JP6683261B2 - 切削インサート及び刃先交換式回転切削工具 - Google Patents

切削インサート及び刃先交換式回転切削工具 Download PDF

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Description

本発明は、被削材に中仕上げ加工や仕上げ加工等の切削加工を施す切削インサート、及びこれを装着した刃先交換式回転切削工具に関する。
本願は、2016年10月21日に、日本に出願された特願2016−206988号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、例えばプレス金型等に使用される鋳鉄等の被削材に、中仕上げ加工や仕上げ加工等の切削加工を施す場合に、下記特許文献1に記載されるような刃先交換式ボールエンドミルが使用されている。
刃先交換式ボールエンドミルは、中心軸回りに回転させられる工具本体と、工具本体の中心軸方向の先端部に形成されたスリット状の取付座と、取付座に着脱可能に装着され、切れ刃を有する板状の切削インサートと、を備えている。
また切れ刃は、すくい面と逃げ面との交差稜線に形成されており、工具の先端外周側へ向けて凸となる円弧状切れ刃を有する。切削インサートにおいて円弧状切れ刃は、中心軸を中心として180°回転対称に一対形成されている。これらの円弧状切れ刃が中心軸回りに回転して形成される回転軌跡は、工具先端側へ向けて凸となる半球面状をなす。
特開2004−291096号公報
しかしながら、従来の刃先交換式ボールエンドミルでは、下記の課題を有していた。
例えば、焼き入れ処理が施された鋳鉄等の高硬度な被削材に対して、高切込みかつ高送りの切削加工を施す高能率加工が要求される場合がある。また、断続的な凹凸形状や穴等を有するプレス金型などの被削材においては、断続加工による高能率加工が必要とされる。このような高硬度材の高能率加工時において、被削材の加工面の表面性状(加工面精度)を良好に維持しつつ、切れ刃の欠損を防止して工具寿命を延長することに改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、高硬度材の高能率加工に使用された場合でも、加工面精度を良好に維持することができ、かつ欠損を防止して工具寿命を延長できる切削インサート、及びこれを用いた刃先交換式回転切削工具を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に着脱可能に装着される板状の切削インサートであって、すくい面と、逃げ面と、前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線に形成された切れ刃と、を備え、前記切れ刃は、当該切削インサートの先端外周側へ向けて凸となる円弧状をなす円弧状切れ刃を有し、前記円弧状切れ刃は、前記中心軸を中心として180°回転対称に一対形成され、一対の前記円弧状切れ刃の各逃げ面同士の交差稜線部には、チゼル部が形成され、前記円弧状切れ刃上の所定の点及び前記中心軸を含む基準面に対して、前記円弧状切れ刃の円弧中心点と前記所定の点とを通る仮想直線を投影したときに、前記基準面内において前記仮想直線が前記中心軸に対して傾斜する角度を放射角度と定義して、前記円弧状切れ刃の刃先には、前記放射角度が少なくとも30°以下の範囲において丸ホーニングが形成され、前記円弧状切れ刃の刃長方向に垂直な断面における前記丸ホーニングの曲率半径は、20〜40μmであり、当該切削インサートを前記中心軸方向の先端から基端側へ向けて見たインサート正面視で、前記円弧状切れ刃の先端部と、前記チゼル部のチゼルエッジとの間に形成されるチゼル角が、150〜170°であることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、中心軸回りに回転させられる工具本体と、前記工具本体の前記中心軸方向の先端部に形成された取付座と、前記取付座に着脱可能に装着され、切れ刃を有する切削インサートと、を備えた刃先交換式回転切削工具であって、前記切削インサートとして、上述の切削インサートを用いたことを特徴とする。
本発明の切削インサート及び刃先交換式回転切削工具では、円弧状切れ刃のうち、少なくとも放射角度が30°以下の範囲に丸ホーニングが施されている。
詳しくは、円弧状切れ刃のうち、特に高硬度材の高能率加工時などにおいて刃先欠損が生じやすい中心軸方向の最先端近傍(放射角度が0°付近)から放射角度が30°までの領域(以下、円弧状切れ刃の先端部近傍という)に、丸ホーニングが施されている。そして、円弧状切れ刃の刃長方向に垂直な断面(切れ刃に垂直な断面)において、丸ホーニングの曲率半径が20〜40μmである。これにより、被削材の加工面精度を十分に高めつつ、円弧状切れ刃及びその先端側に連なるチゼル部の欠損を防止することができる。
具体的には、円弧状切れ刃の丸ホーニングの曲率半径が20μm以上であるので、例えば焼き入れ処理が施された鋳鉄等の高硬度な被削材に対して、断続加工による中仕上げ加工等の高能率加工を行う場合であっても、円弧状切れ刃の先端部近傍の刃先強度が十分に確保され、チッピングが防止される。つまり、円弧状切れ刃の刃先が適度に丸められることにより、被削材に接触する時の衝撃や食い付き過ぎによる刃先欠損等が抑制される。
一方、円弧状切れ刃の丸ホーニングの曲率半径が20μm未満であると、上述のような高能率加工時において、円弧状切れ刃の先端部近傍で刃先強度が確保できず、チッピングが生じやすくなる。
また、円弧状切れ刃の丸ホーニングの曲率半径が40μm以下であるので、該円弧状切れ刃の刃先を鋭く維持できるとともに切れ味が確保されて、上述のような高能率加工時においても、被削材の加工面の表面性状が良好に維持される。
一方、円弧状切れ刃の丸ホーニングの曲率半径が40μmを超えると、円弧状切れ刃の切れ味が低下して、被削材の加工面の表面性状に影響する。
また、切削インサートを中心軸方向の先端から基端側へ向けて見たインサート正面視において、円弧状切れ刃の先端部と、チゼル部のチゼルエッジとの間に形成されるチゼル角が150〜170°である。これにより、被削材の加工面精度を高めつつ、チゼル部近傍の欠損を顕著に防止することができる。
なお、上記チゼル角とは、インサート正面視において、円弧状切れ刃とチゼルエッジとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鈍角の角度を指す。
具体的には、チゼル角が150°以上であるので、円弧状切れ刃の先端部に対するチゼルエッジの傾きが急になり過ぎることを抑えて、円弧状切れ刃とチゼルエッジとの接続部分に急激に屈曲する部分(屈曲部)が形成されることを防止でき、この屈曲部への応力集中に起因した欠損を防止できる。また、チゼル角が150°以上であると、チゼル部の長さ(円弧状切れ刃の先端部の刃長方向に沿う長さ)を確保しやすくなるので、その分、円弧状切れ刃の先端部から排出された切屑を一時的に保持する凹部(チゼル部に隣接するポケット)の容量も確保しやすくなる。これにより、上述のような高能率加工時においても、円弧状切れ刃の先端部等から生じた切屑の排出性が良好に維持されて、切屑詰まりによるチゼル部近傍の欠損の発生が防止される。
一方、チゼル角が150°未満であると、上記屈曲部が形成されやすくなるとともに、該屈曲部に起因した欠損が生じやすくなる。また、チゼル部の長さが短くなり、円弧状切れ刃の先端部等から生じた切屑を安定して排出することができなくなって、チゼル部近傍で欠損が生じやすくなる。
また、チゼル角が170°以下であるので、円弧状切れ刃の先端部に対するチゼルエッジの傾きが緩やかになり過ぎることを抑えて、チゼルエッジの長さ(チゼルエッジの稜線方向の長さ)を小さくできる。チゼルエッジの長さが小さく抑えられると、円弧状切れ刃の中心軸回りの回転軌跡を所期する半球面により近づけることができ(特に円弧状切れ刃の最先端近傍の回転軌跡を半球面に一致させやすくなり)、円弧状切れ刃のR精度(上記所期する半球面に対して実際の円弧状切れ刃が放射方向に凹凸するズレ量)は、±5μmの範囲内にまで抑えられる。
一方、チゼル角が170°を超えると、円弧状切れ刃の先端部に対するチゼルエッジの傾きが緩やかになり過ぎて、チゼルエッジの長さが長くなり、円弧状切れ刃のR精度を良好に維持することができなくなる。従って、被削材の加工面精度に影響する。
以上より本発明によれば、高硬度材の高能率加工に使用された場合でも、加工面精度を良好に維持することができ、かつ欠損を防止して工具寿命を延長できる。
また、上記切削インサートにおいて、前記丸ホーニングの曲率半径が、前記円弧状切れ刃の刃長方向に沿って最先端から最外周点側へ向かうに従い徐々に小さくなることが好ましい。
本発明の発明者が鋭意研究を重ねた結果、切削インサートを高能率加工に用いる場合、円弧状切れ刃においては、その先端部近傍の刃先強度を確保することが最も難しく(つまり最も欠損が生じやすく)、該円弧状切れ刃の刃長方向に沿って最先端から最外周点側へ向かうに従い刃先強度を確保しやすくなる(欠損が生じにくくなる)ことがわかった。また、円弧状切れ刃の先端部に欠損が生じると、該円弧状切れ刃の先端側に連なるチゼル部についても欠損しやすくなることを確認した。
そこで上記構成のように、丸ホーニングの曲率半径を、円弧状切れ刃の刃長方向に沿って最先端から最外周点側へ向かうに従い徐々に小さくすることにより、円弧状切れ刃の先端部近傍では、加工面精度を良好に維持しつつも十分に刃先強度を確保して、円弧状切れ刃の先端部からチゼル部に至る領域の欠損を顕著に防止することができる。また、円弧状切れ刃の刃長方向に沿う先端部近傍よりも最外周点側の領域では、丸ホーニングの曲率半径が徐々に小さくされることで加工面精度のさらなる向上を図ることができる。
また、上記切削インサートにおいて、前記円弧状切れ刃の刃長方向の全域にわたって前記丸ホーニングが形成されていることが好ましい。
この場合、円弧状切れ刃の刃長方向の全域にわたって刃先欠損を防止する効果が得られ、種々様々な切削態様への対応が可能となる。
また、上記切削インサートにおいて、前記切削インサートの工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、前記インサート正面視で、前記円弧状切れ刃の先端部の刃長方向に垂直な前記チゼル部の幅方向に沿うチゼル厚L1(mm)が、0.007×D≦L1≦0.024×Dを満たすことが好ましい。
この場合、切削インサートの工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、且つチゼル部のチゼル厚L1(mm)が0.007×D≦L1≦0.024×Dを満たすので、被削材の加工面精度を良好に維持しつつ、チゼル部近傍の耐欠損性を高めることができる。
具体的には、切削インサートの工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、且つチゼル部のチゼル厚L1(mm)が0.007×D(mm)以上であるので、チゼル部の強度が十分に高められて、チゼル部の欠損がより効果的に防止される。
また、切削インサートの工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、チゼル部のチゼル厚L1(mm)が0.024×D(mm)以下であるので、チゼル部が厚くなり過ぎることを抑えるとともにチゼルエッジの長さが長くなり過ぎることを抑えて、チゼルエッジが加工面精度に影響することを防止できる。
また、上記切削インサートにおいて、前記インサート正面視で、前記チゼル部には、前記円弧状切れ刃の先端部の刃長方向に沿って前記円弧状切れ刃の延長線上を延びる直線状の稜線部が形成されており、前記刃長方向に沿う前記稜線部における前記円弧状切れ刃の最先端とは反対側の端縁から前記中心軸までの距離であるチゼル交差量が、0.10〜0.20mmであることが好ましい。
この場合、チゼル交差量が0.10〜0.20mmであるので、被削材の加工面精度を良好に維持しつつ、チゼル部近傍での欠損の発生を防止できる。
具体的には、チゼル交差量が0.10mm以上であるので、円弧状切れ刃の先端部(最先端近傍)等から排出された切屑を一時的に保持する凹部(チゼル部に隣接するポケット)の容量を十分に確保できる。これにより、高能率加工時においても円弧状切れ刃の先端部等から生じた切屑の排出性が良好に維持されて、切屑詰まりによるチゼル部近傍の欠損の発生が防止される。
また、チゼル交差量が0.20mm以下であるので、チゼル交差量とともにチゼルエッジの長さが長くなり過ぎることを抑えて、円弧状切れ刃のR精度を良好に維持することができる。従って、被削材の加工面精度を良好に維持することができる。
また、上記切削インサートにおいて、前記チゼルエッジの稜線方向の両端には、一対の前記円弧状切れ刃が接続し、前記チゼルエッジの逃げ角は、一対の前記円弧状切れ刃のうち、前記チゼルエッジの逃げ面と共通の逃げ面を有する一方の前記円弧状切れ刃から、前記稜線方向に沿って他方の前記円弧状切れ刃側へ向かうに従い徐々に大きくなることが好ましい。
この場合、切削加工時においてチゼルエッジの逃げ面領域(チゼル部のうち、チゼルエッジの工具回転方向とは反対側に隣接する領域)では、チゼルエッジの稜線方向に沿って中心軸からチゼルエッジの端縁側へ向かうに従い、該チゼルエッジの逃げ角は小さくなる。つまり、チゼルエッジのうち、切削加工時に周速(中心軸回りの速度)がより速くなって被削材から受ける抵抗も大きくなりがちな稜線方向の端縁近傍ほど、該チゼルエッジの逃げ面領域のバックメタルを大きく(厚く)確保することができ、その結果、チゼル部の強度が高められて欠損が防止される。
またこの場合、チゼルエッジのすくい面領域(チゼル部のうち、チゼルエッジの工具回転方向に隣接する領域)では、チゼルエッジの稜線方向に沿って中心軸からチゼルエッジの端縁側へ向かうに従い、該チゼルエッジのすくい角は大きくなる。つまり、チゼルエッジのうち、切削加工時に周速がより速くなって被削材から受ける抵抗も大きくなりがちな稜線方向の端縁近傍ほど、該チゼルエッジのすくい面の抵抗を小さく抑えて、加工面精度への影響を抑制することができる。
また、上記切削インサートにおいて、前記円弧状切れ刃の先端部における逃げ角が、15°未満であることが好ましい。
この場合、円弧状切れ刃の先端部における逃げ角が15°未満であるので、円弧状切れ刃の先端部において逃げ面領域のバックメタルを大きく確保することができ(つまり剛性を高めることができ)、該先端部の切れ刃強度が向上する。
なお、上述の作用効果をより格別なものとするには、円弧状切れ刃の先端部における逃げ角が、11°以下であることが望ましい。
また、上記切削インサートにおいて、前記円弧状切れ刃の最外周点におけるねじれ角が、26〜32°であることが好ましい。
この場合、円弧状切れ刃の最外周点におけるねじれ角が、26〜32°であるので、切屑排出性を良好に維持して切削精度を高めつつ、切削インサートの剛性を確保できる。
具体的には、円弧状切れ刃の最外周点におけるねじれ角が26°以上であることにより、円弧状切れ刃の最外周点近傍の切れ味が高められ、かつ、最外周点近傍で切削されて生じた切屑が中心軸方向の基端側へ向けて排出されやすくなる。従って、切屑排出性が良好に維持されるとともに、加工面精度が安定して向上する。
また、円弧状切れ刃の最外周点におけるねじれ角が32°以下であることにより、切削加工時に切削インサートに作用する背分力(中心軸方向の基端側へ向けた力)が大きくなり過ぎることを抑えられ、かつ、切れ刃のバックメタルを大きく確保できる。これにより、切削加工時において大きな背分力に起因するびびり振動などが効果的に抑制され、加工面精度を向上することができ、かつ、切削インサートの剛性も高められて欠損や割損等を防止できる。
また、上記切削インサートにおいて、前記円弧状切れ刃は、前記中心軸回りのうち工具回転方向へ向けて凸となる円弧状をなしており、前記円弧状切れ刃のうち前記工具回転方向へ向けて最も突出する最凸点は、前記放射角度が30〜47°の範囲に配置されることが好ましい。
この場合、円弧状切れ刃のうち工具回転方向へ向けた最凸点が、放射角度が30〜47°の範囲に配置されているので、切削抵抗を小さく抑えることができ、切屑排出性を良好に維持して加工面精度を高めることができる。
具体的に、円弧状切れ刃のうち工具回転方向へ向けた最凸点が、放射角度が30°以上の範囲に配置されているので、円弧状切れ刃の刃長方向に沿う最先端から最凸点までの領域で、軸方向すくい角が負(ネガティブ)角側に大きくなり過ぎることを防止でき、その結果、円弧状切れ刃の先端部近傍において切削抵抗を小さく抑えることができ、かつ、切屑詰まりを抑制して切屑排出性を良好に維持することができる。
また、円弧状切れ刃のうち工具回転方向へ向けた最凸点が、放射角度が47°以下の範囲に配置されているので、円弧状切れ刃の刃長方向に沿う最先端から最凸点までの領域、つまり軸方向すくい角が負角となる領域を短く抑えることができ、切削抵抗の低減化に効果的である。また、円弧状切れ刃の刃長方向に沿う最凸点から最外周点までの領域、つまり軸方向すくい角が正(ポジティブ)角となる領域については長く確保することができ、切屑排出性の向上に効果的である。すなわち、円弧状切れ刃の最凸点から最外周点までの領域における切れ味が高められ、かつ、前記領域で切削されて生じた切屑が中心軸方向の基端側へ向けて排出されやすくなる。従って、切屑排出性が良好に維持されるとともに、加工面精度が安定して向上される。
また、上記切削インサートは、前記基準面に垂直で前記仮想直線を含む仮想平面内において、前記基準面に対して前記円弧状切れ刃のすくい面が傾斜する角度である真のすくい角を、放射方向すくい角と定義して、前記放射角度が0°における前記放射方向すくい角は、前記放射角度が90°における前記放射方向すくい角よりも大きく、かつ、前記最凸点における前記放射方向すくい角以下であり、前記放射方向すくい角の最大値は、前記放射角度が20〜40°の範囲に設定され、前記放射方向すくい角は、前記円弧状切れ刃の前記最凸点から最外周点に向けて徐々に小さくなることが好ましい。
上記構成では、放射角度が0°における放射方向すくい角の値をαとし、放射角度が90°における放射方向すくい角の値をβとし、円弧状切れ刃の工具回転方向へ向けた最凸点における放射方向すくい角の値をγとすると、円弧状切れ刃の放射方向すくい角が、β<α≦γの関係を満たすので、被削材への食い付き性を高めてびびり振動を抑制できるとともに、加工面精度を向上でき、かつ、切れ刃強度を確保できる。
具体的に、円弧状切れ刃の放射方向すくい角がβ<αの関係を満たすことにより、円弧状切れ刃の最先端近傍での切削抵抗を小さくして被削材への食付き性を高めることができ、また、切屑の厚さが増大する円弧状切れ刃の最外周点近傍では十分な切れ刃強度を確保できる。
また、円弧状切れ刃の放射方向すくい角がα≦γの関係を満たすことにより、被削材と最初に接触する円弧状切れ刃の工具回転方向の最凸点において、切削抵抗を小さく抑えることができ、被削材への食付き性を高めてびびり振動を抑制でき、加工面精度を向上できる。
また、放射方向すくい角の最大値は、放射角度が20〜40°の範囲に設定されているので、円弧状切れ刃における放射方向すくい角の最大値を、該円弧状切れ刃の刃長方向に沿う先端部近傍から最凸点までの領域に配置しやすい。
詳しくは、円弧状切れ刃は工具回転方向の最凸点で被削材と最初に接触し、その後、被削材との接触領域は該円弧状切れ刃の刃長方向に沿って最先端側と最外周点側とに広がっていく。つまり、円弧状切れ刃の刃長方向に沿う最凸点よりも最先端側では、円弧状切れ刃の軸方向すくい角が負角となり、最凸点よりも最外周点側では、円弧状切れ刃の軸方向すくい角が正角となる。
このため、円弧状切れ刃の刃長方向に沿う先端部近傍から最凸点までの領域において放射方向すくい角が最大値(つまり最も切れ味が高められた刃先形状)とされていると、前記領域の軸方向すくい角が負角とされつつも切削抵抗は低減されて、切れ味を良好に維持することができる。
また、円弧状切れ刃の工具回転方向の最凸点から最外周点にかけて放射方向すくい角が徐々に小さくされている(連続的に減少させられている)ので、該円弧状切れ刃において切屑の厚さが厚くなりがちな最外周点側での刃先強度を十分に確保できる。
また、上記切削インサートにおいて、当該切削インサートの厚さ方向を向く両面のうち、前記すくい面と同じ方向を向く面を表面、前記すくい面とは反対方向を向く面を裏面として、前記厚さ方向に沿う前記円弧状切れ刃の最外周点から前記表面までの距離に対して、前記厚さ方向に沿う前記最外周点から前記裏面までの距離が大きいことが好ましい。
この場合、円弧状切れ刃においてバックメタルが薄くなりがちな最外周点近傍においても、バックメタルの肉厚を十分に大きく確保でき、切削インサートの剛性を高めることができる。これにより、円弧状切れ刃の最外周点近傍での切れ刃欠損や、切削インサートの割損等を効果的に防止できる。
本発明の切削インサート及び刃先交換式回転切削工具によれば、高硬度材の高能率加工に使用された場合でも、加工面精度を良好に維持することができ、かつ欠損を防止して工具寿命を延長できる。
本発明の一実施形態に係る刃先交換式回転切削工具を示す斜視図である。 刃先交換式回転切削工具の正面図である。 刃先交換式回転切削工具の平面図である。 刃先交換式回転切削工具の側面図である。 刃先交換式回転切削工具の工具本体を示す正面図である。 刃先交換式回転切削工具の工具本体を示す平面図である。 刃先交換式回転切削工具の工具本体を示す側面図である。 切削インサートを示す斜視図である。 切削インサートを示す平面図、並びに、放射角度及び放射方向すくい角を説明する図である。 切削インサートの側面図である。 切削インサートの正面図である。 図11のチゼル部を拡大して示す図である。 図12のA−A断面を示す図である。 図12のB−B断面を示す図である。 切削インサートの円弧状切れ刃における、放射方向すくい角のプロファイルを示すグラフである。 切削インサートのチゼル部の変形例を示す拡大図である。
以下、本発明の一実施形態に係る切削インサート5及びこれを備えた刃先交換式回転切削工具について、図面を参照して説明する。本実施形態において刃先交換式回転切削工具は、刃先交換式ボールエンドミル6である。この刃先交換式ボールエンドミル6は、例えば、焼き入れ処理が施された鋳鉄等の高硬度な被削材に対して、断続加工による中仕上げ加工や仕上げ加工等の高能率加工を行うのに適している。
図1〜図4に示されるように、刃先交換式ボールエンドミル6は、中心軸C回りに回転させられる略円柱状の工具本体1と、工具本体1の中心軸C方向の先端部2に形成された取付座3と、取付座3に着脱可能に装着され、切れ刃4を有する切削インサート5と、を備えている。
本実施形態の刃先交換式ボールエンドミル6は、鋼材等で形成された工具本体1と、工具本体1よりも硬質の超硬合金等で形成された切削インサート5と、を備えている。工具本体1の先端部2に形成された取付座(インサート取付座)3には、板状をなす切削インサート5がそのインサート中心軸を工具の中心軸Cに一致させた状態で、取り外し可能に装着される。取付座3に取り付けられた切削インサート5は、その切れ刃4が、工具本体1の先端側及び径方向外側に突出して配置される。
刃先交換式ボールエンドミル6は、工具本体1の基端部(シャンク部)が、工作機械の主軸(不図示)に取り付けられ、主軸が回転駆動させられるのにともなって、中心軸C回りの工具回転方向Rに回転させられる。そして、主軸とともに工具本体1が、中心軸Cに交差する方向や中心軸C方向に送られることで、金属材料等からなる被削材に対して切削インサート5の切れ刃4で切り込んでいき、転削加工(ミーリング加工)を施す。なお、本実施形態の刃先交換式ボールエンドミル6は、例えば4〜6軸の多軸制御のマシニングセンタ等の工作機械に用いてもよい。
本実施形態においては、工具本体1の中心軸Cが延在する方向、つまり中心軸Cに沿う方向を、中心軸C方向という。また、中心軸C方向のうち、工具本体1のシャンク部から取付座3へ向かう方向(図3及び図4における左側)を先端側といい、取付座3からシャンク部へ向かう方向(図3及び図4における右側)を基端側という。
また、中心軸Cに直交する方向を径方向という。径方向のうち、中心軸Cに接近する方向を径方向の内側といい、中心軸Cから離間する方向を径方向の外側という。
また、中心軸C回りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、切削時に主軸の回転により工具本体1が回転させられる向きを工具回転方向Rといい、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Rとは反対側(つまり反工具回転方向)という。
なお、上記した向き(方向)の定義は、刃先交換式ボールエンドミル6の中心軸Cに対してインサート中心軸が一致させられる(同軸に配置される)切削インサート5においても、同様に適用される。従って、切削インサート5を示す図9〜図12においては、インサート中心軸を、中心軸Cと同じ符号Cを用いて表す。また、インサート中心軸を単に中心軸Cと呼ぶ場合がある。
図1〜図7に示されるように、取付座3は、工具本体1の先端部2に、工具の中心軸Cを含んで径方向に延びて形成されたスリット状のインサート嵌合溝7と、インサート嵌合溝7に挿入された切削インサート5を固定するための固定用ネジ8と、を備えている。
図5〜図7において、インサート嵌合溝7は、工具本体1の先端面に開口し、工具本体1の径方向に延びて工具本体1の外周面にも開口している。
インサート嵌合溝7は、中心軸Cを中心として互いに平行に対向配置された平面状の一対の内壁7a、7bと、該インサート嵌合溝7における基端側の端部に配置されて一対の内壁7a、7b同士を接続する底壁7cと、を備えている。底壁7cは、中心軸C方向の先端側を向いており、基端側へ向けて窪む断面凹V字状をなしている。
工具本体1の先端部2は、スリット状のインサート嵌合溝7が形成されたことにより、径方向に2つに分割された一対の先端半体部2a、2bを有している。
一対の先端半体部2a、2bは、それぞれ略半円形の板状をなしている。また、先端半体部2a、2bの各先端側部分は、先端側へ向かうに従い徐々に厚さが薄くなる。
工具本体1の先端部2には、一対の先端半体部2a、2bのうち、一方の先端半体部2aの外面から径方向内側へ向けて延び、インサート嵌合溝7と交差して他方の先端半体部2b内まで達するように、インサート固定用ネジ孔2cが形成されている。インサート固定用ネジ孔2cのネジ孔中心軸は、先端部2において径方向に延びており、具体的には径方向のうち、インサート嵌合溝7が径方向に延びる向きに対して直交する向きに延びている。
インサート固定用ネジ孔2cのうち、一方の先端半体部2aに形成された孔部分の内径は、他方の先端半体部2bに形成された孔部分の内径よりも大きくされている。また、他方の先端半体部2bに形成された孔部分の内周面には、固定用ネジ8の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されている。インサート固定用ネジ孔2cのうち、少なくとも一方の先端半体部2aに形成された孔部分は、貫通孔となっている。本実施形態の例では、一方の先端半体部2a及び他方の先端半体部2bの各孔部分が、それぞれ貫通孔とされている。
図8〜図11に示されるように、切削インサート5は、板状のインサート本体15と、インサート本体15に形成されたすくい面、逃げ面、及び、すくい面と逃げ面との交差稜線に形成された切れ刃4と、インサート本体15に形成され、該インサート本体15を厚さ方向に貫通するネジ挿通孔18と、を備えている。なお、厚さ方向はインサート中心軸Cに垂直であり、ネジ挿通孔18の中心軸はインサート中心軸Cと直交する。
本実施形態の切削インサート5は、中心軸Cを中心(対称軸)とした表裏反転対称形状(180°回転対称形状)をなしており、切れ刃4を一対(2組)備えている。つまりこの切削インサート5は、2枚刃の切削インサートである。
インサート本体15は、略平板形状をなしている。インサート本体15の厚さ方向を向く両面(表面及び裏面)には、該厚さ方向に垂直な平面状をなす一対の平面部16、17が形成されている。また、インサート本体15の中心軸C方向の基端側を向く面には、基端側へ向けて突出する断面凸V字状をなす頂面19が形成されている。
この切削インサート5を取付座3のインサート嵌合溝7に挿入すると、一対の平面部16、17は、インサート嵌合溝7の内壁7a、7bに当接する。また、頂面19は、インサート嵌合溝7の底壁7cに当接する。これにより、インサート嵌合溝7に対する切削インサート5の径方向及び周方向への移動が規制される。
ネジ挿通孔18は、インサート本体15を厚さ方向に貫通するとともに、一方の平面部16と他方の平面部17とに開口して形成された貫通孔である。ネジ挿通孔18には、切削インサート5を取付座3に装着し固定する際に、固定用ネジ8が挿通される。
詳しくは、切削インサート5を取付座3のインサート嵌合溝7に挿入した状態で、一方の先端半体部2aのインサート固定用ネジ孔2cの孔部分から固定用ネジ8を挿入し、該固定用ネジ8を切削インサート5のネジ挿通孔18内に挿通させて、他方の先端半体部2bのインサート固定用ネジ孔2cの孔部分に螺着することにより、取付座3に対して切削インサート5が固定される。また、インサート嵌合溝7からの切削インサート5の抜け出しが規制される。
切れ刃4は、インサート本体15における中心軸C方向の先端部から径方向外側の端部にわたって形成されている。
一対の切れ刃4はそれぞれ、インサート本体15(切削インサート5)の先端外周側(先端側及び外周側)へ向けて凸となる円弧状をなす円弧状切れ刃(底切れ刃)11と、円弧状切れ刃11の径方向外側の端縁でありかつ中心軸C方向の基端側の端縁でもある最外周点Sに接続し、該最外周点Sから中心軸C方向の基端側へ向けて延びる外周切れ刃9と、を備えている。
円弧状切れ刃11と外周切れ刃9とは、最外周点Sにおいて互いに接しており、つまり互いの接続部分において共通の接線を有するように、なだらかに連結されている。
また、一対の円弧状切れ刃11同士は、中心軸Cを中心として180°回転対称に形成されており、一対の外周切れ刃9同士は、中心軸Cを中心として180°回転対称に形成されている。
図10及び図11に示されるように、円弧状切れ刃11は、中心軸C回りのうち工具回転方向Rへ向けて凸となる円弧状をなしている。円弧状切れ刃11のうち工具回転方向Rへ向けて最も突出する点を、本実施形態では最凸点Qという。
円弧状切れ刃11の工具回転方向Rへ向けた最凸点Qは、放射角度θが30〜47°の範囲に配置されている。
上記「放射角度θ」とは、図9において、円弧状切れ刃11上の所定の点F及び中心軸Cを含む基準面Prに対して、円弧状切れ刃11の円弧中心点Oと所定の点Fとを通る仮想直線VLを投影したときに、基準面Pr内において仮想直線VLが中心軸Cに対して傾斜する角度θである。なお、「基準面Pr」とは、刃先交換式ボールエンドミル6の工具の主運動方向(工具回転方向R)に垂直な仮想平面であり、その面内に、中心軸C及び円弧状切れ刃11上の所定の点Fを含む。また、「基準面Prに対して仮想直線VLを投影する」とは、基準面Prに対して垂直に仮想直線VLを投影させることを指す。また、「基準面Pr内において仮想直線VLが中心軸Cに対して傾斜する角度」とは、基準面Pr内において仮想直線VLと中心軸Cとが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指す。さらに、「円弧状切れ刃11の円弧中心点O」は、切削インサート5を厚さ方向から見た平面図(図9)において、中心軸C上に位置する。また、切削インサートを厚さ方向と中心軸Cとに直交する方向から見た側面図(図10)において、円弧中心点Oは、厚さ方向における位置として中心軸C上に位置する。
図11に示されるように、切削インサート5を中心軸C方向の先端から基端側へ向けて見たインサート正面視において、最凸点Qを有する一対の円弧状切れ刃11は、全体として、中心軸Cを中心とした略S字状をなしている。
円弧状切れ刃11を中心軸C回りに回転させて得られる回転軌跡は、中心軸C上に中心を有するとともに先端側へ向けて凸となる半球面状をなす。
円弧状切れ刃11における、径方向に沿う単位長さあたりの中心軸C方向へ向けた変位量(つまり中心軸Cに垂直な仮想平面に対する傾き)は、該円弧状切れ刃11の径方向外端(最外周点S)から径方向内側へ向かうに従い徐々に小さくされていき、径方向内端においてゼロとなる。言い換えると、円弧状切れ刃11の径方向内端における接線は、中心軸Cに垂直な仮想平面に対して平行である。
円弧状切れ刃11の径方向内端は、該円弧状切れ刃11における中心軸C方向の先端側の端縁でもある。本実施形態では、円弧状切れ刃11の先端側の端縁を最先端Pという。
切れ刃4の工具回転方向Rを向くすくい面のうち、円弧状切れ刃11に隣接する部分(円弧状切れ刃11の基端内周側に隣接する部分)に、円弧状切れ刃11のすくい面12が形成されている。本実施形態の例では、円弧状切れ刃11のすくい面12が、工具回転方向Rへ向けて凸となる曲面状をなしている。
図9に示されるように、基準面Prに垂直で仮想直線VLを含む仮想平面VS内において、基準面Prに対して円弧状切れ刃11のすくい面12が傾斜する角度である真のすくい角を、放射方向すくい角δと定義する。
図15に示されるように、本実施形態の例では、放射方向すくい角δが、円弧状切れ刃11の刃長方向(円弧状切れ刃11の延在方向)の全域にわたって負(ネガティブ)角とされている。つまり、放射角度θが0〜90°の範囲において、放射方向すくい角δが負角である。なお、図15では、本実施形態の一例に係る切削インサートの放射方向すくい角δの実測値をプロットすると共に、これらのプロットを曲線で結んだプロファイルを示している。
また、放射角度θが0°における放射方向すくい角δは、放射角度θが90°における放射方向すくい角δよりも大きく、かつ、最凸点Qにおける放射方向すくい角δ以下である。すなわち、放射角度θが0°における放射方向すくい角δの値をαとし、放射角度θが90°における放射方向すくい角δの値をβとし、円弧状切れ刃11の工具回転方向Rへ向けた最凸点Qにおける放射方向すくい角δの値をγとすると、円弧状切れ刃11の放射方向すくい角δが、β<α≦γの関係を満たす。
放射方向すくい角δの最大値は、放射角度θが20〜40°の範囲に設定されている。本実施形態では、放射方向すくい角δの最大値が、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う先端部近傍から最凸点Qまでの間に配置されている。
また、放射方向すくい角δは、円弧状切れ刃11の最凸点Qから最外周点Sに向けて徐々に小さくなる。
図9において、本実施形態の例では、円弧状切れ刃11の円弧中心点Oが、ネジ挿通孔18の中心軸上に位置している。また、図9及び図10において符号Mで示されるものは、切削インサートの中心軸Cに垂直で円弧中心点Oを含む仮想平面である。本実施形態の例では、円弧状切れ刃11の最外周点Sが、仮想平面M上に位置している。
図10において、円弧状切れ刃11の最外周点Sにおけるねじれ角εは、正(ポジティブ)角であり、具体的には26〜32°である。ねじれ角εは、円弧状切れ刃11の最外周点Sにおける軸方向すくい角に相当する。
図10に示される切削インサート5の側面視で、当該切削インサート5(インサート本体15)の厚さ方向を向く両面のうち、切れ刃4のすくい面と同じ方向を向く面(平面部16が配置された面)を表面とし、すくい面とは反対方向を向く面(平面部17が配置された面)を裏面とする。本実施形態の例では、切削インサート5の厚さ方向に沿う円弧状切れ刃11の最外周点Sから表面(平面部16)までの距離T1に対して、厚さ方向に沿う最外周点Sから裏面(平面部17)までの距離T2が大きくされている。
図9において、円弧状切れ刃11の刃先には、放射角度θが少なくとも30°以下の範囲において丸ホーニングが形成されている。本実施形態の例では、円弧状切れ刃11の刃長方向の全域にわたって(つまり放射角度θが90°以下の範囲において)、丸ホーニングが形成されている。
円弧状切れ刃11の刃長方向に垂直な断面(切れ刃4に垂直な断面)において、丸ホーニングの曲率半径は20〜40μmである。また、丸ホーニングの曲率半径は、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿って最先端Pから最外周点S側へ向かうに従い徐々に小さくなる。本実施形態の一例を挙げると、丸ホーニングの曲率半径が、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う最先端P近傍(放射角度θが0°付近)において32μm、放射角度θが45°付近において21μm、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う最外周点S近傍(放射角度θが90°付近)において16μmである。つまり、円弧状切れ刃11の最先端P近傍における丸ホーニングの曲率半径が、円弧状切れ刃11の最外周点S近傍における丸ホーニングの曲率半径の2倍以上である。
このような丸ホーニングを、切削インサート5の製造時において円弧状切れ刃11の刃先に付与するには、例えばダイヤモンド砥粒がブラシ部に分散された専用ブラシ等を用いて、円弧状切れ刃11と専用ブラシとが相対的な3次元運動を行うような刃先処理を施せばよい。一例としては、略円筒形状をした専用ブラシが回転軸回りに回転している状態において、ブラシ回転軸と平行な方向に、ブラシ内部に円弧状切れ刃11を相対速度を変化させつつ通過させ、この時の円弧状切れ刃11とブラシとの交差角度や交差速度の最適化によって、丸ホーニングの出来栄えに変化を与えることができる。
図8、図10及び図11に示されるように、インサート本体15の外周面のうち、円弧状切れ刃11に隣接する部分(円弧状切れ刃11の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分)に、円弧状切れ刃11の逃げ面13が形成されている。円弧状切れ刃11の逃げ面13は、該円弧状切れ刃11から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い、この円弧状切れ刃11の中心軸C回りの回転軌跡がなす仮想半球面から径方向内側へ後退するように傾斜しており、これにより円弧状切れ刃11には逃げ角が付与されている。
本実施形態の例では、円弧状切れ刃11の先端部における逃げ角が、15°未満である。好ましくは、円弧状切れ刃11の先端部における逃げ角は、11°以下である。
図11及び図12において、一対の円弧状切れ刃11の各逃げ面13同士の交差稜線部には、チゼル部20が形成されている。チゼル部20は、切削インサート5(インサート本体15)の先端部に配置されており、中心軸C上に位置している。チゼル部20は、一対の円弧状切れ刃11の各逃げ面13同士の交差稜線に形成されたチゼルエッジ21を有する。すなわち、チゼル部20において、2つの逃げ面13はチゼルエッジ21を介して連続している。チゼルエッジ21は、中心軸Cに直交して径方向に延びている。
図12に示されるように、切削インサート5を中心軸C方向の先端から基端側へ向けて見たインサート正面視で、円弧状切れ刃11の先端部(最先端P近傍)と、チゼル部20のチゼルエッジ21との間に形成されるチゼル角σは、150〜170°である。
なお、上記チゼル角σとは、インサート正面視において、円弧状切れ刃11とチゼルエッジ21とが交差して形成される鋭角及び鈍角のうち、鈍角の角度を指す。
切削インサート5の工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、図12に示されるインサート正面視において、円弧状切れ刃11の先端部の刃長方向(図12における左右方向)に垂直なチゼル部20の幅方向(図12における上下方向)に沿うチゼル厚L1(mm)は、0.007×D≦L1≦0.024×Dを満たす。なお、切削インサート5の工具刃径D(mm)は、円弧状切れ刃11の最外周点Sと中心軸Cとの距離を半径とする円の直径であり、円弧状切れ刃11の最外周点Sと中心軸Cとの距離の2倍の長さを有する。
またこのインサート正面視で、チゼル部20には、円弧状切れ刃11の先端部の刃長方向に沿って円弧状切れ刃11の延長線上を延びる直線状の稜線部22が形成されており、稜線部22における円弧状切れ刃11の最先端Pとは反対側の端縁23から中心軸Cまでの前記刃長方向に沿う距離であるチゼル交差量L2は、0.10〜0.20mmである。
稜線部22は、チゼル部20の幅方向の両端に一対形成されているとともに、円弧状切れ刃11の最先端Pよりも中心軸C方向の基端側へ後退するように配置されている。また、稜線部22の端縁23には、凹曲線状をなすチゼルR部24が接続している。稜線部22とチゼルR部24とは、端縁23において互いに接するように、なだらかに連結している。
また、図12に示されるように、切削インサート5を中心軸C方向の先端から基端側へ向けて見たインサート正面視において、チゼルR部24の延在方向の両端縁のうち、稜線部22の端縁23とは反対側に位置する端縁には、稜線部25が接続している。稜線部25は、直線状をなしており、チゼルR部24と接続する端縁において該チゼルR部24と共通の接線を有するように、チゼルR部24になだらかに連結している。
稜線部22、25及びチゼルR部24により囲まれた凹部26は、切屑を一時的に保持する切屑排出用のポケットとして機能する。本実施形態の例では、このインサート正面視において、稜線部22と稜線部25との間に形成される角度ζが、鋭角をなしている。
チゼルエッジ21の稜線方向(チゼルエッジ21の稜線が延在する方向)の両端には、一対の円弧状切れ刃11の最先端Pが接続している。
図12〜図14に示されるように、チゼルエッジ21の逃げ角ηは、一対の円弧状切れ刃11のうち、チゼルエッジ21の逃げ面13A(13)と共通の逃げ面13A(13)を有する一方の円弧状切れ刃11A(11)から、チゼルエッジ21の稜線方向に沿って他方の円弧状切れ刃11B(11)側へ向かうに従い徐々に大きくなっている。なお、逃げ角ηは、中心軸Cに直交する面に対しチゼルエッジ21の逃げ面13Aがなす角である。
また、この切削インサート5は、中心軸Cを中心として表裏回転対称(180°回転対称)に形成されている。従って、チゼルエッジ21の逃げ角λは、一対の円弧状切れ刃11のうち、チゼルエッジ21の逃げ面13B(13)と共通の逃げ面13B(13)を有する他方の円弧状切れ刃11B(11)から、チゼルエッジ21の稜線方向に沿って一方の円弧状切れ刃11A(11)側へ向かうに従い徐々に大きくなっている。なお、逃げ角λは、中心軸Cに直交する面に対しチゼルエッジ21の逃げ面13Bがなす角である。
詳しくは、チゼルエッジ21は、一対の円弧状切れ刃11A、11Bの各逃げ面13A、13B同士の交差稜線に形成されていることから、チゼルエッジ21の逃げ角η、λは、該チゼルエッジ21の稜線を挟んだ両側に設定される。
図13及び図14において、符号ηで示される逃げ角は、図12のチゼルエッジ21の左上方に位置する逃げ面13Aに基づくチゼルエッジ21の逃げ角ηを表しており、符号λで示される逃げ角は、図12のチゼルエッジ21の右下方に位置する逃げ面13Bに基づくチゼルエッジ21の逃げ角λを表している。
上記構成を言い換えると、本実施形態は下記の構成を有しているともいえる。
すなわち、チゼルエッジ21のすくい角(図13及び図14におけるチゼルエッジ21の右方の逃げ面13Bをすくい面とみなした場合のすくい角)は、一対の円弧状切れ刃11のうち、チゼルエッジ21の逃げ面13A(13)と共通の逃げ面13A(13)を有する一方の円弧状切れ刃11A(11)から、チゼルエッジ21の稜線方向に沿って他方の円弧状切れ刃11B(11)側へ向かうに従い徐々に小さくなる。
また、チゼルエッジ21のすくい角(図13及び図14におけるチゼルエッジ21の左方の逃げ面13Aをすくい面とみなした場合のすくい角)は、一対の円弧状切れ刃11のうち、チゼルエッジ21の逃げ面13B(13)と共通の逃げ面13B(13)を有する他方の円弧状切れ刃11B(11)から、チゼルエッジ21の稜線方向に沿って一方の円弧状切れ刃11A(11)側へ向かうに従い徐々に小さくなる。
図8〜図11に示されるように、外周切れ刃9は、切れ刃4の中心軸C方向の基端部に配置されて、中心軸C方向に延びている。具体的に、外周切れ刃9は、その円弧状切れ刃11の最外周点Sに接続する先端から中心軸C方向の基端側へ向かうに従い、工具回転方向Rとは反対側へ向けてねじれて延びている。
図10に示されるように、外周切れ刃9のねじれ角は、円弧状切れ刃11の最外周点Sにおけるねじれ角εと略同一である。
本実施形態の例では、外周切れ刃9が、円弧状切れ刃11の最外周点Sとともに切れ刃4において最も径方向外側に位置している。外周切れ刃9を中心軸C回りに回転させて得られる回転軌跡は、中心軸Cを中心とした円筒面状をなす。
切れ刃4の工具回転方向Rを向くすくい面のうち、外周切れ刃9に隣接する部分(外周切れ刃9の径方向内側に隣接する部分)に、外周切れ刃9のすくい面10が形成されている。本実施形態の例では、外周切れ刃9のすくい面10が平面状をなしている。また、外周切れ刃9の径方向すくい角が、外周切れ刃9の刃長方向の全域にわたって負角とされている。
本実施形態の例では、円弧状切れ刃11と同様に外周切れ刃9の刃先にも丸ホーニングが形成されているが、外周切れ刃9には、丸ホーニングが形成されていなくてもよい。
図8、図10及び図11に示されるように、インサート本体15の外周面のうち、外周切れ刃9に隣接する部分(外周切れ刃9の工具回転方向Rとは反対側に隣接する部分)に、外周切れ刃9の逃げ面14が形成されている。外周切れ刃9の逃げ面14は、該外周切れ刃9から工具回転方向Rとは反対側へ向かうに従い、この外周切れ刃9の中心軸C回りの回転軌跡がなす仮想円筒面から径方向内側へ後退するように傾斜しており、これにより外周切れ刃9には逃げ角が付与されている。
本実施形態の例では、外周切れ刃9の逃げ面14が該外周切れ刃9から工具回転方向Rとは反対側へ向けて延びる長さ(つまり逃げ面14の幅)が、円弧状切れ刃11の逃げ面13が該円弧状切れ刃11から工具回転方向Rとは反対側へ向けて延びる長さ(逃げ面13の幅)と略同一である。つまり、切れ刃4の刃長方向の全域にわたって、逃げ面の幅が一定とされている。
以上説明した本実施形態の切削インサート5及び刃先交換式ボールエンドミル6では、円弧状切れ刃11のうち、少なくとも放射角度θが30°以下の範囲に丸ホーニングが施されている。
詳しくは、円弧状切れ刃11のうち、特に高硬度材の高能率加工時などにおいて刃先欠損が生じやすい中心軸C方向の最先端P近傍(放射角度θが0°付近)から放射角度θが30°までの領域(以下、円弧状切れ刃11の先端部近傍という)に、丸ホーニングが施されている。そして、円弧状切れ刃11の刃長方向に垂直な断面(切れ刃4に垂直な断面)において、丸ホーニングの曲率半径が20〜40μmである。これにより、被削材の加工面精度を十分に高めつつ、円弧状切れ刃11及びその先端側に連なるチゼル部20の欠損を防止することができる。
具体的には、円弧状切れ刃11の丸ホーニングの曲率半径が20μm以上であるので、例えば焼き入れ処理が施された鋳鉄等の高硬度な被削材に対して、断続加工による中仕上げ加工等の高能率加工を行う場合であっても、円弧状切れ刃11の先端部近傍の刃先強度が十分に確保され、チッピングが防止される。つまり、円弧状切れ刃11の刃先が適度に丸められることにより、被削材に接触する時の衝撃や食い付き過ぎによる刃先欠損等が抑制される。
一方、円弧状切れ刃11の丸ホーニングの曲率半径が20μm未満であると、上述のような高能率加工時において、円弧状切れ刃11の先端部近傍で刃先強度が確保できず、チッピングが生じやすくなる。
また、円弧状切れ刃11の丸ホーニングの曲率半径が40μm以下であるので、該円弧状切れ刃11の刃先を鋭く維持できるとともに切れ味が確保されて、上述のような高能率加工時においても、被削材の加工面の表面性状が良好に維持される。
一方、円弧状切れ刃11の丸ホーニングの曲率半径が40μmを超えると、円弧状切れ刃11の切れ味が低下して、被削材の加工面の表面性状に影響する。
なお、円弧状切れ刃11の丸ホーニングの曲率半径は、20〜35μmが好ましく、20〜32μmがより好ましいが、これに限定されない。
また、図12に示されるように、切削インサート5を中心軸C方向の先端から基端側へ向けて見たインサート正面視において、円弧状切れ刃11の先端部と、チゼル部20のチゼルエッジ21との間に形成されるチゼル角σが150〜170°である。これにより、被削材の加工面精度を高めつつ、チゼル部20近傍の欠損を顕著に防止することができる。
具体的には、チゼル角σが150°以上であるので、円弧状切れ刃11の先端部に対するチゼルエッジ21の傾きが急になり過ぎることを抑えて、円弧状切れ刃11とチゼルエッジ21との接続部分(つまり最先端P)に急激に屈曲する部分(屈曲部)が形成されることを防止でき、この屈曲部への応力集中に起因した欠損を防止できる。また、チゼル角σが150°以上であると、チゼル部20の長さ(円弧状切れ刃11の先端部の刃長方向に沿う長さ)を確保しやすくなるので、その分、円弧状切れ刃11の先端部から排出された切屑を一時的に保持する凹部(チゼル部20に隣接するポケット)の容量も確保しやすくなる。これにより、上述のような高能率加工時においても、円弧状切れ刃11の先端部等から生じた切屑の排出性が良好に維持されて、切屑詰まりによるチゼル部20近傍の欠損の発生が防止される。
一方、チゼル角σが150°未満であると、上記屈曲部が形成されやすくなるとともに、該屈曲部に起因した欠損が生じやすくなる。また、チゼル部20の長さが短くなり、円弧状切れ刃11の先端部等から生じた切屑を安定して排出することができなくなって、チゼル部20近傍で欠損が生じやすくなる。
また、チゼル角σが170°以下であるので、円弧状切れ刃11の先端部に対するチゼルエッジ21の傾きが緩やかになり過ぎることを抑えて、チゼルエッジ21の長さ(チゼルエッジ21の稜線方向の長さ)を小さくできる。チゼルエッジ21の長さが小さく抑えられると、円弧状切れ刃11の中心軸C回りの回転軌跡を所期する半球面により近づけることができ(特に円弧状切れ刃11の最先端P近傍の回転軌跡を半球面に一致させやすくなり)、円弧状切れ刃11のR精度(上記所期する半球面に対して実際の円弧状切れ刃11が放射方向に凹凸するズレ量)は、±5μmの範囲内にまで抑えられる。なお、放射方向とは、上記所期する半球面の中心から半球面上の任意の点に向かう方向である。
一方、チゼル角σが170°を超えると、円弧状切れ刃11の先端部に対するチゼルエッジ21の傾きが緩やかになり過ぎて、チゼルエッジ21の長さが長くなり、円弧状切れ刃11のR精度を良好に維持することができなくなる。従って、被削材の加工面精度に影響する。
なお、チゼル角σは、152〜167°が好ましく、154〜163°がより好ましいが、これに限定されない。
以上より本実施形態によれば、高硬度材の高能率加工に使用された場合でも、加工面精度を良好に維持することができ、かつ欠損を防止して工具寿命を延長できる。
また本実施形態では、円弧状切れ刃11の丸ホーニングの曲率半径が、該円弧状切れ刃11の刃長方向に沿って最先端Pから最外周点S側へ向かうに従い徐々に小さくなるので、下記の作用効果を奏する。
すなわち、本発明の発明者が鋭意研究を重ねた結果、切削インサート5を高能率加工に用いる場合、円弧状切れ刃11においては、その先端部近傍の刃先強度を確保することが最も難しく(つまり最も欠損が生じやすく)、該円弧状切れ刃11の刃長方向に沿って最先端Pから最外周点S側へ向かうに従い刃先強度を確保しやすくなる(欠損が生じにくくなる)ことがわかった。また、円弧状切れ刃11の先端部に欠損が生じると、該円弧状切れ刃11の先端側に連なるチゼル部20についても欠損しやすくなることを確認した。
そこで上記構成のように、丸ホーニングの曲率半径を、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿って最先端Pから最外周点S側へ向かうに従い徐々に小さくすることにより、円弧状切れ刃11の先端部近傍では、加工面精度を良好に維持しつつも十分に刃先強度を確保して、円弧状切れ刃11の先端部からチゼル部20に至る領域の欠損を顕著に防止することができる。また、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う先端部近傍よりも最外周点S側の領域では、丸ホーニングの曲率半径が徐々に小さくされることで加工面精度のさらなる向上を図ることができる。
また本実施形態では、円弧状切れ刃11の刃長方向の全域にわたって丸ホーニングが形成されているので、該円弧状切れ刃11の刃長方向の全域にわたって刃先欠損を防止する効果が得られ、種々様々な切削態様への対応が可能となる。
また本実施形態では、切削インサート5の工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、チゼル部20の幅方向に沿うチゼル厚L1(mm)が、0.007×D≦L1≦0.024×Dを満たすので、被削材の加工面精度を良好に維持しつつ、チゼル部20近傍の耐欠損性を高めることができる。
具体的には、切削インサート5の工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、チゼル部20のチゼル厚L1(mm)が0.007×D(mm)以上であるので、チゼル部20の強度が十分に高められて、チゼル部20の欠損がより効果的に防止される。
また、切削インサート5の工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、チゼル部20のチゼル厚L1(mm)が0.024×D(mm)以下であるので、チゼル部20が厚くなり過ぎることを抑えるとともにチゼルエッジ21の長さが長くなり過ぎることを抑えて、チゼルエッジ21が加工面精度に影響することを防止できる。
また本実施形態では、チゼル部20のチゼル交差量L2が、0.10〜0.20mmであるので、被削材の加工面精度を良好に維持しつつ、チゼル部20近傍での欠損の発生を防止できる。
具体的には、チゼル交差量L2が0.10mm以上であるので、円弧状切れ刃11の先端部(最先端P近傍)等から排出された切屑を一時的に保持する凹部(チゼル部20に隣接するポケット)の容量を十分に確保できる。これにより、高能率加工時においても円弧状切れ刃11の先端部等から生じた切屑の排出性が良好に維持されて、切屑詰まりによるチゼル部20近傍の欠損の発生が防止される。
また、チゼル交差量L2が0.20mm以下であるので、チゼル交差量L2とともにチゼルエッジ21の長さが長くなり過ぎることを抑えて、円弧状切れ刃11のR精度を良好に維持することができる。従って、被削材の加工面精度を良好に維持することができる。
また本実施形態では、チゼルエッジ21の逃げ角η、λが、一対の円弧状切れ刃11のうち、チゼルエッジ21の逃げ面13と共通の逃げ面13を有する一方の円弧状切れ刃11(11A又は11B)から、前記稜線方向に沿って他方の円弧状切れ刃11(11B又は11A)側へ向かうに従い徐々に大きくなるので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、切削加工時においてチゼルエッジ21の逃げ面13領域(チゼル部20のうち、チゼルエッジ21の工具回転方向Rとは反対側に隣接する領域)では、チゼルエッジ21の稜線方向に沿って中心軸Cからチゼルエッジ21の端縁(つまり最先端P)側へ向かうに従い、該チゼルエッジ21の逃げ角η、λは小さくなる。つまり、チゼルエッジ21のうち、切削加工時に周速(中心軸C回りの速度)がより速くなって被削材から受ける抵抗も大きくなりがちな稜線方向の端縁近傍ほど、該チゼルエッジ21の逃げ面13領域のバックメタルを大きく(厚く)確保することができ、その結果、チゼル部20の強度が高められて欠損が防止される。
またこの場合、チゼルエッジ21のすくい面領域(チゼル部20のうち、チゼルエッジ21の工具回転方向Rに隣接する領域)では、チゼルエッジ21の稜線方向に沿って中心軸Cからチゼルエッジの端縁(最先端P)側へ向かうに従い、該チゼルエッジ21のすくい角は大きくなる。つまり、チゼルエッジ21のうち、切削加工時に周速がより速くなって被削材から受ける抵抗も大きくなりがちな稜線方向の端縁近傍ほど、該チゼルエッジ21のすくい面の抵抗を小さく抑えて、加工面精度への影響を抑制することができる。
また本実施形態では、図12に示されるインサート正面視において、稜線部22と稜線部25との間に形成される角度ζが、鋭角をなしているので、切削インサート5の製造時において、チゼル部20近傍(特に凹部26)を形成する際の加工容易性が高められるとともに、切削インサート5を工具本体1の中心軸C方向の先端部2に形成されたスリット状の取付座3(インサート嵌合溝7)に装着する際に、切削インサート5の拘束面積をより広く確保することができる。
また本実施形態では、円弧状切れ刃11の先端部における逃げ角が、15°未満であるので、円弧状切れ刃11の先端部において逃げ面13領域のバックメタルを大きく確保することができ(つまり剛性を高めることができ)、該先端部の切れ刃強度が向上する。
なお、上述の作用効果をより格別なものとするには、円弧状切れ刃11の先端部における逃げ角が、11°以下であることが望ましい。
また本実施形態では、円弧状切れ刃11の最外周点Sにおけるねじれ角εが、26〜32°であるので、切屑排出性を良好に維持して切削精度を高めつつ、切削インサート5の剛性を確保できる。
具体的には、円弧状切れ刃11の最外周点Sにおけるねじれ角εが26°以上であることにより、円弧状切れ刃11の最外周点S近傍の切れ味が高められ、かつ、最外周点S近傍で切削されて生じた切屑が中心軸C方向の基端側へ向けて排出されやすくなる。従って、切屑排出性が良好に維持されるとともに、加工面精度が安定して向上する。
また、円弧状切れ刃11の最外周点Sにおけるねじれ角εが32°以下であることにより、切削加工時に切削インサート5に作用する背分力(中心軸C方向の基端側へ向けた力)が大きくなり過ぎることを抑えられ、かつ、切れ刃4のバックメタルを大きく確保できる。これにより、切削加工時において大きな背分力に起因するびびり振動などが効果的に抑制され、加工面精度を向上することができ、かつ、切削インサート5の剛性も高められて欠損や割損等を防止できる。
また本実施形態では、円弧状切れ刃11のうち工具回転方向Rへ向けて最も突出する最凸点Qが、放射角度θが30〜47°の範囲に配置されているので、切削抵抗を小さく抑えることができ、切屑排出性を良好に維持して加工面精度を高めることができる。
具体的に、円弧状切れ刃11のうち工具回転方向Rへ向けた最凸点Qが、放射角度θが30°以上の範囲に配置されているので、図10に示されるように、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う最先端Pから最凸点Qまでの領域で、軸方向すくい角が負(ネガティブ)角側に大きくなり過ぎることを防止でき、その結果、円弧状切れ刃11の先端部近傍において切削抵抗を小さく抑えることができ、かつ、切屑詰まりを抑制して切屑排出性を良好に維持することができる。
また、円弧状切れ刃11のうち工具回転方向Rへ向けた最凸点Qが、放射角度θが47°以下の範囲に配置されているので、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う最先端Pから最凸点Qまでの領域、つまり軸方向すくい角が負角となる領域を短く抑えることができ、切削抵抗の低減化に効果的である。また、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う最凸点Qから最外周点Sまでの領域、つまり軸方向すくい角が正(ポジティブ)角となる領域については長く確保することができ、切屑排出性の向上に効果的である。すなわち、円弧状切れ刃11の最凸点Qから最外周点Sまでの領域における切れ味が高められ、かつ、前記領域で切削されて生じた切屑が中心軸C方向の基端側へ向けて排出されやすくなる。従って、切屑排出性が良好に維持されるとともに、加工面精度が安定して向上される。
また本実施形態では、放射角度θが0°における放射方向すくい角δの値をαとし、放射角度θが90°における放射方向すくい角δの値をβとし、円弧状切れ刃11の工具回転方向Rへ向けた最凸点Qにおける放射方向すくい角δの値をγとすると、円弧状切れ刃11の放射方向すくい角δが、β<α≦γの関係を満たすので、被削材への食い付き性を高めてびびり振動を抑制できるとともに、加工面精度を向上でき、かつ、切れ刃強度を確保できる。
具体的に、円弧状切れ刃11の放射方向すくい角δがβ<αの関係を満たすことにより、円弧状切れ刃11の最先端P近傍での切削抵抗を小さくして被削材への食付き性を高めることができ、また、切屑の厚さが増大する円弧状切れ刃11の最外周点S近傍では十分な切れ刃強度を確保できる。
また、円弧状切れ刃11の放射方向すくい角δがα≦γの関係を満たすことにより、被削材と最初に接触する円弧状切れ刃11の工具回転方向Rの最凸点Qにおいて、切削抵抗を小さく抑えることができ、被削材への食付き性を高めてびびり振動を抑制でき、加工面精度を向上できる。
また、放射方向すくい角δの最大値は、放射角度θが20〜40°の範囲に設定されているので、本実施形態で説明したように、円弧状切れ刃11における放射方向すくい角δの最大値を、該円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う先端部近傍から最凸点Qまでの領域に配置しやすい。
詳しくは、円弧状切れ刃11は工具回転方向Rの最凸点Qで被削材と最初に接触し、その後、被削材との接触領域は該円弧状切れ刃11の刃長方向に沿って最先端P側と最外周点S側とに広がっていく。つまり、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う最凸点Qよりも最先端P側では、円弧状切れ刃11の軸方向すくい角が負角となり、最凸点Qよりも最外周点S側では、円弧状切れ刃11の軸方向すくい角が正角となる。
このため、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う先端部近傍から最凸点Qまでの領域において放射方向すくい角δが最大値(つまり最も切れ味が高められた刃先形状)とされていると、前記領域の軸方向すくい角が負角とされつつも切削抵抗は低減されて、切れ味を良好に維持することができる。
また、円弧状切れ刃11の工具回転方向Rの最凸点Qから最外周点Sにかけて放射方向すくい角δが徐々に小さくされている(連続的に減少させられている)ので、該円弧状切れ刃11において切屑の厚さが厚くなりがちな最外周点S側での刃先強度を十分に確保できる。
なお、本実施形態では、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿って最凸点Qから最外周点S側へ向かうに従い、該円弧状切れ刃11の丸ホーニングの曲率半径が徐々に小さくされている。従って上述のように、円弧状切れ刃11の最凸点Qから最外周点Sにかけて放射方向すくい角δが徐々に小さくされていても、円弧状切れ刃11の最外周点S側での切れ味についても良好に維持される。
また本実施形態では、切削インサート5の厚さ方向を向く両面のうち、切れ刃4のすくい面と同じ方向を向く面を表面とし、すくい面とは反対方向を向く面を裏面とすると、前記厚さ方向に沿う円弧状切れ刃11の最外周点Sから表面までの距離T1に対して、前記厚さ方向に沿う最外周点Sから裏面までの距離T2が大きくされているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、円弧状切れ刃11においてバックメタルが薄くなりがちな最外周点S近傍、及び外周切れ刃9近傍においても、バックメタルの肉厚を十分に大きく確保でき、切削インサート5の剛性を高めることができる。これにより、円弧状切れ刃11の最外周点S近傍及び外周切れ刃9近傍での切れ刃欠損や、切削インサート5の割損等を効果的に防止できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、切削インサート5にネジ挿通孔18が形成されているが、ネジ挿通孔18が形成されていない切削インサート5であってもよい。この場合、切削インサート5は、工具本体1の取付座3にクランプ機構等により着脱可能に装着される。
また、前述の実施形態では、円弧状切れ刃11の丸ホーニングが、該円弧状切れ刃11の刃長方向の全域にわたって形成されているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、円弧状切れ刃11の丸ホーニングは、少なくとも放射角度θが30°以下の範囲に形成されていればよい。
また、前述の実施形態では、切削インサート5の工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、チゼル部20のチゼル厚L1(mm)が、0.007×D≦L1≦0.024×Dを満たすとしたが、これに限定されるものではない。ただし、工具刃径Dに対しチゼル厚L1が上記数値範囲である場合には、被削材の加工面精度を良好に維持しつつチゼル部20近傍の耐欠損性を高められる、という効果が格別顕著なものとなり、より好ましい。チゼル部20のチゼル厚L1(mm)は、工具刃径D(mm)が6〜10mmの場合は0.013×D≦L1≦0.024×Dを満たすことがさらに好ましく、工具刃径D(mm)が10mmを超え25mm以下の場合は0.009×D≦L1≦0.017×Dを満たすことがさらに好ましく、工具刃径D(mm)が25mmを超え50mm以下の場合は0.007×D≦L1≦0.011×Dを満たすことがさらに好ましいが、これに限定されない。
なお、被削材の加工面精度を良好に維持しつつチゼル部20近傍での欠損の発生を防止できる、という上述の効果をより一層顕著なものとするためには、工具刃径Dに応じて、チゼル部20のチゼル厚L1を次のように設定することが一層好ましい。すなわち、工具刃径Dが25mmの場合、チゼル厚L1は、0.225〜0.275mmが好ましく、0.230〜0.270mmがさらに好ましく、0.235〜0.265mmがより一層好ましい。工具刃径Dが30mmの場合、チゼル厚L1は0.240〜0.280mmが好ましく、工具刃径Dが20mmの場合、チゼル厚L1は0.200〜0.240mmが好ましく、工具刃径Dが16mmの場合、チゼル厚L1は0.170〜0.210mmが好ましい。なお、工具刃径D(mm)に応じたチゼル厚L1は上記範囲に限定されない。
また、前述の実施形態では、チゼル部20のチゼル交差量L2が、0.10〜0.20mmであるとしたが、これに限定されるものではない。ただし、チゼル交差量L2が上記数値範囲である場合には、被削材の加工面精度を良好に維持しつつチゼル部20近傍での欠損の発生を防止できる、という効果が格別顕著なものとなり、より好ましい。
チゼル部20のチゼル交差量L2の範囲に加え、切削インサート5の工具刃径Dを所定の範囲に設定することにより、被削材の加工面精度を良好に維持しつつチゼル部20近傍での欠損の発生を防止できる、という上述の効果がより一層顕著なものとなる。
たとえば、工具刃径Dが8mm〜30mmの時に、チゼル交差量L2は、上記の0.10〜0.20mmが好ましく、0.12〜0.19mmがさらに好ましく、0.14〜0.18mmがより一層好ましいが、これに限定されない。
また、前述の実施形態では、図12に示されるインサート正面視において、稜線部22と稜線部25との間に形成される角度ζが、鋭角をなしているとしたが、これに限定されるものではない。
図16に示されるものは、前述の実施形態で説明した切削インサート5のチゼル部20の変形例である。この変形例では、インサート正面視において、稜線部22と稜線部25との間に形成される角度ζが、鈍角又は直角をなしている。この場合、稜線部22、25及びチゼルR部24により囲まれた凹部26(切屑排出用のポケット)の容量が大きく確保され、切屑排出性が良好に維持されて、切屑詰まりの発生が効果的に防止される。これにより、被削材の加工面精度を高めつつ、チゼル部20近傍の欠損を防止できる、という効果が格別なものとなる。
なお、図16の変形例におけるA−A断面及びB−B断面は、それぞれ図13、14と同様である。
また、前述の実施形態では、円弧状切れ刃11の先端部における逃げ角が15°未満であるとしたが、これに限定されるものではない。ただし、円弧状切れ刃11の先端部の逃げ角が上記数値範囲である場合には、該円弧状切れ刃11の先端部において逃げ面13領域のバックメタルを十分に厚くできるとともに、該先端部の切れ刃強度が格別顕著に高められることから、より好ましい。円弧状切れ刃11の先端部における逃げ角の下限値は特に限定されないが、この逃げ角を7°以上とすることが好ましい。
また、前述の実施形態では、円弧状切れ刃11の最外周点Sにおけるねじれ角εが26〜32°であるとしたが、これに限定されるものではない。ただし、円弧状切れ刃11の最外周点Sのねじれ角εが上記数値範囲である場合には、切屑排出性を良好に維持して切削精度を高めつつ切削インサート5の剛性を確保できる、という効果が格別顕著なものとなり、より好ましい。円弧状切れ刃11の最外周点Sにおけるねじれ角εは、26〜30°がさらに好ましく、26〜28°がより一層好ましいが、これに限定されない。
また、前述の実施形態では、円弧状切れ刃11のうち工具回転方向Rへ向けた最凸点Qが、放射角度θが30〜47°の範囲に配置されているとしたが、これに限定されるものではない。ただし、円弧状切れ刃11の最凸点Qが、放射角度θが30〜47°の範囲に配置された場合には、切削抵抗を小さく抑えられ、切屑排出性を良好に維持して加工面精度を高めることができる、という効果が格別顕著なものとなり、より好ましい。最凸点Qは、放射角度θが35〜47°の範囲に配置されていることがさらに好ましく、40〜47°の範囲に配置されていることがより一層好ましいが、これに限定されない。
また、前述の実施形態では、放射角度θが0°における放射方向すくい角δの値をαとし、放射角度θが90°における放射方向すくい角δの値をβとし、円弧状切れ刃11の工具回転方向Rへ向けた最凸点Qにおける放射方向すくい角δの値をγとして、円弧状切れ刃11の放射方向すくい角δが、β<α≦γの関係を満たすとしたが、これに限定されるものではない。ただし、上記関係を満たす場合には、被削材への食い付き性を高めてびびり振動を抑制でき、加工面精度を向上でき、かつ切れ刃強度を確保できる、という効果が格別顕著なものとなることから、より好ましい。
また、前述の実施形態では、放射方向すくい角δの最大値が、放射角度θが20〜40°の範囲に設定されているとしたが、これに限定されるものではない。ただし、放射方向すくい角δの最大値が、放射角度θが20〜40°の範囲に設定された場合には、該放射方向すくい角δの最大値を、円弧状切れ刃11の刃長方向に沿う先端部近傍から最凸点Qまでの領域に配置しやすくなる結果、前記領域の軸方向すくい角が負角とされつつも切削抵抗が低減されて、切れ味を良好に維持することができる、という効果が格別顕著なものとなり、より好ましい。放射方向すくい角δの最大値は、放射角度θが20〜35°の範囲に設定されていることがさらに好ましく、20〜30°の範囲に設定されていることがより一層好ましいが、これに限定されない。
また、前述の実施形態では、刃先交換式回転切削工具として、刃先交換式ボールエンドミル6を一例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、刃先交換式回転切削工具は、切削インサート5の切れ刃4として、該切削インサート5の先端外周側へ向けて凸となる円弧状の円弧状切れ刃11を少なくとも備えていればよく、外周切れ刃9の形状については限定されない。
具体的には、例えば外周切れ刃9が、円弧状切れ刃11の最外周端(最外周点)Sに接するとともに、中心軸C方向の基端側へ向かうに従い、径方向外側かつ工具回転方向Rとは反対側へ向けて延びていてもよい。この場合、外周切れ刃9の中心軸C回りの回転軌跡は、例えば、中心軸C方向の基端側へ向かうに従い徐々に拡径する円錐台(截頭円錐)状、又は、径方向外側へ膨出するテーパーバレル状をなす。よってこの場合において、刃先交換式回転切削工具は、刃先交換式テーパーボールエンドミル又は刃先交換式異形工具である。
ただし、前述の実施形態で説明したように、外周切れ刃9の中心軸C回りの回転軌跡が、円筒面状をなしていると(つまり外周切れ刃9と中心軸Cとの径方向の距離が、中心軸C方向に沿って一定とされていると)、切れ刃4の刃径(最大径)を変化させることなく再研磨代を大きく確保できることから、より好ましい。
また、切削インサート5の切れ刃4として、円弧状切れ刃11及び外周切れ刃9以外の切れ刃部分が設けられていてもよい。また、切れ刃4に外周切れ刃9が設けられていなくてもよい。
なお、前述の実施形態において、切削インサート5の基体(インサート本体15)の材質は、炭化タングステンとコバルトを含む超硬合金の他に、例えば、サーメット、高速度鋼、炭化チタン、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及びこれらの混合体からなるセラミックス、立方晶窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、多結晶ダイヤモンドあるいは立方晶窒化硼素からなる硬質相と、セラミックスや鉄族金属などの結合相とを超高圧下で焼成する超高圧焼成体を用いることも可能である。
また、工具本体1は、例えば、SKD61等の合金工具鋼で製造する場合の他、SKD61等の合金工具鋼と超硬合金とを接合し形成したものを用いることも可能である。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例1〜5として、前述の実施形態の切削インサート5を備えた刃先交換式ボールエンドミル6を用意した。また、従来の比較例1〜7として、本発明とは異なる構成の切削インサートを備えた刃先交換式ボールエンドミルを用意した。これらの刃先交換式ボールエンドミルの諸元について、下記表1に示す。
ここで、本発明の実施例1〜5、比較例1〜7に共通する構成は、円弧状切れ刃の最外周点の捩じれ角εが26°であること、円弧状切れ刃の最凸点Qの放射角度θが45°であること、円弧状切れ刃の放射方向すくい角δが、β<α≦γの関係を満たすこと、放射方向すくい角δの最大値は、放射角度θが20〜40°の範囲に設定されていることである。
切削試験の前には、各刃先交換式ボールエンドミルを用いて、新品切削インサートの円弧状切れ刃のR精度を測定した。その時の評価方法は、下記の通りとした。
測定装置:WALTER社製モデル Helicheck(登録商標) NC4型
測定位置:切削インサートの切れ刃
評価基準:所期する半球面(所定の半球面)に対して±5μmの範囲内であること
次に、各刃先交換式ボールエンドミルを用い、下記の切削条件にて、工具寿命を評価する切削試験を行った。
<切削条件>
被削材材質:SKD11、60HRC
加工形態:幅10mm×12本の溝を有する被削材表面への断続加工による走査線加工(往復)
使用機械:縦型マシニングセンタ BT50タイプ
クーラント:ドライ(エアブロー)
切削速度:Vc=314m/min
主軸回転数:n=4000min−1
1刃当たりの送り:fz=0.7mm/t
テーブル送り:Vf=5600mm/min
軸方向切込み量:ap=0.5mm
径方向切込み幅:ae=1mm
工具刃径:φ25mm
工具突出し:OH=183mm
上記の切削試験による「工具寿命」の評価については、切れ刃の欠損状態を評価することにより行った。複数(3つ以上)の切削インサートをテストし(上記の切削試験に供し)、そのうち切れ刃欠損がゼロであった場合には「良」、欠損が一部のみであった場合には「可」、欠損が多数生じた場合には「不可」とした。より詳細には、3つの切削インサートをテストし、欠損した切削インサートがなかった場合には「良」、1つ又は2つの切削インサートが欠損した場合には「可」、3つの切削インサートが欠損した場合には「不可」と評価した。
切屑排出性の評価については、上記の切削試験における切削状態を高速度カメラを用いて撮影して、そのスロー再生画像を観察することによって良否の判定を行った。詳細には、チゼルR部24に、切屑とのわずかな接触の痕跡が見られた場合には「普通」とし、チゼルR部24に、切屑との接触の痕跡が全く見られなかった場合には「良好」と判定した。
円弧状切れ刃のR精度の評価結果と切削試験(切れ刃の欠損状態と切屑排出性)の評価結果を下記表1に示す。なお、表1の「評価結果」の「判定」については、下記の基準とした。
AA…円弧状切れ刃のR精度が±5μmの範囲内であり、「工具寿命」(切れ刃の欠損状態)の評価が「良」、かつ切屑排出性の観察において切屑排出性の評価が「良好」であったもの。
A…円弧状切れ刃のR精度が±5μmの範囲内であり、「工具寿命」の評価が「良」、かつ切屑排出性の観察において評価が「普通」(標準)であったもの。
B…円弧状切れ刃のR精度が±5μmの範囲内であり、「工具寿命」の評価が「可」、かつ切屑排出性の観察において評価が「普通」(標準)であったもの。
C…円弧状切れ刃のR精度が±5μmの範囲外、「工具寿命」の評価が「不可」、又は切屑排出性の観察において評価が「不良」であったもの。
Figure 0006683261
表1の通り、実施例1〜4は評価結果がA又はBであった。つまり、円弧状切れ刃11の切れ刃陵線(刃先)の先端部の強化を達成することができ、かつ、切れ刃陵線のR精度も±5μmの範囲内に維持されて、良好な結果が得られた。
なかでも、チゼル交差量L2が0.10〜0.20mmである実施例2〜4については、耐欠損性のさらなる改善と、切れ刃陵線の先端部における切屑詰まりの発生を回避することができ、評価結果がすべてAであった。
実施例5は評価結果がAAであった。その理由は、切屑の排出性の観察において切屑排出性の評価が「良好」であり、改善効果が認められたことによる。実施例5は、評価が「A」となった実施例2の基本構成を有しつつ、さらに、切れ刃先端部における角度ζ値を鈍角である110°に設定した。従って、切屑排出用のポケット(凹部26)は、より大きな容量が確保されることになり、切屑排出性が良好に維持されて、切屑詰まりの発生が防止されたものと考えられる。実施例1〜4、比較例1〜7については、角度ζ値が鋭角の86°に設定されていたため、切屑の排出性の観察においては、実施例5よりは劣る結果となった。ただし円弧状切れ刃の先端部における切屑詰まりの発生は概ね無く、切屑排出性は普通(標準)の状態であった。
一方、比較例1〜7については、評価結果がすべてCであった。その理由は、R精度が基準値の±5μmを満たさなかったり、円弧状切れ刃の切れ刃陵線の先端部の強度が不十分で欠損が生じたりしたためである。
なお、比較例1〜3については、チゼル交差量が大きいため、円弧状切れ刃の切れ刃陵線の先端部における切屑詰まりの発生は無かった。しかし、切れ刃先端部の欠損が多数観察された。これは、切れ刃先端部の強度が不十分であったものと考えられる。
また、比較例2は、実施例3に比べてチゼル角とチゼル厚が同一であるが、大きな欠損が発生した。これは、円弧状切れ刃の丸ホーニングの曲率半径が10μmと小さいため、切れ刃陵線の先端部の強度が不十分であったものと考えられる。
また、比較例4、5については、R精度が基準値の±5μmを満たしていたが、欠損が生じた。これについても、円弧状切れ刃の丸ホーニングの曲率半径が10μmと小さいために、切れ刃陵線の先端部の強度が不十分であったものと考えられる。
また、比較例6は、R精度が±8μmとなって基準値を満たさなかった。また、比較例7は、円弧状切れ刃の切れ刃陵線の先端部の強度が不十分であり、欠損が発生した。
本発明の切削インサート及び刃先交換式回転切削工具は、高硬度材の高能率加工に使用された場合でも、加工面精度を良好に維持することができ、かつ欠損を防止して工具寿命を延長できる。従って、産業上の利用可能性を有する。
1 工具本体
2 先端部
3 取付座
4 切れ刃
5 切削インサート
6 刃先交換式ボールエンドミル(刃先交換式回転切削工具)
11 円弧状切れ刃(底切れ刃)
12 円弧状切れ刃のすくい面
13 円弧状切れ刃の逃げ面
20 チゼル部
21 チゼルエッジ
22 稜線部
23 稜線部の端縁
24 チゼルR部
25 稜線部
26 凹部
C 中心軸
F 円弧状切れ刃上の所定の点
L1 チゼル厚
L2 チゼル交差量
O 円弧中心点
P 円弧状切れ刃の最先端
Pr 基準面
Q 最凸点
R 工具回転方向
S 円弧状切れ刃の最外周点
T1、T2 距離
VL 仮想直線
VS 仮想平面
δ 放射方向すくい角(真のすくい角)
ε ねじれ角
ζ 稜線部22と稜線部25とが交差する角度
η、λ チゼルエッジの逃げ角
θ 放射角度
σ チゼル角

Claims (11)

  1. 中心軸回りに回転させられる工具本体の先端部に着脱可能に装着される板状の切削インサートであって、
    すくい面と、
    逃げ面と、
    前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線に形成された切れ刃と、を備え、
    前記切れ刃は、当該切削インサートの先端外周側へ向けて凸となる円弧状をなす円弧状切れ刃を有し、
    前記円弧状切れ刃は、前記中心軸を中心として180°回転対称に一対形成され、
    一対の前記円弧状切れ刃の各逃げ面同士の交差稜線部には、チゼル部が形成され、
    前記円弧状切れ刃上の所定の点及び前記中心軸を含む基準面に対して、前記円弧状切れ刃の円弧中心点と前記所定の点とを通る仮想直線を投影したときに、前記基準面内において前記仮想直線が前記中心軸に対して傾斜する角度を放射角度と定義して、
    前記円弧状切れ刃の刃先には、前記放射角度が少なくとも30°以下の範囲において丸ホーニングが形成され、
    前記円弧状切れ刃の刃長方向に垂直な断面における前記丸ホーニングの曲率半径は、20〜40μmであり、
    当該切削インサートを前記中心軸方向の先端から基端部へ向けて見たインサート正面視で、前記円弧状切れ刃の先端部と、前記チゼル部のチゼルエッジとの間に形成されるチゼル角が、150〜170°であり、
    前記チゼルエッジの稜線方向の両端には、一対の前記円弧状切れ刃が接続し、
    前記チゼルエッジの逃げ角は、一対の前記円弧状切れ刃のうち、前記チゼルエッジの逃げ面と共通の逃げ面を有する一方の前記円弧状切れ刃から、前記稜線方向に沿って他方の前記円弧状切れ刃側へ向かうに従い徐々に大きくなることを特徴とする切削インサート。
  2. 請求項1に記載の切削インサートであって、
    前記丸ホーニングの曲率半径が、前記円弧状切れ刃の刃長方向に沿って最先端から最外周点側へ向かうに従い徐々に小さくなることを特徴とする切削インサート。
  3. 請求項1又は2に記載の切削インサートであって、
    前記円弧状切れ刃の刃長方向の全域にわたって前記丸ホーニングが形成されていることを特徴とする切削インサート。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記切削インサートの工具刃径D(mm)が6〜50mmであり、
    前記インサート正面視で、前記円弧状切れ刃の先端部の刃長方向に垂直な前記チゼル部の幅方向に沿うチゼル厚L1(mm)が、0.007×D≦L1≦0.024×Dを満たすことを特徴とする切削インサート。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記インサート正面視で、前記チゼル部には、前記円弧状切れ刃の先端部の刃長方向に沿って前記円弧状切れ刃の延長線上を延びる直線状の稜線部が形成されており、
    前記刃長方向に沿う前記稜線部における前記円弧状切れ刃の最先端とは反対側の端縁から前記中心軸までの距離であるチゼル交差量が、0.10〜0.20mmであることを特徴とする切削インサート。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記円弧状切れ刃の先端部における逃げ角が、15°未満であることを特徴とする切削インサート。
  7. 請求項1〜5,及び7のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記円弧状切れ刃の最外周点におけるねじれ角が、26〜32°であることを特徴とする切削インサート。
  8. 請求項1〜5,7,及び8のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    前記円弧状切れ刃は、前記中心軸回りのうち工具回転方向へ向けて凸となる円弧状をなしており、
    前記円弧状切れ刃のうち前記工具回転方向へ向けて最も突出する最凸点は、前記放射角度が30〜47°の範囲に配置されることを特徴とする切削インサート。
  9. 請求項9に記載の切削インサートであって、
    前記基準面に垂直で前記仮想直線を含む仮想平面内において、前記基準面に対して前記円弧状切れ刃のすくい面が傾斜する角度である真のすくい角を、放射方向すくい角と定義して、
    前記放射角度が0°における前記放射方向すくい角は、前記放射角度が90°における前記放射方向すくい角よりも大きく、かつ、前記最凸点における前記放射方向すくい角以下であり、
    前記放射方向すくい角の最大値は、前記放射角度が20〜40°の範囲に設定され、
    前記放射方向すくい角は、前記円弧状切れ刃の前記最凸点から最外周点に向けて徐々に小さくなることを特徴とする切削インサート。
  10. 請求項1〜5,及び7〜10のいずれか一項に記載の切削インサートであって、
    当該切削インサートの厚さ方向を向く両面のうち、前記すくい面と同じ方向を向く面を表面、前記すくい面とは反対方向を向く面を裏面として、
    前記厚さ方向に沿う前記円弧状切れ刃の最外周点から前記表面までの距離に対して、前記厚さ方向に沿う前記最外周点から前記裏面までの距離が大きいことを特徴とする切削インサート。
  11. 中心軸回りに回転させられる工具本体と、
    前記工具本体の前記中心軸方向の先端部に形成された取付座と、
    前記取付座に着脱可能に装着され、切れ刃を有する切削インサートと、を備えた刃先交換式回転切削工具であって、
    前記切削インサートとして、請求項1〜5,及び7〜11のいずれか一項に記載の切削インサートを用いたことを特徴とする刃先交換式回転切削工具。
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