JP6689701B2 - 熱電変換モジュール及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱電変換モジュール及びその製造方法に関するものである。
近年、化石燃料の消費量の低減を目指した省エネルギー化に関連する技術や、これまで未利用のエネルギーや十分に利用されていないエネルギーを効率良く利用する技術への期待が、非常に高くなっている。それら各種の技術の中でも、特に、熱エネルギーを電気エネルギーに直接、変換することができる熱電変換技術が注目されている。ここで、熱電変換技術とは、温度勾配を有する材料の両端や温度差のある異種材料間において起電力が生じる現象(ゼーベック効果)を利用して、これを回路の一部に用いることで、電気エネルギーを取り出す技術である。そのような熱電変換技術は、未利用熱(排熱)の有効利用につながるものであり、エネルギー利用の高効率化に寄与するものとして、注目度が大きくなってきているのである。
ここで、熱電変換技術においては、性能指数(ZT)の優れた、新たな熱電変換材料の研究、開発が進められている一方で、熱電変換素子、絶縁板及び電極をユニット化してなる熱電変換モジュールの改良も進められている。熱電変換モジュールとしては、複数の熱電変換素子を板状又は円筒状に組み合わせてなるものが広く知られているところ、例えば、一の熱電変換材料からなる薄膜層と他の一の熱電変換材料からなる薄膜層とが、絶縁体からなる薄膜層を介して交互に積層されてなる積層体を有する熱電変換モジュールが、知られている(特許文献1及び特許文献2を参照)。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示の如き、従来の、二種類の熱電変換材料の薄膜層及び絶縁体の薄膜層より構成される積層体を有する熱電変換モジュールにあっては、その積層体側面において外部との絶縁性を確保すべく、積層体の作製後に、絶縁性を有する材料からなる保護層(特許文献1の図2を参照)が別途、設けられるのが一般的である。そのような保護層は、積層体作製後に、かかる積層体の作製工程とは異なる工程に従って形成することが要求されるため、熱電変換モジュールの製造工程が煩雑となり、低コスト化を図ることが難しいという問題を内在しているのである。
特開2008−205181号公報 特許第5067352号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、外部絶縁性に優れた熱電変換モジュールを提供することにある。また、本発明は、そのような熱電変換モジュールを有利に製造することが出来る方法を提供することも、その解決課題とするものである。
そして、本発明は、かかる課題を解決すべく、一対の、平面四角形状の基材フィルムの間に、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層と第二の熱電材料からなる第二熱電材料層とが、絶縁層を介して交互に積層され、且つ、絶縁層を介して隣り合う第一熱電材料層と第二熱電材料層とが接続されてなる熱電変換モジュールにして、1)一の基材フィルムにおける他の一の基材フィルムに対向する側の面上に形成された、前記第一の熱電材料からなる第一熱電材料層Aと、該他の一の基材フィルムにおける該一の基材フィルムに対向する側の面上に形成された、前記第二の熱電材料からなる第二熱電材料層Bとの間に、前記第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’、前記第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’、及び蒸着重合膜からなる絶縁層のうちの少なくとも一つ以上の層より構成される積層部を有しており、2)前記第一熱電材料層Aは、本体部A1と外部接続部A2とから構成されており、該本体部A1が、前記一の基材フィルムの面上における周縁部を除く部位に配置されていると共に、該外部接続部A2が、該一の基材フィルムの面上における一つの辺側の端部に、前記本体部A1から連続して延びる形態において配置されており、3)前記第二熱電材料層Bは、本体部B1と外部接続部B2とから構成されており、該本体部B1が、前記他の一の基材フィルムの面上における周縁部を除く部位に配置されていると共に、該外部接続部B2が、該他の一の基材フィルムの面上における一つの辺側の端部に、前記本体部B1から連続して延びる形態において配置されており、4)前記積層部は、前記第一熱電材料層Aの外部接続部A2及び前記第二熱電材料層Bの外部接続部B2を外部に露出せしめるように、前記一の基材フィルムと前記他の一の基材フィルムとの間に配置されており、5)前記積層部を構成する絶縁層は、マージン部を間に挟んで両側に位置する第一絶縁層部と第二絶縁層部とから構成されており、6)前記積層部を構成する第一熱電材料層A’は、該第一熱電材料層A’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に配置されており、7)前記積層部を構成する第二熱電材料層B’は、該第二熱電材料層B’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に配置されており、8)前記絶縁層における第一絶縁層部と第二絶縁層部との間のマージン部に、前記第一の熱電材料又は前記第二の熱電材料が導入されていることによって、前記絶縁層を介して隣り合う前記第一熱電材料層と前記第二熱電材料層とが接続されている、ことを特徴とする熱電変換モジュールを、その要旨とするものである。
また、そのような本発明に係る熱電変換モジュールの好ましい態様においては、1)前記第一熱電材料層Aが、更に付属部A3をも含んで構成されており、該付属部A3は、前記一の基材フィルムの面上における、前記本体部A1から前記外部接続部A2への延出方向反対側の部位に、該本体部A1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部A3における該本体部A1に対向する側面とは反対側の側面が、前記一の基材フィルムの端面より内方に位置するように、配置されており、2)前記第二熱電材料層Bが、更に付属部B3をも含んで構成されており、該付属部B3は、前記他の一の基材フィルムの面上における、前記本体部B1から前記外部接続部B2への延出方向反対側の部位に、該本体部B1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部B3における該本体部B1に対向する側面とは反対側の側面が、前記他の一の基材フィルムの端面より内方に位置するように、配置されており、3)前記第一熱電材料層A’が、該第一熱電材料層A’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に形成される本体部A’1と、付属部A’2とから構成されており、該付属部A’2は、前記絶縁層の表面における周縁部上に、該本体部A’1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部A’2における該本体部A’1に対向する側面とは反対側の側面が、前記絶縁層の端面より内方に位置するように、配置されており、4)前記第二熱電材料層B’が、該第二熱電材料層B’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に形成される本体部B’1と、付属部B’2とから構成されており、該付属部B’2は、前記絶縁層の表面における周縁部上に、該本体部B’1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部B’2における該本体部B’1に対向する側面とは反対側の側面が、前記絶縁層の端面より内方に位置するように、配置されている。
一方、本発明は、上記した態様の熱電変換モジュールを有利に製造することが出来る方法、即ち、1)下記工程1乃至工程5を有する製造方法に従い、又は、下記工程1乃至工程3を有する製造方法に従い、一の基材フィルム上に第一熱電材料層Aが形成されており、且つ、最表面層が、前記第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’又は前記第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’の何れかである積層体Iを準備する工程と、2)下記工程1’乃至工程5’を有する製造方法に従い、又は、下記工程1’を有する製造方法に従い、他の一の基材フィルム上に第二熱電材料層Bが形成されており、且つ、最表面層が、前記積層体Iの最表面層を構成する熱電材料と同一のものにて構成されている積層体IIを準備する工程と、3)前記積層体Iと積層体IIとを、それら積層体の最表面層が接するように重ね合わせて、一体化せしめる工程と、を含む熱電変換モジュールの製造方法をも、その要旨とするものである。
工程1:一の基材フィルムの一方の面に、第一の熱電材料からなり、本体部A1と外部 接続部A2とから構成される第一熱電材料層Aを、気相成長法に従い、該本体部 A1については該一の基材フィルム表面における周縁部を除く部位上に形成する と共に、該外部接続部A2については、該一の基材フィルム表面における一つの 辺側の端部上に、該本体部A1から連続して伸びる形態において形成する。
工程2:前記第一熱電材料層Aを形成した後、該第一熱電材料層Aが形成された前記一 の基材フィルム表面における、前記外部接続部A2側の端部を除く部位上に、第 一絶縁層部及び第二絶縁層部からなる絶縁層C1を、それら第一絶縁層部及び第 二絶縁層部がマージン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸着重合法に従っ て形成する。
工程3:前記絶縁層C1を形成した後、該絶縁層C1表面における周縁部を除く部位上 に、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’を気相成長法に従って形成する と共に、前記絶縁層C1の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存在するマージ ン部に、該第二の熱電材料を導入する。
工程4:前記第二熱電材料層B’を形成した後、該第二熱電材料層B’上と、前記絶縁 層C1における該第二熱電材料層B’の非形成部位上に、第一絶縁層部及び第二 絶縁層部からなる絶縁層C2を、それら第一絶縁層部及び第二絶縁層部がマージ ン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸着重合法に従って形成する。
工程5:前記絶縁層C2を形成した後、該絶縁層C2表面における周縁部を除く部位上 に、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’を気相成長法に従って形成する と共に、前記絶縁層C2の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存在するマージ ン部に、該第一の熱電材料を導入する。
工程1’:他の一の基材フィルムの一方の面に、第二の熱電材料からなり、本体部B1 と外部接続部B2とから構成される第二熱電材料層Bを、気相成長法に従い、 該本体部B1については該他の一の基材フィルム表面における周縁部を除く部 位上に形成すると共に、該外部接続部B2については、該他の一の基材フィル ム表面における一つの辺側の端部上に、該本体部B1から連続して伸びる形態 において形成する。
工程2’:前記第二熱電材料層Bを形成した後、該第二熱電材料層Bが形成された前記 他の一の基材フィルム表面における、前記外部接続部B2側の端部を除く部位 上に、第一絶縁層部及び第二絶縁層部からなる絶縁層C1’を、それら第一絶 縁層部及び第二絶縁層部がマージン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸 着重合法に従って形成する。
工程3’:前記絶縁層C1’を形成した後、該絶縁層C1’表面における周縁部を除く 部位上に、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’を気相成長法に従って 形成すると共に、前記絶縁層C1’の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存 在するマージン部に、該第一の熱電材料を導入する。
工程4’:前記第一熱電材料層A’を形成した後、該第一熱電材料層A’上と、前記絶 縁層C1’における該第一熱電材料層A’の非形成部位上に、第一絶縁層部及 び第二絶縁層部からなる絶縁層C2’を、それら第一絶縁層部及び第二絶縁層 部がマージン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸着重合法に従って形成 する。
工程5’:前記絶縁層C2’を形成した後、該絶縁層C2’表面における周縁部を除く 部位上に、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’を気相成長法に従って 形成すると共に、前記絶縁層C2’の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存 在するマージン部に、該第二の熱電材料を導入する。
このように、本発明に従う熱電変換モジュールにあっては、積層部を構成する、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’及び第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’の何れもが、それら各層の直下に配置される絶縁層表面における周縁部を除く部位に形成されているところから、積層部における積層方向側面の何れにおいても、第一熱電材料層A’及び第二熱電材料層B’の端面は、露出しない。従って、本発明の熱電変換モジュールにあっては、従来の、二種類の熱電変換材料の薄膜層及び絶縁体の薄膜層より構成される積層体を有する熱電変換モジュールでは必要とされていた、外部との絶縁性を確保するための保護層等を、別途、形成する必要がないのであり、以て、従来品と比較して、保護層等の作製工程の削減による低コスト化が有利に図られているのである。
また、本発明の熱電変換モジュールにおいて、積層部を構成する絶縁層は、絶縁性を有する合成樹脂製の薄膜たる蒸着重合膜であるところから、従来の、例えばSiO2 等の無機物からなる絶縁層を有する熱電変換モジュールと比較して、容易に軽量化を図ることが可能である。更に、蒸着重合膜を絶縁層として用いることによって、モジュール全体の熱伝導率を効果的に低く抑えることが可能となり、モジュールとしての性能指数(ZT)が有利に向上することとなる。
加えて、本発明に従う熱電変換モジュールの製造方法においては、気相成長法に従って第一熱電材料層及び第二熱電材料層を、また蒸着重合法に従って絶縁層を、各々、形成するものであり、それら各層の薄膜化が容易であるところから、熱電変換モジュールの小型化を容易に図ることができ、体積効率(単位体積当たりの熱電変換効率)の優れた熱電変換モジュールの製造が可能である。また、薄膜化が容易であることから、従来の製造方法と比較して、二種の熱電材料層の直列数(積層数)を多くすることが可能であり、本発明の製造方法においては、P型半導体やN型半導体と比較してゼーベック係数が小さい金属材料や合金材料にあっても、熱電材料としての使用が可能となるのであって、汎用材料を選択することによる熱電変換モジュールの製造コストの低減化を、有利に図ることができるのである。
本発明に係る熱電変換モジュールの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す熱電変換モジュールの正面図である。 図1に示す熱電変換モジュールの左側面図である。 図1に示す熱電変換モジュールの右側面図である。 図1に示す熱電変換モジュールの平面図である。 図5のI−I’断面の拡大説明図である。 (a)は図6のII−II’断面図、(b)は図6のIII −III’ 断面図、(c)は図6のIV−IV’断面図、(d)は図6のV−V’断面図、(e)は図6のVI−VI’断面図、(f)は図6のVII −VII’断面図、である。 本発明の他の一の実施形態に係る熱電変換モジュールの平面図である。 図8のi−i’断面の拡大説明図である。 (a)は図9のii−ii’断面図、(b)は図9のiii −iii’ 断面図、(c)は図9のiv−iv’断面図、(d)は図9のv−v’断面図、(e)は図9のVI−VI’断面図、(f)は図9のVII −VII’断面図、である。 本発明の熱電変換モジュールを製造する際に有利に使用される製造装置の一例を示す概略説明図である。 図11に示す製造装置における一の熱電材料層形成装置についての、(a)は内部構造を示す断面説明図、(b)は底面図、である。 図11に示す製造装置における一の絶縁層形成装置についての、(a)は内部構造を示す断面説明図、(b)は底面図、である。 図11に示す製造装置における他の一の熱電材料層形成装置についての底面図である。 図11に示す製造装置における他の一の絶縁層形成装置についての底面図である。 図11に示す製造装置における各工程終了後の状態を示す説明図である。 二つの積層体より本発明の熱電変換モジュールを製造する際の工程を示す説明図である。 本発明に係る熱電変換モジュールの使用態様の一つを示す説明図である。 (a)は本発明に係る熱電変換モジュールの巻回体の右側面図であり、(b)はその使用態様を示す説明図である。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態について、図面を適宜に参酌しつつ、詳細に説明する。なお、以下の説明において参酌する図面は、何れも、本発明の理解を容易ならしめることを目的として、その一部乃至は全体が誇張して描かれているものであることが、理解されるべきである。
図1乃至図5には、本発明の一の実施形態に係る熱電変換モジュール10が、図1には斜視図において、図2には正面図において、図3には左側面図において、図4には右側面図において、図5には平面図において、各々、示されている。それらの図より明らかなように、熱電変換モジュール10は、二枚の平面矩形状を呈する基材フィルム12a、12bの間に、積層部14が介在せしめられて構成されている。この積層部14は、三つの側面(図1乃至図5においては正面、左側面及び裏面)が、基材フィルム12a、12bの端面と面一とされている一方で、残る一つの側面(同、右側面)は、対向する側面の方へ僅かに凹んだ形態を呈している。このような構成により、基材フィルム12aの表面(上面)に設けられた、第一の熱電材料よりなる第一熱電材料層16の外部接続部16b、及び、基材フィルム12bの裏面(下面)に設けられた、第二の熱電材料よりなる第二熱電材料層18の外部接続部18bが、外部に露出している。
なお、基材フィルム12a、12bとしては、絶縁性を有する材料にて構成されるものであれば如何なるものであっても採用することができるが、好ましくは、合成樹脂材料からなる樹脂フィルムが用いられる。具体的には、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等からなる、厚さが1〜10μm程度の樹脂フィルムが有利に用いられる。基材フィルム12a、12bを構成する合成樹脂材料は、同一の場合は勿論のこと、異なっていても良い。
図6には、図5において平面図で示されている熱電変換モジュール10をI−I’面にて切断した断面図が示されている。また、図7(a)〜(f)には、図6におけるII−II’面、III −III’ 面、IV−IV’面、V−V’面、VI−VI’面及びVII −VII’ 面の各面における断面図が示されている。それら図6及び図7より、熱電変換モジュール10を構成する各層について、詳細に説明する。
先ず、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層16は、基材フィルム12aの表面(上面)における、周縁部を除く部位に形成された本体部16aと、この本体部から一方の端部(図6及び図7(a)では右側端部)へ向かって連続的に延びる形態を呈する外部接続部16bとから、構成されている(図7(a)参照)。
また、第一熱電材料層16上に配置されている絶縁層20は、絶縁性合成樹脂の蒸着重合膜にて構成されている。絶縁層20は、マージン部21を間に挟んで両側の位置する第一部分20aと第二部分20bとを有しており、基材フィルム12上の第一熱電材料層16の外部接続部16bが形成されている側の端部を露出させるような形態において、形成されている(図7(b)参照)。このマージン部21は、第一熱電材料層16における外部接続部16bとは反対側の端部上に配置されている。そして、後述する、第二熱電材料層22を構成する第二の熱電材料が、マージン部21における第二熱電材料層22に対応する部位に侵入して接続部22aを形成しており、この接続部22aが第一熱電材料層16(の本体部16a)と接触していることにより、第一熱電材料層16と第二熱電材料層22とが接続されているのである(図6及び図7(b)参照)。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、第一熱電材料層と第二熱電材料層とが接続しているとは、ゼーベック効果によって生じた起電力により電流が流れ得る状態にあること、換言すれば、電気的に接続された状態にあることを、意味するものである。
さらに、絶縁層20上には、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層22が配置されている。この第二熱電材料層22は、絶縁層20における周縁部を除く部位に形成されている。即ち、各端面が、積層部14の四つの側面の何れにおいても露出しないような形態において、第二熱電材料層22は形成されているのである。なお、第二熱電材料層22の周縁部には、後述する絶縁層24を構成する蒸着重合膜にて覆われている(図7(c)参照)。
さらにまた、第二熱電材料層22上には、絶縁性合成樹脂の蒸着重合膜からなる絶縁層24が形成されている。この絶縁層24も、先述した絶縁層20と同様に、マージン部25を間に挟んで両側に位置する第一部分24a及び第二部分24bから構成されており、マージン部21を含めた絶縁層20に対応する大きさ(範囲)において、形成されている。また、後述する、第一熱電材料層26を構成する第一の熱電材料が、マージン部25における第一熱電材料層26に対応する部位に侵入して接続部26aを構成しており、この接続部26aが第二熱電材料層22と接触していることにより、第二熱電材料層22と第一熱電材料層26との電気的接続が確保されている。なお、絶縁層24のマージン部25は、絶縁層20のマージン部が設けられた側とは反対側の端部に配置されている。このように、熱電材料層を介在する二つのマージン部を、加熱源(又は被加熱体)と冷却源(又は被冷却体)との対向方向において互い違いに設けることにより、第一熱電材料層と第二熱電材料層との直列間距離:l(図6参照)を有利に確保することができる。
加えて、絶縁層24上には、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層26が配置されている。この第一熱電材料層26にあっても、絶縁層24における周縁部を除く部位に形成されている。即ち、各端面が、積層部14の四つの側面の何れにおいても露出しないような形態において、第一熱電材料層26は形成されているのである。なお、図6等に示される熱電変換モジュール10は、後述する製造方法に従って製造されたものであり、二つの積層体を一体化することによって、一体物たる熱電変換モジュール10とされているものである。従って、第一熱電材料層26は、一の積層体(基材フィルム12a側の積層体)の最表面に設けられた第一熱電材料層と、他の一の積層体(基材フィルム12b側の積層体)の最表面に設けられた第一熱電材料層とが一体となって、構成されている。
また、第一熱電材料層26上には、絶縁性合成樹脂の蒸着重合膜からなる絶縁層28が配置されている。この絶縁層28は、先述した絶縁層20と同様の大きさ及び形状を呈しており、また、その配置も絶縁層20と同様である。絶縁層28の二つの部分間に介在するマージン部29には、第一熱電材料層26を構成する第一の熱電材料が侵入して接続部26bを形成しており、かかる接続部26bによって、第一熱電材料層26と第二熱電材料層30との電気的接続が確保されている。
さらにまた、絶縁層28上には、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層30が配置されている。この第二熱電材料層30は、先述した第二熱電材料層22と同様の大きさ及び形状を呈しており、また、その配置も第二熱電材料層22と同様である。
加えて、第二熱電材料層30上には、絶縁性合成樹脂の蒸着重合膜からなる絶縁層32が配置されている。この絶縁層32は、先述した絶縁層24と同様の大きさ及び形状を呈しており、また、その配置も絶縁層24と同様である。かかる絶縁層32の二つの部分間に介在するマージン部33には、第二熱電材料層30を構成する第二の熱電材料が侵入して接続部30aを形成しており、この接続部30aにより、第二熱電材料層30と第一熱電材料層34との間の電気的接続が確保されている。
また、絶縁層32上には、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層34が配置されている。この第一熱電材料層34は、先述した第一熱電材料層26と同様の大きさ及び形状を呈している。
さらにまた、第一熱電材料層34上には、絶縁性合成樹脂の蒸着重合膜からなる絶縁層36が配置されている。この絶縁層36は、先述した絶縁層20と同様の大きさ及び形状を呈しており、また、その配置も絶縁層20と同様である。かかる絶縁層36の二つの部分館に介在するマージン部37には、第一熱電材料層34を構成する第一の熱電材料が侵入して接続部34aを形成しており、この接続部30aにより、第一熱電材料層34と第二熱電材料層18との間の電気的接続が確保されている。
加えて、絶縁層36上には、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層18が配置されているのである。この第二熱電材料層18は、基材フィルム12bの裏面(下面)における、周縁部を除く部位に形成された本体部18aと、この本体部から一方の端部(図6及び図7(f)では右側端部)へ向かって連続的に延びる形態を呈する外部接続部18bとから構成されており、この外部接続部18bが外部へ露出せしめられているのである(図7(f)参照)。
このように、本発明に従う熱電変換モジュール10にあっては、第一熱電材料層及び第二熱電材料層の端面が、外部接続部16b、18bを除いて一切、外部に露出していないところから、外部との絶縁性が有利に確保されているのである。従って、異なる熱電材料層を積層してなる従来の熱電変換モジュールでは必要とされていた、外部との絶縁性を確保するための保護層等は不要となり、以て、従来品と比較して、保護層等の作製工程の削減による低コスト化が有利に図られているのである。
また、本発明の熱電変換モジュールにおいては、絶縁性を有する合成樹脂製の薄膜たる蒸着重合膜を絶縁層として用いていることから、従来の、例えばSiO2 等の無機物からなる絶縁層を有する熱電変換モジュールと比較して、容易に軽量化を図ることが可能であり、加えて、積層方向の厚さも薄くすることが可能ならしめられるのである。更に、蒸着重合膜を絶縁層として用いることによって、モジュール全体の熱伝導率を効果的に低く抑えることが可能となり、モジュールとしての性能指数(ZT)が有利に向上したものとなっているのである。
ここで、本発明の熱電変換モジュールにおいて用いられる熱電材料としては、従来より公知の熱電材料の中から、目的とする熱電変換モジュールに応じたものを適宜、選択して、使用することが可能である。また、後述する製造方法に従うことにより、二種の熱電材料層の直列数(積層数)を多くすることが可能となることから、P型半導体やN型半導体と比較してゼーベック係数が小さい金属材料や合金材料にあっても用いることができる。本発明において使用可能な熱電材料としては、具体的には、Bi2Te3、PbTe、AgSbTe2 /GeTe、Bi2Te3/Sb2Te3等のテルル化合物系、NaCo24、CaCoO3 、SrTiO3/SrTiO3:Nb等の金属酸化物系、SiGe、β−FeSi2 、Ba8Si48 、Mg2Si 、MnSi1.73等のシリコン化合物、ZnSb、lnSb、Zn4Sb3、CeFe3CoSb12 、LaFe3CoSb12 等のアンチモン化合物、コンスタンタン、クロメル、アルメル、白金ロジウム等の合金や、Au、Al、Cu、Fe、Pt、Ni、Cr、W、Ta等の金属を、例示することができる。
また、絶縁層を構成する合成樹脂材料としては、蒸着重合法によって薄膜を製造することが可能なものであれば、如何なるものであっても使用することができる。そのような合成樹脂材料としては、ポリイミド、ポリユリア、ポリアミド、ポリアゾメチン等を、例示することができる。ポリイミドの原料モノマーとしては、1)二個以上のアミノ基を有するアミン化合物と2)カルボン酸無水物との組合せや、2)カルボン酸無水物と3)二個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物との組合せを、また、ポリユリアの原料モノマーとしては、1)二個以上のアミノ基を有するアミン化合物と3)二個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物との組合せを、更にポリアミドの原料モノマーとしては、1)二個以上のアミノ基を有するアミン化合物と4)二個以上のハロゲン化アシル基を有するアシル化合物との組合せを、加えて、ポリアゾメチンの原料モノマーとしては、1)二個以上のアミノ基を有するアミン化合物と5)二個以上のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物との組合せを、各々、挙げることができる。ここで、1)二個以上のアミノ基を有するアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、メチレンビス(4−シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリス(2−アミノメチル)アミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール等を、2)カルボン酸無水物としては、テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸等を、3)二個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリイソシアネートヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアネートシクロヘキサン等を、4)二個以上のハロゲン化アシル基を有するアシル化合物としては、テレフタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、セバシン酸ジクロリド等を、5)二個以上のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物としては、マロンジアルデヒド、グリオキサール、ナフタレンジアルデヒド等を、各々、例示することができる。
一方、図8乃至図10には、本発明の他の一の実施形態に係る熱電変換モジュール(熱電変換モジュール40)が示されている。具体的に、図8には、熱電変化モジュール40が平面図にて示されており、図9は、図8のi−i’断面図である。また、図10(a)〜(f)には、図9におけるii−ii’面、iii −iii’ 面、iv−iv’面、v−v’面、vi−vi’面及びvii −vii’ 面の各面における断面図が示されている。なお、熱電変換モジュール40は、先述した熱電変換モジュール10と同様の外観を呈することから、熱電変換モジュール40の斜視図、正面図、左側面図及び右側面図については省略した。また、図8乃至図10に示される熱電変化モジュール40において、先述した熱電変換モジュール10と同様の構成に係る部位については、熱電変換モジュール10と同一の符号を付して詳細な説明は省略し、熱電変換モジュール40特有の特徴的な構成について、以下に詳述する。
図8乃至図10より明らかなように、それら図面に示される熱電変換モジュール40においては、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層の各層と、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層の各層が、何れも、付属部をも有しているのである。
先ず、基材フィルム12aの表面(上面)に配置されている第一熱電材料層42は、本体部42a及び外部接続部42bに加えて、付属部42cをも含んで構成されている。この付属部42cは、本体部42aとの間にマージン部を介在させた状態で、且つ、本体部42aに対向する側面とは反対側の側面が、基材フィルム12aの端面より内方に位置するように、配置されている(図10(a)参照)。
一方、基材フィルム12bの裏面(下面)に配置されている第二熱電材料層44も、上述した第一熱電材料層42と同様に、本体部44a及び外部接続部44bに加えて、付属部44cをも含んで構成されている。この付属部44cは、本体部44aとの間にマージン部を介在させた状態で、且つ、本体部44aに対向する側面とは反対側の側面が、基材フィルム12bの端面より内方に位置するように、配置されている(図10(f)参照)。
また、二つの絶縁層の間に配置されている熱電材料層は、各々、本体部と二つの付属部とから構成されているのであり、何れの熱電材料層も、図10(b)〜(e)に示されているように、同一の形態において構成されている。具体的に、絶縁層20と絶縁層24との間に配置されている第二熱電材料層46は、本体部46aと、二つの付属部46b、46cにて構成されている。付属部46b、46cは、本体部46aにおける、熱電変換モジュール40の使用時に加熱源(又は被加熱体)及び冷却源(被冷却体)が配置される方向の両側に、各々が、本体部46aとの間にマージン部を挟んだ状態で配置されている。また、付属部46b、46cの側面のうち、本体部46aに対向する側面とは反対側のものが、絶縁層24の端面より内方に位置するように、配置されているのである(図10(b)参照)。
そのような第二熱電材料層46と同様の形態において、絶縁層24と絶縁層28との間には、本体部48aと二つの付属部48b、48cからなる第一熱電材料層48が配置され(特に図10(c)参照)、また、絶縁層28と絶縁層32との間には、本体部50aと二つの付属部50b、50cからなる第二熱電材料層50が配置され(特に図10(d)参照)が配置され、そして、絶縁層32と絶縁層36との間には、本体部52aと二つの付属部52b、52cからなる第一熱電材料層52が、配置されているのである(特に図10(e)参照)。
このように、図8乃至図10に示される熱電変換モジュール40にあっては、第一熱電材料層及び第二熱電材料層が、本体部(及び外部接続部)と、かかる本体部(及び外部接続部)とは分離、独立した付属部を有しているところから、先述した熱電変換モジュール10と同様の外部絶縁性を担保しつつ、熱電材料層の上面に形成される、絶縁性合成樹脂材料の蒸着重合膜からなる絶縁層の厚さの均一化を図ることが容易となり、以て、寸法精度が優れた熱電変換モジュールとなっているのである。
また、各熱電材料層が有する付属部は、熱電材料層の本体部における、熱電変換モジュール40の使用時に加熱源(又は被加熱体)及び冷却源(被冷却体)が配置される方向の両側に、マージン部を介して配置されているのであり、付属部の存在によって、その近辺の熱伝導率が有利に向上することとなり、熱電変換モジュール40における熱電変換効率の向上にも効果的に寄与するのである。更に、付属部が存在しない場合と比較して、積層部端部の強度が効果的に向上し、モジュール全体としての機械的強度も有利に向上することとなる。
上述した、本発明に従う熱電変換モジュールは、従来より公知の種々の手法を適宜、組み合わせることにより、製造することができる。例えば、図8乃至図10に示される熱電変換モジュール40を製造するに際しては、図11に示される積層体製造装置(本明細書においては、単に製造装置という)60を用いて、二種類の積層体54’、56’を製造した後、それら二種類の積層体54’、56’の最表面層(第一熱電材料層48)同士が接するように重ね合わせ、その後、それら積層体54’、56’を一体化せしめ、その一体化物を適宜、切断することによって、製造可能である。以下、積層体54’を製造する際に用いられる製造装置60の構成について、詳述する。
図11から明らかなように、製造装置60は、所定大きさの真空チャンバ62を有しており、この真空チャンバ62は、主室64と副室66とから構成されている。主室64は、第一周壁部68にて囲繞されており、副室66は、第一周壁部68の一部と第二周壁部70とにより囲繞されている。そして、それら主室64と副室66とは、第二周壁部70と共に副室66を囲繞する第一周壁部68部分に形成された窓部72を通じて、互いに連通している。
なお、真空チャンバ62には、真空形成手段(図示せず)が取り付けられており、この真空形成手段を作動させることにより、主室64及び副室66の内部の真空度が調整可能とされている。
主室64の中心部には、回転ドラムとしてのキャンローラ74が設置されている。このキャンローラ74は、鉄等の金属製の円筒体からなっており、図示しない電動モータ等により、一方向(図11の矢印:αにて示される方向)に回転駆動するようになっている。
また、副室66内には、巻出し機としての巻出しローラ76と、巻取り機としての巻取りローラ78とが、互いに所定距離を隔てた位置に、キャンローラ74の回転軸と平行な回転軸回りに回転可能な状態にて設置されている。巻出しローラ76には、基材フィルム12aが巻回されたフィルムロール80が取り付けられ、自身の回転に伴って、フィルムロール80を巻出し得るようになっている。一方、巻取りローラ78は、巻出しローラ76によって巻き出された基材フィルム12aの先端部分が取り外し可能に取り付けられるように構成されており、また、図示しない電動モータ等によって、回転駆動するようになっている。そして、フィルムロール80から巻き出された基材フィルム12aが、後述するように、熱電材料層及び絶縁層が積層形成されて、積層体54’とされた後、巻取りローラ78の回転駆動によって、巻取りローラ78に巻き取られるようになっている。
主室64内には、キャンローラ74の周囲に、熱電材料層形成ユニット82、絶縁層形成ユニット84、熱電材料層形成ユニット86、絶縁層形成ユニット88及び熱電材料層形成ユニット90の各吹出口部材が、この順序に従ってキャンローラ74の回転方向に並んで配置されている。
図11及び図12(a)より明らかなように、熱電材料層形成ユニット82は、熱電材料の蒸気発生部92と吹出口部材94とを有している。蒸気発生部92は、キャンローラ74側の面が開口面とされている直方体形状の筐体部95の内部に、電子銃96、及び第一の熱電材料が収容された容器97が各々、位置固定に配置されて、構成されている。
一方、吹出口部材94は、全体として上方(図12(a)の上方)及び下方(図12(a)の下方)が開口している筒体からなり、その上方に、蒸気発生部92の筐体部95の開口部が組み付けられており、下方の開口部は吹出口98とされている。また、吹出口部材94は、軸直角断面積がキャンローラ74側に向かうに従って漸増する四角錐台形状の上側筒壁部100と、横長の直方体形状を呈する下側筒部102とを有している。この下側筒部102にあっては、その幅方向(図12(a)の紙面垂直方向、図12(b)の上下方向)に延びる二つの第一側壁部104、104の下端面が平坦面とされている一方で、その長さ方向(図12(a)及び(b)の左右方向)に延びる二つの第二側壁部106、106の下端面は、上方に向かって凸状を呈する円弧状の下端面107、107とされている。かかる第二側壁部106における円弧状の下端面107の径は、キャンローラ74(図12(a)に二点鎖線で示す)の外周面の径よりも僅かに大きな寸法とされている。これにより、吹出口98とキャンローラ74の外周面との間に形成される隙間の大きさが、吹出口98の全周に亘ってほぼ一定の大きさとされているのである。
また、吹出口部材94の吹出口98には、二本の防着バー108a、108bが配置されている。なお、図12(b)においては、理解を容易にするため、防着バー108a、108bにハッチングを付している。防着バー108a、108bは、何れも、下側筒部102における円弧状の下端面107の径と略同一の内径と、二つの第一側壁部104、104の対向面間距離と略同一長さの弦とを有する、円弧状の湾曲部材からなっている。そして、防着バー108bにあっては、下側筒部102の幅方向(図12(b)の上下方向)の上端に、防着バー108aにあっては、防着バー108aより下方に所定距離、離れた位置に、長さ方向に延びるように配置されて、二つの第一側壁部104、104における互いに対向する面の下端部に固定されている。
そして、上述した構成を有する熱電材料層形成ユニット82にあっては、電子銃96より電子ビームが発せられると、電子ビームは図示しない偏向コイルによって偏向され、この偏向された電子ビームは、容器97内の第一の熱電材料に照射される。この電子ビームの照射によって発生した第一の熱電材料の蒸気が、吹出口部材94の吹出口98より基材フィルム12上に吹き付けられることにより、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層42が形成されるのである。
なお、本製造装置60の熱電材料層形成ユニット82においては、熱電材料の蒸気発生部92は、エレクトロンビーム(EB)蒸着法に従って熱電材料の蒸気を発生させるための構成が採用されているが、本発明の熱電変換モジュールを製造する際の熱電材料層の形成は、EB蒸着法以外の気相成長法に従って、実施することも可能である。具体的には、抵抗加熱蒸着法や高周波誘導加熱蒸着法等の蒸着法は勿論のこと、RFスパッタリング法、DCスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法等の各種スパッタリング法、パルスレーザーデポジション(PLD)法等の公知の気相成長法の中から、使用される熱電材料に応じたものを適宜に選択し、選択した手法に応じた構成(例えば、スパッタリング室)を、蒸気発生部92と置き換えることが可能である。なお、各種スパッタリング法やPLD法において必要とされるガス種は、熱電材料の種類によって、Ar、N2、O2、He等の中から適宜に選択される。後述する、熱電材料層形成ユニット86及び熱電材料層形成ユニット90における各蒸気発生部についても、同様である。
図11に示されているように、絶縁層形成ユニット84は、モノマー蒸気供給手段112と吹出口部材114とを有している。
モノマー蒸気供給手段112は、収容ポット116a、116bを有しており、収容ポット116a、116bの各々には、蒸着重合膜を構成する合成樹脂材料の原料モノマーが液体状態で収容されている。例えば、本発明の熱電変換モジュールにおける絶縁層として、ポリイミドからなる蒸着重合膜を採用する場合には、一の収容ポットにはピロメリット酸二無水物等のカルボン酸無水物が収容され、他の一の収容ポットには、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の二個以上のアミノ基を有するアミン化合物が収容される。なお、収容ポット116a、116bは、それぞれ、収容した液体状態の原料モノマーを蒸発させるためのヒータ(図示せず)を有している。また、収容ポット116aには蒸気供給パイプ117aの一方の端部が接続されており、他方の端部は吹出口部材114に接続されている。同様に、収容ポット116bには蒸気供給パイプ117bの一方の端部が接続され、その他方の端部は吹出し口部材114に接続されている。
絶縁層形成ユニット84を構成する吹出口部材114は、図13(a)及び(b)に示されるように、全体として下方(図13(a)の下方)に向かって開口する片側有底の筒体からなり、下方の開口部は吹出口118とされている。また、吹出口部材114は、軸直角断面積がキャンローラ74側に向かうに従って漸増する四角錐台形状の上側筒壁部120と、横長の直方体形状を呈する下側筒部122とを有している。
より詳細には、吹出口部材114の下側筒部122は、その幅方向(図13(a)の紙面垂直方向、図13(b)の上下方向)に延びる二つの第一側壁部124、124の下端面が平坦面とされている一方で、その長さ方向(図13(a)及び(b)の左右方向)に延びる二つの第二側壁部126、126の下端面は、上方に向かって凸状を呈する円弧状の下端面127、127とされている。かかる第二側壁部126における円弧状の下端面127の径は、キャンローラ74(図13(a)に二点鎖線で示す)の外周面の径よりも僅かに大きな寸法とされている。これにより、吹出口118とキャンローラ74の外周面との間に形成される隙間の大きさが、吹出口118の全周に亘ってほぼ一定の大きさとされているのである。
また、吹出口部材114の内部には、上側筒壁部120の一の面側から対向する面側へ突出する仕切壁128aが、下側筒部122の一の面側から対向する面側へ突出する仕切壁128b、128cが、各仕切壁によって形成される開口部が上下方向(図13(a)の上下方向)において互い違いになるように、配置されている。それら仕切り壁が配置されていることにより、蒸気供給パイプ117a、117bを通じて供給される二種類の原料のモノマーの蒸気が、仕切壁とぶつかることによって効果的に混合され、以て、原料モノマーの混合蒸気が基材フィルム12上に吹き付けられることとなるのである。
加えて、吹出口部材114の吹出口118には、二本の防着バー130a、130bが配置されている。なお、図13(b)においては、理解を容易にするため、防着バー130a、130bにハッチングを付している。防着バー130a、130bは、何れも、下側筒部122における円弧状の下端面127の径と略同一の内径と、二つの第一側壁部124、124の対向面間距離と略同一長さの弦とを有する、円弧状の湾曲部材からなっている。そして、防着バー130aにあっては、下側筒部122の幅方向(図13(b)の上下方向)の下端に、防着バー130bにあっては、防着バー130aより上方に所定距離、離れた位置に、長さ方向に延びるように配置されて、二つの第一側壁部124、124における互いに対向する面の下端部に固定されている。
一方、熱電材料層形成ユニット86は、図11に示されるように、先述した熱電材料層形成ユニット82におけるものと同様の構成からなる熱電材料の蒸気発生部92と、吹出口部材132とを有している。但し、熱電材料層形成ユニット86における蒸気発生部92では、その内部の容器に第二の熱電材料が収容されている。
ここで、熱電材料層形成ユニット86の吹出口部材132は、先述した熱電材料層形成ユニット82における吹出口部材94と、防着バーを除いて同様の構成とされている。図14に示されるように、熱電材料層形成ユニット86の吹出口部材132は、四本の防着バー134a、134b、134c、134dを有している。なお、図14においても、各防着バーにハッチングを付している。そして、吹出口部材132における下側筒部の幅方向(図14の上下方向)の下端に防着バー134aが、上端に134dが配置され、それら防着バー134a、134dの間に、防着バー134b、134cが、各々、所定距離だけ離れた位置に配置されている。
また、絶縁層形成ユニット88は、図11に示されるように、先述した絶縁層形成ユニット84におけるものと同様の構成からなるモノマー蒸気供給手段112と、吹出口部材138とを有している。図15に示されるように、絶縁層形成ユニット88の吹出口部材138は、二本の防着バー140a、140bを有している。なお、図15においても、各防着バーにハッチングを付している。そして、防着バー140aにあっては、吹出口部材138における下側筒部の幅方向(図15の上下方向)の下端に、防着バー140bにあっては、防着バー140aより上方に所定距離、離れた位置に配置されている。
加えて、図11に示されるように、熱電材料層形成ユニット90は、先述した熱電材料層形成ユニット86と同様の構成を呈するものであり、熱電材料の蒸気発生部92と、吹出口部材132とを有している。但し、熱電材料層形成ユニット90における蒸気発生部92では、その内部の容器に第一の熱電材料が収容されている。
そして、上記の如き構造を有する製造装置60を用いて、図9に示される積層体54を製造する際には、例えば、以下の手順に従って、その操作が進められる。
先ず、図11に示されるように、フィルムロール80を巻出しローラ76に外挿して、セットする。次いで、フィルムロール80から基材フィルム12aを巻き出して、キャンローラ74に巻き掛けた後、その先端部を巻取りローラ78に取り付ける。その後、図示しない真空形成手段を作動させることにより、真空チャンバ62内(主室64及び副室66内)の真空度を調整する。
真空チャンバ62内の真空度を、所望とする程度にまで安定化させた後、キャンローラ74に取り付けられた電動モータを回転駆動させて、キャンローラ74を図11の矢印:α方向に回転させる。それと同時に、巻取りローラ78も回転駆動させる。これにより、基材フィルム12aを、副室66内から主室64内へと送り出して、キャンローラ74上を矢印:α方向に走行させる一方、キャンローラ74から送り出された基材フィルム12aの巻取りローラ78による巻取りを可能とする。そして、以下の工程a〜工程eが、その順において実施される。工程a〜工程eが実施された後の基材フィルム12a表面の状態を、図16(a)〜(e)に示す。
−工程a−
熱電材料層形成ユニット82を作動させて、第一の熱電材料の蒸気を発生させ、この蒸気を基材フィルム12a上に吹き付けることにより、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層を形成する。熱電材料層形成ユニット82の吹出口98には、防着バー108a、108bが配置されている(図12(b)参照)ところから、基材フィルム12上aには、かかるフィルムの搬送方向に延びる、第一熱電材料層の非形成部位が形成される。また、本工程において、熱電材料層形成ユニット82を間欠的に作動させる、要するに、熱電材料層形成ユニット82を、所定時間だけ作動させた後、所定時間だけ停止させるという操作を繰り返すことにより、基材フィルム12aの搬送方向に直交する方向に延びる第一熱電材料層の非形成部位が、搬送方向において所定の間隔毎に形成される。本工程に従い、基材フィルム12a上に形成された第一熱電材料層は、図16(a)においてハッチングが付された部位である。
−工程b−
絶縁層形成ユニット84を作動させて、原料モノマーの蒸気を発生させ、この蒸気を、工程aにより第一熱電材料層が形成された基材フィルム12a上に吹き付けることにより、絶縁性合成樹脂の蒸着重合膜からなる絶縁層を形成する。絶縁層形成ユニット84の吹出口118には、防着バー130a、130bが配置されている(図13(b)参照)ところから、基材フィルム12a上には、かかるフィルムの搬送方向に延びる、絶縁層の非形成部位が形成される。本工程に従い、基材フィルム12a上に形成された絶縁層は、図16(b)においてハッチングが付された部分である。
−工程c−
熱電材料層形成ユニット86を作動させて、第二の熱電材料の蒸気を発生させ、この蒸気を、工程bにより絶縁層が形成された基材フィルム12a上に吹き付けることにより、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層を形成する。熱電材料層形成ユニット86の吹出口には、防着バー134a、134b、134c、134dが配置されている(図14参照)ところから、基材フィルム12a上には、かかるフィルムの搬送方向に延びる、第二熱電材料層の非形成部位が形成される。また、本工程で使用される熱電材料層形成ユニット86も、先述した、工程aで使用される熱電材料層形成ユニット82と同様に、間欠的に作動させることにより、基材フィルム12aの搬送方向に直交する方向に延びる第二熱電材料層の非形成部位が、搬送方向において所定の間隔毎に形成される。本工程に従い、基材フィルム12a上に形成された第二熱電材料層は、図16(c)においてハッチングが付された部分である。なお、先の工程cにおける絶縁層の非形成部位のうち、本工程により第二熱電材料層が形成された部位に対応する部分には、第二の熱電材料が侵入することにより、工程aにて形成された第一熱電材料層との接続部が形成される。
−工程d−
絶縁層形成ユニット88を作動させて、原料モノマーの蒸気を発生させ、この蒸気を、工程cにより第二熱電材料層が形成された基材フィルム12a上に吹き付けることにより、絶縁性合成樹脂の蒸着重合膜からなる絶縁層を形成する。絶縁層形成ユニット88の吹出口138には、防着バー140a、140bが配置されている(図15参照)ところから、基材フィルム12a上には、かかるフィルムの搬送方向に延びる、絶縁層の非形成部位が形成される。本工程に従い、基材フィルム12a上に形成された絶縁層は、図16(d)においてハッチングが付された部分である。
−工程e−
熱電材料層形成ユニット90を作動させて、第一の熱電材料の蒸気を発生させ、この蒸気を、工程dにより絶縁層が形成された基材フィルム12a上に吹き付けることにより、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層を形成する。熱電材料層形成ユニット90の吹出口には、熱電材料層形成ユニット86の吹出口と同様に防着バー134a、134b、134c、134dが配置されているところから、基材フィルム12a上には、かかるフィルムの搬送方向に延びる、第一熱電材料層の非形成部位が形成される。また、本工程で使用される熱電材料層形成ユニット90も、先述した、工程aで使用される熱電材料層形成ユニット82と同様に、間欠的に作動させることにより、基材フィルム12aの搬送方向に直交する方向に延びる第一熱電材料層の非形成部位が、搬送方向において所定の間隔毎に形成される。本工程に従い、基材フィルム12a上に形成された第一熱電材料層は、図16(e)においてハッチングが付された部分である。なお、先の工程dにおける絶縁層の非形成部位のうち、本工程により第一熱電材料層が形成された部位に対応する部分には、第一の熱電材料が侵入することにより、工程cにて形成された第二熱電材料層との接続部が形成される。
以上の如き工程に従うことにより、図17に示される如き、基材フィルム12a上に第一熱電材料層が配置され、且つ、最表面層として第一熱電材料層を有する積層体54’が製造されるのである。
一方、基材フィルム12bに対して、上記各工程のうち、第一の熱電材料と第二の熱電材料とを入れ替えた工程a’〜工程e’に、更に工程b’と工程c’を実施する、換言すれば、工程a’→工程b’→工程c’→工程d’→工程e’→工程b’→工程c’の順に実施することにより、図17に示される如き、基材フィルム12b上に第二熱電材料層が配置され、且つ、最表面層として第一熱電材料層を有する積層体56’を製造することが可能である。
そして、以上の如くして得られた積層体54’、56’とを、その最表面層同士が接するように重ね合わせて、一体化せしめた後、熱電材料の非形成部位にて切断することにより、図9に示される如き熱電変換モジュール40が有利に得られるのである。
以上、図11に示される製造装置60を用いた、熱電変換モジュール40の製造方法について詳述してきたが、熱電変換モジュール40を製造する際には、製造装置60に更なる構成を追加した装置であっても、有利に使用することが出来る。例えば、製造装置60における各熱電材料層形成ユニットの直前に(フィルム搬送方向の上流側)に、フィルム搬送方向に直角な方向に所定幅のオイル層からなる熱電材料付着防止層をフィルム上に形成可能なマスク部形成ユニット(パターンロール等とも称される)を配設してなる装置を、有利に使用可能である。そのようなマスク部形成ユニットを用いた製造装置を使用することにより、上述した製造装置60を用いた製造方法においては必要とされていた、各熱電材料層形成ユニットの間欠的な作動は不要となり、連続的な作動が可能となる。なお、かかるマスク部形成ユニットによて形成された、オイル層からなる熱電材料付着防止層は、熱電材料層形成ユニットによって熱電材料層が形成される一方でフィルム上から効果的に消滅(揮発)し、その後の絶縁層形成ユニットによる絶縁層の形成を阻害するものではない。
一方、先述した、図6等に示される熱電変換モジュール10にあっては、製造装置60の構成を一部、変更した装置を用いることにより、製造することが可能である。具体的には、熱電材料層形成ユニット82の吹出口部材94における防着バー108aと、熱電材料層形成ユニット86、90の吹出口部材132における防着バー134b、134cとを有さない装置を用いて、1)先述した工程a〜工程eに従い、基材フィルム12a上に第一熱電材料層が配置され、且つ、最表面層として第一熱電材料層を有する積層体を製造し、2)基材フィルム12bに対して、第一の熱電材料と第二の熱電材料とを入れ替えた工程a’〜工程e’に、更に工程b’と工程c’を実施する(工程a’→工程b’→工程c’→工程d’→工程e’→工程b’→工程c’の順に実施する)ことにより、基材フィルム12b上に第二熱電材料層が配置され、且つ、最表面層として第一熱電材料層を有する積層体を製造し、3)そのようにして得られた二つの積層体を、その最表面層同士が接するように重ね合わせて、一体化せしめた後、熱電材料の非形成部位にて切断することにより、図6等に示される如き熱電変換モジュール10が有利に得られるのである。
本発明に従う熱電変換モジュールは、単独で用いられ得ることは勿論のこと、例えば、図18に示されるように複数個(図18では二個)の熱電変換モジュールを、異なる熱電材料層が直列的に接続されるように接続することによっても、使用することができる。また、本発明に従う熱電変換モジュールを、全体として長手帯状を呈し、且つ、基材フィルム上の外部接続部が幅方向に突出するように作製し、これを巻回することによって得られる巻回体(図19(a)参照)にあっても、図19(b)に示されるように、熱電変換モジュールとして使用可能である。
本発明に係る熱電変換モジュールの性能を確認すべく、以下の実験を行なった。
先ず、基材フィルムとしてのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、厚さ:25μm)と、第一の熱電材料としてのコンスタンタンと、第二の熱電材料としてのクロメルとを準備した。また、同時に、絶縁層をポリイミドの蒸着重合膜にて構成すべく、原料モノマーとして、ピロメリット酸二無水物及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを準備した。
−積層体iの作製−
上記した工程a〜工程eを実施した後、更に、工程b〜工程eを四回繰り返すことにより、積層体iを作製した。なお、積層体iにおける直列間距離は5mmであり、その最表面層は第一熱電材料層である。
−積層体iiの作製−
上記した工程a〜工程eであって、第一の熱電材料と第二の熱電材料とを入れ替えてなる工程a’〜工程e’を実施した後、工程b’〜工程e’を三回繰り返し、更に、工程b’〜工程c’を実施することにより、積層体iiを作製した。なお、積層体iiにおける直列間距離及び最表面層は、積層体iと同様である。
積層体iと積層体iiの最表面層が接するように重ね合わせ、その重ね合わせた状態で巻取りロールにて100回、巻き取った。その巻取り物を、熱電材料層の非形成部位において切断し、隣接する外部接続部同士を電気的に接続せしめることにより、熱電変換モジュールとした。なお、得られた熱電変換モジュールは、1000対のコンスタンタン−クロメルを有しており、積層方向の高さ:15mm、長手方向の長さ:100mm、幅方向(温度差を設ける方向)の長さ:8mmであった。
得られた熱電変換モジュールについて、光交流法に従って熱伝導率を測定したところ、0.68W/(m・K)であった。また、熱電変換特性は、50Kの温度差にて、3V、15mAの電流が得られたのである。
10 熱電変換モジュール 12 基材フィルム
14 積層部
16、26、34 第一熱電材料層
18、22、30 第二熱電材料層
40 熱電変換モジュール
42、48、52 第一熱電材料層
44、46、50 第二熱電材料層
60 製造装置
82、86、90 熱電材料層形成ユニット
84、88 絶縁層形成ユニット

Claims (3)

  1. 一対の、平面四角形状の基材フィルムの間に、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層と第二の熱電材料からなる第二熱電材料層とが、絶縁層を介して交互に積層され、且つ、絶縁層を介して隣り合う第一熱電材料層と第二熱電材料層とが接続されてなる熱電変換モジュールにして、
    一の基材フィルムにおける他の一の基材フィルムに対向する側の面上に形成された、前記第一の熱電材料からなる第一熱電材料層Aと、該他の一の基材フィルムにおける該一の基材フィルムに対向する側の面上に形成された、前記第二の熱電材料からなる第二熱電材料層Bとの間に、前記第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’、前記第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’、及び蒸着重合膜からなる絶縁層のうちの少なくとも一つ以上の層より構成される積層部を有しており、
    前記第一熱電材料層Aは、本体部A1と外部接続部A2とから構成されており、該本体部A1が、前記一の基材フィルムの面上における周縁部を除く部位に配置されていると共に、該外部接続部A2が、該一の基材フィルムの面上における一つの辺側の端部に、前記本体部A1から連続して延びる形態において配置されており、
    前記第二熱電材料層Bは、本体部B1と外部接続部B2とから構成されており、該本体部B1が、前記他の一の基材フィルムの面上における周縁部を除く部位に配置されていると共に、該外部接続部B2が、該他の一の基材フィルムの面上における一つの辺側の端部に、前記本体部B1から連続して延びる形態において配置されており、
    前記積層部は、前記第一熱電材料層Aの外部接続部A2及び前記第二熱電材料層Bの外部接続部B2を外部に露出せしめるように、前記一の基材フィルムと前記他の一の基材フィルムとの間に配置されており、
    前記積層部を構成する絶縁層は、マージン部を間に挟んで両側に位置する第一絶縁層部と第二絶縁層部とから構成されており、
    前記積層部を構成する第一熱電材料層A’は、該第一熱電材料層A’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に配置されており、
    前記積層部を構成する第二熱電材料層B’は、該第二熱電材料層B’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に配置されており、
    前記絶縁層における第一絶縁層部と第二絶縁層部との間のマージン部に、前記第一の熱電材料又は前記第二の熱電材料が導入されていることによって、前記絶縁層を介して隣り合う前記第一熱電材料層と前記第二熱電材料層とが接続されている、
    ことを特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 前記第一熱電材料層Aが、更に付属部A3をも含んで構成されており、該付属部A3は、前記一の基材フィルムの面上における、前記本体部A1から前記外部接続部A2への延出方向反対側の部位に、該本体部A1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部A3における該本体部A1に対向する側面とは反対側の側面が、前記一の基材フィルムの端面より内方に位置するように、配置されており、
    前記第二熱電材料層Bが、更に付属部B3をも含んで構成されており、該付属部B3は、前記他の一の基材フィルムの面上における、前記本体部B1から前記外部接続部B2への延出方向反対側の部位に、該本体部B1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部B3における該本体部B1に対向する側面とは反対側の側面が、前記他の一の基材フィルムの端面より内方に位置するように、配置されており、
    前記第一熱電材料層A’が、該第一熱電材料層A’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に形成される本体部A’1と、付属部A’2とから構成されており、該付属部A’2は、前記絶縁層の表面における周縁部上に、該本体部A’1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部A’2における該本体部A’1に対向する側面とは反対側の側面が、前記絶縁層の端面より内方に位置するように、配置されており、
    前記第二熱電材料層B’が、該第二熱電材料層B’の直下に位置する前記絶縁層の表面における周縁部を除く部位に形成される本体部B’1と、付属部B’2とから構成されており、該付属部B’2は、前記絶縁層の表面における周縁部上に、該本体部B’1との間にマージン部を介在させた状態で、且つ、該付属部B’2における該本体部B’1に対向する側面とは反対側の側面が、前記絶縁層の端面より内方に位置するように、配置されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱電変換モジュール。
  3. 請求項1に記載の熱電変換モジュールの製造方法にして、
    下記工程1乃至工程5を有する製造方法に従い、又は、下記工程1乃至工程3を有する製造方法に従い、一の基材フィルム上に第一熱電材料層Aが形成されており、且つ、最表面層が、前記第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’又は前記第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’の何れかである積層体Iを準備する工程と、
    下記工程1’乃至工程5’を有する製造方法に従い、又は、下記工程1’を有する製造方法に従い、他の一の基材フィルム上に第二熱電材料層Bが形成されており、且つ、最表面層が、前記積層体Iの最表面層を構成する熱電材料と同一のものにて構成されている積層体IIを準備する工程と、
    前記積層体Iと積層体IIとを、それら積層体の最表面層が接するように重ね合わせて、一体化せしめる工程と、
    を含む熱電変換モジュールの製造方法。
    工程1:一の基材フィルムの一方の面に、第一の熱電材料からなり、本体部A1と外部 接続部A2とから構成される第一熱電材料層Aを、気相成長法に従い、該本体部 A1については該一の基材フィルム表面における周縁部を除く部位上に形成する と共に、該外部接続部A2については、該一の基材フィルム表面における一つの 辺側の端部上に、該本体部A1から連続して伸びる形態において形成する。
    工程2:前記第一熱電材料層Aを形成した後、該第一熱電材料層Aが形成された前記一 の基材フィルム表面における、前記外部接続部A2側の端部を除く部位上に、第 一絶縁層部及び第二絶縁層部からなる絶縁層C1を、それら第一絶縁層部及び第 二絶縁層部がマージン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸着重合法に従っ て形成する。
    工程3:前記絶縁層C1を形成した後、該絶縁層C1表面における周縁部を除く部位上 に、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’を気相成長法に従って形成する と共に、前記絶縁層C1の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存在するマージ ン部に、該第二の熱電材料を導入する。
    工程4:前記第二熱電材料層B’を形成した後、該第二熱電材料層B’上と、前記絶縁 層C1における該第二熱電材料層B’の非形成部位上に、第一絶縁層部及び第二 絶縁層部からなる絶縁層C2を、それら第一絶縁層部及び第二絶縁層部がマージ ン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸着重合法に従って形成する。
    工程5:前記絶縁層C2を形成した後、該絶縁層C2表面における周縁部を除く部位上 に、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’を気相成長法に従って形成する と共に、前記絶縁層C2の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存在するマージ ン部に、該第一の熱電材料を導入する。
    工程1’:他の一の基材フィルムの一方の面に、第二の熱電材料からなり、本体部B1 と外部接続部B2とから構成される第二熱電材料層Bを、気相成長法に従い、 該本体部B1については該他の一の基材フィルム表面における周縁部を除く部 位上に形成すると共に、該外部接続部B2については、該他の一の基材フィル ム表面における一つの辺側の端部上に、該本体部B1から連続して伸びる形態 において形成する。
    工程2’:前記第二熱電材料層Bを形成した後、該第二熱電材料層Bが形成された前記 他の一の基材フィルム表面における、前記外部接続部B2側の端部を除く部位 上に、第一絶縁層部及び第二絶縁層部からなる絶縁層C1’を、それら第一絶 縁層部及び第二絶縁層部がマージン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸 着重合法に従って形成する。
    工程3’:前記絶縁層C1’を形成した後、該絶縁層C1’表面における周縁部を除く 部位上に、第一の熱電材料からなる第一熱電材料層A’を気相成長法に従って 形成すると共に、前記絶縁層C1’の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存 在するマージン部に、該第一の熱電材料を導入する。
    工程4’:前記第一熱電材料層A’を形成した後、該第一熱電材料層A’上と、前記絶 縁層C1’における該第一熱電材料層A’の非形成部位上に、第一絶縁層部及 び第二絶縁層部からなる絶縁層C2’を、それら第一絶縁層部及び第二絶縁層 部がマージン部を間に挟んで両側に位置するように、蒸着重合法に従って形成 する。
    工程5’:前記絶縁層C2’を形成した後、該絶縁層C2’表面における周縁部を除く 部位上に、第二の熱電材料からなる第二熱電材料層B’を気相成長法に従って 形成すると共に、前記絶縁層C2’の第一絶縁層部と第二絶縁層部との間に存 在するマージン部に、該第二の熱電材料を導入する。
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