JP5067352B2 - 熱電変換モジュールとこれを用いた発電装置 - Google Patents

熱電変換モジュールとこれを用いた発電装置 Download PDF

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Description

本発明は、温度差を利用して熱を電気に変換する熱電変換モジュールとこの熱電変換モジュールを太陽電池に接続した発電装置に関するものである。
地球温暖化が進行し、天候不順や海水上昇等々の問題が現実的に深刻化してきた現在、温暖化ガスである二酸化炭素を排出しないエネルギー源として太陽電池の重要性は、日本だけでなく、欧州、米国でも認識され、家庭や事業所への導入が盛んになってきている。導入されている太陽電池の7割は、Si系の太陽電池であり、そのほとんどは結晶系(単結晶あるいは多結晶系)である。
真夏の昼間、地球に降り注ぐ太陽エネルギーは1000W/m程度であり、これ等の太陽電池の最適条件下での平均的な発電量は150W/m程度である。つまり、変換効率は15%程度である。しかし、現実的には、住んでいる場所の緯度、家の向き、障害物の存在の有無、季節の差、天候の良し悪し等に強く依存し、15%という値は年間を通して実現されるものではない。
平均的な家庭での必要発電量は4kW程度であろうが、平均的な家庭が太陽電池を導入しようとする場合、26m程度が必要となる。実効的な効率を考えると、40m程度が必要であろう。そのような屋根面積の確保はそう容易なものではない。従って、面積をできるだけ小さくするには、少しでも変換効率の高い太陽電池ユニットが必要とされる。
また、真夏の昼間、太陽電池にとって最も発電量の多い時間帯では、太陽電池の温度は80℃以上になる。結晶シリコン系太陽電池は80℃まで温度が上がると、室温における変換効率より20〜30%も落ちる(図1参照)。効率が落ちることを補償しようとすると、屋根に載せる太陽電池の面積を大きくしなければならなくなり、高価になるだけでなく、屋根の上でその面積の確保も容易でないというのが現実である。太陽電池の実効的な効率がアップできれば、必要とされる屋根上の太陽電池面積も小さくてすみ、コスト低減にもつながる。これ等の理由から、安価で発電効率の高い太陽電池が望まれる。
真夏の晴天の正午頃、太陽電池自体が80℃近くなることを逆に利用し、熱電変換素子を裏面に貼付して発電しようというアイデアは過去にもあった(特許文献1、2参照)が、ビジネスとしては実現されていない。その理由は、できるだけ多く発電させるために、従来の熱電変換素子は、高温側と低温側との間ができるだけ断熱的になるような構造をとっていたことによる。そのため、従来の熱電変換素子を仮に太陽電池に接着すると、太陽電池の温度が更に上昇し、これに起因して太陽電池自体からの発電量が減るため、熱電変換素子を接着して発電量を補助しても意味が無いと考えられていたことが大きく影響していた。
更に、従来の熱電変換素子が作りにくいため、小さい面積での素子しか作られなかったこと、そのため、大きな太陽電池の裏に上記素子を接着する工程の複雑さも理由として挙げられる。
また、熱電変換素子があまりに高価であるという事情もある。これは、従来のゼーベック効果を利用した熱電変換素子の構造上、p型とn型の素子を“π”の字状に結合して下基板に垂直に立てる構造とし、n型−p型−n型−p型というように直列につなぐ必要があり、更に、一般的に使用される熱電材料がBi−Te系であり、この材料がもろい材質の上、半田での接合が難しいという事情のため、ほとんど手作りでしか作られないためということが理由に挙げられる。
そのため、低価格であることが必須である太陽電池基板の裏面に使用するのは現実的ではなく、実際に商品としては市場に現れていなかった。
このような技術的背景の下、特許文献3と非特許文献1には、効率良く発電を行えるとする熱電変換素子が提案されている。すなわち、この熱電変換素子は、p型材料から成る薄膜のp型熱電変換素子とn型材料から成る薄膜のn型熱電変換素子とが直列接続となるように成膜され、かつ、その両側に電極を成膜して熱電変換ユニットを構成すると共に、この熱電変換ユニットの両面に、熱伝導率の異なる2種類の材料で構成された柔軟性を有するフィルム状基板を設けたもので、熱電変換ユニット側に、熱伝導率の低い絶縁体であるポリイミド樹脂等の材料にて皮膜を設け、熱電変換ユニットの接合面と反対側に、熱伝導率の高い、銅等の金属材料が上記フィルム状基板の外面の一部分に位置するように設けられたものである。
このような構成を採用することにより、上記フィルム状基板の上下面に温度差を加えたときの各層の熱流束の違いからフィルム状基板内部に温度差を生じさせ、フィルム状基板の厚さ方向の温度勾配をフィルム状基板の面内方向の温度勾配に効率よく変換させ、この温度勾配を利用して、熱電変換ユニットで効率良く発電を行おうとするものであった。そして、特許文献3と非特許文献1に記載の発明は、機械的強度が高く、加工性に優れ、自動化が容易で大量生産が可能であり、更に、フレキシブルであることを生かし曲面等への設置も可能であるため設置場所が制限されない発電効率の高い熱電変換素子を提供することを目的としていた。
具体的には、マスクを利用し、樹脂シート上に素子構造を制御しながらスパッタリング法によりp型、n型の熱電材料をそれぞれ成膜して熱電変換素子部を形成し、かつ、熱電変換素子部上に別の樹脂シートを貼り付けることで熱電変換素子をサンドイッチする。次に、この接着した樹脂シートの両外側面上でかつp型、n型の熱電変換素子の接合部に相当する部位に、銅等の熱伝導の良い金属により、上記接合部と同等サイズで同形のパターンを形成する。
実際には、銅(図2中、material-Bと示す)が片面に塗布あるいは貼付されたポリイミドシート(図2中、material-Aと示す)を利用してその裏面に熱電変換素子(図2中、TE materialと示す)を形成し、もう1枚のポリイミドシートの銅が付いていない裏面側を上記熱電変換素子上に接着し、かつ、貼り合わせシートの両表面にある銅薄膜をエッチングして所望のパターンを切る。この構造体の断面を図2に示す。この銅部が、高温部、低温部に接触することになる。そこからの熱伝導で、樹脂シート面に平行な熱電変換素子内に温度差がついて発電するというものであった。
しかし、この方法では、高温側、低温側の温度接触部(以下、温度接触部と称する)からの熱伝導が樹脂内での熱拡散による熱伝導のみのため、熱電変換素子への熱伝導性が低く、熱電変換素子内での温度勾配が付きにくいことから発電量が小さくなってしまうということが課題となっていた。
一方、非特許文献2、3においては、p型材料から成るp型薄膜層とn型材料から成るn型薄膜層が電気絶縁層を介して積層されかつ上記p型薄膜層とn型薄膜層が各薄膜層の端部側において電気的に接続された熱電変換ユニットを、上記薄膜層の厚さ方向に亘り電気絶縁層を介し複数積層させた構造の熱電変換モジュールも提案されている。
しかし、非特許文献2、3で提案された熱電変換モジュールにおいては、各薄膜層の面方向すなわち水平面内に温度差を作ることを前提に考案されているため、上記電気絶縁層を介し積層されたp型薄膜層とn型薄膜層から成る熱電変換ユニットの各端面を、高温側、低温側の温度接触部にそれぞれ接触させて温度差を作る構造が想定されていることから、非特許文献2、3の熱電変換モジュールは、極めて限られた配置でしか利用することができない問題が存在した。
特開2001−53322号公報 特開2003−69070号公報 特開2006−186255号公報 NEDO平成18年度研究助成事業成果報告会 産業技術研究助成事業「エネルギー・環境技術」プロジェクトID:03B70010c=「低温廃熱利用のためのシート状フレキシブル熱電変換素子の研究開発」の発表資料 M.S.Dresselhaus 著"Low-dimensional thermoelectric materials" Phys. Solid State 41、(1999)679 R.Venkatasubramanian 他 著"Aspects of thin film superlattice materials, devices, and applications" www.mrs.org/bulletin 31, (2006)211
特許文献3と非特許文献1で提案された熱電変換素子の上記問題については先の特許出願(特願2008−149062号明細書参照)で既に解消している。従って、本発明が課題とするところは、非特許文献2、3で提案されかつ極めて限られた配置でしか利用できない熱電変換モジュールの上記問題を解消することにある。
そこで、p型材料から成るp型薄膜層とn型材料から成るn型薄膜層が電気絶縁層を介して積層されかつ上記p型薄膜層とn型薄膜層がこれ等薄膜層端部側の接続部において電気的に接続されている熱電変換ユニットを、上記薄膜層の厚さ方向に単数あるいは電気絶縁層を介し複数積層させた熱電変換ユニット単体あるいは熱電変換ユニット積層集合体に上述の温度差を作る構造に関して本発明者が鋭意検討を行った結果、非特許文献2、3で想定されている熱電変換ユニットの各端面を、高温側、低温側の温度接触部に接触させる構造に代えて、上記熱電変換ユニット単体あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側両面に、特願2008−149062号において実証済みである低熱伝導部と高熱伝導部とで構成された基板を設ける構造を採った場合でも、高温部、低温部の温度が効率よく熱電変換ユニット(熱電素子部)に伝わるようになり、これにより熱電変換モジュール内に大きな温度差が実現されることを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見により完成されている。
すなわち、請求項1に係る発明は、
p型材料から成るp型薄膜層とn型材料から成るn型薄膜層が電気絶縁層を介して積層されかつ上記p型薄膜層とn型薄膜層がこれ等薄膜層端部側の接続部において電気的に接続されている熱電変換ユニットを、上記薄膜層の厚さ方向に単数あるいは電気絶縁層を介し複数積層させた熱電変換ユニット単体あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側両面に、熱伝導率の異なる材料で構成された基板がそれぞれ設けられ、一方の基板側を高温側にかつ他方の基板側を低温側に配置して成る熱電変換モジュールを前提とし、
上記各基板が、熱伝導率の低い材料で構成されかつ熱電変換ユニット単体表面あるいはその積層集合体の最外側表面を被覆する低熱伝導部と、熱伝導率の高い材料で構成されかつ上記低熱伝導部の厚さ方向に沿って設けられた貫通孔若しくは凹部内に埋め込まれると共にその一端側が熱電変換ユニットにおける上記接続部の近傍部位に接続または近接され他端側が低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部とで構成され、かつ、低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部の表面が熱伝導率の高い材料で構成される温度接触部に接続されていることを特徴とする。
次に、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る熱電変換モジュールを前提とし、
熱伝導率の高い材料が金属であることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項1〜2のいずれかに記載の発明に係る熱電変換モジュールを前提とし、
一方の基板における高熱伝導部表面が接続される温度接触部が高温側若しくは低温側に配置され、他方の基板における温度接触部が大気側に熱的に接した状態で配置されることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項3に記載の発明に係る熱電変換モジュールを前提とし、
上記基板における高熱伝導部の熱伝導度(κc)並びに断面積(Sc)と、上記基板における低熱伝導部の熱伝導度(κa)並びに断面積(Sa)とが、
1.2κa×Sa ≧ κc×Sc (式1)
の関係を有し、かつ
0.8κa×Sa ≦ κc×Sc (式2)
の関係を有していることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の発明に係る熱電変換モジュールを前提とし、
上記温度接触部の表面が、略黒色の酸化物膜あるいは熱伝導率の高い材料で被覆されていることを特徴とし、
請求項6に係る発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の発明に係る熱電変換モジュールを前提とし、
低温側に配置される基板の上記温度接触部の表面が、粗面化されていることを特徴とし、
請求項7に係る発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の発明に係る熱電変換モジュールを前提とし、
低温側に配置される基板の上記温度接触部の表面に、放熱板が付加されていることを特徴とし、
請求項8に係る発明は、
請求項1〜7のいずれかに記載の発明に係る熱電変換モジュールを前提とし、
上記基板における熱伝導率の低い材料が樹脂あるいはガラスであり、かつ、熱電変換ユニット単体面あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側面から上記基板表面までの厚さが75μm以上であることを特徴とするものである。
次に、請求項9に係る発明は、
発電装置を前提とし、
太陽電池の裏面側に請求項1〜8のいずれかに記載の熱電変換モジュールを接着させ、太陽電池と外気との温度差で発電させることを特徴とし、
請求項10に係る発明は、
請求項9に記載の発明に係る発電装置を前提とし、
太陽電池と熱電変換モジュールの接着に用いる接着剤の熱伝導率を(W/mK)、接着剤の厚みを(d)としたとき、(W/mK)/(d)の比が1000以上であることを特徴とし、
請求項11に係る発明は、
請求項9に記載の発明に係る発電装置を前提とし、
上記熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触していない面側の基板表面が、低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部に接続された各温度接触部により被覆されていることを特徴とし、
請求項12に係る発明は、
請求項9に記載の発明に係る発電装置を前提とし、
上記太陽電池が、アモルファス系Si太陽電池であることを特徴とし、
請求項13に係る発明は、
請求項9に記載の発明に係る発電装置を前提とし、
上記熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触している面側の温度が、太陽電池と接触していない面側の温度より低くなったとき、電気の正負を切り替えるスイッチが熱電変換モジュールの回路中に設けられていることを特徴とするものである。
本発明に係る熱電変換モジュールによれば、
p型材料から成るp型薄膜層とn型材料から成るn型薄膜層が電気絶縁層を介して積層されかつ上記p型薄膜層とn型薄膜層がこれ等薄膜層端部側の接続部において電気的に接続されている熱電変換ユニットを、上記薄膜層の厚さ方向に単数あるいは電気絶縁層を介し複数積層させた熱電変換ユニット単体あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側両面に、熱伝導率の異なる材料で構成された基板がそれぞれ設けられ、一方の基板側を高温側にかつ他方の基板側を低温側に配置して成る熱電変換モジュールにおいて、
上記各基板が、熱伝導率の低い材料で構成されかつ熱電変換ユニット単体表面あるいはその積層集合体の最外側表面を被覆する低熱伝導部と、熱伝導率の高い材料で構成されかつ上記低熱伝導部の厚さ方向に沿って設けられた貫通孔若しくは凹部内に埋め込まれると共にその一端側が熱電変換ユニットにおける上記接続部の近傍部位に接続または近接され他端側が低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部とで構成され、かつ、低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部の表面が熱伝導率の高い材料で構成される温度接触部に接続される構造を有している。
このため、高温部、低温部の温度が、各温度接触部と各基板を介して効率よく熱電変換ユニット(熱電素子部)に伝わるようになり、これにより熱電変換モジュール内に大きな温度差が実現されることになることから発電量を増加、改善させることが可能となる。
また、非特許文献2、3で想定されている熱電変換ユニットの各端面を、高温側、低温側の温度接触部に接触させる構造でなく、熱電変換ユニット単体あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側両面に低熱伝導部と高熱伝導部とで構成される上記基板が設けられる構造になっているため、熱電変換モジュールにおける配置の自由度を大きく改善することが可能となる。
更に、本発明に係る熱電変換モジュールを太陽電池の裏面側に接着させることにより、太陽電池における発電効率の補助を行うことができ、太陽電池の実効的な発電効率を上げることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明に係る熱電変換モジュール100は、図3に示すようにp型材料から成るp型薄膜層11とn型材料から成るn型薄膜層12が電気絶縁層13を介して積層されかつ上記p型薄膜層11とn型薄膜層12がこれ等薄膜層端部側の接続部14において電気的に接続されている熱電変換ユニット10を、上記薄膜層の厚さ方向に電気絶縁層13を介し2個積層させた熱電変換ユニット積層集合体60の最外側両面に、熱伝導率の異なる材料で構成された基板20、30がそれぞれ設けられ、一方の基板側を高温側にかつ他方の基板側を低温側に配置して成る熱電変換モジュールであって、上記各基板20、30が、熱伝導率の低い材料で構成されかつ熱電変換ユニット積層集合体60の最外側表面を被覆する低熱伝導部21、31と、熱伝導率の高い材料で構成されかつ上記低熱伝導部の厚さ方向に沿って設けられた貫通孔若しくは凹部内に埋め込まれると共にその一端側が熱電変換ユニット10における上記接続部14の近傍に設けられた熱電極部23、33に接続され他端側が低熱伝導部21、31表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部22、32とで構成され、かつ、低熱伝導部21、31表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部22、32の表面が熱伝導率の高い材料で構成される温度接触部40、50に接続されていることを特徴とする。
そして、本発明に係る熱電変換モジュール100の符号20で示す基板側を高温側に、符号30で示す基板側を低温側にそれぞれ配置した場合、高温の温度接触部40における熱(温度)が基板20の高熱伝導部22と上記熱電極部23を介して図面上側に位置する熱電変換ユニット10(熱電素子部)に伝わり、また、図面下側に位置する熱電変換ユニット10(熱電素子部)からの熱(温度)も熱電極部33と基板30の高熱伝導部32を介し低温の温度接触部50に効率よく伝わるため、熱電変換モジュール100内に大きな温度差を実現させることが可能となる。

1.熱電変換モジュールの構成
(a)熱電変換材料
熱電変換材料としては、高性能を有するIrSb、BiTe、PbTe等のカルコゲン系化合物の他、熱電特性は低いが資源的に豊富なFeSi、SiGe等の珪化物が挙げられる。また、Si半導体中のキャリアー濃度を1024(1/m)程度になるようにP、B、Al等種々の添加元素の単独または複合添加とその添加量を調整することにより、ゼーベック係数が極めて大きく、熱電変換効率を著しく高めたSi基熱電変換材料も利用することができる。その他、公知のいずれの材質も採用可能である。Siに、Ge、C、Snのうち少なくとも1種を5〜10原子%、Siをp型半導体またはn型半導体となすための添加元素のうち少なくとも1種を0.001原子%〜20原子%含有し、多結晶Siの粒界部に上記Ge、C、Snの1種以上あるいは更にp型半導体またはn型半導体となすための添加元素の1種以上が析出した結晶組織を有するSi基熱電変換材料等のSi基熱電変換材料は熱電変換効率が著しく高いため好ましい。
(b)熱伝導率の高い材料
上記基板の高熱伝導部や温度接触部を構成する熱伝導率の高い材料は金属等であることが好ましく、具体的には、銅、アルミニウム、その他、熱伝導度の高い金属、合金、セラミックス等が挙げられる。また、低温側に配置される基板と高温側に配置される基板の高熱伝導部については、両方とも同一の材料で構成してもよいし異なる材料を用いて構成してもよく任意である。
(c)温度接触部
上記温度接触部の表面は、略黒色の酸化物膜あるいは熱伝導率の高い材料で被覆されていることが好ましい。上記材料としては、銅の酸化物、熱伝導度が高く対環境性の高い樹脂材料等が挙げられ、これにより、高温部、低温部の温度に追随しやすくなり、熱電変換モジュール内部での温度勾配が大きくなり、大発電が可能となり好ましい。
また、本発明の熱電変換モジュールにおいては、低温側に配置される基板の上記温度接触部(低温側温度接触部)の表面を粗面化することが好ましい。低温側温度接触部の表面を粗面化するには、砂吹き付け若しくはやすり等で傷つけることを行なえばよく、表面の粗さについては、実効的な表面積が見かけ上の面積の2倍あるいはそれ以上となるように粗くなっていれば効果が大きく、これにより熱伝達係数が2倍以上となるため有効である。
また、本発明の熱電変換モジュールにおいては、低温側温度接触部の表面に放熱板を付加した構成を採ることも可能である。このような構成を採ることにより、実効的な表面積を、見かけ上(単に寸法から見られる)表面積の2倍以上にすることが可能で、大きな熱伝達係数(20W/mK以上)を得ることが可能となり、高温部と低温部の大きな温度差が得られ、発電量が大きくなる。
図4は、裏面側に熱電変換モジュールが接着された太陽電池における総発電量の樹脂厚依存性をシミュレーションした結果を示すグラフ図である。すなわち、低熱伝導部を構成する熱伝導率の低い材料として熱伝導度0.2W/mKのポリイミド樹脂が適用された熱電変換モジュールを太陽電池の裏面に接着した場合、太陽電池の裏面温度を80℃、大気温を30℃としたとき、低熱伝導部を構成する上記ポリイミド樹脂の樹脂厚(μm)と太陽電池における総発電量との関係を示したものである。尚、上記樹脂厚は熱電変換ユニット単体あるいはその集合体面から低熱伝導部(基板)表面までの距離である。
(d)熱伝導率の低い材料
上記基板の低熱伝導部を構成する熱伝導率の低い材料としては、ポリイミド、発砲スチロール等の樹脂あるいはガラスが挙げられる。そして、熱電変換ユニット単体面あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側面から基板表面までの厚さが75μm以上であると、図4に示されるように発電量が現実的な30W/m以上となり好ましいことがわかる。熱電変換ユニット単体面あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側面から基板表面までの厚さが75μm未満であると、太陽電池の発電量をサポートするためという現実的要望値からは小さくなってしまう場合がある。太陽電池の補助としては、30W/m以上の発電量が望まれるため(発電効率で示すと3%に対応する)、これを確保するため75μm以上が好ましい。尚、低温側に配置される基板と高温側に配置される基板の低熱伝導部についても、両方とも同一の材料で構成してもよいし異なる材料を用いて構成してもよく任意である。
また、上記低熱伝導部を構成する材料は電気的に絶縁材料であり、熱伝導率のできるだけ低い材料が望ましく、目的によってポリイミド、発砲スチロール等の樹脂材料あるいはガラス材料を使い分けることができる。この低熱伝導部は、熱伝導率が低い方が望ましく、また、低熱伝導部の膜厚は、厚い方が熱電変換素子間の温度差が大きくなるので望ましい。
そして、断熱性が高い従来の立体型熱電変換素子を太陽電池の裏面側に接着した場合、上述したように太陽電池の温度が上昇する危険性があったが、100μm程度の樹脂による低熱伝導部の断熱性はさほど問題にならない。尚、低熱伝導部があまり厚くなると太陽電池自体の温度上昇が問題になる可能性がある。但し、低熱伝導部が数mmでは温度上昇の影響はさほどない。

2.熱電変換モジュールの製造
本発明に係る熱電変換モジュールは、上述したようにp型材料から成るp型薄膜層とn型材料から成るn型薄膜層が電気絶縁層を介して積層されかつ上記p型薄膜層とn型薄膜層がこれ等薄膜層端部側の接続部において電気的に接続されている熱電変換ユニットを、上記薄膜層の厚さ方向に単数あるいは電気絶縁層を介し複数積層させた熱電変換ユニット単体あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側両面に、低熱伝導部と高熱伝導部とで構成される基板がそれぞれ設けられた構造を有している。そして、本発明に係る熱電変換モジュールは以下のようにして製造することができる。
例えば、基板の一部を構成する厚さ500μmのポリイミド樹脂シートの一方の面に、図5(a)〜(c)に示すような3種類のマスクを適宜交換しながら、図6に示すような熱電変換ユニット積層集合体を製造する。すなわち、上記ポリイミド樹脂シートとマスクをスパッタリング装置内に配置し、まず、図5(a)(b)に示すマスクより開口幅の広い図5(c)に示すマスクを用いてポリイミド樹脂シート13上にp型材料から成る厚さ1nm程度のp型薄膜層11を成膜し、かつ、図5(c)に示すマスクと較べて図面左端の開口幅が狭い図5(b)に示すマスクに交換して上記p型薄膜層11上に厚さ10nm程度の電気絶縁層13を成膜し、更に、図5(c)に示すマスクに交換して上記電気絶縁層13上にn型材料から成る厚さ1nm程度のn型薄膜層12を成膜した後、図5(c)に示すマスクと較べて図面右端の開口幅が狭い図5(a)に示すマスクに交換して上記n型薄膜層12上に厚さ10nm程度の電気絶縁層13を成膜する。これ等一連の成膜処理により、図6に示すように図面左側端部の接続部14においてp型薄膜層11とn型薄膜層12とが接続され、かつ、図面下側に位置する熱電変換ユニット10が形成される。
次に、図5(c)に示すマスクに交換して上記電気絶縁層13上にp型材料から成る厚さ1nm程度のp型薄膜層11を成膜し、かつ、図5(b)に示すマスクに交換して上記p型薄膜層11上に厚さ10nm程度の電気絶縁層13を成膜し、更に、図5(c)に示すマスクに交換して上記電気絶縁層13上にn型材料から成る厚さ1nm程度のn型薄膜層12を成膜した後、図5(a)に示すマスクに交換して上記n型薄膜層12上に厚さ10nm程度の電気絶縁層13を成膜する。これ等一連の成膜処理により、図6に示すように図面右側端部の接続部14においてn型薄膜層12とp型薄膜層11とが接続され、図6に示すように図面左側端部の接続部14においてp型薄膜層11とn型薄膜層12とが接続されると共に、電気絶縁層13を介し図面下側に位置する熱電変換ユニット10上に図面上側に位置する熱電変換ユニット10が積層され、かつ、これ等一対の熱電変換ユニット10が上述の各接続部14を介し直列に接続された熱電変換ユニット積層集合体60が形成される。
次に、図面上側に位置する熱電変換ユニット10の電気絶縁層13上に厚さ50μm程度の図示外のポリイミド樹脂シートを接着して上記熱電変換ユニット積層集合体60をポリイミド樹脂シートで挟持させた後、p型薄膜層11とn型薄膜層12の接続部14近傍に、図7に示すように熱電変換ユニット10とは電気的には絶縁であるが熱的にはよく接続する銅等の金属で構成された熱電極部(図3の符号23参照)230をペースト等で約数百ミクロン厚に形成する。更に、熱電変換ユニット積層集合体60の上記熱電極部230が形成された部位とは反対面でかつ上記熱電極部の形成位置と反対側の端部に、対極する熱電極部(図3の符号33参照)330を同様の方法により形成し、更に、一対の上記ポリイミド樹脂シート上に発泡スチロール等の断熱素材で構成されたユニットを重合して一対の基板(図3の符号20、30参照)200、300とする。
次に、熱電変換ユニット積層集合体60を挟持する一方の基板200の上記熱電極部230に対応する部分に向け、直径0.5mmの穴の開いたマスクを介しエキシマレーザを12.5秒照射して、直径約0.5mmでかつ上記熱電極部230が見えるところまで貫通孔を開けると共に、貫通孔内に熱伝導性の良い接着剤を付加した後、図7に示すように、例えば、直径0.5mm、長さが0.5mmの熱伝導性の高い銅材(高熱伝導部70を構成する)を埋め込む。また、他方の基板300の上記熱電極部330に対応する部分に向け、同様に、上記マスクを介しエキシマレーザを12.5秒照射して、直径約0.5mmでかつ上記熱電極部330が見えるところまで貫通孔を開ける。尚、12.5秒以上の長時間照射をすると、熱電変換ユニット10部も貫通される可能性があるが、12.5秒で止めた場合、熱電変換ユニット10部はほぼ残っていることが確認されている。その後、直径0.5mmの銅材表面に熱伝導性を有する接着剤を塗り、上記貫通孔内に埋め込んで高熱伝導部材70とする。尚、銅材を埋め込んで高熱伝導部70を構成した場合、高熱伝導部70と熱電変換ユニット10部との電気的な接合は必要なく、熱的な接続さえ取れていれば問題はない。従って、銅材が埋め込まれる貫通孔については、熱電変換ユニット10部側が閉止されその反対の表面側が開放された凹部で構成してもよい。また、上記高熱伝導部70の一端側が接続若しくは近接する位置(熱電極部230、330の形成部位)にp型薄膜層とn型薄膜層の端部側接続部が対応するように形成される。
更に、上記基板200上の熱電変換ユニット10に対応する部位に膜が形成できるようなマスクを介し、図7に示すように高温側の温度接触部(例えば、Cuを用い、膜厚約10μm厚)400をスパッタリングにより形成し、かつ、反対側の基板300上にも低温側の温度接触部(放熱用構造をさらに接触させることもある)500を形成して本発明に係る熱電変換モジュールが得られる。
尚、熱電変換ユニット内のp型薄膜層とn型薄膜層の接続部近傍にその一端側が熱的接触する高熱伝導部70の接触サイズと、高温側、低温側の上記温度接触部300、400の断面サイズは図7に示すように一致させる必要はない。特に、低温側の温度接触部については、図3および図7に示すようにその断面サイズ(例えば大気との温度接触部の面積)がほぼ熱電変換ユニット全面に広がる方が好ましい。これは、低温側の放熱が十分になされた方が、熱電変換ユニット(熱電素子部)内での発電が大きいからである。例えば、低温側の温度接触部が大気と接して自由放熱の場合もあり、このときは、できるだけ放熱面積が大きい方が効率的に放熱でき、結果的に高温部と低温部の温度差が大きくなり、大きな発電量につながる。その意味で、大気への自由放熱の場合、表面積を稼ぐために立体構造とし、放熱フィンを付けた方が温度差をより付け易くなり、発電量が大きくなって効果的である

3.基板における「高熱伝導部の断面積」と「低熱伝導部の断面積」の最適条件
図8に示すように一方の基板における高熱伝導部81表面が接続される温度接触部80が高温側若しくは低温側に配置され、他方の基板における温度接触部80が大気側に熱的に接した状態で配置される本発明に係る熱電変換モジュールにおいて、
その発電量が最大となる熱流の条件は、
上記基板における高熱伝導部81の熱伝導度(κc)並びに断面積(Sc)と、上記基板における低熱伝導部82の熱伝導度(κa)並びに断面積(Sa)とが、
1.2κa×Sa ≧ κc×Sc (式1)
の関係を有し、かつ
0.8κa×Sa ≦ κc×Sc (式2)
の関係を有する場合である。
以下、熱電変換モジュール(但し、簡略化のため熱電変換ユニット集合体でなしに熱電変換ユニット単体を想定)内における熱流が図8に示す熱流と仮定して説明する。
ここで、各記号の意味は以下の通りである。
S0:熱電変換ユニット(熱電素子部83)一つあたりの断面積=Sa+Sc
Sc:熱電変換ユニット(熱電素子)一つあたりの基板における高熱伝導部の断面積
Sa:熱電変換ユニット(熱電素子)一つあたりの基板における低熱伝導部の断面積
St:熱電変換ユニット(熱電素子)一つあたりの断面積
d:「低熱伝導部」の厚さ
L:熱電変換ユニット(熱電素子)の長さ
κc:高熱伝導部の熱伝導度
κa:低熱伝導材料の熱伝導度
κt:熱電変換ユニット(熱電素子)の熱伝導度
α:T5(大気)からの放熱係数
Pf:熱電変換ユニット(熱電素子)のパワーファクター=S /(ρ+ρ
ρ+ρ:n型材料、p型材料の電気伝導度
:ゼーベック係数
Q0:熱電変換ユニット(熱電素子)一つあたりに太陽光から照射されるエネルギー
(1m2では1000W)、
また、これは、
Q0=α・S0・(T5−T4):低温側の面から放出されるエネルギーにも等しい。
ここで、図8に示す熱流(Q)と上記定義との間に以下の関係式が成立する。
Q1=κc×Sc×(T1−T2)×2/d
Q2=κa×Sa×(T1−T4)/d
Q3=κa×Sc×(T1−T3)×2/d
Q4=κa×Sc×(T2−T4)×2/d
Q5=κc×Sc×(T3−T4)×2/d
Q6=κt×St×(T2−T3)/L
また、上記熱流の間に、熱流連続の関係より以下の関係式が成立する。
Q0=Q1+Q2+Q3
Q1=Q4+Q6
Q5=Q3+Q6
熱流連続の関係より求められたこれ等3式と、上記Q0=α・S0・(T5−T4)の合計4式を連立させると、4変数である各温度T1、T2、T3、T4を自動的に求めることができる。但し、T5は大気温度で、例えば30℃というように固定した値である。
これらの関係式から求められた温度差(T2−T3)を用いれば、熱電変換ユニット(熱電素子)の発電量が求められる。
すなわち、熱電変換ユニット(熱電素子)一つあたりの発電量Pwは、
Pw=Pf×(T2−T3)×St/L
の最大となる条件を求めればよい。
定性的には、発電量を決定する温度差ΔT=|T2−T3|を大きくするには温度T1、温度T4の温度差を大きくする必要がある。
そのためには、低熱伝導材部の熱伝導度を出来るだけ小さくし、低熱伝導材部を厚くし、高温部、低温部に熱的に接続する高熱伝導部の熱伝導度を上げることが重要である。
高熱伝導部を太くすると、T1とT4の温度差が小さくなり、結局、T2とT3の温度差が小さくなる。また、高熱伝導部の断面積を小さくすると、T1、T4の温度差は大きくなるが、T2とT3の温度差は小さくなる。
このため、熱電変換モジュールの発電量を最大とする適正値が存在することがわかる。
上記結果、発電量Pwが最大値となるのは、「κa×Sa」の値と「κc×Sc」の値が略等しい条件が満たされる付近であることがわかる。
最大の発電量の8割以上が確保される範囲を発電量の好ましい範囲として条件を求めると、
1.2κa×Sa ≧ κc×Sc (式1)
と、
0.8κa×Sa ≦ κc×Sc (式2)
の間が好ましい範囲であることが求められる。

4.発電装置
本発明に係る発電装置は、上記熱電変換モジュールが太陽電池の裏面側に接着され、太陽電池と外気温等との温度差で発電することを特徴とするものである。
このような構成にすることにより、太陽電池裏面と外気温の温度差を利用して発電させることができ、これによって太陽電池の温度上昇に起因した発電効率の低下を改善することができる。
ところで、本発明に係る発電装置においては、太陽電池と熱電変換モジュールとの接着に用いる接着剤の熱伝導率と接着剤の厚みが発電効率に関係し、接着剤の熱伝導率を(W/mK)、接着剤の厚みを(d)としたとき、(W/mK)/(d)の比が1000以上であることが好ましい。0.1(W/mK)程度の低熱電度材料である樹脂内を流れる熱は、その厚みが1mm程度のとき、0.1/10−3=100程度となる。太陽電池との接着部で熱抵抗となってはいけないので、上記樹脂の熱流と較べて接着部内の熱流は10倍以上、すなわち、(W/mK)/(d)の比が1000以上あることが望ましい。
また、熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触していない面側の各熱電変換ユニットの基板表面については、低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部に接続された各温度接触部により被覆されていることが好ましい。
ここで、本発明に係る熱電変換モジュールが接着される太陽電池の種類は特に限定されず、例えば、アモルファス系Si太陽電池が挙げられる。アモルファス系Si太陽電池は、結晶系Si太陽電池と較べると太陽光の吸収係数が大きいためSiの膜厚は1μm以下で済む。また、アモルファス系Siを樹脂の上に成膜できることもありフレキシブルな太陽電池も作れる。但し、発電効率は低く、平均8%程度であるため、屋根の上に載せるタイプでは、4kWを実現するには大面積が必要となり、安価でも使用範囲は限られている。しかし、アモルファス系Si太陽電池は、結晶系Si太陽電池と異なり、温度が上昇しても発電効率が落ちないという特色がある。従って、厚めの樹脂等で構成される基板により挟んだ本発明に係る熱電変換モジュールを、太陽電池の裏面に接着したタイプではより高効率の発電が実現できる。そして、どんなタイプの太陽電池に対しても、太陽電池自身の発電とは独立に本発明に係る熱電変換モジュールにより発電を付加できるので、どんなタイプの太陽電池にも本発明に係る熱電変換モジュールを利用することができる。
次に、本発明に係る発電装置においては、熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触している面側の温度が、太陽電池と接触していない面側の温度より低くなったとき、電気の正負を切り替えるスイッチが熱電変換モジュールの回路中に設けられていることが好ましい。上記スイッチを設ける理由は、太陽電池と接触している面側の温度が必ずしも高温部になるとは限らず、外気温あるいは太陽電池の設置の仕方によっては低温部となり、逆電圧を発生することがあるからである。この場合、スイッチで正負を切り替える構造にしておけば、太陽のない夜でも発電が可能となる。従って、電気の正負を自動的に切り替えることのできるスイッチを回路中に設けておくことが好ましい。尚、本明細書においては、特に必要の無い限り、太陽電池の裏面との接着部側が高温部として説明している。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
図9に示すように基板の一部を構成する厚さ500μmのポリイミド樹脂シート130の一方の面に、導電性ペースト(三菱マテリアル社製:銀ナノペースト)を用いて厚さ50μmの熱電極部133を形成した後、ポリイミド樹脂シート130の他方の面に、図5(a)〜(c)に示した3種類のマスクを適宜交換しながら、スパッタリング成膜法により、n型材料(BiTe)から成る厚さ1nmのn型薄膜層12と、電気絶縁材料(SrTiO)から成る厚さ10nmの電気絶縁層13、p型材料[(BiSb)2Te]から成る厚さ1nmのp型薄膜層11と、同じ材料から成る厚さ10nmの電気絶縁層13を成膜して熱電変換ユニット10を形成し、以下、同様の方法により熱電変換ユニット10上に総数100組(但し、図9では3組が例示されている)の熱電変換ユニットを積層し、かつ、電気絶縁層13を形成した後、上記熱電極部133とは反対側の位置に他方の熱電極部123を形成して、互いに直列に接続された熱電変換ユニット積層集合体60を製造した。ここで、熱電変換ユニット積層集合体60は、面内に10個(但し、図9では2個が例示されている)並べて配置されている。また、熱電変換ユニットだけの全体のサイズは30mm×65mm程度であり、10個の熱電変換ユニット積層集合体60は図9に示すように電気的に並列に接続されており、かつ、各熱電極部123、133は、隣接する熱電変換ユニット積層集合体60にまたがるように配置されている。尚、図9中、単位「mm」が付された数値は、熱電変換ユニット積層集合体60の設計寸法を示している。
次に、熱電極部123、133が形成された10個の熱電変換ユニット積層集合体60についてはその最外側表面に厚さ2mmの発泡スチロール(図3の符号20、30参照)が配置され、上記発泡スチロールの各熱電極部123、133に対応する部位に、上部と下部から、直径が0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mmのサイズでかつ銅製の高熱伝導部(長さ2mm)を挿入するための貫通孔をエキシマレーザによりそれぞれ開設し、高熱伝導部となる銅線の表面に接着剤を塗布して上記貫通孔に挿入した。
尚、上記エキシマレーザの照射条件は以下の通りである。
エキシマレーザ:Exitech社製 エキシマレーザ加工機 PS2000
使用波長:248(nm)
使用した光学系:10倍レンズ
発信周波数=100 Hz
次に、高熱伝導部を構成する銅線が貫通孔に挿入された熱電変換モジュール前駆体に対し、高温部と低温部の温度接触部(図3の符号40、50参照)を構成する厚さ0.2mmの銅板を熱電変換モジュール前駆体の両側からそれぞれ接着して、実施例に係る4種類の熱電変換モジュール(すなわち、直径が0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mmである銅線で高熱伝導部がそれぞれ構成されたモジュール)を製造した。
そして、熱電変換モジュールの高温部側を80℃の銅ブロックに接着し、熱電変換モジュールの他方側を大気(25℃)に自由放熱させた状態で発電量を測定した。尚、熱電変換モジュール内での温度差を測ろうとすると発電量が変化したので、上下(すなわち、高温部と低温部)の温度接触部での温度差を計測した。この結果を表1に示す。
表1に示されている通り、直径0.4mmの銅線で高熱伝導部が構成されている熱電変換モジュールの場合が最大の発電量(2mW/cm2)となった。
この場合、ほぼ「κa×Sa =κc×Sc」が成立するときに対応していることが確認できる。ここで、κa=0.1W/mK、Sa=10×30mm、κc=200W/mKである。
Figure 0005067352
本発明に係る熱電変換モジュールによれば、熱電変換モジュール内に大きな温度差が実現されることから発電量を増加、改善させることが可能となり、また、非特許文献2、3で提案されている熱電変換モジュールと比較して配置の自由度を大きく改善することが可能となり、更に、太陽電池の裏面側に接着させることにより太陽電池の実効的な発電効率を上げることが可能となる。従って、本発明に係る熱電変換モジュールは太陽電池に組み込まれて利用される産業上の利用可能性を有している。
従来の結晶Si系太陽電池の温度特性を示すグラフ図。 従来技術に係る熱電変換素子の主要部構成を示す断面図。 本発明に係る熱電変換モジュールの概略斜視図。 裏面側に熱電変換モジュールが接着された太陽電池の総発電量の樹脂厚依存性をシミュレーションした結果を示すグラフ図。 図5(a)〜(c)は本発明に係る熱電変換モジュールを製造する際に用いられるマスクの一例を示す平面図。 本発明に係る熱電変換モジュールの製造途中における熱電変換ユニット積層集合体の概略斜視図。 上記熱電変換ユニット積層集合体の構造を略した本発明に係る熱電変換モジュールの概略斜視図。 本発明に係る熱電変換モジュール内における熱流の概略図。 本発明の実施例に係る熱電変換モジュールの製造途中における熱電変換ユニット積層集合体と熱電極部の概略斜視図。
符号の説明
10 熱電変換ユニット
11 p型薄膜層
12 n型薄膜層
13 電気絶縁層(ポリイミド樹脂シート)
14 接続部
20 基板
21 低熱伝導部
22 高熱伝導部
23 熱電極部
31 低熱伝導部
32 高熱伝導部
33 熱電極部
40 温度接触部
50 温度接触部
60 熱電変換ユニット積層集合体
70 高熱伝導部
80 温度接触部
81 高熱伝導部
82 低熱伝導部
83 熱電変換ユニット(熱電素子部)
100 熱電変換モジュール
123 熱電極部
130 ポリイミド樹脂シート
133 熱電極部
200 基板
230 熱電極部
300 基板
330 熱電極部
400 温度接触部
500 温度接触部

Claims (13)

  1. p型材料から成るp型薄膜層とn型材料から成るn型薄膜層が電気絶縁層を介して積層されかつp型薄膜層とn型薄膜層がこれ等薄膜層端部側の接続部において電気的に接続されている熱電変換ユニットを、上記薄膜層の厚さ方向に単数あるいは電気絶縁層を介し複数積層させた熱電変換ユニット単体あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側両面に、熱伝導率の異なる材料で構成された基板がそれぞれ設けられ、一方の基板側を高温側にかつ他方の基板側を低温側に配置して成る熱電変換モジュールにおいて、
    上記各基板が、熱伝導率の低い材料で構成されかつ熱電変換ユニット単体表面あるいはその積層集合体の最外側表面を被覆する低熱伝導部と、熱伝導率の高い材料で構成されかつ上記低熱伝導部の厚さ方向に沿って設けられた貫通孔若しくは凹部内に埋め込まれると共にその一端側が熱電変換ユニットにおける上記接続部の近傍部位に接続または近接され他端側が低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部とで構成され、かつ、低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部の表面が熱伝導率の高い材料で構成される温度接触部に接続されていることを特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 熱伝導率の高い材料が金属であることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換モジュール。
  3. 一方の基板における高熱伝導部表面が接続される温度接触部が高温側若しくは低温側に配置され、他方の基板における温度接触部が大気側に熱的に接した状態で配置されることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  4. 上記基板における高熱伝導部の熱伝導度(κc)並びに断面積(Sc)と、上記基板における低熱伝導部の熱伝導度(κa)並びに断面積(Sa)とが、
    1.2κa×Sa ≧ κc×Sc (式1)
    の関係を有し、かつ
    0.8κa×Sa ≦ κc×Sc (式2)
    の関係を有していることを特徴とする請求項3に記載の熱電変換モジュール。
  5. 上記温度接触部の表面が、略黒色の酸化物膜あるいは熱伝導率の高い材料で被覆されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  6. 低温側に配置される基板の上記温度接触部の表面が、粗面化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  7. 低温側に配置される基板の上記温度接触部の表面に、放熱板が付加されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  8. 上記基板における熱伝導率の低い材料が樹脂あるいはガラスであり、かつ、熱電変換ユニット単体面あるいは熱電変換ユニット積層集合体の最外側面から上記基板表面までの厚さが75μm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  9. 太陽電池の裏面側に請求項1〜8のいずれかに記載の熱電変換モジュールを接着させ、太陽電池と外気との温度差で発電させることを特徴とする発電装置。
  10. 太陽電池と熱電変換モジュールの接着に用いる接着剤の熱伝導率を(W/mK)、接着剤の厚みを(d)としたとき、(W/mK)/(d)の比が1000以上であることを特徴とする請求項9に記載の発電装置。
  11. 上記熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触していない面側の基板表面が、低熱伝導部表面の貫通孔若しくは凹部から露出する高熱伝導部に接続された各温度接触部により被覆されていることを特徴とする請求項9に記載の発電装置。
  12. 上記太陽電池が、アモルファス系Si太陽電池であることを特徴とする請求項9に記載の発電装置。
  13. 上記熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触している面側の温度が、太陽電池と接触していない面側の温度より低くなったとき、電気の正負を切り替えるスイッチが熱電変換モジュールの回路中に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の発電装置。
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