JP2016179603A - ハードコートフィルムおよび透明導電性フィルム - Google Patents

ハードコートフィルムおよび透明導電性フィルム Download PDF

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達郎 土本
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Abstract

【課題】透明性が高く、かつ耐ブロッキング性の良好なハードコートフィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの一方の面(A)にハードコート層A、他方の面(B)にハードコート層Bを有し、ハードコート層Aは、その膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子aを含有し、かつ、その表面に粒子aによって形成された突起aを有し、ハードコート層Bは、その膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子bを含有し、かつ、その表面に粒子bによって形成された突起bを有し、ハードコート層Aの原子力間顕微鏡で測定される表面粗さRa(A)が9.0nm未満、ハードコート層Bの原子力間顕微鏡で測定される表面粗さRa(B)が5.0nm未満であり、かつRa(A)とRa(B)の合計が10.0nm未満であることを特徴とするハードコートフィルム、及びそれを用いてなる透明導電性フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、透明性が高く、かつ耐ブロッキング性の良好なハードコートフィルムおよび透明導電性フィルムに関し、詳細には透明導電性フィルムに好適なハードコートフィルムおよび該ハードコートフィルムを用いてなる透明導電性フィルムに関する。
基材フィルムの両面にハードコート層を有するハードコートフィルムは、タッチパネルの電極形成用透明導電性フィルムのベースフィルムとして用いることが知られている(例えば、特許文献1〜9)。つまり、これらの特許文献には、ハードコートフィルムの少なくとも一方の面に透明導電層が積層されたタッチパネル用透明導電性フィルムが開示されている。
タッチパネル用透明導電性フィルムに用いられるハードコートフィルムは、透明性が高く、かつ耐ブロッキング性が良好であることが要求されている。
ハードコートフィルムの耐ブロッキング性を改良するために、表面に粒子によって形成された突起を設けることが提案されている(例えば、特許文献10〜12)。
特開2005−209431号公報 特開2010−188540号公報 特開2011−39978号公報 特開2011−65937号公報 特開2011−68064号公報 特開2011−145593号公報 特開2011−175040号公報 特開2011−201087号公報 特開2014−26071号公報 特開2010−82864号公報 特開2010−241937号公報 特開2012−27401号公報
しかしながら、上記特許文献1〜12に開示されている技術では、透明性および耐ブロッキング性を同時に十分に満足させるまでには至っていない。一般に、耐ブロッキング性を向上させると、ヘイズ値が高くなり透明性が低下する。
そこで本発明の課題は、上記従来技術における問題に鑑み、透明性が高くかつ耐ブロッキング性の良好なハードコートフィルムを提供するとともに、そのハードコートフィルムを用いてなるタッチパネル等に好適な透明導電性フィルムを提供することことにある。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
[1]基材フィルムの一方の面(A)にハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面(B)にハードコート層Bを有するハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層Aは、該ハードコート層Aの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子aを含有し、かつ、ハードコート層Aの表面に粒子aによって形成された突起aを有し、
前記ハードコート層Bは、該ハードコート層Bの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子bを含有し、かつ、ハードコート層Bの表面に粒子bによって形成された突起bを有し、
前記ハードコート層Aの原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(A)が9.0nm未満の範囲、前記ハードコート層Bの原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(B)が5.0nm未満の範囲であり、かつ表面粗さRa(A)と表面粗さRa(B)の合計が10.0nm未満の範囲であることを特徴とするハードコートフィルム。
[2]前記ハードコート層Aの表面における突起aの個数が、ハードコート層A表面の2μm平方(4μm)当たり10〜500個であり、
前記ハードコート層Bの表面における突起bの個数が、ハードコート層B表面の2μm平方(4μm)当たり5〜400個であることを特徴とする、[1]に記載のハードコートフィルム。
[3]前記ハードコート層Bの表面粗さRa(B)が、前記ハードコート層Aの表面粗さRa(A)より小さいことを特徴とする、[1]または[2]に記載のハードコートフィルム。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載のハードコートフィルムのハードコート層Bの上に、直接もしくは他の層を介して、導電層が積層されていることを特徴とする透明導電性フィルム。
本発明によれば、透明性が高く(ヘイズ値が低く)、かつ耐ブロッキング性の良好なハードコートフィルムを提供することができる。本発明のハードコートフィルムは透明導電性フィルムのベースフィルムとして好適である。
本発明におけるハードコート層表面の走査型電子顕微鏡による表面写真の一例を示す図である。 本発明におけるハードコート層表面の走査型電子顕微鏡による表面写真の他の一例を示す図である。
以下に、本発明について、実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明に係るハードコートフィルムは、基材フィルムの一方の面(A)にハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面(B)にハードコート層Bを有する。
ハードコート層Aは、該ハードコート層Aの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子aを含有し、ハードコート層Aの表面に粒子aによって形成された突起aを有する。同様に、ハードコート層Bは、該ハードコート層Bの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子bを含有し、ハードコート層Bの表面に粒子bによって形成された突起bを有する。
そして、上記ハードコート層Aの原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(A)が9.0nm未満の範囲で、前記ハードコート層Bの原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(B)が5.0nm未満の範囲であり、かつ表面粗さRa(A)と表面粗さRa(B)の合計が10.0nm未満であることを特徴としている。
以下、原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(A)を単に「表面粗さRa(A)」、原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(B)を単に「表面粗さRa(B)」ということがある。
また、以下の説明において、ハードコート層Aおよびハードコート層Bを総称して「ハードコート層」ということがあり、粒子aおよび粒子bを総称して「粒子」ということがあり、突起aおよび突起bを総称して「突起」ということがある。また、粒子によって形成された突起を単に「突起」ということがある。
本発明において、基材フィルムの両面にそれぞれハードコート層を設け、それぞれのハードコート層表面に、ハードコート層の膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子によって形成された突起を有するハードコート層を設けることにより、ハードコートフィルムのヘイズ値の上昇を抑制しながら(高い透明性を確保しながら)耐ブロッキング性を向上させることができる。
つまり、基材フィルムの一方の面(A)に設けられるハードコート層(A)は該ハードコート層Aの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子aを含有し、ハードコート層Aの表面に粒子aによって形成された突起aを有し、かつ基材フィルムの他方の面(B)の設けられるハードコート層Bは、該ハードコート層Bの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子bを含有し、ハードコート層Bの表面に粒子bによって形成された突起bを有することによって、ハードコートフィルムのヘイズ値の上昇を抑制しながら(高い透明性を確保しながら)耐ブロッキング性を向上させることができる。
そして、上記構成において、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)が9.0nm未満の範囲であり、かつハードコート層Bの表面粗さRa(B)が5.0nm未満の範囲であること、および表面粗さRa(A)と表面粗さRa(B)の合計が10.0nm未満の範囲であることにより、ヘイズ値が小さく、透明性が高いハードコートフィルムが得られる。
ハードコートフィルムのヘイズ値を小さくして透明性を高めるという観点から、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)は、8.0nm未満が好ましく、6.0nm未満がより好ましく、5.0nm未満が特に好ましい。下限は、小さくなり過ぎると耐ブロッキング性が低下することがあるので、1.0nm以上が好ましく、1.5nm以上がより好ましい。
また、ハードコートフィルムのヘイズ値を小さくして透明性を高めるという観点から、ハードコート層Bの表面粗さRa(B)は、4.5nm未満が好ましく、4.0nm未満がより好ましく、3.0nm未満が特に好ましい。下限は、小さくなり過ぎると耐ブロッキング性が低下することがあるので、0.5nm以上が好ましく、1.0nm以上がより好ましい。
更に、ハードコートフィルムのヘイズ値を小さくして透明性を高めるという観点から、表面粗さRa(A)と表面粗さRa(B)の合計は、9.0nm未満が好ましく、8.0nm未満より好ましく、7.0nm未満が特に好ましい。下限は、小さくなり過ぎると耐ブロッキング性が低下することがあるので、2.0nm以上が好ましく、2.5nm以上がより好ましく、特に3.0nm以上が好ましい。
一般に、ハードコート層の表面に粒子によって形成された突起が存在すると、表面粗さRaが大きくなり、ヘイズ値が高くなる傾向にあるが、本発明におけるハードコート層は、ハードコート層の膜厚より小さい平均粒子径(好ましくは膜厚より十分に小さい平均粒子径)を有する粒子によって突起が形成されているので、表面粗さRaの上昇およびヘイズ値の上昇が抑制される。
このような本発明の構成の中にあって、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)を比較的高く設計することにより、ハードコートフィルムの耐ブロッキング性の向上に寄与し、一方、ハードコート層Bの表面粗さRa(B)を比較的小さく設計することにより、ハードコートフィルムの耐ブロッキング性の向上を補助しながらヘイズ値の上昇が抑制される。
上記観点から、ハードコート層Bの表面粗さRa(B)は、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)より小さく設計されることが好ましい。
また、ハードコート層Bの表面粗さRa(B)を比較的小さく設計することにより、本発明のハードコートフィルムを透明導電性フィルムに適用する場合に、このような表面粗さRa(B)が比較的小さく設計されたハードコート層Bの上に透明導電膜(導電層)が積層されることにより、透明導電膜の表面抵抗値が小さくなる傾向にある。
また、このような表面粗さRa(B)が比較的小さく設計されたハードコート層Bの上に他の層を塗布する場合でも、均一な塗布面が得られやすいという利点がある。
本発明において、原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(A)および表面粗さRa(B)は、中心平面からの偏差の算術平均を表し、下記の式で求められたものである。
Figure 2016179603
上式中、Zcpは中心平面のZ値であり、Zは個々のデータ・ポイントでのZ値、Nは領域内のデータ点数である。
[ハードコート層における粒子によって形成された突起]
ハードコート層Aおよびハードコート層Bは、それぞれ、ハードコート層の膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子を含有し、ハードコート層表面に前記粒子によって形成された突起を有する。
ハードコート層表面における突起は、個々の粒子が独立して個々に突起を形成してもよいし、複数個の粒子が集合もしくは凝集した状態で突起を形成してもよい。ヘイズ値の上昇を抑制しながら耐ブロッキング性を向上させるという観点から、複数個の粒子が集合もしくは凝集した状態で突起が形成されていることが好ましい。突起が、複数個の粒子が集合もしくは凝集した状態で形成されることにより、ハードコート層表面の面積に対する突起面積の比率が比較的高くなり、また突起の高さも比較的低くなることから、ヘイズ値の上昇を抑制しながら耐ブロッキング性を向上させることができる。
本発明におけるハードコート層表面の突起の形態の例を図1および図2に示す。図1および図2は、ハードコート層表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの表面写真である。
図1は、複数個の粒子がランダムに集合もしくは凝集して突起を形成したときの表面写真の一例である。図2は、複数個の粒子が数珠状に集合もしくは凝集して突起を形成したときの表面写真の一例である。
ハードコート層Aの表面における突起aの個数は、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)が9.0nm未満の範囲となるように調整されることが好ましい。例えば、突起aの個数は、ハードコート層Aの表面の特定単位面積(2μm平方(面積4μm))当たり、10〜500個の範囲が好ましく、20〜400個の範囲がより好ましく、30〜300個の範囲が特に好ましい。突起aの個数が10個未満であると、耐ブロッキング性が十分に発現しないことがあり、一方、突起aの個数が500個を超えると表面粗さRa(A)が9.0nm以上となる場合があり、その結果、ヘイズ値が高くなり透明性が低下することがある。
同様に、ハードコート層Bの表面における突起bの個数は、ハードコート層Bの表面粗さRa(B)が5.0nm未満の範囲となるように調整されることが好ましい。例えば、突起bの個数は、ハードコート層Bの表面の特定単位面積(2μm平方(面積4μm))当たり、5〜400個の範囲が好ましく、10〜300個の範囲がより好ましく、20〜200個の範囲が特に好ましい。突起bの個数が5個未満であると、耐ブロッキング性が十分に発現しないことがあり、一方、突起bの個数が400個を超えると表面粗さRa(B)が5.0nm以上となる場合があり、その結果、ヘイズ値が高くなり透明性が低下することがある。
ここで突起の個数を計測するための突起は、粒子1個によって形成された突起を意味する。すなわち、1個の粒子で1個の突起を形成している場合は、表面写真において上記単位面積当たりの突起を計測した数値が上記の単位面積当たりの突起の個数となる。図1および図2に示した例では、複数個の粒子が集合もしくは凝集した状態で突起を形成しているが、走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察の倍率を調整することにより突起を形成している個々の粒子を判別することが可能であり、突起を形成している粒子の個数を計測することができる。
なお、複数個の粒子が集合もしくは凝集した状態で突起を形成している態様において、突起を形成している個々の粒子を判別することが困難である場合がある。つまり、複数個の粒子が個々の粒子に判別できないほど密に集合もしくは凝集して1つの集合体(凝集体(塊))となって突起を形成している場合がある。このような場合には、1つの集合体(凝集体(塊))を1個の粒子と見なし、この1つの集合体(凝集体(塊))による突起を1個の突起と見なす。
ハードコート層表面に形成される突起の平均高さは、耐ブロッキング性を向上させるという観点から、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が特に好ましい。突起の平均高さが大きくなり過ぎると、ヘイズ値が高くなる傾向にあるので、突起の平均高さの上限は、0.10μm以下が好ましく、0.08μm以下がより好ましく、0.07μm以下が特に好ましい。
[ハードコート層に含有される粒子]
ハードコート層Aに含有される粒子aおよびハードコート層Bに含有される粒子bについて説明する。前述したように、ハードコート層Aおよびハードコート層Bに共通する事項についてはハードコート層と表記し、粒子aおよび粒子bに共通する事項は粒子と表記して説明する。
本発明では、ハードコート層に含有される粒子は、その平均粒子径がハードコート層の膜厚より小さい。これによって、ヘイズ値を低くすることができ高い透明性が得られる。
上記観点(ヘイズ値を低くして透明性を高める点)から、粒子の平均粒子径(r:μm)は、ハードコート層の膜厚(d:μm)に対して十分に小さいことが好ましい。ハードコート層の膜厚(d:μm)に対する粒子の平均粒子径(r:μm)の比率(r/d)は、具体的には、0.50以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下が特に好ましい。
上記比率(r/d)が小さくなりすぎると耐ブロッキング性が低下することから、上記比率(r/d)の下限は、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上が特に好ましい。
ハードコート層の膜厚(d)は、十分なハードコート性(耐擦傷性)を得るという観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.7μm以上が特に好ましい。一方、ハードコート層の膜厚(d)が大きくなり過ぎると、ハードコート層表面に耐ブロッキング性の向上に有効な突起を形成するのが難しくなる場合がある。つまり、ハードコート層表面に有効な突起を形成するには、後述するように、ハードコート層表面に粒子を効率よく移動(浮上)させることが好ましいが、ハードコート層の膜厚が大きくなると、ハードコート層中に含まれる粒子が効率よく移動(浮上)せず、十分な突起が形成されないことがある。また、ハードコート層の膜厚が大きくなると、ハードコート層にクラックが発生したり、カールが発生したり、あるいは透明性が低下することがある。上記観点から、ハードコート層の膜厚の上限は5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、2μm以下が特に好ましい。
粒子の平均粒子径(r)は、具体的には、0.5μm未満が好ましく、0.4μm未満がより好ましく、0.3μm未満が特に好ましい。粒子の平均粒子径の下限は、0.01μm以上が好ましい。
粒子としては、有機粒子や無機粒子を用いることができる。有機粒子を構成する樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂粒子が好ましく用いられる
アクリル系樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子、アクリルモノマーあるいはメタクリルモノマーと他のモノマー(例えば、スチレン、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、シリコーンアクリレート、シリコーンメタクリレート等)との共重合樹脂粒子が挙げられる。
これらの有機粒子は乳化重合法により合成されることが好ましく、乳化重合法で合成されることによって平均粒子径が0.5μm未満の有機粒子を得ることができる。
無機粒子としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機粒子が挙げられる。これらの中でもシリカ粒子が好ましい。
ハードコート層に含有させる粒子の含有量は、耐ブロッキング性に有効な突起を形成するという観点から、ハードコート層の固形分総量100質量%に対して3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上が特に好ましい。上限の含有量は、ハードコート層のヘイズ値の上昇を抑制するという観点から、30質量%未満が好ましく、25質量%未満がより好ましく、20質量%未満が特に好ましい。
ハードコート層表面に、ハードコート層の膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子によって形成された突起を効率よく形成するには、ハードコート層の表面近傍に粒子を比較的多く存在させること(偏在させること)が好ましい。つまり、ハードコート層の表面近傍に粒子を移動(浮上)させることが好ましい。
ハードコート層の表面近傍に粒子を移動(浮上)させるには、例えば、表面自由エネルギーを小さくするための表面処理もしくは界面活性剤による表面処理が施された粒子を用いることが好ましい。
以下の説明において、「表面処理」なる表現は、断りのない限り、上述の表面自由エネルギーを小さくするための表面処理もしくは界面活性剤による表面処理を意味する。
表面処理が施される粒子としては、無機粒子が好適であり、特にシリカ粒子が好適である。表面処理の詳細は後述する。
シリカ粒子は、湿式法シリカと気相法シリカに大別される。通常シリカ粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、このシリカゾルをゲル化させたシリカゲルが一般的に知られている。上記したシリカの中でも、コロイダルシリカおよび気相法シリカが好ましく用いられる。
また、コロイダルシリカは、一般に市販されており入手することができる。市販品としては、例えば、日産化学工業(株)製の「オルガノシリカゾル」シリーズ、旭電化工業(株)製の「アデライトAT」シリーズ、クラリアントジャパン(株)製の「クレボゾール」シリーズ、デュポン(株)製の「ルドックス」シリーズ、扶桑化学工業(株)製の「クォートロンPL」シリーズ等が挙げられる。
気相法シリカは、上記湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。
気相法シリカは乾式法シリカやヒュームドシリカとも呼ばれ、例えば、日本アエロジル(株)から「アエロジル」として、また(株)トクヤマから「レオシール」として市販されており入手することができる。
気相法シリカは、湿式法シリカに比べて、粒子表面におけるシラノール基の密度が少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となりやすく、個々の粒子が網目構造または鎖状に繋がりあった凝集状態で存在しやすいという特徴がある。従って、気相法シリカを溶媒中で適度に粉砕あるいは分散することにより、適度な大きさの粒子集合体を得ることができる。そして、この気相法シリカ粒子の集合体に表面処理を施すことにより、ハードコート層表面近傍に移動(浮上)させて、複数個の粒子が集合もしくは凝集した粒子集合体(粒子凝集体)による突起をハードコート層表面に形成することができる。
気相法シリカを溶媒中で粉砕あるいは分散する装置としては、ビーズミル、ペイントシェイカー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル、超音波分散機、アルティマイザー、ナノマイザー、ディスパー、タービン翼等攪拌翼を有する分散機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、薄膜施回型分散機等が挙げられる。
以下に、粒子に施される表面処理について詳しく説明する。
粒子の表面自由エネルギーを小さくするための表面処理としては、下記の一般式(1)で示されるフッ素原子を有するオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、および該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物によって形成された群の中から選ばれる少なくとも1つの化合物で表面処理する方法が挙げられる。
2n+1−(CH−Si(Q) ・・・・一般式(1)
(一般式(1)において、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を表す。Qは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。)。
上記一般式(1)の化合物として、具体的には下記の化合物を例示することができる。
CHCHSi(OCH
13CHCHSi(OCH
17CHCHSi(OCH
13CHCHCHSi(OCH
13CHCHCHCHSi(OCH
13CHCHSi(OC
17CHCHCHSi(OC
13CHCHCHCHSi(OC
13CHCHSiCl
13CHCHSiBr
13CHCHCHSiCl
13CHCHSi(OCH)Cl
また、粒子の表面自由エネルギーを小さくするための他の表面処理として、下記一般式(2)で示される化合物で処理し、更に下記一般式(3)で示されるフッ素化合物で表面処理する方法が挙げられる。
B−R−SiR (OR3−n ・・・・一般式(2)
D−R−Rf ・・・・一般式(3)
上記一般式(2)および(3)において、BおよびDはそれぞれ独立に反応性部位を表し、RおよびRはそれぞれ独立に炭素数1から3のアルキレン基、あるいは前記アルキレン基から導出されるエステル構造を表し、RおよびRはそれぞれ独立に水素あるいは炭素数が1から4のアルキル基を表し、Rfはフルオロアルキル基を表し、nは0から2の整数を表す。また、BおよびDで表される反応性部位としては、例えばビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基などが挙げられる。
上記一般式(2)の具体例としては、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシブチルトリメトキシシラン、アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、アクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及びこれら化合物中のメトキシ基が他のアルコキシル基あるいは水酸基に置換された化合物を含むものなどが挙げられる。
上記一般式(3)の具体例としては、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、2−パーフルオロブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、パーフルオロオクチルメチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロデシルエチルアクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−3−メトキシブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−パーフルオロブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、パーフルオロオクチルメチルメタクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロデシルエチルメタクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−3−メチルブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。
前述の界面活性剤による表面処理に用いられる界面活性剤としては、分子中にエチレンオキシ基を有する界面活性剤が好ましく用いられる。かかる界面活性剤として、以下の化合物が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤;例えば、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、バルミチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパラトルエンスルホネート等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤;例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリラウリルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリルニナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ニナトリウム、ポリオキシスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリエキシアルキレン分岐デシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤;例えば、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリエキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウルルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリエキシエチレンステアリン酸エステル、ポリエキシエチレンソルビタンモノココエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。
[ハードコート層]
ハードコート層は、樹脂として熱硬化性樹脂あるいは活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましく、特に活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましい。ここで、活性エネルギー線硬化性樹脂とは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって重合されて硬化する樹脂を意味する。
活性エネルギー線硬化性樹脂を得るための重合性化合物としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)が挙げられる。
ハードコート層は、上記重合性化合物および前述の粒子を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を、基材フィルム上にウェットコーティング法により塗布し、必要に応じて乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化することにより形成されたものであることが好ましい。
ウェットコーティング法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等の塗布方法を用いることができる。
活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、線、β線、γ線などが挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましく用いられる。
紫外線を照射するための光源としては、特に限定されないが、例えば、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプが好ましく用いられる。
また、紫外線を照射するときに、低酸素濃度下の雰囲気下、例えば、酸素濃度が500ppm以下の雰囲気下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができるので好ましい。
紫外線の照射光量は、50mJ/cm以上が好ましく、100mJ/cm以上がより好ましく、特に150mJ/cm以上が好ましい。上限は2000mJ/cm以下が好ましく、1000mJ/cm以下がより好ましい。
以下に、活性エネルギー線硬化性樹脂を得るための重合性化合物(モノマーやオリゴマー)を例示するが、これらの化合物に限定されない。尚、以下の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」なる表現は、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」との2つの化合物を含む。
モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパン安息香酸エステル等の多官能アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート等のウレタンアクリレート等を挙げることができる。
上記したモノマーの中でも、1分子中に重合性官能基を3個以上有する多官能モノマーが好ましく用いられる。
オリゴマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルキット(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記オリゴマーの中でも、1分子中に重合性官能基を3個以上有する多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく用いられる。かかる多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、市販されているものを使用することができる。例えば、共栄社化学(株)製のウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、根上工業(株)製のUN−3320シリーズ、UN−900シリーズ、新中村化学工業(株)製のNKオリゴUシリーズ、ダイセル・ユーシービー社製のEbecryl1290シリーズなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物における重合性化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、更に60質量%以上であることが好ましく、特に70質量%以上であることが好ましい。上限は97質量%以下好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が特に好ましい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合は、活性エネルギー線硬化性組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(登録商標)184、イルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46等、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量の範囲は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
ハードコート層は、十分なハードコート性(耐擦傷性)を得るという観点から、ハードコート層の鉛筆硬度(JIS K5600−5−4(1999年))は、F以上が好ましく、H以上がより好ましい。上限は9H程度である。
[ハードコート層Aおよびハードコート層B]
本発明に係るハードコートフィルムにおいて、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)は9.0nm未満の範囲とされ、かつハードコート層Bの表面粗さRa(B)は5.0nm未満の範囲とされる。
また、本発明に係るハードコートフィルムは、前述したように、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)に対して、ハードコート層Bの表面粗さRa(B)が小さいことが好ましい。表面粗さRa(A)と表面粗さRa(B)との差は、0.3nm以上であることが好ましく、0.5nm以上であることがより好ましく、1.0nm以上であることが特に好ましい。上記差の上限は7.0nm以下が好ましく、5.0nm以下がより好ましく、3.0nm以下が特に好ましい。
ハードコート層Aおよびハードコート層Bを基材フィルム上に形成するための組成物は、前述したように活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。但し、本発明はこれに限定されず、熱硬化性組成物を用いることができる。
ハードコート層Aおよびハードコート層Bの表面粗さRaをそれぞれ上記範囲とすることを前提とすれば、ハードコート層Aを形成するための組成物とハードコート層Bを形成するための組成物とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
同一組成物を用いる場合であっても、組成物の固形分濃度、塗布時のウェット膜厚、塗布乾燥後の膜厚、乾燥条件等を変化させることにより、突起の個数を変化させることが可能であり、その結果、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの表面粗さRaを変化させることができる。
つまり、上記したように、ハードコート層Aの表面粗さRa(A)に対して、ハードコート層Bの表面粗さRa(B)が小さいことが好ましいところ、同一組成物を用いてハードコート層Aおよびハードコート層Bを形成するとき、組成物の固形分濃度、塗布時のウェット膜厚、塗布乾燥後の膜厚、乾燥条件等を変化させることによって、上記構成を実現することができる。もちろん、上記構成を実現するために、異なる組成物を用いることができる。
[基材フィルム]
本発明における基材フィルムには、プラスチックフィルムが好ましく用いられる。基材フィルムを構成する材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、およびこれら樹脂を混合および/または共重合したものが挙げられる。これらの樹脂を未延伸、一軸延伸、二軸延伸してフィルムとしたものを基材フィルムとして適用することができる。
上記した基材フィルムの中でも、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性などに優れていることから、ポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましく、中でも二軸延伸されたPETフィルムが好ましく用いられる。
基材フィルムの厚みは、20〜300μmの範囲が適当であり、30〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
基材フィルムは、ハードコート層Aおよびハードコート層Bとの密着性を強化するために、基材フィルムの両面に以下の易接着層を有していることが好ましい。
[易接着層]
易接着層は、樹脂を主成分として含有する層であることが好ましい。易接着層を形成する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは複数種併用することができる。
易接着層は、基材フィルムとハードコート層との密着性を向上させるという観点から、樹脂としてポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリウレタン樹脂によって形成された群の中から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。特に、易接着層は樹脂として少なくともポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
易接着層における樹脂の含有量は、易接着層の固形分総量100質量%に対して50質量%以が好ましく、60質量%以上がより好ましく、特に70質量%以上が好ましい。上限に関しては、易接着層における樹脂の含有量は95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
易接着層は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。易接着層は上述の樹脂と架橋剤を含有する熱硬化層であることが好ましい。易接着層をこのような熱硬化層とすることにより、基材フィルムとハードコート層との密着性をさらに向上させることができる。易接着層を熱硬化するときの条件(加熱温度、時間)は特に限定されないが、加熱温度は70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上が特に好ましく、200℃以上が最も好ましい。上限に関し、加熱温度は300℃以下が好ましい。加熱時間の範囲は5〜300秒の範囲が好ましく、10〜200秒の範囲がより好ましい。
上記架橋剤としては、例えばメラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらの中でも、ラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤が好ましく、特にメラミン系架橋剤が好ましい。
易接着層における架橋剤の含有量の範囲は、易接着層の固形分総量100質量%に対して0.5〜40質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましく、特に2〜20質量%の範囲が好ましい。
易接着層は、ハードコートフィルムの製造工程における適度な滑り性や巻き取り性を確保するという観点から、更に粒子を含有することが好ましい。
易接着層に含有される粒子としては特に限定されないが、シリカ粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ゼオライト粒子などの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などの有機粒子が挙げられる。これらの中でもシリカ粒子が好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。
易接着層に含有される粒子は、その平均粒子径が易接着層の膜厚より大きいことが好ましい。具体的には、平均粒子径は易接着層の膜厚の1.3倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、2.0倍以上が特に好ましい。上限は20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下が特に好ましい。
易接着層に含有される粒子の平均粒子径は易接着層の膜厚の設計に応じて適宜選択されるが、具体的には平均粒子径は0.02〜1μmの範囲であることが好ましく、0.05〜0.7μmの範囲がより好ましく、特に0.1〜0.5μmの範囲が好ましい。平均粒子径が0.02μm未満であると滑り性が低下することがある。平均粒子径が1μmを越えると粒子が脱落したり、透明性が低下したり、あるいは外観が悪化することがある。
易接着層における粒子の含有量の範囲は、易接着層の固形分総量100質量%に対して0.05〜10質量%の範囲が好ましく、0.1〜8質量%の範囲がより好ましく、特に0.5〜5質量%の範囲が好ましい。
易接着層の膜厚の範囲は、0.005〜0.3μmの範囲であることが好ましく、0.01から0.2μmの範囲がより好ましく、0.015〜0.15μmの範囲が特に好ましい。
[ハードコートフィルム]
本発明に係るハードコートフィルムは、基材フィルムの一方の面(A)に前述のハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面(B)に前述のハードコート層Bを有するものであり、この構成を採る本発明のハードコートフィルムは、小さいヘイズ値であるにも関わらず(透明性が高いにもかかわらず)、良好な耐ブロッキング性が得られる。
本発明に係るハードコートフィルムは、そのヘイズ値が0.50%以下が好ましく、0.40%以下がより好ましく、0.30%以下が特に好ましい。下限のヘイズ値は小さいほど好ましく、従って特に限定されない。
[透明導電性フィルム]
本発明に係るハードコートフィルムは、透明導電性フィルムのベースフィルムとして好適である。つまり、本発明のハードコートフィルムをベースフィルムとして用いた透明導電性フィルムは、本発明のハードコートフィルムの少なくとも一方の面に透明導電膜が積層されたものである。
透明導電膜は、本発明のハードコートフィルムのどちらか一方の面のみに積層されていてもよいし、両方の面に積層されていてもよい。透明導電膜は、本発明のハードコートフィルムのハードコート層Bの上に、直接もしくは他の層を介して積層されることが好ましい。
ハードコート層Bは、ハードコート層Aに対して、表面粗さRaが相対的に小さくなるように設計されることが好ましいことは前述したとおりであるが、このような表面粗さRaが相対的に小さく設計されたハードコート層Bの上に透明導電膜が積層されることにより、透明導電膜の表面抵抗値が小さくなる傾向にある。
また、このような表面粗さRaが相対的に小さく設計されたハードコート層Bの上に他の層を塗布する場合でも、均一な塗布面が得られやすいという利点がある。
上記した他の層としては、色調補正層が挙げられる。この色調補正層は、透明導電膜を含む透明導電性フィルムの透過色や反射色を無彩色に近づけるための層である。例えば、透明導電膜として代表的なITO(酸化インジウム錫)は、通常、黄色に呈色しており、色調補正層を設けることにより、無彩色に近づけることができる。
色調補正層としては、屈折率が1.60〜1.80の高屈折率層の単一構成、あるいは上記高屈折率層と低屈折率層(屈折率が1.55以下)との積層構成などが挙げられる。
[透明導電膜]
透明導電膜を形成する材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)、ATO(酸化アンチモン錫)等の金属酸化物、金属ナノワイヤー(例えば銀ナノワイヤー)、カーボンナノチューブが挙げられる。これらの中でも、ITOが好ましく用いられる。
透明導電膜の厚みは、表面抵抗値を10Ω/□以下の良好な導電性を確保するという観点から、8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。一方、透明導電膜の厚みが大きくなりすぎると、色味(着色)が強くなったり、透明性が低下するという不都合が生じることがあるので、透明導電膜の厚みの上限は、60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、特に40nm以下が好ましい。
透明導電膜の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライ製膜法(気相製膜法)、あるいはウェットコーティング法が挙げられる。
透明導電膜はパターン化されていてもよい。パターン化の形状は、透明導電性フィルムが適用される用途に応じて、各種のパターンとすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)ハードコート層の表面粗さRaの測定
ハードコートフィルムのハードコート層Aの表面粗さRa(A)およびハードコート層Bの表面粗さRa(B)を、下記の原子力間顕微鏡(AFM)および解析ソフトを用いて測定した。測定範囲は5μm平方である。測定サンプルの測定箇所を変えて、それぞれ5カ所測定し、平均した。
<原子力間顕微鏡> Bruker Corporation 製の「DIMENSION icon with Scan Asyst」
<解析ソフト> Bruker Corporation 製の「Nano Scope Analysis(version1.40)」
(2)ハードコートフィルムのヘイズ値の測定
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。
(3)ハードコート層の膜厚の測定
ハードコートフィルムの断面を超薄切片に切り出し、TEM(透過型電子顕微鏡)で加速電圧100kVにて観察(1〜30万倍の倍率で観察)し、その断面写真から、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの厚みを測定した。尚、厚みの測定箇所は表面に突起が存在しない部分である。厚みの測定は5箇所で行い、その平均値をハードコート層の膜厚とした。
(4)ハードコート層に含有される粒子の平均粒子径の測定
ハードコート層の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察(約1万〜10万倍)し、その断面写真から、無作為に選択した30個の粒子のそれぞれの最大長さを計測し、それらを平均した値を粒子の平均粒子径とした。
ここで、複数個の粒子が凝集して1つの凝集体(塊)を形成し、TEMによる観察において、この凝集体(塊)が視覚的にこれ以上細分化できない場合は、この凝集体(塊)を1個の粒子と見なした。
(5)ハードコート層表面における突起個数の計測
ハードコートフィルムのカットサンプル(20cm×15cm)を用意し、このカットサンプルのハードコート層Aの表面およびハードコート層Bの表面をそれぞれSEM(走査型電子顕微鏡)にてランダムに5箇所撮影(約1万〜10万倍)し、それぞれ5つの画像(表面写真)を作製する。次に、5つの画像について、画像の2μm平方(面積4μm)の範囲に存在する突起の個数を計測し、平均した。
ここで突起の個数は、粒子1個によって形成された突起である。但し、複数個の粒子が集合もしくは凝集した状態で突起を形成している場合であって、この突起を形成している粒子の集合体(凝集体(塊)を構成する個々の粒子を判別することが困難である場合には、この1つの集合体(凝集体(塊))を1個の粒子と見なし、この1つの集合体(凝集体(塊))によって形成された突起を1個の突起と見なした。
(6)ハードコート層表面における突起の平均高さの測定
ハードコート層の断面をTEM(透過型電子顕微鏡)にて5箇所撮影(約1万〜10万倍)し、5つの断面写真を作製する。次に、5つの断面写真に存在する全ての突起の高さ(ハードコート層表面から突出した最大高さ)を測定し、平均した。尚、1つの断面写真における測定長さが1μm以上となるように断面写真のサイズを調整した。
(7)耐ブロッキング性の評価
ハードコートフィルムを切断して2枚のシート片(20cm×15cm)を作製する。この2枚のシートのハードコート層A面とハードコート層B面とが向き合うようにして重ね合わせる。次に、2枚のシート片を重ね合わせた試料をガラス板で挟み込み、約3kgの重りを載せて、55℃、90%(RH)の雰囲気下に48時間放置する。次に、重ね合わせ面を目視により観察しニュートンリングの発生状況を確認した後、両者を剥離し、以下の基準で評価した。
A:剥離前はニュートンリングが発生しておらず、剥離時には剥離音を立てずに軽く剥離される。
B:剥離前は一部ニュートンリングが発生しており、剥離時には小さな剥離音を立てながら剥離される。
C:剥離前は全面にニュートンリングが発生しており、剥離時には大きな剥離音を立てて剥離される。
[実施例1]
下記の要領でハードコートフィルムを作製した。
<易接着層が積層されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの作製>
実質的に外部添加粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施した後、一軸延伸フィルムの両面にそれぞれ下記の易接着層用塗布液を塗布した。
次に、両面にそれぞれの樹脂層塗布液aが塗布された1軸延伸フィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃で乾燥、ラジエーションヒーターを用いて110℃に上げ、再度90℃で乾燥した後、引き続き連続的に120℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、続いて220℃の加熱ゾーンで20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した二軸延伸PETフィルムを作製した。
このようにして得られた易接着層積層PETフィルムの厚みは50μm、両面に積層されたに易接着層の膜厚は、それぞれ0.09μmであった。
<易接着層用塗布液>
固形分質量比で、Tg(ガラス転移温度)が120℃のポリエステル樹脂aを26質量%、Tgが80℃のポリエステル樹脂bを54質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂a;2,6−ナフタレンジカルボン酸43モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂
・ポリエステル樹脂b;テレフタル酸38モル%、トリメリット酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂
・メラミン系架橋剤;三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」)
・粒子;平均粒子径0.19μmのコロイダルシリカ。
<ハードコート層Aの積層>
上記で得られた易接着層積層PETフィルムの一方の面の易接着層上に下記のハードコート層Aを形成するための活性エネルギー線硬化性組成物a1をグラビアコート法で塗布し、熱風乾燥(35℃の熱風で20秒間、50℃の熱風で20秒間、60℃の熱風で20秒間、80の熱風で60秒間)した後、紫外線400mJ/cmを照射し硬化させて、膜厚が1.2μmのハードコート層Aを形成した。
<活性エネルギー線硬化性組成物a1>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」)42質量部、下記の粒子分散液aを固形分換算で13質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)に混合して、固形分濃度が25質量%の組成物を調製した。
(粒子分散液a)
気相法シリカ(日本アエロジル(株)の「アエロジルOX50」)を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)中で分散してシリカ濃度が15質量%の分散液を得た。分散装置としてビーズミルを用いた。
次に、この分散液300質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部を混合し、70℃にて1時間撹拌し、次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して、粒子分散液a(表面処理されたシリカ粒子の分散液)を得た。
<ハードコート層Bの積層>
次いで、易接着層積層PETフィルムの他方の面(ハードコート層Aが積層された面とは反対面)の易接着層上に、下記のハードコート層Bを形成するための活性エネルギー線硬化性組成物b1をグラビアコート法で塗布し、熱風乾燥(35℃の熱風で20秒間、50℃の熱風で20秒間、60℃の熱風で20秒間、80の熱風で60秒間)した後、紫外線400mJ/cmを照射し硬化させて、膜厚が1.2μmのハードコート層Bを形成した。
<活性エネルギー線硬化性組成物b1>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)45質量部、上記粒子分散液aを固形分換算で10質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)に混合して、固形分濃度が25質量%の組成物を調製した。
[実施例2]
実施例1において、ハードコート層Aの活性エネルギー線硬化性組成物を下記の組成物に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物a2>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート39質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)40質量部、下記の粒子分散液aを固形分換算で16質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)に混合して、固形分濃度が25質量%の組成物を調製した。
[実施例3]
実施例1において、ハードコート層Aの活性エネルギー線硬化性組成物を下記の組成物に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物a3>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート38質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)38質量部、上記粒子分散液aを固形分換算で19質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)に混合して、固形分濃度が25質量%の組成物を調製した。
[実施例4]
実施例1において、ハードコート層Bの活性エネルギー線硬化性組成物を下記の組成物に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物b2>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)49質量部、上記粒子分散液aを固形分換算で6質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)に混合して、固形分濃度が25質量%の組成物を調製した。
[実施例5]
実施例4において、ハードコート層Aの活性エネルギー線硬化性組成物を下記の組成物に変更した以外は、実施例4と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物a4>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート40質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)47質量部、上記粒子分散液aを固形分換算で8質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)に混合して、固形分濃度が25質量%の組成物を調製した。
[実施例6]
実施例1において、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの活性エネルギー線硬化性組成物を、市販のアイカ工業(株)のUVハードコート剤(「アイカトロンZ737」;シリカ粒子を含有)を酢酸ブチルで固形分濃度が25質量%になるように希釈した組成物に変更し、ハードコート層Aの膜厚を0.8μm、ハードコート層Bの膜厚を1.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[実施例7]
実施例1において、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの活性エネルギー線硬化性組成物を、市販のアイカ工業(株)のUVハードコート剤(「アイカトロンZ737」;シリカ粒子を含有)を酢酸ブチルで固形分濃度が25質量%になるように希釈した組成物に変更し、ハードコート層Aの膜厚を1.0μm、ハードコート層Bの膜厚を1.0μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[実施例8]
実施例1において、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの活性エネルギー線硬化性組成物を、市販のアイカ工業(株)のUVハードコート剤(「アイカトロンZ737」;シリカ粒子を含有)を酢酸ブチルで固形分濃度が25質量%になるように希釈した組成物に変更し、ハードコート層Aの膜厚を3.5μm、ハードコート層Bの膜厚を3.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[比較例1]
実施例1において、ハードコート層Bを形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を市販の三菱レイヨン(株)のクリヤーハードコート剤「レイクイーンRQ5105」に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
[比較例2]
実施例1において、ハードコート層Aを形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を下記の組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物a5>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート43質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)47質量部、下記の粒子分散液bを固形分換算で5質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)に混合して、固形分濃度が25質量%の組成物を調製した。
(粒子分散液b)
有機粒子としてポリメタクリル酸メチル粒子(綜研化学(株)のPMMA粒子「MPシリーズ」、平均粒子径が0.7μm)を有機溶剤(メチルイソブチルケトン)中で分散して粒子濃度が15質量%の分散液を得た。分散装置としてビーズミルを用いた。
[比較例3]
実施例1において、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの活性エネルギー線硬化性組成物を、実施例3で用いた活性エネルギー線硬化性組成物a3に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[評価]
上記の実施例および比較例で得られたハードコートフィルムについて、前述の測定方法および評価方法に従って、各項目の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2016179603
本発明に係るハードコートフィルムは、とくにタッチパネルの電極形成用透明導電性フィルムのベースフィルムとして好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 基材フィルムの一方の面(A)にハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面(B)にハードコート層Bを有するハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層Aは、該ハードコート層Aの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子aを含有し、かつ、ハードコート層Aの表面に粒子aによって形成された突起aを有し、
    前記ハードコート層Bは、該ハードコート層Bの膜厚より小さい平均粒子径を有する粒子bを含有し、かつ、ハードコート層Bの表面に粒子bによって形成された突起bを有し、
    前記ハードコート層Aの原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(A)が9.0nm未満の範囲、前記ハードコート層Bの原子力間顕微鏡(AFM)で測定される表面粗さRa(B)が5.0nm未満の範囲であり、かつ表面粗さRa(A)と表面粗さRa(B)の合計が10.0nm未満の範囲であることを特徴とするハードコートフィルム。
  2. 前記ハードコート層Aの表面における突起aの個数が、ハードコート層A表面の2μm平方(4μm)当たり10〜500個であり、
    前記ハードコート層Bの表面における突起bの個数が、ハードコート層B表面の2μm平方(4μm)当たり5〜400個であることを特徴とする、請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記ハードコート層Bの表面粗さRa(B)が、前記ハードコート層Aの表面粗さRa(A)より小さいことを特徴とする、請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルムのハードコート層Bの上に、直接もしくは他の層を介して、導電層が積層されていることを特徴とする透明導電性フィルム。
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