JP6669468B2 - 光透過性導電フィルム、及び、アニール処理された光透過性導電フィルムの製造方法 - Google Patents

光透過性導電フィルム、及び、アニール処理された光透過性導電フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光透過性及び導電性を有する光透過性導電フィルムに関する。また、本発明は、上記光透過性導電フィルムをアニール処理するアニール処理された光透過性導電フィルムの製造方法に関する。
近年、スマートフォン、携帯電話、ノートパソコン、タブレットPC、複写機又はカーナビゲーションなどの電子機器において、タッチパネル式の液晶表示装置が、広く用いられている。このような液晶表示装置では、基材上に透明導電層が積層された光透過性導電フィルムが用いられている。上記透明導電層は、通常、光透過性導電フィルム全体をアニール処理することにより、結晶性を高めて用いられる。
下記の特許文献1には、透明導電層と、第1のプラスチックフィルム基材と、第1のバリア層と、ハードコート層とがこの順で積層されている透明導電フィルムが開示されている。この透明導電フィルムでは、吸水などにより寸法が変化することを防ぐために、第1のバリア層が設けられている。
下記の特許文献2には、粘着剤層付き支持体と、透明基材と、透明導電層とがこの順で積層されている透明導電フィルムが開示されている。この透明導電フィルムでは、支持体の加熱収縮率を制御することで、加熱後の透明導電フィルムのカールを生じ難くしている。
特開2005−302425号公報 特開2015−072903号公報
特許文献1に記載の第1のバリア層は、珪素酸化物、珪素酸化窒化物、アルミニウム酸化物又はアルミニウム酸窒化物等により形成される。このような第1のバリア層を形成した場合パターンニング処理後の色差が目立ち外観上好ましくない。
特許文献2に記載の透明導電フィルムでは、透明導電層の結晶性を高めるために、アニール処理及び水洗処理を行うと、支持体が吸水することによって、透明導電フィルムの寸法が大きく変化することがある。
本発明の目的は、アニール処理及び水洗処理されても、寸法が変化し難い光透過性導電フィルムを提供することである。また、本発明は、上記光透過性導電フィルムを用いるアニール処理された光透過性導電フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、光透過性及び導電性を有する導電層と、前記導電層の一方の表面側に配置されている保護フィルムとを備え、前記保護フィルムの水蒸気透過度が10g/(m・day)以下である、光透過性導電フィルムが提供される。
本発明に係る光透過性導電フィルムのある特定の局面では、光透過性導電フィルムを130℃で1時間放置した後に、60℃及び湿度90%で1時間放置したときに、放置前の光透過性導電フィルムに対して放置後の光透過性導電フィルムの寸法変化率が0.1%以下である。
前記保護フィルムの材料が樹脂であることが好ましい。前記保護フィルムの材料がポリプロピレンであることが好ましい。前記保護フィルムの厚みが25μm以上であることが好ましい。
本発明に係る光透過性導電フィルムのある特定の局面では、前記保護フィルムを130℃で1時間放置したときに、放置前の前記保護フィルムに対して放置後の保護フィルムの収縮率が10%以下である。
本発明に係る光透過性導電フィルムのある特定の局面では、前記光透過性導電フィルムは、基材を備え、前記基材の第1の表面上に前記導電層が配置されており、前記基材の前記第1の表面とは反対の第2の表面上に、前記保護フィルムが配置されている。
本発明の広い局面によれば、上述した光透過性導電フィルムをアニール処理する工程と、アニール処理後に、前記光透過性導電フィルムを水洗する工程とを備える、アニール処理された光透過性導電フィルムの製造方法が提供される。
本発明に係る光透過性導電フィルムは、光透過性及び導電性を有する導電層と、上記導電層の一方の表面側に配置されている保護フィルムとを備え、上記保護フィルムの水蒸気透過度が10g/(m・day)以下であるので、アニール処理及び水洗処理されても、寸法を変化し難くすることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光透過性導電フィルムを示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る光透過性導電フィルムを示す断面図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る光透過性導電フィルムがアニール処理された光透過性導電フィルムを示す断面図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光透過性導電フィルムは、導電層と、保護フィルムとを備える。上記導電層は、光透過性及び導電性を有する。上記保護フィルムは、上記導電層の一方の表面側に配置されている。
本発明に係る光透過性導電フィルムでは、上記保護フィルムの水蒸気透過度が10g/(m・day)以下である。
一般に、ITO導電層などの導電層は、結晶性を高めるために、アニール処理される。また、アニール処理後に、導電層の表面に、レジスト層を部分的に形成して、エッチング処理することで、パターン状の導電層が形成されている。エッチング処理後には、水洗が行われる。このようなアニール処理及び水洗処理を行うと、従来の光透過性導電フィルムでは、寸法が変化しやすい。これに対して、本発明では、上記の構成が備えられているので、アニール処理及び水洗処理されても、寸法を変化し難くすることができる。
寸法変化をより一層抑える観点からは、上記保護フィルムの水蒸気透過度は、好ましくは10g/(m・day)以下である。
上記水蒸気透過度は、以下のようにして測定される。
透湿度測定装置PERMATORAN−W 3/33(モコン社製)を用いて、水蒸気透過試験を実施する。試験温度は40℃、試験湿度は90%RH、粘着面側検出器側として、JIS K7129:2008に準ずる方法で測定を実施する。
光透過性導電フィルム(放置前の光透過性導電フィルム)を130℃で1時間放置した後に、60℃及び湿度90%で1時間放置したときに、放置前の光透過性導電フィルムに対して放置後の光透過性導電フィルムの寸法変化率は好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.05%以下である。放置後の光透過性導電フィルムは、上記の2つの放置条件で放置した後の光透過性導電フィルムである。
上記寸法変化率が小さいほど、導電層の変形及び浮きを抑えることができ、パターン状の導電層の乱れを抑えることができる。上記寸法変化率は、光透過性導電フィルムの第1の方向の寸法変化率と第1の方向と直交する第2の方向の寸法変化率との平均である。光透過性導電フィルムの第1の方向の寸法変化率と第1の方向と直交する第2の方向の寸法変化率との双方が、上記上限以下であることが好ましい。保護フィルムがMD方向とTD方向とを有し、保護フィルムのMD方向での光透過性導電フィルムの寸法変化率と保護フィルムのTD方向での光透過性導電フィルムの寸法変化率との双方が、上記上限以下であることが好ましい。
上記保護フィルム(放置前の保護フィルム)を130℃で1時間放置したときに、放置前の保護フィルムに対して放置後の保護フィルムの収縮率は好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは0.5%以下である。放置後の保護フィルムは、130℃で1時間放置した後の光透過性導電フィルムである。保護フィルムの第1の方向の収縮率と第1の方向と直交する第2の方向の収縮率との双方が、上記上限以下であることが好ましい。保護フィルムがMD方向とTD方向とを有し、保護フィルムのMD方向の収縮率とTD方向の収縮率との双方が、上記上限以下であることが好ましい。
本発明に係る光透過性導電フィルムは、基材を備え、上記基材の第1の表面上に上記導電層が配置されており、上記基材の上記第1の表面とは反対の第2の表面上に、上記保護フィルムが配置されていることが好ましい。上記基材は、基材フィルムを含むことが好ましく、ハードコート層を含むことが好ましく、アンダーコート層を含むことが好ましい。
また、本発明に係る光透過性導電フィルムでは、アニール処理された光透過性導電フィルムの寸法が変化し難いため、導電層の形成精度に優れている。このため、アニール処理された光透過性導電フィルムを液晶表示装置に用いた場合、表示光の視認性を高めることができる。よって、アニール処理された光透過性導電フィルムは、液晶表示装置に好適に用いることができる。
特に、タッチパネルにおいては、導電層のパターンが乱れていると、表示品質及び使用性に大きな悪影響が生じる。本発明では、導電層のパターンを高精度に形成することができるので、アニール処理された光透過性導電フィルムは、液晶表示装置に好適に用いることができ、タッチパネルにより好適に用いることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光透過性導電フィルムを示す断面図である。
図1に示す光透過性導電フィルム1は、アニール処理前の光透過性導電フィルムである。光透過性導電フィルム1は、基材2、導電層3及び保護フィルム4を備える。
基材2は、第1の表面2a及び第2の表面2bを有する。第1の表面2aと、第2の表面2bとは、互いに対向している。基材2の第1の表面2a上に、導電層3が積層されている。第1の表面2aは、導電層3が積層される側の表面である。基材2は、導電層3と保護フィルム4との間に配置される部材であり、導電層3の支持部材である。
アニール処理前の光透過性導電フィルムにおいて、導電層は、部分的に設けられていてもよく、パターン状の導電層であってもよい。
基材2の第2の表面2b上に、保護フィルム4が積層されている。第2の表面2bは、保護フィルム4が積層される側の表面である。保護フィルム4を設けることで、基材2の第2の表面2bを保護することができる。本実施形態では、保護フィルム4の水蒸気透過度が10g/(m・day)以下である。
基材2は、基材フィルム11、第1及び第2のハードコート層12,13及びアンダーコート層14を有する。基材フィルム11は、光透過性の高い材料により構成されている。基材フィルム11の導電層3側の表面上には、第2のハードコート層13及びアンダーコート層14がこの順に積層されている。アンダーコート層14は、導電層3に接している。
基材フィルム11の保護フィルム4側の表面上には、第1のハードコート層12が積層されている。第1のハードコート層12は、保護フィルム4に接している。
導電層3は、光透過性が高く、かつ導電性の高い材料により構成されている。
保護フィルムは、粘着剤層を介して、基材の第2の表面に積層されてもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る光透過性導電フィルムを示す断面図である。
図2に示す光透過性導電フィルム1Aは、アニール処理前の光透過性導電フィルムである。光透過性導電フィルム1Aでは、第1のハードコート層12が設けられていない。光透過性導電フィルム1Aは、アンダーコート層14と、第2のハードコート層13と、基材フィルム11とがこの順で積層された基材2Aを有する。光透過性導電フィルム1Aでは、基材フィルム11の導電層3とは反対側の表面上に直接、保護フィルム4が積層されている。
本発明に係る光透過性導電フィルムでは、光透過性導電フィルム1Aのように、第1のハードコート層が設けられていなくてもよい。基材フィルムの表面上に、保護フィルムが直接積層されていてもよい。また、第2のハードコート層及びアンダーコート層のうち少なくとも一方が設けられていなくてもよい。基材フィルムの導電層側の表面上には、アンダーコート層及び導電層がこの順に積層されていてもよく、基材フィルムに導電層が直接積層されていてもよい。アンダーコート層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
次に、図1に示す光透過性導電フィルム1の製造方法、及び、図3に示すアニール処理された光透過性導電フィルム1Xの製造方法を説明する。
光透過性導電フィルム1は、例えば、以下の方法により作製することができる。
基材フィルム11の一方の表面上に、第1のハードコート層12を形成する。具体的には、樹脂に紫外線硬化樹脂を用いる場合は、光硬化性モノマー及び光開始剤を希釈剤中で撹拌して塗工液を作製する。得られた塗工液を基材フィルム11上に塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させて、第1のハードコート層12を形成する。
続いて、第1のハードコート層12上に保護フィルム4を形成する。保護フィルム4の貼り合わせに粘着剤を用いる場合には、第1のハードコート層12と保護フィルム4とを粘着剤層により貼り合わせることができる。
次に、基材フィルム11の第1のハードコート層12とは反対側の表面上に、第2のハードコート層13を形成する。具体的には、樹脂に紫外線硬化樹脂を用いる場合は、光硬化性モノマー及び光開始剤を、希釈剤中で撹拌して塗工液を作製する。得られた塗工液を基材フィルム11の第1のハードコート層12側とは反対側の表面上に塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ第2のハードコート層13を形成する。
次に、第2のハードコート層13上にアンダーコート層14を形成する。具体的に、SiOを用いる場合は、蒸着又はスパッタリングにより第2のハードコート層13上にアンダーコート層14を形成することができる。
上記のようにして、基材フィルム11上に、第1及び第2のハードコート層12,13及びアンダーコート層14を形成する。なお、本発明において、第1及び第2のハードコート層12,13及びアンダーコート層14は設けなくてもよい。この場合には、基材フィルム11の導電層3側の表面が、基材2の第1の表面2aであり、基材フィルム11の保護フィルム4側の表面が、基材2の第2の表面2bである。
次に、アンダーコート層14上に、導電層3を形成することにより、光透過性導電フィルム1を作製することができる。
導電層の形成方法としては、特に限定されない。例えば、蒸着又はスパッタリングにより形成した金属膜をエッチングする方法や、スクリーン印刷又はインクジェット印刷などの各種印刷方法、並びにレジストを用いたフォトリソグラフィー法等の公知のパターニング方法等を用いることができる。形成した導電層は、後述するアニール処理により結晶性を高めて用いることができる。
光透過性導電フィルム1は、アニール処理及び水洗処理によって、図3に示すアニール処理(かつ水洗処理)された光透過性導電フィルム1Xを得るために好適に用いられる。アニール処理された光透過性導電フィルム1Xを得るために、光透過性導電フィルム1をアニール処理する工程と、アニール処理後に、光透過性導電フィルム1を水洗する工程とを行うことができる。アニール処理前の導電層3がパターン状ではない場合に、導電層3の基材フィルム11側とは反対側の表面上に、レジスト層を部分的に形成して、エッチング処理することで、パターン状の導電層3Xを形成することができる。エッチング処理後には、水洗が行われる。このようなアニール処理及び水洗処理を行っても、本発明では、寸法を変化し難くすることができる。
アニール処理された光透過性導電フィルム1Xは、パターン状の導電層3Xを有する。パターン状の導電層3Xは、基材2の第1の表面2a上に部分的に積層されている。アニール処理された光透過性導電フィルム1Xは、基材2の第1の表面2a上において、パターン状の導電層3Xがある部分と、パターン状の導電層3Xがない部分とを有する。
アニール処理の温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下である。
上記アニール処理の処理時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは60分以上、好ましくは120分以下、より好ましくは90分以下である。
アニール処理された光透過性導電フィルム1Xは、保護フィルム4を積層したまま使用してもよいし、保護フィルム4を剥がして使用してもよい。
以下、光透過性導電フィルムを構成する各層の詳細を説明する。
(基材)
基材の全体の厚みは、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
基材フィルム;
基材フィルムは、高い光透過性を有することが好ましい。従って、基材フィルムの材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、及びセルロースナノファイバー等が挙げられる。上記基材フィルムの材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
基材フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、好ましくは190μm以下、より好ましくは125μm以下である。基材フィルムの厚みが、上記下限以上及び上記上限以下である場合、導電層のパターンを、より一層視認され難くすることができる。
また、基材フィルムの光透過率に関しては、波長380〜780nmの可視光領域における平均透過率が好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
また、基材フィルムは、各種安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤又は着色剤を含んでいてもよい。
第1及び第2のハードコート層;
第1及び第2のハードコート層はそれぞれ、バインダー樹脂により構成されていることが好ましい。上記バインダー樹脂は、硬化樹脂であることが好ましい。上記硬化樹脂としては、熱硬化樹脂や、活性エネルギー線硬化樹脂などを用いることができる。生産性及び経済性を良好にする観点から、上記硬化樹脂は、紫外線硬化樹脂であることが好ましい。
上記紫外線硬化樹脂を形成するための光硬化性モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリイソプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジメタクリレートのようなジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールモノヒドロキシトリアクリレート及びトリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレートのようなトリアクリレート化合物;ペンタエリトリトールテトラアクリレート及びジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレートのようなテトラアクリレート化合物;並びにジペンタエリトリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレートのようなペンタアクリレート化合物等が挙げられる。上記紫外線硬化樹脂としては、5官能以上の多官能アクリレートも用いてもよい。上記多官能アクリレートは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。また、上記多官能アクリレート化合物に、光開始剤、光増感剤、レベリング剤、希釈剤などを添加してもよい。
また、第1のハードコート層は、樹脂部及びフィラーにより構成されていてもよい。第1のハードコート層がフィラーを含む場合、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができる。なお、第1のハードコート層がフィラーを含む場合、ゆず肌が生じることがあり、液晶表示装置に用いると表示光が見えにくくなることがある。従って、ゆず肌を生じ難くする観点からは、第1のハードコート層が、フィラーを含まず、樹脂部のみによって構成されていることが望ましい。あるいは、フィラーの平均粒子径が、第1のハードコート層の厚みより小さく、第1のハードコート層の表面において突出していないことが好ましい。
上記フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、インジウム−錫酸化物などの金属酸化物粒子;シリコーン、(メタ)アクリル、スチレン、メラミンなどの樹脂粒子等が挙げられる。より具体的には、架橋ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの樹脂粒子を用いることができる。上記フィラーは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
また、第1及び第2のハードコート層はそれぞれ、各種安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤又は着色剤を含んでいてもよい。
アンダーコート層;
アンダーコート層は、例えば、屈折率調整層である。アンダーコート層を設けることで、導電層と、第2のハードコート層又は基材フィルムとの間の屈折率の差を小さくすることができるので、光透過性導電フィルムの光透過性をより一層高めることができる。
アンダーコート層を構成する材料としては、屈折率調整機能を有する限り特に限定されず、SiO、MgF、Alなどの無機材料や、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂及びシロキサンポリマーなどの有機材料が挙げられる。
アンダーコート層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法又は塗工法により形成することができる。
(導電層)
導電層は、光透過性を有する導電性材料により形成されている。上記導電性材料としては、特に限定されないが、例えば、IZO(インジウム亜鉛酸化物)や、ITO(インジウムスズ酸化物)などのIn系酸化物、SnO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などのSn系酸化物、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)などのZn系酸化物、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物、金等の金属、CuI、Agナノワイヤー(AgNW)、カーボンナノチューブ(CNT)又は導電性透明ポリマーなどが挙げられる。上記導電性材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
導電性をより一層高め、光透過性をより一層高める観点から、上記導電性材料は、IZO(インジウム亜鉛酸化物)や、ITO(インジウムスズ酸化物)などのIn系酸化物、SnO、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)などのSn系酸化物、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)などのZn系酸化物であることが好ましく、ITO(インジウムスズ酸化物)であることがより好ましい。
導電層の厚みは、好ましくは12nm以上、より好ましくは17nm以上、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下である。
導電層の厚みが上記下限以上である場合、光透過性導電フィルムの導電性をより一層高めることができる。導電層の厚みが上記上限以下である場合、導電層のパターンをより一層視認され難くすることができ、光透過性導電フィルムをより一層薄くすることができる。
また、導電層の光透過率に関しては、可視光領域における平均透過率が好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。
(保護フィルム)
上記保護フィルムは、高い光透過性を有することが好ましい。保護フィルムの材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリスルホン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、及びセルロースナノファイバー等が挙げられるが、本発明では、水蒸気透過度が低くなる材料が選択される。保護フィルムは、バリア層を有する保護フィルムであってもよい。
上記保護フィルムの材料は、樹脂であることが好ましい。水蒸気透過度を低くすることができるので、上記保護フィルムの材料は、ポリプロピレンであることが好ましい。上記保護シートの材料は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
保護フィルムの厚みは、好ましくは25μm以上、より好ましくは50μm以上、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。保護フィルムの厚みが、上記下限以上及び上記上限以下である場合、導電層のパターンを、より一層視認され難くすることができる。
(粘着剤層)
保護フィルムは、粘着剤層を介して、基材の第2の表面に積層されてもよい。
上記粘着剤層は、(メタ)アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ウレタン系接着剤又はエポキシ系接着剤により構成することができる。熱処理による粘着力の上昇を抑制する観点から、上記粘着剤層は、(メタ)アクリル系粘着剤により構成されていることが好ましい。
上記(メタ)アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体に、必要に応じて架橋剤、粘着付与樹脂及び各種安定剤などを添加した粘着剤である。
上記(メタ)アクリル重合体は、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、他の共重合可能な重合性モノマーとを含む混合モノマーを共重合して得られた(メタ)アクリル共重合体であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜12の1級又は2級のアルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により得られる(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記共重合可能な他の重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸等の官能性モノマーが挙げられる。上記共重合可能な他の重合性モノマーは、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記架橋剤としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤及び多官能アクリレート等が挙げられる。上記架橋剤は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
上記粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体及び脂環式系共重合体等の石油系樹脂;クマロン−インデン系樹脂;テルペン系樹脂;テルペンフェノール系樹脂;重合ロジン等のロジン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等が挙げられる。上記粘着付与樹脂は、水素添加された樹脂であってもよい。上記粘着付与樹脂は、単独で用いてもよく、複数を併用してもよい。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づき、更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
(1)光透過性導電フィルムの作製
ハードコート層の形成;
光硬化性モノマーとしてのウレタンアクリレートオリゴマー100重量部と、希釈溶剤としてのトルエン及びメチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶剤140重量部と、光開始剤としてのイルガキュア194(チバスペシャルティケミカル社製)7重量部とを混合撹拌して、塗工液を調製した。
基材フィルムであるPETフィルム(東洋紡社製「コスモシャインA4100」)の両面に上記塗工液を塗布し、乾燥させた。乾燥後、高圧水銀ランプにより200mJ/cmの紫外線を照射することにより樹脂を硬化させ、PETフィルムの両面にそれぞれ、厚み2μmの第1及び第2のハードコート層を形成した。
保護フィルムの貼り合わせ;
第1のハードコート層上に、ポリプロピレン保護フィルム(厚み50μm、フタムラ化学社製「010HC」)を貼り合わせた。
アンダーコート層の形成;
第2のハードコート層上に、SiOを堆積させ、厚み25nmのアンダーコート層を形成した。
導電層の形成;
上記アンダーコート層上に厚み125nmのITO層(導電層)を堆積させて、光透過性導電フィルムを得た。
(2)アニール処理された光透過性導電フィルムの作製
光透過性導電フィルムをオーブンにて150℃で、60分加熱した。加熱後に、ドライフィルムレジストを貼り、露光、現像を行った。続いて、エッチング、剥離、洗浄、乾燥の各工程をこの順に行い、ITO層のパターニングを行なった。それによって、アニール処理された光透過性導電フィルムを得た。
(実施例2)
ポリプロピレンフィルムを、バリア層付きPETフィルム(サンエー化研社製「サニテクト」(厚み50μm)の非粘着面に東洋インキ社製「LCH2000」を乾燥後の厚みが2μmになるようにバーコーターで塗布して乾燥したフィルム)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、光透過性導電フィルム、及び、アニール処理された光透過性導電フィルムを得た。
(比較例1)
ポリプロピレンフィルムを、PETフィルム(厚み50μm、サンエー化研社製「サニテクト」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、光透過性導電フィルム、及び、アニール処理された光透過性導電フィルムを得た。
(評価)
(1)保護フィルムの水蒸気透過度
用いた保護フィルムの水蒸気透過度を以下のようにして測定した。
透湿度測定装置PERMATORAN−W 3/33(モコン社製)を用いて、水蒸気透過試験を実施した。試験温度は40℃、試験湿度は90%RH、粘着面側検出器側として、JIS K7129:2008に準ずる方法で測定を実施した。
(2)基材フィルムの収縮率
実施例及び比較例で用いた保護フィルムを用意した。この保護フィルムのMD方向での寸法は10cm、TD方向での寸法は10cmである。保護フィルムを130℃及びで1時間放置した。放置前の保護フィルムに対して放置後の保護フィルムの収縮率を求めた。MD方向の収縮率とTD方向の各々の収縮率を求めた。
(3)光透過性導電フィルムの寸法変化率
実施例及び比較例で得られた光透過性導電フィルムを用意した。この光透過性導電フィルムでは、保護フィルムのMD方向での寸法は10cm、保護フィルムのTD方向での寸法は10cmである。光透過性導電フィルムを130℃で1時間放置した後に、60℃及び湿度90%で1時間放置した。放置前の光透過性導電フィルムに対して放置後の光透過性導電フィルムの寸法変化率を求めた。保護フィルムのMD方向での光透過性導電フィルムの寸法変化率と保護フィルムのTD方向での光透過性導電フィルムの寸法変化率とを平均して、光透過性導電フィルムの寸法変化率を求めた。
Figure 0006669468
1,1A…光透過性導電フィルム
1X…アニール処理された光透過性導電フィルム
2,2A…基材
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…導電層
3X…パターン状の導電層
4…保護フィルム
11…基材フィルム
12…第1のハードコート層
13…第2のハードコート層
14…アンダーコート層

Claims (7)

  1. 光透過性及び導電性を有する導電層と、
    前記導電層の一方の表面側に配置されている保護フィルムと、
    前記導電層と前記保護フィルムとの間に配置されている基材とを備え、
    前記保護フィルムの水蒸気透過度が10g/(m・day)以下であり、
    前記基材は、基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルムを有する、光透過性導電フィルム。
  2. 光透過性導電フィルムを130℃で1時間放置した後に、60℃及び湿度90%で1時間放置したときに、放置前の光透過性導電フィルムに対して放置後の光透過性導電フィルムの寸法変化率が0.1%以下である、請求項1に記載の光透過性導電フィルム。
  3. 前記保護フィルムの材料が樹脂である、請求項1又は2に記載の光透過性導電フィルム。
  4. 前記保護フィルムの材料がポリプロピレンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光透過性導電フィルム。
  5. 前記保護フィルムの厚みが25μm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光透過性導電フィルム。
  6. 前記保護フィルムを130℃で1時間放置したときに、放置前の前記保護フィルムに対して放置後の保護フィルムの収縮率が10%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光透過性導電フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光透過性導電フィルムをアニール処理する工程と、
    アニール処理後に、前記光透過性導電フィルムを水洗する工程とを備える、アニール処理された光透過性導電フィルムの製造方法。
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