JP5939207B2 - 刃先交換式ボールエンドミル - Google Patents

刃先交換式ボールエンドミル Download PDF

Info

Publication number
JP5939207B2
JP5939207B2 JP2013127201A JP2013127201A JP5939207B2 JP 5939207 B2 JP5939207 B2 JP 5939207B2 JP 2013127201 A JP2013127201 A JP 2013127201A JP 2013127201 A JP2013127201 A JP 2013127201A JP 5939207 B2 JP5939207 B2 JP 5939207B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
insert
sub
cutting edge
main
blade
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013127201A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014042981A (ja
Inventor
由光 長島
由光 長島
由幸 小林
由幸 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Moldino Tool Engineering Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Hitachi Tool Engineering Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Hitachi Tool Engineering Ltd filed Critical Mitsubishi Hitachi Tool Engineering Ltd
Priority to JP2013127201A priority Critical patent/JP5939207B2/ja
Publication of JP2014042981A publication Critical patent/JP2014042981A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5939207B2 publication Critical patent/JP5939207B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、工具本体の先端部に設けたインサート取付座に、切れ刃を備えたインサートを着脱自在に装着できるようにした刃先交換式ボールエンドミル、特に、金型等の仕上げ加工において、高速、高能率、かつ加工面の表面粗さを向上させる切削加工を実施することができる刃先交換式ボールエンドミルに関するものである。
金型を製作する際には、3次元の切削加工を行う必要がある。従来から金型の切削加工を行う切削工具として、ソリッド型のボールエンドミルの他に、切れ刃を備えたインサートを着脱可能に装着した刃先交換式ボールエンドミルが用いられている。
近年、金型の寸法は大型化する傾向にあり、これに伴って金型の切削加工を行う刃先交換式ボールエンドミルには、高速、高能率、加工面の表面粗さを向上させる切削加工を可能とするとともに、切れ刃の長寿命化が要求されている。このような要求に対応するためには、下記の技術課題を改善した刃先交換式ボールエンドミルを開発する必要がある。
(1)刃先交換式ボールエンドミルの工具本体の先端部に着脱可能に、3つ以上の切れ刃を備えたインサートを着脱自在に装着して、被削材を高速、高能率に切削加工ができるとともに、仕上げ加工面の表面粗さを向上させる切削加工を行うことができるようにする。このうち、加工面の表面粗さを向上させる切削加工を行うためには、工具本体の回転中心軸近傍に配置される切れ刃の配置位置、及び切れ刃の形状やその材質について改善を行う必要がある。
(2)刃先交換式ボールエンドミルを用いた切削加工においても、工具本体の回転中心軸及びその近傍における切れ刃は、切削加工負荷が大になる。このため、工具本体の回転軸心及びその近傍の切れ刃には欠損が発生し易くなる。このような切れ刃に欠損が発生することを防止するためには、工具本体の回転中心軸及びその近傍に配置する切れ刃の構成についても改善することが望ましい。
(3)インサート取付座に装着したインサートが、切削加工中に発生する切削加工負荷によりその固定位置がズレないように、インサートをインサート取付座に装着して固定する手段の改善を行う必要がある。
上記した技術課題を改善した刃先交換式ボールエンドミルについては、例えば、下記の特許文献1〜3に記載の発明が提案されている。
特許文献1(特開昭60−85815号公報)に記載されている切削工具は、一軸の回りに回転駆動されるホルダと、このホルダに取外し可能に取付けた4つの切削チップを備えている。この切削チップは、中心に円筒穴のある円板から扇形に切り出した形状であり、そのうちの1個の切削チップは円弧の中心角が90°より大きくし、他の3個の切削チップは円弧の中心角が90°より小さくしている。そして、円弧の中心角を90°より大きくした切削チップは、ホルダの回転中心軸を越えて配置するとともに、この回転中心軸を越えて延びている部分には面取りを施して鋭角の縁を形成している。
一方、ホルダは、4つの切削チップの嵌め込み部の底部に、球を、回転中心軸上に位置するように接着により固定している。また、この球の半径は各扇形をなす切削チップの内側の円弧部の半径に等しくして、4つの切削チップを固定するための基準としている。これにより、この切削工具は、高い切削加工精度のみならず、送り速度も高い切削加工を行うことが可能になることが記載されている。
特許文献2(特開平4−275815号公報)には、刃部の製作が容易で、かつ安定した寿命の切削加工を行うことを可能とした4枚刃のボールエンドミルに関する発明が提案されている。
このボールエンドミルは、工具本体の先端部に4つの切刃を周方向へ90°位相をずらして設け、かつ切刃の材質を2種類として、各切刃はその材質が交互に異なるように工具本体の先端部にロウ付け、あるいはねじ等で固定した構成になっている。また、この2種類の材質からなる切刃は、じん性に富んだ超硬合金製の切刃と、耐摩耗性に富んだCBN焼結材製の切刃とされている。さらに、このじん性に富んだ2枚の超硬合金製の切刃は、ボール外周部から先端部の回転中心軸まで配置され(図1参照)、耐摩耗性に富んだ2枚の切刃は、ボール外周部から先端部の回転中心軸から離れた位置に配置した構成になっている。このような構成にすることにより、特許文献2に記載のボールエンドミルは、工具本体の先端部まで配置された切刃はじん性に富んだ超硬合金製の材質が用いられているので、先端部で低速切削が行われても切刃に欠損の発生を食い止めるように改善している。
特許文献3(特許第4531981号公報)には、ボールエンドミルではないがホルダの先端部(溝脚部)に回転中心軸(Z軸)方向に形成されたスリット状溝に挿入した切削インサートを、クランプネジにより確実にクランプする機構を備えた穴ぐり工具に関する発明が提案されている。
このクランプ機構は、溝脚部に設けたクランプネジ用の穴の中心軸を、回転中心軸(Z軸)と直交する面のX軸方向に対して傾斜させるとともに、切削インサートに設けた受容穴の中心軸もX方向に対して傾斜させて、切削インサートをスリット状溝に対して傾斜させて固定するようにしている。さらに、スリット状溝の底面部に設けた第1及び第2のストッパ面を設けている。特許文献3に記載の穴ぐり工具は、このようなクランプ機構を備えているので、切削インサートはクランプネジのくさび面伝動装置のような形式で協働して、ストッパ面に押圧されるので切削加工中における切削インサートに発生する振動もなくなり、優れたクランプ作用を達成することができるようにした工具である。
特開昭60−85815号公報 特開平4−275815 特許第4531981号公報
特許文献1に記載の切削工具は、刃先交換式の4枚刃からなるボールエンドミルの構成をなしているが、インサートの固定はネジと押え板による固定であるため、高速回転による高速切削時にはインサートが抜け出る可能性がある。また、インサートを固定する基準となる嵌め込み部底の球については、球とインサート内側の円弧の精度、球の接着による取り付位置の精度、接着の耐久性等を考慮すると、繰り返して交換するインサートを、その都度、高精度にその固定位置を維持するのは困難であると考えられる。
特許文献2に記載のボールエンドミルは、4枚刃の切刃のうち、じん性に富んだ2枚の超硬合金製の切刃は、ボール外周部から先端部の回転中心軸まで配置し、耐摩耗性に富んだCBN焼結材からなる2枚の切刃は、ボール外周部から先端部の回転中心軸から離れた位置に配置した構成になっている。このため、このボールエンドミルを平面切削の仕上げ加工用に使用すると、耐摩耗性に富んだCBN焼結材からなる2枚の切刃は切削加工に寄与する部分が無いか、あるいは少なくなるので、被削材の切削加工の精度(切削加工面の面粗さ)が低下する。従って、特許文献2に記載のボールエンドミルは、高速切削用には適しているが、被削材の平面切削の仕上げ加工用のボールエンドミルには適していない。
また、特許文献2に記載のボールエンドミルは、4枚の切刃を工具本体にねじで固定するときの具体的な固定手段については記載されていない。
特許文献3に記載の穴ぐり工具は、前記したように、スリット状溝に装着した切削インサートを、スリット状溝に対してクランプネジを傾斜させた方向からネジ締めにより固定する手段と、スリット状溝の底面部に設けた第1及び第2のストッパ手段を備えたクランプ機構により、切削インサートをスリット状溝内に安定した状態で固定することが可能になって穴ぐり加工の精度を向上させることができるが、このクランプ機構を、金型などを高速度で3次元加工するための刃先交換式ボールエンドミル、例えば、特に、4枚刃の切れ刃を備えた刃先交換式ボールエンドミルにそのまま適用すると、各切れ刃を工具本体に装着するための機構が極めて複雑にる。
本発明の目的は、4枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルにおいて、工具本体の先端部に主インサート、第1及び第2の副インサートをそれぞれの取付座に装着して固定するための固定機構を改善することにより、金型等の被削材の仕上げ加工を高速、高能率で行っても切れ刃の寿命を長寿命化するとともに、加工面の表面粗さを向上させることを可能とした刃先交換式ボールエンドミルを提供することにある。
本発明の請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルは、工具本体の回転中心軸方向の先端部に設けたインサート取付座に、切れ刃を有する平板形状のインサートをネジ固定手段により着脱可能に装着して、前記切れ刃が前記工具本体の先端部から突出させるようにした刃先交換式ボールエンドミルであって、
前記インサート取付座は、
前記先端部から前記回転中心軸を含みながら該回転中心軸方向に形成されたスリット状溝からなる主インサート取付座と、
前記主インサート取付座により前記工具本体の先端部が2分割されることにより構成された2つの先端半体部のうち、その一方の前記先端半体部に形成された第1の副インサート取付座と、他方の前記先端半体部に形成された第2の副インサート取付座と、を備え、
前記インサートは、
前記平板形状の2つの側面部を繋ぐ半円弧状側面部と、前記半円弧状側面部に沿って形成された半円弧状をなす主切れ刃と、前記半円弧状側面部の中央部近傍であって、前記主切れ刃と対向する前記半円弧状側面部の位置にそれぞれ形成された一対の溝部を備え、前記主インサート取付座に着脱可能に装着される主インサートと、
前記平板形状の上面部と下面部を繋ぐ円弧状側面部と、前記円弧状側面部に沿って形成された副切れ刃を備え、前記第1の副インサート取付座に着脱可能に装着される第1の副インサートと、
前記平板形状の上面部と下面部を繋ぐ円弧状側面部と、前記円弧状側面部に沿って形成された副切れ刃を備え、前記第2の副インサート取付座に着脱可能に装着される第2の副インサートと、を備え、
前記主インサート取付座に前記主インサートを、前記第1及び前記第2の副インサート取付座にそれぞれ前記第1及び第2の副インサートを装着したときに、
前記第1及び前記第2の副インサートのそれぞれの前記副切れ刃の端部であって、前記回転中心軸近傍に配置される前記端部のうちの一方の前記副切れ刃の端部は、前記主インサートに形成された前記一対の溝部のうちの一方の前記溝部に沿ってその溝部の上方から前記回転中心軸近傍まで配置され、
他方の前記副切れ刃の端部は、前記一対の溝部のうちの他方の前記溝部に沿ってその溝部の上方から前記回転中心軸近傍まで配置されている、
ことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸方向からみた正面図において、
前記主インサートの主切れ刃と、前記第1及び第2の副インサートの前記副切れ刃とがなす角度は、90度に設定されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸方向からみた正面図において、
前記主インサートの主切れ刃と、前記第1及び第2の副インサートの前記副切れ刃とがなす角度は、不等角度に設定されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸方向からみた正面図において、前記刃先交換式ボールエンドミルの刃径をD、前記回転中心軸から前記第1又は前記第2の副インサートの前記副切れ刃のうち前記溝部に沿って前記回転中心軸近傍まで配置されている前記副切れ刃の前記端部までの距離をWとしたときに、前記Wは、
0.02D(mm)≦W≦0.07D(mm)
を満足するように設定されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸に直交する方向からみた平面図において、
前記主インサートの前記主切れ刃が前記回転中心軸と交わる交差点と、前記第1又は前記第2の副インサートの前記副切れ刃の一方の端部との距離をAとしたときに、前記Aは、
0.01(mm)≦A≦0.15(mm)
を満足するように設定されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記主インサートの前記主切れ刃は、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を含む硬質焼結体から構成されていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記第1及び前記第2の副インサートの前記副切れ刃は、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を含む硬質焼結体から構成されていることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、請求項3に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記不等角度は、87.5°〜92.5°の範囲に設定されていることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記主インサート取付座に前記主インサートを、前記第1及び前記第2の副インサート取付座にそれぞれ前記第1及び第2の副インサートを装着したときに、
前記主インサートと、前記第1及び第2の副インサートとは、非接触に配置されていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミルに係り、前記平板形状の上面部と下面部を繋ぐ円弧状側面部と、前記円弧状側面部に沿って形成された副切れ刃を備えた前記第1の副インサートと前記第2の副インサートは、前記副切れ刃の先端と対向する前記円弧状側面部の位置に形成された切欠面を備え、それぞれ前記第1の副インサート取付座と、前記第2の副インサート取付座に着脱可能に装着されていることを特徴としている。
本発明は、半円弧状をなす主切れ刃を備えた半円弧状側面部を備えるとともに、この半円弧状側面部の中央部近傍であって、この主切れ刃と対向するようにこの半円弧状側面部の位置に一対の溝部を形成した主インサートと、円弧状の副切れ刃が形成された2つの副インサートを備えた、4枚刃を有する刃先交換式ボールエンドミルとされている。そして、主インサートの一方の溝部に沿ってその溝部上方側に、一方の円弧状の副切れ刃の端部が配置され、主インサートの他方の溝部に沿ってその溝部上方側に、他方の円弧状の副切れ刃の端部が配置される構成にしている。これにより、2つの副インサートのそれぞれが備えている副切れ刃の端部のうち、回転中心軸近傍に配置されたこの切れ刃の端部間の間隔を小さくすることが可能になるので、被削材に高速度の平面切削加工を実施しても、その加工面の面粗さを向上させることが可能になるとともに、4枚の切れ刃を長寿命化することが可能になる。
4枚の切れ刃を不等間隔で配置することにより、被削材に高速度の平面切削加工を実施しても、切削加工時に発生する振動が共振してビビリ振動の発生を抑制するので、4枚の切れ刃を長寿命化することが可能になる。
また、4枚の切れ刃を構成する主切れ刃と副切れ刃の一方、又は双方を、耐摩耗性と耐熱性に優れた部材である立方晶窒化硼素焼結体(CBN)から構成することにより、4枚の切れ刃をさらに長寿命化することが可能になる。
本発明に係る刃先交換式ボールエンドミルの実施形態について、インサートを装着していないときの工具本体を示す平面図である。 図1に示す工具本体について、回転中心軸方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図である。 図1に示す工具本体の先端部の構成を拡大して示した部分平面図である。 図1に示す工具本体に、インサートを装着した本発明に係る刃先交換式ボールエンドミルを示す平面図である。 図4に示す刃先交換式ボールエンドミルについて、回転中心軸方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図である。 図4に示す刃先交換式ボールエンドミルについて、先端部の構成を拡大して示した平面図である。 図5に示す主インサートの構成例を示す図であって、(a)は主インサートの平面図、(b)は(a)に示す主のインサートについて、紙面の左側方向から見たときの半円弧状側面部の構成を示す正面図、(c)は(a)に示すX−X線に沿った断面の形状を示す断面図、(d)は(a)に示す直線Oに沿った断面の形状を示す断面図である。 図5に示す第1の副インサート(第2の副インサート)の構成例を示す図であって、(a)は第1の副インサート(第2の副インサート)の平面図、(b)は(a)に示す副インサートについて、紙面の左側方向から見たときの円弧状側面部の構成を示す正面図、(c)は(a)に示す副インサートを円弧状側面部の方向からみたときの側面図である。 図4に示す主インサート固定用ネジの構成を示す正面図である。 図5に示す第1(第2)の副インサート固定用ネジの構成を示す正面図である。 本発明の刃先交換式ボールエンドミルにおいて、主インサートと第1及び第2の副インサートを工具本体に装着したときに、これら主インサートと第1及び第2の副インサートが備えている切れ刃の配置の位置関係を説明するための図であって、(a)は工具本体の先端部の斜視図、(b)は(a)に示す図から主インサートと第1及び第2の副インサートのみについてそれぞれの切れ刃の位置関係を示す図、(c)は(a)及び(b)に丸印で示す回転中心軸の近傍部分について、その構成を説明するための平面図における拡大図である。 図11(c)に示す工具本体の先端部の構成について、回転中心軸方向からみた正面図における拡大図である。 切削加工を実施したときの切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、(a)は本発明の刃先交換式ボールエンドミルの主インサートの主切れ刃を示し、(b)は同じく本発明の刃先交換式ボールエンドミルの第1の副インサートの副切れ刃を示し、(c)は従来例の2枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルの切れ刃を示す。 本発明における別の実施形態の刃先交換式ボールエンドミルについて、回転中心軸方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図である。 図14に示す第1の副インサート(第2の副インサート)の構成例を示す図であって、副インサートについて円弧状側面部の構成を示す正面図である。 図14に示す第1の副インサート(第2の副インサート)の構成例を示す図であって、副インサートを円弧状側面部の方向からみたときの側面図である。 本発明における別の実施例の刃先交換式ボールエンドミルについて、主インサートと第1及び第2の副インサートを工具本体に装着したときに、これら主インサートと第1及び第2の副インサートが備えている切れ刃の配置の位置関係を説明するための図であって、回転中心軸の近傍部分について、その構成を説明するための平面図における拡大図である。 本発明における第4の実施形態であり、切削加工を実施したときの切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、工具本体の先端部の構成を示す。 図18に示す切削加工を実施したときの切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、本発明の刃先交換式ボールエンドミルの主インサートの主切れ刃を示す。 図18に示す切削加工を実施したときの切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、本発明の刃先交換式ボールエンドミルの第1の副インサートの副切れ刃を示す。 図18に示す切削加工を実施したときの切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、本発明の刃先交換式ボールエンドミルの第2の副インサートの副切れ刃を示す。
以下、図面に基づいて本発明に係る刃先交換式ボールエンドミルの実施形態について説明する。
(工具本体の構成)
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態となる刃先交換式ボールエンドミル1について、インサートを装着していないときの工具本体2の構成を示す図であって、図1は工具本体2の平面図、図2は工具本体2を回転中心軸O方向からみたときの先端部の構成を拡大して示した正面図、図3は図1に示す工具本体2を回転中心軸Oに対して90°異なる方向からみたときの先端部の構成を示す平面図である。
工具本体2は、例えば、SKD61等の合金工具鋼から製造されており、その回転中心軸O方向の一方の先端は、回転中心軸O方向に突出する略半球状、平面視では半円弧状又は略半円弧状をなす先端部3を備えている。先端部3には、後述する切れ刃を備えたインサートを、ネジ固定手段により着脱可能に固定するためのインサート取付座が形成されている。工具本体2の回転中心軸O方向の他方の端部側は、刃先交換式ボールエンドミル1をNC制御手段を備えた3次元加工装置等に取り付けるためのシャンク部とされている。
工具本体2の先端部3に形成されているインサート取付座の構成例を、図2及び図3に基づいて説明する。図2(図3)に示すように、インサート取付座は3つの取付座、すなわち、主インサート取付座4と、第1の副インサート取付座5と、第2の副インサート取付座6とを備えている。
主インサート取付座4は、半円弧状の切れ刃を備えた主インサート12(図5、図6、図7参照)を装着して固定するための取付座になる。主インサート取付座4は、図3に示すように、工具本体2の先端部3から回転中心軸Oを含んで先端部3を工具本体2の径方向に貫通するとともに、回転中心軸Oを含んでシャンク部方向に所定の深さを有するスリット形状をなすスリット状溝7から構成されている。以下の説明において、この「スリット状溝7」は主インサート取付座4を示している。
図3に示すように、スリット状溝7は、先端部3の最先端から回転中心軸O方向であって工具本体2の後方に向けて互いに平行になるように対向して形成された側面壁7a、7bと、スリット状溝7の底となる底部7cから構成されている。また、スリット状溝7の深さ方向の中心線は、回転中心軸Oと一致している。
なお、スリット状溝7(主インサート取付座4)の回転中心軸O方向の深さS1は、後述する主インサート12の長さa(図7(a)に示す直線O方向の長さ)より若干小さく、スリット状溝7の幅S2は、主インサート12の厚さt1(図7(c)参照)とほぼ同一になるように形成されている。また、図3において、スリット状溝7が回転中心軸Oと直交する方向(紙面と垂直方向)の幅は、図7(a)に示す主インサート12の半円弧状側面部12cの半円弧形状に追従するように半円弧形状に変化し、その半円弧の径は主インサート12の半円弧状側面部12cに形成した主切れ刃12iの半円弧の径T(図7(a)参照)より若干小さくなっている。
工具本体2の先端部3の最先端から回転中心軸O方向に延びるスリット状溝7からなる主インサート取付座4を設けたことにより、工具本体2の先端部3は2つに分割され、図3に示すように、先端部3には先端半体部3aと先端半体部3bが形成されることになる。
図3に示すように、一方の先端半体部3aの表面部から他方の先端半体部3bに向けて主インサート固定用ネジ穴8が形成されている。このネジ穴8は、主インサート取付座4(スリット状溝7)に装着された主インサート12を、主インサート固定用ネジ9(図9参照)により固定するためのネジ穴になる。なお、主インサート固定用ネジ穴8は、一方の先端半体部3aを貫通し、スリット状溝7を介して他方の先端半体部3bの内部まで所定の深さを有するように形成されているとともに、主インサート固定用ネジ穴8の中心線の向き(図2に示す直線O)は、回転中心軸Oに対して傾斜するように形成されている。先端部半体3bの内部に設けたネジ穴8には、主インサート固定用ネジ9のネジ部9e(図9参照)とネジ嵌合するためのネジ山が刻設されている。
上記した第1の副インサート取付座5は、図2に示すように、先端半体部3aと先端半体部3bのうちの一方の球面状をなす表面部に形成され、第2の副インサート取付座6は、先端半体部3aと先端半体部3bのうちの他方の球面状をなす表面部に形成されている。第1及び第2の副インサート取付座5、6は、第1及び第2の副インサート13、14の底面を、それぞれネジ固定手段により着脱可能に固定するための着座面5a、6aを備えている。これらの着座面5a、6aは、それぞれ先端部3の最先端方向に向かって形成され、それぞれ第1及び第2の副インサート13、14をネジ固定手段となる副インサート固定用ネジ15、16により固定するためのネジ挿通穴5b、6bが刻設されている。図2、図3に示す10、11は切屑排出溝(「チップポケット」とも呼ばれている)である。
(刃先交換式ボールエンドミルの構成)
図4〜図6は、図1に示す工具本体2が備えている主インサート取付座4に主インサート12を装着し、第1及び第2の副インサート取付座5、6にそれぞれ第1の副インサート13、第2の副インサート14を装着したとき、すなわち、本発明の第1の実施形態となる刃先交換式ボールエンドミル1の構成を示す図である。
なお、図4は刃先交換式ボールエンドミル1の平面図、図5は図4に示す刃先交換式ボールエンドミル1を回転中心軸O方向からみたときの先端部の構成、特に、主インサート12と第1及び第2の副インサート13、14との位置関係を拡大して示した正面図、図6は図4に示す刃先交換式ボールエンドミル1を回転中心軸Oに対して90°異なる方向からみたときに、先端部3の構成を拡大して示した部分平面図である。
上記した主インサート12、第1の副インサート13、第2の副インサート14を装着した刃先交換式ボールエンドミル1においては、これら装着した各インサートが備えている半円弧状、又は1/4円弧状をなす切れ刃は、工具本体2の先端部3から外側に突出するように固定されている。なお、上記した「半円弧状」とは半円の円周もしくは半円の円周に近い形状を示し、「1/4円弧状」とは1/4円の円周もしくは1/4円の円周に近い形状を示す。以下の説明において、単に「円弧状」と記載したときには、1/4円の円周もしくは1/4円の円周に近い形状を示している。
図4〜図6に示すように、主インサート取付座4を構成するスリット状溝7に装着された主インサート12は、ネジ固定手段となる第1の固定用ネジ9を用いたネジ締め付けにより固定される。また、第1の副インサート取付座5に装着された第1の副インサート13は、副インサート固定用ネジ15(図10参照)を用いたネジ締めにより固定され、さらに第2の副インサート取付座6に装着された第2の副インサート14は、副インサート固定用ネジ16(図10参照)を用いたネジ締め付けにより固定される。なお、副インサート固定用ネジ15と16は、同一仕様のネジを使用する。
主インサート取付座4に主インサート12を装着したときには、図5(図6)に示すように、主インサート12が備えている半円弧状をなす主切れ刃12iの円弧の中心点は、回転中心軸O上に位置させる。以下の記載において、この主切れ刃12iの円弧の中心点が回転中心軸Oと交差する点を「交差点P(又は連結点P)」と記載する場合がある。なお、この交差点Pは、各インサート12、13、14を装着した刃先交換式ボールエンドミルにおいては、回転中心軸O方向の最下点になる。また、円弧状をなす主切れ刃12iは、円弧状の切れ刃12eと12fとが連結(交差)点Pにおいて一体に接続された半円弧状の切れ刃を構成している。
図4〜図6に示す刃先交換式ボールエンドミル1の実施形態では、主インサート12が備えている円弧状の切れ刃12iを構成する円弧状の切れ刃12eと12f、第1及び第2の副インサート13、14が備えている円弧状の副切れ刃13g、14gとは、図5に示すように、回転中心軸Oを中心として隣接する切れ刃どうしはその交差角度δがそれぞれ90°の角度、すなわち、等間隔の角度でこれら4枚の切れ刃を配置した例を示している。なお、後述するが、本発明の刃先交換式ボールエンドミル1においては、これら4枚の切れ刃を不等間隔の角度(不等角度)で配置してもよい。
本発明の刃先交換式ボールエンドミル1が備えている特徴は、4枚刃の切れ刃を備えた刃先交換式ボールエンドミル1を用いて、被削材に高速度の仕上げの切削加工を実施しても、これら切れ刃の長寿命化を図り、かつ、切削加工面の面粗さを向上させるための構成を備えていることにある。この構成を実現するために、本発明は、従来の半円弧状の主切れ刃を1枚備えている2枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルを改善して、主切れ刃と2枚の副切れ刃を備え、かつ、2枚の副切れ刃について回転中心軸O近傍に配置されるこれら副切れ刃の端部間の距離(間隔)L(図12参照)が極力小さくなるように、主インサートに対する副インサートの副切れ刃の装着の位置関係、すなわち、2つの副インサートが備えているそれぞれの副切れ刃の配置の位置関係を改良したことにある。
上記した主インサート12の主切れ刃12iと、第1及び第2の副インサート13、14の副切れ刃13g、14gの装着時の位置関係を改善するために、主インサート12は、図5(又は図7)に示すように、半円弧状の主切れ刃12iを形成している主インサート12の半円弧状側面部12cに、一対の溝部12h1と12h2を形成した構成としている。
この一対の溝部12h1と12h2は、半円弧状側面部12cの中央部近傍であって、主切れ刃12iを挟むように、すなわち、主切れ刃12iと対向する半円弧状側面部12cの位置にそれぞれ形成されている。なお、上記した「半円弧状側面部12cの中央部」とは、主インサート12を主インサート取付座4の装着したときに、半円弧状側面部12cが回転中心軸Oと交差する点、すなわち、前記した交差点Pであって、この交差点Pは半円弧状の主切れ刃12iの中点になる。
そして、主インサート取付座4と、第1及び第2の副インサート取付座5、6に、主インサート12、第1及び第2の副インサート13、14をそれぞれ装着したときには、図12に示すように、第1及び第2の副インサート13、14の端部(端面部)13h、14hは、それぞれ溝部12h2、12h1に突入(進入)した状態にしている。
この突入した状態においては、これら一対の溝部12h1、12h2のうちの一方の溝部の上方側に沿って、第1又は第2の副インサート13、14のそれぞれの円弧状副切れ刃13g、14gの端部のうち、回転中心軸Oの近傍に配置される一方の端部13g1を配置するとともに、この円弧状副切れ刃13gの端部13g1を回転中心軸Oの近傍まで配設し、さらに、一対の溝部12h1、12h2のうちの他方の溝部の上方側に沿って、円弧状副切れ刃13g、14gの端部であって、回転中心軸Oの近傍に配置される他方の端部14g1を配設し、さらにこの円弧状副切れ刃14gの端部14g1を回転中心軸Oの近傍まで配設した構成にしている。
図5(図11、図12)に示す例においては、主インサート12に設けた一対の溝部12h1、12h2のうちの溝部12h1の上方側に沿って、第2の副インサート14の円弧状副切れ刃14gの端部14g1が配設され、溝部12h2の上方側に沿って、第1の副インサート13の円弧状副切れ刃13gの端部13g1が配設されている例を示している。すなわち、円弧状副切れ刃13gの端部13g1と、円弧状副切れ刃14gの端部14g1とを、交差点Pを介して、この交差点Pと対称となる位置であって主切れ刃12i方向に互いにより近接させた構成としたことを示している。
本発明の刃先交換式ボールエンドミル1においては、各インサートを工具本体2に装着したときに、主インサート12の半円弧状の主切れ刃12iと、第1及び第2の副インサート13、14の円弧状副切れ刃13g、14gの配置の位置関係を上記のような構成にすることにより、これら副切れ刃の端部13g1、14g1は接近してその端部間の距離L(図12参照)を小さくすることができる。
ここで、図12に示す距離Wは、回転中心軸Oと、第1の副インサート13(又は第2の副インサート14)の円弧状副切れ刃13g(又は14g)の回転中心軸Oの近傍に配置された切れ刃の端部13g1(又は14g1)との、工具本体2の半径方向の距離を示し、第1及び第2の副インサート13、14のそれぞれの端部13g1と14g1と回転中心軸O(交差点P)とは、平面視で一つの直線上に存在している。
そして、上記した距離Lは、上記距離Wの値の2倍と考えることができる。即ち、距離Lは、工具本体2の先端部3を、回転中心軸O方向から見た正面図において、第1の副インサート13の円弧状副切れ刃13gのうち溝部12h2に配置されている副切れ刃13gの端部の13g1から、第2の副インサート14の円弧状副切れ刃14gのうち溝部12h1に配置されている副切れ刃14gの端部の14g1までの、回転中心軸Oに直交する方向に沿った距離である。
このように、本発明の4枚刃を備えた刃先交換式ボールエンドミルにおいて、上記距離Lを小さくするための構成を備えたことにより、金型などの被削材に高速の平面切削の仕上げ加工を行っても、4枚の切れ刃を備えていることによりこれら切れ刃の長寿命化を可能にし、さらに、上記した円弧状副切れ刃の端部13g1と14g1との間隔を小さくしたことにより、加工面の面粗さを向上させることが可能になる。
なお、上記した主インサート12の主切れ刃12iと、第1及び第2の副インサート13、14の円弧状副切れ刃13g、14gの端部13g1、14g1との位置関係の詳細については後述する。
(主インサートの構成)
続いて、主インサート12の構成を、図7を参照して説明する。図7(a)は主インサート12について一方の側面部の構成を示す平面図、図7(b)は図7(a)に示す主インサート12について、紙面の左側から見たときの半円弧状側面部の構成を示す正面図、図7(c)は図7(a)に示すX−X線における断面図、図7(d)は図7(a)に示す直線Oに沿った断面図である。主インサート12の材質は、例えば、炭化タングステン(WC)とコバルト(Co)を含む超硬合金(以下、「WC基超硬合金」という)からなる一体構造として製造することができる。
主インサート12は、2つの側面部となる平面状の側面部12a(以下、「一方の側面部12a」と記載する場合がある)と、平面状の側面部12b(以下、「他方の側面部12b」と記載する場合がある)を備え、厚さt1を有する平板状の形状(平面形状)をなしている。そして、主インサート12は、一方の側面部12aと他方の側面部12bとを繋ぐ側面であって半円弧又は略半円弧をなす半円弧状側面部12cと、この半円弧状側面部12cの両端部を連結する側面となる平面状側面部12dと、半円弧状側面部12cに沿って形成された円弧状をなす円弧状切れ刃12e、12fと、一方の側面部12aから他方の側面部12bに向けて傾斜して貫通する傾斜ネジ挿通穴12gと、半円弧状側面部12cに形成された前記一対の溝部12h1と12h2を備えている。なお、上記した円弧状切れ刃12eと円弧状切れ刃12fとは、前記した連結点Pを介して一体に接続され、主インサート12の半円弧状をなす主切れ刃12iを構成している。
図7(a)に示すように、半円弧状をなす主切れ刃12iの稜線は、この半円弧の中心となる点Q1(半円弧の中心Q1)から半径Tの半円弧を呈するように形成されている。そして、主インサート12を主インサート取付座4に装着して、工具本体2を回転中心軸Oを中心として回転させたときには、切れ刃12fと12eから構成される半円弧状の主切れ刃12iの回転軌跡は、半径Tの半球(半円弧)状の回転軌跡を描くことになる。
なお、図7(a)に示す直線Oは、上記した連結点Pと、半円弧状の主切れ刃12iの半円弧の中心点Q1とを繋ぐ直線であり、主インサート12を主インサート取付座4に装着したときには回転中心軸Oと一致する。
主切れ刃12iは、図7(b)に示すように正面視では直線状の形状、もしくは、図示していないが、回転中心軸Oと交差する「S字形」の形状をなしている。なお、半円弧状の主切れ刃12iは、連結点Pを介して一体になった円弧状の切れ刃12fと12eから構成されているので、主インサート12は2枚の切れ刃(ボール刃)を備えているとみなすことがでる。従って、本発明の刃先交換式ボールエンドミルは、さらに、2枚の円弧状副切れ刃13gと14gを備えているので、4枚の切れ刃(ボール刃)を備えていることになる。
前記したように、主インサート12は一対の溝部12h1と12h2を備えている。図7(a)及び(b)に示す例では、溝部12h1は、連結点Pの近傍であって、主切れ刃12iから所定の距離を設けた側面部12a側の半円弧状側面部12cに形成している。同様に、溝部12h2は、連結点Pの近傍であって、主切れ刃12iから所定の距離を設けた側面部12b側の半円弧状側面部12cに形成している。そして、図7(a)及び(b)に示すように、溝部12h1と12h2は、傾斜した底部(以下、「傾斜面」という)12jを備えるとともに、主切れ刃12i上の連結点Pに対して対称となる位置であって、半円弧状側面部12c上に沿って形成している。
また、図7(a)、(b)に示すように、溝部12h1(12h2)の深さf(インサート12の厚さ方向の深さ)、すなわち、側面部12a(側面部12b)から傾斜面12jまでの深さfを有し、さらに所定の溝幅mと傾斜ネジ挿通穴12g方向に所定の溝長さnを有するように形成している。また、図7(d)に示すように、傾斜面12jは半円弧状側面部12cから側面部12a(側面部12b)の傾斜ネジ挿通穴12g方向に向かって上り(下り)傾斜する平面状をなすように形成している。
なお、上記傾斜面12jを形成していることにより、溝部12h1(12h2)の深さfの最大値は、主インサート12の厚さt1の25%〜40%(0.25t1〜0.40t1)程度として、溝部12h1(12h2)の傾斜面12jが半円弧状側面部12c上において主切れ刃12iに達しないようにするとともに、溝部12h1(12h2)近傍の主インサート12の強度が低下しないようにしている。
また、図7(a)においては、溝部12h1(12h2)は、側面部12a(側面部12b)の半円弧状外周面から傾斜ネジ挿通穴12g方向に所定の長さnを有するように形成し、その長さnが傾斜ネジ挿通穴12g方向に向かうにつれて深さfを減少させるように傾斜面12jを形成して主インサート12の剛性(強度)が低下しないようにしている。
このように溝部12h1(12h2)は、図7(a)に示すように正面視において所定の形状を有し、かつ、図5に示すように、第1及び第2の副インサート13、14の回転中心軸O近傍に配置される第1及び第2の副インサートの端部13h、14hの副切れ刃13g、14gの一方の端部13g1、14g1とその近傍が、溝部12h2、12h1に沿ってこれら溝部の上方側にそれぞれ入り込むほどの幅mと、長さnと、深さfを備えている。
ここで、溝部12h1(12h2)の幅m、長さn、深さfの各値は、主インサート12の剛性を低下させないようにその厚さt1を考慮して適切に設定する必要がある。
図7(d)は、主インサート12を主インサート12の中心線O(図7(a)参照)に沿って連結点Pを通る断面を示す図である。そして、図7(d)に示すKは、溝部12h1(12h2)の傾斜面12jと主インサート12の側面部12a(12b)とがなす角度、(溝部12h1(12h2)の傾斜角度K)を示している。本発明において、この傾斜角度Kは、「20°≦傾斜角度K≦30°」の範囲に設定することが好ましい。
傾斜角度Kを上記の範囲に設定した方が好ましい理由は次の通りである。K値が20°より小さい場合には、主インサート12の連結点Pの近傍が薄肉になるので、主切れ刃12iの耐欠損性が劣化する不具合が生じ、30°を超えると第1及び第2の副インサート13、14の円弧状副切れ刃の端部13g1(14g1)の回転中心軸O近傍における形状を鋭く尖らせなければならず、円弧状副切れ刃13g、14gの薄肉化によって耐欠損性が劣化する不具合があるからである。
図7(c)に示すように、主インサート12は一方の側面部12aから他方の側面部12bに向けて傾斜して貫通するように形成された傾斜ネジ挿通穴12gを備えている。この傾斜ネジ挿通穴12gの向き、すなわち、傾斜ネジ挿通穴12gの中心軸を通る直線Oの向きは、直線Oに対して角度αほど傾斜させている。なお、直線Oは側面部12a(側面部12b)に対して直交する直線である。
そして、傾斜ネジ挿通穴12gの内周面には仕上げ加工を施した内周面部12g1を形成している。この内周面部12g1はその内径がd1になるように仕上げ加工が施されている。この仕上げ加工が施された内周面部12g1は、主インサート12に設けている傾斜ネジ挿通穴12gに主インサート固定ネジ9を挿通して主インサート12を主インサート取付座4に装着したときに、主インサート固定ネジ9の仕上げ加工を施した外周面部9c(図9参照)と密に係合させるために設けたものである。この内周面部12g1の仕上げ加工方法などについては後述する。
なお、主インサート12を主インサート取付座4に装着して主インサート固定用ネジ9により固定したときに、主インサート12の傾斜ネジ挿通穴12gと工具本体2に設けた主インサート固定用ネジ穴8(図2に点線で示している)の向きは、図2に示すように、ともに、主インサート取付座4となるスリット状溝7が工具本体2の半径方向に向かう直線Oと直交する直線Oに対して、工具本体2の回転方向R(図5参照)とは逆方向に角度θ(角度α)ほど傾斜させた方向になるようにしている。なお、この角度θは前記した角度αと等しい値になる。
このように、主インサート固定用ネジ穴8の向きを角度θ(角度α)ほど傾斜させると、第1及び第2の副インサート13、14を、それぞれ副インサート固定ネジ15、16により第1及び第2の副インサート取付座5、6に安定した状態で装着して固定するためのスペースを、先端半体部3a、3bに確保することができる。また、これにより、刃先交換式ボールエンドミル1を4枚刃から構成して、高速切削加工を安定して実施することができる構成とすることが可能になる。
上記した第1及び第2の副インサート13、14を、それぞれ第1及び第2の副インサート取付座5、6に装着するための十分なスペースを確保した4枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルの構成にするためには、角度θ(角度α)は、20°≦角度θ(角度α)≦40°の範囲に設定することが望ましい。なお、角度θ(角度α)は、20°≦角度θ(角度α)≦30°の範囲に設定することがより好ましい。
また、上記した主インサート12において、半円弧状側面部12cに形成している半円弧状をなす主切れ刃12iの中心角β(図7(a)参照)は、β≧180°に設定し、さらに、この角度βの上限値は210°程度に設定することが望ましい。なお、中心角βが180°を超えるということは、図7(a)に示す半円弧状をなす主切れ刃12iがX−X線を超えて紙面の右方向に延長して形成された主切れ刃12iの延長部分を備えていることを示している。そして、主切れ刃12iの延長部分の切れ刃は、直線Oと平行な直線状の形状にするか、もしくは半円弧状をなす主切れ刃12iをそのまま円弧状に延長した形状にするとよい。
このように、主切れ刃12iの中心角βが180°を超えた略半円弧状をなすように形成しておくと、例えば、金型のキャビティー部の立ち壁の仕上げの切削加工を行うときに、切削加工機の数値制御により、下り方向の切削加工は中心角βが180°以内の主切れ刃12iの部分を用い、上り方向の切削加工は中心角βが180°を超えた主切れ刃12iの延長部分の切れ刃を用いて切削加工を行うことが可能になる。これにより、刃先交換式ボールエンドミル1の上下方向の往復移動の制御に追従させながら切削加工を行うことが可能になるので、切削加工の高効率化を達成することが可能になる。
なお、中心角βの値が210°を超えると、主インサート12が長手方向(直線O方向)に長くなってその形状が大きくなるためコスト増、又は主インサート取付座4に主インサート12を装着するときの基準面となる平面状側面部12dの長さが短くなるため、主インサート12の繰り返しの装着精度が悪くなる。従って、中心角βの上限値は210°程度に設定することが望ましい。
さらに、主インサート12の平面状側面部12dは、この主インサート12を主インサート取付座4に装着して固定するときに、スリット状溝7の底部7cと密着して主インサート12の位置合わせを行うための基準面としての機能を果たすので、平面状側面部12dには仕上げ加工を施しておくようにする。
また、上記した平面状側面部12dを、例えば、側面視で凸状のV形、又は凸状のU形状をなす形状とし、スリット状溝7の底部7cの形状はこのV形又はU形に対応する形状にして、主インサート12を主インサート取付座4に装着したときの装着精度の向上、及び切削加工中における主インサート12の位置ズレの防止を図るようにしてもよい。
(主インサートの製造方法)
続いて、主インサート12の製造方法について説明する。WC基超硬合金製の主インサート12は、例えば、次の手順(1)〜(4)に基づいて製造することができる。
(手順1):
炭化タングステン粉末とコバルト粉末と、必要に応じて添加物を加えて作製した混合造粒粉末をプレス金型成形により、主インサート12の成形体を成形する。この金型成形時に、傾斜ネジ挿通穴12gの原形となる傾斜穴を形成するようにする。なお、成形体を焼結すると20%〜30%収縮するので、この成形体の傾斜穴の径は、傾斜ネジ挿通穴12gの径より大きくし、さらに、傾斜穴の研削仕上げ代を加味した径を有するようにする。
(手順2):
続いて、プレス金型成形により成形した主インサート12の成形体を、所定の温度(1300℃〜1400℃程度)に加熱した加熱炉に装入して焼結を行う。
(手順3):
続いて、焼結した主インサート12の成形体について、3次元研削加工機などを用いて必要とする各部位に仕上げ加工を行う。この仕上げ加工としては、例えば、次の(3a)から(3c)に記載の加工を実施する。
(3a)上記傾斜穴の内周面に、ダイヤモンド砥粒を有する砥石を用いた研削加工、バフ研磨加工、あるいはホーニング加工のいずれか又はこれらを併用した加工により、仕上げ加工を実施した内周面部12g1を形成する。この内周面の仕上げ加工は、傾斜穴の内周面の全面に行ってもよいが、傾斜穴の中央部を含む内周面について、傾斜穴方向に所定の長さの内周面全面に実施するようにしてもよい。
なお、上記した傾斜穴の中央部を含む内周面の所定の長さの内周面について仕上げ加工を行う場合には、主インサート12の成形体を焼結したときの形状であって仕上げ加工を実施しない内周面(傾斜穴の開口部から中央部方向への所定の長さの内周面)の径は、仕上げ加工を行う内周面の径より大きくなるようにする。
この傾斜穴の内周面の仕上げ加工においては、研削砥石の砥粒の材質、その粒度、及び加工処理時間を適切に設定することによって、仕上げ加工を施した内周面部12g1の面粗さRza値を、例えば、表面粗さRzで1.0μm以下になるようにする。
なお、上記仕上げ加工が完了した内周面部12g1の内径は、例えば、刃先交換式ボールエンドミルの工具径(刃径)が20mmの場合には3.5mm、工具径が30mmの場合には5.0mmを目標として設定するようにする。
(3b)焼結した主インサート12の半円弧状側面部12cに形成されている主切れ刃12iを構成する円弧状切れ刃12e、12fについて、ダイヤモンド砥粒を有する回転砥石を用いて仕上げ加工を行う。また、平面状側面部12dにも仕上げ加工を行う。
(3c)焼結した主インサート12について、溝部12h1と12h2を形成する。溝部12h1と溝部12h2の形成は、例えば、ダイヤモンド砥粒を有する回転砥石を用いた研削加工により実施する。
(手順4):
仕上げ加工が完了した主インサート12について、傾斜ネジ挿通穴12gを除いた表面に、耐摩耗性と耐熱性を付与するための被膜をコーティングする。この被膜の材質は、例えば、Ti−Al系窒化物、Ti−Si系窒化物、Ti−B系窒化物などからなる被膜のいずれかとし、例えば、PVD法により被膜を形成する。
(主インサート固定用ネジの構成)
続いて、主インサート固定用ネジ9の構成を、図9に基づいて説明する。主インサート固定用ネジ9は、主インサート12を主インサート取付座4にネジ締め付けにより装着・固定するためのネジ固定手段である。
図9に示すように、主インサート固定用ネジ9は、その上端部にネジ頭部9aが形成され、ネジ頭部9aから下方に向かって、第1円柱部9b、内径がd2の外周面部9c、第2円柱部9d、外周面にネジ山を刻設したネジ部9eを備えている。外周面部9cには仕上げ加工が施されている。
外周面部9cの仕上げ加工は、前記した主インサート12の内周面部12g1に仕上げ加工を施す方法と同様の方法、例えば、ダイヤモンド砥粒を有する円筒型の研削砥石を用いて実施すことができる。そして、仕上げ加工を施した外周面部9cの表面粗さを(Rzb)としたときに、この表面粗さ(Rzb)は、表面粗さRzで1.5μm〜3.5μm程度の仕上げ加工面を有するようにして、前記した主インサート12の傾斜ネジ挿通穴12gに形成した内周面部12g1の表面粗さ(Rza)であるRz=1.0μm以下より粗くなるようにする。
前記したように、本発明の刃先交換式ボールエンドミル1は、傾斜ネジ挿通穴12gが形成された主インサート12を備えている。主インサート12を主インサート取付座4に装着して、主インサート固定用ネジ9により主インサート取付座4に固定したときには、主インサート固定用ネジ9は回転中心軸Oに対して斜め方向から締め付けられて主インサート12を固定する。そして、主インサート12が主インサート取付座4に固定された状態においては、主インサート固定用ネジ9の仕上げ加工を施した外周面部9cは、主インサート12の仕上げ加工を施した内周面部12g1と密に係合し、主インサート12を主インサート取付座4に強固に固定するようにしている。
なお、上記したように主インサート固定用ネジ9の外周面部9cの表面粗さを、主インサート12の傾斜ネジ挿通穴12gに形成した内周面部12g1の表面粗さより粗くする理由は、下記の通りである。
第1の理由は、両者の表面粗さを異にすることにより、工具本体2に主インサート12を主インサート固定用ネジ9で固定するときに、ネジ締め締付けにより接触する両者の間に生じる摩擦力を下げることができるからである。
第2の理由は、鋼製の主インサート固定用ネジ9の外周面部9cに、高品位に研削加工やラップ加工等を行うと主インサート固定用ネジ9がコスト高になる。このため、外周面部9cは適度な表面粗さを有するように研削加工を施した仕上げ加工面とし、WC基超硬合金製の主インサート12に設けた傾斜ネジ挿通穴12gの内周面部12g1を高品位に研削加工やラップ加工を施した仕上げ加工面を形成して、摩耗し難い超硬合金製の主インサート12側に、密に係合させるための表面粗さの精度基準をおいた方が日々の被削材の加工精度の管理がやり易くなるからである。
(主インサート固定用ネジの製造方法)
主インサート固定用ネジ9の製造は、SKD61等の合金工具鋼製の棒材(線材)から、プレス加工及び旋盤加工によりネジ頭部9a、第1円柱部9b、外周面部9c、第2円柱部9d、ネジ部9eを形成した後に、ダイヤモンド砥粒を有する砥石を用いた機械研磨加工等により、外周面部9cの全外周面に仕上げ加工を行う。なお、仕上げ加工を施した外周面部9cの外径d2は、主インサート12の仕上げ加工を施した内周面部12g1の内径d1(図7(c)参照)より3μm〜10μm程度と僅かに小さくする。これにより、主インサート12に設けている傾斜ネジ挿通穴12gの内周面部12g1内に主インサート固定用ネジ9の外周面部9cが挿入されたときに、内周面部12g1と外周面部9cは密に係合して接触することになる。
(第1の副インサートの構成)
続いて、第1の副インサート13の構成を図8に基づいて説明する。図8(a)は第1の副インサート13について上面部の構成を示す平面図であって、ボールエンドミル1の先端部3に装着したときの装着位置と関連付けして図示している。図8(b)は図8(a)に示す第1の副インサート13を紙面の左側から見たときの円弧状側面部の構成を示す正面図、図8(c)は図8(a)に示す第1の副インサート13を紙面の下方から見たときの円弧状側面部の側面図である。なお、本発明においては、第2の副インサート14は第1の副インサート13と同一の構成とすることができるので、図8に記載している符号に対応する各部位の構成は第2の副インサート14にそのまま適用できる。従って、第2の副インサート14の構成の説明は省略する。
第1の副インサート13は厚さt2を有する平板状の形状(平面形状)をなし、その上面となる上面部13aと、下面(底面)となる下面部13bを有している。これら上面部13aと下面部13bとを繋ぐ側面には、円弧形状をなす円弧状側面部13cと、第1の平面状側面部13dと、第2の平面状側面部13eが形成されている。さらに、上面部13aから下面部13bまで貫通して形成されたネジ挿通穴13fを備え、円弧状側面部13cには、中心をQ2とした半径Tの円弧状副切れ刃13gが形成されている。半径Tは、主インサート12に形成されている半円弧状の主切れ刃12iの半径Tと同一である。また、半径Tの円弧状副切れ刃13gは、中心をQ2として、中心角γ1を有する円弧をなしている。
第1の副インサート13をボールエンドミル1に装着したときには、図8(a)に示すように、円弧状副切れ刃13gは、回転中心軸O近傍の13g1(一方の端部)から先端部3の外周面側の近傍位置となる13g2(他方の端部)まで配置される。図8(a)に示す例では、中心角γ1をなす円弧状副切れ刃13gは円弧状副切れ刃13gの一方の端部13g1から13g3まで形成され、さらに、この13g3点から円弧状副切れ刃13gの他方の端部13g2までは直線状の切れ刃を形成した例を示している。そして、この直線状の切れ刃は、13g3点における円弧状副切れ刃13gの接線に対して角度γ2のバックテーパー角度をなすように形成した例を示している。なお、円弧状副切れ刃13gは、中心点Q2を中心として、一方の端部13g1から他方の端部13g2まで中心角γをなす円弧状切れ刃としてもよい。
そして、円弧状副切れ刃13g(上記直線状の切れ刃を含む)がなす中心角γは、86°≦中心角γ≦110°の範囲に設定することが望ましい。なお、上記中心角γとは、上記Q2点を中心として円弧状副切れ刃13g(14g)の一方の端部13g1(14g1)と他方の端部13g2(14g2)とがなす角度を示す。
第1の副インサート13の下面部13bは、第1の副インサート13を第1の副インサート取付座5に装着するときに、第1の副インサート取付座5の着座面5aに密着させる底面になる。また、ネジ挿通穴13fは、第1の副インサート13を第1の副インサート取付座5に装着するときに、ネジ固定手段となる第1の副インサート固定用ネジ15を挿通させるための挿通穴であって、このネジ挿通穴13fは、上面部13a(下面部13b)に対して垂直方向に形成されている。
上記したように、第2の副インサート14の構成は、第1の副インサート13と同一の構成とすることが望ましい。
WC基超硬合金からなる第1及び第2の副インサート13、14を製造する方法は、前記した主インサート12の製造方法とほぼ同一であるが、ネジ挿通穴13f(14f)の内周面には仕上げ加工を施した仕上げ内周面部を必ずしも設ける必要はない。
前記したように本発明の刃先交換式ボールエンドミル1においては、工具本体2に主インサート12、第1及び第2の副インサート13、14を装着したときには、図12(図11(b))に示す例のように、第1の副インサート13の副切れ刃13gの一方の端部であって、回転中心軸Oの近傍に配置される端部13g1を、主インサート12に設けた一方の溝部12h2に沿ってその溝部12h2の上方から前記回転中心軸O近傍まで配置している。さらに、第2の副インサート14の副切れ刃14gの一方の端部であって、回転中心軸Oの近傍に配置される端部14g1を、主インサート12に設けた他方の溝部12h1に沿ってその溝部12h1の上方から前記回転中心軸O近傍まで配置している。これにより、副切れ刃13g、14gの端部13g1と端部14g1との間隔Lを極力小さくなるようにしている。
このような構成にするためには、図8(a)に示す中心角γ、すなわち、第1の副インサート13(第2の副インサート14)に形成されている円弧状の副切れ刃13g(14g)の中心角γを、前記したように「86°≦中心角γ≦110°」の範囲に設定することが望ましい。
上記した中心角γを「86°≦中心角γ≦110°」の範囲に設定することが望ましい理由は、次の通りである。
第1の副インサート13を第1の副インサート取付座5に装着したときに、円弧状副切れ刃13gの一方の端部13g1を主インサート12に形成した溝部12h2に沿ってその溝部12h2の上方から前記回転中心軸O近傍まで配置させるためには、中心角γを86°以上に設定することが望ましい。一方、先端半体部3aに第1の副インサート取付座5を形成するためのスペースには制限が生じるので中心角γの上限値は110°以下に設定することが望ましいからである。
なお、第1及び第2の副インサート13、14は、円弧状副切れ刃13g、14gを除いた本体部分(基体)をWC基超硬合金製とし、円弧状副切れ刃13g、14gを耐摩耗性と耐熱性に優れた立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を含む硬質焼結体から構成してもよい。この構成については後述する。
(第1の副インサート固定用ネジの構成)
第1の副インサート固定用ネジ15の構成を図10に示している。第1の副インサート固定用ネジ15は、ネジ頭部15aと、円柱部15bと、ネジ部15cを備えている。第1の副インサート13を第1の副インサート取付座5に装着するときに、この第1の副インサート固定用ネジ15を第1の副インサート13に設けたネジ挿通穴13f内を挿通させて締付けることにより、ネジ部15cは第1の副インサート取付座5に設けたネジ挿通穴5b(図2参照)にネジ込まれる。これにより、第1の副インサート13は、第1の副インサート取付座5に強固に固定される。
なお、第2の固定用ネジ15の製造方法は、前記した第1の固定用ネジ9と同様に、SKD61等の合金工具鋼製の棒材(線材)から、プレス加工、ネジ加工等を用いて製造することができる。
また、上記したように第2の副インサート14は第1の副インサート13と同一の構成にすることができるので、第2の副インサート14を第2の副インサート取付座6に装着して固定するための第2の副インサート固定用ネジ16は、前記した第1の副インサート固定用ネジ15を用いることができる。
(工具本体に装着した各インサートの配置位置)
続いて、工具本体2に主インサート12、第1及び第2の副インサート13、14を、それぞれのインサート取付座4、5、6に装着する手順の概要と、この装着操作が終了したときに、本発明の特徴となる各インサートの配置の位置関係を、図11に基づいて説明する。
なお、図11(a)は各インサート12、13、14を装着したときの工具本体2の先端部3の斜視図、図11(b)は図11(a)に示す主インサート12と第1及び第2の副インサート13,14のそれぞれの切れ刃の位置関係を示し、工具本体2の先端部3の構成を削除した図、図11(c)は図11(a)及び図11(b)に点線の円形Yで示す回転中心軸Oの近傍部分について、その構成を説明するための拡大図である。
工具本体2に、主インサート12と第1及び第2の副インサート13、14を装着したときには、図11(a)、(b)に示すように、回転中心軸O近傍に配置される第1及び第2の副インサート13、14の端部とその近傍は、それぞれ主インサート12の溝部12h2、12h1の上方側に沿って回転中心軸O近傍に入り込んだ状態になっている。
各インサートをそれぞれのインサート取付座に装着する手順は、例えば、次の装着手順1〜4に基づいて行うことができる。
(装着手順1):
主インサート12を工具本体2の先端部3に設けた主インサート取付座4に挿入する。続いて、主インサート固定用ネジ9を、先端半体部3aに設けた主インサート固定用ネジ穴8を介して主インサート12に設けた傾斜ネジ挿通穴12gを通挿させて、主インサート12の仮止めを行う。このとき、主インサート12に形成されている半円弧状側面部12は、図11(a)に示すように、工具本体2の先端部3から回転中心軸O方向に突出する。これにより、半円弧状側面部12cに沿って形成されている半円弧状をなす主切れ刃12iも工具本体2の先端部3から突出することになる。
(装着手順2):
第1の副インサート13の下面部13bを、工具本体2の先端部3に設けた第1の副インサート取付座5の着座面5aに載置して、第1の副インサート固定用ネジ15を用いて第1の副インサート13の仮止めを行う。このとき、第1の副インサート13に形成されている円弧状副切れ刃13gは、工具本体2の先端部3から突出するとともに、回転中心軸Oの近傍に配置された第1の副インサート13の端部13hは、図12に示すように、主インサート12に形成されている一方の溝部12h2に沿って回転中心軸O近傍に入り込み、円弧状副切れ刃13gの一方の端部13g1は溝部12h2に沿ってこの溝部12h2の上方側に配置されるようする。
上記した第1の副インサート13の端部13hが溝部12h2に沿って回転中心軸O近傍に入り込んだ状態においては、円弧状副切れ刃13gの回転中心軸Oの近傍に配置された切れ刃の端部13g1とその近傍の切れ刃は、溝部12h2に沿ってこの溝部12h2の上方側に配置されていることになる。さらに、第1の副インサート13の一方の端部13g1が溝部12h2に沿って回転中心軸O近傍に入り込んだ状態になったときには、この第1の副インサート13の端部13h(図8(a)、図12参照)を含むその近傍部分は主インサート12と接触しないように、第1の副インサート13を第1の副インサート取付座5に仮止めを行う。これにより、第1の副インサート13の第1の平面状側面部13dの端部とその近傍も、溝部12h2の傾斜面12jと接触していない状態、すなわち、第1の副インサート13は主インサート12と非接触の状態になっている。
(装着手順3):
第2の副インサート14の下面部14bを、工具本体2の先端部3に設けた第2の副インサート取付座6の着座面6aに載置して、第2の副インサート固定用ネジ16を用いて第2の副インサート14の仮止めを行う。このとき、第2の副インサート14に形成されている円弧状副切れ刃14gは、工具本体2の先端部3から突出するとともに、回転中心軸Oの近傍に配置された第2の副インサート14の端部14hは、図12に示すように、主インサート12に形成されている他方の溝部12h1内に入り込み、円弧状副切れ刃14gの一方の端部14g1は溝部12h1沿ってこの溝部12h1の上方側に配置されるようする。
上記した第2の副インサート14の端部14hが溝部12h1に沿って回転中心軸O近傍に入り込んだ状態においては、円弧状副切れ刃14gの回転中心軸Oの近傍に配置された切れ刃の一方の端部14g1とその近傍の切れ刃は、溝部12h1に沿って上方側に配置されていることになる。さらに、第2の副インサート14の一方の端部14g1が溝部12h1に沿って回転中心軸O近傍に入り込んだ状態になったときには、この第2の副インサート14の端部14h(図12参照)を含むその近傍部分は主インサート12と接触しないように、第2の副インサート14を第2の副インサート取付座6に仮止めを行う。これにより、第2の副インサート14の第1の平面状側面部14dの端部とその近傍も、溝部12h1の傾斜面12jと接触していない状態、すなわち、第2の副インサート14は主インサート12と非接触の状態になっている。
(装着手順4):
上記装着手順1〜3に基づいて仮止めした主インサート12、第1及び第2の副インサート13、14について、これらインサートの位置決め精度と、図12に示す距離Wの値が所定の設定値(又は所定の範囲内)になっているか否かを、画像処理を用いた測定装置により測定して判定する。そして、所定の設定値になっていることが確認されると、上記した各固定用ネジ9、15、16を所定のトルク値まで増し締めを行って、主インサート12、第1及び第2の副インサート13、14をそれぞれのインサート取付座4、5、6に強固に固定する。
なお、距離Wの測定の代わりに、回転中心軸Oの近傍に配置された第1及び第2の副インサート13、14の円弧状副切れ刃13gと14gについてその端部13g1と14g1間の距離L(L値はW値の2倍)の値が所定の設定値(又は所定の範囲内)になっているか否かを測定装置により測定してもよい。
上記装着手順4により、各インサート12、13、14をそれぞれのインサート取付座4、5、6に装着して固定したときには、前記したように、第1及び第2の副インサート13、14の端部13h、14hを含むその近傍部分は主インサート12と接触しない状態、すなわち、両者(第1及び第2の副インサートと主インサート)間には微小な隙間を介在させて非接触の状態になるようにしている。これにより、切削加工時に主インサート12に微小な振動が発生しても、この振動は主インサート12を介して直接に副インサート13、14に伝達されることがない、という効果を生じる。また、切削加工時に第1及び第2の副インサート13、14に微小な振動が発生しても、この振動は主インサート12に伝達されることを防止できる。
なお、上記非接触の状態を確保するための隙間は少なくとも10〜30μm程度設けるようにする。
上記した4枚刃から構成される本発明の刃先交換式ボールエンドミル1を用いて、高速度で被削材に平面切削の仕上げ加工を実施しても切れ刃の長寿命化を可能とし、さらに、加工面の面粗さを向上させるためには、上記した距離W、又は距離Lを可能な限り小さくすればよい。しかし、距離Wを小さくし過ぎると、主インサート12の半円弧状側面部12cの連結点P近傍の厚さが減少する。これにより、連結点P近傍の主切れ刃12iの剛性が低下して、切削加工中に、主インサート12及び第1及び第2の副インサート13、14の切れ刃に早期摩耗、あるいはチッピングが発生する可能性が生じる。
そこで、本発明に係る刃先交換式ボールエンドミル1を試作して、切削加工の実験を行った結果、本発明の刃先交換式ボールエンドミル1において上記した距離Wは、この刃先交換式ボールエンドミル1の刃径をD(mm)としたときに、下記の式(数式1)を満足するように設定している。
距離Wを上記(数式1)を満足するように設定した理由は、次の通りである。本発明は、主として刃径Dが20mm〜32mmの刃先交換式ボールエンドミルに適用される。距離Wを0.02D未満になるように設定することについては製造技術上の限界があり、距離Wの下限値は0.02Dが限界である。一方、距離Wが0.07Dを超えると、回転中心軸Oと、第1の副インサート13(又は第2の副インサート14)の円弧状副切れ刃13g(又は14g)の端部13g1(又は14g1)との間の距離W、すなわち、回転中心軸O近傍に円弧状副切れ刃13g(又は14g)が存在しない間隔が大きくなり、この間隔に相当する部分は主インサート12の主切れ刃12iのみが切削加工に寄与することになる。このため、平面切削を行った場合に、主インサート12の主切れ刃12iの摩耗が早くなって切れ刃の寿命が低下するからである。
本発明の刃先交換式ボールエンドミル1は、上記(数式1)を満足するような構成にしているので、主インサート12の主切れ刃12i上の連結点Pと、第1の副インサート13の円弧状副切れ刃13gの回転中心軸O近傍に配置されたこの切れ刃の端部13g1とには、図11(c)に示すように、回転中心軸Oに直交する平面に対して、距離Aを有する段差が生じることになる。このことは、交差点Pは円弧状副切れ刃13gの端部13g1に対して、回転中心軸Oの外側方向(紙面の上方)に距離Aほど突出していることを意味する。
同様に、主インサート12の主切れ刃12iの交差点Pと、第2の副インサート14の円弧状副切れ刃14gの回転中心軸O近傍に配置されたこの切れ刃の端部14g1とについても、距離Aを有する段差が生じている。
上記距離Aの値は可能な限り小さい値にした方が、被削材に平面切削加工を実施した場合の加工面の面粗さは向上する。本発明の刃先交換式ボールエンドミルにおいてこの距離Aの値は、刃先交換式ボールエンドミルの刃径Dの大きさとは関連させないで、下記の式(数式2)を満足するように設定していることに特徴がある。
上記式(数式2)に示すように、距離Aの値を刃先交換式ボールエンドミルの刃径Dに関連させないで、絶対値の範囲として設定した理由は、被削材に平面加工を実施するときに、刃先交換式ボールエンドミルの刃径Dの大きさが変わっても加工後の加工面の表面粗さをほぼ同一にするためである。
また、距離Aの値を、上記(数式2)を満足するように設定した理由は次の通りである。距離Aの値は可能な限り小さい値にした方が、被削材に平面切削加工を実施したときの加工面の面粗さは向上する。しかし、主インサート12、第1及び第2の副インサート13、14をそれぞれのインサート取付座4、5、6に精度高く装着・固定して、距離Aの値を可能な限り小さい値に設定することについては製造技術上の限界があり、距離Aの下限値は0.01mmが限界である。一方、距離Aの値が0.15mmを超えると、被削材に仕上げ加工として平面の切削加工を行ったときに加工面の表面粗さ(Ry値)が15μmを超えて大きくなる可能性があるからである。特に金型に仕上げの切削加工を施した場合には、加工面の面粗さとなる(Ry値)は15μm以下にすることが要求される。従って、段差Aの値は、「0.01(mm)≦A≦0.15(mm)」を満足するように設定することが望ましい。
(第2の実施形態)
上記した4枚刃から構成される本発明の刃先交換式ボールエンドミル1の実施形態(第1の実施形態)については、主インサート12に形成されている半円弧状の主切れ刃12iを構成する円弧状切れ刃12eと12fと、第1及び第2の副インサート13、14に形成されている円弧状副切れ刃13g、14gを、回転中心軸Oを中心とした交差角度δを90°間隔、すなわち、隣接する主切れ刃12i(円弧状切れ刃12eと12f)と、円弧状副切れ刃とを90°の等角度(等間隔)で配置した例について説明した。
硬度が高い被削材を高速度で切削加工を行うと、切削加工時に発生する振動が共振してビビリ振動が発生し易くなり、このビビリ振動が切削加工に悪影響を与えて切れ刃にチッピングや欠損が発生する可能性がある。従来から多数個のインサートを螺旋状に配置したラフティングエンドミル、あるいはソリッド型のボールエンドミルにおいては、切れ刃を不等角度(不等間隔)で配置する例も提案されている。
本発明の4枚刃から構成される刃先交換式ボールエンドミルにおいても、主インサート12に形成されている主切れ刃12i(円弧状切れ刃12eと12f)と、第1及び第2の副インサート13、14に形成されている円弧状副切れ刃13g、14gについて、回転方向Rに隣接する切れ刃どうしが回転軸心Oから外周方向になす角度(δ)を、不等角度で配置して、切削加工時に発生する振動が共振して刃先交換式ボールエンドミルにビビリ振動が発生することを抑制する構成としてもよい。
なお、上記した各切れ刃を不等角度で配置するためには、例えば、第1及び第2の副インサート13、14を装着する第1の副インサート取付座5、及び第1の副インサート取付座6に設けている着座面5a、6aの回転中心軸O方向に向く角度等を適切に設定することにより可能になる。
本発明の刃先交換式ボールエンドミル1について、切れ刃を不等角度で配置する回転軸心Oを中心として隣接する半円弧状の主切れ刃12iと第1の副インサート13(第2の副インサート14)に形成されている円弧状副切れ刃13g(14g)とがなす角度δ(交差角度δ)を、「87.5°≦δ≦92.5°」(但し、δ=90°は除く)の範囲内において不等角度とすることが望ましい。
例えば、4枚の切れ刃を不等角度で配置する場合には、図5に示すように隣接する主切れ刃となる円弧状切れ刃12eと副切れ刃となる円弧状副切れ刃13gとがなす角度と、主切れ刃となる円弧状切れ刃12fと副切れ刃となる円弧状副切れ刃14gとがなす角度とを87、5°とし、主切れ刃となる円弧状切れ刃12eと副切れ刃となる円弧状副切れ刃14gとがなす角度と、主切れ刃となる円弧状切れ刃12fと副切れ刃となる円弧状副切れ刃13gとがなす角度とを92.5°とする。この場合は回転中心軸Oを中心とした対角を等しくなるよう設定した例を示す。
また、円弧状切れ刃12eと円弧状副切れ刃14gとがなす角度、円弧状切れ刃12fと円弧状副切れ刃14gとがなす角度、円弧状切れ刃12eと円弧状副切れ刃13gとがなす角度、円弧状切れ刃12fと副切れ刃となる円弧状副切れ刃13gとがなす角度を、「87.5°≦δ≦92.5°」を満足する範囲内でそれぞれ異なる角度値に設定してもよい。
交差角度δを「87.5°≦δ≦92.5°」を満足するように設定することが望ましい理由は次の通りである。交差角度δを87.5°より小さい角度に、あるいは92.5°を超えた角度に設定すると、隣接する主切れ刃と円弧状副切れ刃との交差角度の差が大きくなるので、切削加工中において、各切れ刃が被削材に順次切り込むときの切削抵抗に差が生じて、ビビリ振動が発生する可能性が高くなるからである。従って、交差角度δは「87.5°≦δ≦92.5°」に設定することが望ましい。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、前記した第1の実施形態において、WC基超硬合金製の主インサート12が備えている半円弧状の主切れ刃12iと、第1及び第2の副インサート13、14が備えている円弧状切れ刃13gと14gについて、そのいずれか又は双方の切れ刃を、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)から構成された切れ刃(以下、「CBN製の切れ刃」という)とした刃先交換式ボールエンドミルである。なお、CBN製の切れ刃は、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を質量比で95%程度含む部材を用いることが好ましい。
この第3の実施形態においては、次の3種の態様(第1の態様〜第3の態様)を備えた刃先交換式ボールエンドミルを製作することができる。
(第1の態様):
主インサート12が備えている主切れ刃12iをCBN製の切れ刃とし、第1及び第2の副インサート13、14が備えている円弧状切れ刃13g、14gは第1の実施形態と同様にWC基超硬合金製とする。
(第2の態様):
主インサート12が備えている主切れ刃12iは第1の実施形態と同様にWC基超硬合金製とし、第1及び第2の副インサート13、14が備えている円弧状切れ刃13g、14gはCBN製の切れ刃とする。
(第3の態様):
主インサート12が備えている主切れ刃12iと、第1及び第2の副インサート13、14が備えている円弧状切れ刃13g、14gのいずれもCBN製の切れ刃とする。
上記第1〜第3の態様において、インサートの切れ刃をCBN製の切れ刃から構成する場合には、そのインサートの本体(基体)はWC基超硬合金製とする。そして、主インサート12についてはWC基超硬合金製の基体の半円弧状側面部12cに沿って、第1及び第2の副インサート13、14についてはWC基超硬合金製の基体の円弧状側面部13c、14cに沿って、半円弧状あるいは円弧状に形成されたCBN製の切れ刃をロウ付けにより強固に接合する。
第3の実施形態において、主インサートの主切れ刃12iと、副インサートの円弧状切れ刃13g、14gのいずれか、又は双方をCBN製の切れ刃から構成すると、次の効果を発揮することができる。
立方晶窒化硼素焼結体(CBN)は、特に耐摩耗性と耐熱性に優れた部材であるので、本発明の刃先交換式ボールエンドミルの切れ刃を長寿命化することが可能になる。特に、ボールエンドミルにおいては、切削加工中において回転中心軸O上の切れ刃、及び回転中心軸O近傍の切れ刃は、その回転速度が0、もしくは0に近くなるので、この切れ刃の部分に大きな切削加工負荷が作用する。半円弧状の主切れ刃12iと円弧状の副切れ刃13gと14gについて、その一方又は双方をCBN製の切れ刃とすることにより、被削材に高速度で仕上げ加工を実施しても、特に、回転中心軸O上の切れ刃、及び回転中心軸O近傍の切れ刃の早期摩耗やチッピング、欠損の発生を防止することが可能になる。
主インサート12の半円弧状の主切れ刃12iと、第1及び第2の副インサート13、14の円弧状副切れ刃13g、14gをCBN製の切れ刃から構成する方法(形成方法)は、ほぼ同じ方法により行うことができる。主インサート12の半円弧状の主切れ刃12iをCBN製の切れ刃で形成する方法は、例えば、次の形成方法1〜形成方法3により実施することができる。
(形成方法1):
WC基超硬合金からなる主インサート12の基体に形成されている半円弧状側面部12cの周面に沿って、予め、V形状又はU型状等の溝を作製しておく。この半円弧状側面部12cの周面に沿った溝の形成は、前記した主インサート12の製造方法で記載したように、主インサート12の成形体をプレス金型成形で成形するときに形成することができる。そして、プレス成形体を焼結した後に、焼き肌面となっているこの溝の全側面部を、ダイヤモンド砥粒を含む砥石などを用いて仕上げ加工を実施する。
(形成方法2):
予め、円盤状に成形されている立方晶窒化硼素焼結体について、ワイーヤーカットによって半円弧形状で所定の幅を有する立方晶窒化硼素焼結体(以下、「半円弧状CBN体」という)を切り出す。この切り出した半円弧状CBN体の一つがCBN製の主切れ刃12iに相当する部材になる。
(形成方法3):
上記形成方法1で記載した、主インサート12の基体の半円弧状側面部12cの周面に沿って形成したV形状又はU形状の溝に、上記形成方法2で切り出した半円弧状CBN体を、ロウ材を用い、熱処理によって固着する。続いて、半円弧状側面部12cに沿って固着した半円弧状CBN体からなる切れ刃を、ダイヤモンド砥石により仕上げ加工を施す。これにより、CBN製の主切れ刃12iを備えた主インサート12を製造することができる。なお、半円弧状側面部12cに沿って固着された半円弧状CBN体の仕上げ加工が終了したときには、この半円弧状CBN体は主切れ刃12iを構成するので、この半円弧形状をなすCBN製の切れ刃の半径は、図7(a)に示す半径Tと同一にする必要がある。
第1及び第2の副インサート13、14の円弧状副切れ刃13g、14gをCBN製の切れ刃から構成する方法は、上記した形成方法1〜3とほぼ同様な方法を採用することができる。
(第4の実施形態)
本発明は、半円弧状をなす主切れ刃を備えた1つの主インサートと、円弧状の副切れ刃を備えた2つの副インサートによって、4枚刃を有する刃先交換式ボールエンドミルとなっている。そして、主インサートの切れ刃先端には、対向する位置に溝部を有することによって、2つの副インサートのそれぞれが備えている副切れ刃の端部との位置関係において、回転中心軸近傍に配置された、これらの切れ刃の端部間の間隔を小さくすることが可能となっている。
本発明の第4の実施形態は、前記した第1から第3の実施形態において、WC基超硬合金製の第1及び第2の副インサートがそれぞれ、円弧状の副切れ刃の先端と対向する円弧状側面部の位置に、切欠面13i、14iを備えている刃先交換式ボールエンドミルである。
第4の実施形態は、第1及び第2の副インサート取付座に装着する第1及び第2の副インサートについて、副切れ刃の先端と対向する円弧状側面部の位置に切欠面を備えることによって、回転中心軸近傍における空隙空間を広げることにより、切屑の排出性を改善することができる。従って、被削材に高速度の平面切削加工を実施しても、加工面の面粗さを更に向上させることが可能になるとともに、4枚の切れ刃を長寿命化を達成することが可能になる。
第4の実施形態に係る刃先交換式ボールエンドミルの構成例、及び第1及び第2の副インサートの構成例を、図14から図17に示している。図14は第4の実施形態の刃先交換式ボールエンドミルを回転中心軸O方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図、図15は図14に示す第1の副インサート13について円弧状側面部の構成を示す正面図、図16は図14に示す第1の副インサート13について、円弧状側面部の方向からみたときの側面図、図17は主インサート12と第1及び第2の副インサート13、14を工具本体2に装着したときの、切れ刃の配置の位置関係を示す図である。
第1の副インサート13に設けた切欠面13iの構成を、図15を参照して説明する。図15に示すように、切欠面13iは、第1の副インサート13を第1の副インサート取付座5に装着したときに、切れ刃13gの回転中心軸O側の端部であって、切れ刃13gから下面部13b方向に若干の距離を設けた位置から下面部13b方向に所定の幅と長さを有する切り欠け面である。この切欠面13iは、第1の副インサート13を第1の副インサート取付座5に装着したときには、図14(図18)に示すように、回転方向Rに対して後方側に傾斜し、所定の幅m2と長さn2を有する平面として形成している。
第2の副インサート14についても切欠面14iを設けており、この切欠面14iも、第1の副インサート13と同様に所定の幅m2と長さn2を有している。
第1及び第2の副インサート13、14に切欠面13i、14iを設けた第4の実施形態においては、図14(図17、図18)に示すように、図5に示す第1の実施形態と比較して回転中心軸O近傍における空隙空間が広くなり、かつ、切欠面13i、14iは回転方向Rに対して後方側に傾斜した面をなしているので、切屑の排出性を改善する効果が生じる。
ここで、第1、第2の副インサート切欠面13i、14iの幅m2値、長さn2値の各値は、副インサートの剛性を低下させないようにその厚さt2値を考慮して適切に設定する必要がある。図15に示すK2値は、切欠面13i(14i)と副インサートの下面部13b(14b)とがなす角度、(切欠面の傾斜角度K2)を示している。本発明において、この傾斜角度K2は、「35°≦傾斜角度K2≦37°」の範囲に設定することが好ましい。また、切欠面の幅m2(mm)値は、「0.6≦m2≦1.0」の範囲に、長さn2(mm)値を「2.5≦n2≦3.1」の範囲に設定することが好ましい。
本発明の第4の実施形態では、副インサートの厚みt2値を3.6(mm)、切欠面の幅m2値を0.94(mm)、長さn2値を3.0(mm)、傾斜角度K2値を36(度)に設定して形成した。ここで、傾斜角度K2値を上記の範囲に設定した方が好ましい理由は次の通りである。K2値が35°より小さい場合には、副インサート先端の切欠部が小さいために、回転中心軸近傍における空隙空間を十分に広げることができないという不具合が生じ、37°を超えると、副切れ刃の先端部が薄肉化によって耐欠損性が劣化する不具合があるからである。
(形成方法):
WC基超硬合金からなる副インサートの基体に形成されている切欠面13i、14iの形成は、前記したインサートの製造方法で記載したように、成形体をプレス金型成形で成形するときに形成することができる。或いは、プレス成形体を焼結した後に、焼き肌面となっている面を、ダイヤモンド砥粒を含む砥石などを用いて仕上げ加工を実施することもできる。
(実施例1)
本発明例となる4枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミル(以下、「本発明例1」という)を作製して、材質がFCD550(HB:220)からなる被削材について、立ち壁の切削加工を、切削距離が200mとなるまで実施した後に各切れ刃の摩耗状況を観察してそのVBmaxを求めた。また、比較例として従来の2枚刃からなるボールエンドミル(以下、「比較例1」という)も作製して同様の平面の切削加工を実施した。切れ刃の摩耗状況を観察して、そのVBmaxを求めた。
実施例1に用いた本発明例1と比較例1の刃先交換式ボールエンドミルの仕様は表1に示す通りである。なお、本発明例1の4枚刃の切れ刃は、その交差角度δを90°の等角度とした。
実施例1で実施した切削加工の条件は下記の通りである。なお、本発明例1のテーブル送り速度(Vf)は、10800mm/min、比較例1の送り速度(Vf)は、5400mm/min、の条件とし、両者の1刃当りの送り量(fz)は、0.22mm/刃で同じ条件に設定した。
加工方法 : 乾式切削
切削速度(Vc) : 1130m/min
回転数(n) : 12000min−1
1刃当りの送り量(fz): 0.22mm/刃
軸方向切込み量(ap) : 0.15mm
径方向切込み量(ae) : 0.5mm
工具突き出し量 : 110mm
実施例1の切削加工の結果を図13に示している。図13(a)は本発明例1の主切れ刃12iの摩耗状況を示す写真図であって、VBmaxは0.028mmであった。図13(b)は本発明例1の円弧状副切れ刃13gの摩耗状況を示す写真図であって、VBmaxは0.021mmであった。図13(c)は比較例1の主切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、VBmaxは0.054mmであった。
この実施例1の結果から、本発明例1の4枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルは、比較例1の2枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルと比較して切れ刃の寿命が約2倍向上することが確認できた。
(実施例2)
本発明例となる4枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミル(以下、「本発明例2」という)を作製して、材質がFCD600からなる被削材について、平面領域と立ち壁領域との切削加工を組み合わせ、切削時間が30時間となった時点で実施した各切れ刃の摩耗状況を観察してそのVBmaxを求めた。
実施例2に用いた本発明例2の刃先交換式ボールエンドミルの仕様は、第4の実施形態に沿ったものであり、WC基超硬合金製の第1及び第2の副インサートがそれぞれ、円弧状の副切れ刃の先端と対向する円弧状側面部の位置に、切欠面13i、14iを備えていること以外は、本発明例1で使用したインサート形状に準じている。従って、工具径は30mm、刃数は4枚、切れ刃の半径は15mm、主インサートと副インサートの材質はWC基超硬合金、表面処理の材質はTiSiN皮膜、とした。なお、本発明例2の4枚刃の切れ刃は、その交差角度δを90°の等角度とした。
実施例2で実施した切削加工の条件は下記の通りである。なお、本発明例2のテーブル送り速度(Vf)は、10000mm/min、の条件とし、1刃当りの送り量(fz)は、0.21mm/刃に設定した。
加工方法 : 乾式切削
切削速度(Vc) : 1036m/min
回転数(n) : 11000min−1
1刃当りの送り量(fz): 0.21mm/刃
軸方向切込み量(ap) : 0.1mm
径方向切込み量(ae) : 0.5mm
工具突き出し量 : 110mm
実施例2の切削加工の結果を図18から図21に示している。図18は、本発明例2における切削加工30時間後の工具先端部の状態を示す写真図である。図19は、本発明例2の主切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、VBmaxは0.094mmであった。図20は、本発明例2の第1の副インサート切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、VBmaxは0.041mmであった。図21は、本発明例2の第2の副インサート切れ刃の摩耗状況を示す写真図であって、VBmaxは0.063mmであった。
この実施例2の結果から、本発明例2の4枚刃からなる刃先交換式ボールエンドミルは、切れ刃が良好な摩耗状態を示した。また、副インサート先端に切欠面を設けたことで、切削時の観察から切屑排出性が改善され、切れ刃の摩耗量低減が達成された。
1:刃先交換式ボールエンドミル、
2:工具本体、
3:先端部、
3a、3b:先端半体部、
4:主インサート取付座、
5:第1の副インサート取付座、
5a:着座面、5b:ネジ挿通穴、
6:第2の副インサート取付座、
6a:着座面、6b:ネジ挿通穴、
7:スリット状溝、
7a、7b:側面壁、7c:底部、
8:主インサート固定用ネジ穴、
9:主インサート固定用ネジ、
9a:ネジ頭部、9b:第1円柱部、9c:外周面部、9d:第2円柱部9d、
9e:ネジ部、
10、11:切屑排出溝、
12:主インサート、
12a:側面部、12b:側面部、12c:半円弧状側面部、
12d:平面状側面部、12e、12f:円弧状切れ刃、12g:傾斜ネジ挿通穴、
12g1:内周面部、12h1、12h2:溝部、12i:主切れ刃、
12j:傾斜面(溝部の底部)、
13:第1の副インサート、
13a:上面部、13b:下面部、13c:円弧状側面部、
13d:第1の平面状側面部、13e:第2の平面状側面部、13f:ネジ挿通穴、
13g:円弧状副切れ刃、13g1:円弧状副切れ刃の一方の端部、
13g2:円弧状副切れ刃の他方の端部、
13h:第1の副インサートの端部、
13i:切欠面、
14:第2の副インサート、
14a:上面部、14b:下面部、14c:円弧状側面部、
14d:第1の平面状側面部、14e:第2の平面状側面部、14f:ネジ挿通穴、
14g:円弧状副切れ刃、14g1:円弧状副切れ刃の一方の端部、
14g2:円弧状副切れ刃の他方の端部、
14h:第2の副インサートの端部、
14i:切欠面、
15:第1の副インサート固定用ネジ、
15a:ネジ頭部、15b:円柱部、15c:ネジ部、
16:第2の副インサート固定用ネジ、
16a:ネジ頭部、16b:円柱部、16c:ネジ部、
A:主インサートの主切れ刃が回転中心軸と交わる交差点Pと、第1(又は第2)の
副インサートの副切れ刃の端部であって回転中心軸側に配置された端部(13g1あるいは14g1)との、回転中心軸に沿った距離、
D:刃先交換式ボールエンドミルの刃径、
K:溝部12h1(12h2)の傾斜面12jと主インサート12の側面部12a(12b)とがなす傾斜角度、
L:円弧状副切れ刃13gと14gの、それぞれの端部13g1と端部14g1との距離(間隔)、
O:回転中心軸、
:インサート嵌合溝が工具本体の半径方向に向かう中心線、
:直線Oと直交する中心線、
:第1インサート固定用ネジ穴の向き、
:第1のインサートの回転中心軸(回転中心軸Oと同じ)、
:第1のインサートの中心線、
:第1のインサートの直線Oと直交する中心線、
:第1のインサートの断面図の中心線、
:直線Oに対して傾斜したネジ挿通穴の中心線、
:Oと直交する直線、
P:主インサートの主切れ刃が回転中心軸と交わる交差点(連結点)、
Q1:半円弧状をなす主切れ刃の稜線の中心点、
Q2:第1の副インサートの円弧状副切れ刃の中心点、
R:工具本体の回転方向、
S1:スリット状溝の回転中心軸O方向の深さ、
S2:スリット状溝の幅、
T:円弧状(半円弧状)切れ刃の半径、
W:工具本体の先端部を回転中心軸方向から見た正面図において、回転中心軸Oから第1(又は第2)の副インサートの円弧状副切れ刃のうち、主インサートの溝部に配置されている副切れ刃の端部(13g1又は14g1)までの、回転中心軸に直交する方向の距離、
a:主インサートの直線O方向の長さ、
d1:傾斜ネジ挿通穴の内径、
d2:主インサート固定用ネジの外周面部の内径、
f:溝深さ、
m:溝幅、
n:溝長さ、
t1:主インサートの厚さ、
t2:第1の副インサート(第2の副インサート)の厚さ、
α:主インサートの傾斜ネジ挿通穴の傾斜角度、
β:主インサートの半円弧状の主切れ刃の中心角、
θ:直線Oと直線Oとがなす角度(主インサート固定用ネジ穴の傾斜角度)、
γ:第1(第2)の副インサートの円弧状切れ刃の中心角、
γ1:円弧状副切れ刃の中心角、
δ:主切れ刃12iと円弧状副切れ刃13g(又は14g)とがなす交差角度。

Claims (10)

  1. 工具本体の回転中心軸方向の先端部に設けたインサート取付座に、切れ刃を有する平板形状のインサートをネジ固定手段により着脱可能に装着して、前記切れ刃が前記工具本体の先端部から突出させるようにした刃先交換式ボールエンドミルであって、
    前記インサート取付座は、
    前記先端部から前記回転中心軸を含みながら該回転中心軸方向に形成されたスリット状溝からなる主インサート取付座と、
    前記主インサート取付座により前記工具本体の先端部が2分割されることにより構成された2つの先端半体部のうち、その一方の前記先端半体部に形成された第1の副インサート取付座と、他方の前記先端半体部に形成された第2の副インサート取付座と、を備え、
    前記インサートは、
    前記平板形状の2つの側面部を繋ぐ半円弧状側面部と、前記半円弧状側面部に沿って形成された半円弧状をなす主切れ刃と、前記半円弧状側面部の中央部近傍であって、前記主切れ刃と対向する前記半円弧状側面部の位置にそれぞれ形成された一対の溝部を備え、前記主インサート取付座に着脱可能に装着される主インサートと、
    前記平板形状の上面部と下面部を繋ぐ円弧状側面部と、前記円弧状側面部に沿って形成された副切れ刃を備え、前記第1の副インサート取付座に着脱可能に装着される第1の副インサートと、
    前記平板形状の上面部と下面部を繋ぐ円弧状側面部と、前記円弧状側面部に沿って形成された副切れ刃を備え、前記第2の副インサート取付座に着脱可能に装着される第2の副インサートと、を備え、
    前記主インサート取付座に前記主インサートを、前記第1及び前記第2の副インサート取付座にそれぞれ前記第1及び第2の副インサートを装着したときに、
    前記第1及び前記第2の副インサートのそれぞれの前記副切れ刃の端部であって、前記回転中心軸近傍に配置される前記端部のうちの一方の前記副切れ刃の端部は、前記主インサートに形成された前記一対の溝部のうちの一方の前記溝部に沿ってその溝部の上方から前記回転中心軸近傍まで配置され、
    他方の前記副切れ刃の端部は、前記一対の溝部のうちの他方の前記溝部に沿ってその溝部の上方から前記回転中心軸近傍まで配置されている、
    ことを特徴とする刃先交換式ボールエンドミル。
  2. 前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸方向からみた正面図において、
    前記主インサートの主切れ刃と、前記第1及び第2の副インサートの前記副切れ刃とがなす角度は、90度に設定されていることを特徴する請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  3. 前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸方向からみた正面図において、
    前記主インサートの主切れ刃と、前記第1及び第2の副インサートの前記副切れ刃とがなす角度は、不等角度に設定されていることを特徴する請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  4. 前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸方向からみた正面図において、前記刃先交換式ボールエンドミルの刃径をD、前記回転中心軸から前記第1又は前記第2の副インサートの前記副切れ刃のうち前記溝部に沿って前記回転中心軸近傍まで配置されている前記副切れ刃の前記端部までの距離をWとしたときに、前記Wは、
    0.02D(mm)≦W≦0.07D(mm)
    を満足するように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  5. 前記刃先交換式ボールエンドミルの前記先端部を前記回転中心軸に直交する方向からみた平面図において、
    前記主インサートの前記主切れ刃が前記回転中心軸と交わる交差点と、前記第1又は前記第2の副インサートの前記副切れ刃の一方の端部との距離をAとしたときに、前記Aは、
    0.01(mm)≦A≦0.15(mm)
    を満足するように設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  6. 前記主インサートの前記主切れ刃は、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を含む硬質焼結体から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  7. 前記第1及び前記第2の副インサートの前記副切れ刃は、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を含む硬質焼結体から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  8. 前記不等角度は、87.5°〜92.5°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  9. 前記主インサート取付座に前記主インサートを、前記第1及び前記第2の副インサート取付座にそれぞれ前記第1及び第2の副インサートを装着したときに、
    前記主インサートと、前記第1及び第2の副インサートとは、非接触に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
  10. 前記平板形状の上面部と下面部を繋ぐ円弧状側面部と、前記円弧状側面部に沿って形成された副切れ刃を備えた前記第1の副インサートと前記第2の副インサートは、
    前記副切れ刃の先端と対向する前記円弧状側面部の位置に形成された切欠面を備え、
    それぞれ前記第1の副インサート取付座と、前記第2の副インサート取付座に着脱可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式ボールエンドミル。
JP2013127201A 2012-08-01 2013-06-18 刃先交換式ボールエンドミル Active JP5939207B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013127201A JP5939207B2 (ja) 2012-08-01 2013-06-18 刃先交換式ボールエンドミル

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012170894 2012-08-01
JP2012170894 2012-08-01
JP2013127201A JP5939207B2 (ja) 2012-08-01 2013-06-18 刃先交換式ボールエンドミル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014042981A JP2014042981A (ja) 2014-03-13
JP5939207B2 true JP5939207B2 (ja) 2016-06-22

Family

ID=50394632

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013127201A Active JP5939207B2 (ja) 2012-08-01 2013-06-18 刃先交換式ボールエンドミル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5939207B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10850335B2 (en) 2016-10-21 2020-12-01 Mitsubishi Hitachi Tool Engineering, Ltd. Cutting insert and cutting edge-interchangeable rotary cutting tool

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11245111A (ja) * 1998-02-27 1999-09-14 Kyocera Corp スローアウェイ式ボールエンドミル
DE10019398C2 (de) * 2000-04-19 2002-06-27 Walter Ag Schneidplatte und Zerspanungswerkzeug zum Fräsen
ITGE20080098A1 (it) * 2008-11-24 2010-05-25 Delta Tools Srl Utensile per la lavorazione mediante asportazione di truciolo, con inserti amovibili
JP5504527B2 (ja) * 2009-03-09 2014-05-28 新潟県 ボールエンドミル
JP2012091306A (ja) * 2010-10-29 2012-05-17 Hitachi Tool Engineering Ltd 超硬合金製エンドミル
JP5060626B2 (ja) * 2011-03-03 2012-10-31 日立ツール株式会社 刃先交換式ボールエンドミル
JP5750741B2 (ja) * 2011-04-28 2015-07-22 三菱日立ツール株式会社 刃先交換式ラジアスエンドミル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014042981A (ja) 2014-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5060626B2 (ja) 刃先交換式ボールエンドミル
JP6593322B2 (ja) 切削インサート及びその製造方法
JP4908201B2 (ja) 回転防止工具ホルダー及び切削用チップ工具
US6652201B2 (en) Ball end mill
US20070172321A1 (en) Ball endmill
WO2015037617A1 (ja) 刃先交換式回転切削工具及びそれに用いるインサート
JP5614511B2 (ja) ボールエンドミル及びインサート
KR102021271B1 (ko) 날끝 교환식 회전 절삭 공구 및 인서트
WO2019087496A1 (ja) 切削インサート
JPWO2012147816A1 (ja) 切削インサートおよび切削工具
KR102002756B1 (ko) 절삭 인서트 및 날끝 교환식 회전 절삭 공구
JP2001212703A (ja) 多結晶硬質焼結体切削工具
JP5939207B2 (ja) 刃先交換式ボールエンドミル
JP7020162B2 (ja) スクエアエンドミル
JP2003175408A (ja) 多結晶硬質焼結体スローアウェイチップ
JP6086179B1 (ja) 刃先交換式回転切削工具及びインサート
JP6086180B1 (ja) 刃先交換式回転切削工具及びインサート
JP5750741B2 (ja) 刃先交換式ラジアスエンドミル
JP2013013962A (ja) Cbnエンドミル
JP2014111286A (ja) 刃先交換式ボールエンドミル
CN217749517U (zh) 适用于涡旋盘的成型铣刀
JP2012254486A (ja) 超高圧焼結体回転切削工具
JP5929144B2 (ja) 硬質焼結体ボールエンドミル
JP2014124693A (ja) 刃先交換式ラジアスエンドミル
JP2014144492A (ja) 刃先交換式ラジアスエンドミル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150730

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20150821

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5939207

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350