JP2006316459A - 重量衝撃音低減用二重天井 - Google Patents

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法子 西原
Takayuki Hidaka
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Abstract

【課題】 重量床衝撃音をより効果的に防止できる二重天井を提供する。
【解決手段】天井スラブと該スラブ下方の天井板との間に天井裏空間を設けた二重天井において、音響的な内部損失の大きい多孔質材料12で、天井板4上面の全体を覆合し、かつ実質的に天井裏空間10全体を充填することで、天井裏空間内の音速が空気中での音速よりも低くなるように構成している。そのために、規制対象である音域よりも天井裏空間10の共鳴周波数が低くなるように上記多孔質材料12の屈折率を設定することができる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、重量衝撃音低減用二重天井、特に重量床衝撃音低減用の二重天井に関する。
近年、集合住宅などにおいては、各階の住戸内で発生して床スラブを介して下の階へ伝わる床衝撃音対策が重要となっている。床衝撃音には、例えば居住者がスリッパを履いて歩くときの「パタパタ」という中・高音域の音(軽量床衝撃音)と、子供が飛び跳ねるときの「ドスン」という低音域の音(重量床衝撃音)とがある。
これらの音を遮るために、天井スラブ下面に吸音材を設置することも行われているが(特許文献1)、重量床衝撃音を低減するための基本的な対策は、床スラブ構造の剛性を増すことである。床スラブ単体で天井を構成するときには、普通コンクリートで180mmのスラブ厚(スラブ面積20m2の場合)を確保すれば、「小さく聞こえる」という程度のレベル(遮音性能L-50)に抑えることができる。
しかしながら、近年では、意匠的な観点から、折上天井などの化粧天井を、吊りボルトを介して床スラブから吊り下げる二重天井構造をとることが多く、この構造では単一スラブに比べて床衝撃音遮音性能が却って低減するため、問題となっている。
天井を二重天井構造とすると、床衝撃音遮音性能が低下する理由としては、次のことが考えられる。
(1)天井吊りボルトを介した固体音の伝達
(2)二重天井構造の固有モードでの波動の伝達
(3)天井裏空間内の空気層の共鳴
これらの理由のうち、(1)の固体音は、固体中を振動として伝わる音であり、これを阻止するために、天井吊下げボルトの一部に弾性材などで出来た防振器具を介装させて防振仕様とすることが行なわれている(特許文献2)。
又、(2)は、振動体の固有振動に対応した音の伝達である。即ち、二重天井構造を、3辺の長さがLx、Ly、Lzである長方形の室と考えると、この室は次式で与えられる固有振動数fを有している。
f=(c/2)×[(Nx/Lx)2+(Ny/Ly)2+(Nz/Lz)(1/2) ;cは音速
中・高音域では、例えば高さ方向(z方向)において、Nz=1、2、3…に対応して多数の固有モードが存在しており、これら各モードに基づいて、室内には図10に示す如く距離(Lz/2Nz)を隔てて腹と節とを反復する定在波が形成される。この波に対処するためには、音波の伝達経路の一部をグラスウールなどの吸音材で遮れば良く、そうすると、その繊維と粘性流体である空気との摩擦抵抗により、音波の波動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて、音波は減衰する。こうした着想から二重天井を構成する天井板の上面に吸音材を敷設することが行なわれている(特許文献3)。
更に、(3)は、天井裏空間内の空気層が弾性バネとして天井スラブから天井板へ振動を伝達することであり、この伝達機構は図6に示すバネモデルで説明できる。即ち、矢示の如く天井スラブ52が振動すると、この振動が、空気に相当するバネ60を介して、天井板に相当する錘64に伝達される。
特開平10−311106号 特開2000−282617号 特開2003−105915号 音響技術 第104巻 1998年10月「床衝撃音対策編」
特許文献2の防振器具は、固体音を阻止するためのもので、空気音は対象外である。
又、特許文献3の吸音材を設置する施工法は、天井裏空間に複数の固有モードを有する中高音域を対象としており、低音域である重量衝撃音に対する吸音効果は少ない。
例えば非特許文献1では、スラブ厚150mm,天井懐150mmとし、天井板として、12mmのプラスターボードを1枚乃至2枚を用いた二重天井での音響実験をした結果が報告されている。図11はこの報告を示すもので、天井板上に吸音板を敷設した場合の床衝撃音レベルを円・四角形の白マークで、又吸音板を敷設していない場合の床衝撃音レベルを円・四角形の黒マークでそれぞれ表している。これらのデータを見ると判るように、中・高音域(250Hz以上)では、白マークがそれぞれ対応する黒マークの下方にあり、3〜5dB程度の音圧低減効果があるのに対して、重量床衝撃音に対応する低音域(63Hz帯域)では、白・黒のマークが重なっており、音圧低減効果が殆ど見られない。
この実験から判るように、二重天井においては天井裏空間の一部に吸音板を敷設して音波を吸収するというだけでは、重量床衝撃音を阻止することができず、低音域に適合した新たな防音のメカニズムが要望されている。
ここで二重天井構造における共鳴周波数fは、f=(1/2π)×√{(ρc/d)×(m −1+m −1)}で与えられることが判っている。但し、ρは空気密度、cは二重天井内の音速、dは天井スラブと天井板との間隔、mは天井スラブの面密度、mは天井板の面密度である。一般にm≫mであることから、次式を得る。
[数式1]
≒(1/2π)×√{(ρc/d×m)}
この数式1より、共鳴周波数fはほぼ音速cに比例し、√d及び√mに反比例することが判る。
上記の考察に基づき、本出願人は、63Hz帯域の重量床衝撃音の全部を吸収することが困難であれば、天井裏空間の共鳴周波数を低下させることで、天井裏を伝播する音波について、より低い帯域、望ましくは人間の聴覚では聴き取れない(或いは聞き取り難い)音域まで周波数を強制的に低下させれば良いという着想を得た。
共鳴周波数を低下させるためには、数式1に示す通り音速cを小さくするか、天井裏空間の上下幅d乃至天井板の面密度m2を大きくすれば良いが、設計上の要請よりd及びmを大きくするのは困難であるから、音速を小さくすれば良い。そのためには、空気中に比べて音速の小さい多孔質材料で天井裏空間を充填させることが有効である。
以上述べたことをまとめれば、本発明は、二重天井の共鳴作用による重量衝撃音の伝達を緩和するために、天井裏空間のほぼ全体に多孔質材を充填させてこの空間内の音速を下げることで、その共鳴周波数を低下させ、上の階から入力した重量床衝撃音がより低い音域で出力されるように構成した二重天井を提供することを目的とする。
第1の手段は、重量衝撃音低減用の二重天井であり、天井スラブと該スラブ下方の天井板との間に天井裏空間を設けた二重天井において、音響的な内部損失の大きい多孔質材料12で、天井板4上面の全体を覆合し、かつ実質的に天井裏空間10全体を充填することで天井裏空間内の音速が空気中での音速よりも低くなるように構成している。
天井裏空間内の音速を低下させることの第1の意味は、上記の如く重量床衝撃音として規制の対象である63Hz帯域の音を、より低い帯域まで周波数を低下させて出力するようにすることである。人間の聴覚では聴き取りにくい音、或いは可聴限界である20 Hz未満の不可聴音の音域まで周波数を下げることが望ましい。交通騒音などとは異なり、本発明は、重い物を床に落としたり、子供が走ったりすることで主に断続的に発生する生活音を制御の対象としており、人間の聴覚で大きく聴こえない限り下の階に洩れても殆ど問題とはならないからである。又、第2の意味は、天井裏空間の共鳴周波数を低下させることで、共鳴の鋭さを表すQ値を低下させることである。Q値が大きいほど、居住者にとっては耳障りな音として響くからである。
「重量衝撃音」とは、本願明細書において、重量床衝撃音と同じ音域の音をいい、例えば集合住宅の最上階住戸の二重天井において屋上から響く音も含むものとする。
「多孔質材料」は、天井裏空間内の空気層の共鳴を抑制して空気中に比べて音速を低下させるために用いられるものである。空気中の音速が344m/sであるのに対して固体中の縦波速度は多孔質材の場合に20〜40m/sであることが知られている。多孔質材料としてグラスウールやロックウールなど吸音効果を有するものを使用することができる。もっとも、これら素材を用いた通常の防音機構は、前述の通り多孔質材料からなる吸音層を音波の伝搬路の一部に設置して、該設置場所で音を遮るという吸音メカニズムによるものであり、天井裏空間内の共鳴周波数を低下させる本発明とは原理が異なる。
一般に多孔質材料内での音速は、その密度に左右される。グラスウールなどの多孔質吸音材料では、材料内部の音速は、その屈折率nに反比例することが知られている。 しかしながら、単純に天井裏空間内を高屈折率の素材で充填すれば良いというものではなく、ある程度以上に素材外部の空気との接触面積を有しており、その結果として、素材内部での「音響的な内部損失が高い」ことが条件となる。具体的には、少なくとも多孔質材料に含有される気泡(空隙)が連続気泡であることが望まれる。何故ならば素材内部に包含された独立気泡では、素材外部での音波の伝達に殆ど影響しないからである。又、金属や固体のガラスなどの剛性材料が音を良く伝えることから判るように、剛性と内部損失の大きさとは相反する性質であるため、上記多孔質材料は、ある程度の柔性(剛性の反語)を備えていることが望ましい。これらの性質を備えた素材として、上述のグラスウールやロックウールのような繊維状材料があるが、その他に発泡ウレタンを用いることもできる。
尚、「孔」とは一般にその周囲の大半を囲われた空間を指すことが多いが、本明細書での「孔」は音響学的に空気の粘性抵抗による内部損失を生じ得る間隙であれば足り、又、「多孔質材料」とは、外部と連続する多数の空隙を含むものを指すものとする。
「実質的に天井裏空間全体を充填」とは、天井裏空間の少なくとも約90%以上を充填させることをいうものとする。本発明は、天井裏空間全体としての共鳴周波数条件を低下させることを特徴とするので、理論上は100%充填することが望ましい。しかしながら、現実の施工作業において充填率を100%とすることは困難であり、例えばグラスウール板を天井裏空間内に挿入して積み重ねていく場合に、天井スラブとの間に挿入代としてある程度の空間をとったり、或いは天井板の吊り具や各種下地材を装備させるためにデットスペースができることが多い。従って、少なくともこうした施工上不可避な空隙を除いて天井裏空間を充填することは、実質的な全充填の範囲であるものとする。又、天井裏空間のうち、その空間の内側面及び天井スラブ下面に沿った境界層部分を除いた部分を、実質的な天井裏空間全体とすることもできる。
第2の手段は、上記第1の手段を有し、かつ規制対象である音域よりも天井裏空間10の共鳴周波数が低くなるように上記多孔質材料12の屈折率を設定している。
屈折率を設定するのは、上述の音速下降効果を得るためである。多孔質材料を充填する前の天井裏空間の共鳴周波数と、多孔質材料充填後の共鳴周波数の目標値とから所要の屈折率を決定することができる。この求め方に関しては後述する。
尚、多孔質材料の屈折率は、多孔質材料の密度に左右される。例えば密度24kg/m3以上のグラスウールの屈折率はn=1.6〜3.9程度であり、このグラスウールを天井裏空間内に充填すれば、音速はc→c/nに低下する。但し、cは空気中での音速である。グラスウールの密度は24〜32kg/m3程度とすることができるが、更に高密度のものとすることができる。
第3の手段は、上記第1の手段又は第2の手段を有し、かつ上記天井裏空間10のうち、天井板4を支持するための装備や多孔質材料の積み込みに必要なデッドスペースを除く部分を、天井裏空間の実質的な全範囲としている。
「デッドスペース」とは、天井板を吊下げるための吊下げボルトや下地材が占めるスペースや、多孔質材料で形成した板材を積み込む際に天井裏空間の側壁内面や天井スラブ下面との間にとる挿入代(あそび)をいう。
第4の手段は、上記第1の手段乃至第3の手段の何れかを有し、かつ上記多孔質材料12は、上記天井裏空間10内に積み重ねた複数の多孔質板14…で形成され、各多孔質板は圧縮性と弾性とを有している。
これら多孔質板は、垂直方向に積層することが一般的であるが、天井吊りボルトの回りのデッドスペースや天井スラブ下面との遊びを小さくするために水平方向に積み込ませることもできる。各多孔質板は同一密度に形成することができる。
第5の手段は、上記第1の手段乃至第4の手段の何れかを有し、かつ上記多孔質材料12は、吸音材としている。
第1の手段に係る発明によれば、次の効果を奏する。
○多孔質材料12で実質的な天井裏空間全体を充填させ、この空間内での音速低下作用により天井裏空間の共鳴周波数を低下させるようにしたから、上の階で発生した63Hz帯域の重量床衝撃音が天井裏空間を透過して下の階へ洩れることがあっても、透過音波の周波数を更に低い帯域まで下げて透過させるため、63Hz帯域での騒音を有効に防止でき、その周波数の下降巾の設定次第で体感音量を低減させ、静かな空間を提供することができる。
○天井裏空間10内に多孔質材料12を充填することで共鳴条件が変動してその共鳴のQ値が下がるので、階下に響き易い共鳴周波数特性のピークの鋭い騒音を抑止できる。
○音響的内部損失の大きい多孔質材料は、透過する音波を減衰させ、その減衰波に更に上記音速低下作用及びQ値低下作用が加わるから、重量床衝撃音による騒音を一層効果的に低減することができる。
第2の手段に係る発明によれば、天井裏空間の共鳴周波数を規制対象である特定音域より低くしたから、その音域の音に対して確実に防音することができる。
第3の手段に係る発明によれば、天井裏空間に天井吊りボルトなどの装置などが設置してある場合でも、天井裏空間の全体を無理なく多孔質材料で全充填することができる。
第4の手段に係る発明によれば、次の効果を奏することができる。
○上記多孔質材料12は、上記天井裏空間10内に積み重ねた複数の多孔質板14…で形成しているから、天井裏空間への充填作業が容易である。
○各多孔質板14は圧縮性と弾性とを有するから、天井板を吊り下げるボルトや下地材の輪郭に沿って変形することで、これらボルトなどとの隙間を最小限として防音機能をより確実とすることができる。
第5の手段に係る発明によれば、上記多孔質材料12は吸音材としたから、空気層の共鳴による音の伝達の防止の他に、通常の吸音作用による防音効果が期待できる。
図1及び図5は、本発明の実施形態に係る二重天井を示している。
まず従来公知の構成を説明すると、この二重天井は、天井スラブ2と、天井板4と、天井板吊下げ用ボルト6と側壁8とで構成している。天井板4は、天井スラブ2から複数の天井板吊下げ用ボルト6を介して吊り下げられている。これら天井板吊下げ用ボルト6は、図2に示す如くほぼ等間隔に設置している。そして天井スラブ2の下面2aと天井板4の上面4aと側壁8の内面8aとで天井裏空間10を形成している。
本発明にあっては、この天井裏空間10内に多孔質材料12を充填する。この多孔質材料を天井裏空間10の実質的全体に充填することで、天井裏空間は、均一な波動伝達特性を有する単一の領域となり、多孔質材料充填前に比べて全体として低い周波数特性を有するように構成している。図示例では、この多孔質材料12は、上記天井板4の上に載置されている。天井板4の上面には天井板4と吊下げボルトとを連結するための下地材(図示せず)を設けているが、それら吊下げボルトや下地材との間の隙間(デッドスペース)16を最小限とすることができるように、圧縮性、弾性及び柔軟性を兼備した素材を多孔質材料とするものとする。施工現場の状況に応じて適切な柔軟性のものを用いることができるが、一般的にはグラスウールであれば密度が24kg/m2以上、より好ましくは32kg/m2以上のものが使い勝手が良い。図示の例では、この多孔質材料は、同一寸法・同一面積・同一厚さの多数の矩形多孔質板14として成形しているが、これらの構造は適宜変更することができる。これら多孔質板は、各天井板吊下げボルト6の間の天井板部分上面に隙間無く積み上げている。最上位の多孔質板14の上面と天井スラブ2下面との間には小さな間隙18をとっている。又、水平断面図である図2に示すように天井裏空間10には多孔質板14を敷き詰めており、隣接する多孔質板の長辺同士或いは短辺同士はそれぞれ相互に密接している。又側壁8内面8aと多孔質板の対向外面部分とも図示例ではそれぞれ密接しているが、これら両面間には多孔質板14の挿入代をとっても良い。
上記多孔質材料12は、天井裏空間内の音速を低下させ、その共鳴周波数を下げる機能を有するように、屈折率を設定している。例えば、天井板4の面密度をm2=6.7〜8.8kg/m2とし、天井裏空間の上下巾をd=150〜400mmとし、空気中での音速をc=344m/sとし、更に空気の密度をρ=1.2kg/m3とする。これらの数値を既述数式1に代入すると、多孔質材料の充填前の天井裏空間の共鳴周波数は、f=32〜60Hzとなる。この共鳴周波数帯の少なくとも最大値を63Hz帯域より下(好ましくは35Hz未満とするためには)、多孔質材料充填後の共鳴周波数f とすると、f =f/nとしなければならない。これより、n>1.7であれば、共鳴周波数が63Hz帯域よりも下となる。尚、本実施形態では、天井裏空間全体に均一密度・均一な屈折率で多孔質材料を充填したものとしているが、それら密度などが局部的非均一であっても音圧低減効果は得られる。
上記構成において、天井スラブ2の上で子供が飛び跳ねるなどして、重量床衝撃音が発生すると、天井スラブ2が振動する。この振動は、天井スラブからグラスウールである多孔質材料12の空隙内の空気へ、又、この空気から多孔質材料12自身へそれぞれで伝達され、音波を減衰させる。これと同時に、多孔質材料12は、天井裏空間10の周波数特性を変化させ、この空間内を伝播する音波の速度を低下させる。この多孔質材料の屈折率をnとすると、多孔質材料内の音速はc=c/nとなり、上記数式1により、このcに比例して多孔質材料充填後の共鳴周波数f も低下する。
上述の試算例の如く多孔質充填前の天井裏空間の共鳴周波数をf=60Hzとして、様々な屈折率の多孔質材料を均一な密度で充填した場合を考える。グラスウールの屈折率は前述の通り1.6〜3.9程度であるので、グラスウール充填後の天井裏空間の共鳴周波数は、f =f/n=37.5〜15.4Hzとなり、人間の可聴限界である20Hz前後の周波数が得られる。従ってn=1.6〜3.9の範囲で適宜屈折率を選択することで、天井を透過して階下に洩れる音を、不可聴音又はこれに準ずる音のレベルまで周波数を低下させることができる。
下記の表1は二重天井に本発明の多孔質材料を充填する防音措置を施す前と後とでの床衝撃音の伝わり具合を各帯域ごとに示したものである。この表によれば、床衝撃音のレベルが63Hz帯域で7dB、125Hz帯域で5dB、250Hz帯域で1dB改善している。これらのデータから重量床衝撃音の音域で中・高音域よりも防音効果が高まっており、吸音メカニズムに基づく既存の防音機構とは異なる効果が得られる。
[表1]
Figure 2006316459
図3は、本願の2重構造を等価回路を示している。但し図中の符号の意味は次の通りである。
0=ρ0c(但し、ρ0は空気の密度;cは音速)
T=B/jω(k−kB )(Bは材料の曲げ剛性、kは波数、kBは曲げ波の波数)
A=Za×sinh(Γa×h) (Za、Γaは吸音材料の特性インピーダンスと伝搬定数、hは空気層厚)
A=(cosh(Γa×h)−1)/(Za×sinh(Γa×h))
これに対して単一スラブで構成される既述特許文献1の天井構造の等価回路は図7の如くなり、天井板の部分の有無において図3と相違するものとなる。
図4は、本発明の更に他の効果を説明するための図であり、天井裏空間10全体に多孔質材料を充填させることで空気の振動を束縛し、音波を減衰させる作用の原理を示している。同図の右半図は4枚のグラスウール板で空間全体を充填した様子を、又、左半図はこの空間を波動が伝達していく状態を描いている。この波動の方程式はy=A×exp(−jωt+jkx−δx)となり(但し、Aは振幅、ωは周波数、kは波数、jは複素単位、xは天井スラブからの距離、δは減衰率)、この波動の形は図示のような正弦波となる。
図9は、図4と対比するために、天井裏空間10の1/4程度を多孔質材料で充填させた場合を示す図であり、同図の右半図に充填の様子を、左半図にこの空間を伝達する波動をそれぞれ描いている。
図4及び図9の各左半図で天井スラブからの距離xでの正弦波の横巾yは、その位置での音波の振動の大きさを表しており、図示の正弦波は、周波数が低いので、天井スラブ2の下面及び天井板4の上面のみで節(y=0)となっている。これら両面が節となるのは、それら天井裏空間の境界面では空気の動きが制限されているからであると考えられる。図9の如く天井板4の上面近傍でのみ多孔質層を形成した場合には、この多孔質層の範囲は、図9の左半図で斜線で示す如くもともと振動の巾が小さいところに過ぎないので、空気の振動を制動する効果は少ない。それに対して、図4の如く天井裏空間全体に多孔質材料を充填したときには、正弦波の振幅が最大となる箇所(天井裏空間の上下中間地点)を含めて天井裏空間の空気全体を制動するため、空気の振動を束縛する効果は、充填に使用した多孔質材料の量の差以上に大きい。空気振動の束縛という点からは、天井裏空間のうち、この天井裏空間の境界面と追従して動く空気層部分(天井スラブ下面乃至側壁内面との境界層部分)を除いた部分を、天井裏空間の実質的全体とすることができる。
図5は、図1から図4の例の変形例であって、上下方向に積層していた多孔質板を、水平方向に積層させたものである。
本発明の実施形態に係る二重天井の縦断面図である。 図1の二重天井の水平断面図である。 図1の二重天井の等価回路である。 図1の二重天井での波の伝播状況を表す図である。 本発明に係る二重天井の変形例の縦断面図である。 従来の二重天井の音響的作用を説明するための力学的モデルの図である。 従来の単一スラブの吸音構造の説明図である。 従来の二重天井の構成の縦断面図である。 図8の天井での波の伝播状況を表す図である。 従来の二重天井での定在波の様子を表す図である。 従来の二重天井における音響実験の結果を表す図である。
符号の説明
2…天井スラブ 2a…同下面 4…天井板 4a…上面
6…天井板吊下げ用ボルト 8…側壁 8a…同内面 10…天井裏空間
12…多孔質材料 14…多孔質板 16…デットスペース 18…挿入代
52…天井スラブ 54…天井板 56…吸音材
60…バネ 64…錘 66…第2バネ 68…ダンパー

Claims (5)

  1. 天井スラブと該スラブ下方の天井板との間に天井裏空間を設けた二重天井において、音響的な内部損失の大きい多孔質材料12で、天井板4上面の全体を覆合し、かつ実質的に天井裏空間10全体を充填することで、天井裏空間内の音速が空気中での音速よりも低くなるように構成したことを特徴とする、重量衝撃音低減用二重天井。
  2. 規制対象である音域よりも天井裏空間10の共鳴周波数が低くなるように上記多孔質材料12の屈折率を設定したことを特徴とする、請求項1記載の重量衝撃音低減用二重天井。
  3. 上記天井裏空間10のうち、天井板4を支持するための装備や多孔質材料の積み込みに必要なデッドスペースを除く部分を、天井裏空間の実質的な全範囲としたことを特徴とする、請求項2記載の重量衝撃音低減用二重天井。
  4. 上記多孔質材料12は、上記天井裏空間10内に積み重ねた複数の多孔質板14…で形成され、各多孔質板は圧縮性と弾性とを有することを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の重量衝撃音低減用二重天井。
  5. 上記多孔質材料12は、吸音材としたことを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の重量衝撃音低減用二重天井。

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