JP6269304B2 - 貼りつき防止機能を有した全光線透過率向上フィルム。 - Google Patents

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貼りつき防止機能を有した高透明性フィルムシートに関し、さらに詳しくは、光学表示装置等に用いられる全光線透過率向上フィルムに関するものである。
携帯電話や携帯ゲーム機等においては、位置入力装置として機能するタッチパネルと、液晶ディスプレイ等の表示装置とが組み合わされたタッチパネル付き表示装置が幅広く利用されている。タッチパネルは、操作者が画面表示に基づき、手や入力ペンでタッチパネルの特定位置へ接触すると、装置がその特定位置の情報を感知することで、操作者が望む適切な動作を行わせることができるインターフェースである。
このようなタッチパネル付き表示装置では、片面にセンサガラスを設けたタッチパネルの裏面側(液晶ディスプレイ側)に、表示装置を備えた静電容量式のタッチパネル付き表示装置が知られている。静電容量式のタッチパネルでは通常、センサガラスの前面側(タッチ面側)に、粘着剤層を介してガラス板(以下、カバーガラスということがある)が積層されている。また、カバーガラスの破損や破片の飛散を防止するために、カバーガラスの前面側またはカバーガラスの裏面側にさらに保護フィルムシートが貼付される。(例えば、特許文献1)。
光学フィルムの分野では、フィルム同士、あるいはフィルムと他の部材(たとえばガラス板)が接触した際に、グレアやニュートンリング、ブロッキングが生じることがある。これらを防止するために、フィルム表面に微細な凹凸形状を設けることが行われている。一般に、形成する凹凸の大きさは、要求される性能(アンチグレア、アンチニュートンリング、アンチブロッキング)に応じて設定され、アンチグレアの場合が最も大きく、アンチブロッキングの場合が最も小さい。このような凹凸形状の形成方法としては、ハードコート層に粒子を含有させる方法、および、特定の樹脂成分を相分離により析出させる方法などが用いられている(たとえば特許文献2〜4)。
全光線透過率を向上させるため、透明フィルム上に低屈折率層を設けた、反射光を相殺し透過率を向上させる反射防止フィルムが知られている。(特許文献5)
特開2000−321558号公報 特開2010−42671号公報 特開2011−33948号公報 特開2007−182519号公報 特開2010−196014号公報
近年、タッチパネルの軽量化、薄型化の要求が高まっている。そのようななか、上述した液晶ディスプレイの前面に隙間を設けて配置したタイプのタッチパネルでは、操作を行う際に、隙間上下のフィルムもしくは、ガラスに接触する際にブロッキングが生じる問題がある。この問題は、表示装置が大型化するほど顕著になる。かかる問題が生じる原因としては、該タッチパネルが備える基板が薄いため、たわみや歪みが生じやすいためだと考えられる。対策として、アンチブロッキング性能を有するフィルム(アンチブロッキングフィルム)をタッチパネルの裏面または表示装置の前面に配置することが考えられる。しかし、従来用いられているアンチブロッキングフィルムは、全光線透過率向上機能を付与していないため、全光線透過率向上効果は乏しい。また、アンチブロッキング性能を充分に持たせるために、粗大な粒子を添加するため、添加した粒子の効果によりタッチパネル上で明るさにムラが発生するギラツキやモアレ現象が起こり、表示装置やタッチパネルに適用するのは好ましくない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、全光線透過率が高い等の優れた光学的性能を有しながら、ブロッキングが発生しにくいフィルムシートおよびそのフィルムシートを用いたタッチパネルを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、静電容量式タッチパネルの裏面と、表示装置の前面とが空間を介して対向した構成において、前記タッチパネルの裏面(前記表示装置と対向する面)を構成するフィルムとして、全光線透過率が94.0%以上かつヘイズが2%以下である透明フィルムであって、上記フィルムの片方の面に、少なくとも平均粒径が10〜100nmである中空粒子、シリカ粒子、及びフッ化微粒子から選ばれる微粒子Aと、さらに粒子Aと粒径の異なる粒子Bからなる屈折率が1.30〜1.50である微粒子層を設けたフィルムを用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]
透明フィルムの少なくとも一面側に透過率向上層を有する全光線透過率向上フィルムにおいて、前記透過率向上層は、中空粒子からなり平均粒子径が60〜100nmである微粒子Aと、微粒子Aと平均粒子径の異なる中実粒子からなる微粒子Bとを含有し、前記微粒子Bの平均粒子径が前記微粒子Aの平均粒子径の4〜7倍であり、前記微粒子A及び前記微粒子Bの全質量を100質量%としたときに前記微粒子Bの含有量が0.1〜5質量%であり、前記透過率向上層100質量%中の前記微粒子Aの含有量は80質量%以上であることを特徴とする全光線透過率向上フィルム。
[2]
前記透過率向上層の屈折率が1.30〜1.50である、[1]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[3]
前記透過率向上層は、前記微粒子A及び前記微粒子Bで表面が完全に被覆されている、[1]又は[2]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[4]
前記全光線透過率向上フィルムの全光線透過率が94%以上かつヘイズが2.0%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
ただし、本明細書および特許請求の範囲において、凹凸を形成した透明フィルムの透明性は、全光線透過率値をJIS K 7361−1、ヘイズ値をJIS K 7136に基づき、日本電色社製のNDH4000を用いて測定した。
本発明によれば、全光線透過率が高い等の優れた光学的性能を有しながら、ブロッキングが発生しにくいフィルムシートおよびそのフィルムシートを用いたタッチパネルを提供できる。
本発明の全光線透過率向上フィルムの一例を示した断面図である。
以下、本発明の全光線透過率向上フィルムの一例を図1に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の全光線透過率向上フィルム10は、図1に示すように、透明基材12と、透明基材12上に設けられた微粒子層11を有する。
透明基材12としては、無機材料でも有機材料であっても特に制限はない。無機材料としては、例えば、ガラス、石英、スパッタリングや蒸着によって形成された酸化チタン、酸化ニオブ、酸化錫をドープした酸化インジウム等が例示される。
有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム等が挙げられる。
なかでも、透明性、耐候性、耐溶剤性、剛度、コスト等の観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
透明基材12には、各種添加剤が含まれてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、カップリング剤等が挙げられる。
透明基材12には、微粒子層との密着性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、サンドブラスト処理や溶剤処理等の凹凸化処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等の表面酸化処理等が挙げられる。
透明基材12の厚みは、タッチパネルの薄型化、軽量化の観点から15〜200μmが好ましく、20〜130μmがより好ましく、25〜100μmが特に好ましい。
微粒子層11は、透明基材12に対して、屈折率が低い層であり、微粒子層11側からの光の反射を抑制し、光透過性を高める役割を果たす。ガラスや結晶材、プラスティック等では、その表面において、入射光に対して数%程度の反射光が生じるが、全光線透過率向上フィルム10は微粒子層11によって表面反射を軽減し、透過率を増加させる。
微粒子層11の屈折率は、光の反射を抑制しやすいことから、1.25〜1.45が好ましく、1.30〜1.40がより好ましい。
微粒子層11は、少なくとも前記粒子Aと、粒子Aの2〜7倍の平均粒子径からなる粒子Bが透明基材12の表面を完全に被覆していることが好ましく、粒子Aおよび粒子Bのみで透明基材12の表面を完全に被覆されていることがより好ましい。
なお、前記の完全に被覆とは、光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡の観察像により、透明基材12の表面が全く観察されない状態である
粒子Aとしては、シリカが好ましく、微粒子層11の屈折率を低くしやすいことから、中空シリカが特に好ましい。
中空シリカの平均粒子径は、10〜100nmが好ましく、30〜70nmがより好ましい。中空シリカの平均粒子径が5nm以上であれば、屈折率を低くしやすい。中空シリカの平均粒子径が180nm以下であれば、微粒子層に密に充填することができる。なお、前記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡の観察像により測定される値である。
また、中空シリカは、中空部分が多いほど屈折率を低下させやすいことから、粒子径に比べて外殻の厚みが薄いものが好ましい。
前記粒子Bとしては、無機系化合物、もしくは有機系化合物が好ましく、シリカ系微粒子がより好ましい。
シリカ系粒形化合物としては、粒子Aの平均粒径の2〜7倍でかつ、粒子Aの含有量の0.1〜5.0質量%含有されていることが好ましく、粒子Aの平均粒径の4〜6倍でかつ、粒子Aの含有量の0.2〜2.5質量%含有されていることがより好ましい。
微粒子層11(100質量%)中の粒子Aの含有量は、80質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。粒子Aの含有量が80質量%以上であれば、微粒子層11の屈折率が透明基材と空気の屈折率の中間程度となり、高い光透過率が得られやすい。粒子Aの含有量が95質量%であれば、微粒子層の屈折率をより透明基材と空気の屈折率の中間とすることが可能となり、全光線透過率をより向上させることが出来る。
微粒子層のバインダー樹脂としては、例えば、反応性硬化型樹脂であることが好ましい。反応性硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂としては、多官能(メタ)アクリルモノマーを重合させて得られる重合体が好ましい。かかる重合体は、架橋構造を有する硬質のアクリル系重合体であることから、表面硬度、透明性、擦傷性等に優れる。
「多官能」は、重合性不飽和基を2つ以上有することを意味し、「(メタ)アクリルモノマー」は、重合性不飽和基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることを示す。
多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、下記のモノマーが挙げられる。
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量600)ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(質量平均分子量400)ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート;
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の5官能以上の(メタ)アクリレート等。
これらの多官能(メタ)アクリルモノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記多官能(メタ)アクリルモノマーは、4官能以上の(メタ)アクリルモノマー(好ましくは5官能以上の(メタ)アクリルモノマー)を主成分とし、2〜3官能(メタ)アクリルモノマーを副成分とするものであることが好ましい。
これらのうち、4官能以上の(メタ)アクリルモノマーは硬度の向上に寄与し、2〜3官能(メタ)アクリルモノマーは柔軟性の向上に寄与する。そのため、得られるハードコート層が、高い硬度と適度な柔軟性を有し、耐擦傷性に優れるものとなる。
全多官能(メタ)アクリルモノマー中、4官能以上の(メタ)アクリルモノマーの割合は、50質量%以上95質量%未満が好ましく、60質量%以上90質量%未満がより好ましい。また、2〜3官能(メタ)アクリルモノマーの割合は、全多官能(メタ)アクリルモノマー中、5質量%以上50質量%未満が好ましく、10質量%以上40質量%未満がより好ましい。
微粒子層11の厚さは、40〜200nmが好ましく、50〜150nmがより好ましく、80〜120nmが特に好ましい。微粒子層11の厚さが40nm以上であれば、光の干渉による反射防止効果が得られやすく、微粒子層11の厚さが200nm以上であると光の干渉による反射防止効果が得られにくい。
なお、微粒子層の、最も薄い部分の厚み(凹凸面に存在する凹部の底から、透明基材12側の表面までの距離)を微粒子層11の厚みとする。
全光線透過率向上フィルムは、全光線透過率が90%を超え、ヘイズが2%未満であることが好ましい。これらの要件を満たすと、タッチパネルや表示装置用の全光線透過率向上材として有用である。
全光線透過率およびヘイズはそれぞれ、JIS K7361−1およびJIS K7136に準拠した方法で測定できる。
(製造方法)
以下、微粒子層11の製造方法について説明する。ただし、微粒子層11の製造方法は、以下に説明する方法には限定されない。微粒子層の製造方法としては、例えば、下記の微粒子層形成工程を有する方法が挙げられる。
微粒子層形成工程では、まず、前記微粒子Aおよび微粒子Bを必須成分として含み、必要に応じてバインダー等、他の成分を含有する微粒子層形成用組成物(E)を調製する。
微粒子層形成用組成物(E)にバインダー樹脂を用いる場合は、硬化を促進させるために、光重合開始剤を含有させることが好ましい。また、光増感剤をさらに含有させてもよい。また、微粒子層形成用組成物(E)は、溶剤を含有してもよい。微粒子層形成用組成物(E)に使用する溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、n−ヘキサン、n−ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは1種以上を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、塗工ムラを軽減できることから、蒸発速度の異なる2種以上の溶剤を併用することが好ましい。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる少なくとも2種を混合して使用することが好ましい。
微粒子層形成用組成物(E)中の粒子Aおよび粒子B合計の配合量は、微粒子層形成用組成物(E)の固形分(100質量%)に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。粒子Aおよび粒子Bの配合量が80質量%以上であれば、屈折率が基材と空気との中間となる微粒子層11が得られやすい。
微粒子層形成用組成物(E)中の、バインダー樹脂の配合量は、微粒子層形成用組成物(E)の固形分(100質量%)に対して、20質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましい。バインダー樹脂の配合量が20質量%未満であれば、微粒子層11の屈折率が調整し易く、全光線透過率向上効果が得やすい。バインダー樹脂の配合量が5質量%未満であれば、粒子Aおよび粒子Bを充分に配合できるため微粒子層11の屈折率の調整がさらにし易く、全光線透過率向上効果を得ることが容易になる。
微粒子層形成用組成物(E)中の光重合開始剤の配合量は、微粒子層形成用組成物(E)のバインダー固形分(100質量%)に対して、0.5〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましい。光重合開始剤の配合量が0.5質量%以上であれば、硬化不良が生じにくい。また、光重合開始剤を10質量%を超えて配合しても、配合量に見合った硬化促進効果は得られず、コストも高くなる。また、硬化物中に光重合開始剤が残留して黄変やブリードアウト等の原因となるおそれがある。
従来の貼付き防止フィルムは、全光線透過率向上効果が低かった。また、反射防止フィルムは、全光線透過率向上効果は高いものの、貼付き防止機能は低くかった。
これに対し、本発明の全光線透過率向上フィルムでは、低屈折率層による全光線透過率向上効果を維持したまま、異なる2種類以上の粒子により凹凸を設けることで優れた貼付き防止効果を両立できる。
なお、本発明の全光線透過率向上フィルムは、前記全光線透過率向上フィルム10には限定されない。例えば、透明基材と微粒子層の間にハードコート層を設けた全光線透過率向上フィルムであってもよい。
また、必要に応じて、透明基材と微粒子層の間にハードコート層以外の機能層を有していてもよい。ハードコート層以外の機能層としては、例えば、ハードコート保護層、防眩層、屈折率調整層(中屈折率層)、易接着層、帯電防止層、紫外線遮蔽層等が挙げられる。これらの機能層は、公知の方法により形成できる。
本発明の全光線透過率向上フィルムは、例えば静電式タッチパネル付き表示装置に使用できる。全光線透過率向上フィルムを使用した表示装置としては、例えば、図2に例示した、静電式タッチパネル表示装置100(以下、「表示装置100」という。)が挙げられる。
表示装置100は、最前面に偏光板21が配置された表示装置20と、静電容量式タッチパネル30(以下、単に「タッチパネル30」という。)と、を備えている。タッチパネル30は、表示装置20の前面に、偏光板21との間に隙間を設けて配置され、外縁部が粘着剤層40で表示装置20に固定されている。これにより、表示装置の前面とタッチパネル30の裏面との間に空間が形成されている。タッチパネル30は、ガラス基板31と、ガラス基板31の裏面(表示装置20側)に設けられた導電層32と、導電層32上に粘着剤層33を介して積層された微粒子層10とを備え、導電層32の裏面の外縁部には印刷層34が形成されている。微粒子層1011が表示装置20側となるように設けられている。
なお、「前面」は、静電容量式タッチパネルまたはこれを取り付けた表示装置を使用する際に、使用者が視認、操作する側の面を意味し、「裏面」は、使用者が視認、操作する側とは反対側の面を意味する。
本発明は、例えば図3のような、透明基材12上の微粒子層の反対側の面に透明な導電層60を設けた導電性フィルム50として、使用できる。導電性フィルム50を用いた表示装置としては、例えば図4に例示するような、前記表示装置100中のタッチパネル30のガラス基板31裏面に導電フィルムを設けたタッチパネル70が挙げられる。
表示装置20としては、特に限定されず、公知の表示装置、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを用いることができる。
装置100のタッチパネル30のガラス基板31としては、タッチパネル等に用いられている公知のガラス板が利用できる。
装置100の導電層32および導電フィルム50の導電層60は、透明な導電性の膜である。導電層32および導電層60は、表面型静電容量式タッチパネル等に用いられる、実質的に均一な厚さでガラス基板31もしくは透明基材12上に形成された均一層でもよいし、投影型静電容量方式のタッチパネル等に用いられる、位置検知のために形成された規則的なパターンを有する導電層であってもよい。なお、均一層の場合でも、タッチパネルの構成等に応じて、引き出し電極等の形成のため、導電層32もしくは導電層60の一部がパターン化されていてもよい。
導電層32もしくは導電層60の材質としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、錫、これらの合金等の金属;インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛−スズ酸化物(ZTO)等の金属酸化物;ヨウ化銅等からなる他の金属化合物;PEDOT/PSS等の導電性樹脂;等が挙げられる。なお、PEDOT/PSSは、PEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェンのポリマー)とPSS(スチレンスルホン酸のポリマー)を共存させたポリマーコンプレックスである。
導電層32の厚みは、導電性、透明性等を考慮して設定される。導電層32の導電性は、タッチパネル用の電極板とするため、表面抵抗として10Ω/sq以下が好ましく、10Ω/sq以下がより好ましい。かかる表面抵抗は、通例、金属系の場合で30〜600Å、金属酸化物系の場合で80〜5000Å、PEDOT/PSS系で50〜120μmの厚さとすることで達成することができる。
粘着剤層33を構成する粘着剤としては、タッチパネル等の光学用途に用いられている公知の粘着剤が利用でき、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。粘着剤は、溶剤系、無溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。なかでも、透明度、耐候性、耐久性、コスト等の観点から、アクリル系粘着剤、特に溶剤系のものが好ましい。
導電層32および導電層60は公知の方法により形成できる。
例えば導電層32もしくは導電層60が均一層である場合、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、スプレー熱分解法、化学メッキ法、電気メッキ法、塗布法、あるいはこれらの組合せ法などの薄膜形成法が挙げられる。膜の形成速度や大面積膜の形成性、生産性などの点より、真空蒸着法やスパッタリング法が好ましい。
規則的なパターンは、各種印刷方式などにより、透明フィルム3の前面に予め部分的に導電層2を設ける方法で形成してもよいし、または、上記のように均一層を形成した後、その一部をエッチングなどにより除去して形成してもよい。
導電層32および導電層60と透明フィルム12との密着性を高めるために、透明フィルム12の表面に、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、アンダーコート処理等の適宜な前処理を施してもよい。
本発明は、下記の態様[A1]〜[A10]を有していてもよい。
[A1]
透明層と、最外層として設けられた少なくとも1つの微粒子層とを有する全光線透過率向上フィルムにおいて、前記微粒子層は、平均粒子径が10nm〜100nmである微粒子Aと、平均粒子径が100nm超の微粒子Bとを含み、前記微粒子層の屈折率が1.30〜1.50であることを特徴とする全光線透過率向上フィルム。
[A2]
前記微粒子Aが中空粒子であることを特徴とする[A1]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[A3]
前記微粒子Aがシリカ粒子又はフッ化微粒子である[A1]又は[A2]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[A4]
前記微粒子Bの平均粒子径が前記微粒子Aの平均粒子径の2〜7倍である[A1]〜[A3]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[A5]
前記微粒子層に含まれる前記微粒子Bの含有量は、前記微粒子層に含まれる前記微粒子A及び前記微粒子Bの全重量を100重量%としたとき、0.1〜5重量%であることを特徴とする[A1]〜[A4]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[A6]
前記全光線透過率向上フィルムの全光線透過率が94%以上であることを特徴とする[A1]〜[A5]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[A7]
前記全光線透過率向上フィルムのヘイズが2.0%以下であることを特徴とする[A1]〜[A6]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[A8]
全光線透過率を向上させる微粒子層を形成するための組成物であって、
前記組成物は、平均粒子径が10nm〜100nmである微粒子Aと、平均粒子径が100nm超の微粒子Bとを含み、前記組成物の全重量を100重量%としたとき、前記微粒子Aと前記微粒子Bの合計重量が75重量%以上であることを特徴とする組成物。
[A9]
前記微粒子Bの平均粒子径は、前記微粒子Aの平均粒子径の2〜7倍であることを特徴とする[A8]に記載の組成物。
[A10]
前記微粒子Aが中空シリカ微粒子であり、
前記微粒子層に含まれる前記微粒子Bの含有量が、前記組成物に含まれる前記微粒子A及び前記微粒子Bの全重量を100重量%としたとき、0.1〜5重量%であることを特徴とする[A8]又は[A9]に記載の組成物。
本発明は、下記の態様[B1]〜[B9]を有していてもよい。
[B1]
透明層と、最外層として設けられた少なくとも1つの微粒子層とを有する全光線透過率向上フィルムにおいて、前記微粒子層は、シリカ微粒子Aと、前記微粒子Aの平均粒子径の2〜7倍の平均粒子径を有するシリカ微粒子Bとを含むことを特徴とする全光線透過率向上フィルム。
[B2]
前記微粒子Aは、中空粒子であることを特徴とする[B1]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[B3]
前記微粒子層に含まれる前記微粒子Bの含有量は、前記微粒子層に含まれる前記微粒子A及び前記微粒子Bの全重量を100重量%としたとき、0.1〜5重量%であることを特徴とする[B1]又は[B2]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[B4]
前記微粒子Aの平均粒子径が10nm〜100nmであり、前記微粒子Bの平均粒子径が100nm超であることを特徴とする[B1]〜[B3]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[B5]
前記全光線透過率向上フィルムの全光線透過率が94%以上であることを特徴とする[B1]〜[B4]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[B6]
前記全光線透過率向上フィルムのヘイズが2.0%以下であることを特徴とする[B1]〜[B5]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[B7]
全光線透過率を向上させる微粒子層を形成するための組成物であって、
前記組成物は、シリカ微粒子Aと、前記微粒子Aの平均粒子径の2〜7倍の平均粒子径を有するシリカ微粒子Bとを含むことを特徴とする組成物。
[B8]
前記微粒子層に含まれる前記微粒子Bの含有量は、前記微粒子層に含まれる前記微粒子A及び前記微粒子Bの全重量を100重量%としたとき、0.1〜5重量%であることを特徴とする[B7]に記載の組成物。
[B9]
前記微粒子Aの平均粒子径が10nm〜100nmであり、前記微粒子Bの平均粒子径が100nm超であることを特徴とする[B7]又は[B8]に記載の組成物。
下記の態様[C1]〜[C10]を有していてもよい。
[C1]
透明層と、最外層として設けられた少なくとも1つの微粒子層とを有する全光線透過率向上フィルムにおいて、前記微粒子層は、中空微粒子Aと、非中空微粒子Bとを含み、前記微粒子層に含まれる前記微粒子Bの含有量は、前記微粒子層に含まれる前記微粒子A及び前記微粒子Bの全重量を100重量%としたとき、0.1〜5重量%であることを特徴とする全光線透過率向上フィルム。
[C2]
前記微粒子Aがシリカ粒子又はフッ化微粒子であることを特徴とする[C1]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[C3]
前記微粒子Bの平均粒子径が前記微粒子Aの平均粒子径の2〜7倍であることを特徴とする[C1]又は[C2]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[C4]
前記全光線透過率向上フィルムの全光線透過率が94%以上であることを特徴とする[C1]〜[C3]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[C5]
前記全光線透過率向上フィルムのヘイズが2.0%以下であることを特徴とする[C1]〜[C4]のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
[C6]
全光線透過率を向上させる微粒子層を形成するための組成物であって、
前記組成物は、中空微粒子Aと、非中空微粒子Bとを含み、前記微粒子Bの含有量は、前記微粒子A及び前記微粒子Bの全重量を100重量%としたとき、0.1〜5重量%であることを特徴とする全光線透過率向上フィルム。
[C7]
前記微粒子Bの平均粒子径が前記微粒子Aの平均粒子径の2〜7倍であることを特徴とする[C6]に記載の全光線透過率向上フィルム。
[C8]
前記微粒子Aの平均粒子径が10nm〜100nmであり、前記微粒子Bの平均粒子径が100nm超であることを特徴とする[C6]又は[C7]に記載の組成物。

以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
(微粒子層の形成)
平均粒子径60nmの中空シリカゾル(日揮触媒化成株式会社製)99.5質量%、平均粒径300nmコロイダルシリカ(日産化学株式会社製)0.5質量%を、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびn−ブタノールを1:1で混合した希釈溶剤に固形分が4質量%となるように混合して微粒子層形成用組成物(F)を調製した。
透明基材として、厚さ50μmの光学用PETフィルム(東洋紡株式会社製)を用い、該透明基材上に、前記微粒子層形成用組成物(A)をバー塗工した。その後、120℃で120秒間加熱乾燥し、厚さ100nmの中空シリカゾル、コロイダルシリカからなる屈折率1.38(大塚電子株式会社FE−3000にて測定)の微粒子層で透明基材表面が完全に被覆された全光線透過率向上フィルムを得た。
[実施例2]
前記中空シリカゾル、94.525質量部、前記コロイダルシリカを0.475質量部に、多官能(メタ)アクリルモノマーとして6官能アクリレート(商品名DPHA、ダイセル・サイテック株式会社製)3.2質量部、ジエチレングリコールジアクリレート(商品名SR230、サートマー社製)1.35質量部、光重合開始剤(商品名IRGACURE184、BASF社製)0.25質量部、および光安定化剤(TINUVIN152、BASF社製)0.2質量部を、を、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびn−ブタノールを1:1で混合した希釈溶剤に固形分が4質量%となるように混合して微粒子層形成用組成物(G)を調製した。
透明基材として、前記光学用PETフィルムを用い、該透明基材上に、前記反射防止層形成用組成物(G)をバー塗工した。その後、120℃で120秒間加熱乾燥し、その後、高圧水銀ランプ紫外線照射機(アイグラフィックス社製)を用いて、160W/cm、ランプ高さ13cm、ベルトスピード10m/分、2passの条件で窒素雰囲気下にて紫外線を照射させ、中空シリカゾル、コロイダルシリカからなる屈折率1.38の微粒子層によって透明基材表面が完全に被覆された全光線透過率向上フィルムを得た。
[実施例3]
多官能6官能アクリレート64質量部、前記ジエチレングリコールジアクリレート27質量部、前記光重合開始剤5質量部、および前記光安定化剤(TINUVIN152、BASF社製)4質量部を、メチルエチルケトン(MEK)およびシクロヘキサノンを1:1で混合した希釈溶剤に固形分が40質量%となるように混合してハードコート層形成用組成物(G)を調製した。
透明基材として、前記光学用PETフィルム、該透明基材上に前記ハードコート層形成用組成物(G)をバー塗工した。その後、80℃で60秒間加熱乾燥し、高圧水銀ランプ紫外線照射機(アイグラフィックス社製)を用いて、160W/cm、ランプ高さ13cm、ベルトスピード10m/分、2passの条件で窒素雰囲気下にて紫外線を照射し、厚さ4μmのハードコート層を硬化形成して得たハードコート層上に、実施例1と同様に微粒子層を形成して全光線透過率向上フィルムを得た。
[比較例1]
平均粒子径60nmの中空シリカゾル(日揮触媒化成株式会社製)100質量部を、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびn−ブタノールを1:1で混合した希釈溶剤に固形分が4質量%となるように混合して微粒子層形成用組成物(H)を調製した以外は、実施例1と同様にして、微粒子層の屈折率が1.38である全光線透過率向上フィルムを得た。
[比較例2]
平均粒子径200nmの中空シリカ分散液を、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびn−ブタノールを1:1で混合した希釈溶剤に固形分が4質量%となるように混合して微粒子層形成用組成物(I)を調製した以外は実施例1と同様にして、微粒子層の屈折利率が1.38である全光線透過率向上フィルムを得た。
なお、前記平均粒径200nm中空シリカゾルは、特開2001−233661号公報に開示されている珪酸アルカリ金属水溶液から活性シリカをシリカ以外の材料からなるコア上に沈殿させる方法にて調製した。
[比較例3]
実施例1の平均粒子径60nmの中空シリカゾルを平均粒子径200nmの中空シリカゾルに変更し微粒子層形成用組成物(IJ)を調製した以外は、実施例1と同様にして微粒子層の屈折率が1.38である全光線透過率向上フィルムを得た。
[比較例4]
実施例1の平均粒子径60nmの中空シリカゾルを平均粒径60nm酸化ジルコニウム微粒子(シーアイ化成株式会社製)に変更し、微粒子層形成用組成物(K)を調製した以外は実施例1と同様にして、微粒子層の屈折率が1.55である全光線透過率向上フィルムを得た。
[評価方法]
各例で得られた全光線透過率向上フィルムに対して、以下に示す方法で貼付き性、光学特性を評価した。
(屈折率の測定)
微粒子層の屈折率は、微粒子層を形成した全光線透過率向上フィルムを試料として、反射分光膜厚計FE−3000(大塚電子株式会社製)を用いて、波長300nm〜800nの範囲における分光スペクトルを測定し、スペクトル、透明基材の屈折率、および微粒子層の膜厚とから算出して屈折率をもとめた。なお透明基材の屈折率は上記反射分光膜厚計を用いて公知の方法にて測定した。
(全光線透過率)
アクリル系接着剤(商品名SKダイン1811L、綜研化学株式会社製)100質量部、イソシアネート系架橋剤(商品名L−45、綜研化学株式会社製)1質量部、および希釈溶剤として酢酸エチル67.4質量部を混合して粘着剤を調製し、各例で得られた反射防止体における透明基材(PETフィルム)表面に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケータ塗工した。その後、100℃で120秒間加熱乾燥し、セパレートフィルム(商品名38RL−07(2)、王子エフテックス株式会社製)を貼り合わせ、温度23℃湿度50%の環境下で1週間のエージングを行って架橋反応を進行させ、微粒子層と反対側に粘着層を有する粘着フィルムを得た。
前記粘着フィルムのセパレートフィルムを剥がし、全光線透過率向上フィルムとガラス板(松浪硝子工業株式会社製)とを、空気やゴミが入らないように前記粘着層を介して貼り合わせた。ガラス板に貼付された全光線透過率向上フィルムの全光線透過率を、JIS K7361−1に準拠した方法で、日本電色株式会社製のNDH4000を用いて測定した。
このとき、全光線透過率が94.5%以上のものを◎、93.0〜94.5%未満のものを〇、90.0〜93.0%未満のものを△、90.0%未満のものを×とした。
(ヘイズ)
前記、全光線透過率測定と同様にして作成したガラスに貼付された全光線透過率向上フィルムのヘイズ値を、JIS K 7136に基づき、日本電色工業株式会社製のNDH4000を用いて測定した。
このとき、ヘイズ値が、1.0%未満のものを◎、2.0%未満のものを〇、2.0%以上のを×とした。
(モアレ、ギラツキ)
得られた全光線透過率向上フィルムの透明基材(PETフィルム)側を下にして、画像解像度が264ppiの液晶ディスプレイ(富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社製)上に載せ、全光線透過率向上フィルム上の輝度ムラを目視で確認した。このとき、モアレ、ギラツキ少なくともいづれかを確認できないものを〇、確認できたものを×とした。
(貼付きの評価)
硬化型樹脂面を有する偏光板を準備し、樹脂面を偏光板表面にのせ、偏光板表面へ樹脂面を指で押し付けた時の貼りつきを目視で確認した。このとき、貼りつきが発生しない場合を○、貼りつきが発生する場合を×とした。
Figure 0006269304
Figure 0006269304
表1に示すように、屈折率が1.30〜1.50、平均粒子径10nm〜100nmである中空シリカ粒子と、前記中空シリカ粒径の5倍の平均粒子径をもつコロイダルシリカを、中空シリカゾルの0.5質量%添加し、透明基材表面を完全に被覆した実施例1〜3の全光線透過率向上フィルムは、充分な光学特性と貼付き防止性能を両立していた。
10 全光線透過率向上フィルム
11 微粒子層
12 透明基材

Claims (4)

  1. 透明フィルムの少なくとも一面側に透過率向上層を有する全光線透過率向上フィルムにおいて、前記透過率向上層は、中空粒子からなり平均粒子径が60〜100nmである微粒子Aと、微粒子Aと平均粒子径の異なる中実粒子からなる微粒子Bとを含有し、前記微粒子Bの平均粒子径が前記微粒子Aの平均粒子径の4〜7倍であり、前記微粒子A及び前記微粒子Bの全質量を100質量%としたときに前記微粒子Bの含有量が0.1〜5質量%であり、前記透過率向上層100質量%中の前記微粒子Aの含有量は80質量%以上であることを特徴とする全光線透過率向上フィルム。
  2. 前記透過率向上層の屈折率が1.30〜1.50である、請求項1に記載の全光線透過率向上フィルム。
  3. 前記透過率向上層は、前記微粒子A及び前記微粒子Bで表面が完全に被覆されている、請求項1又は2に記載の全光線透過率向上フィルム。
  4. 前記全光線透過率向上フィルムの全光線透過率が94%以上かつヘイズが2.0%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の全光線透過率向上フィルム。
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