JP6603597B2 - 遮音界床構造の構築方法 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の遮音界床構造の構築方法に関する。
従来、鉄筋コンクリート造のマンションなどの集合住宅における上階と下階との間の界床における床衝撃音遮断性能を向上させるために、天井部材の空気層の大きさや天井材の面密度の提案がなされている。たとえば、特許文献1は、スラブと天井材との間に300mm以上の厚さの空気層を形成することを提案し、特許文献2は、天井スラブと天井板との間の空気層の厚みを100mm以下とし、天井板の面密度を1.28〜2.4kg/m2とすることを提案している。また、特許文献3は、二重床における仕上げ床部分を床スラブから完全に離して構築することを提案している。
特開2005-9147号公報 特許第4736437号公報 特開2002-317521号公報
しかし、特許文献1では、天井空気層を300mm以上とすることで、階高を非常に大きくとる必要が生じ、マンション設計では非経済的になっていた。特許文献2は特許文献1の欠点を解消するために、空気層100mmの厚さ以下で、天井部分の面密度をごく軽いものにしたが、これは共振周波数帯を63Hz帯域から高音側にずらしただけのものであり、重量衝撃音遮断性能(63Hz帯域から500Hz帯域までを対象にしている)の根本的な改善提案にはなっていなかった。
また、特許文献3では、上階の床組みを上階の梁部分から吊り下げる方法を採用しているが、上階の床が常時揺れやすいのと、施工の煩雑さや経済性が乏しいのが難点となっている。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、界床の床衝撃音遮断性能を向上させ、比較的狭い高さで二重スラブを簡便な施工で構築できる遮音界床構造の構築方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための遮音界床構造の構築方法は、建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造を構築する方法であって、前記下スラブをPC板から構成し、前記下スラブを設置し、前記下スラブをせき板として前記上スラブを構築し、次に、前記下スラブを降下させることで前記下スラブと前記上スラブとの間に前記空気層を形成することを特徴とする。
この遮音界床構造の構築方法によれば、PC(プレストレストコンクリート)板から構成した下スラブの設置後に、下スラブをせき板として利用して上スラブを構築することで上スラブに下スラブが連結した状態としてから、下スラブを降下させて下スラブと上スラブとの間に空気層を形成するので、コンクリート製のスラブが空気層を間にして二重に配置されて床衝撃音遮断性能が向上した遮音界床構造を比較的狭い高さで簡便な施工により構築することができる。
上記遮音界床構造の構築方法において、前記PC板はプレストレスト配筋がされていることが好ましい。
また、前記上スラブの構築前に前記下スラブに前記上スラブとの連結のための連結部材を配置し、前記上スラブの構築後に前記連結部材を緩めることで前記下スラブを下方に移動させることが好ましい。これにより、空気層を間にして構成される二重スラブによる界床構造を簡単かつ施工性よく構築することができる。
また、前記下降させる下スラブを受け止める受け部を、梁の構築時に前記梁と一体に形成することが好ましい。
また、前記二重スラブが振動するときの共振周波数fdが63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側になるように前記空気層の厚さと前記下スラブの面密度とを設定することで、二重スラブを比較的狭い高さにでき、建物の階高をむやみに大きくせずに所定の床衝撃音遮断性能を実現できる。
ただし、前記共振周波数fd(Hz)は次式(1)から算定される。
fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
d:空気層の厚さ(m)
c:音速(m/s)
ρ:空気密度(kg/m3
m1:上スラブの面密度(kg/m2
m2:下スラブの面密度(kg/m2
また、前記空気層の厚さを30〜100mmとし、かつ、前記二重スラブの下スラブの面密度を30kg/m2以上とすることが好ましい。
本発明によれば、界床の床衝撃音遮断性能を向上させ、比較的狭い高さで二重スラブを簡便な施工で構築できる遮音界床構造の構築方法を提供することができる。
本実施形態による遮音界床構造を示す要部側面図である。 図1の下スラブを構成するPC板を複数枚設置した建物区画の平面図(a)および二重スラブの上に乾式二重床を配置した建物区画の平面図(b)である。 本実施形態による遮音界床構造の構築方法の主要な工程を説明するためのフローチャートである。 図1の下スラブを揚重する様子を概略的に示す斜視図である。 図1の戸境部における下スラブ・上スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。 図1の外壁部における下スラブ・上スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。 図6においてコンクリート打設を完了した状態を示す要部断面図である。 図7において梁型枠および支保工を撤去した状態を示す要部断面図である。 図8において下スラブを降下させた状態を示す要部断面図である。。 図1の下スラブを上スラブに連結するための連結部材を示すための図9と同様の要部断面図である。 図10の連結部材により下スラブが上スラブと近接した状態で連結されている状態を概略的に示す要部断面図である。 梁に下スラブの受け部を設けた例を示すための図10と同様の要部断面図である。 図2(a)の下スラブ11,11を図2(a)のXIII-XIII線方向に切断して見た図である。 図13とは別の下スラブの端部の接合構成を示すための図13と同様の図である。 本実施形態における建物の必要階高の計算例を示す図(a)および従来構造における建物の必要階高の計算例を示す図(b)である。 図1の遮音界床構造において空気層の厚さと下スラブの面密度とを変化させたときの共振周波数を求めた結果を表にして示す図である。 図16の表の太線内の組み合わせについて空気層の厚さと下スラブの厚さを合計した値を図16の表と対応する升目に記載した表を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による遮音界床構造を示す要部側面図である。図2は図1の下スラブを構成するPC板を複数枚設置した建物区画の平面図(a)および二重スラブの上に乾式二重床を配置した建物区画の平面図(b)である。
図1のように、本実施形態による遮音界床構造は、マンションなどの集合住宅における上階と下階との間の界床において構成され、下スラブ11と、上スラブ12と、下スラブ11と上スラブ12との間にスラブ面と平行に形成された空気層13と、上スラブ12の上部に配置された乾式二重床15と、を備える。
下スラブ11および上スラブ12の両端には、下スラブ11と上スラブ12との連結のための連結部材14が設けられている。連結部材14は、下スラブ11の両端に予め配置され、コンクリート打設による上スラブ12の構築とともに下スラブ11と上スラブ12に組み込まれ、その後、連結部材14を緩めることで下スラブ11が自重で降下するように構成されている。下スラブ11が上スラブ12に対し下方に移動した移動量により空気層13の厚さが規定される。なお、連結部材14の構成例は図10を参照して後述する。
下スラブ11と上スラブ12と空気層13とから床衝撃音遮断性能に優れた二重スラブ10が構成される。すなわち、二重スラブ10が梁B1,B2の間に配置され、上階と下階との間の遮音界床構造の主要部を構成する。また、図1のように、二重スラブ10における上スラブ12は上階の躯体スラブ(構造床)を構成し、下スラブ11は下階の天井部を構成する。なお、天井部の下方には天井化粧板等が配置される。
下スラブ11は、その長手方向内部に空洞が設けられて軽量化されるとともにプレストレスト配筋がされた穴あきPC板から構成される。下スラブ11を穴あきPC板から構成することで、上スラブ12との間の空気層13を最小にしながら、梁B1,B2の間のスラブの支持スパン内において他からの支持が不要となり好都合である。
図2(a)のように、戸境部w1と外壁部w2との間の一区画20において複数の下スラブ11が配置され、下スラブ11,11の長手方向端部間に形成されるジョイント部16が嵌合等されることで、下スラブ11,11間の気密性を確保できる。その後、所定の配筋をし、下スラブ11をせき板としてコンクリートを打設し、上スラブ12を完成させることで、躯体スラブが構築され、面内せん断力の伝達が確実になる。
次に、図1,図2(b)のように、同じく一区画20’において上スラブ12の上に乾式二重床15を構築する。乾式二重床15は、たとえば、図1のように、床板部15aをスラブ面18から離間して直接支持しかつゴム等からなる防振部15cのある支持脚15bをスラブ面18上に複数配置して構成される遮音乾式二重床とすることができる。このような遮音乾式二重床の具体的構成は、たとえば、特許第5670675号公報に開示されている。なお、図2(a)(b)の建物の区画20,20’における領域17は、キッチンやバスやトイレ等の水廻り領域である。
次に、図1の遮音界床構造において高床衝撃音遮断性能および空気層の最小厚さを確保するための検討事項について説明する。
一般に二重スラブ10間に空気層13がある場合に、空気層13が弾性体となり、上スラブ12で受けた加振衝撃は、上下の面材(スラブ)の面密度の組み合わせで、一定の共振周波数を持つ連成振動となる。
二重スラブ10が振動するときの共振周波数fd(Hz)は、空気層13の厚さをd(m)、音速をc(m/s)、空気密度をρ(kg/m3)、上スラブ12の面密度をm1(kg/m2)、下スラブ11の面密度をm2(kg/m2)とすると、次式(1)で算定される。
fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
式(1)により、上スラブ12を鉄筋コンクリートスラブ200mm厚さとして面密度m1=460kg/m2とし、空気密度ρ=1.25kg/m3、音速c=340m/sとして、空気層の厚さdと下スラブ11の面密度m2とを変化させたときの共振周波数fdを求めると、図16の表のようになる。
重量衝撃音遮蔽性能試験(JIS A 1418-2:2000)における対象周波数帯域は、オクターブ分割で、中心周波数63Hzから同500Hzとなっており、63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側に共振周波数fdがくれば、比較的うるさいと感じない音環境になる。図16の表の太線内の組み合わせ(空気層13の厚さと下スラブ11の面密度)が、共振周波数fdが63Hz帯域(44.2Hz〜88.4Hz)よりも低音側に該当するものである。この空気層の厚さと下スラブの厚さを合計した値を図16の表と対応する升目に記載したのが図17の表である。
図17の表において太斜字で示したケースが、共振周波数が63Hz帯域から低音側に外れ、かつ、空気層13の厚さと下スラブ11の厚さとの合計が0.1m以下のものである。この範囲の組み合わせを使用すれば、階高をむやみに大きくせずに所定の床衝撃音遮断性能を期待できることがわかる。
すなわち、本実施形態による遮音界床構造において、空気層13の厚さを30〜100mmとし、かつ、二重スラブ10の下スラブ11の面密度を30kg/m2以上とすることで、階高をむやみに大きくせずに所定の床衝撃音遮断性能を実現できる。
なお、実際に、スラブを構架させるスパンは、集合住宅の場合に主に6m〜8mの範囲で変化し、たとえば、8mスパンとなる下スラブの場合、下スラブとしてPC板を使用しても、厚さが100mmを超えることがあり、かかるPC板には、対応する面密度が必要となる。このため、下スラブ11の面密度の上限は特に設定せず、下スラブ11の面密度は30kg/m2以上であればよい。
本実施形態による遮音界床構造によれば、二重スラブ10における所定の共振周波数を避けるとともに重量と剛性のあるスラブ11,12を配置することで、上スラブ12における床衝撃による下スラブ11の下面からの音響放射を格段に遮蔽することが可能であり、優れた床衝撃音遮断性能を発揮することができる。
次に、図1,図2のような遮音界床構造の構築方法について図3,図4を参照して説明する。図3は本実施形態による遮音界床構造の構築方法の主要な工程を説明するためのフローチャートである。図4は図1の下スラブを揚重する様子を概略的に示す斜視図である。
図3のように、まず、図1の下スラブ11を施工中に支持するための支保工を設置する(S01)。
次に、図4のように、下スラブ11をロープやワイヤ30等によりクレーン(図示省略)を用いて揚重し(S02)、支保工により支持しながら所定位置に取り付ける(S03)。この位置近傍には梁等の構築のための型枠が設置される。また、下スラブ11には、上スラブ12との連結のための連結部材14が予め取り付けられる。下スラブ11は、図2(a)のように、所定枚数が取り付けられる。
なお、下スラブ11は、プレストレスト配筋がされた穴あきPC板から構成できるが、具体的には、たとえば、本出願人のうちの一社から製品名「スパンクリート」(登録商標)として販売されている、縦方向(長手方向)に複数個の中空孔を有しPC鋼線によってプレストレスを与えられたコンクリートパネルを使用できる(図13,図14参照)。
次に、下スラブ11の上方に所定の配筋を行い、所定枚数が取り付けられた下スラブ11をせき板として利用し、上スラブ12の構築のためにコンクリート打設を行う(S04)。このとき、梁型枠内にコンクリートを打設することで、梁B1,B2(図1)が上スラブ12と一体に構築される。
上スラブ12の構築後、上スラブ12の所定のコンクリート強度が得られた段階で、下スラブ11が上スラブ12に連結部材14により連結した状態となり(S05)、支保工を撤去する(S06)。
次に、連結部材14を緩めて下スラブ11を自重で降下させることで、上スラブ12と下スラブ11との間に所定厚さの空気層13を形成する(S07)。
次に、図1のように、完成した上スラブ12のスラブ面18上に乾式二重床15を設置する(S08)。
以上のようにして、マンション等の集合住宅の建物において図1の本実施形態による遮音界床構造を構築することができる。この遮音界床構造により建物、特にマンション等の集合住宅における上下階の床衝撃音遮断性能を確保できるが、本実施形態の遮音界床構造の構築方法によれば、かかる床衝撃音遮断性能の確保に有効な工法を提供できる。すなわち、PC板から構成した下スラブ11の設置後に、下スラブ11をせき板として利用して上スラブ12を構築し、上スラブ12に下スラブ11が連結した状態で、次に、下スラブ11を降下させて下スラブ11と上スラブ12との間に空気層13を形成するので、コンクリート製のスラブが空気層を間にして二重に配置されて床衝撃音遮断性能が向上した二重スラブによる遮音界床構造を比較的狭い高さで簡便な施工により構築することができる。
次に、図5,図6を参照して図1の戸境部および外壁部における下スラブ・上スラブおよび型枠の配置例について説明する。図5は、図1の戸境部における下スラブ・上スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。図6は、図1の外壁部における下スラブ・上スラブおよび型枠の配置例を示す要部断面図である。
図5のように、戸境部w1に対応する梁型枠33は、その内側に、梁長手方向(紙面垂直方向)に延びる複数の主筋31と、複数の主筋31を包囲するように配置される複数のせん断補強筋32と、を配置し、型枠組み立て金具34を用いて組み立てられ、型枠支保工37により下方から支持される。下スラブ11は梁型枠33に近接して取り付けられ、その端部は梁型枠33の一部を構成する。下スラブ11は梁型枠33の近傍で、下階から延びる支保工36により受け部36aを介して支持される。
図6のように、外壁部w2に対応する梁型枠43は、その内側に、梁長手方向(紙面垂直方向)に延びる複数の主筋41と、複数の主筋41を包囲するように配置される複数のせん断補強筋42と、を配置し、型枠組み立て金具44を用いて組み立てられ、型枠支保工45により下方から支持される。下スラブ11は梁型枠43に近接して取り付けられ、その一端が梁型枠43の一部を構成する。下スラブ11は梁型枠43の近傍およびスパン中間で、下階から延びる支保工46,47により受け部46a,47aを介して支持される。
図5,図6のように、下スラブ11の上面には、剥離シート40が敷設されることが好ましい。剥離シート40により、コンクリート打設で構築された上スラブ12の下面と下スラブ11の上面との剥離を容易とする。すなわち、下スラブ11が後述の図11のように上スラブに密着した状態から図10のように上スラブ12から離れるとき、容易に剥離する。なお、剥離シート40の代わりに、下スラブ11の上面に塗布剤を塗布し剥離性を付与してもよい。
また、図5,図6のように、下スラブ11の端面と梁型枠との間にすべり板38,48が配置されている。すべり板38,48は、梁型枠33,43へのコンクリート打設時に下スラブ11の端部にコンクリートが流れ込むことを防ぐとともに、コンクリート打設後、下スラブ11が図10のように上スラブ12から離れるときその端面で滑り易くするための部材である。
図3の工程S04〜S07について図6〜図9を参照してさらに説明する。図7は、図6においてコンクリート打設を完了した状態を示す要部断面図である。図8は、図7において梁型枠および支保工を撤去した状態を示す要部断面図である。図9は、図8において下スラブを降下させた状態を示す要部断面図である。
図6の梁型枠43および上スラブ形成空間12Aにコンクリートを打設することで、図7のように、建物の躯体構造の一部を構成する梁B2および上スラブ12を構築できるとともに、上スラブ12が梁B2と一体になる(工程S04)。次に、図7の梁型枠43や下側の支保工46,47等を撤去し、上スラブ12に下スラブ11を連結部材14(図10)により連結することで、図8のように、梁B2および上スラブ12が完成する(工程S05,S06)。次に、図8の下スラブ11を降下させることで、図9のように、下スラブ11と上スラブ12との間に空気層13を形成し、二重スラブ10が完成する(工程S07)。なお、図7〜図9により図6の外壁部における構築例を説明したが、図5の戸境部においても図7〜図9と同様に構築される。
次に、図1の連結部材14の構成例について図10,図11を参照して説明する。図10は、図1の下スラブを上スラブに連結するための連結部材を示すための図9と同様の要部断面図である。図11は、図10の連結部材により下スラブが上スラブと近接した状態で連結されている状態を概略的に示す要部断面図である。
図10,図11のように、連結部材14は、下スラブ11の端部近傍に形成された孔55に貫通して上スラブ12の下面側から形成された穴50へと延びるボルト51と、下スラブ11の上面に配置されかつボルト51がねじ込まれるナット52と、上スラブ12の下面側に穴50を中心にして埋め込まれかつボルト51がねじ込まれるナット53と、を有する。
図10,図11のように、下スラブ11の端部近傍に孔55を予め形成しておき、この孔55にボルト51を下方から挿入しナット52により仮止めしておく。ボルト51の先端51aが下スラブ11の上面から突き出た状態で、上スラブ12側のナット53を先端51aからねじ込みナット52の近傍に配置するとともに、上スラブ12内に穴50を形成するための型枠を設置した状態で、コンクリートが打設されて(図3の工程S04)上スラブ52が構築されると、上スラブ12内には穴50が形成されるとともに下面近傍にナット53が埋め込まれる。このナット53にボルト51がねじ込まれているので、上スラブ12が所定のコンクリート強度に達すると、図11のように下スラブ11が上スラブ12にほぼ密着して連結部材14により上スラブ12に連結した状態になる。この状態からボルト51を緩めると、下スラブ11が自重により下方に移動し上スラブ12から離れ、空気層13が形成される。空気層13が所定の厚さになるまでボルト51を緩める。なお、図10では外壁部側における連結部材14を示したが、連結部材は戸境部においても同様に設けられる。
図12は、図11において梁に下スラブの受け部を設けた例を示すための図10と同様の要部断面図である。図12のように、梁B2は、下スラブ11が位置する側に段差からなる受け部60が設けられ、連結部材14のボルト51を緩めて下スラブ11が降下したとき、下スラブ11の端部が受け部60に載るようになっている。受け部60の上下位置を予め調整しておくことで、下スラブ11の下降位置が決まり、所定厚さの空気層13の形成が可能である。また、受け部60により下スラブ11を連結部材14とともに支持することができる。また、受け部60は、図6の梁型枠43を受け部60が形成されるように構成することで、梁B2の構築時に梁B2と一体に形成することができる。なお、図12と同様の受け部が戸境部における梁B1にも設けられる。
次に、図2(a)の下スラブ11,11間のジョイント部16の接合例について図13,図14を参照してさらに説明する。
図13は、図2(a)の下スラブ11,11を図2(a)のXIII-XIII線方向に切断して見た図である。図12のように、下スラブ11は、その一端に凹部11aが形成され、他端に凸部11bが形成されており、下スラブ11,11を突き合わせたとき、凹部11aと凸部11bとがさね嵌合するようになっている。このさね嵌合部により下スラブ11,11が結合し、空気層13が密閉されることで、下スラブ11,11間の気密性を確保することができる。
図14は、図13とは別の下スラブの端部の接合構成を示すための図13と同様の図である。図14のように、下スラブ11の端部に、ほぼ平坦な平坦部11cが形成されるとともに、一端にゴム等の弾性体からなる中空のパッキン23が予め接着剤等により貼り付けられており、二重スラブ10,10を突き合わせたとき、平坦部11c,11cがパッキン23を介して当接するようになっている。このパッキン23により下スラブ11,11の端部がシールされ、空気層13が密閉されることで、下スラブ11,11間の気密性を確保することができる。また、ジョイント部16の接合は、図13,図14の構成例に限定されず、たとえば、下スラブ11の端面(図14の平坦部11c)に厚手の両面テープを貼付することで行ってもよく、これにより下スラブ11,11間の気密性を確保できる。
なお、図13,図14のように、下スラブ11は、その長手方向(紙面垂直方向)に延びる複数個の中空孔21を有し、コンクリート内に埋め込まれた複数のPC鋼線22によってプレストレスが与えられている。
次に、本実施形態による遮音界床構造を採用した場合の建物の必要階高の計算例について図15を参照して説明する。図15は、本実施形態における建物の必要階高の計算例を示す図(a)および従来構造における建物の必要階高の計算例を示す図(b)である。
床面から天井化粧板までの高さを図15(a)(b)のように両者で一定とすると、本実施形態の遮音界床構造では、全体階高が従来構造よりも若干高いが、水廻り領域17(図2)での床スラブの段差の設置がなくかつ高さが従来構造よりも高く確保することができる。本遮音界床構造によれば、二重スラブ10とすることで従来構造よりも優れた床衝撃音遮断性能を得ることができるので、全体階高と床衝撃音遮断性能との相反する両事項を勘案した上で、全体階高が若干高くなっても床衝撃音遮断性能を優先するような場合に本実施形態の遮音界床構造が適切であるといえる。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、本実施形態による遮音界床構造は、マンション等の集合住宅に好適であるが、本発明はこれに限定されず、オフィスビル、ホテル、病院、学校、スポーツ施設、音楽ホール・スタジオなどの各種の建物や特に高床衝撃音遮断性能が求められる部分に適用できることはもちろんである。
また、本実施形態の遮音界床構造では、二重スラブ10の上に図1のような遮音乾式二重床15を設置したが、本発明は、これに限定されず、たとえば、他の形式の乾式二重床であってもよく、また、各種の合成床であってもよいことはもちろんである。
本発明の遮音界床構造の構築方法によれば、施工性がよく建物の界床での床衝撃音遮断性能の確保が容易になり、たとえば、マンション等の集合住宅における生活音の苦情などの解消に貢献することができる。
10 二重スラブ
11 下スラブ
12 上スラブ
13 空気層
14 連結部材
15 乾式二重床
21 中空孔
22 PC鋼線
33,43 梁型枠
36,46,47 支保工
60 受け部

Claims (6)

  1. 建物の床スラブにおいて床衝撃音遮断性能を得るためにコンクリート製の下スラブと上スラブとが空気層を間にして配置された二重スラブを備える界床構造を構築する方法であって、
    前記下スラブをPC板から構成し、
    前記下スラブを設置し、
    前記下スラブをせき板として前記上スラブを構築し、
    次に、前記下スラブを降下させることで前記下スラブと前記上スラブとの間に前記空気層を形成することを特徴とする遮音界床構造の構築方法。
  2. 前記PC板はプレストレスト配筋がされている請求項1に記載の遮音界床構造の構築方法。
  3. 前記上スラブの構築前に前記下スラブに前記上スラブとの連結のための連結部材を配置し、前記上スラブの構築後に前記連結部材を緩めることで前記下スラブを下方に移動させる請求項1または2に記載の遮音界床構造の構築方法。
  4. 前記下降させる下スラブを受け止める受け部を、梁の構築時に前記梁と一体に形成する請求項1乃至3のいずれかに記載の遮音界床構造の構築方法。
  5. 前記二重スラブが振動するときの共振周波数fdが63Hz帯域である44.2Hz〜88.4Hzから低音側になるように前記空気層の厚さと前記下スラブの面密度とを設定する請求項1乃至4のいずれかに記載の遮音界床構造の構築方法。
    ただし、前記共振周波数fd(Hz)は次式(1)から算定される。
    fd=(1/(2π)) √((m1+m2)ρc2/(m1・m2・d)) (1)
    d:空気層の厚さ(m)
    c:音速(m/s)
    ρ:空気密度(kg/m3
    m1:上スラブの面密度(kg/m2
    m2:下スラブの面密度(kg/m2
  6. 前記空気層の厚さを30〜100mmとし、かつ、前記二重スラブの下スラブの面密度を30kg/m2以上とする請求項1乃至5のいずれかに記載の遮音界床構造の構築方法。
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