JP2014144492A - 刃先交換式ラジアスエンドミル - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速度で仕上げ加工を実施しても、切れ刃を長寿命化することができる刃先交換式ラジアスエンドミルを提供する。
【解決手段】 工具本体の先端部に4枚の切れ刃を有し、切削用インサートが着脱自在に装着された刃先交換式ラジアスエンドミルであって、工具本体の先端部には切削用インサートを固定用ネジにより固定するための複数のインサート取付座を有し、固定用ネジの中心軸は、工具本体の回転方向とは逆方向に角度θ(度)傾斜した方向に設定され、切削用インサートは固定用ネジにより、インサート取付座にネジ締結によって固定され、インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他のインサートの最外周点の回転軌跡に対して変位している。
【選択図】 図5

Description

本発明は、工具本体の先端部に設けたインサート取付座に、切れ刃を備えたインサートを着脱自在に装着できるようにした刃先交換式ラジアスエンドミル、特に、金型等の仕上げ加工において、高速、高能率、かつ加工面の表面粗さを向上させる切削加工を実施することができる刃先交換式ラジアスエンドミルに関するものである。
各種の金型を製作する際には、金型の素材となる被削材に3次元の切削加工を行う必要がある。従来から金型の切削加工用の工具としては、ラジアスエンドミル、あるいはボールエンドミルが用いられる。ボールエンドミルは、刃部の形状は側面視で半球状をなしているため、曲面を高速で仕上げ加工を行う切削工具として適しているが、工具本体の先端部軸線(工具回転軸)付近の刃部はその回転速度が遅くなるため、工具先端部軸線付近の刃部を使用した切削加工を行うと刃部が欠損し易くなるという欠点がある。
これに対して、ラジアスエンドミルは、底刃と外周刃と、これら底刃と外周刃との間に形成されたR形状のコーナR刃を備えているため、平面加工や曲面加工も行うことができる。このため、近年、複雑な曲面を有する金型の仕上げ加工や中仕上げ加工に用いる切削工具として、ボールエンドミルに代わってラジアスエンドミルも多用されてきている。
近年、各種の金型の寸法は大型化する傾向にあり、これに伴って金型の切削加工を行うための切削工具には、高速、高能率、高精度の切削加工を行い、かつ長寿命化が要求されている。このような事情により、各種の金型の加工を行うための切削工具としてラジアスエンドミルが使用されるようになっている。また、切削加工を高能率、高精度に行うためには、ソリッドタイプの切削工具よりも、切れ刃を形成したインサートを、工具本体に形成した取付座にクランプネジ等により着脱自在に装着する方式である、刃先交換式のラジアスエンドミルが適している。この理由は、インサートに形成した切れ刃が摩耗して切れ味が低下すると、直ちに新しいインサートと交換することができるので、切削加工の高能率化と高精度化を維持することができ、かつ、切削工具に対するコスト低減も行うことができるからである。
そこで刃先交換式切削工具について、各切れ刃の回転軌跡を相互に変位させて配置する技術に関しては、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
特許文献1(特開2005−40924号公報)には、略円弧状の主切れ刃、主切れ刃の一方と隣接して切れ刃最下点よりも内周側に配置された副切れ刃と、主切れ刃の他方と隣接して回転軸方向に延びた外周刃とから構成されたインサートが、複数個、工具本体先端に装着された刃先交換式工具に関する発明が提案されている。ここでは、1つの切れ刃の回転軌跡を、他の切れ刃の回転軌跡に対して変位させることによって、荒加工における切削抵抗の低減と、工具のびびりや共振の抑制を図る技術を開示している。
刃先交換式ラジアスエンドミルの技術に関しては、例えば、下記の特許文献2、3に記載の発明が提案されている。
特許文献2(特開2012−232350号公報)には、金型等の仕上げ加工を高速、高能率、高精度に行うことを可能とした刃先交換式ラジアスエンドミルの提供を目的とした発明が提案されている。この刃先交換式ラジアスエンドミルは、工具本体の先端に3枚のインサートを装着する方式であって、第1のインサートとして、この先端中央部から底刃と外周刃と、底刃と外周刃とを繋ぐコーナーR刃をそれぞれ2枚有した略四角形状をなすインサートを用い、第2、第3のインサートとして、この先端中央部から底刃と外周刃と、底刃と外周刃とを繋ぐコーナーR刃を1枚有したインサートを用いて、4枚の切れ刃を設けた構成としたものである。
特許文献3(特開2005−319558号公報)には、倣い加工時において、被削材の面粗さを改善することを目的とした刃先交換式の仕上げ用ラジアスエンドミルに関する発明が提案されている。この刃先交換式ラジアスエンドミルは、工具本体の先端部に設けたスリット状のインサート取付座に切れ刃を形成したインサートを装着する構成であって、インサートの切れ刃の形状は、外周側の円弧状切れ刃の半径をr1とし、工具直径をDとしたときに、0.31D≦r1≦0.45D、D≧8mmとされ、底刃は半径r2の円弧状内周刃とこの円弧状内周刃に接続されて工具軸まで形成された直線状内周刃から構成され、r1>r2としたものである。
また、刃先交換式ラジアスエンドミルにおいては、取付座に装着してクランプネジ等により固定したインサートが、切削加工中に発生する切削加工負荷によりその固定位置がズレないようにすること、切屑の排出が良好に行われるように工具本体の先端部の構造を改善すること、及び新しいインサートを取付座に装着したときに所定の位置に、特にインサートに形成した切れ刃が工具本体の先端部から突出する長さ(位置)が、常に所定の位置に正確に固定・維持されるように、インサートを取付座に固定する方法やその手段を改善することも重要になる。
上記したインサートを工具本体の取付座に固定する機構を改善する技術としては、下記の特許文献4に記載の発明が提案されている。
特許文献4(特開2001−121339号公報)のスローアウエイエンドミルは、ホルダ本体に形成されたチップ嵌合溝に嵌合されるチップの取付座に直交する位置に対して、周方向に所要の角度ほど傾斜した方向からクランプボルトがチップの挿通穴を挿通して両チップ挟持半体にわたってネジこまれる構成とすることにより、チップポケットを大きく取れるようにしたエンドミルである。
また、ラジアスエンドミルの切れ刃の長寿命化を図るために、耐摩耗性を有する立方晶窒化硼素(CBN)からなる硬質焼結体製の切れ刃を備えたラジアスエンドミルも提案されている。切れ刃を立方晶窒化硼素(CBN)からなる硬質焼結体製としたラジアスエンドミルに関しては、例えば、特許文献5が提案されている。
特許文献5(特開2008−279520号公報)には、コーナR刃の欠損を防止して寿命延長を図ることを目的としたラジアスエンドミルに関する発明が提案されている。このラジアスエンドミルは、エンドミル本体の先端部外周にコーナR刃が備えられたラジアスエンドミルにおいて、このコーナR刃の先端部とコーナR刃の先端側に配置される底刃とで構成される先端刃部を立方晶窒化硼素焼結体によって形成し、先端刃部の軸線O方向の長さLが、コーナR刃の半径Rよりも小さい値となるように構成されている。
特開2005−40924号公報 特開2012−232350号公報 特開2005−319558号公報 特開2001−121339号公報 特開2008−279520号公報
特許文献1に記載の刃先交換式工具は、荒加工用のフライスカッタに関する技術である。そのため、主切れ刃の円弧半径は6(mm)から15(mm)と大きく、本発明の仕上げ加工用のラジアスエンドミルとは、工具形状や解決課題も異なる。本発明の仕上げ加工用のラジアスエンドミルは、優れた仕上げ面の表面性状を得ることを目的として、インサートを取付座に装着して固定するための有効な固定機構を有した構成となっているが、荒加工用の特許文献1には、これを可能にする構成を有していない。
特許文献2に記載の刃先交換式ラジアスエンドミルは、第1のインサートとして、切れ刃を2枚有した略四角形状をなすインサートと、第2、第3のインサートとして、切れ刃を1枚有したインサートを用いて、4枚の切れ刃を設けた構成としたものである。しかし、特許文献2に記載の刃先交換式ラジアスエンドミルは、切れ刃回転軌跡の変位に関する技術は開示されていない。従って、工具の振動抑制効果が乏しく、切れ刃の高温化対策も十分とは言えない。
特許文献3に記載の刃先交換式仕上げ用ラジアスエンドミルは、切れ刃が2枚から構成されている。被削材の仕上げ加工において、被削材の面粗さを改善するために、インサートに形成した切れ刃の形状と工具直径との関係を特定したラジアスエンドミルであって、切削加工中にインサートに作用する加工負荷によりこのインサートの位置ずれをより確実に防止するために、インサートを取付座に装着して固定するための機構の改善については開示されていない。
特許文献4に記載のスローアウエイエンドミルは、ホルダ本体に形成されたチップ嵌合溝に嵌合されるチップの取付座に直交する位置に対して、周方向に所要の角度ほど傾斜した方向からクランプボルトがチップの挿通穴を挿通して両チップ挟持半体にわたってネジこまれる構成とすることにより、チップポケットを大きく取ることができるようにして切屑の排出性を良好にした刃先交換式である。しかし、このスローアウエイエンドミルは切れ刃が2枚から構成されているので、金型を高速で切削加工するボールエンドミルとして適用することは困難である。金型等を高速で切削加工するためには、切れ刃を少なくとも4枚刃からなる構成にすることが望ましい。
特許文献5に記載のラジアスエンドミルは、エンドミル本体の先端部に形成されるコーナR刃と底刃の先端刃部を立方晶窒化硼素焼結体から構成したソリッドタイプのエンドミルであって、刃先交換式のラジアスエンドミルではない。金型等の被削材を高効率、かつ高速度で切削加工を行うためには、ソリッドタイプよりも刃先交換式のエンドミルの方が優れていることは明らかである。
一方、刃先交換式ラジアスエンドミル等において、インサートの工具本体への装着と固定は、取付座に装着したインサートを、このインサートに形成されたネジ穴に固定用ネジを挿通させ、この固定用ネジを取付座と螺合させる手段が採用されている。一般的に、金型等の被削材の仕上げ加工に使用される刃先交換式工具では、摩耗したインサートを新しいインサートと交換して装着する都度、新しく装着したインサートの装着・固定状態、すなわち、工具本体の先端部に対する切れ刃の位置や切れ刃形状等を確認し、必要に応じてはインサートの固定位置を微調整することがある。
従って、インサートを工具本体に装着する際において、新しいインサートを装着して固定する都度、この固定位置について高い精度を得るための改善は、インサートの位置調整時間の短縮につながることから、重要な技術課題の一つである。
本願の発明者は、高速で、かつ高精度で金型の切削加工、特に仕上げ加工を行うための刃先交換式ラジアスエンドミルの構成、さらにインサートの構成、取付座への固定方法や配置の改善について、種々の検討と実験を行った。その結果、インサートの固定用のネジ穴の向きを適切に設定して、インサートのネジ穴と固定用ネジとを、密に係合させること、また切れ刃の最外周点の回転軌跡を相互に変位させて配置することが重要であるとの知見を得た。
従って、本発明の目的は、刃先交換式ラジアスエンドミルにおいて、工具本体の先端部に切削用インサートをそれぞれの取付座に装着して固定するための固定機構と切れ刃の配置を改善することにより、金型等の被削材の加工を、高速、高能率、高精度に行うことを可能とし、さらにインサートを装着した1本当りの工具の寿命を長寿命とした刃先交換式ラジアスエンドミルを提供することにある。
本発明の請求項1に記載の刃先交換式ラジアスエンドミルは、工具本体の先端部に4枚の切れ刃を有し、複数の切削用インサートが着脱自在に装着された刃先交換式ラジアスエンドミルであって、前記工具本体の先端部には、前記切削用インサートを固定用ネジにより固定するためのインサート取付座を有し、前記先端部を工具回転軸方向からみた正面図において、前記切削用インサートを、前記インサート取付座に装着したときの前記固定用ネジの中心軸は、前記切削用インサートの切れ刃が径方向に延びる向きと直交する方向に対して、前記工具本体の回転方向とは逆方向に角度θ(度)傾斜した方向に設定され、前記切削用インサートは平板状をなし、前記切れ刃はその先端面部に形成された底刃と、一方の側面部に形成された外周刃と、前記底刃と前記外周刃とを繋ぐコーナーR刃を有し、前記切削用インサートは、前記固定用ネジにより、前記インサート取付座にネジ締結によって固定され、前記切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して変位していること、を特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式ラジアスエンドミルに係り、前記切削用インサートを前記インサート取付座に装着したときに、前記切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して回転半径方向に変位しており、前記回転半径方向の変位の距離H(mm)が、0.04≦H≦0.40、回転半径方向の工具回転軸側へ変位させたこと、を特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の刃先交換式ラジアスエンドミルに係り、工具本体の先端部に切れ刃を有し同じ形状をした切削用インサート4枚が着脱自在に装着された刃先交換式ラジアスエンドミルであって、前記工具本体の先端部には、前記切削用インサートを固定用ネジにより固定するための第1、第2、第3、第4のインサート取付座を有し、前記切削用インサートを前記第1から第4のインサート取付座に装着したときに、前記切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して回転半径方向に変位しており、前記回転半径方向の変位の距離H(mm)が、0.04≦H≦0.40、回転半径方向の工具回転軸側へ変位させたこと、を特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の刃先交換式ラジアスエンドミルに係り、前記切削用インサートを前記インサート取付座に装着したときに、前記工具回転軸方向に対する前記工具本体に装着した前記切削用インサートの最下点が、前記工具回転軸と垂直に交わる同一平面上に存在するように装着されていること、を特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の刃先交換式ラジアスエンドミルに係り、前記切削用インサートは、超硬合金から構成されていること、を特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の刃先交換式ラジアスエンドミルに係り、前記切削用インサートの少なくとも1つは、その基体が超硬合金から構成され、前記切れ刃部は、前記超硬合金からなる基体に立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体から形成された切れ刃部を接合した構成とされていること、を特徴としている。
本発明の先交換式ラジアスエンドミルは、次の効果を奏することが可能になる。
(1)本発明は、4枚刃からなる刃先交換式ラジアスエンドミルにおいて、工具本体の先端部に、切れ刃を有した複数の切削用インサートをそれぞれの取付座に装着して、これらの切れ刃が相互に対向するように配置され、4枚刃を有する刃先交換式ラジアスエンドミルとなっている。その結果として、本発明は、従来の2枚刃タイプの刃先交換式ラジアスエンドミルに比べ、1刃当りの負荷が半分に低減される事により、送り速度Vfを2倍にアップでき、工具寿命も約2倍に向上するなど、切削工具1本当たりの切削性能を向上することができ、平面切削加工及び立ち壁の高速切削加工において高能率、高精度、且つ、工具寿命に優れる刃先交換式ラジアスエンドミルを提供することができる。
(2)本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルは、工具本体の取付座に、それぞれ切削用インサートを装着して固定したときに、工具本体の工具回転軸線Oを回転中心とした少なくとも1つのインサートのコーナーR刃の最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して変位している。即ち、少なくとも1つのインサートのコーナーR刃の最外周点の回転軌跡が、工具刃径(D)を直径とした円をなし、これと他の切削用インサートのコーナーR刃の最外周点の回転軌跡が一致しないように変位している。これにより、コーナーR刃を主体にした立ち壁の切削加工の制御を実施したときに、一刃当たりの切削負荷が不均等となるものの、この変位によってインサートの一部は切削負荷が軽減され、低負荷のコーナーR刃が設けられる。ここで、切削負荷の軽減されたコーナーR刃は、切れ刃における高温化を回避することが可能となることから、被削材の溶着現象を回避して、優れた仕上げ面の表面性状を得ることが可能となる。
(3)本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルは、工具本体の取付座にそ複数の切削用インサートを装着して固定したとき、或いは、工具本体の第1取付座から第4取付座に、それぞれ第1から第4のインサートを装着して固定したときに、工具本体の工具回転軸線O方向に対する最下点が、工具回転軸線Oと垂直に交わる同一平面上であるようにしている。これにより、底刃を主体にした平面部の切削加工の制御を実施したときに、工具振動の発生が抑制されるので、インサートの取付座に対する位置ズレを、更に防止することが可能になる。
(4)本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルは、4枚の切れ刃の一部、又は全てを、耐摩耗性と耐熱性に優れた部材である立方晶窒化硼素焼結体(CBN)から構成することにより、4枚の切れ刃をさらに長寿命化することが可能になる。
本発明に係る刃先交換式ラジアスエンドミルの第1の実施形態について、切削用インサートを装着していないときの工具本体を示す平面図である。 図1に示す工具本体について、工具回転軸方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図である。 図1に示す工具本体の先端部の構成を拡大して示した部分平面図である。 図1に示す工具本体に、切削用インサートを装着した本発明の第1の実施形態に関する刃先交換式ラジアスエンドミルを示す平面図である。 図4に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、工具回転軸方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図である。 図4に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、先端部の構成を拡大して示した平面図である。 図4に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、切削用インサートの構成を示す平面図である。 図7に示すインサートについて、紙面の左側方向から見たときの構成を示す正面図である。 図7に示すインサートについて、外周切れ刃の方向から見たときの構成を示す側面図である。 図5に示す切削用インサート固定用ネジの構成を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に関する刃先交換式ラジアスエンドミルにおいて、切削用インサートを工具本体に装着したときに、これらインサートが備えている切れ刃の配置の位置関係を説明するための図であって、工具本体の先端部の斜視図である。 本発明に係る刃先交換式ラジアスエンドミルの第2の実施形態について、切削用インサートを装着していないときの工具本体を示す平面図である。 図12に示す工具本体について、工具回転軸方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図である。 図12に示す工具本体を紙面下方向から見たときの、先端部の構成を拡大して示した側面図である。 図12に示す工具本体に、切削用インサートを装着した本発明の第2の実施形態に関する刃先交換式ラジアスエンドミルを示す平面図である。 図15に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、工具回転軸方向から見たときの先端部の構成を拡大して示した正面図である。 図15に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、紙面下方向から見たときの、先端部の構成を拡大して示した側面図である。 図15に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、第5の切削用インサートの構成を示す平面図である。 図18に示す切削用インサートについて、A−A線に沿った部断の形状を示す断面図である。 図15に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、第6、第7の切削用インサートの構成を示す平面図である。 本発明に係る刃先交換式ラジアスエンドミルの第3の実施形態について、切削用インサートを装着した刃先交換式ラジアスエンドミルを示す平面図である。 図21に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、紙面下方向から見たときを示した側面図である。 図21に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、第8の切削用インサートの構成を示す平面図である。 図21に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、第9、第10の切削用インサートの構成を示す平面図である。
以下、図面に基づいて本発明に係る刃先交換式ラジアスエンドミルの実施形態について説明する。
(第1の実施形態における工具本体の構成)
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミル(1)について、インサートを装着していないときの工具本体(2)の構成を示す図であって、図1は工具本体(2)の平面図、図2は工具本体を工具回転軸O方向からみたときの先端部の構成を拡大して示した正面図、図3は図1に示す工具本体の先端部の構成を示す拡大した平面図である。
工具本体は、例えば、SKD61等の合金工具鋼から製造されており、その工具回転軸O方向の一方の先端は、工具回転軸O方向に突出する略円柱状、平面視では略矩形状をなす先端部(3)を備えている。先端部には、後述する切れ刃を備えた切削用インサートを、ネジ固定手段により着脱可能に固定するためのインサート取付座(4)が形成されている。工具本体の工具回転軸O方向の他方の端部側は、刃先交換式ラジアスエンドミルをNC制御手段を備えた3次元加工装置等に取り付けるためのシャンク部とされている。
工具本体(2)の先端部(3)に形成されているインサート取付座(4)の構成例を、図2及び図3に基づいて説明する。図2に示すように、インサート取付座は第1取付座(4a)、第2取付座(4b)、第3取付座(4c)と第4取付座(4d)の4つの取付座を備えている。
第1から第4の4つのインサート取付座(4aから4d)は、切れ刃(12f)を有し同じ形状をした切削用インサート(12)(図4から図9参照)を装着して固定するための取付座になる。インサート取付座(4)は、図1から図3に示すように、先端部の円筒状をなす表面部に形成されている。インサート取付座は、インサートの底面を、それぞれネジ固定手段により着脱可能に固定するための着座面(5)を備えている。これらの着座面(5)は、それぞれ先端部の最先端方向に向かって形成され、それぞれインサートをネジ固定手段となるインサート固定用ネジ(9)により固定するためのネジ挿通穴(6)が刻設されている。図2、図3に示す切屑排出溝(10)は、チップポケットとも呼ばれている。
(第1の実施形態における刃先交換式ラジアスエンドミルの構成)
図4〜図6は、図1に示す工具本体が備えているインサート取付座に切削用インサートを装着したとき、すなわち、本発明の第1の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミルの構成を示す図である。なお、図4は刃先交換式ラジアスエンドミルの平面図、図5は図4に示す刃先交換式ラジアスエンドミルを工具回転軸O方向からみたときの先端部の構成、特に、インサートの位置関係を拡大して示した正面図、図6は図4に示す刃先交換式ラジアスエンドミルについて、先端部の構成を拡大して示した部分平面図である。
図4〜図6に示すように、インサート取付座に装着された切削用インサートは、インサート固定用ネジを用いたネジ締めにより固定される。なお、インサート固定用ネジは、同一仕様のネジを使用する。
図5に示すように、刃先交換式ラジアスエンドミルを工具回転軸O方向からみたときの先端部の正面図において、インサート固定用ネジ(9)の中心軸線O3は、直線O2に対して傾斜角度θ(度)を有している。この傾斜角度は、中心軸線O3が、切削用インサートの切れ刃(底刃)が径方向に延びる方向の直線O1と直交する方向の直線O2に対して、工具本体の回転方向Rとは逆方向に角度θ(度)傾斜した方向に設定されている。この傾斜角度θ(度)は、8≦θ≦10、の範囲に設定している。より好ましくは、9≦θ≦10、の範囲に設定するとよい。θ値を上記の数値範囲内に設定することにより、切削加工時において、切削用インサートの切れ刃が被削材から被る切削抵抗の半径方向成分に対して、切削用インサートを取付座に強固に固定することができる。
図5に示すように、刃先交換式ラジアスエンドミルを工具回転軸O方向からみたときの先端部の正面図において、切削用インサートは第1から第4のインサート取付座に装着された状態であり、切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して回転半径方向に変位させている。即ち、図5に示すように、第1、第3のインサート取付座に装着された切削用インサートの最外周点G1とG3との回転軌跡Jと、第2、第4のインサート取付座に装着された切削用インサートの最外周点G2とG4との回転軌跡Kとは、異なる回転半径を有していることから、最外周点の回転軌跡が一致していない。
この様に切れ刃を配置させることによって、本発明の効果を得ることができる。即ち、コーナーR刃を主体にした立ち壁の切削加工の制御を実施したときに、一刃当たりの切削負荷が不均等となるものの、この変位によってインサートの一部は切削負荷が軽減され、低負荷のコーナーR刃が設けられる。ここで、切削負荷の軽減されたコーナーR刃は、切れ刃における高温化を回避することが可能となることから、被削材の溶着現象を回避して、優れた仕上げ面の表面性状を得ることが可能となる。
更に、回転軌跡Jと回転軌跡Kとの回転半径方向の変位の距離H(mm)は、0.04≦H≦0.40、の範囲で変位させることが好ましい。即ち、図5では、回転軌跡Jの回転半径は、回転軌跡Kの回転半径よりも、距離H(mm)大きくなっている。
ここで、H値が0.04未満の場合は、変位量が小さいため、切れ刃の高温化を回避することができない。そのため、被削材の溶着現象を回避できないため、被削材の優れた加工面の表面性状を得るといった効果を得ることができない。一方、H値が0.40を超えて大きい場合は、切削時の各切れ刃の抵抗負荷に差が発生して振動が起こり、被削材の加工面性状が悪化してしまうといった不具合が生じてしまう。従って、距離Hは、0.04≦H≦0.40、の範囲に設定することが好ましい。
また、図6に示すように、刃先交換式ラジアスエンドミルの先端部の平面図において、インサート固定用ネジ(9)の中心軸線O3は、直線O4に対して傾斜角度θ2(度)を有していることが好ましい。この傾斜角度は、中心軸線O3が、工具回転軸O方向に延びる向きと直交する方向の直線O4に対して、工具本体の先端部方向に角度θ2(度)傾斜した方向に設定されている。この傾斜角度θ2(度)は、10≦θ2≦12、の範囲に設定されていることが好ましい。より好ましくは、11≦θ2≦12、の範囲に設定するとよい。θ2値を上記の数値範囲内に設定することにより、切削加工時において、切削用インサートの切れ刃が被削材から被る切削抵抗の回転軸方向成分に対して、切削用インサートを取付座に強固に固定することができるため、好ましい形態である。
従って、θ値を上記の数値範囲内に設定すること、また好ましくはθ2値も上記の数値範囲内に設定することによって、切削用インサートを取付座に装着して固定するための固定形態が改善される。その結果、工具振動の発生や切削抵抗の増大が抑制され、金型等の被削材の仕上げ加工を高速、高能率で行っても、切れ刃の寿命を長寿命化するとともに、加工面の表面粗さを向上させることが可能となる。
図4〜図6に示す刃先交換式ラジアスエンドミルの実施形態では、インサートの切れ刃は、図5に示すように、工具回転軸Oを中心として隣接する切れ刃同志は、その交差角度δがそれぞれ90度の角度、すなわち、等間隔の角度でこれら4枚の切れ刃を配置した例を示している。なお、本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルにおいては、これら4枚の切れ刃を不等間隔の角度(不等角度)で配置してもよい。
図5に示す本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルの第1の実施形態においては、インサートに設けた一方の端部が工具回転軸を基準として相互に対称となる位置にあって、底刃が互いにより近接させた構成としたことを示している。図5に示す例では、インサートが備えている底刃の端部は、工具回転軸Oから離間しており、底刃の端部は、工具回転軸Oと交差することの無いように配置されている場合である。
(切削用インサートの構成)
インサートの構成を、図7から図9を参照して説明する。図7は切削用インサートについて上面部の構成を示す平面図である。図8は図7に示すインサートを紙面の左側から見たときの側面部の構成を示す正面図であり、底刃側の構成を示す。図9は図7に示すインサートを紙面の下方から見たときの側面部の側面図であり、外周刃の構成を示す。
切削用インサート(12)は厚さtを有する平板状の形状(平面形状)をなし、その上面となる上面部(12a)と、下面(底面)となる下面部(12b)を有している。これら上面部(12a)と下面部(12b)とを繋ぐ側面には、底刃(12fa)を含む側面部(12c)と、外周刃(12fb)を含む側面部(12d)と、平面状側面部(12e)が形成されている。さらに、上面部(12a)から下面部(12b)まで貫通して形成されたネジ穴(12g)を備え、側面部(12c)と側面部(12d)とは、半径r1の円弧状のコーナーR刃(12fc)が形成されている。半径r1の値は、第1から第4の切削用インサートのコーナR刃について、同じ半径r1としている。そして、外周刃と底刃とは、コーナR刃のそれぞれの端部に繋がれている。従って、切削用インサートは、底刃とコーナR刃と外周刃からなる一つ(1枚)の切れ刃を有する切削用インサートとして構成されている。切削用インサートは、平面視で略三角形状、または多角形状をなし、その基体は超硬合金からなっている。
本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルにおいては、工具本体の先端部にあるインサート着座面に装着された切削用インサートが備えられ、これらは各切れ刃を有している。底刃(12fa)と外周刃(12fb)は、直線形状又は略直線形状に設定されていることが好ましい。コーナーR刃(12fc)は、半径r1とする円弧形状に設定されていることが好ましい。r1値(mm)は、0.3≦r1≦3.0、とすることが好ましい。
なお、図7に示すように、平面視において底刃は、コーナR刃の端部(12f1)における接線方向に対して、コーナR刃の端部(12f1)からネジ穴(12g)の方向に角度αをなすように傾斜するように形成されている。この傾斜角度α(度)は、1〜5度程度の範囲に設定することが好ましい。
さらに、切削用インサートは、上面部から下面部まで貫通して形成されたネジ穴を備えている。ネジ穴は、取付座にこのインサートを装着して固定するときに、固定用ネジを挿通させるための挿通穴である。なお、ネジ穴の中心線の向きは、下面部に対して直交する方向に形成され、下面部が取付座の着座面に固定される部分になる。
さらに、工具の刃径(D)が40mmより小さくなる場合の望ましい例として、ネジ穴の中心線の向きは、下面部に対して傾斜した方が望ましい。このときの傾斜は、工具本体の回転方向Rとは逆方向、10度以内の角度で傾斜させたることが好ましい。この理由は、工具本体に固定した場合の固定用ネジのネジ部と取付座に設けた雌ネジ部との螺合する有効ネジ山数が増やせるからである。また、図7に示す12hは切削用インサートのすくい面であって、上面部に対してその高さを若干低くした平面状をなしている。
上記したように、切削用インサートの基体は、超硬合金製の部材から構成し、切れ刃となる底刃、コーナR刃、外周刃も、超硬合金製の基体と一体に金型成形等により成形することができる。
また、本発明において、切削用インサートは、その基体を金型成形等により作製した超硬合金製とし、この基体の上面部と下面部とがなす側面部に、硬質焼結体製の切れ刃となる底刃、コーナR刃、外周刃をロウ付けにより接合して、図7に示すような構成からなる切削用インサートを装着することが望ましい。なお、この硬質焼結体としては、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を質量比で95%程度含む部材を用いることが好ましい。
このように、本発明において、切削用インサートの切れ刃となる底刃と、コーナR刃と、外周刃を立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体から構成すると、全体を超硬合金製としたインサートと比較して、高速度の切削加工を行うためのインサートとして、より耐摩耗性と耐熱性を発揮させることが可能になる。
本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルにおいて、切削用インサートに形成する外周刃は、取付座に装着したときに、軸線Oと平行になるように形成するか、あるいは軸線O方向(底刃方向)に、所定の角度傾斜させたテーパ形状とした切刃を備えているようにしてもよい。
切削用インサートを取付座に装着して固定したときには、切削用インサートのコーナR刃が工具本体の先端部の外周側に位置するように配置するとともに、切削用インサートの底刃を工具本体の先端部から軸線O方向に所定の長さほど突出させ、外周刃を先端部の端部から工具本体の外周方向に所定の長さほど突出させるようにする。さらに、切削用インサートを取付座に装着して固定したときには、図5に示すように、切削用インサートの底刃は、軸線O上に位置しないようにする。
図6に示すS1からS4は、切削用インサートを取付座に装着して固定したときに、工具本体の最下点となる位置を示す。同様に、図5に示すG1からG4は、最外周点を示している。この最下点S1からS4の位置は、コーナR刃と底刃との繋ぎ部(接続部)、またはコーナR刃の切れ刃稜線上であってこの繋ぎ部の近傍になるようにし、最外周点G1からG4はコーナR刃と外周刃との繋ぎ部に位置するように、切削用インサートの形状及び取付座の着座面の構造を適切に設計する。
そして、本発明においては、工具本体の第1から第4の取付座に同じ形状をした4枚の切削用インサートを、それぞれ装着して固定したときには、前記した4つの最下点S1、S2、S3及びS4は、工具回転軸線Oと直交する平面(O5)であって同一の平面上に位置するようにしている。このように配置することにより、底刃を主体にした平面部の切削加工の制御を実施したときに、工具振動の発生が抑制されるので、インサートの取付座に対する位置ズレを、更に防止することが可能になる。
また、工具本体の第1から第4の取付座に、同じ形状をした4枚の切削用インサートを装着して固定したときに、工具本体の軸線Oを回転中心としたインサートの外周刃上の最外周点G1、G3の回転軌跡Jが、工具の刃径(D)を直径とした円をなしている。一方、この回転軌跡Jよりも半径が距離H小さい回転軌跡Kの円周上に、最外周点G2、G4が存在するようにしている。
本発明において、上記したように、工具本体に同じ形状をした4枚の切削用インサートを装着して固定したときに、4つの最下点S1、S2、S3及びS4が軸線Oと直交する同一の平面(O5)上に位置する構成としていることにより、次の効果を発揮させることが可能になる。
(1)被削材について平面加工を行うときに、被削材の表面に同時に接触した状態で切削加工を開始することが可能になるので、切削加工に伴って発生するビビリ振動の発生を防止することができ、仕上げ加工面の精度向上を得ることができるようになる。
(2)切削用インサートが備えている切れ刃、特に底刃、コーナR刃の切削加工において従来の2刃タイプに比べ本発明は、1刃当りの負荷が半分に低減される事により、送り速度Vfを2倍にアップできたり、工具寿命も約2倍に向上するなど、切れ刃の摩耗も減り、長時間にわたって仕上げ加工面の精度を維持することができるようになる。これにより、本発明は、長寿命化を可能とした刃先交換式ラジアスエンドミルを提供することができるようになる。
(切削用インサートの製造方法)
切削用インサートの製造方法について説明する。WC基超硬合金製のインサートは、例えば、次の手順(1)〜(4)に基づいて製造することができる。
(手順1):
炭化タングステン粉末とコバルト粉末と、必要に応じて添加物を加えて作製した混合造粒粉末をプレス金型成形により、インサートの成形体を成形する。この金型成形時に、ネジ穴の原形となる穴を形成するようにする。なお、成形体を焼結すると20%〜30%収縮するので、この原形となるネジ穴の径は、ネジ穴の径より大きくする。
(手順2):
続いて、プレス金型成形により成形したインサートの成形体を、所定の温度(1300℃〜1400℃程度)に加熱した加熱炉に装入して焼結を行う。
(手順3):
続いて、焼結したインサートの成形体について、3次元研削加工機などを用いて必要とする各部位に仕上げ加工を行う。この仕上げ加工としては、例えば、次の加工を実施する。
焼結したインサートの側面部に形成されているコーナR刃を構成する円弧状切れ刃について、ダイヤモンド砥粒を有する回転砥石を用いて仕上げ加工を行う。また、平面状側面部にも仕上げ加工を行う。
(手順4):
仕上げ加工が完了したインサートについて、ネジ穴を除いた表面に、耐摩耗性と耐熱性を付与するための被膜をコーティングする。この被膜の材質は、例えば、Ti−Al系窒化物、Ti−Si系窒化物、Ti−B系窒化物などからなる被膜のいずれかとし、例えば、PVD法により被膜を形成する。
(インサート固定用ネジの構成)
インサート固定用ネジの構成を、図10に基づいて説明する。インサート固定用ネジは、切削用インサートをインサート取付座にネジ締め付けにより装着・固定するためのネジ固定手段である。
図10に示すように、インサート固定用ネジは、ネジ頭部(9a)と、円柱部(9b)と、ネジ部(9c)を備えている。切削用インサートをインサート取付座に装着するときに、このインサート固定用ネジ(9)をインサートに設けたネジ内を挿通させて締付けることにより、ネジ部(9c)はインサート取付座に設けたネジ挿通穴(6)にネジ込まれる。これにより、インサートは、インサート取付座に強固に固定される。
(インサート固定用ネジの製造方法)
インサート固定用ネジ(9)の製造は、SKD61等の合金工具鋼製の棒材(線材)から、プレス加工及び旋盤加工により、ネジ頭部(9a)と、円柱部(9b)と、ネジ部(9c)を形成する。
(工具本体に装着した各切削用インサートの配置位置)
工具本体に切削用インサートをインサート取付座に装着する手順の概要と、この装着操作が終了したときに、本発明の特徴となる各インサートの配置の位置関係を、図11に基づいて説明する。図11は4枚の切削用インサートを装着したときの工具本体の先端部の斜視図である。
工具本体に、切削用インサートを装着したときには、図11に示すように、工具回転軸O近傍に配置されるインサートの端部とその近傍は、工具回転軸O近傍に接近した状態になっている。
インサートをそれぞれのインサート取付座に装着する手順は、例えば、次の装着手順1〜4に基づいて行うことができる。
(装着手順1):
切削用インサートの下面部を、工具本体の先端部に設けたインサート取付座の着座面に載置して、インサート固定用ネジを用いてインサートの仮止めを行う。このとき、切削用インサートのコーナR刃が工具本体の先端部の外周側に位置するように配置するとともに、切削用インサートの底刃を工具本体の先端部から軸線O方向に所定の長さほど突出させ、外周刃を先端部の端部から工具本体の外周方向に所定の長さほど突出させるようにする。切削用インサートの底刃は、軸線O上に位置しないように配置される。
次に、別の3枚の切削用インサートも同様に、その下面部を、工具本体の先端部に設けたインサート取付座の着座面に載置して、インサート固定用ネジを用いてインサートの仮止めを行う。
(装着手順2):
上記装着手順1に基づいて仮止めした4枚の切削用インサートについて、これらインサートの位置決め精度と、4つの最下点S1、S2、S3及びS4が、軸線Oと直交する平面であって同一の平面上に位置するようになっているか否かを、画像処理を用いた測定装置により測定して判定する。そして、所定の設定値になっていることが確認されると、上記した各固定用ネジを所定のトルク値まで増し締めを行って、4枚の切削用インサートを、第1から第4のインサート取付座に強固に固定する。
(第2の実施形態)
図12〜図14は、本発明の第2の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミル(21)について、インサートを装着していないときの工具本体(22)の構成を示す図であって、図12は工具本体(22)の平面図、図13は工具本体を工具回転軸O方向からみたときの先端部の構成を拡大して示した正面図、図14は図12に示す工具本体を、90度異なる紙面下方向からみたときの先端部の構成を示す側面図である。
工具本体の一方の端部となる先端部には、切れ刃となるインサートを装着して締め付け部材となる固定用ネジによりこのインサートを着脱自在に固定するための取付座が形成されている。工具本体の他方の端部は、刃先交換式ラジアスエンドミルを加工装置に取り付けるためのシャンク部となる。工具本体は、例えば、SKD61等の合金工具鋼から製造されている。
次に、切れ刃を備えたインサートを装着して固定するための取付座(24)の構成について説明する。工具本体の先端部には、第5取付座(24a)と、第6取付座(24b)と、第7取付座(24c)が形成されている。図13及び図14に示すように、第5取付座は、先端部の前面部から、軸線Oを含んでこの軸線O方向に所定の深さを有し、かつ、工具本体の径方向に先端部を貫くように形成されたスリット状のインサート嵌合溝(25)から構成されている。
図14に示すように、第5取付座(24a)となるインサート嵌合溝は、所定の間隔を設けて対向するように形成した側面壁25a、25bと、底部25cを備えており、これら側面壁25aと25bは軸線Oを挟んで平行になるように、機械加工により形成されている。また、インサート嵌合溝が軸線O方向に向かって形成された溝の中心線は、軸線Oと一致させている。この第5取付座は、切れ刃を備えた第5のインサート(26a)、(図18、図19参照)をインサート嵌合溝内に装着して、インサート嵌合溝内に固定するための取付座になる。なお、工具本体の先端部は、インサート嵌合溝の形成により2分割された構成になり、以下の説明において、この2分割された先端部の一方を先端半体部(23a)、他方を先端半体部(23b)として説明する。
図12〜図14に示すように、先端半体部(23a)の外面部には第6取付座(24b)が、先端部半体(23b)の外面部には第7取付座(24c)が形成されている。第6取付座は、切れ刃を備えた第6のインサート(26b)(図20参照)を装着して固定するための取付座になる。また、第7取付座は、切れ刃を備えた第7のインサート(26c)を装着して固定するための取付座になる。第6取付座と第7取付座は、それぞれ第6及び第7のインサートを装着するために軸線O方向に形成された着座面を備えている。なお、これら着座面には、それぞれ第6及び第7のインサートを、締め付け部材となる固定用ネジによるネジ締結により固定するためのネジ穴が形成されている。
図13に示すように、一方の先端半体部(23a)の表面部から、インサート嵌合溝を介して他方の先端半体部(23b)内に向けて第5インサート固定用ネジ穴(27a)が形成されている。第5インサート固定用ネジ穴は、第5取付座に装着された第5のインサートを、第5の固定用ネジ(28a)により固定するためのネジ穴になる。なお、第5インサート固定用ネジ穴は、一方の先端半体部(23a)を貫通し、インサート嵌合溝を介して他方の先端半体部(23b)の内部の所定の深さまで形成され、先端半体部(23b)内に設けた第5インサート固定用ネジ穴にはネジ溝が刻設されている。このネジ溝は、第5の固定用ネジのネジ部とネジ嵌合するために設けたものである。
図13に示しているように、第5インサート固定用ネジ穴の中心線の向き(直線O3)は、インサート嵌合溝が工具本体の半径方向に向かう向きとなる直線(中心線)O1と直交する直線O2に対して、角度θほど傾斜させた方向に形成している。また、この角度θ、すなわち、第5インサート固定用ネジ穴の向きO3は、図13に示すように、切削加工時における工具本体(ラジアスエンドミル)の回転方向をRとしたときに、角度θほど直線O2に対してこの回転方向Rと逆方向に傾斜させている。本発明において、第5インサート固定用ネジ穴の向きが、この直線O2に対して傾斜する傾斜角度θ(度)は、第2の実施形態においては、20≦θ≦40の範囲に設定することが望ましい。θ値を上記の数値範囲内に設定することにより、切削加工時において切削用インサートの切れ刃が被削材から被る切削抵抗の半径方向成分に対して、切削用インサートを取付座に強固に固定することができる。なお、図13に示す29は先端部に形成した切屑排出の溝である。
(第2の実施形態における刃先交換式ラジアスエンドミルの構成)
図15〜図17は、本発明の第2の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミルの構成を説明するための図であって、図13に示す工具本体の第5取付座に第5のインサートを、第6取付座に第6のインサートを、第7取付座に第7のインサートを装着して固定したときの状態を示す図である。
図15(図17)に示すように、第5取付座を構成するインサート嵌合溝に装着された第5のインサートは、固定用ネジ(28a)を用いたネジ締めにより固定される。また、第6取付座に装着された第6のインサートは、固定用ネジ(28b)を用いたネジ締めにより固定され、さらに第7取付座に装着された第7のインサートは、固定用ネジ(28c)を用いたネジ締めにより固定される。
図16に示す例では、第6のインサートと第7のインサートは、軸線Oに対して対称となるそれぞれの先端半体部(23a、23b)に設けた取付座6、7に固定した例を示しているが、第6及び第7のインサートを、必ずしも軸線Oに対して対称となる位置に固定する必要はない。この場合には、先端半体部(23a、23b)に形成する第6取付座と第7取付座の位置とその形状などを適切に設定するようにする。
図16に示すように、刃先交換式ラジアスエンドミルを工具回転軸O方向からみたときの先端部の正面図において、切削用インサートは第5から第7のインサート取付座に装着された状態であり、切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して回転半径方向に変位させている。即ち、図16に示すように、第5のインサート取付座に装着された第5の切削用インサートの最外周点G21とG22との回転軌跡J2と、第6、第7のインサート取付座に装着された第6、第7の切削用インサートの最外周点G23とG24との回転軌跡K2とは、異なる回転半径を有していることから、最外周点の回転軌跡が一致していない。この様に切れ刃を配置させることによって、本発明の効果を得ることができる。即ち、コーナーR刃を主体にした立ち壁の切削加工の制御を実施したときに、一刃当たりの切削負荷が不均等となるものの、この変位によってインサートの一部は切削負荷が軽減され、低負荷のコーナーR刃が設けられる。ここで、切削負荷の軽減されたコーナーR刃は、切れ刃における高温化を回避することが可能となることから、被削材の溶着現象を回避して、優れた仕上げ面の表面性状を得ることが可能となる。
更に、回転軌跡J2と回転軌跡K2との回転半径方向の変位の距離H(mm)は、0.04≦H≦0.40、の範囲で変位させることが好ましい。即ち、図16では、回転軌跡J2の回転半径は、回転軌跡K2の回転半径よりも、距離H(mm)大きくなっている。ここで、H値が0.04未満の場合は、変位量が小さいため、切れ刃の高温化を回避することができない。そのため、被削材の溶着現象を回避できないため、被削材の優れた加工面の表面性状を得るといった効果を得ることができない。一方、H値が0.40を超えて大きい場合は、切削時の各切れ刃の抵抗負荷に差が発生して振動が起こり、被削材の加工面性状が悪化してしまうといった不具合が生じてしまう。従って、距離Hは、0.04≦H≦0.40、の範囲に設定することが好ましい。
第2の実施形態においてθ値を、20≦θ≦40度、の数値範囲内に設定することによって、切削用インサートを取付座に装着して固定するための固定形態が改善される。その結果、工具振動の発生や切削抵抗の増大が抑制され、金型等の被削材の仕上げ加工を高速、高能率で行っても、切れ刃の寿命を長寿命化するとともに、加工面の表面粗さを向上させることが可能となる。
図16に示す本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルの第2の実施形態においては、インサートに設けた一方の端部が工具回転軸を基準として相互に対称となる位置にあって、底刃が互いにより近接させた構成としたことを示している。図16に示す例では、第6、第7インサートが備えている底刃の端部は、工具回転軸Oから離間しており、底刃の端部は、工具回転軸Oと交差することの無いように配置されてる場合である。
(切削用インサートの構成)
インサートの構成を、図18から図20を参照して説明する。図18は第5の切削用インサートについて上面部の構成を示す平面図である。図20は、第6、第7の切削用インサートについて上面部の構成を示す平面図である。
(第5のインサートの構成)
第5のインサートの構成を、図18、図19を参照して説明する。図18は第5のインサートについて上面部の構成を示す図、図19は図18に示すA−A線における断面の形状を示す図である。
第5のインサートの形状は、所定の厚さを有する平板状をなし、平面視で横方向の長さをX、縦方向の長さをYとした略四角形状をなし、その材質は超硬合金製である。第5のインサートの上面部(26aa)と下面部(26ab)に囲まれた前面部には、切れ刃となる底刃(26acと26ad)が形成され、前面部の周辺部には曲率半径r1をなすコーナR刃(26aeと26af)が形成され、2つの側面部には外周刃(26agと26ah)が形成されている。なお、底刃(26acと26ad)は、それぞれコーナR刃(26ae、26af)の端部から軸線O方向に向かって形成されるとともに、さらに、後面部(26ai)方向に、軸線Oと直交する面に対して角度αで傾斜するように形成されている。この傾斜角度α(度)は、1〜5度の範囲に設定する。
第5のインサートにおいては、その側面部の前面部側から後面部側に向けて形成された外周刃と、第5のインサートの前面部に形成された底刃とは、曲率半径r1をなすコーナR刃により繋がれており、これら底刃、コーナR刃、外周刃は、第5のインサートにおいて、一つの切れ刃を構成する。なお、この切れ刃は、コーナR刃の一方の端部が底刃の端部に繋がり、コーナR刃の他方の端部が外周刃の端部と繋がるように構成されている。
第5のインサートは、2つ(2枚)の切れ刃を備えていることになる。そして、第5のインサートを第5取付座に装着して、その上面部と下面部を、対応するインサート嵌合溝の側面壁に当接させた状態で固定したときには、第5のインサートの底刃、コーナR刃、外周刃は工具本体の先端部及び外側部から所定の長さほど突出させるようにする。なお、外周刃は、図18に示す軸線Oと平行になるように形成するか、あるいは軸線O方向(底刃方向)に所定の角度傾斜させたテーパ形状とした切刃を備えているようにしてもよい。
図18に示す第5のインサートの後端部は、例えば、直線状の平面をなす面(直線状後面部)であって、第5のインサートを第5取付座に装着したときに、インサート嵌合溝の底部に当接させる部分になる。このため、直線状後面部には仕上げ加工を施しておくようにすることが望ましい。また、直線状後面部の他の実施形態としては、第5のインサートをインサート嵌合溝の底部に位置合わせするために、例えば平面視でV字状など凸形状をなすようにし、インサート嵌合溝の底部を凹形状としてもよい。
図18に示すように、第5のインサートは、上面部から下面部に向けて傾斜して貫通する傾斜ネジ挿通穴(26aj)を備えている。さらに、傾斜ネジ挿通穴の内周面には仕上げ加工を施した内周面部(26ak)を形成している。図18に示す26apはすくい面であって、上面部(下面部)に対してその高さを若干低くした平面状をなしている。また、図18に示す直線O6は、平面視において第5のインサートの高さYを2等分する直線であって、第5のインサートを第5取付座に装着して固定したときに軸線Oと一致する直線である。2つの底刃のそれぞれの一方の端部は、この直線O6、又は直線O6の近傍まで形成され、かつ、2つの底刃は直線O6に向かって角度αの中低勾配をなすように形成されている。
図18に示すS21とS22は、第5のインサートを工具本体の第5取付座に装着して固定したときに、工具本体の最下点となる位置を示している。この最下点S21の位置は、コーナR刃と底刃との繋ぎ部(接続部)、またはコーナR刃の切れ刃稜線上であってこの繋ぎ部の近傍になるように、第5のインサートの形状及び第5取付座の着座面の構造を適切に設計する。また、最下点S22の位置も、同様に、コーナR刃と底刃との繋ぎ部(接続部)、またはコーナR刃の切れ刃稜線上であってこの繋ぎ部の近傍になるようにする。この最下点S21とS22は、第5のインサートを第5取付座に装着して固定したときに、軸線O(O6)と直交する平面上に位置するようにする。
図18に示すG21は、コーナR刃と外周刃との繋ぎ部に位置する最外周点G21を示す。また、G22はコーナR刃と外周刃の繋ぎ部に位置する最外周点G22を示す。このように、第5のインサートを工具本体の第5取付座に装着して固定したときには、工具本体における2つの最下点S21、S22と2つの最外周点G21、G22が第5のインサートの切れ刃上に生じることになる。
本発明の第2の実施形態におけるラジアスエンドミルに装着する第5のインサートが備えている傾斜ネジ挿通穴の構成について説明する。図18に示す第5のインサートのA−A線(傾斜ネジ挿通穴の中心線を通り直線O6と直交する平面)の断面の状態を示す図19において、傾斜ネジ挿通穴の向き、すなわち、傾斜ネジ挿通穴の中心線を通る直線O8の向きは、第5のインサートの断面の中心線O7に対して角度δほど傾斜させている。なお、図19に示す直線O7は、第5のインサートの上面部(又は下面部)に対して直交する直線を示す。そして、傾斜ネジ挿通穴の内周面が直線O8に沿う向きも、角度θほど傾斜した方向に設けるとともに、傾斜ネジ挿通穴の内周面には仕上げ加工を施した内周面部を形成している。なお、角度θ、すなわち第5インサート固定用ネジ穴の向きO3の傾斜角度と同じ角度、すなわち、20≦θ≦40度の、適切な角度に設定する。
本発明の第2の実施形態におけるラジアスエンドミルは、第5のインサートを第5取付座(インサート嵌合溝)に装着して固定用ネジにより固定したときに、第5のインサートの傾斜ネジ挿通穴と工具本体に設けた第5インサート固定用ネジ穴の向きは、ともに、インサート嵌合溝が工具本体の半径方向に向かう直線O1と直交する直線O2に対して、工具本体の回転方向Rとは逆方向に角度θ(角度θは、20〜40度)傾斜させた方向になるように構成している。この構成は、本発明の特徴の一つとなるものである。
この特徴により、第6及び第7のインサートを、それぞれ第6及び第7取付座に装着して、固定用ネジにより、安定した状態で固定するためのスペース、すなわち、工具本体の先端半体部に、第6及び第7取付座と、固定用ネジをねじ込むためのネジ穴を設けるスペースを十分に確保することができるようになり、第6及び第7取付座にそれぞれ第6及び第7のインサートを安定した状態で強固に固定することが可能になる。
この特徴により、刃先交換式ラジアスエンドミルは、2つ(2枚)の切れ刃を有する第5のインサートと、それぞれ1枚の切れ刃を有する第6及び第7のインサートを備えた、いわゆる4枚刃を備えた刃先交換式ラジアスエンドミルとすることができるので、2枚刃からなる刃先交換式ラジアスエンドミルと比較して高速度の切削加工が可能になるという効果が生じる。
第6及び第7のインサートを、それぞれ固定用ネジにより第6及び第7取付座に装着して固定するための十分なスペースを確保して、4枚刃からなる刃先交換式ラジアスエンドミルの構成にするためには、角度θは、20°≦θ≦40°の範囲に設定することが望ましい。この理由は、工具刃径(D)が20mm〜30mm程度の工具本体において、θを20°≦θ≦40°の範囲に設定すると、第6及び第7のインサートをそれぞれ第6及び第7取付座に、固定用ネジにより安定した状態で固定するためのスペースを十分に確保することができるからである。
(第6、7のインサートの構成)
第6、第7取付座に着脱自在に装着して固定される第6、第7のインサート(26b、26c)の構成について説明する。図20は第6、7のインサートについて上面部の構成を示す平面図である。なお、第6、7のインサートは同一の構成である。
図20に示すように、第6、7のインサートの形状は、所定の厚さを有する平板状をなし、平面視で略四角形状、または多角形状をなし、その基体は超硬合金からなっている。第6のインサートの上面部(26ba)と下面部(26bb)との間の側面部であってその前面部には切れ刃となる直線状の底刃(26bc)が、前面部の外側端部にはR形状をなすコーナR刃(26be)が、外面部には外周刃(26bg)が形成されている。コーナR刃は、平面視で曲率半径r1のR形状をなす切れ刃を有している。なお、曲率半径r1の値は、第5のインサートのコーナR刃と同じ曲率半径r1としている。そして、外周刃と底刃とは、コーナR刃のそれぞれの端部に繋がれている。従って、第6、第7のインサートは、底刃とコーナR刃と外周刃からなる一つ(1枚)の切れ刃を有するインサートとして構成されている。
図20に示すように、平面視において底刃は、コーナR刃の端部からネジ挿通穴(26bj)の方向に角度αをなすように傾斜するように形成されている。この傾斜角度α(度)は、1〜5度程度の範囲に設定する。
第6、第7のインサートは、上面部から下面部まで貫通して形成されたネジ挿通穴を備えている。ネジ挿通穴は、第6、第7取付座にこの第6、第7のインサートを装着して固定するときに、固定用ネジを挿通させるための挿通穴である。なお、ネジ挿通穴の中心線の向きは、下面部に対して直交する方向に形成され、下面部が第6、第7取付座の着座面に固定される部分になる。
工具刃径(D)が40mmより小さくなる場合の望ましい例として、ネジ挿通穴の中心線の向きは、下面部に対して傾斜した方が望ましい。このときの傾斜は、工具本体の回転方向Rとは逆方向、10度以内の角度で傾斜させたることが好ましい。この理由は、工具本体に固定した場合の固定用ネジのネジ部と第6、第7取付座に設けた雌ネジ部との螺合する有効ネジ山数が増やせるからである。また、図20に示す26bpは第6のインサートのすくい面であって、上面部に対してその高さを若干低くした平面状をなしている。
第6、第7のインサートの基体は、超硬合金製の部材から構成し、切れ刃となる底刃、コーナR刃、外周刃も、超硬合金製の基体と一体に金型成形等により成形することができる。
本発明において、第6、第7のインサートは、その基体を金型成形等により作製した超硬合金製とし、この基体の上面部と下面部とがなす側面部に、硬質焼結体製の切れ刃となる底刃、コーナR刃、外周刃をロウ付けにより接合して、図20に示すような構成からなる第6、第7のインサートを装着することが望ましい。なお、この硬質焼結体としては、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を質量比で95%程度含む部材を用いることが好ましい。
本発明において、第6、第7のインサートの切れ刃となる底刃と、コーナR刃と、外周刃を立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体から構成すると、全体を超硬合金製としたインサートと比較して、高速度の切削加工を行うためのインサートとして、より耐摩耗性と耐熱性を発揮させることが可能になる。
第6、第7のインサートに形成する外周刃は、第6取付座、第7取付座に装着したときに、軸線Oと平行になるように形成するか、あるいは軸線O方向に、所定の角度傾斜させたテーパ形状とした切刃を備えているようにしてもよい。
第6、第7のインサートを第6、第7取付座に装着して固定したときには、第6、第7のインサートのコーナR刃が工具本体の先端部の外周側に位置するように配置するとともに、第6、第7のインサートの底刃を工具本体の先端部から軸線O方向に所定の長さほど突出させ、外周刃を先端部の端部から工具本体の外周方向に所定の長さほど突出させるようにする。さらに、第6、第7のインサートを第6、第7取付座に装着して固定したときには、図16又は図17に示すように、第6、第7のインサートの底刃は、軸線O上に位置しないようにする。
図17に示すS23は、第6のインサートを第6取付座に装着して固定したときに、工具本体の最下点となる位置を示し、G23は最外周点を示している。この最下点(S23)の位置は、コーナR刃と底刃との繋ぎ部(接続部)、またはコーナR刃の切れ刃稜線上であってこの繋ぎ部の近傍になるようにし、最外周点(G23)はコーナR刃と外周刃との繋ぎ部に位置するように、第6のインサートの形状及び第6取付座の着座面の構造を適切に設計する。また、第7のインサートについても、同様である。
本発明においては、工具本体の第5取付座に第5のインサートを、第6取付座に第6のインサートを、第7取付座に第7のインサートを装着して固定したときには、前記した4つの最下点S21、S22、S23及びS24は、軸線Oと直交する平面であって同一の平面上に位置するようにしている。このように配置することにより、底刃を主体にした平面部の切削加工の制御を実施したときに、工具振動の発生が抑制されるので、インサートの取付座に対する位置ズレを、更に防止することが可能になる。
工具本体の第5取付座から第7取付座に、それぞれ第5、第6、第7のインサートを装着して固定したときに、工具本体の軸線Oを回転中心とした第5インサートの外周刃上の最外周点G21、G22の回転軌跡J2が、工具刃径(D)を直径とした円をなす。一方、この回転軌跡J2よりも半径が距離H小さい回転軌跡K2の円周上に、最外周点G23、G24が存在するようにしている。即ち、回転軌跡J2の円周上に、第6、第7インサートの外周刃上の最外周点G23、G24が存在しないようにしている。
本発明において、上記したように、工具本体に同じ形状をした4枚の切削用インサートを装着して固定したときに、4つの最下点S1、S2、S3及びS4が軸線Oと直交する同一の平面(O5)上に位置する構成とすることが好ましい。
(第3の実施形態)
図21、図22は、本発明の第3の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミル(31)について、インサートを装着したときの正面図であって、図22は図21に示す刃先交換式ラジアスエンドミルを、90度異なる紙面下方向からみたときの先端部の構成を示す側面図である。工具本体は、例えば、SKD61等の合金工具鋼から製造されている。
切れ刃を備えたインサートを装着して固定するための取付座の構成は、基本的には第2の実施径形態における構成と一致している。工具本体の先端部には、第8取付座(34a)と、第9取付座と、第10取付座が形成されている。第8取付座は、先端部の前面部から、軸線Oを含んでこの軸線O方向に所定の深さを有し、かつ、工具本体の径方向に先端部を貫くように形成されたスリット状のインサート嵌合溝(35)から構成されている。工具本体の先端部は、インサート嵌合溝の形成により2分割された構成になり、この2分割された先端部の一方を先端半体部(33a)、他方を先端半体部(33b)として説明する。
第8取付座は、切れ刃を備えた第8のインサート(36a)(図23参照)をインサート嵌合溝内に装着して、インサート嵌合溝内に固定するための取付座になる。
第9取付座は、切れ刃を備えた第9のインサート(36b)(図24参照)を装着して固定するための取付座になる。また、第10取付座は、切れ刃を備えた第10のインサート(36c)(図24参照)を装着して固定するための取付座になる。第9取付座と第10取付座は、それぞれ第9及び第10のインサートを装着するために軸線O方向に形成された着座面を備えている。なお、これら着座面には、それぞれ第9及び第10のインサートを、締め付け部材となる固定用ネジによるネジ締結により固定するためのネジ穴が形成されている
本発明の第3の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミルにおける第8インサートの固定の構成は、第2の実施形態と同様である。即ち、図13に示しているのと同様に、第8インサート固定用ネジ穴の中心線の向きは、インサート嵌合溝が工具本体の半径方向に向かう向きとなる直線と直交する直線に対して、角度θほど傾斜させた方向に形成している。また、この角度θは、切削加工時における工具本体(ラジアスエンドミル)の回転方向をRとしたときに、角度θほど直線O2に対してこの回転方向Rと逆方向に傾斜させている。
(第3の実施形態における刃先交換式ラジアスエンドミルの構成)
図21、図22は、本発明の第3の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミルの構成を説明するための図であって、図21、図22に示すように、第8取付座を構成するインサート嵌合溝に装着された第8のインサートは、固定用ネジ(38a)を用いたネジ締めにより固定される。また、第9取付座に装着された第9のインサートは、固定用ネジ(38b)を用いたネジ締めにより固定され、さらに第10取付座に装着された第10のインサートは、固定用ネジ(38c)を用いたネジ締めにより固定される。
本発明の第3の実施形態となる刃先交換式ラジアスエンドミルにおける第8から第10インサートの最外周点の回転軌跡の構成は、第2の実施形態と同様である。即ち、図16に示すように、刃先交換式ラジアスエンドミルを工具回転軸O方向からみたときの先端部の正面図において、切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して回転半径方向に変位させている。第8のインサート取付座に装着された第8の切削用インサートの最外周点G31とG32との回転軌跡J3と、第9、第10のインサート取付座に装着された第9、第10の切削用インサートの最外周点G33とG34との回転軌跡K3とは、異なる回転半径を有していることから、最外周点の回転軌跡が一致していない。この様に切れ刃を配置させることによって、本発明の効果を得ることができる。
更に、回転軌跡J3と回転軌跡K3との回転半径方向の変位の距離H(mm)は、0.04≦H≦0.40、の範囲で変位させることが好ましい。即ち、回転軌跡J3の回転半径は、回転軌跡K3の回転半径よりも、距離H(mm)大きくなっている。
図21、図22に示す本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルの第3の実施形態においては、第8から第10インサートが備えている底刃は円弧形状を有し、この円弧半径は、工具の刃径よりも大きな円弧半径(Q)を有している。特に第8インサートの底刃は円弧形状を有していることから、この底刃は、工具回転軸Oとの交差点を有している。
第8から第10インサートが備えている円弧形状底刃の円弧半径(Q)は、工具刃径(D)より大きく設定することが好ましい。例えば、D値が30mmの場合にQ値を50〜200mmとすることが好ましい。この様に、大きな円弧半径を有する底刃を有することによって、本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルにおける第3の実施形態では、仕上げ加工を高能率に遂行することが可能となる。即ち、切削加工条件である工具送り量を大きくした場合であっても、各送り間の段差(以下、カプスハイトと言う。)を小さくすることが可能となるため、被削材の加工面性状を良好に保ちつつ、高能率な仕上げ加工を行うことができるのである。
(切削用インサートの構成)
インサートの構成を、図23、図24を参照して説明する。図23は第8の切削用インサート、図24は第9、第10の切削用インサートについて、その上面部の構成を示す平面図である。なお、第9、第10の切削用インサートは、同じ構成となっている。
(第8のインサートの構成)
第8のインサートの構成を、図23を参照して説明する。第8のインサートの形状は、所定の厚さを有する平板状をなし、平面視で略四角形状をなし、その材質は超硬合金製である。第8のインサートの上面部(36aa)と下面部(36ab)に囲まれた前面部には、切れ刃となる底刃(36acと36ad)が形成され、前面部の周辺部には曲率半径r1をなすコーナR刃(36aeと36af)が形成され、2つの側面部には外周刃(36agと36ah)が形成されている。なお、底刃(36acと36ad)は、それぞれコーナR刃(36ae、36af)の端部から軸線O方向に向かって形成されるとともに、さらに、先端部方向に凸円弧形状となるように形成されている。円弧形状底刃の円弧半径(Q)は、工具刃径(D)より大きく設定することが好ましい。例えば、このQ値は、D値が30mmの場合に、50〜200mmの範囲に設定することが好ましい。
第8のインサートにおいては、その側面部の前面部側から後面部側に向けて形成された外周刃と、第8のインサートの前面部に形成された底刃とは、曲率半径r1をなすコーナR刃により繋がれており、これら底刃、コーナR刃、外周刃は、第8のインサートにおいて、一つの切れ刃を構成する。なお、この切れ刃は、コーナR刃の一方の端部が底刃の端部に繋がり、コーナR刃の他方の端部が外周刃の端部と繋がるように構成されている。
第8のインサートは、2つ(2枚)の切れ刃を備えていることになる。そして、第8のインサートを第8取付座に装着して、その上面部と下面部を、対応するインサート嵌合溝の側面壁に当接させた状態で固定したときには、第8のインサートの底刃、コーナR刃、外周刃は工具本体の先端部及び外側部から所定の長さほど突出させるようにする。なお、外周刃は、図21に示す軸線Oと平行になるように形成するか、あるいは軸線O方向(底刃方向)に所定の角度傾斜させたテーパ形状とした切刃を備えているようにしてもよい。
図23に示す第8のインサートの後端部は、例えば、直線状の平面をなす面(直線状後面部)であって、第8のインサートを第8取付座に装着したときに、インサート嵌合溝の底部に当接させる部分になる。このため、直線状後面部には仕上げ加工を施しておくようにすることが望ましい。また、直線状後面部の他の実施形態としては、第8のインサートをインサート嵌合溝の底部に位置合わせするために、例えば平面視でV字状など凸形状をなすようにし、インサート嵌合溝の底部を凹形状としてもよい。
図23に示すように、第8のインサートは、上面部から下面部に向けて傾斜して貫通する傾斜ネジ挿通穴(36aj)を備えている。さらに、傾斜ネジ挿通穴の内周面には仕上げ加工を施した内周面部(36ak)を形成している。図23に示す36apはすくい面であって、上面部(下面部)に対してその高さを若干低くした平面状をなしている。
図23に示すS31は、第8のインサートを工具本体の第8取付座に装着して固定したときに、工具本体の最下点となる位置を示している。この最下点S31の位置は、底刃が、工具回転軸Oとの交差点である。
図23に示すG31は、コーナR刃と外周刃との繋ぎ部に位置する最外周点G31を示す。また、G32はコーナR刃と外周刃の繋ぎ部に位置する最外周点G32を示す。このように、第8のインサートを工具本体の第8取付座に装着して固定したときには、工具本体における最下点S31と、2つの最外周点G31、G32が第8のインサートの切れ刃上に生じることになる。
本発明の第3の実施形態におけるラジアスエンドミルに装着する第8のインサートが備えている傾斜ネジ挿通穴の構成については、第2の実施形態における第5のインサートと同様な構成にすることができるので、説明は省略する。
本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルにおける第3の実施形態は、2つ(2枚)の切れ刃を有する第8のインサートと、それぞれ1枚の切れ刃を有する第9及び第10のインサートを備えた、いわゆる4枚刃を備えた刃先交換式ラジアスエンドミルとすることができるので、2枚刃からなる刃先交換式ラジアスエンドミルと比較して高速度の切削加工が可能になるという効果が生じる。
(第9、10のインサートの構成)
第9、第10取付座に着脱自在に装着して固定される第6、第7のインサート(36b、36c)の構成について説明する。図24は第9、10のインサートについて上面部の構成を示す平面図である。なお、第9、10のインサートは同一の構成である。
図24に示すように、第9、10のインサートの形状は、所定の厚さを有する平板状をなし、平面視で略三角形状、または多角形状をなし、その基体は超硬合金からなっている。第9のインサートの上面部(36ba)と下面部(36bb)との間の側面部であってその前面部には切れ刃となる直線状の底刃(36bc)が、前面部の外側端部にはR形状をなすコーナR刃(36be)が、外面部には外周刃(36bg)が形成されている。コーナR刃は、平面視で曲率半径r1のR形状をなす切れ刃を有している。
なお、曲率半径r1の値は、第8のインサートのコーナR刃と同じ曲率半径r1としている。そして、外周刃と底刃とは、コーナR刃のそれぞれの端部に繋がれている。従って、第9、第10のインサートは、底刃とコーナR刃と外周刃からなる一つ(1枚)の切れ刃を有するインサートとして構成されている。
図24に示すように、平面視において底刃(36bc)は、コーナR刃の端部から底刃の端部(36bd)方向に向かって形成されるとともに、さらに、先端部方向に凸円弧形状となるように形成されている。第9、第10のインサートの円弧形状底刃の円弧半径(Q)は、第8インサートの底刃のQ値と同じ値に設定する。従って、工具刃径(D)より大きく設定することが好ましい。例えば、このQ値は、D値が30mmの場合に、50〜200mmの範囲に設定することが好ましい。
第9、第10のインサートは、上面部から下面部まで貫通して形成されたネジ挿通穴を備えている。ネジ挿通穴は、第9、第10取付座にこの第9、第10のインサートを装着して固定するときに、固定用ネジを挿通させるための挿通穴である。なお、ネジ挿通穴の中心線の向きは、下面部に対して直交する方向に形成され、下面部が第9、第10取付座の着座面に固定される部分になる。また、図24に示す36bpは第9のインサートのすくい面であって、上面部に対してその高さを若干低くした平面状をなしている。
第9、第10のインサートの基体は、超硬合金製の部材から構成し、切れ刃となる底刃、コーナR刃、外周刃も、超硬合金製の基体と一体に金型成形等により成形することができる。
本発明において、第9、第10のインサートは、その基体を金型成形等により作製した超硬合金製とし、この基体の上面部と下面部とがなす側面部に、硬質焼結体製の切れ刃となる底刃、コーナR刃、外周刃をロウ付けにより接合して、図24に示すような構成からなる第9、第10のインサートを装着することが望ましい。なお、この硬質焼結体としては、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を質量比で95%程度含む部材を用いることが好ましい。
本発明において、第9、第10のインサートの切れ刃となる底刃と、コーナR刃と、外周刃を立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体から構成すると、全体を超硬合金製としたインサートと比較して、高速度の切削加工を行うためのインサートとして、より耐摩耗性と耐熱性を発揮させることが可能になる。
第9、第10のインサートに形成する外周刃は、第9取付座、第10取付座に装着したときに、軸線Oと平行になるように形成するか、あるいは軸線O方向に、所定の角度傾斜させたテーパ形状とした切刃を備えているようにしてもよい。
第9、第10のインサートを第9、第10取付座に装着して固定したときには、第9、第10のインサートのコーナR刃が工具本体の先端部の外周側に位置するように配置するとともに、第9、第10のインサートの底刃を工具本体の先端部から軸線O方向に所定の長さほど突出させ、外周刃を先端部の端部から工具本体の外周方向に所定の長さほど突出させるようにする。さらに、第9、第10のインサートを第9、第10取付座に装着して固定したときには、第9、第10のインサートの底刃は、軸線O上に位置しないようにする。
工具本体の第8取付座から第10取付座に、それぞれ第8、第9、第10のインサートを装着して固定したときに、工具本体の軸線Oを回転中心とした第8インサートの外周刃上の最外周点G31、G32の回転軌跡J3が、工具刃径(D)を直径とした円をなす。一方、この回転軌跡J3よりも半径が距離H小さい回転軌跡K3の円周上に、最外周点G33、G34が存在するようにしている。即ち、回転軌跡J3の円周上に、第9、第10インサートの外周刃上の最外周点G33、G34が存在しないようにしている。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、前記した第1から第3の実施形態において、WC基超硬合金製の切削用インサートが備えている切れ刃について、そのいずれか又は全ての切れ刃を、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)から構成された切れ刃(以下、「CBN製の切れ刃」という)とした刃先交換式ラジアスエンドミルである。なお、CBN製の切れ刃は、立方晶窒化硼素焼結体(CBN)を質量比で95%程度含む部材を用いることが好ましい。この第4の実施形態においては、次の3種の態様(第1の態様、第2の態様)を備えた刃先交換式ラジアスエンドミルを製作することができる。
(第1の態様):
第1の実施形態においては、第1、第3のインサート取付座(4a、4c)に装着した切削用インサートの切れ刃は、CBN製の切れ刃とし、第2、第4のインサート取付座(4b、4d)に装着したインサートの切れ刃は、WC基超硬合金製とする。
(第2の態様):
第1の実施形態においては、第1から第4のインサート取付座に装着した切削用インサートの全ての切れ刃をCBN製の切れ刃とする。
(第3の態様):
第2の実施形態においては、第5のインサート取付座(24a)に装着した切削用インサートの切れ刃は、CBN製の切れ刃とし、第6、第7のインサート取付座(24c、24c)に装着したインサートの切れ刃は、WC基超硬合金製とする。
(第4の態様):
第2の実施形態においては、第5から第7のインサート取付座に装着した切削用インサートの全ての切れ刃をCBN製の切れ刃とする。
(第5の態様):
第3の実施形態においては、第8のインサート取付座(34a)に装着した切削用インサートの切れ刃は、CBN製の切れ刃とし、第9、第10のインサート取付座(34b、34c)に装着したインサートの切れ刃は、WC基超硬合金製とする。
(第6の態様):
第3の実施形態においては、第8から第10のインサート取付座に装着した切削用インサートの全ての切れ刃をCBN製の切れ刃とする。
上記第1から第6の態様において、切削用インサートの切れ刃をCBN製の切れ刃から構成する場合には、そのインサートの本体(基体)はWC基超硬合金製とする。そして、インサートは、WC基超硬合金製の基体の側面部に沿って、WC基超硬合金製切れ刃形状と同じに形成されたCBN製の切れ刃をロウ付けにより強固に接合する。
第4の実施形態において、切削用インサートの一部または全ての切れ刃をCBN製の切れ刃から構成すると、次の効果を発揮することができる。立方晶窒化硼素焼結体(CBN)は、特に耐摩耗性と耐熱性に優れた部材であるので、本発明の刃先交換式ラジアスエンドミルの切れ刃を長寿命化することが可能になる。特に、ラジアスエンドミルにおいては、切削加工中においてコーナーR刃や外周刃は、その回転速度が大きくなるので、この切れ刃の部分に大きな切削加工負荷が作用する。これら切れ刃の一部又は全てをCBN製の切れ刃とすることにより、被削材に高速度で仕上げ加工を実施しても、コーナーR刃や外周刃の早期摩耗やチッピング、欠損の発生を防止することが可能になる。
切削用インサートの切れ刃をCBN製の切れ刃から構成する方法(形成方法)は、例えば、次の形成方法1〜形成方法3により実施することができる。
(形成方法1):
WC基超硬合金からなる切削用インサートの基体に形成されている側面部の周面に沿って、予め、V形状又はU型状等の溝を作製しておく。この側面部の周面に沿った溝の形成は、前記したインサートの製造方法で記載したように、インサートの成形体をプレス金型成形で成形するときに形成することができる。プレス成形体を焼結した後に、焼き肌面となっているこの溝の全側面部を、ダイヤモンド砥粒を含む砥石などを用いて仕上げ加工を実施する。
(形成方法2):
予め、円盤状に成形されている立方晶窒化硼素焼結体について、ワイーヤーカットによって円弧形状で所定の幅を有する立方晶窒化硼素焼結体(以下、「CBN体」という)を切り出す。この切り出したCBN体の一つがCBN製の切れ刃に相当する部材になる。
(形成方法3):
上記形成方法1で記載した、切削用インサートの基体の側面部の周面に沿って形成したV形状又はU形状の溝に、上記形成方法2で切り出したCBN体を、ロウ材を用い、熱処理によって固着する。続いて、側面部に沿って固着したCBN体からなる切れ刃を、ダイヤモンド砥石により仕上げ加工を施す。これにより、CBN製の切れ刃を備えたインサートを製造することができる。なお、側面部に沿って固着されたCBN体の仕上げ加工が終了したときには、このCBN体は切れ刃を構成するので、このCBN製の切れ刃におけるコーナーR刃の半径は、図7に示す半径r1と同一にする必要がある。
(実施例1)
本発明における第1の実施形態を本発明例として、4枚刃からなる刃先交換式ラジアスエンドミル(以下、「本発明例1」という)を作製して、材質がS50Cからなる被削材について、立ち壁の切削加工を、切削距離が1000mとなるまで実施した後に各切れ刃の摩耗状況を観察してそのVBmaxを求めた。また、従来例として従来の2枚刃からなるラジアスエンドミル(以下、「従来例1」という)も作製して同様の平面の切削加工を実施した。切れ刃の摩耗状況を観察して、そのVBmaxを求めた。
実施例1に用いた本発明例1と従来例1の刃先交換式ラジアスエンドミルの仕様は表1に示す通りである。なお、本発明例1の4枚刃の切れ刃は、その交差角度δを90°の等角度とした。
Figure 2014144492
実施例1で実施した切削加工の条件は下記の通りである。なお、本発明例1のテーブル送り速度(Vf)は、2540mm/min、従来例1の送り速度(Vf)は、1270mm/min、の条件とし、両者の1刃当りの送り量(fz)は、0.20mm/刃で同じ条件に設定した。
加工方法 : 乾式切削
切削速度(Vc) : 300m/min
回転数(n) : 3180rpm
1刃当りの送り量(fz): 0.30mm/刃
軸方向切込み量(ap) : 0.30mm
径方向切込み量(ae) : 0.15mm
工具突き出し量 : 110mm
実施例1の切削加工の結果、切れ刃逃げ面の摩耗量を示すVBmaxは0.05mmであった。一方、従来例1の切れ刃の摩耗量のVBmaxは0.10mmであった。この実施例1の結果から、本発明例1のように、インサートの最外周点の回転軌跡を変位させた4枚刃からなる刃先交換式ラジアスエンドミルはビビり振動が抑制され、切れ刃に溶着物が観察されること無く、従来例1の2枚刃からなる刃先交換式ラジアスエンドミルと比較して切れ刃の寿命が約2倍向上することが確認できた。
1:刃先交換式ラジアスエンドミル、
2:工具本体、
3:先端部、
4:インサート取付座、4a:第1の取付座、4b:第2の取付座、
4c:第3の取付座、4d:第4の取付座、
5:着座面、
6:ネジ挿通穴、
7:傾斜縮径部、
8:傾斜縮径部、
9:インサート固定用ネジ、9a:ネジ頭部、9b:円柱部、9c:ネジ部、
10:切屑排出溝、
11:インサート拘束面
12:切削用インサート、
12a:上面部、12b:下面部、12c:底刃を含む側面部、
12d:外周刃を含む側面部、12e:平面状側面部、12f:切れ刃、
12fa:底刃、12fb:外周刃、12fc:コーナーR刃、
12f1:コーナーR刃の一方の端部、12f2:コーナーR刃の他方の端部、
12g:ネジ穴、12h:スクイ面、
21:本発明の第2の実施形態の刃先交換式ラジアスエンドミル、
22:本発明の第2の実施形態の工具本体、
23:本発明の第2の実施形態の工具本体の先端部、
23a:先端半体部、23b:先端半体部、
24:本発明の第2の実施形態のインサート取付座、
24a:第5の取付座、24b:第6の取付座、24c:第7の取付座、
25:インサート嵌合溝、25a:側面壁、25b:側面壁、25c:底部、
26:切削用インサート、
26a:第5の切削用インサート、
26aa:上面部、26ab:下面部、26ac:底刃、26ad:底刃、
26ae:コーナR刃、26af:コーナR刃、26ag:外周刃、
26ah:外周刃、26ai:後面部、26aj:傾斜ネジ挿通穴、
26ak:傾斜ネジ挿通穴の内周面部、26ap:すくい面、
26b:第6の切削用インサート、
26ba:上面部、26bb:下面部、26bc:底刃、26be:コーナR刃、
26bg:外周刃、26bj:傾斜ネジ挿通穴、26bp:すくい面、
26c:第7の切削用インサート、
27a:第5インサート固定用ネジ穴、27b:第6インサート固定用ネジ穴、
27c:第7インサート固定用ネジ穴、
28a:固定用ネジ、28b:固定用ネジ、28c:固定用ネジ、
29:切屑排出の溝、
31:本発明の第3の実施形態の刃先交換式ラジアスエンドミル、
32:本発明の第2の実施形態の工具本体、
33:本発明の第2の実施形態の工具本体の先端部、33a:先端半体部、
33b:先端半体部、
34:本発明の第3の実施形態のインサート取付座、
34a:第8の取付座、34b:第9の取付座、34c:第10の取付座、
35:インサート嵌合溝、
36:切削用インサート、
36a:第8の切削用インサート、
36aa:上面部、36ab:下面部、36ac:底刃、36ad:底刃、
36ae:コーナR刃、36af:コーナR刃、36ag:外周刃、
36ah:外周刃、36ai:後面部、36aj:傾斜ネジ挿通穴、
36ak:傾斜ネジ挿通穴の内周面部、36ap:すくい面、
36b:第9の切削用インサート、
36ba:上面部、36bb:下面部、36bc:底刃、36bd:底刃の端部、
36be:コーナR刃、36bg:外周刃、36bj:傾斜ネジ挿通穴、
36bp:すくい面、
36c:第10の切削用インサート、
37a:第8インサート固定用ネジ穴、37b:第9インサート固定用ネジ穴、
37c:第10インサート固定用ネジ穴、
38a:固定用ネジ、38b:固定用ネジ、38c:固定用ネジ、
39:切屑排出の溝、
D:刃先交換式ラジアスエンドミルの刃径、
G1:最外周点、G2:最外周点、G3:最外周点、G4:最外周点、
G21:最外周点、G22:最外周点、G23:最外周点、G24:最外周点、
G31:最外周点、G32:最外周点、G33:最外周点、G34:最外周点、
H:回転軌跡の回転半径方向の変位の距離、
J:最外周点G1、G3の回転軌跡、K:最外周点G2、G4の回転軌跡、
J2:最外周点G21、G22の回転軌跡、K2:最外周点G23、
G24の回転軌跡、
J3:最外周点G31、G32の回転軌跡、K3:最外周点G33、
G34の回転軌跡、
O:工具回転軸線、
O1:切削用インサートの切れ刃が工具本体の半径方向に向かう直線、
O2:直線O1と直交する直線、
O3:インサート固定用ネジの中心軸線、
O4:切削用インサートの工具回転軸線Oと直交する直線、
O5:工具回転軸線Oと直交する平面、
Q:本発明の第3の実施形態における第8インサート底刃の円弧半径、
R:工具本体の回転方向、
r1:コーナーR刃の円弧半径、
S1:最下点、S2:最下点、S3:最下点、S4:最下点、
S21:最下点、S22:最下点、S23:最下点、S24:最下点、
S31:最下点、
t:インサートの厚さ、
θ:直線O2と直線O3とがなす角度、
θ2:直線O4と直線O3とがなす角度、
α:底刃の傾斜角度、
δ:隣接する切れ刃がなす交差角度。

Claims (6)

  1. 工具本体の先端部に4枚の切れ刃を有し、複数の切削用インサートが着脱自在に装着された刃先交換式ラジアスエンドミルであって、前記工具本体の先端部には、前記切削用インサートを固定用ネジにより固定するためのインサート取付座を有し、前記先端部を工具回転軸方向からみた正面図において、前記切削用インサートを、前記インサート取付座に装着したときの前記固定用ネジの中心軸は、前記切削用インサートの切れ刃が径方向に延びる向きと直交する方向に対して、前記工具本体の回転方向とは逆方向に角度θ(度)傾斜した方向に設定され、前記切削用インサートは平板状をなし、前記切れ刃はその先端面部に形成された底刃と、一方の側面部に形成された外周刃と、前記底刃と前記外周刃とを繋ぐコーナーR刃を有し、前記切削用インサートは、前記固定用ネジにより、前記インサート取付座にネジ締結によって固定され、前記切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して変位していること、を特徴とする刃先交換式ラジアスエンドミル。
  2. 前記切削用インサートを前記インサート取付座に装着したときに、前記切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して回転半径方向に変位しており、前記回転半径方向の変位の距離H(mm)が、0.04≦H≦0.40、回転半径方向の工具回転軸側へ変位させたこと、を特徴とする請求項1に記載の刃先交換式ラジアスエンドミル。
  3. 工具本体の先端部に切れ刃を有し同じ形状をした切削用インサート4枚が着脱自在に装着された刃先交換式ラジアスエンドミルであって、前記工具本体の先端部には、前記切削用インサートを固定用ネジにより固定するための第1、第2、第3、第4のインサート取付座を有し、 前記切削用インサートを前記第1から第4のインサート取付座に装着したときに、前記切削用インサートの少なくとも1つの最外周点の回転軌跡が、他の切削用インサートの最外周点の回転軌跡に対して回転半径方向に変位しており、前記回転半径方向の変位の距離H(mm)が、0.04≦H≦0.40、回転半径方向の工具回転軸側へ変位させたこと、を特徴とする請求項1に記載の刃先交換式ラジアスエンドミル。
  4. 前記切削用インサートを前記インサート取付座に装着したときに、前記工具回転軸方向に対する前記工具本体に装着した前記切削用インサートの最下点が、前記工具回転軸と垂直に交わる同一平面上に存在するように装着されていること、を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の刃先交換式ラジアスエンドミル。
  5. 前記切削用インサートは、超硬合金から構成されていること、を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の刃先交換式ラジアスエンドミル。
  6. 前記切削用インサートの少なくとも1つは、その基体が超硬合金から構成され、前記切れ刃部は、前記超硬合金からなる基体に立方晶窒化硼素焼結体を含む硬質焼結体から形成された切れ刃部を接合した構成とされていること、を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の刃先交換式ラジアスエンドミル。
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