JP3872338B2 - ボールエンドミル用スローアウェイチップ - Google Patents
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- B23C5/02—Milling-cutters characterised by the shape of the cutter
- B23C5/10—Shank-type cutters, i.e. with an integral shaft
- B23C5/1009—Ball nose end mills
- B23C5/1027—Ball nose end mills with one or more removable cutting inserts
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型等の加工に用いられるボールエンドミル用スローアウェイチップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンドミルはフライス工具の一種で、外周に切れ刃があって底面削り、輪郭倣い削り、溝削りなど広い範囲の用途をもっている。そのうち、チップの切れ刃がR形状のボールエンドミルは、金型などの3次元加工で突き加工を含むあらゆる方向に加工ができる工具である。
【0003】
従来、このようなエンドミルに装着するスローアウェイチップとして、図4に示すように、二分の一円弧を越える円弧板状の切刃部21を備えたスローアウェイチップ20や図5に示すように二分の一円弧板状の先端切刃部31と長方形板状の後方切刃部32を備えたスローアウェイチップ30が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には以下のような課題があった。
【0005】
まず、二分の一円弧を越える円弧板状の切刃部21を備えた前者のスローアウェイチップ20は、切刃が摩耗により鈍化したときに切刃(およびその逃げ面)を再研磨しようとしても、切刃再研磨の結果、図6に示すように加工径が変化してしまい、加工精度が悪化するという問題があった。
【0006】
また、二分の一円弧板状の先端切刃部31と長方形板状の後方切刃部32を備えた後者のスローアウェイチップ30は、前記後方切刃部32が長いため、壁際の加工でビビリ発生が起こりやすいといった問題や、引き加工ができないという問題があった。
【0007】
本発明は、これら従来技術の課題に鑑み、摩耗したチップを再利用するため再研磨しても加工径や加工精度が変わらず、壁際の加工でビビらず、また引き上げ加工を可能とすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために請求項1のボールエンドミルは、二分の一円弧板状の先端切刃部を備えた板状体からなり、前記先端切刃部にはその二等分線で区画される前記板状体の表側と裏側の各側に逃げ面とすくい面との稜線部に形成される四分の一円弧状切刃を設け、この四分の一円弧状切刃のそれぞれの後側に前記二等分線に平面視で平行な直線短刃を形成し、該直線短刃のそれぞれの後側にこの直線短刃との接続点から離れるにしたがって平面視で前記二等分線に漸次近づいていく傾斜刃を形成するとともに、前記すくい面を、前記四分の一円弧状切刃の先端において、前記二等分線に対して負のすくい角をもつよう傾けて形成したことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、前記直線短刃を形成したことにより切刃を再研磨する場合に加工径が変わらず加工精度が高い。そして、壁際の加工時には立壁と切刃の接触幅が小さいので切削抵抗が小さくビビリにくい。また、前記直線短刃の後側に前記傾斜刃を設けたことにより引き上げ加工も可能である。
【0011】
またさらに、かかる構成によれば、切刃の再研磨の際に逃げ面を研磨すると刃先高さが上がりすくい面の研磨しろができる。すなわち、切刃の再研磨とともに、すくい面を研磨して切屑摩耗による凹部を除去することで、切屑処理性能を改善することができる。
【0012】
次に、請求項2のボールエンドミル用スローアウェイチップは、前記二等分線に平行な直線短刃の長さが0.5mm〜2mmであることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、切刃を再研磨する場合に加工径が変わらず加工精度が高くする作用と、壁際の加工時にはビビリにくくする作用をより確実に達成することができる。
【0014】
すなわち、直線短刃の長さが0.5mm未満の場合、再研磨により直線切刃も除去されてしまい加工径が変化してしまう恐れがあり、他方、2mmより長い場合、壁際の加工時にビビリが発生し易くなる恐れがある。
【0015】
また、請求項3のボールエンドミル用スローアウェイチップは、前記すくい面の負のすくい角が3°〜10°であることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、切刃の再研磨とともに、すくい面を研磨して切屑摩耗による凹部を除去することで、切屑処理性能を改善するという作用をより確実に達成することができ、さらに、ビビリ抑制に効果がある。
【0017】
すなわち、前記すくい面の負のすくい角が3°未満の場合、十分な研磨しろが取れない傾向があり、他方、10°を越えるとビビリが発生し易くなる恐れがある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を用いて説明する。
【0019】
図1〜図3に本実施形態のボールエンドミル用スローアウェイチップ(以下、チップと略称する)1を示す。
【0020】
これら図において、符号2は先端切刃部、oは先端切刃部2の二等分線、3は逃げ面、4はすくい面、5は四分の一円弧状切刃、6は直線短刃、7は接続点、8は傾斜刃を示す。
【0021】
上記チップ1は、二分の一円弧状の先端切刃部2を備えた板状体からなる。
【0022】
この先端切刃部2は、その二等分線oで区画される表側と裏側の各側に逃げ面3とすくい面4とを備えている。
【0023】
これら逃げ面3とすくい面4は、前記二等分線oの一方側のものと他方側のものが前記二等分線oを回転軸とする180°回転対称となっている。
【0024】
また、前記先端切刃部2には、前記逃げ面3とすくい面4との稜線部に四分の一円弧状切刃5が形成されている。
【0025】
前記すくい面4は、前記四分の一円弧状切刃5に沿って前記二等分線oの方向に負のすくい角βでもって傾いている。この負のすくい角βとしては後述する理由により3°〜10°であることが好ましい。
【0026】
前記すくい面4の内方には該すくい面4に対して段上がり面となった拘束面9が形成されている。
【0027】
この拘束面9はボールエンドミル本体(不図示)の先端に形成されたチップ挟持片と当接するものである。そして、この拘束面9の所定位置には、チップの厚み方向に貫通し、チップ固定用のボルト(不図示)を挿通するためのボルト孔10が形成されている。
【0028】
また、前記チップ1は前記四分の一円弧状切刃5のそれぞれの後側に直線短刃6を備える。この直線短刃6の長さwは後述する理由により0.5〜2mmであることが好ましい。
【0029】
また前記チップ1は前記直線短刃6のそれぞれの後側にこの直線短刃6との接続点7から離れるにしたがって平面視で前記二等分線oに近づいていく傾斜刃8を備える。この傾斜刃8の平面視における二等分線oに対する傾斜角θは後述する理由により3°〜10°であることが好ましい。
【0030】
図2は、本実施形態による利点を説明するための説明図である、この図2は、前記チップ1の平面図であり、前記二等分線oの一方側のみ示している。図2において、除去部分11(ハッチング部分)は前記チップ1の切刃再研磨によって除去される部分である。
【0031】
図2から明らかなように、前記チップ1は前記直線短刃6を備えているので、上記切刃再研磨により部分11を除去しても加工径が変わらない。したがって、再研磨後も加工精度を維持することができる。
【0032】
図3は、図2と同様に、本実施形態による利点を説明するための説明図である、この図3は、前記チップ1の逃げ面3側からの側面図である。
【0033】
図3(a)において、部分11(ハッチング部分)は前記チップ1の切刃再研磨によって除去される部分であり、この切刃再研磨により部分11を除去したときに、前記四分の一円弧状切刃5の刃先高さが上がる。これは前述のように、前記すくい面4が前記四分の一円弧状切刃5に沿って前記二等分線oの方向に負のすくい角βでもって傾いているためである。そして、この刃先の高くなった分だけすくい面4の研磨しろができる。
【0034】
図3(b)は切刃再研磨後の状態を示す、同図において、部分12(ハッチング部分)は前記すくい面4の研磨しろである。切刃の再研磨とともに、すくい面4の前記部分12を研磨して切屑摩耗によって形成された凹部を除去することで、切屑処理性能を改善することができる。同時に刃先高さを研磨前と同一高さとすることができる。
【0035】
また、前記チップ1の別の作用として、直線短刃6との接続点7から離れるにしたがって平面視で前記二等分線oに近づいていく前記傾斜刃8により、前記チップ1は引き上げ加工を行なうこともできる。
【0036】
なお、前記チップ1は、前記二等分線に平行な直線短刃6の長さを0.5mm〜2mmとすることで切刃を再研磨する場合に加工径が変わらず加工精度が高くする作用と、壁際の加工時にはビビリにくくする作用をより確実に達成することができる。
【0037】
すなわち、直線短刃6の長さが0.5mm未満の場合、再研磨により直線切刃6も除去されてしまい加工径が変化してしまう恐れがあり、他方、2mmより長い場合、壁際の加工時にビビリが発生し易くなる恐れがある。
【0038】
また、前記チップ1は、前記すくい面4の負のすくい角βを3°〜10°とすることで切屑処理性能を改善するという作用をより確実に達成することができ、さらに、ビビリ抑制に効果がある。
【0039】
すなわち、前記すくい面4の負のすくい角βが3°未満の場合、十分な研磨しろが取れない傾向があり、他方、10°を越えるとビビリが発生し易くなる恐れがある。
【0040】
また、前記チップ1は、前記傾斜刃8の平面視における二等分線oに対する傾斜角θが3°未満の場合、切削時にビビリ易くなる恐れが有り、他方、10°を越えるとこの傾斜刃8が引き上げ加工の際に欠け易くなる恐れがある。
【0041】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明はこの実施形態に限定されるものでないことは云うまでもない。本発明は発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明のボールエンドミル用スローアウェイチップによれば、二分の一円弧板状の先端切刃部を備えた板状体からなり、前記先端切刃部にはその二等分線で区画される前記板状体の表側と裏側の各側に逃げ面とすくい面との稜線部に形成される四分の一円弧状切刃を設け、この四分の一円弧状切刃のそれぞれの後側に前記二等分線に平面視で平行な直線短刃を形成し、該直線短刃のそれぞれの後側にこの直線短刃との接続点から離れるにしたがって平面視で前記二等分線に漸次近づいていく傾斜刃を形成するとともに、前記すくい面を、前記四分の一円弧状切刃の先端において、前記二等分線に対して負のすくい角をもつよう傾けて形成したことにより、切刃を再研磨する場合に加工径が変わらず加工精度が高い。そして、壁際の加工時には立壁と切刃の接触幅が小さいので切削抵抗が小さくビビリにくい。また、前記直線短刃の後側に前記傾斜刃を設けたことにより引き上げ加工も可能である。さらには、切刃の再研磨の際に逃げ面を研磨すると刃先高さが上りすくい面の研磨しろができ、切刃の再研磨とともに、すくい面を研磨して切屑摩耗による凹部を除去することで、切屑処理性能を改善することができる。
【0044】
また、前記二等分線に平行な直線短刃の長さを0.5mm〜2mmとした場合、切刃を再研磨する場合に加工径が変わらず加工精度が高くする作用と、壁際の加工時にはビビリにくくする作用をより確実に達成することができる。
【0045】
また、前記すくい面の負のすくい角が3°〜10°とした場合、切刃の再研磨とともに、すくい面を研磨して切屑摩耗による凹部を除去することで、切屑処理性能を改善するという作用をより確実に達成することができ、さらに、ビビリ抑制に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態例のボールエンドミル用スローアウェイチップを示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)の左側面図、(d)は(b)の底面図である。
【図2】図1のボールエンドミル用スローアウェイチップの切刃を再研磨することについての説明図である。
【図3】図1のボールエンドミル用スローアウェイチップの切刃を再研磨し且つすくい面を研磨することについての説明図であり、(a)は切刃の再研磨部分、(b)はすくい面の研磨部分を示す。
【図4】従来のスローアウェイチップを用いたボールエンドミルの平面図である。
【図5】従来の別のスローアウェイチップを用いたボールエンドミルの平面図である。
【図6】図4のスローアウェイチップの問題を示すための説明図である。
【符号の説明】
1 ボールエンドミル用スローアウェイチップ
2 先端切刃部
3 逃げ面
4 すくい面
5 四分の一円弧状切刃
6 直線短刃
7 接続点
8 傾斜刃
9 拘束面
10 ボルト孔
11 (切刃再研磨により除去される)部分
12 (すくい面の研磨しろ)部分
o 二等分線
w 直線短刃の長さ
β すくい面の負のすくい角
θ 傾斜刃の傾斜角
Claims (3)
- 二分の一円弧板状の先端切刃部を備えた板状体からなり、前記先端切刃部にはその二等分線で区画される前記板状体の表側と裏側の各側に逃げ面とすくい面との稜線部に形成される四分の一円弧状切刃を設け、この四分の一円弧状切刃のそれぞれの後側に前記二等分線に平面視で平行な直線短刃を形成し、該直線短刃のそれぞれの後側にこの直線短刃との接続点から離れるにしたがって平面視で前記二等分線に漸次近づいていく傾斜刃を形成するとともに、前記すくい面を、前記四分の一円弧状切刃の先端において、前記二等分線に対して負のすくい角をもつよう傾けて形成したことを特徴とするボールエンドミル用スローアウェイチップ。
- 前記二等分線に平行な直線短刃の長さが0.5mm〜2mmであることを特徴とする請求項1記載のボールエンドミル用スローアウェイチップ。
- 前記すくい面の負のすくい角が3°〜10°であることを特徴とする請求項1または2記載のボールエンドミル用スローアウェイチップ。
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