JP2015191635A - 透明導電膜形成用積層体、透明導電性フィルム、タッチパネル、粘着剤層付き第2基材の選択方法、透明導電膜形成用積層体の製造方法及び透明導電性フィルムの製造方法 - Google Patents
透明導電膜形成用積層体、透明導電性フィルム、タッチパネル、粘着剤層付き第2基材の選択方法、透明導電膜形成用積層体の製造方法及び透明導電性フィルムの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】透明である第1基材の少なくとも一方の面に透明層が設けられた透明導電膜形成用基材と、第2基材と、該透明導電膜形成用基材の透明導電膜を形成しない面と該第2基材を貼り合わせる粘着剤層とを備え、該透明導電膜形成用基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Aから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をAtとし、該第2基材の一方の面に該粘着剤層が設けられた粘着剤層付き第2基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Bから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をBtとしたとき、5℃毎に測定した(At−Bt)の総和が−2.0以上2.0以下の範囲である、透明導電膜形成用積層体。
【選択図】図1
Description
透明タッチパネルとしては、コスト的に優れた抵抗膜方式があるが、マルチタッチ等のジェスチャー操作、透過率向上による表示デバイスの画質維持が可能である等の点で、情報端末機器の爆発的な普及もトリガーとなり、静電容量方式のタッチパネル、特に、投影型静電容量方式のタッチパネルの需要が拡大してきている。
透明層側に透明導電膜を形成するときに、100μm以下の薄い透明導電膜形成用基材では、シワやヨレが発生してしまうことがあり、シワやヨレを抑制するために透明導電膜形成用基材を支持する第2基材を貼り合わせた透明導電膜形成用積層体が用いられている。
また、透明電極膜の成膜工程及びパターニング作業の工程の際に、透明導電膜形成用基材の透明導電膜を形成する面とは逆面に傷が生じて表示デバイスの視認性を損なわれる場合があり、視認性を確保するために透明導電膜形成用基材の透明導電膜を形成する面の反対面側に第2基材を貼り合せた透明導電膜形成用積層体が用いられている。
特に、近年の装置薄型化に付随する透明導電性フィルムの第1基材の薄型化によりカールの問題は深刻化している。また、近年爆発的に使用量が拡大している静電容量方式のタッチパネルに用いる透明導電膜形成用基材は、ITO等の透明導電膜の結晶性を高めて表面抵抗率を下げるために、高温で長時間の加熱処理が行われており、カールが発生しやすくなりつつある。
以上のように、カールの抑制に対する要望が拡大している。
本発明は、以下の[1]〜[16]の透明導電膜形成用積層体、透明導電性フィルム、タッチパネル、粘着剤層付き第2基材の選択方法、透明導電膜形成用積層体の製造方法及び透明導電性フィルムの製造方法を提供する。
[1]透明である第1基材の少なくとも一方の面に透明層が設けられた透明導電膜形成用基材と、第2基材と、該透明導電膜形成用基材の透明導電膜を形成しない面と該第2基材を貼り合わせる粘着剤層とを備え、
該透明導電膜形成用基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Aから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をAtとし、該第2基材の一方の面に該粘着剤層が設けられた粘着剤層付き第2基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Bから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をBtとしたとき、5℃毎に測定した(At−Bt)の総和が−2.0以上2.0以下の範囲である、透明導電膜形成用積層体。
[2]前記曲線Aは、50℃から150℃までの間に前記曲線Bとの交点を有する、[1]に記載の透明導電膜形成用積層体。
[3]前記曲線Aの前記熱履歴変化率は、前記交点までは前記曲線Bの熱履歴変化率より高い値を示す、[2]に記載の透明導電膜形成用積層体。
[4]前記曲線Aは、70℃以上110℃以下の範囲で変曲点を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
[5]前記透明層は、前記第1基材の両側に設けられている、[1]〜[4]のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
[6]前記透明導電膜形成用基材及び前記粘着剤層付き第2基材を貼りあわせて、150℃で30分加熱した後のカールが、前記粘着剤層付き第2基材側が凸となるカールをプラスカールとした場合に、0mm±10mmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
[7]前記透明導電膜形成用基材及び前記粘着剤層付き第2基材を貼りあわせて、150℃で30分加熱した後のカールが、前記粘着剤層付き第2基材側が凸となるカールをプラスカールとした場合に、0mm±5mmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
[8]前記透明層上に光学機能層が設けられ、該光学機能層側の面を透明導電膜形成面として用いる、[1]〜[7]のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
[9]前記粘着剤層付き第2基材は、前記透明導電膜形成用基材から剥離可能である、[1]〜[8]のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体の透明導電膜形成用基材上に透明導電膜を有してなる、透明導電性フィルム。
[11]タッチパネル用の電極として、[10]に記載の透明導電性フィルムを用いてなる、タッチパネル。
[12]透明である第1基材の少なくとも一方の面に透明層が設けられた透明導電膜形成用基材の加熱による熱履歴変化率を示す曲線であって、温度を横軸とし、熱履歴変化率を縦軸とする温度−熱履歴変化率曲線Aを導出する工程と、
第2基材の一方の面に粘着剤層が設けられた粘着剤層付き第2基材の加熱による熱履歴変化率を示す曲線であって、温度を横軸とし、熱履歴変化率を縦軸とする温度−熱履歴変化率曲線Bを導出する工程と、
該曲線Aから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をAtとし、該曲線Bから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をBtとしたとき、5℃毎に測定した(At−Bt)の総和が−2.0以上2.0以下の範囲である該粘着剤層付き第2基材を選択する工程とを含む、粘着剤層付き第2基材の選択方法。
[13][12]に記載の粘着剤層付き第2基材の選択方法によって粘着剤層付き第2基材を選択し、選択された該粘着剤層付き第2基材を、透明導電膜形成用基材に貼り合わせる工程を含む、透明導電膜形成用積層体の製造方法。
[14][13]に記載の透明導電膜形成用積層体の製造方法によって製造された透明導電膜形成用積層体上に、透明導電膜を設ける工程と、該透明導電膜を加熱して結晶化する工程と、結晶化した該透明導電膜をパターニングする工程とを含む、透明導電性フィルムの製造方法。
[15]前記透明導電膜形成用積層体の粘着剤層付き第2基材を剥離する工程を含む、[14]に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
[透明導電膜形成用積層体]
本発明の実施の形態に係る透明導電膜形成用積層体は、透明である第1基材の少なくとも一方の面に透明層が設けられた透明導電膜形成用基材と、第2基材と、該透明導電膜形成用基材の透明導電膜を形成しない面と該第2基材を貼り合わせる粘着剤層とを備え、透明導電膜形成用基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Aから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をAtとし、該第2基材の一方の面に該粘着剤層が設けられた粘着剤層付き第2基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Bから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をBtとしたとき、5℃毎に測定した(At−Bt)の総和が−2.0以上2.0以下の範囲である。
図1は、本発明の透明導電膜形成用積層体の一実施の形態を示す断面図である。図1の透明導電膜形成用積層体は、第1基材10の一方の面に透明層11a、他方の面に透明層11bを有する透明導電膜形成用基材1と、第2基材20の一方の面に粘着剤層21が設けられた粘着剤層付き第2基材とを備えてなり、透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材は、粘着剤層21によって貼り合わされている。
<第1基材>
第1基材10としては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、硬度及び靭性に優れたものであることが好ましい。このような第1基材10としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。第1基材10は、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル系フィルム、例えば、機械特性、寸法安定性、耐薬品性、透明性等の観点からポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)、ポリエチレンナフタレートが好ましい。なお、ポリエチレンナフタレートは屈折率の異方性が大きいので、延伸により高リタデーションにできる(偏光サングラスへの対応)。また、ポリエチレンテレフタレートは、高い透明性が安定的に得られる特徴を有する。
また、プラスチックフィルムの中でも、リタデーション値3000nm以上30000nm以下のプラスチックフィルム又は1/4波長位相差のプラスチックフィルムは、偏光サングラスを通して液晶ディスプレイの画像を観察した場合に、表示画面に色の異なるムラが観察されることを防止でき、ブラックアウト現象も防止できる点で好適である。
第1基材10の製造方法は、特に制限されないが、通常、溶融押し出し法等の公知の方法で製造することができる。耐熱性、透明性、硬度、靭性、表面の平滑性等の観点から、二軸延伸により製造されたPETフィルムが好ましい。二軸延伸の方法の一例として、未延伸のPETフィルムを長手方向(MD方向;縦方向;流れ方向)あるいは横手方向(TD方向;横方向;流れ方向に対し垂直方向)に延伸し、続いて先のいずれかの延伸方向と直行する方向の延伸を行う逐次二軸延伸がある。また、二軸延伸の方法の他の一例として、長手方向、横手方向に一度に延伸する同時二軸延伸がある。本発明においては、二軸延伸の方法は特に制限されず、いずれかの二軸延伸の方法で製造されたPETフィルムでも使用することができる。
二軸延伸フィルムは、上述したように、長手方向及び横手方向に延伸され製造されるため、延伸時の残留応力等により、加熱時に大きく収縮してしまう傾向にある。このため、例えば、二軸延伸PETフィルムを基材として使用する際には、予め所定の熱処理を行い、収縮率を0.5%以下に低減させ使用される。
第1基材10の表面には、密着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行って、下地処理層13を設けてもよい。
透明層は、透明導電膜を形成する第1基材10の一方の面のみに設けてもよいが、第1基材10の反対側からもオリゴマーの析出を防止するという観点、透明導電膜形成用基材1のそれぞれの面に硬度及び靭性を付与するという観点、及び透明導電膜形成用積層体のカールを抑制するという観点から、図1に示すように、第1基材10の両面に設けることが好適である。
透明層11a,11bは、第1基材10から発生するオリゴマーの析出を防止する機能を有することが好ましい。また、透明層11a,11bは、透明導電膜形成用基材1のそれぞれの面に硬度及び靭性を付与する役割を有することが好ましい。また、透明層11a,11bは、詳しくは後述するが、熱履歴変化率に注目し、透明導電膜形成用積層体のカールを抑制する役割を有することが好ましい。
バインダー樹脂は、オリゴマーの析出を防止できれば特に制限されないが、硬度及び靭性の観点から、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましく、その中でも電子線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。これら光重合開始剤は、融点が100℃以上であることがより好ましい。光重合開始剤の融点を100℃以上とすることにより、透明導電膜形成時や結晶化工程の熱により残留した光重合開始剤が昇華し、透明導電膜の低抵抗化が損なわれることを防止することができる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の透明導電膜形成用基材1は、上述した第1基材10、透明層11a,11b、下地処理層12a,12b以外のその他の層を有していてもよい。その他の層としては、光学機能層、帯電防止層、易粘着剤層等が挙げられる。一例として、高屈折率層及び低屈折率層を有する光学機能層30を有する透明導電膜形成用基材1を図2に示す。
光学機能層30は、透明層11b上に、高屈折率層、低屈折率層が順に積層して設けられた層である。光学機能層30は、ITO等のパターニングされた透明導電膜の存在を観察者側から視認されることを防止する不可視化層として機能する。
一般に、透明導電膜のパターンは、第1基材10等に比べて高い屈折率を有するITO等から構成されており、この場合、第1基材10等と透明導電膜のパターンとの間の反射率差及び透過率差等を原因として、透明導電膜のパターンの存在が観察者から視認されやすくなる。これを改善するために、通常、第1基材10等と透明導電膜のパターンとの間に、光学機能層(不可視化層)30を配置する構成がとられる。
光学機能層30が設けられた透明導電膜形成用基材1であっては、光学機能層30側の面を透明導電膜形成面として用いることが好ましい。
高屈折率層の厚さは、10nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上70nm以下であることがより好ましい。高屈折率層の屈折率は、1.55以上1.75以下であることが好ましい。
低屈折率層の厚さは、5nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上70nm以下であることがより好ましく、10nm以上40nm以下であることが更に好ましい。低屈折率層の屈折率は、1.30以上1.55以下であることが好ましい。
なお、高屈折率層と低屈折率層との間に、厚さ200nm以下で、屈折率が1.50以上1.70以下の中屈折率層を有していてもよい。上述のように透明導電膜形成用基材1をタッチパネル用に用いる場合、中屈折率層の厚さは、10nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上70nm以下であることがより好ましい。また、その場合の中屈折率層の屈折率は、1.55以上1.65以下であることが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物としては、透明層11a,11bで例示したものを用いることができる。また、これらの樹脂は、芳香族環、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄、窒素、リン原子等を導入して、屈折率を高く調整したものであってもよい。
屈折率調整粒子の形状は、球形、不定形、中空、多孔質及び中実等のいずれであってもよい。
また、屈折率調整粒子は塗膜中で分散体(一次粒子)の形態で存在することが好ましい。屈折率調整粒子の平均一次粒子径は、通常、100nm以下であり、10nm以上60nm以下であることが好ましい。なお、本発明において、屈折率調整粒子の平均一次粒子径は、BET窒素吸着法による比表面積測定値(JIS Z8830に準じる)から換算した値である。
高屈折率層中ないし中屈折率層中の屈折率調整粒子の含有量は、目的とする屈折率に合わせて適宜調整すればよい。
また、バインダー樹脂としては、硬度及び透明導電膜の密着性という観点からは、電離放射線硬化性化合物として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジアクリル化イソシアヌレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリアクリレート等の、OH基を1個以上有する多官能(メタ)アクリレートを構成要素として含むものを用いることが好適である。OH基を1個以上有する多官能(メタ)アクリレートを構成要素として含むことで、他の材料(例えばイソシアネート系化合物)と反応するなどして、ITOとの密着性が上がるので好ましい。
屈折率調整粒子の形状は、球形、不定形、中空、多孔質及び中実等の何れであってもよい。
また、屈折率調整粒子は塗膜中で分散体(一次粒子)の形態で存在することが好ましい。
屈折率調整粒子の平均一次粒子径は、通常、100nm以下であり、5nm以上60nm以下であることが好ましい。
また、低屈折率の材料単体から低屈折率層を形成する場合、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い材料を用いることができる。
低屈折率層中の屈折率調整粒子の含有量は、目的とする屈折率に合わせて適宜調整すればよい。
ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、バインダー樹脂に高屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、上述した高屈折率層の屈折率調整粒子の中から所望の屈折率を有する材料を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
ウェット法としては、高屈折率層と同様、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率のバインダーを塗工して形成する手法、バインダー樹脂に低屈折率粒子を含有させた組成物を塗工して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、上述した低屈折率層の屈折率調整粒子の中から所望の屈折率を有する粒子を選び、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
<第2基材>
第2基材20としては、平滑性、耐熱性を備え、硬度及び靭性に優れたものであることが好ましい。第2基材20を剥離しないで透明導電性フィルムの一部としてタッチパネル等のデバイスに用いる場合には、第2基材20は、光透過性を有することが好ましい。このような第2基材20としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。第2基材20は、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。
これらプラスチックフィルムの中でも、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエチレンテレフタレート(PET)が、硬度、靭性及び寸法安定性に優れる点で好ましい。
なお、第2基材20には、加熱時に第2基材20からのオリゴマー析出を防止するという観点、第2基材20のそれぞれの面に硬度及び靭性を付与するという観点、及び粘着剤層付き第2基材2のカールを抑制するという観点から、少なくとも一方の面に、第1基材10に設けられた透明層11a,11bと同じ特性を有する透明層が設けられることが好ましい。
粘着剤層21は、第2基材20の一方の面に設けられ、透明導電膜形成用基材1の透明導電膜を形成しない側の面と第2基材20とを貼り合わせる。透明導電膜形成用基材1の透明層が片面に設けられる場合、粘着剤層21は、透明層を有さない面側にて貼り合わせることが好ましい。また、透明層が両面に設けられる場合、粘着剤層21は、透明導電膜を形成しない側の面にて貼り合わせることが好ましい。
粘着剤層21は、透明導電膜形成用基材1と第2基材20とを初期粘着力5mN/25mm以上1000mN/25mm以下で粘着できるものであれば特に限定されるものではない。粘着剤層21の初期粘着力は、10mN/25mm以上300mN/25mm以下であることが好ましく、30mN/25mm以上150mN/25mm以下であることがより好ましい。粘着剤層21としては、例えば、アクリル系感圧粘着剤、シリコーン系感圧粘着剤、ウレタン系感圧粘着剤等の感圧粘着剤、光学透明両面テープ(OCA(Optical Clear Adhesive)テープ)を用いることができる。粘着剤層21は、光透過性を有することで、視認性に優れたものとすることができる点で好適である。
透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた値が0±0.3%以下であることが好ましく、0±0.2%以下であることがより好ましく、0±0.1%以下であることがさらに好ましい。また、透明導電膜形成用基材1のTD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のTD方向の熱収縮率を引いた値が0±0.3%以下であることが好ましく、0±0.2%以下であることがより好ましく、0±0.1%以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層21或いは第2基材20の幅は、透明導電膜形成用基材1の幅よりも狭いことが好ましい。
透明導電膜形成用積層体のカールには、透明導電膜形成用基材1と粘着剤層付き第2基材2とを張り合わせた際に生じる初期カール、及び透明導電膜を結晶化するための加熱処理が行われた後に室温に戻したときに生じる加熱カールがある。加熱カールは、透明導電膜形成用基材1と粘着剤層付き第2基材2との熱収縮率の差から生じるカールであり、図3に示すように、プラスカールとマイナスカールがある。本発明において、「プラスカール」とは、粘着剤層付き第2基材2側が凸となるカールをいい、「マイナスカール」とは、透明導電膜形成用基材1側が凸となるカールをいう。
本発明では、透明導電膜形成用積層体の加熱カールの抑制に用いる手段として、図4に示すような、温度−熱履歴変化率曲線A,Bを用いる。温度−熱履歴変化率曲線A,Bは、透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2の熱履歴変化率を計測した温度を横軸とし、熱履歴変化率を縦軸として、測定点の直線補間による近似曲線により作成することができる。曲線Aは、透明導電膜形成用基材1の加熱による熱履歴変化率を示す曲線であり、曲線Bは、粘着剤層付き第2基材2の加熱による熱履歴変化率を示す曲線である。本発明において、「熱履歴変化率」とは、透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2をそれぞれ所定温度で30分間加熱した後、室温に戻した際の所定方向(例えば、MD方向、TD方向)の加熱後の長さと、所定方向の加熱前の長さにより得られる以下の式(1)で表される。
熱履歴変化率(%)=(加熱前の長さ−加熱後の長さ)/加熱前の長さ×100 (1)
従来は1つの温度での透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2の熱収縮率差をある範囲に収めることに着目していたが、1つの温度での熱収縮差をある範囲に収めることだけでは、所望の加熱カ−ルの範囲に抑制できないことが新たに判った。これは、透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2を製造する工程において、両者が異なる熱履歴を経ることにより、1つの温度での熱収縮差がある範囲に収まっていたとしても、熱収縮の挙動が始まる温度からの熱履歴が両者で異なることで所望の加熱カ−ルの範囲に抑制できないことが原因と考えられる。これに対し、加熱カ−ルを抑制する手段として本発明では、加熱による熱履歴全体に着目し、(At−Bt)の総和を−2.0以上2.0以下の範囲とすることで、透明導電膜形成用積層体を加熱した後に室温に戻した際の加熱カールの方向や量を所望の範囲に抑制することができることが新たに判明した。
透明導電膜形成用積層体をロ−ル状態で搬送しながら加熱処理をする場合、通常、搬送用のガイドロ−ルに第2基材側が接する形で搬送されるが、加熱時にマイナスカ−ルの状態で搬送されると、ガイドロ−ルに透明導電膜形成用積層体の両端部のみ接して、中央部が浮いてしまい搬送しづらくなる。しかし、上記範囲でプラス値の範囲であることによって、透明導電膜形成用積層体はプラスカ−ルとなり、その問題は生じない。
なお、曲線A,Bが交点Vを有さない場合は、熱履歴変化率の差分の総和を所望の範囲に収めることができる程度に曲線A,Bが近接していることが好ましい。
本発明において、「変曲点」とは、曲線Aにおいて、ある測定温度tの熱履歴変化率からその温度よりも一つ前の測定温度(t−1)の熱履歴変化率を引いた値と、測定温度tより一つ後の測定温度(t+1)の熱履歴変化率から測定温度tの熱履歴変化率を引いた値との差分が最大となるときの測定温度の測定点をいう。
本発明の透明導電性フィルムは、上述した本発明の透明導電膜形成用基材の最上層である透明層11b又は光学機能層30上に、透明導電膜を有してなるものである。透明導電膜は、一般的な無機導電性材料から形成することができる。
透明導電膜の厚さは、適用する材料によっても異なるため一概には決められないが、表面抵抗率で300Ω/□以下、好ましくは150Ω/□以下になるような厚さであって、色味が付かないようにするという観点から、10nm以上、好ましくは20nm以上、80nm以下、好ましくは70nm以下の範囲が好適である。
本発明の透明導電性フィルムは、上述した本発明の透明導電膜形成用基材を用いていることから、結晶性を良好にすることができ、透明導電膜の厚さに応じた表面抵抗率を安定して得ることができる。
物理蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。蒸着材料としては、上述した無機導電性材料を用いることができる。
透明導電膜のパターニングはエッチングで行うことができる。エッチングは、燐酸、硝酸、酢酸等から選ばれる酸成分、及び水を含む酸性エッチング液を用いて、フォトリソ法によりパターン化することにより行うことができる。エッチングの後は、アルカリ洗浄液等でエッチング液を洗浄することが好ましい。アルカリ洗浄液は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム水溶液(通常0.5〜3規定)を用いることができる。エッチング液は、前記洗浄液により、5〜60分程度の浸漬方式又は流水方式で除去することができる。
本発明の透明導電性フィルムは、各種電極に用いることができる。特に、静電容量式や抵抗膜式等のタッチパネル用の電極は、ディスプレイの画像の鮮明性を損なわない良好な視認性と高い感度が要求されることから、タッチパネル用の電極として、本発明の透明導電性フィルムを用いることは好適である。
抵抗膜式タッチパネルは、透明導電膜を有する上下一対の透明基板の透明導電膜同士が対向するようにスペーサーを介して配置されてなる構成を有する基本構成からなるものである。このような抵抗膜式タッチパネルの上部電極及び/又は下部電極として、本発明の透明導電性フィルムを用いることができる。
静電容量式タッチパネルは、表面型、投影型等が挙げられる。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、X電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成からなるものである。このX電極及び/又はY電極として、本発明の透明導電性フィルム(電極パターニング済み)を用いることができる。
本発明における粘着剤層付き第2基材の選択方法について説明する。
本発明における透明導電膜形成用積層体の製造方法は、上述の粘着剤層付き第2基材の選択方法によって粘着剤層付き第2基材2を選択し、選択された粘着剤層付き第2基材2を、透明導電膜形成用基材1に貼り合わせる工程を含む。
本発明における透明導電性フィルムの製造方法は、まず、上述の透明導電膜形成用積層体の製造方法によって製造された透明導電膜形成用積層体上に、透明導電膜を設ける工程を経る。
透明導電膜の形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法、又は化学気相成長法、その他印刷法、塗工法等種々あるが、光学特性、電気特性の観点から物理気相成長法、化学気相成長法が好ましく、特に、化学気相成長法に比べ、より低温度で処理できる物理気相成長法が好ましい。
加熱温度は、使用する金属酸化物により異なるが、通常100℃以上200℃以下であり、好ましくは120℃以上170℃以下である。また、加熱時間は、通常、5分間〜24時間であり、製造効率や結晶化度(機械的特性、表面抵抗率値等に影響を及ぼす)を考慮して適宜調整すればよい。加熱方法は、特に制限されることはなく、公知の方法で行うことができるが、金属酸化物としてITOを用いる場合は、空気中で加熱炉、赤外線ランプヒーター等を用いて行うことが好ましい。
なお、所定の導電層のパターンを形成する方法としては、透明電極膜をパターニングする工程を経た後に、透明電極膜を加熱して結晶化する工程を経る方法であっても構わない。
粘着剤層付き第2基材2の粘着剤層21が加熱処理後の粘着力5mN/25mm以上1000mN/25mm以下のものであることによって、透明導電膜形成用積層体から必要のなくなった粘着剤層付き第2基材2を容易に剥離することができる。剥離された粘着剤層付き第2基材2は、廃棄される。
なお、粘着剤層付き第2基材2を剥離せずに、そのまま透明導電性フィルムの一部として用いることも可能である。
[透明導電膜形成用基材の作成]
厚さ50μmの第1基材10としての二軸延伸ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「KEL86W」;プライマー層付き)上に、下記処方の透明層11a塗布液を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、透明層11a(屈折率1.52)を形成した。乾燥条件は、70℃、60秒とし、積算光量300mJ/cm2で紫外線照射を行って硬化させた。
次いで、透明層11aとは反対側の面に、透明層11b(厚さ2μm、屈折率1.52)、光学機能層30としての高屈折率層(厚さ50nm、屈折率1.66)、及び光学機能層30としての低屈折率層(厚さ40nm、屈折率1.49)をインラインで連続的に形成し、透明導電膜形成用基材1を得た。
なお、透明層11b及び光学機能層30の塗布液は以下のものを用いた。透明層11bの乾燥条件は、70℃、60秒とし、積算光量100mJ/cm2で紫外線照射を行って硬化させた。光学機能層30の乾燥条件は、それぞれ50℃、60秒とし、それぞれ積算光量100mJ/cm2で紫外線照射を行って硬化させた。
透明層11aへの紫外線照射は、透明層11aの乾燥後光学機能層30の形成前、透明層11bへの紫外線照射は、透明層11bの乾燥後光学機能層30の形成前、光学機能層30への紫外線照射は、光学機能層30の乾燥後に行った。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 50部
(日本化薬株式会社製「KAYARAD−PET−30」)
・光重合開始剤 2部
(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア184」)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(大日精化工業株式会社製「セイカビーム10−28」、固形分10%)
・メチルイソブチルケトン 60部
・シクロヘキサノン 15部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 10部
(日本化薬株式会社製「KAYARAD−PET−30」)
・光重合開始剤 0.7部
(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア127」)
・シリコーン系レベリング剤 0.3部
(大日精化工業株式会社製「セイカビーム10−28」、固形分10%)
・屈折率調整粒子(酸化ジルコニウム) 50部
(住友大阪セメント株式会社製「MZ−230X」、固形分32.5%)
(平均一次粒子径:25nm)
・メチルイソブチルケトン 500部
・シクロヘキサノン 250部
・メチルエチルケトン 500部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 5部
(日本化薬株式会社製「KAYARAD−PET−30」)
・光重合開始剤 1部
(BASFジャパン株式会社製「イルガキュア127」)
・シリコーン系レベリング剤 0.2部
(大日精化工業株式会社製「セイカビーム10−28」、固形分10%)
・屈折率調整粒子(シリカ) 17部
(日産化学工業株式会社製「MIBK−SD」、固形分30%)
(平均一次粒子径:10〜15nm)
・メチルイソブチルケトン 1000部
・シクロヘキサノン 250部
厚さ125μmの第2基材20としての二軸延伸ポリエステルフィルム上に、粘着剤層21を形成した。粘着剤層21を形成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤(クラレ株式会社製、商品名LA2140)を溶媒{メチルエチルケトン/トルエン(溶媒配合比=質量基準で1:1)}中に、固形分20%(質量基準)となるよう溶解したものを用いた。
該粘着剤塗工液は第2基材20の塗工面に対して、ダイコーターにより、膜厚が20μmになる様に塗布し、100℃で1分間乾燥して粘着剤層21を形成し、更に粘着剤層21の面には、再剥離可能な離型フィルムを貼合わせて保護した。
なお、粘着剤層21による透明導電膜形成用基材1と第2基材20との初期粘着力は、70mN/25mm であった。
以下のように、実施例及び比較例の透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱履歴変化率測定を行った。熱収縮率が大きいMD方向の熱履歴変化率測定を行うことで、温度−熱履歴変化率曲線A,Bの作成を容易にすることができる。
具体的には、得られた透明導電膜形成用積層体を10cm四方のサンプルとして切り出した。サンプルを測定温度にて30分間加熱した後、室温に戻した際の熱履歴変化率を測定した。熱履歴変化率は、式(1)により算出した。
熱履歴変化率(%)=(加熱前の長さ−加熱後の長さ)/加熱前の長さ×100 (1)
なお、本実施例において、熱履歴変化率測定を行った温度は、50℃〜150℃までの5℃毎とした。
温度−熱履歴変化率曲線A,Bは、透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2の熱履歴変化率を計測した温度を横軸とし、MD方向の熱履歴変化率を縦軸として、計測した熱履歴変化率をプロットし、プロットを通る線を引くことで作成した。曲線A,Bを図5のグラフとして示す。
図5に示した曲線A,Bより、5℃毎に測定した(At−Bt)の総和を算出した。結果を表1に示す。
粘着剤層21を介して、透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2を貼り合わせることで透明導電膜形成用積層体を得た。
得られた透明導電膜形成用積層体を10cm四方のサンプルとして切り出した。サンプルを150℃で30分間加熱した後、室温に戻した際の加熱カールの程度を測定した。まずは、測定するサンプルがプラスカール又はマイナスカールであるかを判定する。カールの方向を確認した後に、水平な台上に、サンプルを置き、サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の最大値を該サンプルのカール値とする。10個のサンプルのカール値を測定し、その中で最大値となるものを検出した。なお、カール値の評価基準は以下のようにし、結果を表1に示す。
カール値の最大値の絶対値が5mm以下:◎
カール値の最大値の絶対値が5mm〜10mm:○
カール値の最大値の絶対値が10mm以上:×
透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2を150℃で30分加熱した後のそれぞれのMD方向の熱収縮率を測定した。熱収縮率は、式(2)により算出した。
熱収縮率(%)=(加熱前の長さ−加熱後の長さ)/加熱前の長さ×100 (2)
そして、得られた透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた熱収縮差の値を算出した。熱収縮差の算出結果を表1に示す。実施例1における透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率は0.49%であり、粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率は0.64%であったので、透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた値は−0.15%であった。
(At−Bt)の総和の算出結果、及びカール値の測定結果を表2に示す。
実施例1における透明導電膜形成用基材1の第1基材10を厚さ125μmに代え、第2基材20を厚さ50μmに代えた以外は、実施例1と同様に行った。実施例2における温度−熱履歴変化率曲線A,Bを図6のグラフとして示す。
実施例2における透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率は0.45%であり、粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率は0.66%であったので、透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた値は−0.22%であった。熱収縮差の算出結果を表1に示す。
また、(At−Bt)の総和の算出結果、及びカール値の測定結果を表2に示す。
実施例3は、実施例1における粘着剤層付き第2基材2であって、延伸工程における延伸程度の異なるものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。実施例3における温度−熱履歴変化率曲線A,Bを図7のグラフとして示す。
実施例3における透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率は0.49%であり、粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率は0.41%であったので、透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた値は0.08%であった。熱収縮差の算出結果を表1に示す。
(At−Bt)の総和の算出結果、及びカール値の測定結果を表2に示す。
実施例4は、実施例1における透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2であって、延伸工程における延伸程度の異なるものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。実施例4における温度−熱履歴変化率曲線A,Bを図8のグラフとして示す。
実施例4における透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率は0.47%であり、粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率は0.74%であったので、透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた値は−0.27%であった。熱収縮差の算出結果を表1に示す。
(At−Bt)の総和の算出結果、及びカール値の測定結果を表2に示す。
比較例1は、実施例1における透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2であって、延伸工程における延伸程度の異なるものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。比較例1における温度−熱履歴変化率曲線A,Bを図9のグラフとして示す。
比較例1における透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率は0.55%であり、粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率は0.41%であったので、透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた値は0.14%であった。熱収縮差の算出結果を表1に示す。
(At−Bt)の総和の算出結果、及びカール値の測定結果を表2に示す。
比較例2は、実施例1における透明導電膜形成用基材1及び粘着剤層付き第2基材2であって、延伸工程における延伸程度の異なるものを用いた以外は、実施例1と同様に行った。比較例2における温度−熱履歴変化率曲線A,Bを図10のグラフとして示す。
比較例2における透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率は0.41%であり、粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率は0.74%であったので、透明導電膜形成用基材1のMD方向の熱収縮率から粘着剤層付き第2基材2のMD方向の熱収縮率を引いた値は−0.32%であった。熱収縮差の算出結果を表1に示す。
(At−Bt)の総和の算出結果、及びカール値の測定結果を表2に示す。
10…第1基材
11a,11b…透明層
12a,12b…下地処理層(プライマー層)
2…粘着剤層付き第2基材
20…第2基材
21…粘着剤層
30…光学機能層
Claims (15)
- 透明である第1基材の少なくとも一方の面に透明層が設けられた透明導電膜形成用基材と、第2基材と、該透明導電膜形成用基材の透明導電膜を形成しない面と該第2基材を貼り合わせる粘着剤層とを備え、
該透明導電膜形成用基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Aから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をAtとし、該第2基材の一方の面に該粘着剤層が設けられた粘着剤層付き第2基材の加熱による熱履歴変化率を示す温度−熱履歴変化率曲線Bから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をBtとしたとき、5℃毎に測定した(At−Bt)の総和が−2.0以上2.0以下の範囲である、透明導電膜形成用積層体。 - 前記曲線Aは、50℃から150℃までの間に前記曲線Bとの交点を有する、請求項1に記載の透明導電膜形成用積層体。
- 前記曲線Aの前記熱履歴変化率は、前記交点までは前記曲線Bの熱履歴変化率より高い値を示す、請求項2に記載の透明導電膜形成用積層体。
- 前記曲線Aは、70℃以上110℃以下の範囲で変曲点を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
- 前記透明層は、前記第1基材の両側に設けられている、請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
- 前記透明導電膜形成用基材及び前記粘着剤層付き第2基材を貼りあわせて、150℃で30分加熱した後のカールが、前記粘着剤層付き第2基材側が凸となるカールをプラスカールとした場合に、0mm±10mmである、請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
- 前記透明導電膜形成用基材及び前記粘着剤層付き第2基材を貼りあわせて、150℃で30分加熱した後のカールが、前記粘着剤層付き第2基材側が凸となるカールをプラスカールとした場合に、0mm±5mmである、請求項1〜6のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
- 前記透明層上に光学機能層が設けられ、該光学機能層側の面を透明導電膜形成面として用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
- 前記粘着剤層付き第2基材は、前記透明導電膜形成用基材から剥離可能である、請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の透明導電膜形成用積層体の透明導電膜形成用基材上に透明導電膜を有してなる、透明導電性フィルム。
- タッチパネル用の電極として、請求項10に記載の透明導電性フィルムを用いてなる、タッチパネル。
- 透明である第1基材の少なくとも一方の面に透明層が設けられた透明導電膜形成用基材の加熱による熱履歴変化率を示す曲線であって、温度を横軸とし、熱履歴変化率を縦軸とする温度−熱履歴変化率曲線Aを導出する工程と、
第2基材の一方の面に粘着剤層が設けられた粘着剤層付き第2基材の加熱による熱履歴変化率を示す曲線であって、温度を横軸とし、熱履歴変化率を縦軸とする温度−熱履歴変化率曲線Bを導出する工程と、
該曲線Aから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をAtとし、該曲線Bから得られる50℃から150℃までの温度tにおける熱履歴変化率をBtとしたとき、5℃毎に測定した(At−Bt)の総和が−2.0以上2.0以下の範囲である該粘着剤層付き第2基材を選択する工程とを含む、粘着剤層付き第2基材の選択方法。 - 請求項12に記載の粘着剤層付き第2基材の選択方法によって粘着剤層付き第2基材を選択し、選択された該粘着剤層付き第2基材を、透明導電膜形成用基材に貼り合わせる工程を含む、透明導電膜形成用積層体の製造方法。
- 請求項13に記載の透明導電膜形成用積層体の製造方法によって製造された透明導電膜形成用積層体上に、透明導電膜を設ける工程と、
該透明導電膜を加熱して結晶化する工程と、
結晶化した該透明導電膜をパターニングする工程とを含む、透明導電性フィルムの製造方法。 - 前記透明導電膜形成用積層体の粘着剤層付き第2基材を剥離する工程を含む、請求項14に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
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