JP5178937B2 - 遮音二重床及び建築物 - Google Patents
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Description
この従来例の二重床では、重量床衝撃音(例えば、子供が飛び跳ねるときの下階で発生する音)の遮断性能が低いという問題があり、改善が望まれていた。
この技術により重量床衝撃音遮断性能はある程度向上するものの、騒音問題意識の社会的高まりの中にあって、この性能は未だ充分とはいえない。
この第2先行技術は実用化され、その製品には重量床衝撃音の低減量が1デシベルと言う国土交通大臣の認定が与えられている。
しかしながら、この第2先行技術であっても、その性能は依然として充分ではない。加えて、第1先行技術及び第2先行技術の遮音二重床は、下地パネル4の厚さの増大による二重床高さ7hの増大に伴う、建物の階高上昇あるいは室内空間の圧迫という欠点もある。
しかしながら、この方法もある程度の性能(低減量0デシベル)が非特許文献2に示されているものの、依然として充分な遮断性能の実現には至っていない。加えて、この場合の空気孔27は、設置場所が制約されるため、室形状等によっては充分な設置箇所を確保できない他、隙間への異物侵入等の欠点もある。これを第3先行技術と呼ぶ。
また、本発明は、遮断する重量床衝撃音の周波数帯域を調整することができる遮音二重床を提供することも目的としている。
また、本発明は、遮音二重床を有する建築物を提供することも目的としている。
また、前記箱体を形成する部材の一部を着脱自在に形成し、前記配管類の更新を可能にするとよい。
また、前記箱体の高さを部分的に圧縮した空間を設け、該空間に、配管類を敷設するとよい。
また、複数の前記箱体を所定の間隔で配置し、前記箱体間の隙間に配管類を敷設するとよい。
また、前記床基盤が、水廻り段差を無くした構造を有するものであってよい。
まず、本明細書中で使用している用語について、次のように定義する。
「床基盤」とは、鉄筋コンクリート造又は鉄骨造の建物の界床に使用される鉄筋コンクリートスラブ1(図1参照)を指す。前記鉄筋コンクリートスラブは、普通コンクリート製、軽量コンクリート製並びにALC製、及び均質スラブ並びにボイドスラブを含む。
従来例などの二重床は、一次固有振動数(f:式(I)参照)が63ヘルツ帯域にあるため、ここが決定周波数帯域となる重量床衝撃音では遮断性能が低く、これより高い周波数帯域(例えば250ヘルツ帯域)が決定周波数となる軽量床衝撃音では遮断性能が高い。二重床の床衝撃音は、一次固有振動数(f)を低下させることで、重量床衝撃音でも遮断性能が向上する。
ここで、一次固有振動数(f)を低下させるためには、式(I)における(k)を小さくする(二重床全体のバネをやわらかくする)こと、及び(m)を大きくする(二重床の単位面積当たりの重量(面密度)を重くする)ことである。また、(k)は、床下空気層のバネ(ka)と防振支持脚(kb)とを合成したバネであり、このバネ(k)については、床全面積が因数となる(ka)が支配的であるため、空気バネの制御は、床衝撃音低減への寄与率が高い。
ここで、
f:二重床の一次固有振動数(Hz)
k:床1m2当たりの合成したバネ定数(N/m)
ka:床1m2当たりの床下空気層のバネ定数(N/m)
kb:床1m2当たりの防振支持脚のバネ定数(N/m)
m:床1m2当たりの二重床の質量(=面密度(kg/m2))
ρ:空気の密度(kg/m3)
c:音速(m/s)
h:床下空気層の厚さ(m)
である。
実線は、二重床の無い床基盤(コンクリートスラブ1)のみの測定結果を示す。これを素面と呼ぶ。
点線は、図41に示す、特許文献1をモデル化した、空気孔の無い二重床である。これを第1先行技術対応モデルと呼ぶ。
破線は、第1先行技術対応モデルに空気孔(中空部連通孔10)を備えた図2に示す遮音二重床である。これを第2実施例対応モデルと呼ぶ(第2実施例については後述する)。
一点鎖線は、第2実施例対応モデルに更に仕上げ層連通孔11を備えた図1に示す遮音二重床である。これを第1実施例対応モデルという(第1実施例については後述する)。
実測したこれらの二重床は、いずれも面密度調整用レンガ25を内部に貼り付け、それぞれ実施例に相当する面密度(平米当り約50キログラム)に調整されている。
これらの実験から、一般のマンションでこの効果を実現し易い好適な形態とした実施例を以下に示す。
第1実施例を図4〜図8に基づいて説明する。図において1は床基盤となるコンクリートスラブである。4は、コンクリートスラブ1の上に配置された防振支持脚3に保持されている下地パネルである。5は、下地パネル上に設置された床仕上げ層である。第1実施例(の二重床7)は、コンクリートスラブ上の床下空気層2、防振支持脚3、下地パネル4、空気孔(中空部連通孔10と仕上げ層連通孔11)及び仕上げ層5で構成されている。この高さを二重床高さ7hと言う。
更に、上部面材13には仕上げ層連通孔11が設けられており、この空気孔により中空部14と床仕上げ層5の最下層との間でも空気の移動が可能となっている。5は床仕上げ層で、材質は防音フローリング6である。防音フローリング6は、図7の断面図に示す様に、木質合板の裏面に鋸目ZGが入り、防音層として不織布26等が裏打ちされた、スラブへの直張り用木質床仕上げ材である。この防音フローリング6は、裏面の鋸目ZGによって曲げ剛性が小さい(フニャフニャした)板材であり、裏打ちされた不織布26は弾力と通気性を有している。第1実施例では、この防音フローリング6を、図6の平面図に示す様に下地パネル4(の上部面材12)に接着材である両面接着テープ15により部分接着している。
第2実施例は、第1実施例に設けた仕上げ層連通孔11を有していない。このため床仕上げ層5には特別な制限はない。この点が第1実施例と異なっている。図9にその断面を示す。床仕上げ層5は、複合フローリングの例を示しており、下地パネル4の上部面材12に直接張り付けられている。また、必要に応じ捨て張り合板を設けてもよく、捨て張りの方法にも制限は無い。
第3実施例は、第1実施例と下地パネル4の構成が異なる。図10にその断面を示す。下地パネル4は、上部面材12を除く部分をユニット化し、そのユニット24同士が強固につながれている。連結されたユニット24は、上部面材12がビス23で強固に取り付けられている。ひとつのユニット24を取り出した形を図11に示す。このユニット24は、中空構造又は立体構造とした下地パネル4の高さを部分的に圧縮し、この圧縮部分に配管類8の敷設空間8bを設けた形状となっている。
第4実施例は、第3実施例の下地パネル4と更に構成が異なる。図12にその断面を示す。下地パネル4は、上部面材12を除く部分がユニット化されている。このユニット24同士は、所定の距離をおき上部面材12で強固に連結され、下地パネル4として一体化されている。また、配管類8は、このユニット24同士の隙間に配置されている。上部面材12同士のジョイント部(上部面材ジョイント部31)は、おおむね下地ユニット24の範囲中で完結しているため、上部面材12のジョイント部にせん断変形(目違い)が生じず、捨て張り合板を省略できる。また、この上面材ジョイント部31に隙間を設ければ、上部面材ジョイント部31と床下層連通孔の兼用部11bとして機能する。
第5実施例は、第1実施例と下地パネルの構成が更に異なる。図14にその断面を示す。下地パネル4は、下部面材13を有していないが、これは中空部連通孔10を極大化したパターンと考えることが出来る。このこと以外は、第1実施例とおおむね同じである。第5実施例は、下部面材を有していないため、上部面材12を防振支持脚3で支持するようにしている。なお、上部面材12をリブ材9で支持するようにすることもできる。
第6実施例は、前述した第5実施例とリブ材の形状が異なる。図15にその断面を示す。下地パネル4は、上部面材12と必要最小限のリブ材である目違い防止(剪断方向のずれ防止)リブ28で構成されている。この第6実施例も、下部面材を有していないため、防振支持脚3で上部面材12を支持しているが、第5実施例と同様にリブ材(目違い防止リブ28)で支持することも出来る。また、必要最小限の大きさとなったリブ材でも、下地パネル(上部面材12)の目違い防止機能を果たすため、捨て張り合板は省略出来る。
第7実施例は、図16に示すように、図1に示した従来例に対し、仕上げ層連通孔11と床仕上げ層5が異なっている。図16では、下地パネル4の目違い防止のため、防振支持脚3を下地パネルジョイント部に配置(共通支持脚と呼ばれる一般的な配置)し、防振支持脚頂部3aの支持板と下地パネル4を強固に接合し、捨て張り合板を省いている。一般にこの部分は、薄いブチルゴム等の緩衝材を介し、強固でない方法で支持板と下地パネルが接合されるため、目違い防止に捨て張り合板が設けられる。第7実施例でもこの様に捨て張り合板を設ける場合、仕上げ層連通孔11の効果を阻害しない様、同位置に孔を設けるなどの配慮が必要となる。
第1実施例の変化パターンである変形例1bd(このbとdの記号の意味は後述)は、図17に示す様に床仕上げ層5が第1実施例と異なる。表面仕上げ材は、通気性床仕上げ材20としてカーペットを採用している。また、通気性と適度な弾性をもつフェルトをその下地20a(図18参照)としている。
変形例1bdの重量床衝撃音遮断メカニズムは第1実施例と同様である。すなわち、ボールを落下させた時、第1実施例同様床下空気層2が圧縮され、下地パネルの中空部14へ空気が流入し、中空部14の空気はその圧力上昇に伴い、上部面材13に設けられた仕上げ層連通孔11により上方へ移動する。
変形例1bdでは、上方へ移動してきた空気は、通気性床仕上げ材20を通過し図18に示す様に居室内へ開放される。重量床衝撃音遮断性能は、床仕上げ層の通気性にもよるが、およそ第1実施例と同等である。以下、第1実施例の床仕上げ層である防音フローリングを仕上げパターンa、この変形例1bdの通気性床仕上げ材を仕上げパターンbと呼ぶ。
変形例1cdは、図19に示す様に床仕上げ層5が第1実施例と異なっている。表面仕上げ材の複合フローリング17とは、通気性の無い合板の表面に薄い木材が張り付けられた、近年最も多用されている床仕上げ材である。この直下層に位置する捨て張り合板21(図20参照)は、複合フローリング17の施工性向上及び歩行感向上の目的を有しているが、適宜省略出来る。この捨て張り合板21直下に位置する空気圧力緩衝層19は、適度な弾性と通気性を兼ね備えた材料(ここでは不織布)で出来ている。この変形例1cdは、この不織布を下地パネル4に全面接着しているが、図6に示した第1実施例と同様に部分接着することも出来る。
変形例1aeは、図22に示す様に下地パネル4の素材が第1実施例と異なっている。ここでは、下地パネル4の上部面材12を除く部分をユニット化しており、素材は繊維補強モルタル(以下、FRC)である。重量床衝撃音遮断メカニズムは、第1実施例と同様であるが、FRCの部材厚調整により二重床の重さである面密度の調整が容易で、遮音設計上の要求に好適なユニット24が生産し易い。変形例1aeの重量床衝撃音遮断性能は、同程度の面密度であれば第1実施例と同等であり、面密度の増加と共に性能が向上する。
変形例1afは、図23に示す様に下地パネル4の素材が第1実施例と異なっている。ここでも、下地パネル4の上部面材12を除く部分をユニット化しており、素材は鉄板である。重量床衝撃音遮断メカニズムは、第1実施例と同様である。また、鉄板の場合、各連通孔のネック(ヘルムホルツ共鳴器の孔の奥行き)を必要に応じ形成することが容易である。変形例1afの重量床衝撃音遮断性能も、同程度の面密度であれば、およそ第1実施例と同等である。以下、下地パネルのユニット部の素材を鉄板としたものを、素材パターンfと呼ぶ。
第1実施例は、abcの仕上げパターン3種類及びdefの素材パターン3種類が考えられる。この変形例、1ad,1ae,1af,1bd,1be,1bf,1cd,1ce,1cfの9種類の内、前述及び図示した変形例1bd、1cd、1ae、1af以外は、図示及び説明を省略する。
第2実施例は、床仕上げに特別な限定は無い。このため、第2実施例における変化形は下地素材パターンabcの3種類となり、aは前述第2実施例で記載しているため、変化形は2e及び2fとなる。
変形例2eは、図24に示す様に下地パネル4の素材が第2実施例とは異なり、FRCを用いている。重量床衝撃音遮断メカニズムは、第2実施例と同様であるが、FRCの部材厚調整により二重床の重さである面密度の調整が容易で、遮音設計上の要求に好適な性能(重さ)のユニット24が生産し易い。変形例2eの重量床衝撃音遮断性能は、同程度の面密度であれば第2実施例と同等であるが、面密度の増加と共に性能が向上する。
変形例2fは、図25に示す様に下地パネル4の素材が第2実施例とは異なり、鉄板を用いている。重量床衝撃音遮断メカニズムは、第2実施例と同様である。また、鉄板の場合、各連通孔10のネックの形成など良好な加工性を生かして遮音設計上の要求に好適なユニット24が生産し易い。変形例2fの重量床衝撃音遮断性能も、同程度の面密度であれば第2実施例と同等であるが、面密度の増加と共に性能が向上する。
第3実施例の変化形は、abcの仕上げパターン3種類及びdefの素材パターン3種類が考えられる。変形例3ae、3af、3bd、3be、3bf、3cd、3ce及び3cfの8種類(第3実施例は3ad)である。この中で代表的な2例を、図示と共に以下に示す。これらの重量床衝撃音遮断性能は第3実施例と同等の高いものであり、以下の2例は更に現場での施工性の向上及び工業化による生産性の向上が図られている。
変形例3beは、第3実施例において、床仕上げ層5をパターンb(通気性床仕上げ材)に、下地パネル素材をパターンe(FRC)に、それぞれ変更した例である(図26参照)。
変形例3cfは、第3実施例において、床仕上げ層5をパターンc(空気圧緩衝層+複合フローリング)に、下地パネル素材をパターンf(鉄板)に、それぞれ変更した例である(図27参照)。
第4実施例も第3実施例と同様に、abcの仕上げパターン3種類及びdefの素材パターン3種類が考えられる。変化形は、ae、af、bd、be、bf、cd、ce及びcfの8種類(第4実施例はaとdの組み合わせ)の組み合わせである。この組み合わせの中で代表的な2例を、図示と共に以下に示す。これらの重量床衝撃音遮断性能は第4実施例と同等のものである。第4実施例は、配管類の施工性が高いが、以下の2例は更に工業化による生産性の向上が見込まれる。
変形例4beは、第4実施例において、床仕上げ層5をパターンb(通気性床仕上げ材)に、下地パネル素材をパターンe(FRC)に、それぞれ変更した例である(図28参照)。
変形例4cfは、第4実施例において、床仕上げ層5をパターンc(空気圧緩衝層+複合フローリング)に、下地パネル素材をパターンf(鉄板)に、それぞれ変更した例である(図29参照)。
第5実施例も第4実施例と同様に、abcの仕上げパターン3種類及びdefの素材パターン3種類が考えられる。変化形は、ae、af、bd、be、bf、cd、ce及びcfの8種類(第5実施例はaとdの組み合わせ)の組み合わせである。この組み合わせの中で代表的な2例を、図示と共に以下に示す。
変形例5beは、第5実施例において、床仕上げ層5をパターンb(通気性床仕上げ材)に、下地パネル素材をパターンe(FRC)に、それぞれ変更した例である(図30参照)。重量床衝撃音遮断性能は、第5実施例と同等である。変形例5beは、下部面材がほとんど無いため、面密度が小さい設計でもFRCの採用できる他、工業化による生産性の向上も見込める。
変形例5cfは、第5実施例において、床仕上げ層5をパターンc(空気圧緩衝層+複合フローリング)に、下地パネル素材をパターンf(鉄板)に、それぞれ変更した例である(図31参照)。重量床衝撃音遮断性能は、第5実施例と同等である。変形例5cfは、市販の型鋼が使用できるため、試作や非量産品での生産性が確保しやすい。
第6実施例は、下地パネル部分の素材はd(木質系)のみである。このため変化形は、仕上げパターン別に変形例6bd及び変形例6cdの2種類である(図省略)。
第7実施例は、第6実施例と同様に、下地パネルはd(木質系)のみである。このため変化形は、仕上げパターン別に変形例7bd及び変形例7cdの2種類である。最もシンプルな第7実施例であるが、その中でも最もシンプルな変形例7bdを図32に示す。この7bdは、本発明の中で最も従来例に近く、従来例の設計や施工方法を踏襲できる部分が多い。
第8実施例は、本発明にかかる遮音二重床を使用した住宅である。そのスラブ断面の例を図33に示す。従来のスラブ断面は、ユニットバスの洗い場と住戸内の床面を平らにするバリアフリーと、ユニットバスの排水管納まりと、構造上必要スラブ厚さ及び二重床部分の床衝撃音遮断性能確保の観点から、床基盤であるスラブの上面の高さを下げた部分(水廻り段差部分30)を有している。
このスラブ断面は、バリアフリーを図り、排水管納まり上必要なユニットバス洗い場高さ32hの寸法(例えば250mm)と、水廻り段差部30の構造上必要なスラブ厚さ(例えば200mm)及び二重床直下のスラブに床衝撃音上必要な厚さ(例えば280mm)確保の観点から、図34に示す形状になることが多かった。
しかし、本発明にかかる遮音二重床を備えた住宅では、遮音二重床により床衝撃音遮断性能が担保されるため、スラブ厚さの低減が可能となる。この低減を利用し、住戸内の全スラブ厚さを構造上必要最小限として、水廻り段差を省略したものが、図35のスラブ断面である。この様に水廻り段差を無くした場合、将来の改装自由度が向上する等のメリットもある。
この内、カーペットは、ここでは通気性床仕上げ材を代表して記載しており、前述の床下空気層のから上方へ移動してくる空気を大気に解放する作用を担っている。また、防音フローリング若しくは最下層が不織布やフェルトである前記床仕上げ層は、前述の床下空気層から上方へ移動してくる空気を、この最下層に溜め込む作用が期待できる。これらの作用により、床下空気層の圧力を緩衝する効果を高めている。
(1)下地パネルに、床下空気層の圧力を緩衝する複数の空気孔を備えているか、或いは前記床下地(のパネル)同士の隙間に通気性を備えているため、床下空気層のバネの働きが低減され、空気バネによって生じる共振増幅が解消されるため、重量床衝撃音遮断性能が向上する。
(2)また、隣り合う床下地同士を居室全体或いは5m2以上の面積で強固に繋ぎ合わせ、振動的に一体化した場合、鉛直変形量の低減或いは防振支持脚の柔軟化が出来、重量床衝撃音遮断性能に上記(1)との相乗効果が期待できる。
(3)これら床衝撃音に対する効果によって、必要な遮断性能が充分確保できるので、床基盤であるコンクリートスラブの軽減が可能となる。
(4)このスラブの軽減によって、これを支える梁柱や耐力壁など構造体の軽減を促進するため、建設コストや二酸化炭素排出量の削減あるいは省資源化に有効となる。
(5)また、従来、床衝撃音遮断性能の低さから解体を余儀なくされる既存建物が多く有ったが、本遮音二重床により既存建物の再生利用の可能性が広がる。
図35(a),(b)は、本発明の第9実施例にかかる遮音二重床の一例を示した概略平面図、及び、概略断面図である。なお、図35(a),(b)において、上述した各実施例と同様な部分あるいは相当する部分には、同一符号を付している。
なお、リブ90としては、集成材や無垢材等の木質材料の他、前述の実施例で使用した素材である金属(例えばLGS等の軽量鉄骨下地材)やコンクリート系材料(例えばFRC等のコンクリート成型品)、あるいは樹脂系材料(例えば発泡プラスチック)、などを用いることができる。
以上のことから、ヘルムホルツレゾネータの共振周波数は、下階の床衝撃音の周波数特を調整する際の目安となる値と考える必要がある。
ここに、ヘルムホルツレゾネータの共振周波数は、次の式(II)により算出できる。
ここで、
f0:ヘルムホルツレゾネータの共鳴周波数(共振周波数)(Hz)
C:光速(m/S)
S:ダクトの断面積(m2)
L:ダクトの実効長さ(m:実長を若干長めに補正した値)
V:箱体の容積(m3)
である。
また、以上述べてきた各実施例の構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
1h スラブ厚さ
2 床下空気層
2h 床下空気層高さ
3 防振支持脚
4 下地パネル
4b 下地パネル(例えば、パーチクルボード)
5 床仕上げ層
6 防音フローリング
7 二重床
7h 二重床高さ
8 配管類
8b 配管用空間
9 リブ材
10 中空部連通孔
11 仕上げ層連通孔
11b 上部面材ジョイント部と仕上げ層連通孔の兼用部
12 上部面材
12b 上部面材(例えば、ベニア板15mm厚)
13 下部面材
13b 下部面材(例えば、ベニア板15mm厚)
14 中空部
14h 中空部高さ
15 両面接着テープ
16 リブの切り欠き部
17 複合フローリング
18 カーペット
19 空気圧緩衝層
19h 空気圧緩衝層の厚さ
20 通気性床仕上げ材
20b 下地フェルト
21 捨て張り合板
22 鉛直変形量
23 ユニット結合用ボルト
24 下地ユニット
25 面密度調整用レンガ
26 不織布
27 空気孔
28 目違い防止リブ
29 遮音二重床
30 水廻り段差部
31 上部面材ジョイント部
32 ユニットバス
32h ユニットバス洗い場高さ
94 ダクト
Claims (7)
- 床基盤と、この床基盤上に設置された複数の防振支持脚と、この複数の防振支持脚で床下空気層を隔てて所定の高さに支持された床下地と、この床下地の上面に敷設された床仕上げ層からなる二重床において、
前記床下地が箱体からなり、該箱体の下面あるいは側面に、当該箱体の内部と前記床下空気層とを連通して前記床下空気層の圧力を緩衝する複数の空気孔を穿設するとともに、前記箱体の内部に、前記複数の空気孔をそれぞれ通過する空気を通し、ヘルムホルツレゾネータの共振周波数が16Hz乃至1000Hzのいずれかである複数のダクトを設けて床衝撃音の周波数特性を変化させたことを特徴とする遮音二重床。 - 前記箱体の内部には、配管類が敷設されることを特徴とする請求項1に記載の遮音二重床。
- 前記箱体を形成する部材の一部を着脱自在に形成し、前記配管類の更新を可能にしたことを特徴とする請求項2に記載の遮音二重床。
- 前記箱体の高さを部分的に圧縮した空間を設け、該空間に、配管類を敷設することを特徴とする請求項1に記載の遮音二重床。
- 複数の前記箱体を所定の間隔で配置し、前記箱体間の隙間に配管類を敷設することを特徴とする請求項1に記載の遮音二重床。
- 請求項1乃至5のいずれかの請求項に記載の遮音二重床を備えていることを特徴とする建築物。
- 前記床基盤が、水廻り段差を無くした構造を有することを特徴とする請求項6に記載の建築物。
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