JP5068503B2 - 熱電変換素子及び熱電変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換しあるいは電気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱電変換素子及び熱電変換装置に関する。
金属や半導体は、両側に温度差を与えると、その両側に電位差(電圧)が発生する(「ゼーベック効果」という)。この金属や半導体のゼーベック効果を利用することにより、熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。そこで、廃棄熱エネルギーの有効利用を図るために、熱電変換素子が開発されている。通常、熱電変換素子は、両側に温度差を加えることによって高温側から低温側に電子を送る(高温側が高電位となる)熱電変換部材(「n型熱電変換部材」という)と、両側に温度差を与えることによって高温側から低温側に正孔を送る(低温側が高電位となる)熱電変換部材(「p型熱電変換部材」という)を組み合わせて構成される。
熱電変換素子モジュールが、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の熱電変換素子モジュールは、複数個の熱電変換部材の側面を柔軟で絶縁性を有する保持部材により機械的に接続するとともに、モジュール内に空間を形成し、複数の熱電変換部材を電気的に接続する電極の表面を絶縁用の薄膜で覆っている。これにより、特許文献1に記載の熱電変換素子モジュールは、柔軟性(可撓性)を有しており、曲面への密着が可能である。
なお、金属や半導体は、前記とは逆に、両側に電圧を印加すると、一方側で放熱(加熱)し、他方側で吸熱(冷却)する(「ペルチェ効果」という)。このため、熱電変換素子は、冷却素子や加熱素子として用いることもできる。
特許第2896497号明細書
特許文献1に記載の熱電変換素子は、柔軟性(可撓性)を有しているため、曲面等の種々の配設箇所に配設することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の熱電変換素子は、バルク状材料を機械的に接続して形成している。このため、熱電変換素子を製造するのが容易でなく、時間も要する。また、バルク状材料を機械的に接続する構成を用いながら柔軟性を持たせると、機械的な接続箇所が損傷する虞がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、可撓性(柔軟性)を有するとともに、製造が容易である熱電変換素子及び熱電変換装置を提供することを目的とする。
本明細書では、特に断りがない限り、「熱電変換素子」は、熱エネルギー(高温エネルギーや低温エネルギー)を電気エネルギーに変換する熱電変換素子(発電素子)及び電気エネルギーを熱エネルギー(冷却エネルギーや加熱エネルギー)に変換する熱電変換素子(冷却素子や加熱素子)の双方を包含するものとして用いている。
また、「熱電変換装置」も、特に断りがない限り、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換装置(発電装置)及び電気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱電変換装置(冷却装置や加熱装置)の双方を包含するものとして用いている。
また、「可撓性を有している」という記載は、配置箇所の曲面形状(例えば、配管の外周面形状)に対応して形状を変形可能である特性を有していることを表している。好適には、厚さが0.3mm以下である帯状(テープ状)に形成される。
本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの熱電変換素子である。
本発明の熱電変換素子は、帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、帯状の接続部材を備えている。
帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有している。帯状の電極部としては、例えば、耐熱性合金であるハステロイ等の導電性金属材料により形成された金属製の基材テープが用いられる。p型熱電変換部としては、例えば、帯状の電極部の一方の面に、p型熱電変換材料により形成されたp型熱電変換膜が用いられる。p型熱電変換膜は、好適には、帯状の電極部の一方の面の全面に形成される。p型熱電変換材料としては、公知の種々のp型熱電変換材料(例えば、Ca3Co4O9、NaCo2O4等の酸化物系材料、Bi−Te系、Co−Sb系等の金属系材料)を用いることができる。
帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有している。帯状の電極部としては、p型熱電変換部材の帯状の電極部と同様の電極部を用いることができる。n型熱電変換部としては、例えば、帯状の電極部の一方の面に、n型熱電変換材料により形成されたn型熱電変換膜が用いられる。n型熱電変換膜は、好適には、帯状の電極部の一方の面の全面に形成される。n型熱電変換材料としては、公知の種々のn型熱電変換材料(例えば、LaNiO3等の酸化物系材料、Bi−Te系、Co−Sb系等の金属系材料)を用いることができる。
帯状の接続部材は、導電性を有し、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続する。帯状の接続部材としては、例えば、導電性の金属材料により形成された金属テープが用いられる。帯状の電極部材と、帯状のp型熱電変換部材帯状のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続する方法としては、例えば、接続面の間に接着用の薄い金属層を挿入して接着する方法、接続面を加圧・加熱し、接続部材を形成している導電性材料を拡散させることによって拡散接合する方法、真空中で接続面をイオンビーム等により清浄化し、活性表面同士を接着する方法等を用いることができる。
また、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間に、電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されている。抵抗低減部としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Ti等の、電極部を構成する導電性金属より抵抗率が小さい金属材料により形成される低抵抗層を用いることができる。抵抗低減部は、好ましくは、電極部の一方の面の全面に形成される。
そして、本発明の熱電変換素子では、帯状のp型熱電変換部材と帯状のn型熱電変換部材が帯状の接続部材の長手方向に直交する方向に離れた位置に配置され、帯状のp型熱電変換部材と帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、帯状のp型熱電変換部材及び帯状のn型熱電変換部材が並列に配設されている。
また、本発明の熱電変換素子は、熱源である廃棄ガス配管の外周面等に取り付けることができる可撓性(柔軟性)を有している。例えば、帯状のp型熱電変換部材、帯状のn型熱電変換部材、帯状の接続部材それぞれが0.3mm以下の厚さの帯状体(テープ)として形成される。そして、好適には、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面の全面が帯状の接続部材の面に接続される。
本発明の熱電変換素子は、帯状の電極部の一方の面にp型熱電変換部を配設することによって帯状のp型熱電変換部材を形成し、帯状の電極部の一方の面にn型熱電変換部を配設することによって帯状のn型熱電変換部材を形成し、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部を帯状の接続部材により接続している。
これにより、広い有効面積を有する熱電変換素子を容易に製造することができる。また、可撓性を有しているため、種々の形状の設置箇所に容易に設置することができる。さらに、機械的な接続を必要としないため、十分な強度を有している。
また、広い有効面積を有するため、出力電力あるいは吸熱量や発熱量が増大する。
また、p型熱電変換部材及びn型熱電変換部材内での損失を低減することができ、効率を高めることができる。
本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの熱電変換素子である。
本発明の熱電変換素子は、帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、帯状の接続部材を備えている。
帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有している。帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有している。帯状のp型熱電変換部材及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部としては、例えば、前述した帯状の電極部を用いることができる。また、p型熱電変換部及びn型熱電変換部としては、例えば、前述したp型熱電変換部及びn型熱電変換部を用いることができる。
帯状の接続部材は、導電性を有し、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続する。帯状の接続部材としては、例えば、前述した接続部材を用いることができる。また、帯状の接続部材と、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続する方法としては、例えば、前述した方法を用いることができる。
また、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間に、電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されている。抵抗低減部としては、前述した抵抗低減部を用いることができる。
そして、本発明の熱電変換素子では、帯状のp型熱電変換部材と帯状のn型熱電変換部材が帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、帯状のp型熱電変換部材と帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、帯状のp型熱電変換部材及び帯状のn型熱電変換部材が直列に配設されている。
また、本発明の熱電変換素子は、熱源である廃棄ガス配管の外周面等に取り付けることができる可撓性(柔軟性)を有している。可撓性を持たせるための構成としては、例えば、前述した構成を用いることができる。
本発明の熱電変換素子は、帯状の電極部の一方の面にp型熱電変換部を配設することによって帯状のp型熱電変換部材を形成し、帯状の電極部の一方の面にn型熱電変換部を配設することによって帯状のn型熱電変換部材を形成し、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部を帯状の接続部材により接続している。
これにより、広い有効面積を有する熱電変換素子を容易に製造することができる。また、可撓性を有しているため、種々の形状の設置箇所に容易に設置することができる。さらに、機械的な接続を必要としないため、十分な強度を有している。
また、広い有効面積を有するため、出力電力あるいは吸熱量や発熱量が増大する。
また、p型熱電変換部材及びn型熱電変換部材内での損失を低減することができ、効率を高めることができる。
本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの熱電変換素子である。
本発明の熱電変換素子は、m個(mは2以上の正の整数)の帯状の単位熱電変換素子と、n個(nは1以上の正の整数)の第1の帯状の接続部材とにより構成されている。
m個の帯状の単位熱電変換素子は、それぞれ、帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、第2の帯状の接続部材とを備えている。
帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有している。帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有している。帯状のp型熱電変換部材及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部としては、例えば、前述した帯状の電極部を用いることができる。また、p型熱電変換部及びn型熱電変換部としては、例えば、前述したp型熱電変換部及びn型熱電変換部を用いることができる。第2の帯状の接続部材は、導電性を有し、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続する。第2の帯状の接続部材としては、例えば、前述した接続部材を用いることができる。また、第2の帯状の接続部材と、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続する方法としては、例えば、前述した方法を用いることができる。
そして、本発明の帯状の単位熱電変換素子では、帯状のp型熱電変換部材と帯状のn型熱電変換部材が第2の帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、帯状のp型熱電変換部材と帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が第2の帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、帯状のp型熱電変換部材及び帯状のn型熱電変換部材が直列に配設されている。
また、本発明の熱電変換素子では、m個の帯状の単位熱電変換素子は、長手方向に沿って配置され、隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子は、n個の第1の帯状の接続部材により接続されている。ここで、m個の帯状の単位熱電変換素子は、各帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材と帯状のn型熱電変換部材の配置関係が同じになるように、すなわち、隣接する帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材と他方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材が対向するように配置されている。n個の第1の帯状の接続部材は、それぞれ、導電性を有し、隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面と、他方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面を接続している。第1の帯状の接続部材としては、例えば、前述した接続部材を用いることができる。また、第1の帯状の接続部材と、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面を接続する方法としては、例えば、前述した方法を用いることができる。
また、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間に、電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されている。抵抗低減部としては、前述した抵抗低減部を用いることができる。
そして、本発明の熱電変換素子では、隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子と他方の帯状の単位熱電変換素子が、当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子を接続する第1の帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子それぞれの長手方向が当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子を接続する第1の帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記m個の帯状の単位熱電変換素子が直列に配設されている。
帯状の単位熱電変換素子の個数mは、例えば、熱電変換素子から出力する電圧の値に応じて決定される。また、通常、第1の帯状の接続部材の個数nは、帯状の単位熱電変換素子の個数より1個少ない(n=m−1)。
また、本発明の熱電変換素子は、熱源である廃棄ガス配管の外周面等に取り付けることができる可撓性(柔軟性)を有している。例えば、帯状のp型熱電変換部材、帯状のn型熱電変換部材、第1の帯状の接続部材、第2の帯状の接続部材それぞれが0.3mm以下の厚さの帯状体(テープ)として形成される。そして、好適には、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面の全面が第2の帯状の接続部材の面に接続され、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面の前面が第1の帯状の接続部材の面に接続される。
本発明の熱電変換素子は、帯状の電極部の一方の面にp型熱電変換部を配設することによって帯状のp型熱電変換部材を形成し、帯状の電極部の一方の面にn型熱電変換部を配設することによって帯状のn型熱電変換部材を形成し、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部を第2の帯状の接続部材により接続することによって帯状の単位熱電変換素子を形成し、さらに、複数の単位熱電変換素子を長手方向に配置し、隣接する一方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部と、他方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部を第1の帯状の接続部材により接続している。
これにより、広い有効面積を有する熱電変換素子を容易に製造することができる。また、可撓性を有しているため、種々の形状の設置箇所に容易に設置することができる。また、機械的な接続を必要としないため、十分な強度を有している。さらに、所望の電圧を出力する熱電変換素子を、帯状の単位熱電変換素子の数を変更するのみで容易に得ることができる。
また、広い有効面積を有するため、出力電力あるいは吸熱量や発熱量が増大する。
また、p型熱電変換部材及びn型熱電変換部材内での損失を低減することができ、効率を高めることができる。
本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの熱電変換素子である。
本発明では、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部として、配向金属基板あるいは配向酸化物基板を用いている。また、帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部及び帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部として、a軸配向膜を用いている。
配向金属基板は、Ag、Ni、Cu等を含む金属材料を、圧延等により一定の方向に原子の並びを制御した基板が対応する。配向酸化物基板は、金属基板の上に酸化物膜を形成すると同時に、イオンビーム等の物理的手段で不要な方位の結晶を除去しながら特定方向の結晶を成長させたものである。
a軸配向膜は、電極部の面に配設されている膜を構成する化合物の結晶構造のa軸が、電極部の面と直交する方向(垂直方向)に配向されている状態を意味する。すなわち、帯状のp型熱電変換部及び帯状のn型熱電変換部として、p型熱電変換材料により形成されたp型熱電変換膜及びn型熱電変換材料により形成されたn型熱電変換膜を用いるとともに、p型熱電変換材料及びn型熱電変換材料を構成する化合物の結晶構造のa軸が電極部の面と直交する方向に配向されている状態を意味する。ここで、全ての化合物の結晶構造のa軸が電極部の面と直交する方向に配向されてなくてもよく、例えば、a軸方向の電気伝導性がc軸方向の電気伝導性より5〜20倍程度よい場合には、5%程度の化合物の結晶構造のa軸が電極部の面と直交する方向に配向されていればよい。
本発明では、p型熱電変換部及びn型熱電変換部を形成するp型熱電変換材料及びn型熱電変換材料の化合物の結晶構造のa軸が電極部の面に直交する方向に配向されている。化合物の結晶構造のa軸は、c軸に比べて電気伝導性が良い。すなわち、a軸方向の抵抗値は、c軸方向の抵抗値より小さい。このため、p型熱電変換部材及びn型熱電変換部材内での損失を低減することができ、効率を高めることができる。
本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの熱電変換装置である。
本発明の熱電変換装置は、熱電変換素子と、第1のリード線と、第2のリード線を備えている。
本発明の熱電変換素子は、第1発明の熱電変換素子と同様の構成である。そして、第1のリード線は、帯状のp型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、第2のリード線は、帯状のn型熱電変換部材の抵抗低減部に電極部に導電接続されている。
そして、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子が配設される。被温度制御体には、被加熱部材や被冷却部材、被加熱部材を加熱する加熱媒体や被冷却部材を冷却する冷却媒体が包含される。帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子を配設する態様としては、典型的には、一方と熱源あるいは被温度制御体との間の距離が他方と熱源あるいは被温度制御体との間の距離より短くなるように熱電変換素子を配設する態様が用いられる。
本発明の熱電変換装置を発電装置として用いる場合には、例えば、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の一方が、熱源である配管の外周面に接触するように、熱電変換素子を配管に巻き付ける。なお、配管と熱電変換素子との間に介在物が配設されていてもよい。
また、本発明の熱電変換装置を冷却装置として用いる場合には、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材のうちの吸熱動作を行う側が、放熱動作を行う側より被冷却体に接近して配置されるように熱電変換素子を配設する。本発明の熱電変換装置を加熱装置として用いる場合には、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材のうちの放熱動作を行う側が、吸熱動作を行う側より被加熱体に接近して配置されるように熱電変換素子を配設する。帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材のいずれが吸熱動作あるいは放熱動作を行うかは、第1のリード線と第2のリード線の間に供給される電圧の極性によって決定される。
本発明は、第1発明と同様の効果を有している。
本発明の第6発明は、請求項6に記載されたとおりの熱電変換装置である。
本発明の熱電変換装置は、熱電変換素子と、第1のリード線と、第2のリード線を備えている。
本発明の熱電変換素子は、第2発明の熱電変換素子と同様の構成である。そして、第1のリード線は、帯状のp型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、第2のリード線は、帯状のn型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続されている。
そして、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子が配設される。帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子を配設する態様としては、前述した態様と同様の態様を用いることができる。
本発明は、第2発明と同様の効果を有している。
本発明の第7発明は、請求項7に記載されたとおりの熱電変換装置である。
本発明の熱電変換装置は、m個(mは2以上の正の整数)の帯状の単位熱電変換素子と、n個(nは1以上の正の整数)の第1の帯状の接続部材とにより構成されている。
本発明の帯状の単位熱電変換素子は、第3発明の帯状の単位熱電変換素子と同様の構成であり、第3発明の帯状の単位熱電変換素子と同様の態様で配置されている。また、本発明の第1の帯状の接続部材は、第3発明の第1の帯状の接続部材と同様に構成され、第3発明の第1の帯状の接続部材と同様の態様で、隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子を接続している。
そして、第1のリード線は、長手方向に沿った一方端に配置されている帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、第2のリード線は、長手方向に沿った他方端に配置されている帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続されている。
そして、第1のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のp型熱電変換部材の電極部、第2のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のn型熱電変換部材の電極部及び第1の帯状の接続部材と第2の帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、第1のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のp型熱電変換部材の電極部、第2のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のn型熱電変換部材の電極部及び第1の帯状の接続部材と第2の帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子が配設される。第1のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のp型熱電変換部材の電極部、第2のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のn型熱電変換部材の電極部及び第1の帯状の接続部材と第2の帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、第1のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のp型熱電変換部材の電極部、第2のリード線が抵抗低減部に導電接続されている帯状のn型熱電変換部材の電極部及び第1の帯状の接続部材と第2の帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子を配設する態様としては、前述した態様と同様の態様を用いることができる。
本発明は、第3発明と同様の効果を有している。
請求項1〜4に記載の熱電変換素子及び請求項5〜7に記載の熱電変換装置を用いることにより、可撓性(柔軟性)を有するとともに、製造が容易である熱電変換素子及び熱電変換装置を得ることができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
第1の実施の形態の熱電変換装置100を、図1及び図2に示す。なお、図1は、第1の実施の形態の熱電変換装置100の概略図であり、図2は、図1のII線矢視図である。第1の実施の形態の熱電変換装置100は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置として構成されている。
本実施の形態の熱電変換装置100は、熱電変換素子110と、第1のリード線171、第2のリード線172を備えている。
熱電変換素子110は、n型熱電変換部材120と、p型熱電変換部材130と、金属テープ140を有している。
n型熱電変換部材120は、基材テープ121とn型熱電変換膜123を有している。
基材テープ121は、導電性材料、好適には、導電性金属材料により形成され、n型熱電変換部材120の電極として用いられる。基材テープ121は、例えば、耐熱性合金であるハステロイC−276により形成される。また、基材テープ121は、可撓性(柔軟性)を有するように、厚さが0.3mm以下、例えば、0.1mmのテープ状に形成される。基材テープの幅や長さは適宜設定可能である。
n型熱電変換膜123は、基材テープ121の一方の面(図1及び図2の上方側の面)に、n型熱電変換材料により形成される。本実施の形態では、基材テープ121の一方の面の全面にn型熱電変換膜123が形成されている。n型熱電変換材料としては、公知の種々のn型熱電変換材料を用いることができる。例えば、LaNiO3等の酸化物系材料、Bi−Te系、Co−Sb系等の金属系材料を用いることができる。n型熱電変換膜123は、適切な熱電変換特性を得ることができる厚さに形成される。例えば、10μm程度の厚さに形成される。
p型熱電変換部材130は、基材テープ131とp型熱電変換膜133を有している。
基材テープ131は、n型熱電変換部材120の基材テープ121と同様の導電性材料、例えば、ハステロイC−276により形成され、p型熱電変換部材130の電極として用いられる。また、基材テープ131は、可撓性(柔軟性)を有するように、厚さが0.3mm以下、例えば、0.1mmのテープ状に形成される。
p型熱電変換膜133は、基材テープ131の一方の面(図1及び図2の上方側の面)に、p型熱電変換材料により形成される。本実施の形態では、基材テープ131の一方の面の全面にp型熱電変換膜133が形成されている。p型熱電変換材料としては、公知の種々のp型熱電変換材料を用いることができる。例えば、Ca3Co4O9、NaCo2O4等の酸化物系材料、Bi−Te系、Co−Sb系等の金属系材料を用いることができる。p型熱電変換膜133は、適切な熱電変換特性を得ることができる厚さに形成される。例えば、10μm程度の厚さに形成される。
金属テープ140は、導電性材料、例えば、導電性金属材料により形成され、n型熱電変換部材120とp型熱電変換部材130を接続する。本実施の形態では、金属テープ140は、n型熱電変換部材120のn型熱電変換膜123の、基材テープ121が配設されている側の面と反対側の面(図1及び図2の上方側の面)と、p型熱電変換部材130のp型熱電変換膜133の、基材テープ131が配設されている側の面と反対側の面(図1及び図2の上方側の面)を接続する。また、本実施の形態では、n型熱電変換部材120のn型熱電変換膜123の、基材テープ121が配設されている側の面と反対側の面の全面と、p型熱電変換部材130のp型熱電変換膜133の、基材テープ131が配設されている側の面と反対側の面の全面が、金属テープ140の面に接続されている。金属テープ140は、例えば、導電性金属材料であるCuにより形成される。また、金属テープ140は、可撓性(柔軟性)を有するように、厚さが0.3mm以下、例えば、0.1mmのテープ状に形成される。金属テープ140の幅や長さは適宜設定可能である。
金属テープ140の面とn型熱電変換膜123の面及びp型熱電変換膜133の面を接続する方法としては、例えば、接続面の間に接着用の薄い金属層を挿入して接着する方法、接続面を加圧・加熱し、金属テープ140を形成している導電性材料を拡散させることによって拡散接合する方法、真空中で接着面をイオンビーム等により清浄化し、活性表面同士を接着する方法等を用いることができる。
この時、n型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130が金属テープ140の長手方向(図2の前後方向)に直交する方向(図2の左右方向)に離れて配置され、n型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130それぞれの長手方向が金属テープ140の長手方向と平行になるように、n型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130が並列に配設される。そして、金属テープ140をn型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130に接続した状態では、熱電変換素子110は、可撓性(柔軟性)を有するテープ状(帯状)に形成される。
このように、n型熱電変換部材120、p型熱電変換部材130及び金属テープ140を、金属テープ140の長手方向に対して並列に配設することにより、発電面積(有効面積)を広くすることができ、出力電力が増大する。
なお、金属テープ140とn型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130との接続は、金属テープ140とn型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130の間を電流が流れることができればよく、必ずしも接続面を直接接続する必要はない。
p型熱電変換部材130の基材テープ131には第1のリード線171の一端が導電接続され、n型熱電変換部材120の基材テープ121には第2のリード線172の一端が導電接続される。
第1のリード線171の他端と第2のリード線172の他端は、負荷160に接続される。第1のリード線171及び第2のリード線172と負荷160との間に他の回路が接続されていてもよい。
そして、n型熱電変換部材120のn型熱電変換膜123及びp型熱電変換部材130のp型熱電変換膜133の両側に温度差が加わるように熱電変換素子110を配設する。図1及び図2では、n型熱電変換膜123の金属テープ140側が高温、基材テープ121側が低温となり、p型熱電変換膜133の金属テープ140側が高温、基材テープ131側が低温となるように、金属テープ140を高温部側に配置し、基材テープ121及び131を低温部側に配置している。すなわち、金属テープ140と高温部との間の熱伝達率が、基材テープ121及び131と高温部との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子110を配設している。
ここで、高温部として高温の流体(廃棄ガスや蒸気)が流れる配管が用いられ、低温部として大気が用いられる場合には、金属テープ140が配管の外周面側に配置されるように(好適には、金属テープ140が配管の外周面に接触するように)、熱電変換素子110を配管に巻き付けるのが好ましい。このように、熱電変換素子110を配管に巻き付けることにより、配管内を流れる流体の温度の利用効率が向上する。
この場合、n型熱電変換膜123では、電子が高温側から低温側に移動し、p型熱電変換膜133では、正孔が高温側から低温側に移動する。図1及び図2では、金属テープ140側を高温、基材テープ121及び131側を低温にしているため、第1のリード線171側が正、第2のリード線172側が負となり、負荷160には矢印の方向に負荷電流Iが流れる。
なお、n型熱電変換膜123の金属テープ140側が低温、基材テープ121側が高温となり、p型熱電変換膜133の金属テープ140側が低温、基材テープ131側が高温となるように、金属テープ140を低温部側に配置し、基材テープ121及び131を高温部側に配置することもできる。
本実施の形態では、n型熱電変換部材120が本発明の「帯状のn型熱電変換部材」に対応し、基材テープ121が本発明の「帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部」に対応し、n型熱電変換膜123が本発明の「帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部」に対応し、p型熱電変換部材130が本発明の「帯状のp型熱電変換部材」に対応し、基材テープ131が本発明の「帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部」に対応し、p型熱電変換膜133が本発明の「帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部」に対応し、金属テープ140が本発明の「帯状の接続部材」に対応する。
以上のように、本実施の形態では、基材テープ121の一方の面側にn型熱電変換材料によってn型熱電変換膜123を形成してテープ状のn型熱電変換部材120を製造し、また、基材テープ131の一方の面側にp型熱電変換材料によってp型熱電変換膜133を形成してテープ状のp型熱電変換部材130を製造している。そして、テープ状のn型熱電変換部材120とテープ状のp型熱電変換部材130を金属テープによって接続することによって、テープ状の熱電変換素子110を製造している。
これにより、広い発電面積(有効面積)を有する帯状の熱電変換素子を容易に製造することができる。また、可撓性を持たせることができるため、種々の形状の設置箇所に容易に設置することができる。さらに、機械的な接続を必要としないため、十分な強度を有している。
また、発電面積(有効面積)を広くすることができるため、出力電力が増大する。
ところで、基材テープ121や131の一方の面側にn型熱電変換膜123やp型熱電変換膜133を配設する場合、n型熱電変換膜123の基材テープ121に直交する方向の電気伝導性やp型熱電変換膜133の基材テープ131に直交する方向の電気伝導性が良い方が、n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133での損失が少ない。
ここで、n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133の化合物の結晶構造は、a軸、b軸、c軸等の軸を有している。a軸方向の電気伝導性は、他の軸方向の電気伝導性より良い。このため、n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133の化合物の結晶構造のa軸を、基材テープ121及び131に直交する方向に配向させることによって、すなわち、n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133をa軸配向膜とすることによって、損失を低減することができ、熱電変換効率を高めることができる。例えば、p型熱電変換材料としてCa3Co4O9を用いる場合には、図3に示すように、p型熱電変換膜133を、p型熱電変換膜133の化合物の結晶構造のa軸を基材テープ131に直交する方向に配向させたa軸配向膜とすることによって熱電変換効率を高めることができる。
n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133の化合物の結晶構造の配向方向を制御する方法としては、例えば、基材テープ121及び131として配向金属基板あるいは配向酸化物基板を用いる方法が考えられる。配向金属基板は、Ag、Ni、Cu等を含む金属材料を、圧延等によって、原子の並びを一定の方向に制御した基板である。配向酸化物基板は、金属基板の上に酸化物膜を形成すると同時にイオンビーム等の物理的手段を用いて不要な方向の結晶を除去しながら特定の方向の結晶を成長させたものである。配向金属基板あるいは配向酸化物基板の面内(a−b軸面)配向度△φを評価する指標としては、X線回折の極点図(pole figure)が用いられる。本実施の形態では、面内(a−b軸面)配向度△φが15°程度以下である配向金属基板あるいは配向酸化物基板を用いている。
なお、a軸配向は、X線回折による(L00)ピークの有無から存在を確認することができる。a軸方向の電気伝導性がc軸方向の電気伝導性より5〜20倍程度良いことを考慮すると、化合物の結晶構造の5%以上がa軸配向されていれば、化合物の結晶構造がc軸配向されている場合と同等以上の特性を得ることができる。これは、X線回折ピーク強度比[I(L00)/{I(L00)+I(00L)}]が5%程度以上であることで確認できる。例えば、p型熱電変換材料としてCa3Co4O9を用いる場合、X線回折(θ−2θスキャン)パターンの16°付近に現れる(002)ピークと37°付近に現れる(200)ピークの強度比[I(200)/{I(200)+I(002)}]を比較して5%以上になっているか否かを確認すればよい。
以上のように、n型熱電変換部材120の基材テープ121及びp型熱電変換部材130の基材テープ131として配向金属基板あるいは配向酸化物基板を用い、n型熱電変換部材120の基材テープ120の一方の面側に配設されるn型熱電変換膜123及びp型熱電変換部材130の基材テープ131の一方の面側に配設されるp型熱電変換膜133をa軸配向膜とする技術を用いることによって、n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133での損失を低減することができる。
したがって、第1の実施の形態の熱電変換素子110にこのような技術を用いることによって、熱電変換素子110の熱電変換効率を高めることができる。この技術は、他の実施の形態にも用いることができる。
次に、n型熱電変換部材のn型熱電変換膜及びp型熱電変換部材のp型熱電変換膜の形状と、熱電変換素子の熱電変換効率との関係を説明する。
いま、図4に示すように、n型熱電変換部材120とp型熱電変換部材130が、金属テープ140の長手方向に直交する方向に離れて配置されている(金属テープ140の長手方向に対して並列に配置されている)熱電変換素子110を例にして説明する。
ここで、n型熱電変換部材120のn型熱電変換膜123、p型熱電変換部材130のp型熱電変換膜133のゼーベック係数をSn、Sp、導電率をσn、σp、熱伝導率をκn、κp、高さ(厚さ)をLn、Lp、断面積(金属テープ130と対向する面の面積)をAn、Apとする。また、負荷抵抗をR、負荷電流をIとする。また、金属テープ140(高温側)の温度をTh、n型熱電変換部材120の基材テープ121及びp型熱電変換部材130の基材テープ131(低温側)の温度をTcとする。
図4に示す熱電変換素子110の熱電変換効率ηは、金属テープ140(高温側)に流入する(吸熱する)熱流をQh、熱電変換素子110の発電電力Pを用いて[1式]で表される。
Figure 0005068503
[1式]
ここで、ゼーベック効果により熱電変換素子110に発生する起電力(電圧)Vは、[2式]で表される。
Figure 0005068503
[2式]
負荷抵抗をR、熱電変換素子110の内部抵抗をrとすると、負荷に流れる負荷電流Iは、[3式]で表される。
Figure 0005068503
[3式]
熱電変換素子110の発電電力Pは、[2式]と[3式]を用いて[4式]で表される。
Figure 0005068503
[4式]
ここで、ゼーベック係数、導電率、熱伝導率が温度に依存しないとした場合には、金属テープ140(高温側)に流入する熱流Qhは、[5式]で表される。
Figure 0005068503
[5式]
[4式]と[5式]により、効率ηは、[6式]で表される。
Figure 0005068503
[6式]
[6式]に[3式]を代入すると、[7式]が得られる。
Figure 0005068503
[7式]
[7式]から、熱電変換素子110の熱電変換効率ηは、n型熱電変換膜123とp型熱電変換膜133の形状寸法に関連するKとrの積[Kr](Kr積)に依存することがわかる。すなわち、[Kr]が小さい程熱電変換素子110の熱電変換効率ηは高くなる。
[Kr]は、n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133の形状寸法である断面積、高さ(厚さ)等によって変化する。
先ず、n型熱電変換膜123の断面積Anとp型熱電変換膜133の断面積Apとの比[断面積比=Ap/An]と熱電変換素子110の熱電変換効率ηとの関係について検討する。
ここで、断面積比[Ap/An]をxとすると、[Kr(x)]は[8式]で表される。
Figure 0005068503
[8式]
断面積比xで表された[Kr(x)]は、[dKr(x)/dx=0]の時に極小値[Kr(x)min]となる。
[Kr(x)min]が極小値となる断面積比xは、[9式]で表される。
Figure 0005068503
[9式]
ここで、[断面積比x=1](n型熱電変換膜123の断面積Anとp型熱電変換膜133の断面積Apが同じ)である時の[Kr(1)]は、[Kr(x)]の最小値[Kr(x)min]より大きくなる[Kr(1)>Kr(x)min]ため、熱電変換素子110の熱電変換効率ηは低下する。
さらに、[Kr(1)=Kr(x)]となるxは、[10式]により算出される。
Figure 0005068503
[10式]
[10式]から、[11式]が導かれる。
Figure 0005068503
[11式]
[式11]から、[Kr(1)=Kr(x)]となる断面積比xは、[12式]により表される。
Figure 0005068503
[12式]
したがって、熱電変換効率ηが、[断面積比x=1]の時の熱電変換効率ηより高くなる断面積比xの範囲は、[13式]で表される。
Figure 0005068503
[13式]
ここで、n型熱電変換膜123の高さ(厚さ)Lnとp型熱電変換膜133の高さ(厚さ)Lpが同じ[Ln=Lp]場合には、断面積比xが[14式]で示される範囲で、[断面積比x=1]の時の熱電変換効率ηより高くなる。
Figure 0005068503
[14式]
例えば、κn=20(W/mK)、σn=1.0(Ω−1cm−1)、κp=3(W/mK)、σp=0.5(Ω−1cm−1)である場合には、[1<x<(40/3)]の範囲において、すなわち、p型熱電変換膜133の断面積Apがn型熱電変換膜123の断面積Anの(40/3倍)より小さい範囲において、n型熱電変換膜123の断面積Anがp型熱電変換膜133の断面積Apと同じ時の熱電変換効率ηより高くなる。
なお、熱電変換効率ηが最大となる断面積比xは、[14式]で表される。
Figure 0005068503
[15式]
すなわち、p型熱電変換膜133の断面積Apがn型熱電変換膜123の断面積Anの[約3.6倍]の時に、熱電変換効率ηが最大となる。
次に、n型熱電変換膜123の高さ(厚さ)Lnとp型熱電変換膜133の高さ(厚さ)Lpとの比[高さ比=Lp/Ln]と熱電変換素子110の熱電変換効率ηとの関係について検討する。
ここで、高さ比[Lp/Ln]をyとすると、[Kr(y)]は[16式]で表される。
Figure 0005068503
[16式]
高さ比yで表された[Kr(y)]は、[dKr(y)/dy=0]の時に極小値[Kr(y)min]となる。
[Kr(y)min]が極小値となる高さ比yは、[17式]で表される。
Figure 0005068503
[17式]
ここで、[高さ比y=1](n型熱電変換膜123の高さLnとp型熱電変換膜133の高さLpが同じ)である時の[Kr(1)]は、[Kr(y)]の最小値[Kr(y)min]より大きくなる[Kr(1)>Kr(y)min]ため、熱電変換素子110の熱電変換効率ηは低下する。
さらに、[Kr(1)=Kr(y)]となるyは、[18式]により算出される。
Figure 0005068503
[18式]
[18式]から、[19式]が導かれる。
Figure 0005068503
[19式]
[式19]から、[Kr(1)=Kr(y)]となる高さ比yは、[20式]により表される。
Figure 0005068503
[20式]
したがって、熱電変換効率ηが、[高さ比y=1]の時の熱電変換効率ηより高くなる高さ比yの範囲は、[21式]で表される。
Figure 0005068503
[21式]
ここで、n型熱電変換膜123の断面積Anとp型熱電変換膜133の断面積Apが同じ[An=Ap]場合には、高さ比yが[22式]で示される範囲で、[高さ比y=1]の時の熱電変換効率ηより高くなる。
Figure 0005068503
[22式]
例えば、κn=20(W/mK)、σn=1.0(Ω−1cm−1)、κp=3(W/mK)、σp=0.5(Ω−1cm−1)である場合には、[0.075<y<1]の範囲において、すなわち、p型熱電変換膜133の高さLpがn型熱電変換膜123の高さLnの(0.075倍)より大きい範囲において、n型熱電変換膜123の高さLnがp型熱電変換膜133の高さLpと同じ時の熱電変換効率ηより高くなる。
なお、熱電変換効率ηが最大となる高さ比yは、[23式]で表される。
Figure 0005068503
[23式]
すなわち、p型熱電変換膜133の高さLpがn型熱電変換膜123の高さLnの[約0.27倍]の時に、熱電変換効率ηが最大となる。
以上のように、n型熱電変換部材120のn型熱電変換膜123及びp型熱電変換部材130のp型熱電変換膜133の形状寸法、例えば、断面積や高さ(厚さ)を設定することによって、熱電変換素子110の熱電変換効率ηを高めることができる。例えば、n型熱電変換膜123の断面積Anとp型熱電変換膜133の断面積Apを、断面積比x(=Ap/An)が[14式]を満足するように設定することによって、あるいは、n型熱電変換膜123の高さ(厚さ)Lnとp型熱電変換膜133の高さ(厚さ)Lpを、高さ比y(=Lp/Ln)が[21式]を満足するように設定することによって、熱電変換素子110の熱電変換効率ηを高めることができる。
なお、n型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133の導電率や熱伝導率を選択することによっても、熱電変換素子110の熱電変換効率ηを高めることができる。
したがって、第1の実施の形態の熱電変換素子110にこのような技術を用いることによって、熱電変換素子110の熱電変換効率を高めることができる。この技術は、他の実施の形態にも用いることができる。
ところで、電流が流れる基材テープ(例えば、熱電変換素子110のn型熱電変換部材120の基材テープ121やp型熱電変換部材130の基材テープ131)の抵抗値(n型熱電変換部材120やp型熱電変換部材130の内部抵抗の抵抗値)は、電力損失の観点からは小さい方が好ましい。しかしながら、抵抗値が大きい基材テープ121や131を使用する場合がある。
そこで、抵抗値が大きい基材テープ121や131を用いた場合でも、電力損失を低減することができる第2の実施の形態を、図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は、第2の実施の形態の熱電変換装置100の概略図であり、図6は、図5のVI線矢視図である。
第2の実施の形態の熱電変換装置100は、n型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130の構成が図1及び図2に示した第1の実施の形態の熱電変換装置100と異なるだけである。以下では、第1の実施の形態と異なる構成を主に説明する。
本実施の形態の熱電変換装置100は、熱電変換素子110と、第1のリード線171、第2のリード線172を備えている。
熱電変換素子110は、n型熱電変換部材120と、p型熱電変換部材130と、金属テープ140を有している。
n型熱電変換部材120は、基材テープ121と、抵抗低減層122と、n型熱電変換膜123を有している。基材テープ121、n型熱電変換膜123は、第1の実施の形態と同様の構成である。
抵抗低減層122は、基材テープ121を構成する導電性金属材料(例えば、ハステロイ)の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属材料(例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Ti等)(低抵抗金属材料)によって形成される。
抵抗低減層122は、基材テープ121の一方の面(図5及び図6の上方側の面)に、前述した低抵抗金属材料によって形成される。本実施の形態では、基材テープ121の一方の面の全面に抵抗低減層122が形成されている。抵抗低減層122は、例えば、30〜50μmの厚さで形成される。
そして、抵抗低減層122の、基材テープ121が配設されている側の面と反対側の面(図5及び図6の上方側の面)に、n型熱電変換材料によってn型熱電変換膜123が形成される。本実施の形態では、抵抗低減層122の、基材テープ121が配設されている側と反対側の面の全面にn型熱電変換膜123が形成されている。
p型熱電変換部材130も同様に、基材テープ131と、抵抗低減層132と、p型熱電変換膜133を有している。基材テープ131、p型熱電変換膜133は、第1の実施の形態と同様の構成である。
抵抗低減層132は、基材テープ131を構成する導電性金属材料(例えば、ハステロイ)の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属材料(例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Ti等)(低抵抗金属材料)によって形成される。
抵抗低減層132は、基材テープ131の一方の面(図5及び図6の上方側の面)に、前述した低抵抗金属材料によって形成される。本実施の形態では、基材テープ131の一方の面の全面に抵抗低減層132が形成されている。抵抗低減層132は、例えば、30〜50μmの厚さで形成される。
そして、抵抗低減層132の、基材テープ131が配設されている側の面と反対側の面(図5及び図6の上方側の面)に、p型熱電変換材料によってp型熱電変換膜133が形成される。本実施の形態では、抵抗低減層132の、基材テープ131が配設されている側と反対側の面の全面にp型熱電変換膜133が形成されている。
抵抗低減層122及び132は、本発明の「抵抗低減部」に対応する。
金属テープ140は、n型熱電変換部材120のn型熱電変換膜123の、抵抗低減層122が配設されている側の面と反対側の面(図1及び図2の上方側の面)と、p型熱電変換部材130のp型熱電変換膜133の、抵抗低減層132がが配設されている側の面と反対側の面(図1及び図2の上方側の面)を接続する。金属テープ140の構成、金属テープ140をn型熱電変換膜123及びp型熱電変換膜133と接続する態様は、第1の実施の形態と同様である。
この時、n型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130が金属テープ140の長手方向(図2の前後方向)に直交する方向(図6の左右方向)に離れて配置され、n型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130それぞれの長手方向が金属テープ140の長手方向と平行になるように、n型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130が並列に配設される。また、金属テープ140をn型熱電変換部材120及びp型熱電変換部材130に接続した状態では、熱電変換素子110は、可撓性(柔軟性)を有するテープ状に形成される。
そして、熱電変換素子110に第1のリード線171及び第2のリード線172が導電接続される。本実施の形態では、p型熱電変換部材130の抵抗低減層132に第1のリード線171の一端が導電接続され、n型熱電変換部材120の抵抗低減層122に第2のリード線172の一端が導電接続される。第1のリード線171の他端と第2のリード線172の他端は、負荷160に接続される。なお、第1のリード線171は、抵抗低減層132と基材テープ131に跨って接続されてもよい。同様に、第2のリード線172は、抵抗低減層122と基材テープ121に跨って接続されてもよい。
例えば、抵抗率が130×10−6Ω・cm、幅1cm、厚さ0.1mm、長さ10mのハステロイテープで形成された基材テープの両端抵抗値は、13Ωである。
そして、抵抗率が1.59×10−6Ω・cm、幅1cm、厚さ0.05mm、長さ10mのAgの抵抗低減層の両端抵抗値は、3.18×10−2Ωである。
この場合、抵抗低減層を設けることによって、熱電変換部材の内部抵抗が約1/400となり、電力損失を大幅に低減することができる。
以上のように、本実施の形態では、n型熱電変換部材120の基材テープ121とn型熱電変換膜123との間に抵抗低減層122を配設するとともに、p型熱電変換部材130の基材テープ131とp型熱電変換膜133との間に抵抗低減層132を配設している。また、第1及び第2のリード線を、p型熱電変換部材130の抵抗低減層132及びn型熱電変換部材120の抵抗低減層122に接続している。
これにより、抵抗率が大きい材料によって形成されている基材テープ121及び131を用いる場合には、基材テープ121及び131を流れる電流が低減される。したがって、基材テープ121及び131による電力損失を低減することができ、熱電変換素子の熱電変換効率を向上させることができる。
この技術は、他の実施の形態にも用いることができる。
第1及び第2の実施の形態では、n型熱電変換部材とp型熱電変換部材を、金属テープの長手方向に直交する方向に離して配設した(金属テープの長手方向に対して並列に配設した)が、n型熱電変換部材とp型熱電変換部材を、金属テープの長手方向に離して配設する(金属テープの長手方向に対して直列に配設する)こともできる。
n型熱電変換部材とp型熱電変換部材を、金属テープの長手方向に離して配設した第3の実施の形態を図7及び図8に示す。なお、図7は、第3の実施の形態の熱電変換装置200の概略図であり、図8は、図7のVIII線矢視図である。
本実施の形態の熱電変換装置200は、単位熱電変換素子250A、250Bと、単位熱電変換素子250A、250Bを接続する金属テープ240Cを備えている。
なお、図7及び図8では、2個の単位熱電変換素子250A、250Bと、1個の金属テープ240Cを有しているが、単位熱電変換素子の個数mは、2以上の正の整数の中から選択可能であり、単位熱電変換素子を接続する金属テープの個数nは、1以上の正の整数の中から選択可能である。通常、単位熱電変換素子を接続する金属テープの個数nは、単位熱電変換素子の個数mより1個少ない(n=m−1)。
図7及び図8に示す熱電変換装置200では、[m=2]、[n=1]である。
単位熱電変換素子250Aは、n型熱電変換部材220Aと、p型熱電変換部材230A、金属テープ240Aを有している。
n型熱電変換部材220Aは、基材テープ221Aとn型熱電変換膜223Aを有している。p型熱電変換部材230Aは、基材テープ231Aとp型熱電変換膜233Aを有している。
基材テープ221A、231Aは、第1の実施の形態の基材テープ121、131と同様に、導電性材料、好適には、導電性金属材料(例えば、ハステロイC−276)により形成され、それぞれn型熱電変換部材220A、p型熱電変換部材230Aの電極として用いられる。また、可撓性(柔軟性)を有するように、厚さが0.3mm以下、例えば、0.1mmのテープ状に形成される。
n型熱電変換膜223A、p型熱電変換膜233Aは、第1の実施の形態のn型熱電変換膜123、p型熱電変換膜133と同様に、それぞれ基材テープ221A、231Aの一方の面(図7及び図8の上方側の面)に、n型熱電変換材料(例えば、LaNiO3等の酸化物系材料、Bi−Te系、Co−Sb系等の金属系材料)、p型熱電変換材料(例えば、Ca3Co4O9、NaCo2O4等の酸化物系材料、Bi−Te系、Co−Sb系等の金属系材料)により形成される。本実施の形態では、基材テープ221A、231Aの一方の面の全面にn型熱電変換膜223A、p型熱電変換膜233Aが形成されている。n型熱電変換膜223A、p型熱電変換膜233Aは、適切な熱電変換特性を得ることができる厚さ、例えば、10μm程度の厚さに形成される。
金属テープ240Aは、第1の実施の形態の金属テープ140と同様に、導電性材料、例えば、導電性金属材料(例えば、Cu)により形成され、n型熱電変換部材220Aとp型熱電変換部材230Aを接続する。本実施の形態では、金属テープ140Aは、n型熱電変換部材220Aのn型熱電変換膜223Aの、基材テープ221Aが配設されている側の面と反対側の面(図7及び図8の上方側の面)と、p型熱電変換部材230Aのp型熱電変換膜233Aの、基材テープ231Aが配設されている側の面と反対側の面(図7及び図8の上方側の面)を接続する。また、本実施の形態では、n型熱電変換膜223Aの、基材テープ221Aが配設されている側の面と反対側の面の全面と、p型熱電変換膜233Aの、基材テープ231Aが配設されている側の面と反対側の面の全面が、金属テープ240Aの面に接続されている。また、金属テープ140は、可撓性(柔軟性)を有するように、厚さが0.3mm以下、例えば、0.1mmのテープ状に形成される。金属テープ240Aの面とn型熱電変換膜223Aの面及びp型熱電変換膜233Aの面を接続する方法としては、例えば、前述した方法を用いることができる。
本実施の形態では、n型熱電変換部材220A及びp型熱電変換部材230Aが金属テープ240Aの長手方向(図7及び図8の左右方向)に離れて配置され、n型熱電変換部材220A及びp型熱電変換部材230Aそれぞれの長手方向が金属テープ240Aの長手方向と平行になるように、n型熱電変換部材220A及びp型熱電変換部材230Aが直列に配設されている。そして、金属テープ240Aをn型熱電変換部材220A及びp型熱電変換部材230Aに接続した状態では、単位熱電変換素子250Aは、可撓性(柔軟性)を有するテープ状(帯状)に形成される。
単位熱電変換素子250Bは、単位熱電変換素子250Aと同様に、n型熱電変換部材220Bと、p型熱電変換部材230B、金属テープ240Bを有している。
n型熱電変換部材220Bは、n型熱電変換部材220Aと同様に、基材テープ221Bとn型熱電変換膜223Bを有している。p型熱電変換部材230Bは、p型熱電変換部材230Aと同様に、基材テープ231Bとp型熱電変換膜233Bを有している。
そして、単位熱電変換素子250Bは、単位熱電変換素子250Aと同様に、n型熱電変換部材220B及びp型熱電変換部材230Bが金属テープ240Bの長手方向(図7及び図8の左右方向)に離れて配置され、n型熱電変換部材220B及びp型熱電変換部材230Bそれぞれの長手方向が金属テープ240Bの長手方向と平行になるように、n型熱電変換部材220B及びp型熱電変換部材230Bが直列に配設されている。そして、金属テープ240Bをn型熱電変換部材220B及びp型熱電変換部材230Bに接続した状態では、単位熱電変換素子250Bは、可撓性(柔軟性)を有するテープ状(帯状)に形成される。
また、単位熱電変換素子250A、250Bは長手方向に沿って、単位熱電変換素子250A、250Bのn型熱電変換部材220A、220Bとp型熱電変換部材230A、230Bの配置関係が同じになるように配置される。図7及び図8では、n型熱電変換部材220A、220Bが左側、p型熱電変換部材220A、220Bが右側に位置するように配置されている。この場合、単位熱電変換素子250Aのp型熱電変換部材230Aと他方の単位熱電変換素子250Bのn型熱電変換部材220Bが対向する。勿論、単位熱電変換素子250A、250Bは、n型熱電変換部材220A、220Bとp型熱電変換部材230A、230Bの配置関係が逆になるように(n型熱電変換部材220A、220Bが右側、p型熱電変換部材230A、230Bが左側に位置するように)配置することもできる。すなわち、複数の単位熱電変換素子は、隣接して配置されている単位熱電変換素子の一方の単位熱電変換素子のp型熱電変換部材と他方の単位熱電変換素子のn型熱電変換部材が対向するように、長手方向に沿って配置される。
そして、単位熱電変換素子250A、250Bは、金属テープ240Cによって接続される。図7及び図8では、金属テープ240Cは、単位熱電変換素子250Aのp型熱電変換部材230Aの基材テープ231Aの他方の面(p型熱電変化膜233Aが配設されている側の面と反対側の面)と、単位熱電変換素子250Bのn型熱電変換部材220Bの基材テープ221Bの他方の面(n型熱電変化膜223Bが配設されている側の面と反対側の面)を接続している。すなわち、金属テープ240Cは、隣接して配置されている一方の単位熱電変換素子のp型熱電変換部材の基材テープの他方の面と、他方の単位熱電変換素子のn型熱電変換部材の基材テープの他方の面を接続している。
金属テープ240Cは、金属テープ240A、240Bと同様に構成することができる。また、金属テープ240Cと、p型熱電変換部材230Aの基材テープ231Aの他方の面及びn型熱電変換部材220Bの基材テープ221Bの他方の面を接続する方法としては、例えば、前述した方法を用いることができる。
本実施の形態では、単位熱電変換素子250Aと250Bが金属テープ240Cの長手方向に離れた位置に配置され、単位熱電変換素子250Aと250Bそれぞれの長手方向が金属テープ240Cの長手方向と平行になるように、単位熱電変換素子250A及び250Bが直列に配設されている。すなわち、隣接して配置されている一方の単位熱電変換素子と他方の単位熱電変換素子が、当該一方の単位熱電変換素子と当該他方の単位熱電変換素子を接続する金属テープの長手方向に離れた位置に配置され、当該一方の単位熱電変換素子と当該他方の単位熱電変換素子それぞれの長手方向が当該一方の単位熱電変換素子と当該他方の単位熱電変換素子を接続する金属テープの長手方向と平行になるように、単位熱電変換素子が直列に配設されている。
そして、金属テープ240Cを単位熱電変換素子250A及び250Bに接続した状態では、熱電変換装置200は、可撓性(柔軟性)を有するテープ状(帯状)に形成される。
そして、第1のリード線271は、単位熱電変換素子250Bのp型熱電変換部材230Bの基材テープ231Bに導電接続され、第2のリード線272は、単位熱電変換素子250Aのn型熱電変換部材220Aの基材テープ221Aに導電接続されている。すなわち、第1のリード線271は、長手方向に配置されている単位熱電変換素子のうち一方端に配置されている単位熱電変換素子のp型熱電変換部材の基材テープに導電接続され、第2のリード線272は、他方端に配置されている単位熱電変換素子のn型熱電変換部材の基材テープに導電接続される。
さらに、単位熱電変換素子250A、250Bのn型熱電変換部材220A、220Bとp型熱電変換部材230A、230Bを接続している金属テープ240A、240Bと、隣接して配置されている単位熱電変換素子250A、250Bを接続している金属テープ240Cの一方が高温側に配置され、他方が低温側に配置されるように、熱電変換素子210(単位熱電変換素子250A、250B)が配設されている。
ここで、高温部として高温の流体(廃棄ガスや蒸気)が流れる配管が用いられ、低温部として大気が用いられる場合には、金属テープ240A、240Bと金属テープ240Cの一方が配管の外周面側に配置されるように(好適には、配管の外周面に接触するように)、熱電変換素子210(単位熱電変換素子250A、250B)を配管に巻き付けるのが好ましい。
なお、長手方向に沿った一方端に配置されている単位熱電変換素子の基材テープのうち、隣接して配置されている単位熱電変換素子を接続する金属テープが接続されていない基材テープ、すなわち、第1のリード線271が接続されているp型熱電変換部材230Bの基材テープ231Bと、長手方向に沿った他方端に配置されている単位熱電変換素子の基材テープのうち、隣接して配置されている単位熱電変換素子を接続する金属テープが接続されていない基材テープ、すなわち、第2のリード線272が接続されているn型熱電変換部材220Aの基材テープ221Aが、隣接して配置されている単位熱電変換素子を接続する金属テープ240Cと同様の熱伝達状態となるように熱電変換素子210(単位熱電変換素子250A、250B)を配設するのが好ましい。
本実施の形態では、単位熱電変換素子250A及び250Bを長手方向に沿って直列に接続して熱電変換素子210を構成しているため、熱電変換装置200の出力電圧は、単位熱電変換素子250A、250Bそれぞれの出力電圧を加算した値となる。
本実施の形態では、単位熱電変換素子250A、250Bが本発明の「単位熱電変換素子」に対応し、金属テープ240Cが本発明の「第1の帯状の接続部材」に対応し、n型熱電変換部材220A、220Bが本発明の「帯状のn型熱電変換部材」に対応し、基材テープ221A、221Bが本発明の「帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部」に対応し、n型熱電変換膜223A、223Bが本発明の「帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部」に対応し、p型熱電変換部材230A、230Bが本発明の「帯状のp型熱電変換部材」に対応し、基材テープ231A、231Bが本発明の「帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部」に対応し、p型熱電変換膜233A、233Bが本発明の「帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部」に対応し、金属テープ240A、240Bが本発明の「第2の帯状の接続部材」に対応する。
以上のように、本実施の形態では、基材テープ221A、221Bの一方の面側にn型熱電変換材料によってn型熱電変換膜223A、223Bを形成してテープ状のn型熱電変換部材220A、220Bを製造し、基材テープ231A、231Bの一方の面側にp型熱電変換材料によってp型熱電変換膜233A、233Bを形成してテープ状のp型熱電変換部材230A、230Bを製造し、そして、テープ状のn型熱電変換部材220A、220Bとテープ状のp型熱電変換部材230A、230Bを金属テープ240A、240Bによって接続することによって、テープ状の単位熱電変換素子250A、250Bを製造している。さらに、複数のテープ状の単位熱電変換素子250A、250Bを長手方向に配置し、隣接して配置されている単位熱電変換素子250A、250Bを金属テープ240Cによって接続してテープ状の熱電変換素子210を製造している。
これにより、広い有効面積を有する帯状の熱電変換素子を容易に製造することができる。また、可撓性を持たせることができるため、種々の形状の設置箇所に容易に設置することができる。さらに、機械的な接続を必要としないため、十分な強度を有している。
また、テープ状のn型熱電変換部材220A、220B、テープ状のp型熱電変換部材230A、230B及び金属テープ240A、240Bを、金属テープ240A、240Bの長手方向に対して直列に接続してテープ状の単位熱電変換素子250A、250Bを製造し、さらに、複数のテープ状の単位熱電変換素子250A、250Bを、金属テープ240Cの長手方向に対して直列に接続してテープ状の熱電変換素子を製造している。これにより、出力電圧を増大することができるとともに、単位熱電変換素子の数によって出力電圧を調整することができる。
なお、第3の実施の形態では複数個の単位熱電変換素子250A、250Bを用いて熱電変換素子210(熱電変換装置200)を構成したが、1個の単位熱電変換素子を用いて熱電変換装置を構成することもできる。
また、第3の実施の形態に、前述した、n型熱電変換部材の基材テープとn型熱電変換膜の間及びp型熱電変換部材の基材テープとp型熱電変換膜の間に抵抗低減層を配設する技術を用いることもできる。この場合には、第1のリード線及び第2のリード線を、一方端に配置されている単位熱電変換素子のp型熱電変換部材の抵抗低減層及び他方端に配置されている単位熱電変換素子のn型熱電変換部材の抵抗低減層に導電接続するのが好ましい。また、第1の帯状の接続部材(図7の金属テープ240C)を、図7に示すように、隣接して配置されている一方のテープ状の単位熱電変換素子のテープ状のp型熱電変換部材の基材テープと他方のテープ状の単位熱電変換素子のテープ状のn型熱電変換部材の基材テープ(例えば、図7の基材テープ231Aと221B)に接続してもよいが、隣接して配置されている一方のテープ状の単位熱電変換素子のテープ状のp型熱電変換部材の抵抗低減層と他方のテープ状の単位熱電変換素子のテープ状のn型熱電変換部材の抵抗低減層に接続するのが好ましい。このように構成することにより、電力損失を低減することができる。
また、第3の実施の形態に、前述した、n型熱電変換部材のn型熱電変換膜及びp型熱電変換部材のp型熱電変換膜の形状寸法を設定することによって、単位熱電変換素子の熱電変換効率ηを高める技術を用いることもできる。
本発明の熱電変換素子は、可撓性(柔軟性)を有するテープ状に形成されているため、配管の外周面等の種々の形状の設置箇所に設置することができる。
本発明の熱電変換素子、例えば、第3の実施の形態の熱電変換装置200を排気ガスや蒸気等の高温の流体が流れる配管(熱源配管)の外周面に巻き付けた状態を図9に示す。この場合、高温とする側(例えば、隣接して配置されている単位熱電変換素子250A、250Bに設けられている金属テープ240A、240B)が、低温とする側(例えば、隣接して配置されている単位熱電変換素子250A、250Bを接続している金属テープ240C、更に、好ましくは、一方端に配置されている単位熱電変換素子250Bのp型熱電変換部材230Bの基材テープ231B、他方端に配置されている単位熱電変換素子250Aのn型熱電変換部材220Aの基材テープ221A)より配管の外周面から近い位置に配置されるように、すなわち、高温とする側と配管との間の熱伝達率が、低温とする側と配管との間の熱伝達率より大きくなるように熱電変換素子210を配管に巻き付ける。熱電変換素子210の高温とする側が配管の外周面に接するように熱電変換素子を配管に巻き付けるのが好ましいが、熱電変換素子と配管の外周面との間に他の部材が介在されていてもよい。
図9に示すように、熱電変換素子を配管の外周面に沿って巻きつけた場合、熱電変換素子には、実線で示す張力Fが発生する。この張力Fは、配管の長手方向に沿った長手方向張力Fa(=F・cosθ)と、配管の周方向に沿った周方向張力Fr(=F・sinθ)の和である。なお、θは、配管の長手方向と、配管の外周面に巻き付けられた熱電変換素子210の長手方向との間の角度である。
ここで、熱電変換素子210を配管に安定に巻き付けることができる条件は[Fr>Fa]である。すなわち、[θ>45°]の時である。
また、熱電変換素子210の幅をW、配管の最小巻付け管径を2rとした場合、[θ>45°]を満足しながら、熱電変換素子を重なりが発生することなく配管に巻き付けることができるための臨界点は、[24式]で表される。
Figure 0005068503
[24式]
すなわち、幅がWである熱電変換素子は、[24式]を満足する管径より小さい管径を有する配管には安定に巻き付けることができない。
次に、テープ状の熱電変換素子を構成するテープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材を製造する方法について説明する。
前述した実施の形態では、テープ状のn型熱電変換部材は、基材テープの一方の面にn型熱電変換膜が形成され、あるいは、基材テープの一方の面に抵抗低減層とn型熱電変換膜が順次重ねて形成され、テープ状のp型熱電変換部材は、基材テープの一方の面にp型熱電変換膜が形成され、あるいは、基材テープの一方の面に抵抗低減層とp型熱電変換膜が順次重ねて形成されている。
基材テープの一方の面にn型熱電変換膜あるいは抵抗低減層とn型熱電変換膜を形成する方法、また、基材テープの一方の面にp型熱電変換膜あるいは抵抗低減層とp型熱電変換膜を形成する方法としては種々の方法を用いることができる。ここで、テープ状のn型熱電変換部材、テープ状のp型熱電変換部材の製造効率を高める観点からは、基材テープを走行させながら、当該基材テープの一方の面にn型熱電変換膜、p型熱電変換膜等を形成することができる成膜装置を用いるのが好ましい。
以下に、基材テープを走行させながら基材テープの一方の面にn型熱電変換膜、p型熱電変換膜を形成することができる成膜装置について説明する。
この成膜装置は、基材テープを巻き出す巻出リールが設けられている巻出室、基材テープを巻き取る巻取リールが設けられている巻取室、巻出室と巻取室の間に設けられ、基材テープの一方の面にn型熱電変換膜、p型熱電変換膜等を形成する成膜室を有している。巻出室内、巻取室内、成膜室内は、真空ポンプにより真空に減圧することが可能である。
成膜室には、基材テープをらせん状に配置した状態で走行させるための複数のローラが設けられている。また、成膜室には、走行中の基材テープを加熱するヒータ、膜を形成する原料を蒸発させる気化器が設けられている。気化器としては、膜を形成する方法(例えば、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法、CVD法)等に応じた気化器(例えば、スパッタ法ではターゲットと放電用電源、抵抗加熱蒸着法では原料るつぼと通電用直流電源、電子ビーム加熱蒸着法では原料ハースと電子銃ユニット、CDV法では加熱蒸発ユニット)が用いられる。
そして、基材テープを成膜室に設けられている複数のローラにらせん状に配置した状態で周回走行させながらヒータや気化器を用いて、基材テープの一方の面にn型熱電変換膜、p型熱電変換膜等を形成する。
次に、本発明の熱電変換素子及び熱電変換装置で使用する熱電変換部材の実施例を以下に説明する。
[実施例1]
耐熱性合金であるハステロイC−276(幅10mm、厚さ0.1mm、長さ10m)の一方の面にAg膜が30μmの厚さで形成されたテープを、熱電変換部材の基材テープとして用いる。基材テープの表面は、膜を形成する前に有機溶剤(エタノール)で脱脂して巻取リールに巻き付け、巻出室内にセットする。
真空ポンプを用いて巻出室、巻取室および成膜室を1×10−3Pa程度以下まで減圧し、基材テープを加熱するヒータを所望温度(600〜800℃の温度範囲)に設定する。
MOCVD(有機金属化学気相蒸着:Metalorganic Chemical Vapor Deposition)原料としてCa(DPM)2[カルシウムジピバロイルメタナート:Calcium Dipivaloylmethanate、化学式Ca(C11H19O2)2]及びCo(DPM)3[コバルトジピバロイルメタナート:Cobalt Dipivaloylmethanate、化学式Co(C11H19O2)3]を所定量秤量し、有機溶剤中に溶解する。得られた溶液を気化器によりガス化し、反応ガス(酸素ガス等)と共に基材テープの表面に供給する。
その後、速度10m/hで基材テープの巻き取りを開始し、p型熱電変換材料であるCa3Co4O9膜の成膜を開始し、搬送方向を正逆転させながら、膜厚が10μmになるまで成膜を繰り返した。
以上の方法で取得した熱電変換部材のゼーベック係数および抵抗率を、市販の評価装置を用いて測定した。その結果、測定温度800Kにおいて、ゼーベック係数は150μV/K、抵抗率は5.2mΩ・cmを示し、性能指標となるパワーファクター(PF=S/ρ、S:ゼーベック係数、ρ:抵抗率)は43×10−5(W/mK)であった。
[実施例2]
耐熱性合金であるハステロイC−276(幅10mm、厚さ0.1mm、長さ10m)の一方の面にAg膜が30μmの厚さで形成されたテープを、熱電変換部材の基材テープとして用いる。基材テープの表面は、膜を形成する前に有機溶剤(エタノール)で脱脂して巻取リールに巻き付け、巻出室内にセットする。
真空ポンプを用いて巻出室、巻取室および成膜室を1×10−3Pa程度以下まで減圧し、基材テープを加熱するヒータを所望温度(600〜800℃の温度範囲)に設定する。
n型熱電変換材料であるLaNiO3をスパッタリング用ターゲットとし、RF(高周波)電源で500Wの電力を投入し、スパッタ法により基材テープの表面に供給する。
その後、速度10m/hで基材テープの巻き取りを開始し、n型熱電変換材料であるLaNiO3膜の成膜を開始し、搬送方向を正逆転させながら、膜厚が10μmになるまで成膜を繰り返した。
以上の方法で取得した熱電変換部材のゼーベック係数および抵抗率を、市販の評価装置を用いて測定した。その結果、測定温度800Kにおいて、ゼーベック係数はマイナス35μV/K、抵抗率は1.2mΩ・cmを示し、性能指標となるパワーファクターPFは10.2×10−5(W/mK)であった。
[実施例3]
基材テープとして、Ni−W(3%)配向金属基板(幅10mm、厚さ0.1mm、長さ10m)を用いる。配向金属基板としては、面内配向度△φが△φ=6°のものを用いた。基材テープとして配向金属基板を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で熱電変換部材を取得した。
X線回折装置を用いて結晶構造を評価したところ、大部分はc軸配向しているものの、一部にa軸配向している結晶構造が確認できた。(002)回折ピークと(200)回折ピークの強度比[I(200)/{I(200)+I(002)}]は、約12%であった。
得られた熱電変換部材のゼーベック係数および抵抗率を、市販の評価装置を用いて測定した。その結果、測定温度800Kにおいて、ゼーベック係数は135μV/K、抵抗率は1.7mΩ・cmを示し、性能指標となるパワーファクターPFは107×10−5(W/mK)であった。
[実施例4]
基材テープとして、Ni−W(3%)配向金属基板(幅10mm、厚さ0.1mm、長さ10m)を用いた。配向金属基板としては、面内配向度△φが△φ=6°のものを用いた。基材テープとして配向金属基板を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で熱電変換部材を取得した。
X線回折装置を用いて結晶構造を評価したところ、大部分はc軸配向しているものの、一部にa軸配向している結晶構造が確認できた。(002)回折ピークと(200)回折ピークの強度比[I(200)/{I(200)+I(002)}]は、約9%であった。
得られた熱電変換部材のゼーベック係数および抵抗率を、市販の評価装置を用いて測定した。その結果、測定温度800Kにおいて、ゼーベック係数はマイナス55μV/K、抵抗率は0.7mΩ・cmを示し、性能指標となるパワーファクターPFは43×10−5(W/mK)であった。
[実施例5]
実施例3および実施例4で得られたp型熱電変換部材及びn型熱電変換部材を、p型熱電変換膜およびn型熱電変換膜の、基材テープが配設されている側の面と反対側の面同士をCuテープ(幅25mm、厚さ0.1mm、長さ10m)で接続することによって、熱電変換素子を作製した。得られた熱電変換素子を、アルミナ製の直管状パイプに巻付け、アルミナ管の温度を800Kに保持した。
p型熱電変換部材及びn型熱電変換部材それぞれの電極を兼ねた基材テープの端に電流計を接続し、閉回路を形成した。測定した電流値と負荷抵抗値から算出した発電電力は340Wであった。
以上のように、基材テープ(帯状の電極部)と、基材テープの一方の面に配設されている、n型熱電変換材料により形成されたn型熱電変換膜(n型熱電変換部)によりテープ状のn型熱電変換部材(帯状のn型熱電変換部材)を構成し、基材テープと、基材テープの一方の面に配設されている、p型熱電変換材料により形成されたp型熱電変換膜(p型熱電変換部)によりテープ状のp型熱電変換部材(帯状のp型熱電変換部材)を構成している。このため、テープ状のn型熱電変換部材(帯状のn型熱電変換部材)やテープ状のp型熱電変換部材(帯状のp型熱電変換部材)の製造が容易である。
この時、基材テープとn型熱電変換膜との間、あるいは、基材テープとp型熱電変換膜との間に、基材テープを構成する導電性材料の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減層(抵抗低減部)を配設することにより、電力損失の少ないテープ状のn型熱電変換部材やテープ状のp型熱電変換部材を得ることができる。
また、基材テープとして配向金属基板あるいは配向酸化物基板を用い、n型熱電変換膜やp型熱電変換膜をa軸配向膜とすることにより、電力損失の少ないテープ状のn型熱電変換部材やテープ状のp型熱電変換部材を得ることができる。
そして、このようなテープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材と、金属テープ(帯状の接続部材)を用いることによってテープ状の熱電変換素子(帯状の熱電変換素子)あるいはテープ状の単位熱電変換素子(帯状の単位熱電変換素子)を構成している。例えば、テープ状のn型熱電変換部材のn型熱電変換膜の、基材テープが配設されている側の面と反対側の面と、テープ状のp型熱電変換部材のp型熱電変換膜の、基材テープが配設されている側と反対側の面を金属テープによって接続することによってテープ状の熱電変換素子あるいはテープ状の単位熱電変換素子を構成することができる。この場合、金属テープをテープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材に接続するだけでよいため、テープ状の熱電変換素子あるいはテープ状の単位熱電変換素子を容易に製造することができる。
また、テープ状の熱電変換素子あるいはテープ状の単位熱電変換素子に可撓性を持たせることができる。
また、機械的な接続を必要としないため、十分な強度を有している。
また、金属テープに対するテープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材の配設態様を変えることによって、異なる特性を有するテープ状の熱電変換素子あるいはテープ状の単位熱電変換素子を構成することができる。
また、複数のテープ状の単位熱電変換素子を長手方向に沿って配置するとともに、隣接して配置されているテープ状の単位熱電変換素子を金属テープによって接続することにより、所望の電圧を発生するテープ状の熱電変換素子を得ることができる。この場合、金属テープを、テープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材に接続する作業や、金属テープを、隣接して配置されている一方のテープ状の単位熱電変換素子のp型熱電変換部材の基材テープと他方のテープ状の単位熱電変換部材のn型熱電変換部材の基材テープを接続する作業だけでよいため、所望の電圧を発生する熱電変換素子を容易に製造することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
例えば、熱電変換部材は両側に温度差が与えられると、その両側に電圧を発生する。このため、両側のいずれを高温側あるいは低温側に設定するかは適宜選択することができる。
また、金属テープ(帯状の接続部材)をテープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材に接続してテープ状の熱電変換素子あるいはテープ状の単位熱電変換素子を構成したが、テープ状のn型熱電変換部材あるいはテープ状のp型熱電変換部材を単独で用いることもできる。
また、厚さを薄くすることによってテープ状の熱電変換部材、テープ状の熱電変換素子あるいは単位熱電変換素子に可撓性を持たせたが、熱電変換材料や導電性材料を選択することによって可撓性を持たせるようにしてもよい。
また、基材テープにn型熱電変換膜を形成したテープ状のn型熱電変換部材、基材テープにp型熱電変換膜を形成したテープ状のp型熱電変換部材を構成し、金属テープ(帯状の接続部材)をテープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材に接続してテープ状の熱電変換素子あるいはテープ状の単位熱電変換素子を構成したが、共通の基材テープにn型熱電変換膜とp型熱電変換膜を形成してテープ状の熱電変換素子あるいはテープ状の単位熱電変換素子を構成することもできる。この場合には、金属テープをテープ状のn型熱電変換部材及びテープ状のp型熱電変換部材に接続する作業が不要となる。
また、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置として使用する場合について説明したが、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、被温度制御体の温度を制御する温度制御装置(加熱装置あるいは冷却装置)として使用することもできる。被温度制御体には、被加熱部材や被冷却部材、被加熱部材を加熱する加熱媒体や被冷却体を冷却する冷却媒体が包含される。ここで、第1のリード線と第2のリード線の間に供給する電圧の極性によって吸熱動作を行う側と放熱動作を行う側が決定される。冷却装置として使用する場合には、吸熱動作を行う側と被冷却体との間の熱伝達率が放熱動作を行う側と被冷却体との間の熱伝達率より高くなるように(例えば、吸熱動作を行う側が放熱動作を行う側より被冷却体に接近して配置されるように)熱電変換素子を配置する。加熱装置として使用する場合には、放熱動作を行う側と被加熱体との間の熱伝達率が吸熱動作を行う側と被加熱体との間の熱伝達率より高くなるように(例えば、放熱動作を行う側が吸熱動作を行う側より被加熱体に接近して配置されるように)熱電変換素子を配置する。このように構成する場合、広い有効面積を有する帯状の熱電変換素子を用いることができるため、吸熱量あるいは放熱量が増大する。
本明細書に記載されている種々の技術は、単独で用いることもできるし、複数を組み合わせて用いることもできる。
第1の実施の形態の熱電変換装置の概略図である。 図1のII線矢視図である。 a軸配向膜を説明する図である。 熱電変換素子のn型熱電変換膜とp型熱電変換膜のパラメータを示す図である。 第2の実施の形態の熱電変換装置の概略図である。 図5のVI線矢視図である。 第3の実施の形態の熱電変換装置の概略図である。 図7のVIII線矢視図である。 本発明の熱電変換装置を配管に取り付けた状態を示す図である。
100、200 熱電変換装置
110、210 熱電変換素子
120、220A、220B n型熱電変換部材
121、221A、221B 基材テープ(電極部)
122 抵抗低減層(抵抗低減部)
123、223A、223B n型熱電変換膜(n型熱電変換部)
130、230A、230B p型熱電変換部材
131、231A、233B 基材テープ(電極部)
132 抵抗低減層(抵抗低減部)
133、231A、233B p型熱電変換膜(p型熱電変換部)
140、240A、240B、240C 金属テープ(接続部材)
160、260 負荷
171、172、271、272 リード線
250A、250B 単位熱電変換素子

Claims (7)

  1. 熱電変換素子であって、
    帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材を接続する帯状の接続部材とを備え、
    前記帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有し、
    前記帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有し、
    前記帯状の接続部材は、導電性を有し、前記帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、前記帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続しており、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部は、導電性金属により形成され、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間には、帯状の電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されており、
    前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材が前記帯状の接続部材の長手方向に直交する方向に離れた位置に配置され、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が前記帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記帯状のp型熱電変換部材及び前記帯状のn型熱電変換部材が並列に配設されているとともに、可撓性を有していることを特徴とする熱電変換素子。
  2. 熱電変換素子であって、
    帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材を接続する帯状の接続部材とを備え、
    前記帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有し、
    前記帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有し、
    前記帯状の接続部材は、導電性を有し、前記帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、前記帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続しており、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部は、導電性金属により形成され、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間には、帯状の電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されており、
    前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材が前記帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が前記帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記帯状のp型熱電変換部材及び前記帯状のn型熱電変換部材が直列に配設されているとともに、可撓性を有していることを特徴とする熱電変換素子。
  3. 熱電変換素子であって、
    m個(mは2以上の正の整数)の帯状の単位熱電変換素子と、n個(nは1以上の正の整数)の第1の帯状の接続部材とにより構成され、
    前記m個の帯状の単位熱電変換素子は、それぞれ、帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材を接続する第2の帯状の接続部材を備え、
    前記帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有し、
    前記帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有し、
    前記第2の帯状の接続部材は、導電性を有し、前記帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、前記帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続しており、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部は、導電性金属により形成され、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間には、帯状の電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されており、
    前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材が前記第2の帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が前記第2の帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記帯状のp型熱電変換部材及び前記帯状のn型熱電変換部材が直列に配設されており、
    前記m個の帯状の単位熱電変換素子は、長手方向に沿って、隣接して配置される帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材と他方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材が対向するように配置され、
    前記n個の第1の接続部材は、それぞれ、導電性を有し、隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面と、他方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面を接続しており、
    隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子と他方の帯状の単位熱電変換素子が、当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子を接続する第1の帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子それぞれの長手方向が当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子を接続する第1の帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記m個の帯状の単位熱電変換素子が直列に配設されているとともに、可撓性を有していることを特徴とする熱電変換素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換素子であって、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部は、配向金属基板あるいは配向酸化物基板であり、前記帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部及び前記帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部は、a軸配向膜であることを特徴とする熱電変換素子。
  5. 熱電変換装置であって、
    熱電変換素子と、第1のリード線と、第2のリード線を備え、
    前記熱電変換素子は、帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材を接続する帯状の接続部材を備え、
    前記帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有し、
    前記帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有し、
    前記帯状の接続部材は、導電性を有し、前記帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、前記帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続しており、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部は、導電性金属により形成され、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間には、帯状の電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されており、
    前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材が前記帯状の接続部材の長手方向に直交する方向に離れた位置に配置され、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が前記帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記帯状のp型熱電変換部材及び前記帯状のn型熱電変換部材が並列に配設されているとともに、可撓性を有しており、
    前記第1のリード線は、前記帯状のp型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、
    前記第2のリード線は、前記帯状のn型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と前記帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と前記帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子が配設されていることを特徴とする熱電変換装置。
  6. 熱電変換装置であって、
    熱電変換素子と、第1のリード線と、第2のリード線を備え、
    前記熱電変換素子は、帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材を接続する帯状の接続部材を備え、
    前記帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部材と、当該帯状の電極部材の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有し、
    前記帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部材と、当該帯状の電極部材の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有し、
    前記帯状の接続部材は、導電性を有し、前記帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、前記帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続しており、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部は、導電性金属により形成され、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間には、帯状の電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されており、
    前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材が前記帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が前記帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記帯状のp型熱電変換部材及び前記帯状のn型熱電変換部材が直列に配設されているとともに、可撓性を有しており、
    前記第1のリード線は、前記帯状のp型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、
    前記第2のリード線は、前記帯状のn型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と前記帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部と前記帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子が配設されていることを特徴とする熱電変換装置。
  7. 熱電変換装置であって、
    熱電変換素子と、第1のリード線と、第2のリード線を備え、
    前記熱電変換素子は、m個(mは2以上の正の整数)の帯状の単位熱電変換素子と、n個(nは1以上の正の整数)の第1の帯状の接続部材とにより構成され、
    前記m個の帯状の単位熱電変換素子は、それぞれ、帯状のp型熱電変換部材と、帯状のn型熱電変換部材と、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材を接続する第2の帯状の接続部材を備え、
    前記帯状のp型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているp型熱電変換部を有し、
    前記帯状のn型熱電変換部材は、帯状の電極部と、当該帯状の電極部の一方の面側に配設されているn型熱電変換部を有し、
    前記第2の帯状の接続部材は、導電性を有し、前記帯状のp型熱電変換部材のp型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面と、前記帯状のn型熱電変換部材のn型熱電変換部の、電極部が配設されている側の面と反対側の面を接続しており、
    前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部は、導電性金属により形成され、前記帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とp型熱電変換部の間及び前記帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の一方の面とn型熱電変換部の間には、帯状の電極部を形成する導電性金属の抵抗率より小さい抵抗率を有する導電性金属により形成された抵抗低減部が配設されており、
    前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材が前記第2の帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、前記帯状のp型熱電変換部材と前記帯状のn型熱電変換部材それぞれの長手方向が前記第2の帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記帯状のp型熱電変換部材及び前記帯状のn型熱電変換部材が直列に配設されており、
    前記m個の帯状の単位熱電変換素子は、長手方向に沿って、隣接して配置される帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材と他方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材が対向するように配置され、
    前記n個の第1の接続部材は、それぞれ、導電性を有し、隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面と、他方の帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材の帯状の電極部の他方の面を接続しており、
    隣接して配置されている帯状の単位熱電変換素子の一方の帯状の単位熱電変換素子と他方の帯状の単位熱電変換素子が、当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子を接続する第1の帯状の接続部材の長手方向に離れた位置に配置され、当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子それぞれの長手方向が当該一方の帯状の単位熱電変換素子と当該他方の帯状の単位熱電変換素子を接続する第1の帯状の接続部材の長手方向と平行になるように、前記m個の帯状の単位熱電変換素子が直列に配設されているとともに、可撓性を有しており、
    前記第1のリード線は、長手方向に沿った一方端に配置されている帯状の単位熱電変換素子の帯状のp型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、
    前記第2のリード線は、長手方向に沿った他方端に配置されている帯状の単位熱電変換素子の帯状のn型熱電変換部材の抵抗低減部に導電接続され、
    前記第1のリード線が抵抗低減部に導電接続されている前記帯状のp型熱電変換部材の電極部、前記第2のリード線が抵抗低減部に導電接続されている前記帯状のn型熱電変換部材の電極部及び前記第1の帯状の接続部材と前記第2の帯状の接続部材の一方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率が、前記第1のリード線が抵抗低減部に導電接続されている前記帯状のp型熱電変換部材の電極部、前記第2のリード線が抵抗低減部に導電接続されている前記帯状のn型熱電変換部材の電極部及び前記第1の帯状の接続部材と前記第2の帯状の接続部材の他方と熱源あるいは被温度制御体との間の熱伝達率より高くなるように熱電変換素子が配設されていることを特徴とする熱電変換装置。
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