/m2以上であればよい。
本実施形態による遮音界床構造によれば、二重スラブ10における所定の共振周波数を避けるとともに重量と剛性のあるスラブ11,12を配置することで、上スラブ12における床衝撃による下スラブ11の下面からの音響放射を格段に遮蔽することが可能であり、優れた床衝撃音遮断性能を発揮することができる。
次に、図1,図2のような遮音界床構造の構築方法について図3,図4を参照して説明する。図3は本実施形態による遮音界床構造の構築方法の主要な工程を説明するためのフローチャートである。図4は図1の二重スラブを揚重する様子を概略的に示す斜視図である。
図3のように、まず、図1の二重スラブ10をユニット化する(S01)。工場等において下スラブ11と上スラブ12とを重ね合わせ、所定間隔を保ちつつそれらの間にモルタルやコンクリートを配置し一体化する。モルタルやコンクリートは、図1,図4のように、長手方向の両端部近傍に配置され、固化後、スペーサ14を形成する。スペーサ14により下スラブ11と上スラブ12との間の空気層13の厚さdが確保される。
なお、下スラブ11と上スラブ12は、プレストレスト配筋がされた穴あきPC板から構成できるが、具体的には、たとえば、本出願人のうちの一社から製品名「スパンクリート」(登録商標)として販売されている、縦方向(長手方向)に複数個の中空孔を有しPC鋼線によってプレストレスを与えられたコンクリートパネルを使用できる(図7,図8参照)。
二重スラブ10を施工中に支えるために二重スラブ10のスパン内の所定位置に支保工を設ける(S02)。
次に、図4のように、ユニット化された二重スラブ10をロープやワイヤ30等によりクレーン(図示省略)を用いて揚重し(S03)、梁等の構築のために設置された型枠近傍の所定位置に取り付ける(S04)。二重スラブ10は、図2のように、所定枚数が取り付けられる。
次に、型枠内にコンクリートを打設し(S05)、二重スラブ10が梁B1,B2(図1)と一体化される。このとき、図2の二重スラブ10,10の間に長手方向に延びるジョイント部16においてもコンクリートを打設する。
次に、図1のように、完成した上スラブ12のスラブ面18上に乾式二重床15を設置する(S06)。
上述のように、上下二枚で構成される床板ユニットである二重スラブ10を現場取り付け前に工場等で製作し、順次施工階の所定場所に取り付けていき、施工階においてコンクリートを打設することで、二重スラブ10が周辺の梁と一体化される。
以上のようにして、マンション等の集合住宅の建物において図1の本実施形態による遮音界床構造を構築することができる。この遮音界床構造により建物、特にマンション等の集合住宅における上下階の床衝撃音遮断性能を確保できるが、本実施形態の遮音界床構造の構築方法によれば、かかる界床遮音性能の確保に有効な工法を提供できる。すなわち、予めユニット化された二重スラブを用いて建物の躯体構築時に取り付けるので、コンクリート製の下スラブ11と上スラブ12が空気層13を間にして二重に配置されて床衝撃音遮断性能が向上した遮音界床構造を比較的狭い高さで簡便な施工により構築することができる。
次に、図5,図6を参照して図1の戸境部および外壁部における二重スラブおよび型枠の配置例について説明する。図5は、図1の戸境部における二重スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。図6は、図1の外壁部における二重スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。
図5のように、戸境部w1に対応する梁型枠33は、その内側に、梁長手方向(紙面垂直方向)に延びる複数の主筋31と、複数の主筋31を包囲するように配置される複数のせん断補強筋32と、を配置し、型枠組み立て金具34を用いて組み立てられ、型枠支保工37により下方から支持される。二重スラブ10は梁型枠33に近接して取り付けられ、それらの端部は梁型枠33の一部を構成する。二重スラブ10は梁型枠33の近傍で、下階から延びる支保工36により受け部36aを介して支持される。
図6のように、外壁部w2に対応する梁型枠43は、その内側に、梁長手方向(紙面垂直方向)に延びる複数の主筋41と、複数の主筋41を包囲するように配置される複数のせん断補強筋42と、を配置し、型枠組み立て金具44を用いて組み立てられ、型枠支保工45により下方から支持される。二重スラブ10は梁型枠43に近接して取り付けられ、それらの一端が梁型枠43の一部を構成する。二重スラブ10は梁型枠43の近傍で支保工46により受け部46aを介して支持される。支保工46は、下階のスラブ面18に支持されて上に延びている。
図6のように、二重スラブ10は、そのスパンに応じて、さらに中間に設けられた支保工47によって支持される。支保工47は二重スラブ10に設けられたインサート48にはまり込んで二重スラブ10を支持する。インサート48は、上スラブ12,下スラブ11に貫通するように設けられる貫通ボルト48aと、二重スラブ10の外面の下スラブ11の下面および上スラブ12の上面にそれぞれ当接するように貫通ボルト48aにねじ込まれるナット48b,48bと、二重スラブ10の内面(空気層13側)の下スラブ11の上面および上スラブ12の下面にそれぞれ当接するように貫通ボルト48aにねじ込まれるナット48c,48cと、を有する。貫通ボルト48aにナット48b,48b,ナット48c,48cがねじ込まれてインサート48が二重スラブ10に固定されるとともに、ナット48b,48b,ナット48c,48cの位置を調整することで、空気層13の厚さdを微調整することができる。このように、インサート48は空気層13の厚さdを一定に保つスペーサとして機能する。
貫通ボルト48aの上端部48dおよび下端部48eがそれぞれ支保工47,47の端部内の穴に挿入されることで、二重スラブ10はそのスパン中間で二重スラブ10に予め設けられたインサート48を介して確実に支持される。
なお、二重スラブ10において支保工47の配置される位置に予めインサート48を設けることで、二重スラブ10のユニット化・一体化を確実にすることができる。施工後に、支保工47が取り外され、インサート48が除去され撤去される。インサート48は遮音界床構造の施工中においてスペーサの役割を果たす。また、インサート48を下スラブ11の端部にも適用し、スペーサ14の代替としてもよい。この場合、二重スラブ10の端部には、梁型枠へのコンクリート打設時のコンクリート止めを必要に応じて設ける。
図3の打設工程S05で図5の梁型枠33,図6の梁型枠43にコンクリートが打設されることで、建物の躯体構造の一部を構成する梁B1,B2(図1)を構築できるとともに、二重スラブ10を梁B1,B2(図1)と一体化することができる。この工程では、図2の二重スラブ10,10の間のジョイント部16においてコンクリートを打設し、上スラブ12,12を接合するが、次に、二重スラブ10,10の間のジョイント部16における上スラブ12,12および下スラブ11,11の接合例について図7,図8を参照してさらに説明する。
図7は、図2の二重スラブ10,10を図2のVII-VII線方向に切断して見た図である。図7のように、二重スラブ10の上スラブ12は、その端部に凹部12aが形成され、端部下側に突き合わせ部12bが形成されており、二重スラブ10,10を突き合わせたとき、突き合わせ部12b,12bが当接し、その上で凹部12a,12aにより空間が形成されるようになっている。図3の打設工程S05において凹部12a,12aによる空間にコンクリートが充填されることで、二重スラブ10の上スラブ12,12が接合される。
また、二重スラブ10の下スラブ11は、その一端に凹部11aが形成され、他端に凸部11bが形成されており、二重スラブ10,10を突き合わせたとき、凹部11aと凸部11bとがさね嵌合するようになっている。このさね嵌合部により下スラブ11,11が結合し、空気層13が密閉されることで、下スラブ11,11間の気密性を確保することができる。
図8は、図7とは別の構成を示す図7と同様の図である。図8のように、二重スラブ10の上スラブ12は図7と同様の構成であるが、下スラブ11の端部に、ほぼ平坦な平坦部11cが形成されるとともに、一端にゴム等の弾性体からなる中空のパッキン23が予め接着剤等により貼り付けられており、二重スラブ10,10を突き合わせたとき、平坦部11c,11cがパッキン23を介して当接するようになっている。このパッキン23により下スラブ11,11の端部がシールされ、空気層13が密閉されることで、下スラブ11,11間の気密性を確保することができる。
また、パッキン23は、平坦部11c,11c間で押し付けられることで、その一部が空気層13側にはみ出して上スラブ12の下面に当接するようにして略球状のはみ出し部23aを形成する。このはみ出し部23aは、上スラブ12の突き合わせ部12b、12bの下方に位置するので、上スラブ12,12のジョイント部16においてコンクリート打設時のノロ止めの機能を発揮する。
なお、図7,図8のように、下スラブ11,上スラブ12は、その長手方向(紙面垂直方向)に延びる複数個の中空孔21を有し、コンクリート内に埋め込まれた複数のPC鋼線22によってプレストレスが与えられている。
次に、図6とは別構成のインサートによる二重スラブの固定および支保工について図9を参照して説明する。図9は、図6とは別構成のインサートによる二重スラブの固定および支保工を示す図7,図8と同様の図である。
図9のように、二重スラブ10の短手方向両端にインサート49が設けられている。インサート49は、ボルト49aと、二重スラブ10の内面(空気層13側)の下スラブ11の上面および上スラブ12の下面にそれぞれ当接するようにボルト49aにねじ込まれるナット49b,49bと、下スラブ11の下面に当接するようにねじ込まれるナット49cと、を有する。ボルト49aは、その上端49dが上スラブ12の下面に形成された有底穴50内に挿入されてナット49bにより固定されるとともに、下スラブ11を貫通し、下スラブ11の上面、下面でナット49b,49cにより固定される。ナット49b,49b,ナット49cの位置を調整することで、空気層13の厚さdを微調整することができる。
ボルト49aの下端部49eが下階側から延びる支保工51の端部内の穴に挿入されることで、二重スラブ10は、二重スラブ10に予め設けられたインサート49を介して確実に支持される。なお、インサート49の上部位置において上スラブ12の上面から支保工52が上階側へと延びるようにして設置される。
図9のインサート49は、施工後に支保工51が取り外されてから、ボルト49aが下方から除去されて撤去される。インサート49は図6のインサート48と同様に遮音界床構造の施工中においてスペーサの役割を果たす。なお、図9では、ボルト49aが下スラブ11を貫通し、上スラブ12の一部に貫入する構成としたが、逆に、上スラブ12を貫通し、下スラブ11の一部に貫入する構成としてもよく、この場合は、ボルト49aが上方から除去される。なお、インサート49を下スラブ11の端部にも適用し、スペーサ14の代替としてもよい。この場合、二重スラブ10の端部には、梁型枠へのコンクリート打設時のコンクリート止めを必要に応じて設ける。
次に、本実施形態による遮音界床構造を採用した場合の建物の必要階高の計算例について図10を参照して説明する。図10は、本実施形態における建物の必要階高の計算例を示す図(a)および従来構造における建物の必要階高の計算例を示す図(b)である。
床面から天井化粧板までの高さを図10(a)(b)のように両者で一定とすると、本実施形態の遮音界床構造では、全体階高が従来構造よりも若干高いが、水廻り領域17(図2)での床スラブの段差の設置がなくかつ高さが従来構造よりも高く確保することができる。本遮音界床構造によれば、二重スラブ10とすることで従来構造よりも優れた床衝撃音遮断性能を得ることができるので、全体階高と床衝撃音遮断性能との相反する両事項を勘案した上で、全体階高が若干高くなっても床衝撃音遮断性能を優先するような場合に本実施形態の遮音界床構造が適切であるといえる。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、本実施形態による遮音界床構造は、マンション等の集合住宅に好適であるが、本発明はこれに限定されず、オフィスビル、ホテル、病院、学校、スポーツ施設、音楽ホール・スタジオなどの各種の建物や特に高床衝撃音遮断性能が求められる部分に適用できることはもちろんである。
また、本実施形態の遮音界床構造では、二重スラブ10の上に図1のような遮音乾式二重床15を設置したが、本発明は、これに限定されず、たとえば、他の形式の乾式二重床であってもよく、また、各種の合成床であってもよいことはもちろんである。
また、二重スラブ10のユニット化は、工場に限らず、たとえば、建物の施工現場において実施してもよい。
本発明の遮音界床構造の構築方法および遮音界床構造によれば、施工性がよく建物の界床での床衝撃音遮断性能の確保が容易になり、たとえば、マンション等の集合住宅における生活音の苦情などの解消に貢献することができる。
10 二重スラブ
11 下スラブ
12 上スラブ
13 空気層
14 スペーサ
15 乾式二重床
16 ジョイント部
21 中空孔
22 PC鋼線
23 パッキン
33,43 梁型枠
36,46,47 支保工
48 インサート
48a 貫通ボルト
49 インサート
49a ボルト
51,52 支保工

Claims (8)

  1. 建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造を構築する方法であって、
    前記二重スラブを、前記下スラブと前記上スラブとの両端部近傍のみにスペーサを配置して事前にユニット化し、建物の躯体構築時に取り付けることを特徴とする遮音界床構造の構築方法。
  2. 建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造を構築する方法であって、
    前記二重スラブを、事前にユニット化し、建物の躯体構築時に取り付け、
    前記二重スラブが振動するときの共振周波数fdが63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側になるように前記空気層の厚さと前記下スラブの面密度とを設定する遮音界床構造の構築方法。
    ただし、前記共振周波数fd(Hz)は次式(1)から算定される。
    fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
    d:空気層の厚さ(m)
    c:音速(m/s)
    ρ:空気密度(kg/m3
    m1:上スラブの面密度(kg/m2
    m2:下スラブの面密度(kg/m2
  3. 前記空気層の厚さを30〜100mmとし、かつ、前記二重スラブの下スラブの面密度を30kg/m2以上とする請求項1または2に記載の遮音界床構造の構築方法。
  4. 前記二重スラブの下スラブをプレストレスト配筋がされたPC板とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遮音界床構造の構築方法。
  5. 前記二重スラブの支保工の設置場所において、前記二重スラブ間に別のスペーサを撤去可能に設置して前記二重スラブを揚重し取り付ける請求項1乃至4のいずれかに記載の遮音界床構造の構築方法。
  6. 前記二重スラブの下スラブの端面にガスケットを予め取り付けておき、隣接する前記二重スラブが設置された際に前記ガスケットにより前記下スラブ間の気密性を確保する請求項1乃至5のいずれかに記載の遮音界床構造の構築方法。
  7. 建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造であって、
    前記二重スラブが振動するときの共振周波数fdが63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側になるように前記空気層の厚さと前記下スラブの面密度とを設定することを特徴とする遮音界床構造。
    ただし、前記共振周波数fd(Hz)は次式(1)から算定される。
    fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
    d:空気層の厚さ(m)
    c:音速(m/s)
    ρ:空気密度(kg/m3
    m1:上スラブの面密度(kg/m2
    m2:下スラブの面密度(kg/m2
  8. 前記空気層の厚さを30〜100mmとし、かつ、前記二重スラブの下スラブの面密度を30kg/m2以上とする請求項7に記載の遮音界床構造。
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