JP5146290B2 - 熱電変換モジュールとこれを用いた発電装置 - Google Patents

熱電変換モジュールとこれを用いた発電装置 Download PDF

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Description

本発明は、温度差を利用して熱を電気に変換する熱電変換モジュールとこの熱電変換モジュールを太陽電池に接続した発電装置に関するものである。
地球温暖化が進行し、天候不順や海水上昇等々の問題が現実的に深刻化してきた現在、温暖化ガスである二酸化炭素を排出しないエネルギー源として太陽電池の重要性は、日本だけでなく、欧州、米国でも認識され、家庭や事業所への導入が盛んになってきている。導入されている太陽電池の7割は、Si系の太陽電池であり、そのほとんどは結晶系(単結晶あるいは多結晶系)である。
真夏の昼間、地球に降り注ぐ太陽エネルギーは1000W/m程度であり、これ等の太陽電池の最適条件下での平均的な発電量は150W/m程度である。つまり、変換効率は15%程度である。しかし、現実的には、住んでいる場所の緯度、家の向き、障害物の存在の有無、季節の差、天候の良し悪し等に強く依存し、15%という値は年間を通して実現されるものではない。
平均的な家庭での必要発電量は4kW程度であろうが、平均的な家庭が太陽電池を導入しようとする場合、26m程度が必要となる。実効的な効率を考えると、40m程度が必要であろう。そのような屋根面積の確保はそう容易なものではない。従って、面積をできるだけ小さくするには、少しでも変換効率の高い太陽電池ユニットが必要とされる。
また、真夏の昼間、太陽電池にとって最も発電量の多い時間帯では、太陽電池の温度は80℃以上になる。結晶シリコン系太陽電池は80℃まで温度が上がると、室温における変換効率より20〜30%も落ちる。効率が落ちることを補償しようとすると、屋根に載せる太陽電池の面積を大きくしなければならなくなり、高価になるだけでなく、屋根の上でその面積の確保も容易でないというのが現実である。太陽電池の実効的な効率がアップできれば、必要とされる屋根上の太陽電池面積も小さくてすみ、コスト低減にもつながる。これ等の理由から、安価で発電効率の高い太陽電池が望まれる。
真夏の晴天の正午頃、太陽電池自体が80℃近くなることを逆に利用し、熱電変換素子を太陽電池の裏面に貼付して発電しようというアイデアは過去にもあった(特許文献1、2参照)が、ビジネスとしては実現されていない。その理由は、従来の熱電変換素子が作りにくいため、小さい面積での素子しか作られなかったこと、そのため、大きな太陽電池の裏に上記素子を接着する工程の複雑さも理由として挙げられる。
また、熱電変換素子があまりに高価であるという事情もある。これは、従来のゼーベック効果を利用した熱電変換素子の構造上、p型とn型の素子を“π”の字状に結合して下基板に垂直に立てる構造とし、n型−p型−n型−p型というように直列につなぐ必要があり、更に、一般的に使用される熱電材料がBi−Te系であり、この材料がもろい材質の上、半田での接合が難しいという事情のため、ほとんど手作りでしか作られないためということが理由に挙げられる。
このため、低価格であることが必須である太陽電池基板の裏面に使用するのは現実的ではなく、実際に商品としては市場に現れていなかった。
このような技術的背景の下、特許文献3と非特許文献1には、効率良く発電を行えるとする熱電変換素子が提案されている。すなわち、この熱電変換素子は、p型材料から成る薄膜のp型熱電変換素子とn型材料から成る薄膜のn型熱電変換素子とが直列接続となるように成膜され、かつ、その両側に電極を成膜して熱電変換ユニットを構成すると共に、この熱電変換ユニットの両面に、熱伝導率の異なる2種類の材料で構成された柔軟性を有するフィルム状基板を設けたもので、熱電変換ユニット側に、熱伝導率の低い絶縁体であるポリイミド樹脂等の材料にて皮膜を設け、熱電変換ユニットの接合面と反対側に、熱伝導率の高い、銅等の金属材料が上記フィルム状基板の外面の一部分に位置するように設けられたものである。
このような構成を採用することにより、上記フィルム状基板の上下面に温度差を加えたときの各層の熱流束の違いからフィルム状基板内部に温度差を生じさせ、フィルム状基板の厚さ方向の温度勾配をフィルム状基板の面内方向の温度勾配に効率よく変換させ、この温度勾配を利用して、熱電変換ユニットで効率良く発電を行おうとするものであった。そして、特許文献3と非特許文献1に記載の発明は、機械的強度が高く、加工性に優れ、自動化が容易で大量生産が可能であり、更に、フレキシブルであることを生かし曲面等への設置も可能であるため設置場所が制限されない発電効率の高い熱電変換素子を提供することを目的としていた。
具体的には、マスクを利用し、樹脂シート上に素子構造を制御しながらスパッタリング法によりp型、n型の熱電材料をそれぞれ成膜して熱電変換素子部を形成し、かつ、熱電変換素子部上に別の樹脂シートを貼り付けることで熱電変換素子をサンドイッチする。
次に、この接着した樹脂シートの両外側面上でかつp型、n型の熱電変換素子の接合部に相当する部位に、銅等の熱伝導の良い金属により、上記接合部と同等サイズで同形のパターンを形成する。この構造体の断面を図1に示す。
実際には、銅(図1中、material-Bと示す)が片面に塗布あるいは貼付されたポリイミドシート(図1中、material-Aと示す)を利用してその裏面に熱電変換素子(図1中、TE materialと示す)を形成し、もう1枚のポリイミドシートの銅が付いていない裏面側を上記熱電変換素子上に接着し、かつ、貼り合わせシートの両表面にある銅薄膜をエッチングして所望のパターンを切る。この銅部が、高温部、低温部に接触することになる。そこからの熱伝導で、樹脂シート面に平行な熱電変換素子内に温度差がついて発電するというものであった。
しかし、この方法では、高温側、低温側の温度接触部(以下、温度接触部と称する)からの熱伝導が樹脂内での熱拡散による熱伝導のみのため、熱電変換素子への熱伝導性が低く、熱電変換素子内での温度勾配が付き難いことから発電量が小さくなってしまうということが課題となっていた。
ところで、発電効率については、高温部と低温部に大きな熱容量の物体を接着させることにより確実な温度差を実現でき、例えば、一方が高温部に熱的に接続し、他方を大気に放熱させるときは、最大効率の条件が存在する。そして、高温部−低温部間が固定温度の場合に発電量を増やそうとするならば、熱電変換素子を空間内に密に配置し、かつ、熱電変換素子の長さは短い方が良い(熱電素子モジュールの厚さは薄い方がよい)。発電量は、熱電素子の長さに反比例し、断面積に比例するからである。
尚、熱電素子の発電量を最大にするため、熱電素子の断面積に着目した例としては特許文献4に記載された熱電モジュールが知られている。すなわち、P型熱電素子とN型熱電素子の各上下の電極面が電極に接続されて上下に対向する基板間にP型熱電素子とN型熱電素子とが配されている熱電モジュールにおいて、電極面と平行な平面で切ったP型およびN型熱電素子の断面積比を、P型およびN型熱電素子の電気抵抗値の平均値と熱伝導度の平均値との積が最小付近になるようにしていることを特徴とするものであった。そして、この熱電モジュールにおいては、P型熱電素子とN型熱電素子とに電気的特性や熱的特性で差がある場合でも、両種熱電素子の両方の性能を最大に引き出すことができる上に、構造的な性能低下要因を新たに生じてしまうこともない利点を有するものであった。
しかし、特許文献4に記載された熱電モジュールにおいては、モジュールの構造上、モジュール内のP型熱電素子とN型熱電素子が存在しない領域は単なる空間(非熱電素子空間)で断熱性に難があり、熱電素子の発電量を最大にするためには未だ改良の余地を有していた。
特開2001−53322号公報 特開2003−69070号公報 特開2006−186255号公報 特開平11−274577号公報 NEDO平成18年度研究助成事業成果報告会 産業技術研究助成事業「エネルギー・環境技術」プロジェクトID:03B70010c=「低温廃熱利用のためのシート状フレキシブル熱電変換素子の研究開発」の発表資料 「ウレタンゴム弾性体」、「多孔質体の性質とその応用技術」1999年3月30日、石井正史著フジテクノシステム発行、210頁 図6.「各種断熱材料の性能」
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、P型熱電素子とN型熱電素子の各上下の電極面が電極に接続されて上下に対向する基板間にP型熱電素子とN型熱電素子とが配された構造を有する熱電モジュールにおいて、発電量を最大にするために好ましい新規な構造体を提供すると共に、「熱電変換素子の熱伝導度と断面積の積」と「非熱電素子空間の断面積と熱伝導度の積」との関係から発電量を最大に調整できる熱電モジュールの構造体を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討した結果、以下のような技術的知見を得るに至った。
すなわち、温度差を利用して熱を電気に変換させる熱電変換モジュールにおいて、一方が高温部に熱的に接続し、他方を大気に放熱させた場合、熱電素子を短くしたり、断面積を大きくすると、熱電素子の熱伝導度は通常の金属よりは小さいながらも大気より大きいため、高温部、低温部の温度差が小さくなる。そして、発電量は、温度差の2乗に比例するため、温度差が小さくなるのは不利である。
従って、P型熱電素子とN型熱電素子の各上下の電極面が電極に接続されて上下に対向する基板間にP型熱電素子とN型熱電素子とが配された構造を有する熱電モジュールにおいては、最適な配置、寸法があり得る。また、熱電素子の支配しない空間(すなわち、熱電素子が存在しない上記非熱電素子空間)の熱伝導度は小さい方が大きな温度差を作るためには有利である。
これ等の技術的知見から、発電量を最大にするのに適した新規な熱電モジュール構造体を見出すと共に、熱電モジュール構造体の発電量を最大にするには「熱電変換素子の熱伝導度と断面積の積」と「非熱電素子空間の断面積と熱伝導度の積」との間に厳密な関係が存在することを見出すに至った。
本発明はこのような技術的発見に基づき完成されている。
すなわち、請求項1に係る発明は、
発泡体から成る基板と、基板上面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の上側板状電極と、基板下面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の下側板状電極と、上記基板の上側板状電極と下側板状電極が重なり合う領域若しくは近傍領域に開設された複数の貫通孔と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一方の貫通孔に埋め込まれたn型材料から成るn型熱電変換素子と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた他方の貫通孔に埋め込まれたp型材料から成るp型熱電変換素子とを備え、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一組のn型熱電変換素子とp型熱電変換素子の各端部側が対応する上側板状電極と下側板状電極にそれぞれ電気的に接続されてこれ等板状電極を介し複数組のp型熱電変換素子とn型熱電変換素子が直列に配列されていると共に、上側板状電極若しくは下側板状電極側が高温側に配置されかつ他方の電極側が低温側に配置される熱電変換モジュールにおいて、
上記p型熱電変換素子とn型熱電変換素子の熱伝導度をそれぞれκp、κnとし、p型熱電変換素子とn型熱電変換素子の断面積をそれぞれSp、Snとし、発泡体から成る上記基板のp型熱電変換素子とn型熱電変換素子が埋め込まれていない領域の熱伝導度をκo、上記領域の断面積をSoとしたとき、
1.2×(κp・Sp+κn・Sn)≧κo×So (式1)
の関係を有し、かつ、
0.8×(κp・Sp+κn・Sn)≦κo×So (式2)
の関係を有していることを特徴とするものである。
次に、請求項に係る発明は、
熱電変換モジュールにおいて、
請求項に記載の熱電変換モジュールが電気絶縁層を介して複数積層され、かつ、最外側に位置する一方の熱電変換モジュールの板状電極側が高温側に配置され、最外側に位置する他方の熱電変換モジュールの板状電極側が低温側に配置されることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る熱電変換モジュールにおいて、
高温側あるいは低温側に配置される熱電変換モジュールの板状電極側が大気放熱型であることを特徴とする。
また、請求項に係る発明は、
請求項1〜3のいずれかに記載の発明に係る熱電変換モジュールにおいて、
発泡体から成る上記基板の熱伝導度が、0.03W/mK以下であることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項に記載の発明に係る熱電変換モジュールにおいて、
上記基板を構成する発泡体材料が、発泡ポリスチレン、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ガラスウールから選ばれる1種以上であることを特徴とするものである。
次に、請求項に係る発明は、
発電装置において、
太陽電池の裏面側に請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換モジュールを接着させ、太陽電池と外気との温度差で発電させることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項に記載の発明に係る発電装置において、
太陽電池と熱電変換モジュールの接着に用いる接着剤の熱伝導度を(W/mK)、接着剤の厚みを(d)としたとき、(W/mK)/(d)の比が1000以上であることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項に記載の発明に係る発電装置において、
上記太陽電池が、アモルファス系Si太陽電池であることを特徴とし、
請求項に係る発明は、
請求項に記載の発明に係る発電装置において、
上記熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触している面側の温度が、太陽電池と接触していない面側の温度より低くなったとき、電気の正負を切り替えるスイッチが熱電変換モジュールの回路中に設けられていることを特徴とする。
本発明に係る熱電変換モジュールは、発泡体から成る基板と、基板上面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の上側板状電極と、基板下面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の下側板状電極と、上記基板の上側板状電極と下側板状電極が重なり合う領域若しくは近傍領域に開設された複数の貫通孔と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一方の貫通孔に埋め込まれたn型材料から成るn型熱電変換素子と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた他方の貫通孔に埋め込まれたp型材料から成るp型熱電変換素子とを備え、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一組のn型熱電変換素子とp型熱電変換素子の各端部側が対応する上側板状電極と下側板状電極にそれぞれ電気的に接続されてこれ等板状電極を介し複数組のp型熱電変換素子とn型熱電変換素子が直列に配列されていると共に、上側板状電極若しくは下側板状電極側が高温側に配置されかつ他方の電極側が低温側に配置される構造を有している。
そして、本発明に係る熱電変換モジュールによれば、
熱電素子の支配しない空間(熱電素子が存在しない非熱電素子空間)がポリスチレンフォーム、グラスウール等の発泡体で構成され、上記空間が空気で構成される従来の熱電変換モジュールと比較して熱伝導度が小さくなり、これにより熱電変換モジュール内に大きな温度差が実現されることになるため発電量を増加、改善させることが可能となる。
特に、上記p型熱電変換素子とn型熱電変換素子の熱伝導度をそれぞれκp、κnとし、p型熱電変換素子とn型熱電変換素子の断面積をそれぞれSp、Snとし、発泡体から成る上記基板のp型熱電変換素子とn型熱電変換素子が埋め込まれていない領域の熱伝導度をκo、上記領域の断面積をSoとしたとき、
1.2×(κp・Sp+κn・Sn)≧κo×So (式1)
の関係を有し、かつ、
0.8×(κp・Sp+κn・Sn)≦κo×So (式2)
の関係を有しているため、最大の発電量を得ることが可能となる。
更に、本発明に係る熱電変換モジュールを太陽電池の裏面側に接着させることにより、太陽電池における発電効率の補助を行うことができ、太陽電池の実効的な発電効率を上げることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する
まず、本発明に係る熱電変換モジュール200は、図2に示すように発泡体から成る基板201と、基板201上面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の上側板状電極202と、基板201下面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の下側板状電極203と、上記基板201を介し上側板状電極202と下側板状電極203が重なり合う領域を貫通しかつ上側板状電極202と下側板状電極203毎にそれぞれ2個ずつ設けられた貫通孔204と、各板状電極202、203の一方の貫通孔204に埋め込まれたn型材料から成るn型熱電変換素子205と、各板状電極202、203の他方の貫通孔204に埋め込まれたp型材料から成るp型熱電変換素子206とを備え、各板状電極202、203のn型熱電変換素子205とp型熱電変換素子206の各端部側が対応する上側板状電極202と下側板状電極203にそれぞれ電気的に接続されてこれ等板状電極202、203を介して複数組のn型熱電変換素子205とp型熱電変換素子206が直列に配列されていると共に、上側板状電極202若しくは下側板状電極203側が高温側に配置されかつ他方の電極側が低温側に配置される構造を有している。
また、本発明の変形例に係る熱電変換モジュール300は、図3に示すように発泡体から成る基板301と、基板301上面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の上側板状電極302と、基板301下面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の下側板状電極303と、上記基板301の上側板状電極302と下側板状電極303の近傍領域に開設された複数の貫通孔304と、各板状電極302、303近傍に設けられた一方の貫通孔304に埋め込まれたn型材料から成るn型熱電変換素子305と、各板状電極302、303近傍に設けられた他方の貫通孔304に埋め込まれたp型材料から成るp型熱電変換素子306とを備え、各板状電極302、303近傍に設けられた一組のn型熱電変換素子305とp型熱電変換素子306の各端部側が対応する上側板状電極302と下側板状電極303にそれぞれ電気的に接続されてこれ等板状電極302、303を介し複数組のn型熱電変換素子305とp型熱電変換素子306とが直列に配列されていると共に、上側板状電極302若しくは下側板状電極303側が高温側に配置されかつ他方の電極側が低温側に配置される構造を有している。
そして、図2および図3に示す熱電変換モジュール200、300によれば、熱電素子の支配しない空間(熱電素子が存在しない非熱電素子空間)が発泡ポリスチレン、ポリスチレンフォーム等の発泡体から成る基板201、301で構成され、上記空間が空気で構成される従来の熱電変換モジュールと比較して熱伝導度が小さくなり、これにより熱電変換モジュール200、300内に大きな温度差が実現されることになるため発電量を増加、改善させることが可能となる。
尚、図2に示す熱電変換モジュール200については、以下の実施例2において示すように、上側板状電極202と下側板状電極203の電気絶縁性等を確保するためこれ等電極面上を樹脂シート等でカバーする構造にしてもよい。
また、図3に示す熱電変換モジュール300についても、以下の実施例1において示すように、アルミナ等の一対の電極用基板上に上側板状電極302並びに各素子との接続部N、P、および、下側板状電極並びに各素子との接続部をそれぞれ形成し、かつ、発泡体から成る基板301に上述した複数組のn型熱電変換素子305とp型熱電変換素子306を形成した後、これ等n型熱電変換素子305とp型熱電変換素子306の各端部と電極用基板の各接続部との位置整合をさせた状態で上記基板301を上側板状電極302が形成された電極用基板と下側板状電極303が形成された電極用基板とで挟持する構造としてもよい。

1.本発明に係る熱電変換モジュールの発電量が最大となる熱流の条件
本発明に係る熱電変換モジュールの発電量を検討するに際し、一方の板状電極側が大気放熱型の場合、発電量が最大となる熱流の条件、それによって出てくる断面積比の最適値を求めるため、最も単純な電極板に対し熱電変換素子を略垂直に配置した縦型熱電変換素子、具体的には、図4に示すような、p型熱電変換素子(P)、n型熱電変換素子(N)1対からなる構造を考える。
(1)熱流の定義
図4に示す熱電変換モジュールにおいて、図面左側の電極が高温側に接触し(温度T1)、図面右側の電極が大気(温度T3)等に放熱される構造であるとし、かつ、熱電変換モジュールの低温側の温度はT2になっているとする。
低温接触部(温度T2)から大気へ放熱され、そのときの熱伝達係数をα(α=5〜20)とする。また、p型熱電変換素子(P)の断面積(A2)、n型熱電変換素子(N)の断面積(A3)、1対の変換素子当たりの全面積(A0)、熱電変換素子の熱伝導度(κ2、κ3)、熱電素子が存在しない空間(非熱電素子空間)の熱伝導度(κ1)、各熱電変換素子の長さ(L)とする。
図4右側の低温接触部(温度T2)からの放熱で失われる熱流(Q0)は、
Q0=α・A0・(T2−T3)
また、1変換素子当たりの高温側から低温側への3種類の熱流がある。
Q1=κ1・(A1/L)・(T1−T2)
Q2=κ2・(A2/L)・(T1−T2)
Q3=κ3・(A3/L)・(T1−T2)
ここで、これ等熱流の間には、以下の関係が成立しなければならない。
Q0=Q1+Q2+Q3 (1)
また、断面積の間に以下の関係がある。
A1=A0−(A2+A3)
簡単な計算から、
Figure 0005146290
この素子により発電される電気量は、簡単のためp型とn型の断面積が等しい(A2=A3)とすると、以下のようになる。
Figure 0005146290
ここで、Pfはパワーファクターと呼ばれる値で、熱電変換素子の物理定数できまる。
Figure 0005146290
ここで、ρp、ρnは、熱電変換素子p型、n型のそれぞれの電気伝導度、Sはゼーベック係数である。
発電量Pwが最大となるときの熱流比(Q2+Q3)/Q1、および、断面積比A2とA0の関係を求める。簡単な計算の結果、以下の場合となる。
Figure 0005146290
(Q2+Q3)とQ1の熱流の比は、
Figure 0005146290
断熱層は熱伝導度が小さく、κ2〜κ3>>κ1、αL≧κ1ということを考慮すると
Figure 0005146290
となる。
つまり、熱電素子部を流れる熱流と熱電素子部を流れる熱流がほぼ同じになることを示す。厚さが共通であることから、この条件は、熱電素子の熱伝導度(κt)、断面積(St)、熱電素子を除いた低熱伝導度の発泡体(断熱材)の熱伝導度(κa)、断面積(Sa)とするとき、κa×Sa=κt×St ということができる。そして、発電量が最大値の8割以上となる条件を求めると、ほぼ0.8×κa×Sa≧κt×Stの関係が成立し、かつ、1.2×κa×Sa≦κt×St ということが分かった。
面積比について、現実的な値を入れると、
(A2+A3)/A0=2・(A2/A0)
=2・(αL+κ1)/(2κ2)
〜2・αL/(2κ2)〜0.08・Q1〜(Q2+Q3)ということに相当し、このときに発電量は最大になる。

(2)もうひとつの境界条件:一定熱流入の場合
図5のように一定の熱流入がある場合について検討する。
このとき、
Q1=κ1・(A1/L)・(T1−T2)
Q2=κ2・(A2/L)・(T1−T2)
Q3=κ3・(A3/L)・(T1−T2)
なる関係が成り立つ。
Q0=Q1+Q2+Q3=α(A1+A2+A3)・(T2−T3)
Q0=(T1−T2)(κ1・A1+κ2・A2+κ3・A3)/L
が成立する。
Figure 0005146290
ここで発電量は、
Figure 0005146290
ΔTを代入して
Figure 0005146290
A2/A0=κ1/(2κ2)のとき、発電量は最大値をとり、その値は、
Figure 0005146290
熱流比を求める。
Figure 0005146290
現実的な数値で考えると
κ1/κ2=0.03
従って、同様に
Figure 0005146290
のとき、発電量が最大となる。
厚さが共通であることから、この条件は、熱電変換素子の熱伝導度(κt)、断面積(St)、熱電素子を除いた低熱伝導度の発泡体(断熱材)の熱伝導度(κa)、断面積(Sa)とするとき κa×Sa=κt×St ということができる。
そして、発電量が最大値の8割以上となる条件を求めると、
ほぼ、1.2×κa×Sa≧κt×Stの関係が成立し、かつ、
0.8×κa×Sa≦κt×Stを満たしていることが必要であることが分かった。

2.熱電変換モジュールの構成
(1)熱電変換モジュール
本発明に係る熱電変換モジュールは、例えば、図2および図3に示したような構造を有している。すなわち、本発明に係る熱電変換モジュールは、発泡体から成る基板と、基板上面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の上側板状電極と、基板下面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の下側板状電極と、上記基板の上側板状電極と下側板状電極が重なり合う領域若しくは近傍領域に開設された複数の貫通孔と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一方の貫通孔に埋め込まれたn型材料から成るn型熱電変換素子と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた他方の貫通孔に埋め込まれたp型材料から成るp型熱電変換素子とを備え、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一組のn型熱電変換素子とp型熱電変換素子の各端部側が対応する上側板状電極と下側板状電極にそれぞれ電気的に接続されてこれ等板状電極を介し複数組のp型熱電変換素子とn型熱電変換素子が直列に配列されていると共に、上側板状電極若しくは下側板状電極側が高温側に配置されかつ他方の電極側が低温側に配置される構造を有している。
そして、図2に示した熱電変換モジュールは、例えば、図6の製造工程図に示すような工程を経て製造することができる。
すなわち、発泡スチロール等の発泡性樹脂板の両面に銅等の金属箔を貼り合わせ、かつ、図示外のマスクを用いたエッチング処理により、発泡性樹脂板の両面に図7に示すような複数の上側板状電極202と下側板状電極203を形成する。
次に、上記発泡性樹脂板を介し上側板状電極202と下側板状電極203が重なり合う領域に打ち抜き法により断面矩形状の貫通孔を複数設けると共に、これ等貫通孔にn型熱電変換素子205とp型熱電変換素子206をそれぞれ埋め込みかつ半田付けして図2に示すような構造体とし、更に、必要に応じて上側板状電極と下側板状電極側を樹脂シートで覆って図2および図7に示すような熱電変換モジュールを得る。

(2)熱電変換材料
熱電変換材料としては、高性能を有するIrSb、BiTe、PbTe等のカルコゲン系化合物の他、熱電特性は低いが資源的に豊富なFeSi、SiGe等の珪化物が挙げられる。また、Si半導体中のキャリアー濃度が1024(1/m)程度になるようにP、B、Al等種々の添加元素の単独または複合添加を行い、その添加量を調整することにより、ゼーベック係数が極めて大きく、熱電変換効率を著しく高めたSi基熱電変換材料も利用することができる。その他、公知のいずれの材質も採用可能である。Siに、Ge、C、Snのうち少なくとも1種を5〜10原子%、Siをp型半導体またはn型半導体となすための添加元素のうち少なくとも1種を0.001原子%〜20原子%含有し、多結晶Siの粒界部に上記Ge、C、Snの1種以上あるいは更に添加元素の1種以上が析出した結晶組織を有するSi基熱電変換材料等のSi基熱電変換材料は熱電変換効率が著しく高いため好ましい。
Siをp型半導体となすためのドーパント元素としては、pグループ群(Be、Mg、Ca、Sr,Ba,Zn、Cd、Hg、B、Al、Ga、In、Tl)、遷移金属元素群(Y、Mo、Zr)の各群から選択する1種または2種以上が望ましい。特に好ましい元素は、B、Ga,Alである。
また、Si基熱電変換材料をn型半導体となすためのドーパント元素は、nグループ群(N、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te)、遷移金属元素群(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Pt、Au、但し、Feは10原子%以下)、希土類元素群(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu)の各群から選択する1種または2種以上が望ましい。特に好ましい元素は、P、Cu,Asである。

(3)低熱伝導材料(発泡体から成る基板材料)
通常、大気の熱伝導度は極めて低いが、2つの略平行な温度電極が存在する場合、その2つの温度電極間の熱伝導度は、大気分子による熱伝導の他に、輻射による熱伝導がある。2つの電極間の温度差が大きい場合は特に顕著である。例えば、2つの温度電極間に100℃の温度差がある場合、その間隔が3mmの2枚の電極間の熱伝導を計算すると、ステファンボルツマン定数をσ=5.67×10−8 W/mとするとき、熱放射の実効的な熱伝導量を求める。このとき、実効的な熱伝導度κを定義できる。
Q=σS(T1−T2)=(κ/L)・(T1−T2)S
面積Sは両辺でキャンセルされ、T1=400K、T2=300Kを代入すると、
κ/L=9.92となる。
L=3×10−3 mとすると κ=0.029W/mKとなり必ずしも小さくない。
従って、以下に示す熱伝導度の材料があればその材料を用いた方が好ましいことが分かる。熱伝導度の小さな材料の候補として、図8(非特許文献2参照)のグラフ図に挙げられた硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、硬質塩ビフォーム、グラスウール等がある。

(4)電極間に低熱伝導材料(発泡体から成る基板材料)を入れる効果
熱電材料に関する条件(例えば、熱電素子の材質、サイズ、数等)が同一の場合、上記非熱電素子空間(以下、断熱層と呼ぶことがある)の熱伝導度が低い方が発電量は大きくなる。シミュレーション結果を図9に示す。断熱層の熱伝導度が小さい方が、上下の温度差が大きくなり、結果、発電量が大きくなることが分かる。

3.複数の熱電変換モジュールが電気絶縁層を介して複数積層された構造体
例えば、図2および図3に示したような熱電変換モジュールが電気絶縁層を介して複数積層され、かつ、最外側に位置する一方の熱電変換モジュールの板状電極側が高温側に配置され、最外側に位置する他方の熱電変換モジュールの板状電極側が低温側に配置される構造を有する熱電変換モジュールとしてもよい。

4.発電装置
本発明に係る発電装置は、上記熱電変換モジュールが太陽電池の裏面側に接着され、太陽電池と外気温等との温度差で発電することを特徴とするものである。
このような構成にすることにより、太陽電池裏面と外気温の温度差を利用して発電させることができ、これによって太陽電池の温度上昇に起因した発電効率の低下を改善することができる。
ところで、本発明に係る発電装置においては、太陽電池と熱電変換モジュールとの接着に用いる接着剤の熱伝導率と接着剤の厚みが発電効率に関係し、接着剤の熱伝導率を(W/mK)、接着剤の厚みを(d)としたとき、(W/mK)/(d)の比が1000以上であることが好ましい。0.1(W/mK)程度の低熱電度材料である樹脂内を流れる熱は、その厚みが1mm程度のとき、0.1/10−3=100程度となる。太陽電池との接着部で熱抵抗となってはいけないので、上記樹脂の熱流と較べて接着部内の熱流は10倍以上、すなわち、(W/mK)/(d)の比が1000以上あることが望ましい。
ここで、本発明に係る熱電変換モジュールが接着される太陽電池の種類は特に限定されず、例えば、アモルファス系Si太陽電池が挙げられる。アモルファス系Si太陽電池は、結晶系Si太陽電池と較べると太陽光の吸収係数が大きいためSiの膜厚は1μm以下で済む。また、アモルファス系Siを樹脂の上に成膜できることもありフレキシブルな太陽電池も作れる。但し、発電効率は低く、平均8%程度であるため、屋根の上に載せるタイプでは、4kWを実現するには大面積が必要となり、安価でも使用範囲は限られている。しかし、アモルファス系Si太陽電池は、結晶系Si太陽電池と異なり、温度が上昇しても発電効率が落ちないという特色がある。従って、発泡体から成る基板が組み込まれた本発明に係る熱電変換モジュールを、太陽電池の裏面に接着したタイプではより高効率の発電が実現できる。そして、どんなタイプの太陽電池に対しても、太陽電池自身の発電とは独立に本発明に係る熱電変換モジュールにより発電を付加できるので、どんなタイプの太陽電池にも本発明に係る熱電変換モジュールを利用することができる。
次に、本発明に係る発電装置においては、熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触している面側の温度が、太陽電池と接触していない面側の温度より低くなったとき、電気の正負を切り替えるスイッチが熱電変換モジュールの回路中に設けられていることが好ましい。上記スイッチを設ける理由は、太陽電池と接触している面側の温度が必ずしも高温部になるとは限らず、外気温あるいは太陽電池の設置の仕方によっては低温部となり、逆電圧を発生することがあるからである。この場合、スイッチで正負を切り替える構造にしておけば、太陽のない夜でも発電が可能となる。従って、電気の正負を自動的に切り替えることのできるスイッチを回路中に設けておくことが好ましい。尚、本明細書においては、特に必要の無い限り、太陽電池の裏面との接着部側が高温部として説明している。
以下、本発明の実施例について参考例と共に詳細に説明する。
(参考例1)
図10に示す構造の熱電変換素子を想定し、各部は表1、2に記載した材料、素子を用いることとし、「熱電変換モジュール全体の面積」に対する「熱電素子だけの断面積和の比」が変化したときの板状電極間の温度差と熱電変換モジュールの発電量をシミュレーションした。その結果を図11に示す。
図11中、β=「熱電変換モジュール全体の面積」に対する「熱電素子だけの断面積和の比」である。
β=0.015付近で最大出力を示すことが分かる。熱電素子の示す面積割合βが小さい程、2つの熱電極間を流れる熱流が小さくなるので温度差は大きくなるが、断面積が小さくなるため、発電量は小さくなる。
熱電変換素子の熱伝導度κt=2(W/mK)、断熱層の熱伝導度κa=0.03(W/mK)から、β=St/Sa=κa/κt=0.015となる。
つまり、St・κt=Sa・κaのところで最大値をとることが分かる。
Figure 0005146290
Figure 0005146290
(参考例2)
市販のペルチエ素子(小松エレクトロニクス社製:KSM−06127A)に対して、硬質ウレタンフォーム(熱伝導度=0.01W/mK)を詰め込んだ。高温側を120℃に固定し、低温側は20℃の大気に放熱した。熱電素子間が大気のままの場合と、ウレタンフォームを充填したときに、発電量の差を調べた。
以下の表3に示すように、ウレタンフォームを充填した方が、上下の温度差が大きくなり、その分、発電量が上がった。
上記シミュレーション結果とも一致し、板状電極間の非熱電素子空間に低熱伝導度の材料で充填すると発電量は大きくなることが確認された。
Figure 0005146290
[実施例1]
熱電変換素子(小松エレクトロニクス社製:9A−06L04)を分解してp型、n型素子(いずれも2mm×2mm×3mm)を取り出した。
そして、それぞれ16対のp型、n型の素子を利用し、小区画の1辺が40mm、80mm、100mm、120mmの正方形の各アルミナ基板に対し、図12に示すようにp型、n型素子を直列に配置した。
次に、2枚のアルミナ基板で熱電素子を挟み、一方の熱電変換素子には銅ブロックの放熱板をつけた。熱電変換素子はBiTe系であるから、熱伝導度は約1.5W/mKである。熱電変換素子間にはウレタンフォームを充填した。ウレタンフォームの熱伝導度は0.03W/mKである。
アルミナ基板の一方を80℃の一定値に保たれた銅ブロックに接着剤で固定し、室温を25℃に保ち、このときの発電量を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005146290
A=20mmのときが最大となった。
これは、8mm×1.5W/mK(W/mK)=A2×0.03のときに相当する。

[実施例2]
p型、n型BiTe系熱電素子(小松エレクトロニクス製:KSM−04127A)から素子(サイズ=2mm×2mm×3mm厚)を分離した。
図6の製造工程図に示したプロセスで、発泡スチロール樹脂に銅箔(厚さ30μm)を貼り、図2および図7に示すような配置関係になるようにエッチングを行なって複数の上側板状電極、下側板状電極を形成した。上側板状電極と下側板状電極の構造は、上側と下側で互いに45度の角度をなし、複数の熱電変換素子がn型―p型−n型−p型と直列に配列されるように形成されている。
その後、打ち抜き法で図7に示される2mm×2mm角の貫通孔を複数個開設し、これ等貫通孔に熱電素子材料を埋め込み、かつ、電極との間を半田付けした。およそ100mm×100mmの発泡スチロール樹脂に8×6=48個の熱電変換素子を作製した。最後に、電気絶縁性を確保するため、薄い伝熱性の樹脂(日東シンコー社製;シリコーンゴム)で充填した。
そして、得られた熱電変換モジュールの一方の電極側を、熱伝導性の接着剤(日硝産業社製:放熱用シリコーンオイルコンパウンド YG6240)を用いてホットプレート表面に接着した。太陽電池の貼付を考慮して、ホットプレートを斜め45度に傾け、当該素子が下向きになるように配置した。
図7では、約10mm×15mmの面積の中にp型、n型1対の素子が配置されている熱電素子の構成を示している。熱電素子の熱伝導度(κt)は約1.5W/mK、また発泡スチロール樹脂の熱伝導度(κa)は約0.07W/mKである。
ホットプレート表面と、当該素子表面を熱電対で温度測定を行った。ホットプレートの温度が約80℃になるように調整をした。大気温度は、約30℃になるように調整した。
図7の配置の場合では、当該素子の表面温度は約64℃であり、温度差は16℃であった。
48対の熱変換素子の両端電圧=6.1mV、電流=24mAが得られた。これより、1mに換算したときの発電量は15Wとなる。
熱電素子の配置する間隔を、変化させて上記同様の工程で熱電変換素子を作製したところ、以下の表5に示す結果が得られた。
Figure 0005146290
これより、Sa×κa=St×κtのとき最大となり、それからずれると温度差が小さくなり、出力が下がることが確認された。
本発明に係る熱電変換モジュールによれば、熱電変換モジュール内に大きな温度差が実現されることから発電量を増加、改善させることが可能となり、また、太陽電池の裏面側に接着させることにより太陽電池の実効的な発電効率を上げることが可能となる。従って、本発明に係る熱電変換モジュールは太陽電池に組み込まれて利用される産業上の利用可能性を有している。
従来技術に係る熱電変換素子の主要部構成を示す断面図。 本発明に係る熱電変換モジュールの概略斜視図。 本発明の変形例に係る熱電変換モジュールの概略斜視図。 p型熱電変換素子とn型熱電変換素子が一対の電極板間に略垂直に配置された熱電変換モジュール内における熱流の概略図。 p型熱電変換素子とn型熱電変換素子が一対の電極板間に略垂直に配置されかつ一方の電極板側に一定の熱流入がある場合の熱電変換モジュール内における熱流の概略図。 実施例2に係る熱電変換モジュールの製造工程を示す説明図。 図2に示す本発明に係る熱電変換モジュールの概略平面図。 各種断熱材料の性能を比較したグラフ図。 熱電変換モジュールにおける断熱層(非熱電素子空間)の熱伝導度と、上下電極間の温度差並びに発電量との関係を示すグラフ図。 参考例1に係る熱電変換素子の構造を示す説明図。 参考例1において「熱電変換モジュール全体の面積」に対する「熱電素子だけの断面積和の比」が変化したときの板状電極間の温度差と熱電変換モジュールの発電量との関係を示すグラフ図。 実施例1に係る熱電変換モジュールの上側若しくは下側板状電極が複数形成されたアルミナ基板の平面図。
符号の説明
200 熱電変換モジュール
201 発泡体から成る基板
202 上側板状電極
203 下側板状電極
204 貫通孔
205 n型熱電変換素子
206 p型熱電変換素子
300 熱電変換モジュール
301 発泡体から成る基板
302 上側板状電極
303 下側板状電極
304 貫通孔
305 n型熱電変換素子
306 p型熱電変換素子

Claims (9)

  1. 発泡体から成る基板と、基板上面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の上側板状電極と、基板下面側に設けられると共に互いに電気的に接続されていない複数の下側板状電極と、上記基板の上側板状電極と下側板状電極が重なり合う領域若しくは近傍領域に開設された複数の貫通孔と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一方の貫通孔に埋め込まれたn型材料から成るn型熱電変換素子と、各板状電極内若しくは近傍に設けられた他方の貫通孔に埋め込まれたp型材料から成るp型熱電変換素子とを備え、各板状電極内若しくは近傍に設けられた一組のn型熱電変換素子とp型熱電変換素子の各端部側が対応する上側板状電極と下側板状電極にそれぞれ電気的に接続されてこれ等板状電極を介し複数組のp型熱電変換素子とn型熱電変換素子が直列に配列されていると共に、上側板状電極若しくは下側板状電極側が高温側に配置されかつ他方の電極側が低温側に配置される熱電変換モジュールにおいて、
    上記p型熱電変換素子とn型熱電変換素子の熱伝導度をそれぞれκp、κnとし、p型熱電変換素子とn型熱電変換素子の断面積をそれぞれSp、Snとし、発泡体から成る上記基板のp型熱電変換素子とn型熱電変換素子が埋め込まれていない領域の熱伝導度をκo、上記領域の断面積をSoとしたとき、
    1.2×(κp・Sp+κn・Sn)≧κo×So (式1)
    の関係を有し、かつ、
    0.8×(κp・Sp+κn・Sn)≦κo×So (式2)
    の関係を有していることを特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 請求項に記載の熱電変換モジュールが電気絶縁層を介して複数積層され、かつ、最外側に位置する一方の熱電変換モジュールの板状電極側が高温側に配置され、最外側に位置する他方の熱電変換モジュールの板状電極側が低温側に配置されることを特徴とする熱電変換モジュール。
  3. 高温側あるいは低温側に配置される熱電変換モジュールの板状電極側が大気放熱型であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電変換モジュール。
  4. 発泡体から成る上記基板の熱伝導度が、0.03W/mK以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  5. 上記基板を構成する発泡体材料が、発泡ポリスチレン、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ガラスウールから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項に記載の熱電変換モジュール。
  6. 太陽電池の裏面側に請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換モジュールを接着させ、太陽電池と外気との温度差で発電させることを特徴とする発電装置。
  7. 太陽電池と熱電変換モジュールの接着に用いる接着剤の熱伝導度を(W/mK)、接着剤の厚みを(d)としたとき、(W/mK)/(d)の比が1000以上であることを特徴とする請求項に記載の発電装置。
  8. 上記太陽電池が、アモルファス系Si太陽電池であることを特徴とする請求項に記載の発電装置。
  9. 上記熱電変換モジュールにおける太陽電池と接触している面側の温度が、太陽電池と接触していない面側の温度より低くなったとき、電気の正負を切り替えるスイッチが熱電変換モジュールの回路中に設けられていることを特徴とする請求項に記載の発電装置。
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