JP4309623B2 - 熱電素子用電極材およびそれを用いた熱電素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電半導体を使用した熱電素子に用いられる電極材とそれを用いた熱電素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビスマス(Bi)−テルル(Te)系、鉄(Fe)−シリサイド(Si)系、コバルト(Co)−アンチモン(Sb)系などの熱電半導体を使用し、そのペルチェ効果もしくはゼーベック効果を利用した熱電素子は、冷却もしくは加熱装置などとして利用されている。例えば、熱電素子は小型・薄型で、かつ液体や気体などの熱媒体(冷媒など)を使用することなく冷却の実施が可能であることから、冷温蔵庫や半導体製造装置の温度制御などを始めとして、各種の分野で冷却装置や加熱装置として使用されており、また最近ではパソコンのCPUの冷却装置としても注目され始めている。また、熱電素子は熱電半導体の温度差による発電素子、すなわちゼーベック効果を用いた発電素子としても利用されている。
【0003】
このような熱電素子は、例えば複数個のN型熱電半導体とP型熱電半導体とを交互に配置し、これら複数個の熱電半導体を一方の端部側に配置される吸熱側電極と他方の端部側に配置される放熱側電極とで直列に接続した構造を有している。このような熱電素子において、交互に配列されたN型熱電半導体とP型熱電半導体に直流電流を流すと、N型熱電半導体からP型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(吸熱側電極)側ではペルチェ効果により吸熱が起こり、P型熱電半導体からN型熱電半導体に向けて電流が流れる電極(放熱側電極)側では放熱(発熱)が起こるため、吸熱側に被冷却部材や装置などを配置することで冷却を実施することができる。
【0004】
熱電素子の具体的な構造としては、例えば以下に示すようなπ型構造が知られている(例えば特開平7-321379号公報、特開平11-340527号公報、特開2001-168402公報、特開2001-352107公報など参照)。すなわち、第1の金属電極群が形成されたセラミックス基板などの支持部材を用意し、第1の金属電極群上にそれぞれ複数個のN型熱電半導体とP型熱電半導体とを交互に配置する。N型熱電半導体とP型熱電半導体の上端部側には第2の金属電極群を配置し、最終的に全ての熱電半導体が電気的に直列に接続されるように、各金属電極とN型およびP型熱電半導体とを接合する。このような熱電素子において、各金属電極には大きな電流に耐えられるように、電気抵抗が小さい銅板などが適用されており、さらに比較的板厚が厚いものが用いられている。
【0005】
ところで、上記したようなπ型熱電素子の動作時において、各構成部材(支持部材、金属電極、熱電半導体など)は冷熱サイクルを繰返し受けることになる。熱電素子の各構成材料間には熱膨張差があることから、冷熱サイクルの印加時に熱応力が発生する。さらに、熱電素子は吸熱側と放熱側の熱膨張(伸び)が異なることから、熱電素子全体としてはたわみが生じる。これら構成材料間の熱膨張差に起因する熱応力や素子全体のたわみによって、熱電素子は動作時に熱疲労を受けることになり、この熱疲労により生じる熱電半導体の亀裂や接合界面の剥離、また半田材の亀裂などが抵抗値の増加といった素子性能の劣化原因となっており、さらには素子破壊などの発生原因となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の熱電素子においては冷熱サイクルの印加に伴う熱疲労により種々の問題が生じている。具体的には、熱電素子の構成材料のうち銅板などからなる金属電極は、他の構成材料(熱電半導体やセラミックス基板などの支持部材)に比べて熱膨張率が大きいため、金属電極と熱電半導体との接合部や金属電極とセラミックス基板との接合部には大きな熱応力が生じることになる。
【0007】
特に、熱電半導体は脆性材料で機械的強度も低いため、上記した金属電極との熱膨張差に基づく熱応力によって、熱電半導体に疲労亀裂などが生じやすいという問題がある。また、金属電極と熱電半導体との接合部を構成する半田層も疲労強度が低いことから、半田層自体や接合界面にも亀裂、剥離などが生じやすい。同様に、金属電極とセラミックス基板との熱膨張差に基づく熱応力によっても、これらの接合界面に亀裂や剥離などが生じる。
【0008】
熱電素子は複数の熱電半導体を全て直列に接続して構成されているため、金属電極と接合される熱電半導体自体や金属電極と他の構成材料との接合界面などに1箇所でも亀裂や剥離などが生じると、素子全体としての抵抗値が上昇するなどして、熱電素子の素子機能が損なわれることになる。このようなことから、金属電極に起因する熱応力を低減し、これによって熱電素子の性能劣化や素子破壊などを抑制することが強く求められている。
【0009】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、熱電素子の金属電極に起因する熱応力を低減することによって、熱電半導体や他の構成部材の熱疲労を軽減することを可能にした熱電素子用電極材、さらにはそのような電極材を用いることによって、熱疲労による素子機能の低下や素子破壊の発生を抑制することを可能にした熱電素子を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の熱電素子用電極材は、請求項1に記載したように、熱電半導体を使用した熱電素子に用いられる電極材であって、低熱膨張金属材料からなるコア材と、前記コア材の両面にクラッドされた低抵抗金属材料層とを具備し、前記低熱膨張金属材料は平均線膨張率(25〜100℃)が10×10 −6 /℃以下の低熱膨張Fe基合金からなり、前記低抵抗金属材料層は電気抵抗率が3×10 −8 Ω・m以下のCu、Cu合金、Ag、Ag合金、Al、またはAl合金からなり、かつ前記電極材の熱膨張率は前記熱電半導体の熱膨張率に対する差が−30%以上+10%以下であることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の熱電素子は、請求項5に記載したように、交互に配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部にそれぞれ接合された吸熱側電極と、前記N型熱電半導体とP型熱電半導体が直列に接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部にそれぞれ接合された放熱側電極とを具備する熱電素子において、前記吸熱側電極および放熱側電極の少なくとも一方は上記した本発明の熱電素子用電極材からなることを特徴としている。
【0012】
本発明においては、平均線膨張率(25〜100℃)が10×10 −6 /℃以下の低熱膨張Fe基合金からなる低熱膨張金属材料をコア材とし、このコア材の両面に電気抵抗率が3×10 −8 Ω・m以下のCu、Cu合金、Ag、Ag合金、Al、またはAl合金からなる低抵抗金属材料層をクラッドし、熱電半導体の熱膨張率に対する差が−30%以上+10%以下の熱膨張率を有する電極材(クラッド電極材)を、吸熱側電極および放熱側電極の少なくとも一方に適用している。このようなクラッド電極材によれば、コア材としての低熱膨張金属材料に基づいて電極材の熱膨張率を低下させることができる。言い換えると、吸熱側電極や放熱側電極と熱電半導体や他の構成部材との間の熱膨張率の差を低減することができる。これによって、熱電半導体などに加わる熱応力が緩和され、熱電半導体や他の構成部材の熱疲労による亀裂、また接合界面における亀裂、剥離などが抑制されることから、熱電素子の熱サイクルによる機能低下や素子破壊などを抑制することが可能となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図であり、図2はその要部を拡大して示す断面図である。これらの図に示す熱電素子1は上下に支持部材2、3を有しており、これら下部支持部材2と上部支持部材3とは対向配置されている。この実施形態の熱電素子1は下部支持部材2側が放熱面、上部支持部材3側が吸熱面とされている。すなわち、下部支持部材2は放熱側支持部材であり、上部支持部材3は吸熱側支持部材である。
【0014】
下部支持部材(放熱側支持部材)2は熱電素子1の構造支持体として機能するものであり、例えばアルミナ基板、窒化アルミニウム基板、窒化珪素基板などの絶縁性のセラミックス基板を用いることが好ましい。上部支持部材3(吸熱側支持部材)には下部支持部材2と同様に絶縁性基板であるセラミックス基板を用いてもよいし、下部支持部材2で素子構造全体を支持可能であれば、上部支持部材3は絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムなどで構成してもよい。なお、上部支持部材3を絶縁性セラミックス基板で構成し、下部支持部材2を絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムなどで構成することも可能である。この際、下部支持部材2は省略することができる。
【0015】
上述した下部支持部材2と上部支持部材3との間には、複数のN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とが交互に配列されており、これらは素子全体としてはマトリックス状に配置されて熱電半導体群を構成している。言い換えると、熱電半導体群は下部支持部材2の一主面に沿って交互に配列されている。熱電半導体4、5には各種公知の材料を使用することができ、その代表例としてBi−Te系熱電半導体が挙げられる。Bi−Te系熱電半導体としては、BiおよびSbから選ばれる少なくとも1種の元素と、TeおよびSeから選ばれる少なくとも1種の元素を必須元素として含み、さらに必要に応じてI、Cl、Br、Hg、Au、Cuなどの添加元素を含む化合物半導体が知られている。熱電半導体4、5はBi−Te系熱電半導体に限られるものではなく、例えばFe−Si系、Co−Sb系などの各種の熱電半導体を適用することが可能である。
【0016】
複数のN型熱電半導体4およびP型熱電半導体5は、N型熱電半導体4からP型熱電半導体5の方向に、すなわちN型熱電半導体4、P型熱電半導体5、N型熱電半導体4、P型熱電半導体5…の順に直流電流が流れるように、下部支持部材2側に設けられた放熱側電極6と上部支持部材3側に設けられた吸熱側電極7により電気的に直列に接続されている。これら放熱側電極6および吸熱側電極7はそれぞれ複数個で電極群を構成している。
【0017】
すなわち、下部支持部材2の表面には放熱側電極6が複数設けられている。一方、上部支持部材3側には吸熱側電極7が複数配置されている。吸熱側電極7は、隣り合うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とをこの順で電気的に接続する形状を有しており、この熱電半導体4、5の接続順序に基づいて、吸熱側電極7では吸熱が生じる。一方、放熱側電極6は両端部の電極(リード引出し電極)を除いて、隣り合うP型熱電半導体5とN型熱電半導体4とをこの順で電気的に接続する形状を有しており、この熱電半導体5、4の接続順序に基づいて、放熱側電極6では放熱(発熱)が生じる。
【0018】
N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の下側端部(放熱側端部)は、それぞれ半田層8を介して放熱側電極6に接合されている。また、N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の上側端部(吸熱側端部/冷却面)は、同様に半田層9を介して吸熱側電極7に接合されている。このように、隣り合うN型熱電半導体4とP型熱電半導体5とを、それぞれ放熱側電極6と吸熱側電極7とで順に接続することによって、熱電素子1全体として見た場合に、複数のN型熱電半導体4と複数のP型熱電半導体5とが交互に直列接続された構造を形成している。
【0019】
上記したπ型構造の熱電素子1に直流電源10から熱電半導体4、5に直流電流を流すと、ペルチェ効果によって熱電半導体4、5の上端部側では吸熱が起こり、下端部側では放熱が起こる。すなわち、隣り合うN型熱電半導体4からP型熱電半導体5に向けて直流電流が流れる吸熱側電極7では吸熱が生じ、P型熱電半導体5からN型熱電半導体4に向けて直流電流が流れる放熱側電極6では放熱が生じる。従って、熱電素子1の吸熱側に相当する上部支持部材3に被冷却体(冷却する部材、部品、装置など)を当接させることによって、被冷却体から熱を奪って冷却が行われる。被冷却体から奪った熱は熱電素子1の放熱側に相当する下部支持部材2側から放熱される。
【0020】
このような構造を有する熱電素子1において、放熱側電極6および吸熱側電極7は図2や図3に示すように、低熱膨張金属材料からなるコア材11の表面に低抵抗金属材料層12をクラッド(積層・一体化)した電極材13により構成されている。クラッド電極材13の代表的な構造としては図3に示すように、コア材11の両面に低抵抗金属材料層12をクラッドしたサンドイッチ構造が挙げられる。ただし、一般的なサンドイッチ構造の場合、厚さ方向の熱伝導率が低下するため、例えば図4に示すように端部のコア材11を除いた構造、また図5に示すように孔部11aを有するコア材11を用い、孔部11a内に低抵抗金属材料層12を充填した構造などを適用してもよい。これら各クラッド材は一般的な熱間圧延法、爆着法、鋳ぐるみ法などにより作製することができる。
【0021】
上述したようなクラッドメタルからなる電極材13を構成する低抵抗金属材料層12には、熱電素子1の電極6、7としての機能を維持する上で導電率が高い金属材料、具体的には抵抗率が3×10-8Ω・m以下の金属材料を使用する。このような低抵抗(高導電率)の金属材料としては、例えばCuもしくはCu合金、AgもしくはAg合金、AlもしくはAl合金などが挙げられる。ここで、低抵抗金属材料層12の構成材料の熱膨張率は、例えばCuが17×10-6/℃、Agが19×10-6/℃、Alが23×10-6/℃と熱電半導体4、5やセラミックス基板などに比べて大きい。
【0022】
熱膨張率が大きい低抵抗金属材料単独で電極6、7を構成した場合には、熱電半導体4、5やセラミックス基板からなる支持部材(例えば下部支持部材2)との熱膨張差に基づいて、熱電素子に通電して冷熱動作させた際に熱電半導体4、5やセラミックス基板に大きな熱応力が作用する。特に、熱電素子では吸熱側と放熱側の熱膨張量(伸び)が異なり、放熱側には基板面方向に大きな応力が加わる。このような熱応力が熱電半導体4、5や半田層8、9に疲労亀裂を生じさせたり、さらに熱電半導体4、5と半田層8、9との接合界面や電極6、7とセラミックス基板との接合界面に亀裂、剥離などを生じさせる。これらの亀裂や界面剥離は熱電素子の抵抗値の上昇原因となることから、素子性能の低下を招くことになり、さらに亀裂が進展すると熱電素子そのものが破壊してしまう。
【0023】
そこで、この実施形態の熱電素子1においては、上記したような低抵抗金属材料層12を低熱膨張金属材料からなるコア材11の表面にクラッドした電極材(クラッド材)13で、放熱側電極6および吸熱側電極7を構成している。コア材11は上述したような低抵抗金属材料層12を有する電極6、7の熱膨張率を、クラッドメタルからなる電極材13全体として低下させるものであり、これにより電極6、7の熱膨張率を熱電半導体4、5やセラミックス基板からなる支持部材の熱膨張率に近似させることができる。
【0024】
このようなことから、コア材11には平均線膨張率(25〜100℃)が10×10−6/℃以下の低熱膨張金属材料を用いる。コア材11の平均線膨張率が大きすぎると、低抵抗金属材料層12とコア材11の体積比(板厚比)にもよるが、電極材(クラッド材)13の熱膨張率を十分に低下させることができないと同時に抵抗率が上昇し、また厚さ方向の熱伝導率が低下する。低熱膨張金属材料の具体例としては、W(平均線膨張率:4.5×10−6/℃)、Mo(平均線膨張率:5.1×10−6/℃)、Ta(平均線膨張率:6.5×10−6/℃)、Zr(平均線膨張率:5.0×10−6/℃)、Nb(平均線膨張率:7.2×10−6/℃)、V(平均線膨張率:8.3×10−6/℃)、低熱膨張Fe基合金などが挙げられる。
【0025】
上記した低熱膨張金属材料のうち、特に低熱膨張Fe基合金は上記したCu、Ag、Alなどからなる低抵抗金属材料層12とのクラッド性に優れることから、クラッド電極材13のコア材11に好適である。低熱膨張Fe基合金としては、インバー合金(例えばFe−36質量%Ni/平均線膨張率:1.2×10-6/℃)、スーパーインバー合金(例えばFe−31質量%Ni−5質量%Co/平均線膨張率:0.5×10-6/℃)、コバール合金(例えばFe−29質量%Ni−17質量%Co/平均線膨張率:4.8×10-6/℃)、42アロイ(Fe−42質量%Ni/平均線膨張率:5.3×10-6/℃)などが挙げられる。
【0026】
また、クラッド電極材13自体の熱膨張率は、熱電半導体4、5の熱膨張率に対する差が−30%から+10%までの範囲内である。ここで、クラッド電極材13と熱電半導体4、5との熱膨張率の差αは、クラッド電極材13の熱膨張率をα1、熱電半導体4、5の熱膨張率をα2としたとき、式:α=[(α1−α2)/α2×100(%)]により求められる値を指すものとする。クラッド電極材13と熱電半導体4、5との熱膨張差αが上記した範囲を外れると、熱電素子1に通電して冷熱動作させた際に生じる熱応力を十分に低減することができない。言い換えると、熱膨張差αを30%以内とすることによって、熱電素子1の冷熱動作時に熱電半導体4、5などに生じる熱応力が効果的に抑制され、熱電半導体4、5、半田層8、9、セラミックス基板などの熱疲労を軽減することが可能となる。熱膨張差αは−20%から+10%までの範囲とすることがより好ましい。
【0027】
クラッド電極材13の熱膨張率は、おおよそコア材11と低抵抗金属材料層12の熱膨張率をそれぞれの体積比で加重平均した値となる。従って、電極構成材料の熱膨張率と熱電半導体4、5の熱膨張率を考慮して、クラッド電極材13と熱電半導体4、5との熱膨張差αが上記したような範囲となるように、コア材11と低抵抗金属材料層12の板厚比を適宜選択することが好ましい。ただし、低抵抗金属材料層12の板厚が小さくなりすぎると、電極6、7としての電気特性(導電性など)が低下するため、クラッド電極材13の総板厚に対する低抵抗金属材料層12の板厚の比を30%以上とすることが好ましい。低抵抗金属材料層12の板厚比の上限値は目的とする熱膨張差αに応じて適宜に設定される。クラッド電極材13の総板厚は一般的には0.15〜0.5mm程度が適当である。
【0028】
この実施形態の熱電素子1においては、低熱膨張コア材11と低抵抗金属材料層12とを有するクラッド電極材13で放熱側電極6および吸熱側電極7を構成することによって、各電極6、7と熱電半導体4、5やセラミックス基板からなる支持部材との熱膨張差を減少させている。これによって、上述した熱電素子1に通電して冷熱動作させた際の熱応力が低減されるため、この熱応力に基づく熱電半導体4、5や半田層8、9の疲労亀裂、さらに熱電半導体4、5と半田層8、9との接合界面や熱電半導体4、5とセラミックス基板との接合界面における亀裂、剥離などの発生を有効に抑制することができる。これによって、熱電素子1の熱サイクルによる機能低下や素子破壊などを防ぐことが可能となる。すなわち、熱電素子1の長期信頼性、特に冷熱サイクルが頻繁に付加されるような条件下で使用される熱電素子1の長期信頼性を大幅に高めることができる。
【0029】
なお、上述した実施形態では放熱側電極6および吸熱側電極7の両方にクラッド電極材13を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、放熱側電極6および吸熱側電極7の一方にクラッド電極材13を適用した構造を採用することも可能である。このような素子構造では、熱疲労の軽減効果などが若干低下するものの、両電極にCuの単体電極などを用いた場合に比べて、熱疲労やそれに伴う亀裂発生などを低減することができる。クラッド電極材13は少なくとも熱膨張量が大きい放熱側電極6に適用することが好ましい。
【0030】
上述したような構成を有する熱電素子1は、冷温蔵庫や半導体製造装置の温度制御装置、さらにコンピュータのCPUのような超高集積回路素子やレーザ素子などの高発熱半導体部品の冷却装置など、各種分野における冷却装置に好適に用いられるものである。実使用にあたっては、熱電素子1の吸熱面(吸熱側に相当する上部支持部材3)と被冷却体(各種部材、部品、装置)とを、絶縁状態を維持しながら直接、もしくはシリコーングリースなどを介して接触させることによって、冷却装置などとして機能させることができる。
【0031】
なお、上述した実施形態では熱電素子1の支持部材2、3を熱電半導体4、5の上下両面に配置した構造について説明したが、本発明はこのような構造に限られるものではなく、例えば図6に示すように、素子構造を保持する構造用支持部材14(図1の下部支持部材2が相当する)を、N型熱電半導体4およびP型熱電半導体5の中間位置に配置した熱電素子1に適用することも可能である。この場合には、熱電半導体4、5の上下両面には絶縁性樹脂基板や絶縁性樹脂フィルムなどからなる絶縁部材15、16が配置される。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について述べる。
【0033】
実施例1
まず、低熱膨張コア材として、種々の板厚のスーパーインバー合金板(平均線膨張率:0.5×10-6/℃)を用意した。このようなスーパーインバー合金板(コア材)の両面に、低抵抗金属材料層として種々の板厚の電気銅板(平均線膨張率:17×10-6/℃)を熱間圧延法によりクラッドし、最終的な板厚が5mmのクラッド電極板(サンドイッチ構造)を複数作製した。
【0034】
次いで、図7に示すように、10mm×20mm×厚さ1.5mmのアルミナセラミックス基板21と上記した各クラッド電極板(形状:5mm×5mm×厚さ0.5mm)とを、それぞれDBC法(銅と酸化銅の共晶温度以上で銅の融点以下の温度に加熱して、ろう材を用いずに直接接合する方法)で接合した。アルミナセラミックス基板21上には、それぞれクラッド構造が同一の2枚のクラッド電極板22a、22bを接合した。
【0035】
上述したアルミナセラミックス基板21に接合した各クラッド電極板22a、22bと、同一構造のクラッド電極板(形状:5mm×5mm×厚さ0.5mm)23とで、3mm角の立方体に加工した2つのBi2Te3合金(熱電半導体)24、25を挟み込むようにして接合して、それぞれ試験体26を作製した。各クラッド電極板22、23とBi2Te3合金24、25とは半田(半田層27の厚さは0.01mm)により接合した。各試験体には通電および評価用のリード線28を取り付けた。
【0036】
次に、上述した各試験体26を0℃と80℃に保った不活性溶剤の浴槽に交互に入れ、熱疲労試験を実施した。疲労の進行状況については、セラミックス基板21側のクラッド電極板22a、22b間の抵抗値変化を測定することにより評価し、抵抗値が初期の70%になった時点を疲労寿命とした。図8に疲労寿命の測定結果を示す。なお、図8は各クラッド電極板22、23とBi2Te3合金24、25の熱膨張差α(前述した式により算出)を横軸とし、縦軸に各試験体26の疲労寿命を示している。
【0037】
図8に示すように、Bi2Te3合金24、25との熱膨張差αが-30%以上+10%以下のクラッド電極板22、23を用いることによって、試験体(熱電素子に相当)26の疲労寿命を大幅に向上させることが可能となる。なお、図8において、熱膨張差αが+28%の試験体はクラッド電極板ではなく、銅の単体板を電極に用いたものである。この熱膨張差αは[(16.6−12.96)/12.95×100=+28%]の式により求めた値である。また、上述したクラッド電極板22、23の低抵抗金属材料層として、電気銅板に代えてAg板およびAl板を用いたクラッド電極板を作製し、同様な熱疲労試験を行ったところ、Bi2Te3合金24、25との熱膨張差αが-30%以上+10%以下のクラッド電極板によれば、同様に良好な結果が得られることを確認した。
【0038】
実施例2、比較例1〜2
上述した試験体26において、Bi2Te3合金に代えて、Bi28at.%−Te57at.%−Sb12at.%−Se3at.%組成のN型熱電半導体24とBi10at.%−Te57at.%−Sb10at.%−Se3at.%組成のP型熱電半導体25を用いて、実際に試験用熱電素子を作製した。なお、各電極22、23には、Bi−Te系熱電半導体との熱膨張差αが-29%のクラッド電極板を使用した。このクラッド電極板の具体的な構成は、総板厚が0.3mm、クラッド材中のコア材の板厚が0.18mm、その両側の銅層の板厚さがそれぞれ0.06mmであり、クラッド材としての熱膨張率は9.2×10-6/℃であった。
【0039】
また、本発明との比較例として、銅の単体電極板を用いた熱電素子(比較例1)とBi−Te系熱電半導体との熱膨張差αが-37%のクラッド電極板を用いた熱電素子(比較例2)をそれぞれ作製した。なお、電極板以外の素子構造については実施例2と同様とした。
【0040】
このようにして得た実施例2および比較例1、2の各試験用熱電素子に通電を繰り返して熱疲労試験を行った。熱疲労試験の具体的な条件は以下の通りである。試験用熱電素子はセラミックス基板21側が放熱側であり、水冷した銅製ブロックを押し付けて強制冷却して常に25℃とした。この状態で電流を流して室温から-40℃の間で熱疲労試験を実施した。その結果、実施例2の試験用熱電素子では1000回以上の熱サイクル(通電サイクル)後においても、抵抗値変化が初期の3%以下であったのに対して、比較例1では50回の熱サイクルの印加により通電不良(寿命)となり、また比較例2では231回の熱サイクルの印加により通電不良(寿命)となった。
【0041】
実施例3〜9、比較例1
表1に構成を示す各クラッド電極材を用いる以外は、実施例2と同様にしてそれぞれ試験用熱電素子を作製した。これら各試験用熱電素子ついて、実施例2と同様にして熱疲労試験を行った。その結果を表1に併せて示す。表1から明らかなように、実施例3〜9の試験用熱電素子はいずれも良好な寿命特性を示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の熱電素子用電極材によれば、熱電素子の金属電極に起因する熱応力が低減されるため、熱電半導体や他の構成部材の熱疲労を軽減することができる。そして、このような電極材を用いた本発明の熱電素子によれば、熱疲労による素子機能の低下や素子破壊の発生を大幅に抑制することが可能となる。すなわち、長期信頼性に優れた熱電素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による熱電素子の概略構造を示す断面図である。
【図2】 図1に示す熱電素子の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】 本発明の熱電素子に使用されるクラッド電極材の一構成例を示す断面図である。
【図4】 本発明の熱電素子に使用されるクラッド電極材の他の構成例を示す断面図である。
【図5】 本発明の熱電素子に使用されるクラッド電極材のさらに他の構成例を示す断面図である。
【図6】 本発明の熱電素子の変形例の構造を示す断面図である。
【図7】 本発明の実施例で作製した熱疲労試験用試験体(熱電素子)の構成を示す図である。
【図8】 本発明の実施例1で作製した熱電素子構造の各試験体の疲労寿命を電極と熱電半導体との熱膨張差に基づいてプロットした図である。
【符号の説明】
1……熱電素子、2……下部支持部材、3……上部支持部材、4……N型熱電半導体、5……P型熱電半導体、6……放電側電極、7……吸熱側電極、10……直流電源、11……低熱膨張コア材、12……低抵抗金属材料層、13……クラッド電極板
Claims (6)
- 熱電半導体を使用した熱電素子に用いられる電極材であって、
低熱膨張金属材料からなるコア材と、前記コア材の両面にクラッドされた低抵抗金属材料層とを具備し、前記低熱膨張金属材料は平均線膨張率(25〜100℃)が10×10 −6 /℃以下の低熱膨張Fe基合金からなり、前記低抵抗金属材料層は電気抵抗率が3×10 −8 Ω・m以下のCu、Cu合金、Ag、Ag合金、Al、またはAl合金からなり、かつ前記電極材の熱膨張率は前記熱電半導体の熱膨張率に対する差が−30%以上+10%以下であることを特徴とする熱電素子用電極材。 - 前記熱電素子がBi−Te系熱電半導体であることを特徴とする請求項1記載の熱電素子用電極材。
- 前記電極材の総板厚が0.15〜0.5mmであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱電素子用電極材。
- 前記電極材の熱膨張率は、前記熱電半導体の熱膨張率に対する差が−24%以上0%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の熱電素子用電極材。
- 交互に配列されたN型熱電半導体およびP型熱電半導体を有する熱電半導体群と、前記熱電半導体群の一方の端部にそれぞれ接合された吸熱側電極と、前記N型熱電半導体とP型熱電半導体が直列に接続されるように、前記熱電半導体群の他方の端部にそれぞれ接合された放熱側電極とを具備する熱電素子において、
前記吸熱側電極および放熱側電極の少なくとも一方は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の熱電素子用電極材からなることを特徴とする熱電素子。 - 前記吸熱側電極および前記放熱側電極はセラミックス基板に接合されていることを特徴とする請求項5記載の熱電素子。
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