JP2015058550A - 積層フィルムおよび透明導電性フィルム - Google Patents

積層フィルムおよび透明導電性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】
透明性が高く、かつ耐ブロッキング性の良好な積層フィルムを提供する。
【解決手段】
基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が積層され、前記樹脂層上に第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が直接に積層されており、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は粒子を含有し、この粒子による突起を第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に有する積層フィルムであって、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d)が2μm未満、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d:μm)に対する前記粒子の平均粒子径(r:μm)の比率(r/d)が0.5以下であり、かつ前記樹脂層表面のぬれ張力が52mN/m以下であることを特徴とする、積層フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明性が高く、かつ耐ブロッキング性の良好な積層フィルムに関し、詳細には透明導電性フィルムに好適な積層フィルムに関する。
基材フィルムに活性エネルギー線硬化性樹脂層が積層された積層フィルムは、ディスプレイやタッチパネルの表面保護フィルム(ハードコートフィルム)や光学フィルム(反射防止フィルム)として、あるいはタッチパネル用透明導電性フィルムのベースフィルムとして用いられている。
これらの用途に使用される積層フィルムは、透明性が高く、かつ耐ブロッキング性が良好であることが要求される。
ハードコートフィルムの耐ブロッキング性を改良するために、表面に粒子による突起を設けることが提案されている(特許文献1〜4)。
特開2010−122323号公報 特開2010−241937号公報 特開2011−68087号公報 特開2011−136490号公報
ハードコートフィルムにおけるハードコート層の厚みについては、カールの抑制、生産性、原材料コスト、透明性等の観点から、ハードコート層の厚みは比較的小さいことが好ましい。例えば、ハードコート層の厚みは2μm未満が好ましい。しかし、ハードコート層の厚みを小さくすると耐ブロッキング性が低下する傾向にある。
上記特許文献には、厚みが比較的小さいハードコート層(例えば厚みが2μm未満のハードコート層)において透明性と耐ブロッキング性を同時に満足させる技術は開示されていない。
従って、本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みが比較的小さい場合(2μm未満の場合)であっても、透明性が高く、かつ耐ブロッキング性の良好な積層フィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、透明導電性フィルムに好適な積層フィルムを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
[1]基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が積層され、前記樹脂層上に第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が直接に積層されており、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は粒子を含有し、この粒子による突起を第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に有する積層フィルムであって、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d)が2μm未満、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d:μm)に対する前記粒子の平均粒子径(r:μm)の比率(r/d)が0.5以下であり、かつ前記樹脂層表面のぬれ張力が52mN/m以下であることを特徴とする、積層フィルム。
[2]積層フィルムのヘイズ値が0.5%以下である、前記[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記基材フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである、前記[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra1)が30nm未満である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層フィルム。
[5]前記粒子の平均粒子径(r)が0.03〜0.5μmの範囲である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子の含有量が、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して3〜17質量%である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]前記基材フィルムの第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が設けられた面とは反対面に、易接着層を介して第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を有し、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みが2.5μm未満でかつ第2活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)が25nm以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルム。
[8] 前記基材フィルムが、屈折率が1.61〜1.70であるポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記易接着層の屈折率が1.55〜1.60、前記第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の屈折率が1.48〜1.54である、前記[7]に記載の積層フィルム。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層フィルムの少なくとも一方の面に透明導電膜を有する、透明導電性フィルム。
本発明によれば、透明性が高く、かつ耐ブロッキング性の良好な積層フィルムを提供することができる。本発明の積層フィルムは透明導電性フィルムのベースフィルムに好適である。
図1は、本発明の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の走査型電子顕微鏡による表面写真の1例である。 図2は、本発明の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の走査型電子顕微鏡による表面写真の1例である。 図3は、本発明の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の走査型電子顕微鏡による表面写真の1例である。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が積層され、この樹脂層上に第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が直接に積層されたものである。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、厚み(d)が2μm未満であり、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d:μm)に対する粒子の平均粒子径(r:μm)の比率(r/d)が0.5以下である粒子を含有し、この粒子による突起を活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に有する。そして、樹脂層はその表面のぬれ張力が52mN/m以下である。
本発明において、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に粒子による突起を有するとは、詳しくは後述する方法で、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面における突起の平均高さと個数を測定したときに、突起の平均高さが0.02μm以上であり、かつ、突起が2μm四方(面積4μm)当たり平均2個以上存在することを意味する。測定方法および判断方法の詳細は実施例に示す。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d)は、2μm未満であることが重要である。第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを2μm未満とすることにより、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の透明性が高くなること(ヘイズ値が小さくなること)、積層フィルムのカールが抑制されること、生産性が向上すること、および原料コストが軽減できること等の利点がある。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、平均粒子径(r:μm)が厚み(d:μm)の0.5倍以下の粒子を含有し、この粒子による突起を有する。つまり、本発明では、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d:μm)に対する前記粒子の平均粒子径(r:μm)の比率(r/d)が0.5以下であることが重要である。第1活性エネルギー線硬化性樹脂層がこのような関係を満足する粒子を含有することにより透明性が向上し、この粒子による突起が第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に形成されることにより耐ブロッキング性が良好となる。
しかし、このような粒子(平均粒子径(r:μm)が厚み(d:μm)の0.5倍以下の粒子)によって第1活性エネルギー線硬化性表面に突起を形成させる場合、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d)が2μm未満になると、良好な耐ブロッキング性が得られる程度の十分な突起が安定的に形成されないことがある。
そこで、上記構成の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を、ぬれ張力が52mN/m以下である樹脂層上に直接に積層することにより、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面に粒子による突起が形成されやすくなり、その結果耐ブロッキング性が良好な積層フィルムを得ることができることを見出し、本発明を成すに至った。
以下、本発明の積層フィルムを構成する各構成要素について詳細に説明する。
[基材フィルム]
本発明の基材フィルムは、プラスチックフィルムが好ましく用いられる。基材フィルムを構成する材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、およびこれら樹脂を混合および/または共重合したものが挙げられる。これらの樹脂を未延伸、一軸延伸、二軸延伸してフィルムとしたものを基材フィルムとして適用することができる。
上記した基材フィルムの中でも、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性などに優れていることから、ポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましく、中でも二軸延伸されたPETフィルムが好ましく用いられる。
基材フィルムの厚みは、20〜300μmの範囲が適当であり、30〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
[樹脂層]
樹脂層は、基材フィルムと第1活性エネルギー線硬化性樹脂層との間に設けられる。樹脂層は、基材フィルムに直接に積層されていることが好ましい。樹脂層は、基材フィルムと第1活性エネルギー線硬化性樹脂層との密着性を向上させる機能を有することが好ましい。
樹脂層は、表面のぬれ張力が52mN/m以下である。樹脂層表面のぬれ張力が52mN/mを越えると、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に粒子による突起が十分に形成されず、良好な耐ブロッキング性が得られない。
樹脂層表面のぬれ張力は、更に50mN/m以下が好ましい。樹脂層表面のぬれ張力の下限は、35mN/m以上が好ましく、37mN/m以上がより好ましく、40mN/m以上が特に好ましい。樹脂層表面のぬれ張力が35mN/m未満となると、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の密着性が低下することがある。
上記の観点、即ち、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に粒子による突起が十分に形成されるようにするという観点、および基材フィルムと第1活性エネルギー線硬化性樹脂層との密着性を向上させるという観点から、樹脂層の厚みは0.005μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、0.015μm以上が特に好ましい。上限は0.3μm以下が好ましく、0.2μm以下が好ましく、特に0.15μm以下が好ましい。樹脂層の厚みが0.3μmより大きくなると第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を積層した後の硬度や耐ブロッキング性が低下することがある。
樹脂層は、樹脂を主成分として含有する層である。即ち、樹脂層は、樹脂層の固形分総量100質量%に対して樹脂を50質量%以上含有する層である。樹脂層における樹脂の含有量は、更に、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。上限は98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、特に90質量%以下が好ましい。
樹脂層を構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独あるいは複数種併用することができる。
樹脂層表面のぬれ張力を52mN/m以下に制御すると言う観点から、および基材フィルムと第1活性エネルギー線硬化性樹脂層との密着性を向上させるという観点から、樹脂層に含有させる樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、更にポリエステル樹脂および/またはアクリル樹脂を用いることが好ましく、特に樹脂として少なくともポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
上記ポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、例えば多価カルボン酸成分とジオール成分とから重縮合して得られるポリエステル樹脂を用いることができる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸などの3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。
ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどが挙げられる。
さらに、ポリエステル樹脂の水溶化あるいは水分散化を容易にするために、3価以上多価カルボン酸やスルホ基を有するジカルボン酸等を共重合して、側鎖に親水性基(カルボキシル基やスルホ基)を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
上記アクリル樹脂としては、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、グリシジルメタクリレートから選ばれる共重合体などがある。さらに、アクリル樹脂の水溶化あるいは水分散化を容易にするために、スルホ基を有する化合物やカルボキシル基を有する化合物(アクリル酸、メタクリル酸など)を共重合することが好ましい。
樹脂層は、更に架橋剤を含有することが好ましい。樹脂層は、上述の樹脂と架橋剤を用いてなる層であって、熱によって硬化せしめられた層(熱硬化層)であることが好ましい。樹脂層をこのような熱硬化層とすることにより、基材フィルムと第1活性エネルギー線硬化性樹脂層との密着性をさらに向上させることができる。樹脂層を熱硬化するときの条件(加熱温度、時間)は特に限定されないが、加熱温度は70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上が特に好ましく、200℃以上が最も好ましい。上限は300℃以下が好ましい。加熱時間は5〜300秒の範囲が好ましく、10〜200秒の範囲がより好ましい。
上記架橋剤としては、例えばメラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましく、特にメラミン系架橋剤が好ましい。
メラミン系架橋剤としては、例えばイミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、イミノ基型メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂が好ましく用いられる。
樹脂層における架橋剤の含有量は、樹脂層の固形分総量100質量%に対して0.5〜30質量%の範囲が好ましく、1〜25質量%の範囲がより好ましく、特に2〜20質量%の範囲が好ましい。
樹脂層表面のぬれ張力は、上記した架橋剤の種類や含有量を調整することによっても制御することができる。例えば、架橋剤の含有量が多くなると樹脂層表面のぬれ張力は小さくなる傾向にあり、逆に架橋剤の含有量が少なくなると樹脂層表面のぬれ張力は大きくなる傾向にある。
樹脂層は、更に界面活性剤を含有することができる。かかる界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アンモニウムタロライド塩、アルキルアミン塩酸、ベタイン型界面活性剤等を挙げることができる。
樹脂層における界面活性剤の含有量は、樹脂層の固形分総量100質量%に対して0.1〜20質量%の範囲が好ましく、0.5〜15質量%の範囲がより好ましい。
樹脂層は、積層フィルムの製造工程における適度な滑り性や巻き取り性を確保するという観点から、粒子を含有することが好ましい。
樹脂層に含有させる粒子としては特に限定されないが、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子などの有機粒子が挙げられる。また、有機粒子は、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子などの架橋重合体粒子であっても良いし、コアシェル粒子などであっても良い。これらの中でもシリカ粒子が好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。
樹脂層における粒子の含有量は、樹脂層の固形分総量100質量%に対して0.05〜10質量%の範囲が好ましく、0.1〜8質量%の範囲がより好ましく、特に0.5〜5質量%の範囲が好ましい。樹脂層における粒子の含有量が0.05質量%未満であると、良好な滑り性や耐ブロッキング性が得られないことがあり、粒子の含有量が10質量%を越えると、透明性が低下したり、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の塗布性が悪化したり、基材フィルムと第1活性エネルギー線硬化性樹脂層との密着性が低下することがある。
樹脂層に含有させる粒子は、その平均粒子径が樹脂層の厚みより大きいことが好ましい。具体的には、粒子の平均粒子径は樹脂層の厚みの1.3倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、2.0倍以上が特に好ましい。上限は20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下が特に好ましい。
このような平均粒子径が樹脂層の厚みより大きい粒子を含有する樹脂層に、本発明の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を直接に積層することにより、耐ブロッキング性が更に向上する。
樹脂層に含有させる粒子の平均粒子径は樹脂層の厚み設計に応じて適宜選択されるが、具体的には粒子の平均粒子径は0.02〜1μmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.7μmの範囲がより好ましく、特に0.1〜0.5μmの範囲が好ましい。粒子の平均粒子径が0.02μm未満であると耐ブロッキング性が低下することがある。粒子の平均粒子径が1μmを越えると粒子が脱落したり、透明性が低下したり、あるいは外観が悪化することがある。
樹脂層は、基材フィルム上にウェットコーティング法で塗布し、加熱し硬化されて積層されることが好ましい。さらに基材フィルムの製造工程内で樹脂層をウェットコーティング法で塗布する、いわゆる、インラインコーティング法によって塗布し、加熱硬化して積層されることが好ましい。ウェットコーティング法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法等が挙げられる。
[第1活性エネルギー線硬化性樹脂層]
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、厚みが2μm未満である。第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを2μm未満とすることにより、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の透明性が高くなること(ヘイズ値が小さくなること)、積層フィルムのカールが抑制されること、生産性が向上すること、および原料コストが軽減できること等の利点がある。
上記観点から、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みは、更に1.7μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましく、1.3μm以下が特に好ましい。下限の厚みは、ハードコート性を付与するという観点および基材フィルムからのオリゴマー析出を抑制するという観点から0.5μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましい。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は粒子を含有し、その粒子による突起が第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に形成されている。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有させる粒子の平均粒子径(r:μm)と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d:μm)の比率(r/d)は、0.5以下であることが重要である。上記比率(r/d)が0.5を超えると、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層のヘイズ値が大きくなり、透明性が低下する。
上記比率(r/d)は、更に0.4以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下が特に好ましい。下限は、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上が特に好ましい。上記比率(r/d)が0.01未満となると、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に粒子による突起が十分に形成されず、良好な耐ブロッキング性が得られなくなることがある。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有させる粒子の平均粒子径(r)は、具体的には0.03〜0.5μmの範囲が好ましく、0.04〜0.4μmの範囲がより好ましく、0.05〜0.3μmの範囲が特に好ましい。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有させる粒子の平均粒子径(r)が0.03μm未満であると良好な耐ブロッキング性が得られなくなることがあり、一方、平均粒子径(r)が0.5μmより大きくなるとヘイズ値が大きくなり透明性が低下することがある。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面において粒子によって形成される突起は、個々の粒子が独立して個々に突起を形成してもよいし、複数個の粒子が凝集した状態で突起を形成してもよい。
図1は、個々の粒子が独立して個々の突起を形成したときの表面写真の一例である。図2は、複数個の粒子がランダムに凝集して突起を形成したときの表面写真の一例である。図3は、複数個の粒子が数珠状に凝集して突起を形成したときの表面写真の一例である。図1〜図3は、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの表面写真である。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面における突起の個数は、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の単位面積(100μm)当たり200個以上であることが好ましく、300個以上であることがより好ましく、400個以上であることが特に好ましい。上限は10000個以下が好ましく、7000個以下がより好ましく、4000個以下が特に好ましい。ここで突起の個数は、粒子1個によって形成された突起を意味する。
図1は、1個の粒子で1個の突起を形成しているので、表面写真において単位面積当たりの突起を計測した数値が上記の単位面積当たりの突起の個数となる。
図2および図3は、複数個の粒子が凝集状態で突起を形成しているが、走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察の倍率を調整することにより突起を形成している個々の粒子を判別することが可能であり、突起を形成している粒子の個数を計測することができる。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面における突起の個数が、200個/100μm未満であると良好な耐ブロッキング性が得られないことがある。また、突起の個数が、10000個/100μmを超えるとヘイズ値が大きくなり透明性が低下することがある。
突起の平均高さは、0.02〜0.3μmの範囲が好ましく、0.03〜0.25μmの範囲がより好ましく、0.04〜0.2μmの範囲が特に好ましい。突起の平均高さが0.02μm未満であると良好な耐ブロッキング性が得られないことがある。また、突起の平均高さが0.3μmを超えるとヘイズ値が大きくなり透明性が低下することがある。
上記した突起の高さとは、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影された断面写真から測定することができる。
上記したような突起を形成するためには、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有させる粒子の含有量は、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して3〜17質量%の範囲が好ましく、4〜15質量%の範囲がより好ましく、特に5〜12質量%の範囲が好ましい。粒子の含有量が3質量%未満となると耐ブロッキング性が低下することがあり、また粒子の含有量が17質量%を超えるとヘイズ値が大きくなり透明性が低下することがある。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有させる粒子としては、有機粒子や無機粒子が挙げられる。
有機粒子を構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂粒子が好ましく用いられる
アクリル系樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子、アクリルモノマーあるいはメタクリルモノマーと他のモノマー(例えば、スチレン、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、シリコーンアクリレート、シリコーンメタクリレート等)との共重合樹脂粒子が挙げられる。
これらの有機粒子は乳化重合法により合成されることが好ましく、乳化重合法で合成されることによって平均粒子径が0.5μm以下の有機粒子を得ることができる。
無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機粒子が挙げられる。これらの中でもシリカ粒子が好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d:μm)に対する平均粒子径(r:μm)の比率(r/d)が0.5以下である粒子によって、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に十分な突起(良好な耐ブロッキング性を得るのに十分な突起)を形成するには、粒子を第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面近傍に比較的多く存在させることが好ましい。つまり、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含まれる粒子の一部が層の表面近傍に移動(浮上)して表面近傍における粒子密度が大きくなることが好ましい。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有させる粒子は、粒子の一部が層の表面近傍に移動(浮上)しやすい粒子であることが好ましく、この観点から無機粒子が好ましく用いられる。更に、上記観点から、表面自由エネルギーを小さくするような表面処理が施された無機粒子、界面活性剤で処理された無機粒子、あるいは粒子の表面を疎水化するための疎水化処理が施された無機粒子を用いることが好ましい。このような処理が施された無機粒子は層の表面近傍に移動(浮上)しやすくなる。
上記の無機粒子の表面自由エネルギーを小さくするため表面処理剤としては、フッ素原子を有するオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、あるいは該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物が挙げられる。これらの化合物としては、下記の一般式(1)で挙げる化合物が好ましい。
2n+1−(CH)−Si(Q)・・・・一般式(1)
(一般式(1)において、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Qは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。)
一般式(1)の化合物として、具体的には下記の化合物を例示することができる。
CHCHSi(OCH
13CHCHSi(OCH
17CHCHSi(OCH
13CHCHCHSi(OCH
13CHCHCHCHSi(OCH
13CHCHSi(OC
17CHCHCHSi(OC
13CHCHCHCHSi(OC
13CHCHSiCl
13CHCHSiBr
13CHCHCHSiCl
13CHCHSi(OCH)Cl
また、表面自由エネルギーを小さくするための処理が施された無機粒子として、下記のフッ素処理無機粒子も好ましく用いられる。つまり、無機粒子(例えばシリカ粒子)を下記一般式(2)で示される化合物で処理し、更に下記一般式(3)で示されるフッ素化合物で表面処理した粒子である。
B−R−SiR (OR3−n ・・・一般式(2)
D−R−Rf ・・・・一般式(3)
(一般式(2)および(3)において、BおよびDはそれぞれ独立に反応性部位を表し、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1から3のアルキレン基、あるいは前記アルキル基から導出されるエステル構造を表し、RおよびRはそれぞれ独立の水素あるいは炭素数が1から4のアルキル基を表し、Rfはフルオロアルキル基を表し、nは0から2の整数を表す。)
一般式(2)の具体例としては、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシブチルトリメトキシシラン、アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、アクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及びこれら化合物中のメトキシ基が他のアルコキシル基及び水酸基に置換された化合物を含むものなどが挙げられる。
一般式(3)の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、2−パーフルオロブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロデシルエチルアクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−3−メトキシブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−パーフルオロブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロデシルエチルメタクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−3−メチルブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。
前述の界面活性剤で処理された無機粒子としては、例えばシリカ粒子(好ましくはコロイダルシリカ)を分子中にエチレンオキシ基を有する界面活性剤で処理した無機粒子が挙げられる。
分子中にエチレンオキシ基を有する界面活性剤としては、例えば、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、バルミチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパラトルエンスルホネート等の陽イオン性界面活性剤、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリラウリルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリルニナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ニナトリウム、ポリオキシスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリエキシアルキレン分岐デシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、および、
ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリエキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウルルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリエキシエチレンステアリン酸エステル、ポリエキシエチレンソルビタンモノココエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤、
が挙げられる。
前述した粒子表面に疎水化処理を施すための疎水性化合物としては、例えば分子中に疎水基と反応性部位とを有する化合物が挙げられる。疎水性化合物の疎水基は、一般に疎水的な機能を有すれば特に限定されないが、疎水基の具体例としては、例えば炭素数4以上のフルオロアルキル基、炭素数8以上の炭化水素基、及びシロキサン基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基が例示される。
以下の説明において、炭素数4以上のフルオロアルキル基と反応性部位とを有する化合物をフッ素化合物といい、炭素数8以上の炭化水素基と反応性部位とを有する化合物を長鎖炭化水素化合物といい、シロキサン基と反応性部位とを有する化合物をシリコーン化合物という。
上記の反応性部位としては、光または熱などのエネルギーを受けて発生したラジカルなどにより化学反応する部位であり、具体例としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基などの光または熱などのエネルギーを受けて化学反応する反応性部位を有することがより好ましい。
長鎖炭化水素化合物は、分子中に疎水基である炭素数8以上の炭化水素基と、反応性部位とを有する化合物を表す。炭素数8以上の炭化水素基は、炭素数が8以上30以下であることが好ましい。また炭素数8以上の炭化水素基は、直鎖構造、分岐構造、脂環構造を問わず選択することができる。長鎖炭化水素化合物としてより好ましくは、炭素数10以上22以下の直鎖状のアルキルアルコール、アルキルエポキシド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルカルボキシレート(酸無水物及びエステル類を含む)、などを用いることができる。
長鎖炭化水素化合物の具体例としては、オクタノール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ステアリルアルコール、などの多価アルコール、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシオクチルアクリレート、2−ヒドロキシオクチルメタクリレート、などのアクリレート(メタクリレート)、オクチルトリメトキシシランなどのアクリルシラン、などが挙げられる。
シリコーン化合物としては、分子中に疎水基であるシロキサン基と、反応性部位とを有する化合物が挙げられる。シリコーン化合物の反応性部位は、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましく用いられる。
またシロキサン基としては、下記一般式(4)で示されるポリシロキサン基が好ましく用いられる。
−(Si(R)(R)−O)− ・・・・一般式(4)
(一般式(4)において、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル−オキシプロピル基、2−アクリロキシ−3−ヒドロキシプロピル−オキシプロピル基、末端アクリレート基を有するポリエチレングリコールプロピルエーテル基、あるいは末端ヒドロキシ基を有するポリエチレングリコールプロピルエーテル基を示し、mは10〜200の整数を表す。)
疎水基として一般式(4)で表されるポリシロキサン基を有するシリコーン化合物の具体例は、下記一般式(5)で表されるジメチルシロキサン基と、さらに反応性部位とを有する化合物が挙げられる。一般式(5)のジメチルシロキサン基と、さらに反応性部位とを有するシリコーン化合物の具体例として、X−22−164B,X−22−164C,X−22−5002、X−22−174D、X−22−167B(以上商品名、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
一般式(5)は以下のとおりである。
(式中、Rは炭素数1以上7以下のアルキルを表し、kは0または1の整数を表し、mは10〜200の整数を表す)。
また、疎水基として一般式(4)で表されるポリシロキサン基と反応性部位とを有するシリコーン化合物の別の具体例は、一般式(6)で表される、3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル−オキシプロピル基とメチル基とを有する化合物や、一般式(7)で表される、2−アクリロキシ−3−ヒドロキシプロピル−オキシプロピル基とメチル基とを有する化合物を例示することができる。
一般式(6)は以下のとおりである。
一般式(7)は以下のとおりである。
(一般式(6)および(7)において、Rは炭素数1以上7以下のアルキルを表し、kは0または1の整数を表し、mは10〜200のいずれかの整数を表す)。
さらに疎水基として一般式(4)で表されるポリシロキサン基と反応性部位とを有するシリコーン化合物の別の具体例は、一般式(8)で表される、末端にアクリロイルオキシ基を有するポリエチレングリコールプロピルエーテル基とメチル基とを有する化合物や、一般式(9)で表される、末端にヒドロキシ基を有するポリエチレングリコールプロピルエーテル基とメチル基とを有する化合物を例示できる。
一般式(8)は以下のとおりである。
一般式(9)は以下のとおりである。
(一般式(8)および(9)において、Rは炭素数1以上7以下のアルキルを表し、kは0または1の整数を表し、xは1〜10の整数を表し、mは10〜200の整数を表す)。
炭素数4以上のフルオロアルキル基と反応性部位とを有するフッ素化合物について説明する。ここで、フルオロアルキル基は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよい。またフルオロアルキル基としては、炭素数4以上8以下であることが好ましい。このようなフッ素化合物としては、フルオロアルキルアルコール、フルオロアルキルエポキシド、フルオロアルキルハライド、フルオロアルキルアクリレート、フルオロアルキルメタクリレート、フルオロアルキルカルボキシレート(酸無水物及びエステル類を含む)、などを用いることができる。
フッ素化合物中のフルオロアルキル基の数は必ずしも一つである必要はなく、フッ素化合物は複数のフルオロアルキル基を有してもよい。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、積層フィルム表面に傷が発生するのを抑制するために硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が、F以上が好ましく、H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、少なくとも活性エネルギー線硬化性樹脂と粒子を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた層である。第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、活性エネルギー線硬化性組成物をウェットコーティング法により塗布し、乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化せしめた層であることが好ましい。
ウェットコーティング法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等の塗布方法を用いることができる。
活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、線、β線、γ線などが挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましく用いられる。
紫外線を照射するための光源としては、特に限定されないが、例えば、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく用いられる。また、紫外線を照射するときに、低酸素濃度下の雰囲気下、例えば、酸素濃度が500ppm以下の雰囲気下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができるので好ましい。
紫外線の照射光量は、50mJ/cm以上が好ましく、100mJ/cm以上がより好ましく、特に150mJ/cm以上が好ましい。上限は2000mJ/cm以下が好ましく、1000mJ/cm以下がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線によって重合されて硬化する樹脂を意味する。かかる活性エネルギー線硬化性樹脂としては、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)が挙げられる。ここで、エチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。本発明において、このようなエチレン性不飽和基を分子中に2個以上有する化合物が好ましく、特にエチレン性不飽和基を分子中に3個以上有する化合物が好ましく用いられる。
分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの化合物に限定されない。尚、下記の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」なる表現は、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」との2つの化合物を含む。
分子中にエチレン性不飽和基を2個有する化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子中にエチレン性不飽和基を3個以上有する化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトルエンジイソシアネートウレタンオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
また、多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、市販されているものを使用することができる。例えば、共栄社化学(株)製のウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、根上工業(株)製のUN−3320シリーズ、UN−900シリーズ、新中村化学工業(株)製のNKオリゴUシリーズ、ダイセル・ユーシービー社製のEbecryl1290シリーズなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂として、上記したように分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が好ましく、更に分子中にエチレン性不飽和基を3個以上有する化合物が好ましく用いられるが、これらの化合物に分子中にエチレン性不飽和基を1個有する化合物を組み合わせて用いることができる。
分子中にエチレン性不飽和基を1個有する化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物における活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。上限は97質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合は、活性エネルギー線硬化性組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、
チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46等、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
前述したように第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は粒子を含有する。従って、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物も粒子を含有する。この粒子は前述した粒子と同一であり、ここでの説明は省略する。
活性エネルギー線硬化性組成物は、更に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、有機系帯電防止剤、滑剤、着色剤、顔料等を含有することができる。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、表面に比較的多くの突起を有していることが好ましいが、一方、積層フィルムのヘイズ値を小さくするという観点から第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面は比較的平滑であることが好ましい。即ち、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra1)は30nm未満であることが好ましい。前述した第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の突起の個数や高さを調整することにより、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra1)は30nm未満に制御することができる。
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra1)は、25nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、18nm以下が特に好ましい。一方、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra1)が小さくなりすぎると耐ブロッキング性が低下することがあるので、下限の中心線平均粗さ(Ra1)は3nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層をこの順に有する。本発明の積層フィルムは、基材フィルムの片面のみに樹脂層と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を有していてもよいし、基材フィルムの両面に樹脂層と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を有していてもよい。
また、本発明の積層フィルムの他の好ましい態様として、基材フィルムの一方の面に樹脂層と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を有し、基材フィルムの他方の面に(つまり、基材フィルムの第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が設けられた面とは反対面)に第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を有する積層フィルムが挙げられる。
本発明の積層フィルムは後述するように透明導電性フィルムのベースフィルムとして好適である。透明導電性フィルムは高い透明性が要求されることから、ベースフィルム(積層フィルム)のヘイズ値は小さいことが好ましい。
上記の観点から、本発明の積層フィルムは、ヘイズ値が0.5%以下であることが好ましく、0.4%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることが特に好ましい。下限のヘイズ値は小さいほど好ましく、従って特に限定されない。
本発明の積層フィルムの構成(基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層をこの順に有する構成)を採用することにより、ヘイズ値が0.5%以下である積層フィルムを得ることができるが、更にヘイズ値の小さい積層フィルムを得るには、基材フィルムの一方の面に樹脂層と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を有し、基材フィルムの他方の面に下記の第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を有する積層フィルムとすることが好ましい。
[第2活性エネルギー線硬化性樹脂層]
以下、基材フィルムの他方の面に設けられる第2活性エネルギー線硬化性樹脂層について説明する。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みは、2.5μm未満であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましい。下限の厚みは0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みが2.5μm以上となると、積層フィルムのカールが大きくなったり、透過率が低下するなどの不都合が生じる場合がある。また、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みが0.5μm未満となると第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の硬度が低下し、傷が入りやすくなる。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、積層フィルム表面に傷が発生するのを抑制するという観点から硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が、H以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
上述したように、積層フィルムのヘイズ値を小さくするという観点から、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面は平滑であることが好ましい。即ち、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、25nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、15nm以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが、現実的には0.1nm程度である。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)を25nm以下とするために、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は平均粒子径が0.5μmより大きい粒子を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層が、平均粒子径が0.5μmより大きい粒子を実質的に含有しないとは、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための塗布液(例えば、活性エネルギー線硬化性組成物)に平均粒子径が0.5μmより大きい粒子を意図的に添加しないことを意味する。なお、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層に含まれる粒子の平均径は、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含まれる粒子の平均径の測定方法と同様の方法によって、求められる。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、その表面には粒子による突起は存在しないことが好ましい。第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、平均粒子径が0.5μm以下の粒子を含有することができるが、上記の観点から第2活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有させる粒子の平均粒子径は調整することが好ましい。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層に粒子を含有させる場合は、粒子の平均粒子径は0.2μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。このような粒子の含有量は、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して0.1〜15質量%の範囲が適当であり、0.5〜10質量%の範囲がより好ましく、特に1〜8質量%の範囲が好ましい。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、粒子を全く含有しないことが最も好ましい。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、少なくとも活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた層である。第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、活性エネルギー線硬化性組成物をウェットコーティング法により塗布し、乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化せしめた層であることが好ましい。
ウェットコーティング法および活性エネルギー線は、前述の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するためのものと同様のものが用いられる。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合の照射光量は、50mJ/cm以上が好ましく、100mJ/cm以上がより好ましく、特に150mJ/cm以上が好ましい。上限は2000mJ/cm以下が好ましく、1000mJ/cm以下がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂についても、前述の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物に含有される活性エネルギー線硬化性樹脂と同様のものを用いることができる。また、活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量についても、前述の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物における含有量と同様である。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。かかる光重合開始剤は、前述の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物に含有される光重合開始剤と同様のものを用いることができる。また、光重合開始剤の含有量についても、前述の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物における含有量と同様である。
第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の屈折率は、1.48〜1.54の範囲であることが好ましく、1.50〜1.53の範囲がより好ましい。第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を、上述した活性エネルギー線硬化性組成物をウェットコーティング法により塗布し、必要に応じて乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成することにより、屈折率が1.48〜1.54の範囲の第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を得ることができる。
なお、本発明において、上記第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の屈折率、および後述する二軸延伸PETフィルム、易接着層、屈折率調整層の屈折率は、特に断りの無い限り、波長589nmにおける屈折率を言う。
基材フィルムと第2活性エネルギー線硬化性樹脂層との密着性を強化するために、易接着層を基材フィルムと第2活性エネルギー線硬化性樹脂層との間に介在させることが好ましい。易接着層としては、前述の基材フィルムと第1活性エネルギー線硬化性樹脂層との間に設けられる樹脂層と同じものを用いることができる。
前述したように、積層フィルムの基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましく、特に二軸延伸PETフィルムが好ましく用いられる。この二軸延伸PETフィルムの屈折率は通常1.61〜1.70であり、この二軸延伸PETフィルム上に屈折率が1.48〜1.54の第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を積層すると反射色むらが発生することがある。この反射色むらを抑制するために、上記易接着層の屈折率を1.55〜1.60とすることが好ましく、特に1.56〜1.59とすることがより好ましい。
したがって、本発明の積層フィルムは、基材フィルムが、屈折率が1.61〜1.70であるポリエチレンテレフタレートフィルムであり、易接着層の屈折率が1.55〜1.60であり、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の屈折率が1.48〜1.54であることが特に好ましい。
易接着層の屈折率を1.55〜1.60の範囲とするには、樹脂として分子中にナフタレン環を含むポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ナフタレン環を含むポリエステル樹脂は、例えば、共重合成分として1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの多価カルボン酸を使用することによって合成することができる。
易接着層における分子中にナフタレン環を含むポリエステル樹脂の含有量は、全樹脂総量100質量%に対して5〜70質量%の範囲が好ましく、10〜60質量%の範囲がより好ましい。
易接着層は、架橋剤を含有することが好ましい。かかる架橋剤は前述の樹脂層に含有させる架橋剤と同様のものを用いることができ、また含有量も同様である。
易接着層は、粒子を含有することが好ましい。かかる粒子は前述の樹脂層に含有させる粒子と同様のものを用いることができ、また含有量も同様である。
易接着層は、基材フィルム上にウェットコーティング法で塗布し、加熱硬化されて積層されることが好ましい。さらに基材フィルムの製造工程内で易接着層をウェットコーティング法で塗布する、いわゆる、インラインコーティング法によって塗布し、加熱硬化して積層されることが好ましい。
易接着層の厚みは、0.005〜0.3μmの範囲が好ましく、0.01〜0.2μmの範囲がより好ましく、0.015〜0.15μmの範囲が特に好ましい。
[透明導電性フィルム]
本発明の積層フィルムは、透明導電性フィルムのベースフィルムとして好適である。つまり、本発明の積層フィルムをベースフィルムとして用いた透明導電性フィルムは、本発明の積層フィルムの少なくとも一方の面に透明導電膜が積層されたものである。
透明導電膜は、本発明の積層フィルムのどちらか一方の面のみに積層されていてもよいし、両方の面に積層されていてもよい。
本発明の積層フィルムをベースフィルムとして用いた透明導電性フィルムの構成例の幾つかを以下に例示するが、本発明はこれらに限定されない。
i)第1活性エネルギー線硬化性樹脂層/樹脂層/基材フィルム/易接着層/第1活性エネルギー線硬化性樹脂層/透明導電膜
ii)透明導電膜/第1活性エネルギー線硬化性樹脂層/樹脂層/基材フィルム/樹脂層/第1活性エネルギー線硬化性樹脂層/透明導電膜
iii)第1活性エネルギー線硬化性樹脂層/樹脂層/基材フィルム/易接着層/第2活性エネルギー線硬化性樹脂層/透明導電膜
iv)/透明導電膜/第1活性エネルギー線硬化性樹脂層/樹脂層/基材フィルム/易接着層/第2活性エネルギー線硬化性樹脂層
v)透明導電膜/第1活性エネルギー線硬化性樹脂層/樹脂層/基材フィルム/易接着層/第2活性エネルギー線硬化性樹脂層/透明導電膜。
上記の構成例の中でも、i)もしくはiii)が好ましく、特にiii)が好ましい。つまり、透明導電膜の積層工程や加工工程における積層フィルムの耐ブロッキング性を確保するという観点から、一方の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層には透明導電膜を積層せず露出させておくことが好ましい。
また更に、透明導電膜を積層する面の活性エネルギー線硬化性樹脂層は比較的平滑でクリアーであることが好ましい。従って、iii)の構成例において、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面の中心線平均粗さRaは25nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、特に15nm以下が好ましい。
[透明導電膜]
透明導電性層を形成する材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)、ATO(酸化アンチモン錫)等の金属酸化物、金属ナノワイヤー(例えば銀ナノワイヤー)、カーボンナオチューブが挙げられる。これらの中でも、ITOが好ましく用いられる。
透明導電膜の厚みは、表面抵抗値を10Ω/□以下の良好な導電性を確保するという観点から、8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。一方、透明導電膜の厚みが大きくなりすぎると、色味(着色)が強くなったり、透明性が低下するという不都合が生じることがあるので、透明導電膜の厚みの上限は、60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、特に40nm以下が好ましい。
透明導電膜の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライ製膜法(気相製膜法)、あるいはウェットコーティング法が挙げられる。
上記のようにして製膜された透明導電膜はパターン化されていてもよい。パターン化は、透明導電性フィルムが適用される用途に応じて、各種のパターンを形成することができる。なお、透明導電膜のパターン化により、パターン部(積層フィルムの表面において透明導電膜が積層されている部分)と非パターン部(積層フィルムの表面において透明導電膜が積層されていない部分)が形成されるが、パターン部の形状としては、例えば、ストライプ状、格子状等が挙げられる。
透明導電膜のパターン化は、一般的にはエッチングによって行われる。例えば、透明導電膜上にパターン状のエッチングレジスト膜を、フォトリソグラフィ法、レーザー露光法、あるいは印刷法により形成した後エッチング処理することにより、透明導電膜がパターン化される。透明導電膜がパターン化された後、エッチングレジスト膜がアルカリ水溶液で剥離除去される。
エッチング液としては、従来から公知のものが用いられる。例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、およびこれらの混合物、ならびにそれらの水溶液が用いられる。
エッチングレジスト膜の剥離除去に用いられるアルカリ水溶液としては、1〜5質量%の水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。
[屈折率調整層]
上記透明導電性フィルムの構成例において、透明導電膜は第1活性エネルギー線硬化性樹脂層あるいは第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の上に直接に積層されてもよいが、透明導電膜と第1活性エネルギー線硬化性樹脂層あるいは第2活性エネルギー線硬化性樹脂層との間に屈折率調整層を介在させることが好ましい。以下、屈折率調整層について説明する。
屈折率調整層は、1層のみで構成されてもよいし、2層以上の積層構成であってもよい。屈折率調整層は、その上に積層される透明導電膜の反射色や透過色を調整するための機能、あるいはパターン化された透明導電膜のパターン部が視認される、いわゆる「骨見え」を抑制するための機能を有する層である。
屈折率調整層の構成としては、例えば、屈折率が1.60〜1.80の高屈折率層の1層構成、屈折率が1.30〜1.50の低屈折率層の1層構成、あるいは上記高屈折率層と低屈折率層との積層構成(低屈折率層が透明導電膜側に配置)などが挙げられる。
上記高屈折率層の屈折率は、さらに1.63〜1.78の範囲が好ましく、1.65〜1.75の範囲がより好ましい。上記低屈折率層の屈折率は、さらに1.30〜1.48の範囲が好ましく、1.33〜1.46の範囲がより好ましい。
屈折率調整層の厚み(複数層の積層構成の場合は合計厚みを指す)は、0.2μm以下が好ましく、0.15μm以下がより好ましく、0.12μm以下が特に好ましく、0.1μm以下が最も好ましい。下限の厚みは0.03μm以上が好ましく、0.04μm以上がより好ましく、0.05μm以上が特に好ましく、0.06μm以上が最も好ましい。
高屈折率層は、例えば屈折率が1.65以上の金属酸化物微粒子を含有する活性エネルギー線硬化性組成物をウェットコーティング法により塗布し、必要に応じて乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成することができる。ここで活性エネルギー線硬化性組成物は、前述の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層で説明した活性エネルギー線硬化性樹脂と光重合開始剤を少なくとも含有する組成物である。
金属酸化物微粒子としては、チタン、ジルコニウム、亜鉛、錫、アンチモン、セリウム、鉄、インジウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられ、これらの金属酸化物微粒子は単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。上記金属酸化物微粒子の中でも、特に酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが、透明性を低下させずに屈折率を高めることができるので好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物における金属酸化物微粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は70質量%以下が好ましく、60質量%以下が好ましい。
低屈折率層は、例えば、低屈折率材料として低屈折率無機粒子および/または含フッ素化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物をウェットコーティング法により塗布し、必要に応じて乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成することができる。ここで活性エネルギー線硬化性組成物は、前述の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層で説明した活性エネルギー線硬化性樹脂および光重合開始剤を含有する組成物である。
低屈折率無機粒子としては、シリカやフッ化マグネシウム等の無機粒子が好ましい。さらにこれらの無機粒子は中空状や多孔質のものが好ましい。このような低屈折率無機粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して1〜50質量%の範囲が好ましく、3〜40質量%の範囲がより好ましく、特に5〜35質量%の範囲が好ましい。
含フッ素化合物としては、含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマー、含フッ素高分子化合物が挙げられる。ここで、含フッ素モノマーあるいは含フッ素オリゴマーは、分子中に前述のエチレン性不飽和基とフッ素原子とを有するモノマーあるいはオリゴマーである。
含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマーとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、βー(パーフロロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類、 ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,2−トリフルオロエチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルエチレングリコールなどのジ−(α−フルオロアクリル酸)フルオロアルキルエステル類が挙げられる。
含フッ素高分子化合物としては、例えば、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。
含フッ素化合物の含有量は活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜45質量%の範囲がより好ましく、特に15〜40質量%の範囲が好ましい。
[タッチパネル]
本発明の積層フィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、タッチパネルの構成部材の1つとして好ましく用いられる。
抵抗膜式タッチパネルは、通常、上部電極と下部電極がスペーサーを介して配置された構成となっているが、本発明の積層フィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、上部電極および下部電極のどちらか一方あるいは両方に用いることができる。
また、静電容量式タッチパネルは、通常、パターン化されたX電極とY電極で構成されるが、本発明の積層フィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、X電極およびY電極のどちらか一方あるいは両方に用いることができる。
タッチパネルに使用される透明導電性フィルムは、透明性および加工性(耐ブロッキング性)が良好なことが要求されるが、本発明の積層フィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、上記特性を十分に満足することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)樹脂層のぬれ張力の測定
樹脂層が積層された基材フィルムを常態(23℃、相対湿度50%)の雰囲気下で6時間シーズニングして、同雰囲気下でJIS−K−6768(1999)に準拠して測定した。
(2)各層の屈折率の測定
それぞれの塗布液をシリコンウエハー上にスピンコーターにて塗工形成した塗膜(乾燥厚み約2μm)について、25℃の温度条件下で位相差測定装置(ニコン(株)製:NPDM−1000)で589nmの屈折率を測定した。
また、基材フィルム(PETフィルム)の屈折率は、JIS K7105(1981)に準じて、アッベ屈折率計で589nmの屈折率を測定した。
(3)樹脂層および易接着層の厚みの測定
樹脂層および易接着層が積層された基材フィルムの断面を超薄切片に切り出し、RuO染色、OsO 染色、あるいは両者の二重染色による染色超薄切片法により、TEM(透過型電子顕微鏡)で断面構造が目視可能な以下の条件にて観察し、その断面写真から樹脂層および易接着層の厚みを測定する。尚、測定個所は粒子が存在しない部分である。なお、5箇所を測定して、その平均値を樹脂層および易接着層の厚みとした。
・測定装置:透過型電子顕微鏡(日立(株)製 H−7100FA型)
・測定条件:加速電圧 100kV
・試料調整:凍結超薄切片法
・倍率:30万倍。
(4)第1および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層、高屈折率層、低屈折率層の厚みの測定
積層フィルムの断面を超薄切片に切り出し、TEM(透過型電子顕微鏡)で加速電圧100kVにて観察(1〜30万倍の倍率で観察)し、その断面写真から厚みを測定する。尚、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層のように表面に突起を有する層については、突起が存在しない部分における厚みである。厚みの測定は5箇所で行い、その平均値を厚みとした。
(5)第1活性エネルギー線硬化性樹脂層に含有される粒子の平均粒子径の測定
第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察(約1万〜10万倍)し、その断面写真から、無作為に選択した30個の粒子のそれぞれの最大長さを計測し、それらを平均した値を粒子の平均粒子径とした。
(6)樹脂層および易接着層に含有される粒子の平均粒子径の測定
基材フィルムに積層された樹脂層(易接着層)表面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて倍率一万倍で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(たとえばケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えてデータを取り込み、合計粒子数5000個以上となったところで次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径dを平均粒径(直径)とした。
・d=Σdi /N
ここでdi は粒子の等価円直径(粒子の断面積と同じ面積を持つ円の直径)、Nは個数である。
(7)第1および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面の中心線平均粗さRaの測定
JIS B0601(1982)に基づき、触針式表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。
<測定条件>
送り速さ;0.5mm/s
評価長さ;8mm
カットオフ値λc;0.08mm。
(8)第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面における粒子による突起の有無の判断
下記の方法で突起の平均高さと個数を測定し、平均高さが0.02μm以上であり、かつ、突起が2μm四方(面積4μm)当たり平均2個以上存在することをもって、粒子による突起を有すると判断する。
<突起の平均高さの測定>
積層フィルムのカットサンプル(20cm×15cm)を用意し、このカットサンプルの第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて5箇所撮影(約1万〜10万倍)し、5つの断面写真を作製する。次に、5つの断面写真に存在する全ての突起の高さを測定し、平均する。尚、1つの断面写真における測定長さが1μm以上となるように断面写真のサイズを調整する。
<突起の個数の測定>
積層フィルムのカットサンプル(20cm×15cm)を用意し、このカットサンプルの第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて5箇所撮影(約1万〜10万倍)し、5つの画像(表面写真)を作製する。次に、5つの画像それぞれについて、画像の2μm四方(面積4μm)の範囲に存在する突起の個数を計測し、平均する。
(9)積層フィルムのヘイズ値の測定
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。測定に際し、積層フィルムの第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が設けられている側の表面に光が入射するように配置する。
(10)耐ブロッキング性の評価
積層フィルムの一方の表面を第1面とし、他方の表面を第2面とする。
積層フィルムを切断して2枚のシート片(20cm×15cm)を作製する。この2枚のシートの第1面と第2面とが向き合うようにして重ね合わせる。次に、2枚のシート片を重ね合わせた試料をガラス板で挟み込み、約3kgの重りを載せて、50℃、90%(RH)の雰囲気下に48時間放置する。次に、重ね合わせ面を目視により観察しニュートンリングの発生状況を確認した後、両者を剥離し、以下の基準で評価した。
○:剥離前はニュートンリングが発生しておらず、剥離時には剥離音を立てずに軽く剥離される。
△:剥離前は一部ニュートンリングが発生しており、剥離時には小さな剥離音を立てながら剥離される。
×:剥離前は全面にニュートンリングが発生しており、剥離時には大きな剥離音を立てて剥離される。
(11)積層フィルムの第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の面の反射色の目視評価
積層フィルムの第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の面に黒粘着テープ(日東電工製“ビニルテープNo.21 トクハバ 黒”)を貼り付け、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の面の反射色を暗室三波長蛍光灯下にて目視にて観察し、以下の基準で行った。
○:反射色がニュートラルでほぼ無色である。
×:反射色が着色を呈している。
(12)透明導電膜パターンの視認性
黒い板の上に透明導電性フィルムを置き、目視により透明導電膜のパターン部が視認できるかどうか以下の基準で評価した。
○:パターン部が視認できない。
×:パターン部が視認できる。
続いて、以下の実施例および比較例において、用いた原料等について説明する。
<樹脂層形成用塗布液>
(樹脂層形成用塗布液a)
固形分質量比で、ポリエステル樹脂aを27質量%、ポリエステル樹脂bを54質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を1質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂a;2,6−ナフタレンジカルボン酸43モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%/エチレングリコール45モル%/ジエチレングリコール5モル%で構成されているポリエステル樹脂。
・ポリエステル樹脂b;テレフタル酸38モル%/トリメリット酸12モル%/エチレングリコール45モル%/ジエチレングリコール5モル%で構成されているポリエステル樹脂。
・メラミン系架橋剤;三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」)
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
(樹脂層形成用塗布液b)
固形分質量比で、ポリエステル樹脂cを42質量%、アクリル樹脂aを42質量%、エポキシ系架橋剤を6質量%、界面活性剤を9質量%、粒子を1質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂c;テレフタル酸35モル%/イソフタル酸11モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸4モル%/エチレングリコール45モル%/ジエチレングリコール4モル%/ポリエチレングリコール(繰り返し単位数n=23)1モル%で構成されているポリエステル樹脂。
・アクリル樹脂a;メチルメタクリレート75モル%/エチルアクリレート18モル%/N−メチロールアクリルアミド4モル%/メトキシポリエチレングリコール(繰り返し単位数n=10)メタクリレート3モル%で構成されているアクリル樹脂。
・エポキシ系架橋剤;1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミン)シクロヘキサン
・界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
(樹脂層形成用塗布液c)
固形分質量比で、ポリエステル樹脂dを40質量%、アクリル樹脂bを40質量%、メラミン系架橋剤を10質量%、界面活性剤を9質量%、粒子を1質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂d;テレフタル酸30モル%/イソフタル酸15モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%/エチレングリコール30モル%/1,4−ブタンジオール20モル%で構成されているポリエステル樹脂。
・アクリル樹脂b;メチルメタクリレート75モル%/エチルアクリレート22モル%/アクリル酸1モル%/N−メチロールアクリルアミド2モル%で構成されているアクリル樹脂
・メラミン系架橋剤;三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」)
・界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
(樹脂層形成用塗布液d)
固形分質量比で、ポリエステル樹脂eを45質量%、アクリル樹脂cを45質量%、メラミン系架橋剤を5質量%、界面活性剤を4質量%、粒子を1質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル共重合体e:テレフタル酸32モル%/イソフタル酸12モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%/エチレングリコール46モル%/ジエチレングリコール4モル%で構成されているポリエステル共重合体。
・アクリル樹脂c:メチルメタクリレート70モル%/エチルアクリレート22モル%/N−メチロールアクリルアミド4モル%/N,N−ジメチルアクリルアミド4モル%で構成されているアクリル共重合体。
・メラミン系架橋剤;三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」)
・界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
(樹脂層形成用塗布液e)
固形分質量比で、ウレタン樹脂を85質量%、エポキシ系架橋剤を5質量%、界面活性剤を9質量%、粒子を1質量%混合して塗布液を調製した。
・ウレタン樹脂;大日本インキ化学工業(株)製の「ハイドランAP−20」
・エポキシ系架橋剤;トリエチレングリコールジグリシジルエーテル
・界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
(樹脂層形成用塗布液f)
固形分質量比で、アクリル樹脂dを90質量%、界面活性剤を9質量%、粒子を1質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・アクリル樹脂d;メチルメタクリレート70モル%/エチルアクリレート22モル%/N−メチロールアクリルアミド4モル%/アクリロイルモルホリン4モル%で構成されているアクリル共重合体。
・界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
<表面処理シリカ粒子分散液>
(表面処理シリカ粒子分散液A)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル IPA−ST−ZL」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部を混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液B)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル IPA−ST−ZL」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部を混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)を9質量部とシリコーン化合物(大日本インキ化学工業株式会社製の「PC−4131」)を4.8質量部、および2,2−アゾビスイソブチロニトリルを0.57質量部加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液C)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル IPA−ST−ZL」)330質量部に、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)8質量部、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製)2質量部、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5質量部加え混合した後に、イオン交換水9質量を加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8質量部を添加した。次に、この分散液にシクロヘキサノンを添加しながら、圧力20kPaで減圧蒸留による溶媒置換を行って分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液D)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル MEK−ST−2040」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部を混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液E)
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル MEK−ST−L」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部を混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液F)
シリカ微粒子SP−03F(扶桑化学(株)製)を300質量部にKBM7103(信越化学(株)製、フルオロアルキルアルコキシシラン)を15質量部、MIBK(メチルイソブチルケトン)を2685質量部を混合し、ペイントシェーカーを用いて、粒径2mmのジルコニアビーズで1時間、粒径0.1mmのジルコニアビーズで3時間分散した。その後、ジルコニアビーズを除き、得られた分散液を50℃で1時間加熱撹拌して分散液を得た。
(表面処理シリカ粒子分散液G)
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:ELCOM V−8901)メタノール分散液100質量部に分子中にエチレンオキシ基を有する陰イオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製:プライサーフA212E)2質量部を混合し20時間撹拌して、界面活性剤で処理したシリカ粒子分散液を得た。
[実施例1]
下記の要領で積層フィルムを作製した。
<樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製>
実質的に外部添加粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施した後、一軸延伸フィルムの一方の面(第1面)に樹脂層塗布液a、他方の面(第2面)に下記の易接着層塗布液をそれぞれ塗布した。
次に、両面にそれぞれの塗布液が塗布された1軸延伸フィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃で乾燥、ラジエーションヒーターを用いて110℃に上げ、再度90℃で乾燥した後、引き続き連続的に120℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、続いて220℃の加熱ゾーンで20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した二軸延伸PETフィルムを作製した。この樹脂層(易接着層)積層PETフィルムは第1面に樹脂層、第2面に易接着層を有するPETフィルムである。この樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの厚みは100μm、第1面に設けられた樹脂層の厚みは0.08μm、第2面に設けられた易接着層の厚みは0.08μmであった。
PETフィルムの屈折率は1.65、第2面の易接着層の屈折率は1.58であった。
尚、PETフィルムの屈折率は、両面に樹脂層(易接着層)を積層しない以外は上記と同様の条件で製造したPETフィルムの屈折率を測定し、その値をPETフィルムの屈折率とした。
<易接着層塗布液>
固形分質量比で、ポリエステル樹脂1を27質量%、ポリエステル樹脂2を53質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂1;2,6−ナフタレンジカルボン酸43モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%/エチレングリコール45モル%/ジエチレングリコール5モル%で構成されているポリエステル樹脂。
・ポリエステル樹脂2;テレフタル酸38モル%/トリメリット酸12モル%/エチレングリコール45モル%/ジエチレングリコール5モル%で構成されているポリエステル樹脂。
・メラミン系架橋剤;三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」)
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
<第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の積層>
上記で得られた樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第1面の樹脂層上に下記の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物aをグラビアコート法で塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射し硬化させて、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成した。この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は、厚みが1.0μmmであった。なお、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子(表面処理シリカ粒子)の含有量は、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して9質量%である。
<活性エネルギー線硬化性組成物a>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、アクリレート化合物(東亜合成株式会社製の「アロニックスM111」)36質量部、表面処理シリカ粒子分散液Aを固形分換算で9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
<第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の積層>
次いで、樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第2の面の易接着層上に、下記の第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物Zをグラビアコート法で塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射し硬化させて、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成した。この第2活性エネルギー線硬化性樹脂層は、厚みが1.5μmm、屈折率が1.52であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物Z>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート48質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)47質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
[実施例2〜8、比較例1〜10]
実施例1の樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製において、第1面に塗布する樹脂層塗布液を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様にしてそれぞれの積層フィルムを作製した。
実施例1〜8および比較例1〜10において、PETフィルムの第2面の易接着層および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層はいずれも同一である。第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、いずれも5nmであった。
[実施例11]
実施例1と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで、樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第1面の樹脂層上に下記の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物bを塗布する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。なお、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子(表面処理シリカ粒子)の含有量は、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して9質量%である。
<活性エネルギー線硬化性組成物b>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート86質量部、表面処理シリカ粒子分散液Bを固形分換算で9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
[実施例12〜18、比較例11〜20]
実施例11の樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製において、第1面に塗布する樹脂層塗布液を表2に示すように変更する以外は、実施例11と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを表2に示すように変更する以外は、実施例11と同様にしてそれぞれの積層フィルムを作製した。
実施例11〜18および比較例11〜20において、PETフィルムの第2面の易接着層および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層はいずれも同一である。第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、いずれも5nmであった。
[実施例21]
実施例1と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで、樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第1面の樹脂層上に下記の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物cを塗布する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。なお、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子(表面処理シリカ粒子)の含有量は、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して9質量%である。
<活性エネルギー線硬化性組成物c>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート86質量部、表面処理シリカ粒子分散液Cを固形分換算で9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
[実施例22〜28、比較例21〜30]
実施例21の樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製において、第1面に塗布する樹脂層塗布液を表3に示すように変更する以外は、実施例21と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを表3に示すように変更する以外は、実施例21と同様にしてそれぞれの積層フィルムを作製した。
実施例21〜28および比較例21〜30において、PETフィルムの第2面の易接着層および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層はいずれも同一である。第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、いずれも5nmであった。
[実施例31]
実施例1と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで、樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第1面の樹脂層上に下記の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物dを塗布する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。なお、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子(表面処理シリカ粒子)の含有量は、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して9質量%である。
<活性エネルギー線硬化性組成物d>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート86質量部、表面処理シリカ粒子分散液Dを固形分換算で9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
[実施例32〜38、比較例31〜40]
実施例31の樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製において、第1面に塗布する樹脂層塗布液を表4に示すように変更する以外は、実施例31と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを表4に示すように変更する以外は、実施例31と同様にしてそれぞれの積層フィルムを作製した。
実施例31〜38および比較例31〜40において、PETフィルムの第2面の易接着層および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層はいずれも同一である。第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、いずれも5nmであった。
[実施例41]
実施例1と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで、樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第1面の樹脂層上に下記の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物eを塗布する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。なお、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子(表面処理シリカ粒子)の含有量は、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して9質量%である。
<活性エネルギー線硬化性組成物e>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート86質量部、表面処理シリカ粒子分散液Eを固形分換算で9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
[実施例42〜48、比較例41〜50]
実施例41の樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製において、第1面に塗布する樹脂層塗布液を表5に示すように変更する以外は、実施例41と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを表5に示すように変更する以外は、実施例41と同様にしてそれぞれの積層フィルムを作製した。
実施例41〜48および比較例41〜50において、PETフィルムの第2面の易接着層および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層はいずれも同一である。第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、いずれも5nmであった。
[実施例51]
実施例1と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで、樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第1面の樹脂層上に下記の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物fを塗布する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。なお、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子(表面処理シリカ粒子)の含有量は、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して9質量%である。
<活性エネルギー線硬化性組成物f>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート86質量部、表面処理シリカ粒子分散液Fを固形分換算で9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
[実施例52〜58、比較例51〜60]
実施例51の樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製において、第1面に塗布する樹脂層塗布液を表6に示すように変更する以外は、実施例51と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを表6に示すように変更する以外は、実施例51と同様にしてそれぞれの積層フィルムを作製した。
実施例51〜58および比較例51〜60において、PETフィルムの第2面の易接着層および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層はいずれも同一である。第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、いずれも5nmであった。
[実施例61]
実施例1と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで、樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの第1面の樹脂層上に下記の第1活性エネルギー線硬化性樹脂層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物gを塗布する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。なお、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子(表面処理シリカ粒子)の含有量は、この第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して9質量%である。
<活性エネルギー線硬化性組成物g>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート86質量部、表面処理シリカ粒子分散液Gを固形分換算で9質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して、固形分濃度が30質量%の組成物を調製した。
[実施例62〜68、比較例61〜70]
実施例61の樹脂層(易接着層)積層PETフィルムの作製において、第1面に塗布する樹脂層塗布液を表7に示すように変更する以外は、実施例61と同様にして樹脂層(易接着層)積層PETフィルムを作製した。次いで第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みを表7に示すように変更する以外は、実施例61と同様にしてそれぞれの積層フィルムを作製した。
実施例61〜68および比較例61〜70において、PETフィルムの第2面の易接着層および第2活性エネルギー線硬化性樹脂層はいずれも同一である。第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)は、いずれも5nmであった。
[評価]
上記の実施例および比較例で得られた積層フィルムについて、耐ブロッキング性、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra1)、粒子による突起の有無、積層フィルムのヘイズ値、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層面の反射色むらを評価・測定した。その結果を表1〜7に示す。
本発明の実施例は、いずれも耐ブロッキング性が良好であり、かつ積層フィルムのヘイズ値が小さく透明性に優れたものである。
一方、ぬれ張力が52mN/mより大きい樹脂層上に第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が積層された比較例は、耐ブロッキング性が低下している。
また、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みが2μm以上である比較例は、樹脂層のぬれ張力の影響はあまり受けず耐ブロッキング性は良好であるが、ヘイズ値が上昇している。
[実施例71〜84]
実施例1、5、11、15、22、26、32、36、43、47、53、57、64および68で得られたそれぞれの積層フィルムの第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の面に、下記の高屈折率層と低屈折率層をこの順に積層し、次いで低屈折率層の上に下記の透明導電膜を形成して、静電容量式タッチパネル用の透明導電性フィルムを作製した。
<高屈折率層の積層>
下記の高屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが0.04μmの高屈折率層を形成した。この高屈折率層の屈折率は1.65であった。
(高屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート47質量部、酸化ジルコニウム50質量部、および重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)3質量部を有機溶媒(プロピレングリコールモノエチルエーテル)に分散・溶解して調製した。この組成物の屈折率は1.65であった。
<低屈折率層の積層>
下記の低屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが0.04μmの低屈折率層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.40であった。
(低屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート84質量部、中空シリカ14質量部、単量体の重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)2質量部を有機溶媒(メチルイソブチルケトンとプロピレングリコールモノエチルエーテルとの質量比1:1の混合溶媒)に分散・溶解して調製した。この組成物の屈折率は1.46であった。
<透明導電膜の積層>
ITO膜を厚みが22nmとなるようにスパッタリング法で積層し、格子状パターンにパターン加工(エッチング処理)して透明導電膜を形成した。
[評価]
実施例71〜84の透明導電性フィルムについて、耐ブロッキング性および透明導電膜パターンの視認性を評価した。その結果を表8に示す。
尚、透明導電性フィルムの耐ブロッキング性の評価は、前述の「(10)耐ブロッキング性の評価」において、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の面と透明導電膜の面とが向き合うように重ねるように変更した以外は同様にして評価した。その結果を表8に示す。
実施例71から84の透明導電性フィルムはいずれも、耐ブロッキング性および透明導電膜パターンの視認性は良好であった。

Claims (9)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に樹脂層が積層され、前記樹脂層上に第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が直接に積層されており、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層は粒子を含有し、この粒子による突起を第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面に有する積層フィルムであって、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d)が2μm未満、前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚み(d:μm)に対する前記粒子の平均粒子径(r:μm)の比率(r/d)が0.5以下であり、かつ前記樹脂層表面のぬれ張力が52mN/m以下であることを特徴とする、積層フィルム。
  2. 積層フィルムのヘイズ値が0.5%以下である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記基材フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra1)が30nm未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記粒子の平均粒子径(r)が0.03〜0.5μmの範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記第1活性エネルギー線硬化性樹脂層における粒子の含有量が、第1活性エネルギー線硬化性樹脂層の固形分総量100質量%に対して3〜17質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記基材フィルムの第1活性エネルギー線硬化性樹脂層が設けられた面とは反対面に、易接着層を介して第2活性エネルギー線硬化性樹脂層を有し、第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の厚みが2.5μm未満でかつ第2活性エネルギー線硬化性樹脂層表面の中心線平均粗さ(Ra2)が25nm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記基材フィルムが、屈折率が1.61〜1.70であるポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記易接着層の屈折率が1.55〜1.60、前記第2活性エネルギー線硬化性樹脂層の屈折率が1.48〜1.54である、請求項7に記載の積層フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムの少なくとも一方の面に透明導電膜を有する、透明導電性フィルム。
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