JP5098589B2 - 熱電変換モジュール - Google Patents

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本発明は、熱電変換モジュールに関し、詳しくは、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料を用いた熱電変換モジュールの熱電変換効率を向上させる技術に関する。
近年、地球温暖化防止のため、二酸化炭素の削減が重要な課題となるに至り、熱を直接電気に変換することが可能な熱電変換素子が、有効な廃熱利用技術の一つとして着目されている。
そして、従来の熱電変換素子としては、例えば、図8に示すように、p型熱電変換材料51とn型熱電変換材料52と、低温側電極56と、高温側電極58とを備えた構造を有する熱電変換素子50が知られている(特許文献1、図8参照)。
この熱電変換素子50において、2種の熱電変換材料51,52は、熱と電気とのエネルギー変換材料であり、それぞれの低温側の端面である低温側接合部53bにおいて低温側電極56と接続されている。また、熱電変換材料51,52は、高温側の端面である高温側接合部53aにおいて高温側電極58を介して接続されている。
そして、この熱電変換素子50においては、高温側接合部53aと低温側接合部53bとに温度差が与えられると、ゼーベック効果により起電力が生じ、電力が取り出される。
しかし、この熱電変換素子50の構造の場合、2種の熱電変換材料51,52の接続に電極56,58が用いられており、電極−熱電変換材料間に接触抵抗が生じるという問題点がある。
ところで、熱電変換素子の発電能力は、材料の熱電変換特性や素子に与える温度差によって決まるが、熱電変換材料の占有率(熱電変換素子に生じる温度差の方向に対し、垂直な面における熱電変換材料部が占める面積の割合)の影響も大きく、熱電変換材料の占有率を大きくすることで、熱電変換素子の単位面積当りの発電能力を高めることができる。
しかし、この熱電変換素子50のような従来例の構造の場合、2種の熱電変換材料51,52の間には、絶縁用の空隙層が設けられているため、熱電変換材料の占有率を大きくするにはおのずと限界がある。
また、2種の熱電変換材料51,52の間には、絶縁用の空隙が設けられているため、落下などの衝撃により損傷しやすく、信頼性が低いという問題点がある。
特開平11−121815号公報
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、熱電変換材料の占有率が大きく、しかも、伝熱性に優れた金属などの導電性を有する材料からなる熱源に直接設置することが可能で、温度差を与えやすく、熱電変換効率に優れた熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の熱電変換モジュールは、
p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との接合面の一部の領域においては、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とが直接接合し、前記接合面の他の領域では、前記p型酸化物熱電変換材料と前記n型酸化物熱電変換材料とが絶縁材料を介して接合することでpn接合対が形成され、
前記pn接合対に温度差を与えることにより発生した電力を外部に取り出すための一対の取り出し電極を具備した熱電変換モジュールであって、
前記温度差を与えるべき一対の面のうち、少なくとも一方の面の、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われているとともに、前記絶縁膜の構成材料が、酸化物と、ガラスとを含むものであること
を特徴としている。
また、本発明の熱電変換モジュールにおいては、請求項2のように、温度差を与えるべき一対の面の両方において、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われた構成とすることが望ましい。
また、請求項3のように、温度差を与えるべき面以外の面において、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われた構成とすることが望ましい。
さらに、請求項4のように、熱電変換モジュールは直方体形状を有し、一対の取り出し電極のそれぞれが、熱電変換モジュールが搭載される搭載対象物と対向する底面と、該底面と隣り合う、互いに対向する一対の側面との境界である稜線近傍において、側面から底面に回り込むように形成された構成とすることが望ましい。
また、請求項5のように、p型酸化物熱電変換材料、n型酸化物熱電変換材料、および絶縁材料が同時焼結されている構成とすることが望ましく、さらには、請求項6のように、絶縁膜も同時焼結されている構成とすることが望ましい。
また、請求項7のように、p型酸化物熱電変換材料が、層状ペロブスカイト構造である組成式:A2BO4(ただし、Aは少なくともLaを含み、Bは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とするのであり、n型酸化物熱電変換材料が、層状ペロブスカイト構造である組成式:D2EO4(ただし、DはPr、Nd、Sm、Gdの少なくとも1種を含み、Eは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とするものであることが望ましい。
また、請求項8のように、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料として、酸化物と、ガラスとを含むものを用いることが望ましい。
本発明の熱電変換モジュールは、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とが直接接合した構造を有する熱電変換モジュールにおいて、温度差を与えるべき一対の面のうち、少なくとも一方の面の、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料が露出した領域を絶縁膜で覆うようにしているので、伝熱性に優れた金属などの導電性を有する材料からなる熱源に直接設置する場合にも、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とが短絡してしまうことがなく、熱源の熱を有効に利用することが可能で、熱電変換効率に優れた熱電変換モジュールを提供することが可能になる。
また、本願発明の熱電変換モジュールにおいては、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との接合面の一部の領域では、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とを直接接合させるとともに、接合面の他の領域では、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とを、絶縁材料を介して接合するようにしているので、従来のように、p型熱電変換材料とn型熱電変換材料を離間して配設し、電極を介して接続するようにした場合に比べ、熱電変換材料の占有率を高めて、単位面積あたりの発電能力を向上させることが可能になるとともに、接合部の抵抗を小さくして、することが可能になる。
また、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とが直接接合および絶縁材料を介しての接合により、接合面において確実に接合されていることから、耐衝撃性を向上させることが可能になるとともに、空隙を介在させることにより絶縁を行うようにした従来の熱電変換素子の場合よりも、絶縁層を薄くすることが可能になり、高集積化を図ることができる。
なお、本願発明においては、絶縁膜の構成材料として、実用性のある絶縁性能と、耐熱性を有する種々の材料を用いることが可能である。また、絶縁膜の構成材料は、熱源からの熱エネルギーがよく伝わるように、熱伝導率の高いものであることが好ましい。
また、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料としては、温度差を与えるべき一対の面の温度差を確保する見地から、熱伝導率の低いものを用いることが望ましい。
なお、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料と同じ材料であっても、膜厚を薄く形成することにより、必要な伝熱性能を確保することができる場合には、上記温度差を与える面に形成すべき絶縁膜の構成材料として用いることが可能である。
具体的には、温度差を付与すべき面に形成されるべき絶縁膜およびその他の面に形成されるべき絶縁膜の構成材料として、酸化物と、ガラスを含むものを用いている。これにより、膜形成を容易かつ確実に行うことが可能になる。また、絶縁膜の焼結性をp型およびn型酸化物熱電変換材料と合わせることが可能になり、p型酸化物熱電変換材料、n型酸化物熱電変換材料、両者間に配設される絶縁材料、および熱電変換材料の表面に配設される絶縁膜を特別な焼成方法および雰囲気を用いることなく同時焼成することが可能になる。
また、請求項2の熱電変換モジュールのように、温度差を与えるべき一対の面の両方において、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料が露出した領域を絶縁膜で覆うようにした場合、温度差を与える両方の面が直接熱源と接触するような態様で配設することが可能になり、熱源の熱をより有効に利用して、さらに熱電変換効率に優れた熱電変換モジュールを得ることが可能になる。
また、請求項3のように、温度差を与える面以外の面において、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料が露出した領域を絶縁膜で覆うようにした場合、例えば、熱電変換モジュールを複数個配設して熱電変換装置を構成するような場合において、側面に絶縁膜を配設した複数の熱電変換モジュールを、該絶縁膜を介して、互いに接触するような態様で配設することが可能になり、熱電変換モジュールの実装密度を向上させることが可能になり、発電能力を向上させることが可能になる。この場合、側面を覆う絶縁膜の材料としては、温度差を与えるべき2つの面の温度差を確保する見地から、例えば、ガラスなどの物質や、熱伝導率の低い無機酸化物とガラスを含む物質など、熱の伝わりにくい材料を用いることが望ましい。なお、上述のp型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料と同じ材料を用いることも可能である。
さらに、請求項4のように、熱電変換モジュールを直方体形状とし、一対の取り出し電極のそれぞれが、熱電変換モジュールが搭載される搭載対象物と対向する底面と、該底面と隣り合う、互いに対向する一対の側面との境界である稜線近傍において、側面から底面に回り込むように形成された構成とすることにより、取り出し電極と外部との電気的接続の信頼性を向上させることが可能になり、熱電変換モジュールの実装の信頼性を向上させることができる。また、接続信頼性を損なうことなく側面側の電極面積をある程度小さくすることができるため、温度差を与えるべき一対の面間の温度差を大きくして、出力を向上させることができる。
また、請求項5のように、p型酸化物熱電変換材料、n型酸化物熱電変換材料、および絶縁材料を同時に焼成して、同時焼結された構造体とすることにより、製造工程におけるプロセスの簡略化、各材料の接合信頼性やそれによる特性の向上を図ることが可能になり好ましい。
また、請求項6のように、絶縁膜も同時焼結されるように構成することにより、本願発明をさらに実効あらしめることができる。
また、請求項7のように、p型酸化物熱電変換材料として、層状ペロブスカイト構造である組成式:A2BO4(ただし、Aは少なくともLaを含み、Bは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とするものを用い、n型酸化物熱電変換材料として、層状ペロブスカイト構造である組成式:D2EO4(ただし、DはPr、Nd、Sm、Gdの少なくとも1種を含み、Eは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とするものを用いるようにした場合、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料を、大気中で一体焼結させることが可能になり、熱電変換材料の占有率の大きい熱電変換モジュールを実現することが可能になる。
また、上述の材料を用いることにより、p型、n型酸化物熱電変換材料を一体焼成する場合において、焼成時の収縮挙動を両者で近いものにできることから、p型、n型の熱電変換材料どうしが剥がれたり、クラックが生じたりするというような欠陥を防止することが可能で、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との接触抵抗を一層低減することができる。
また、請求項8のように、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料として、酸化物と、ガラスを含むものを用いることにより、絶縁材料の焼結性をp型およびn型酸化物熱電変換材料と合わせることが可能になり、p型酸化物熱電変換材料、n型酸化物熱電変換材料、および絶縁材料を特別な焼成方法および雰囲気を用いることなく同時焼成することが可能になる。
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は伝熱面などの表面を絶縁膜で被覆する前の状態の熱電変換モジュール本体を示す図、図2は表面を絶縁膜で被覆した本発明の一実施例にかかる熱電変換モジュールを示す図である。
この実施例の熱電変換モジュール30(図2)を構成する熱電変換モジュール本体20(図1)は、一つのp型酸化物熱電変換材料(酸化物を主たる成分とする材料からなるp型酸化物熱電変換材料)11と、一つのn型酸化物熱電変換材料(酸化物を主たる成分とする材料からなるn型酸化物熱電変換材料)12とを有する熱電変換素子10が複数接合され、かつ、両端側の下部(低温側接合部)には、側面20cから下面20bに回り込むように第1の取り出し電極14aが形成され、側面20dから下面20bに回り込むように第2の取り出し電極14bが配設された構造を有している。
また、熱電変換モジュール本体20を構成する個々の熱電変換素子10においては、p型酸化物熱電変換材料11とn型酸化物熱電変換材料12との接合面15の一部の領域(高温側領域)15aでは、p型酸化物熱電変換材料11とn型酸化物熱電変換材料12とが電極などを介することなく直接接合している。また、両者の接合面15のうち、直接接合した一部の領域(高温側領域)15aを除く他の領域(低温側領域)15bでは、p型酸化物熱電変換材料11とn型酸化物熱電変換材料12が、酸化物とガラスとを含む絶縁材料(複合絶縁材料)13を介して接合している。
また、一つの熱電変換素子10(10a)と、該熱電変換素子10(10a)と隣接する熱電変換素子10(10b)についてみると、低温部16bで、一方の熱電変換素子10(10a)のn型酸化物熱電変換材料12と、他方の熱電変換素子10(10b)のp型酸化物熱電変換材料11とが電極などを介することなく直接接合しており、直接接合した低温部16bを除く他の部分(高温部)16aでは、一方の熱電変換素子10(10a)のn型酸化物熱電変換材料12と、他方の熱電変換素子10(10b)のp型酸化物熱電変換材料11とが、酸化物とガラスとを含む絶縁材料13を介して接合している。
この実施例の熱電変換モジュールにおいては、このようにして、p型及びn型酸化物熱電変換材料が直接に蛇行状に連結された構造が与えられており、効率よく電極を取り出すことができるように構成されている。
なお、図1では、一対のp型酸化物熱電変換材料11とn型酸化物熱電変換材料12からなる熱電変換素子10を三個備えた構造を示しているが、この実施例の熱電変換モジュールにおける、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料の接合(pn接合)の実際の対数は25対である。ただし、本発明において、熱電変換モジュール本体20を構成する熱電変換素子10の数に特別の制約はない。
そして、この熱電変換モジュール本体20の、温度差を与えるべき一対の面、すなわち上面20aおよび下面20bには、絶縁膜21a,21bが配設されており、上面20a及び下面20bの、p型酸化物熱電変換材料11およびn型酸化物熱電変換材料12が露出した領域が絶縁膜21a,21bで覆われている。
なお、この実施例では、上面側および下面側の絶縁膜21a,21bの構成材料として、温度差を与えるべき一対の面の間に十分な温度差を確保することができるようにするため、熱源からの熱エネルギーを効率よく伝えることが可能な、熱伝導率の高いAl23を主成分とし、これにガラスを配合した材料が用いられている。
したがって、上記のように構成されたこの実施例の熱電変換モジュール30は、熱源が金属のような導電材料からなるものである場合にも、温度差を与える一対の面である上面20aと下面20bの両方が直接熱源と接触するような態様で配設することが可能で、熱源の熱をより有効に利用して、優れた熱電変換効率を実現することができる。
さらに、この実施例の熱電変換モジュール30においては、熱電変換モジュール本体20の4つの側面20c,20d,20e,20fも、絶縁膜21c,21d,21e,21fにより被覆されている。
なお、対向する一対の側面20c,20dにおいては、その下端側の領域は絶縁膜21c,21dに覆われておらず、下端側以外の領域、すなわち、側面20c,20dの上側の領域が絶縁膜21c,21dにより覆われている。
そして、対向する一対の側面20c,20dの、絶縁膜21c,21dに覆われていない下端側領域には、第1の取り出し電極14aおよび第2の取り出し電極14bが配設されている。
側面20c,20d,20e,20fを覆う絶縁膜21c,21d,21e,21fの構成材料としては、温度差を与えるべき一対の面である上面20aおよび下面20bの温度差を確保する見地から、例えば、ガラスや、ガラスと熱伝導率の低い無機酸化物を含む物質など、熱の伝わりにくい材料を用いることが望ましい。なお、この実施例では、熱の伝わりにくい材料であるMg2SiO4(フォレステライト)を主成分とし、これにガラスを配合した材料が用いられている。
なお、この側面20c,20d,20e,20fを覆う絶縁膜21c,21d,21e,21fの構成材料として用いられている材料は、後述の、p型酸化物熱電変換材料11とn型酸化物熱電変換材料12の間に配設される絶縁材料13に用いられている材料と同じ材料である。
また、取り出し電極14a,14bは、側面20c,20dの下端側に形成されているが、温度差を与える一対の面20a,20bに十分な温度差を確保する見地からは、取り出し電極14a,14bをできるだけ下端側に形成することが好ましい。さらに、取り出し電極14a,14bの面積はできるだけ小さいことが望ましい。
また、この実施例のように、取り出し電極14a,14bを、側面20c,20dの下端側から下面20b側に回り込んだ領域に形成することにより、取り出し電極14a,14bの熱電変換モジュール本体20への取り付け信頼性、外部と熱電変換モジュール本体20との電気的接続の信頼性を向上させることが可能になり、好ましい。
ただし、取り出し電極14a,14bは、側面20c,20dの下端部にのみ形成する、すなわち、下面20bにまで回り込まないようにすることも可能である。
また、この熱電変換モジュール30においては、上述のように、側面20c,20d,20e,20fにも、絶縁膜21c,21d,21e,21fが配設されているため、例えば、熱電変換モジュール30を複数個搭載した熱電変換装置を構成する場合において、複数の熱電変換モジュール本体20を、例えば、絶縁膜21c,21dを介して、互いに接触するような態様で配設することが可能になり、熱電変換モジュールの実装密度を向上させることができる。
この実施例の熱電変換モジュール30において、p型酸化物熱電変換材料としては、層状ペロブスカイト構造である組成式:A2BO4で表される物質を主たる成分とする材料が用いられている。
p型酸化物熱電変換材料11の組成式:A2BO4におけるAは、La(ランタン)を含むものであることが望ましい。また、SrをA2-xSrxにおいて、0≦x<0.2の範囲で置換することが望ましい。AとしてLaを選定することにより、p型の熱電変換材料を実現することが可能になり、またSrを0≦x<0.2の範囲で置換することにより、材料の低抵抗化を図ることができる。Srが0.2以上になると、低抵抗化の効果は得ることができるものの、ゼーベック係数が低く、小さい起電力しか得ることができないため好ましくない。
また、Bは少なくともCuを含む1種または複数の元素である。
また、n型酸化物熱電変換材料としては、層状ペロブスカイト構造である組成式:D2EO4で表される物質を主たる成分とする材料が用いられている。
n型酸化物熱電変換材料12の組成式:D2EO4におけるDは、Pr(プラセオジウム)、Nd(ネオジウム)、Sm(サマリウム)、Gd(ガドリニウム)の少なくとも一種を含むものであることが望ましい。
また、CeをD2-yCeyにおいて、0≦y<0.2の範囲で置換することが望ましい。DとしてPr、Nd、Sm、Gdの少なくとも一種を選定することにより、n型の熱電変換材料を実現が可能になり、またCeを0≦y<0.2の範囲で置換することにより、材料の低抵抗化を図ることができる。Ceが0.2以上となると、低抵抗化の効果は得ることができるものの、ゼーベック係数が低く、小さい起電力しか得ることができなくなるため好ましくない。
また、Eは少なくともCuを含む1種または複数の元素である。
また、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料としては、酸化物とガラスの混合物が用いられている。その構成材料や組成は、p型酸化物熱電変換材料、n型酸化物熱電変換材料との共焼成に必要な条件などを考慮して適宜選択される。
なお、この実施例では、絶縁材料として、熱が隣接する熱電変換材料に分散することを抑制して、温度差を与えるべき2つの面の温度差を十分に確保できるようにするため、熱の伝わりにくい材料であるMg2SiO4(フォレステライト)を主成分とし、これにガラスを配合した材料が用いられている。その他にもBaTiO3を用いることも可能である。
また、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料を構成するガラスについては、p型材料とn型材料の焼結特性に合致した組成が適宜選択されるが、この実施例ではホウケイ酸ガラスが使用されている。
また、絶縁材料中のガラスの含有割合については、酸化物熱電変換材料と同時焼成することができれば特に制約はないが、ガラスの含有量が多くなると、ガラスの構成元素が熱電変換材料に拡散して出力特性が低下する場合があることから、複合絶縁材料中のガラスの含有割合は20重量%以下とすることが好ましい。
なお、第1および第2の取り出し電極14a,14bは、この実施例では、低温側には、側面20cから下面20bに回り込むように第1の取り出し電極14aが形成され、側面20dから下面20bに回り込むように第2の取り出し電極14bが配設されているが、第1および第2の取り出し電極14a,14bの配設位置は、特にこれに限定されるものではなく、高温側に配設することも可能である。ただし、高温側に配設した場合に取り出し電極の酸化やマイグレーションの問題が生じるようなときには、低温側に配設されることが望ましい。
[熱電変換モジュールの製造方法]
次に、上記熱電変換モジュールの20の製造方法について説明する。
(1)p型酸化物熱電変換材料の出発原料として、La23、SrCO3、CuOを用意した。また、n型酸化物熱電変換材料の出発原料として、Nd23、CeO2、CuOを用意した。
そして、これらの出発原料を表1の組成となるように秤量した。
Figure 0005098589
なお、n型酸化物熱電変換材料の出発原料として、Pr611、CeO2、CuOを用い、例えば、(Pr1.95Ce0.05)CuO4で表される組成のn型酸化物熱電変換材料を備えた熱電変換モジュールを得ることも可能である。
(2)それから、これらの粉末に純水を溶媒として添加し、16時間ボールミル混合を行った。得られたスラリーを乾燥させた後、大気中900℃で仮焼した。
(3)得られた粉末について、40時間ボールミル粉砕を行い、粉砕後の粉末に純水、バインダなどを添加して混合し、得られたスラリーをドクターブレード法でシート状に成形して、厚み50μmのp型およびn型酸化物熱電変換材料用グリーンシートを作製した。
(4)次に、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料用のペーストとして、Mg2SiO4粉末、ガラス粉末、ワニス、溶剤を混合し、ロール機で混練することにより、素子間の温度差を大きくできるように熱伝導率の低い絶縁材料ペースト(Mg2SiO4ペースト)を作製した。ガラス粉末としては、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料の焼結特性との適合性を考慮してホウケイ酸ガラスを使用した。
なお、この実施例では、この絶縁材料ペースト(Mg2SiO4ペースト)を、対向する一対の側面20c,20dに配設される絶縁膜21c,21d用のペーストとしても用いるようにしている。
(5)さらに、温度差を与える面(伝熱面)の、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料が露出した領域を覆うための絶縁膜用のペーストとして、熱電変換モジュールへの伝熱ロスを低減できるように、熱伝導率が高い材料であるAl23を主成分として用い、これにガラス粉末、ワニス、溶剤を混合し、ロール機で混練して、絶縁膜用ペースト(Al23ペースト)を作製した。
なお、ガラス粉末はp型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料の焼結特性との適合性を考慮して選択されるが、本実施例では、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料ペーストに用いたガラスと同組成のホウケイ酸ガラスを用いた。
(6)得られたp型およびn型酸化物熱電変換材料グリーンシート上に、作製した前述の絶縁材料ペースト(Mg2SiO4ペースト)を厚み10μmで印刷した。
(7)その後、(a)絶縁材料ペーストを印刷していないp型酸化物熱電変換材料用グリーンシートを4枚、(b)10μmの絶縁材料ペーストを印刷したp型酸化物熱電変換材料用グリーンシートを1枚、(c)絶縁材料ペーストを印刷していないn型酸化物熱電変換材料用グリーンシートを4枚、(d)10μmの絶縁材料ペーストを印刷したn型酸化物熱電変換材料用グリーンシートを1枚、の順に積層し、一つの熱電変換素子となる積層体を形成し、さらにこれを25対になるように交互に積層して積層体を作製した。
(8)それから、作製した積層体を等方静水圧プレス法にて200MPaで圧着した後、所定の大きさにダイシングソーで切断し、図3に示すような構造を有する、焼成後に熱電変換モジュール本体20となるべき未焼成の成形体を得た。
なお、図3においては、理解を容易にするため、焼成後における熱電変換モジュール20(図1)において各部分に付した符号と同じ符号を付している。
(9)次いで、図4に示すように、得られた成形体の温度差を与えるべき一対の面である上面20aおよび下面20bに、熱伝導率の高い材料であるAl23粉末とガラス成分を配合した絶縁膜用ペースト(焼成後に絶縁膜21a,21bとなるペースト)を塗布した。
(10)さらに、図5に示すように、成形体の4つの側面20c,20d,20e,20fに、熱伝導率の低い材料を主成分とするペースト(Mg2SiO4ペースト)(焼成後に絶縁膜21c,21d,21e,21fとなるペースト)を塗布した。
このとき、側面20c,20dの、取り出し電極14a,14bを配設すべき下端側の領域には、ペーストを塗布しないようにした。
なお、絶縁膜21c,21dについては、上述の一つの熱電変換素子となる積層体を形成するための積層工程で、焼成後に絶縁膜21c、または21dとなる絶縁材料ペーストを所定のパターンで印刷したp型酸化物熱電変換材料用グリーンシートを積層体の最外層となるように積層することによって形成することも可能である。
(11)それから、成形体を480℃で脱脂した後、大気中900〜1050℃で焼成を行い、取り出し電極を形成する前の熱電変換モジュールである焼結成形体を得た。
(12)そして、焼結成形体を研磨した後、図6に示すように、両側面20c,20dの下端近傍から下面20bに回り込むように、Agペースト(焼成後に取り出し電極(Ag電極)14a,14bとなるペースト)をスクリーン印刷し、約700℃で焼き付けることにより、図1および図2に示すような構造を有する熱電変換モジュール30(図2)を得た。
なお、取り出し電極14a,14bの構成材料は、熱電変換素子との接触抵抗が小さい材料であればよく、公知の種々の電極材料を用いることができる。
[特性評価1]
特性を評価するため、上記実施例の構成を備えたp型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料の接合(pn接合)の対数が25対の熱電変換モジュールを2個直列に接続した熱電変換モジュール(実施例のユニット)を作製した。
また、比較のため、図7に示すような構成を有する比較用の熱電変換モジュール30aを作製した。この熱電変換モジュール30aは、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料の接合(pn接合)の対数が25対の熱電変換モジュールであり、
(a)取り出し電極14a,14bが側面20c,20dの下端部にのみ形成されており、下面側20bには形成されていないこと、
(b)温度差を付与する上面、下面をはじめとする表面はいずれも絶縁膜で被覆されていないこと、
(c)側面下端側に形成された取り出し電極14a,14bには、直径が0.5mmのリード線31a,31bがはんだにより接続された構造を有していること
を除いては、図2に示した実施例の熱電変換モジュール30と同様の構成を有している。
そして、上述のような比較用の熱電変換モジュール30aを2個直列に接続した熱電変換モジュール(比較例のユニット)を作製した。
それから、上述の実施例の熱電変換モジュールを用いた実施例のユニットと、比較例の熱電変換モジュールを用いた比較例のユニットについて、出力、平面寸法を測定し、単位面積あたりの出力を求めた。なお、出力を求めるにあたっては、低温側である下面を20℃、高温側である上面を400℃とし、電子負荷装置で熱電変換モジュールに接続する負荷を変化させて電圧値、電流値を測定し、出力を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 0005098589
表2に示すように、実施例の熱電変換モジュール(実施例のユニット)の場合、側面が絶縁膜により被覆されているため、上面と下面の温度差を、比較例の熱電変換モジュールよりも大することが可能になることから、それだけ出力が大きくなることが確認された。
また、平面寸法に関しては、比較例の熱電変換モジュール(比較例のユニット)の場合、表面が絶縁膜により被覆されておらず、熱電変換モジュールを互いに接触しないように離して配設しなければならないことから、平面寸法(平面面積)が大きくなった。なお、比較例の熱電変換モジュールにおいて、2つの熱電変換モジュールの間隔をどの程度にするかは、種々の条件により変動するので、表2の平面寸法のデータはあくまで一例であるが、実施例の熱電変換モジュールの場合、表面が絶縁膜により被覆されているため、1対の熱電変換素子を密着させて配設することができるため、比較例の場合に比べて平面寸法を小さくできることは明らかである。
また、実施例の熱電変換モジュールの場合、比較例の熱電変換モジュールよりも伝熱面の温度差を大きくすることが可能で、出力が大きく、しかも、平面面積が小さいことから、単位面積あたりの出力を大きくできることが確認された。
[特性評価2]
本発明の実施例にかかる熱電変換モジュールとして、上記実施例の熱電変換モジュール30(図1,図2参照)と同じ熱電変換モジュール(特性評価2用の実施例の試料)を用意した。
また、上下面、四方の側面のいずれにも絶縁膜を備えていないことを除いて、上記特性評価2用の実施例の試料と同じ構成を有する熱電変換モジュール(特性評価2用の比較例の試料)を用意した。
そして、この特性評価2における実施例の試料と、比較例の試料を、ステンレス製ヒーターと銅製水冷ヒートシンクの間に挿入し、ステンレス製ヒーターを400℃、銅製水冷ヒートシンクを20℃に設定し、電子負荷装置を用いて出力の測定を行った。
その結果、特性評価2における実施例の熱電変換モジュールの場合、出力:0.025W、単位面積あたりの出力:0.035W/cm2が得られたが、比較例の熱電変換モジュールでは、、ステンレス製ヒーターおよび銅製水冷ヒートシンクと接触することにより、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料が短絡してしまうため、電圧が測定限界以下となり、電力を取り出すことができなかった。
なお、特性評価2における実施例の熱電変換モジュールにおいては、伝熱面以外の側面には絶縁膜を設けない構成とした場合にも、上記特性評価2の場合とほぼ同様の特性が得られることが確認されている。
なお、上記実施例では、熱電変換モジュールの全面、すなわち、上下両面および側面のそれぞれに絶縁膜を設けた場合を例にとって説明したが、本発明の熱電変換モジュールにおいては、温度差を与える一対の面のうち、少なくとも一方の面を絶縁膜で被覆することができれば、本発明の基本的な効果、すなわち、伝熱性に優れた金属などの導電性を有する材料からなる熱源に接するように設置して、熱源の熱を有効に利用し、熱電変換効率を向上させるという効果を得ることができる。
したがって、温度差を与えるべき一対の面のうちの一方の面に絶縁膜を配設し、他方の面には絶縁膜が配設されていない構成とすることも可能である。
また、側面のいずれか、あるいはすべてに絶縁膜が配設されていない構成とすることも可能であり、かかる構成も本発明の範囲内の構成となる。
また、上記実施例では、温度差を与える一対の面が上面と下面である場合を例にとって説明したが、各熱電変換材料の形状や積層態様、熱電変換モジュール本体の形状などによっては、温度差を与える一対の面を必ずしも上面と下面にしなくてもよい。
また、上記実施例では、熱電変換材料や絶縁材料などの原料として、酸化物、炭酸塩を使用しているが、焼成によって金属酸化物を形成しうるものであれば、水酸化物、アルコキシドなどを使用することが可能であり、原料の形態に特別の制約はない。
また、本発明では、出発原料となる粉末の粒径にも特別の制約はない。しかし、均一混合を考慮して粒径を選択することが好ましい。ボールミルによる粉砕混合の時間についても特に制約はないが、均一混合を考慮してその時間を決定することが好ましい。
また、上記実施例では、p型、n型酸化物熱電変換材料の原料として、表1などに示すような組成となるように原料を秤量しているが、SrCO3、CeO2、その他の添加物は、求められる熱電特性、発電特性、共焼結に必要な条件などによって適宜選択される。また、共焼結に必要であれば他元素やガラスなどを添加してもよい。
また、上記実施例では、900℃で仮焼を行ったが。焼成方法や条件に特別の制約はない。ただし、上記実施例では、低い焼成温度では反応が進まず、意図するような銅酸化物が得られないことから、仮焼温度は800℃以上とするのが好ましい。
また、上記実施例では、仮焼後のボールミルによる粉砕時間を40時間としたが、p型とn型の熱電変換材料の共焼結が可能な粉末にすることができれば、仮焼後のボールミルによる粉砕時間に特に制約はない。
さらに、上記実施例では、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料および側面に配設される絶縁膜の構成材料として、熱伝導率の低いMg2SiO4とガラスを使用し、温度差を与える面に配設される絶縁膜の構成材料として、熱伝導率の高いAl23とガラスを使用したが、酸化物とガラスはp型酸化物熱電変換材料、n型酸化物熱電変換材料、絶縁材料、および表面を被覆する絶縁膜の共焼結に必要な条件によって適宜選択される。ガラスの構成元素は特に限定されない。また、酸化物とガラスの割合は、熱電変換材料と共焼結することができればよく、特別の制約はない。なお、ガラスの含有割合が高い場合、熱電変換材料に拡散して出力特性が小さくなる傾向があるため、20重量%以下とすることが好ましい。
なお、絶縁膜用の材料(絶縁膜用ペーストなど)には、形成後の絶縁膜に機械的な強度を持たせる見地からも、ガラス成分を含有させることが好ましい。
また、上記絶縁材料および絶縁膜に用いるガラスの軟化点には特別の制約はないが、実施例では成形体の焼成温度が900〜1050℃であり、ガラス軟化点が低い場合、ガラスの元素が熱電変換材料に拡散して出力特性が小さくなるため、ガラス軟化点は550℃以上であることが好ましい。
なお、温度差を与える面(伝熱面)に配設される絶縁膜の構成材料として、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との間に配設される絶縁材料および側面に配設される絶縁膜の構成材料よりも熱伝導率の高い材料を用いることが好ましいのは熱源からの熱エネルギーがよく伝わるようにするためであり、このことは前述の通りである。
また、上記実施例では、pn接合数を25対としたが、pn接合数は、得たい起電力、電流、使用する負荷の抵抗などを考慮して、適宜決定されることが好ましい。
また、上記実施例では、積層体の圧着に等方静水圧プレス法を使用しているが、圧着方法は何れの方法を使用してもよい。
さらに、上記実施例では、900〜1050℃、大気中で本焼成を行ったが、焼成方法はホットプレス、SPS焼結、HIP焼結など何れの方法を使用してもよい。また、焼成温度、雰囲気などは指定しない。しかし、低い焼成温度では焼結が進まないことから、通常は、相対密度が90%以上となる温度かつ共焼結できる温度で焼成することが好ましい。
また、伝熱面への絶縁膜の形成方法としては、上記実施例のように、伝熱面への絶縁材ペーストの塗布、同時焼成という工程で形成する方法が好ましい形態であるが、伝熱面に金属膜を形成した後に酸化させて絶縁膜化する方法、スパッタなどの薄膜形成プロセスを利用する方法なども適用することが可能であり、絶縁膜の形成方法に特別の制約はない。
同時焼成の方法によらずに伝熱面に絶縁膜を形成する方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
まず、上記実施例の、[熱電変換モジュールの製造方法]における(7)の工程と同様にして、(a)絶縁材料ペーストを印刷していないp型酸化物熱電変換材料用グリーンシート、(b)絶縁材料ペーストを印刷したp型酸化物熱電変換材料用グリーンシート、(c)絶縁材料ペーストを印刷していないn型酸化物熱電変換材料用グリーンシート、(d)絶縁材料ペーストを印刷したn型酸化物熱電変換材料用グリーンシートの所定枚数を順次積層し、圧着して得た積層体を所定の焼成条件で焼成する。これにより、p型酸化物熱電変換材料/絶縁材料/n型酸化物熱電変換材料を一体化した焼結済みの積層熱電変換素子(熱電変換モジュール本体)を得る。
それから、焼結済みの熱電変換モジュール本体の、伝熱面(温度差を与えるべき一対の面)に、熱源の温度より高い温度で溶融するガラス粉末(例えば、ホウケイ酸ガラス)にアルミナ粉末を混合した絶縁膜用のペーストを塗布する。
それから、所定の温度(例えば800℃)で熱処理を行うことにより、熱電変換モジュール本体の伝熱面に絶縁膜を形成する。
このようにすることにより、同時焼成の方法によることなく、焼結済みの熱電変換モジュール本体の伝熱面に絶縁膜を形成することができる。
さらに同様の方法により、焼結済みの熱電変換モジュール本体の側面にも絶縁膜を形成することができる。
なお、同時焼成の方法によらない場合、伝熱面及び側面に配設される絶縁膜の構成材料は、熱源の温度に耐える材料であれば、種々の材料を用いることが可能であり、材料選択の自由度を向上させることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、p型酸化物熱電変換材料およびn型酸化物熱電変換材料の組成やその原料、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料の間に配設される絶縁材料の組成やその原料、温度差を与えるべき面に形成される絶縁膜や、他の面に形成される絶縁膜を構成する原料の種類やガラスの配合割合、熱電変換モジュールの具体的な構造、製造時の具体的な条件(例えば、寸法や焼成条件、熱電変換モジュールを構成する熱電変換素子の数など)に関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
上述のように、本発明によれば、熱電変換材料の占有率が大きく、しかも、伝熱性に優れた金属などの導電性を有する材料からなる熱源に直接設置することが可能で、温度差を与えやすく、熱電変換効率に優れた熱電変換モジュールを提供することが可能になる。
したがって、本発明は、種々の技術分野で、熱を直接電気に変換する場合に広く適用することが可能である。
本発明の実施例にかかる熱電変換モジュール本体の構成を示す図である。 本発明の実施例にかかる熱電変換モジュールを示す図である。 本発明の実施例にかかる熱電変換モジュールの製造方法の一工程で作製した未焼成の成形体(熱電変換モジュール本体)を示す図である。 本発明の実施例にかかる熱電変換モジュールの製造方法の一工程で作製した未焼成の成形体(熱電変換モジュール本体)の伝熱面に絶縁膜形成用のペーストを塗布した状態を示す図である。 図4の未焼成の成形体(熱電変換モジュール本体)の、伝熱面以外の面(側面)にも絶縁膜形成用のペーストを塗布した状態を示す図である。 図5の未焼成の成形体(熱電変換モジュール本体)に、取り出し電極形成用のAgペーストを塗布した状態を示す図である。 本発明の実施例にかかる熱電変換モジュールと特性の比較を行うために形成した比較例の熱電変換モジュールの構成を示す図である。 従来の熱電変換素子(熱電変換モジュール)を示す図である。
10 熱電変換素子
10a,10b 互いに隣接する熱電変換素子
11 p型酸化物熱電変換材料
12 n型酸化物熱電変換材料
13 絶縁材料
14a 第1の取り出し電極
14b 第2の取り出し電極
15 p型とn型の酸化物熱電変換材料の接合面
15a 接合面の高温側領域
15b 接合面の低温側領域
16a 熱電変換素子の高温部
16b 熱電変換素子の低温部
20 熱電変換モジュール本体
20a 上面
20b 下面
20c,20d,20e,20f 側面
21c,21d,21e,21f 側面に設けた絶縁膜
30 熱電変換モジュール
30a 比較例の熱電変換モジュール
31a,31b リード線

Claims (8)

  1. p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料との接合面の一部の領域においては、p型酸化物熱電変換材料とn型酸化物熱電変換材料とが直接接合し、前記接合面の他の領域では、前記p型酸化物熱電変換材料と前記n型酸化物熱電変換材料とが絶縁材料を介して接合することでpn接合対が形成され、
    前記pn接合対に温度差を与えることにより発生した電力を外部に取り出すための一対の取り出し電極を具備した熱電変換モジュールであって、
    前記温度差を与えるべき一対の面のうち、少なくとも一方の面の、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われているとともに、前記絶縁膜の構成材料が、酸化物と、ガラスとを含むものであること
    を特徴とする熱電変換モジュール。
  2. 前記温度差を与えるべき前記一対の面の両方において、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
  3. 前記温度差を与えるべき面以外の面において、前記p型酸化物熱電変換材料および前記n型酸化物熱電変換材料が露出した領域が絶縁膜で覆われていることを特徴とする請求項1または2記載の熱電変換モジュール。
  4. 前記熱電変換モジュールは直方体形状を有し、前記一対の取り出し電極のそれぞれは、前記熱電変換モジュールが搭載される搭載対象物と対向する底面と、該底面と隣り合う、互いに対向する一対の側面との境界である稜線近傍において、前記側面から前記底面に回り込むように形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  5. 前記p型酸化物熱電変換材料、前記n型酸化物熱電変換材料、および前記絶縁材料が同時焼結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  6. 前記絶縁膜が、前記p型酸化物熱電変換材料、前記n型酸化物熱電変換材料、および前記絶縁材料と同時焼結されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
  7. 前記p型酸化物熱電変換材料が、層状ペロブスカイト構造である組成式:A2BO4(ただし、Aは少なくともLaを含み、Bは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とし、
    前記n型酸化物熱電変換材料が、層状ペロブスカイト構造である組成式:D2EO4(ただし、DはPr、Nd、Sm、Gdの少なくとも1種を含み、Eは少なくともCuを含む1種または複数種の元素)で表される物質を主成分とするものであること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱電変換モジュール
  8. 前記p型酸化物熱電変換材料と前記n型酸化物熱電変換材料との間に配設される前記絶縁材料が、酸化物と、ガラスとを含むものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱電変換モジュール。
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