JP5098589B2 - 熱電変換モジュール - Google Patents
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そして、この熱電変換素子50においては、高温側接合部53aと低温側接合部53bとに温度差が与えられると、ゼーベック効果により起電力が生じ、電力が取り出される。
p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との接合面の一部の領域においては、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とが直接接合し、前記接合面の他の領域では、前記p型酸化物熱電変換材料と前記n型酸化物熱電変換材料とが絶縁材料を介して接合することでpn接合対が形成され、
前記pn接合対に温度差を与えることにより発生した電力を外部に取り出すための一対の取り出し電極を具備した熱電変換モジュールであって、
前記温度差を与えるべき一対の面のうち、少なくとも一方の面の、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われているとともに、前記絶縁膜の構成材料が、酸化物と、ガラスとを含むものであること
を特徴としている。
また、請求項6のように、絶縁膜も同時焼結されるように構成することにより、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
なお、この実施例では、上面側および下面側の絶縁膜21a,21bの構成材料として、温度差を与えるべき一対の面の間に十分な温度差を確保することができるようにするため、熱源からの熱エネルギーを効率よく伝えることが可能な、熱伝導率の高いAl2O3を主成分とし、これにガラスを配合した材料が用いられている。
したがって、上記のように構成されたこの実施例の熱電変換モジュール30は、熱源が金属のような導電材料からなるものである場合にも、温度差を与える一対の面である上面20aと下面20bの両方が直接熱源と接触するような態様で配設することが可能で、熱源の熱をより有効に利用して、優れた熱電変換効率を実現することができる。
なお、対向する一対の側面20c,20dにおいては、その下端側の領域は絶縁膜21c,21dに覆われておらず、下端側以外の領域、すなわち、側面20c,20dの上側の領域が絶縁膜21c,21dにより覆われている。
そして、対向する一対の側面20c,20dの、絶縁膜21c,21dに覆われていない下端側領域には、第1の取り出し電極14aおよび第2の取り出し電極14bが配設されている。
なお、この側面20c,20d,20e,20fを覆う絶縁膜21c,21d,21e,21fの構成材料として用いられている材料は、後述の、p型酸化物熱電変換材料11とn型酸化物熱電変換材料12の間に配設される絶縁材料13に用いられている材料と同じ材料である。
ただし、取り出し電極14a,14bは、側面20c,20dの下端部にのみ形成する、すなわち、下面20bにまで回り込まないようにすることも可能である。
また、Bは少なくともCuを含む1種または複数の元素である。
n型酸化物熱電変換材料12の組成式:D2EO4におけるDは、Pr(プラセオジウム)、Nd(ネオジウム)、Sm(サマリウム)、Gd(ガドリニウム)の少なくとも一種を含むものであることが望ましい。
また、Eは少なくともCuを含む1種または複数の元素である。
なお、この実施例では、絶縁材料として、熱が隣接する熱電変換材料に分散することを抑制して、温度差を与えるべき2つの面の温度差を十分に確保できるようにするため、熱の伝わりにくい材料であるMg2SiO4(フォレステライト)を主成分とし、これにガラスを配合した材料が用いられている。その他にもBaTiO3を用いることも可能である。
次に、上記熱電変換モジュールの20の製造方法について説明する。
そして、これらの出発原料を表1の組成となるように秤量した。
なお、この実施例では、この絶縁材料ペースト(Mg2SiO4ペースト)を、対向する一対の側面20c,20dに配設される絶縁膜21c,21d用のペーストとしても用いるようにしている。
なお、ガラス粉末はp型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料の焼結特性との適合性を考慮して選択されるが、本実施例では、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料ペーストに用いたガラスと同組成のホウケイ酸ガラスを用いた。
なお、図3においては、理解を容易にするため、焼成後における熱電変換モジュール20(図1)において各部分に付した符号と同じ符号を付している。
(9)次いで、図4に示すように、得られた成形体の温度差を与えるべき一対の面である上面20aおよび下面20bに、熱伝導率の高い材料であるAl2O3粉末とガラス成分を配合した絶縁膜用ペースト(焼成後に絶縁膜21a,21bとなるペースト)を塗布した。
このとき、側面20c,20dの、取り出し電極14a,14bを配設すべき下端側の領域には、ペーストを塗布しないようにした。
なお、絶縁膜21c,21dについては、上述の一つの熱電変換素子となる積層体を形成するための積層工程で、焼成後に絶縁膜21c、または21dとなる絶縁材料ペーストを所定のパターンで印刷したp型酸化物熱電変換材料用グリーンシートを積層体の最外層となるように積層することによって形成することも可能である。
なお、取り出し電極14a,14bの構成材料は、熱電変換素子との接触抵抗が小さい材料であればよく、公知の種々の電極材料を用いることができる。
特性を評価するため、上記実施例の構成を備えたp型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料の接合(pn接合)の対数が25対の熱電変換モジュールを2個直列に接続した熱電変換モジュール(実施例のユニット)を作製した。
(a)取り出し電極14a,14bが側面20c,20dの下端部にのみ形成されており、下面側20bには形成されていないこと、
(b)温度差を付与する上面、下面をはじめとする表面はいずれも絶縁膜で被覆されていないこと、
(c)側面下端側に形成された取り出し電極14a,14bには、直径が0.5mmのリード線31a,31bがはんだにより接続された構造を有していること
を除いては、図2に示した実施例の熱電変換モジュール30と同様の構成を有している。
そして、上述のような比較用の熱電変換モジュール30aを2個直列に接続した熱電変換モジュール(比較例のユニット)を作製した。
本発明の実施例にかかる熱電変換モジュールとして、上記実施例の熱電変換モジュール30(図1,図2参照)と同じ熱電変換モジュール(特性評価2用の実施例の試料)を用意した。
また、上下面、四方の側面のいずれにも絶縁膜を備えていないことを除いて、上記特性評価2用の実施例の試料と同じ構成を有する熱電変換モジュール(特性評価2用の比較例の試料)を用意した。
その結果、特性評価2における実施例の熱電変換モジュールの場合、出力:0.025W、単位面積あたりの出力:0.035W/cm2が得られたが、比較例の熱電変換モジュールでは、、ステンレス製ヒーターおよび銅製水冷ヒートシンクと接触することにより、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料が短絡してしまうため、電圧が測定限界以下となり、電力を取り出すことができなかった。
なお、特性評価2における実施例の熱電変換モジュールにおいては、伝熱面以外の側面には絶縁膜を設けない構成とした場合にも、上記特性評価2の場合とほぼ同様の特性が得られることが確認されている。
したがって、温度差を与えるべき一対の面のうちの一方の面に絶縁膜を配設し、他方の面には絶縁膜が配設されていない構成とすることも可能である。
また、上記絶縁材料および絶縁膜に用いるガラスの軟化点には特別の制約はないが、実施例では成形体の焼成温度が900〜1050℃であり、ガラス軟化点が低い場合、ガラスの元素が熱電変換材料に拡散して出力特性が小さくなるため、ガラス軟化点は550℃以上であることが好ましい。
なお、温度差を与える面(伝熱面)に配設される絶縁膜の構成材料として、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料および側面に配設される絶縁膜の構成材料よりも熱伝導率の高い材料を用いることが好ましいのは熱源からの熱エネルギーがよく伝わるようにするためであり、このことは前述の通りである。
同時焼成の方法によらずに伝熱面に絶縁膜を形成する方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
それから、所定の温度(例えば800℃)で熱処理を行うことにより、熱電変換モジュール本体の伝熱面に絶縁膜を形成する。
さらに同様の方法により、焼結済みの熱電変換モジュール本体の側面にも絶縁膜を形成することができる。
なお、同時焼成の方法によらない場合、伝熱面及び側面に配設される絶縁膜の構成材料は、熱源の温度に耐える材料であれば、種々の材料を用いることが可能であり、材料選択の自由度を向上させることができる。
したがって、本発明は、種々の技術分野で、熱を直接電気に変換する場合に広く適用することが可能である。
10a,10b 互いに隣接する熱電変換素子
11 p型酸化物熱電変換材料
12 n型酸化物熱電変換材料
13 絶縁材料
14a 第1の取り出し電極
14b 第2の取り出し電極
15 p型とn型の酸化物熱電変換材料の接合面
15a 接合面の高温側領域
15b 接合面の低温側領域
16a 熱電変換素子の高温部
16b 熱電変換素子の低温部
20 熱電変換モジュール本体
20a 上面
20b 下面
20c,20d,20e,20f 側面
21c,21d,21e,21f 側面に設けた絶縁膜
30 熱電変換モジュール
30a 比較例の熱電変換モジュール
31a,31b リード線
Claims (8)
- p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との接合面の一部の領域においては、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とが直接接合し、前記接合面の他の領域では、前記p型酸化物熱電変換材料と前記n型酸化物熱電変換材料とが絶縁材料を介して接合することでpn接合対が形成され、
前記pn接合対に温度差を与えることにより発生した電力を外部に取り出すための一対の取り出し電極を具備した熱電変換モジュールであって、
前記温度差を与えるべき一対の面のうち、少なくとも一方の面の、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われているとともに、前記絶縁膜の構成材料が、酸化物と、ガラスとを含むものであること
を特徴とする熱電変換モジュール。 - 前記温度差を与えるべき前記一対の面の両方において、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
- 前記温度差を与えるべき面以外の面において、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換モジュール。
- 前記熱電変換モジュールは直方体形状を有し、前記一対の取り出し電極のそれぞれは、前記熱電変換モジュールが搭載される搭載対象物と対向する底面と、該底面と隣り合う、互いに対向する一対の側面との境界である稜線近傍において、前記側面から前記底面に回り込むように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
- 前記p型酸化物熱電変換材料、前記n型酸化物熱電変換材料、および前記絶縁材料が同時焼結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
- 前記絶縁膜が、前記p型酸化物熱電変換材料、前記n型酸化物熱電変換材料、および前記絶縁材料と同時焼結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
- 前記p型酸化物熱電変換材料が、層状ペロブスカイト構造である組成式:A2BO4(ただし、Aは少なくともLaを含み、Bは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とし、
前記n型酸化物熱電変換材料が、層状ペロブスカイト構造である組成式:D2EO4(ただし、DはPr、Nd、Sm、Gdの少なくとも1種を含み、Eは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とするものであること
を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱電変換モジュール。 - 前記p型酸化物熱電変換材料と前記n型酸化物熱電変換材料との間に配設される前記絶縁材料が、酸化物と、ガラスとを含むものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
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