JP2014026071A - ハードコートフィルム、透明導電性フィルムおよびタッチパネル - Google Patents

ハードコートフィルム、透明導電性フィルムおよびタッチパネル Download PDF

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Kiyoshige Maeda
清成 前田
Kazuaki Taki
一晃 瀧
Takahito Oshikiri
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Abstract

【課題】透明性が高く、滑り性や耐ブロッキング性が良好で、かつ傷が視認し難いハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルムの一方の面側にハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面側にハードコート層Bを有するハードコートフィルムであって、該ハードコートフィルムのヘイズ値が1.0%超2.5%未満であり、前記ハードコート層Aの表面およびハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaがそれぞれ25nm未満であり、かつ前記ハードコート層Bが、平均粒子径が500nm以下である有機粒子を含有することを特徴とする、ハードコートフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ハードコートフィルムに関し、詳しくは基材フィルムの両面にハードコート層を有するハードコートフィルム、該ハードコートフィルムの少なくとも一方の面に透明導電層が積層された透明導電性フィルムおよび該透明導電性フィルムを用いたタッチパネルに関する。
基材フィルムの両面にハードコート層を有するハードコートフィルムは、タッチパネルの電極形成用透明導電性フィルムのベースフィルムとして用いることが知られている(特許文献1〜8)。つまり、これらの特許文献には、ハードコートフィルムの少なくとも一方の面に透明導電層が積層されたタッチパネル用透明導電性フィルムが開示されている。
特開2005−209431号公報 特開2010−188540号公報 特開2011−39978号公報 特開2011−65937号公報 特開2011−68064号公報 特開2011−145593号公報 特開2011−175040号公報 特開2011−201087号公報
タッチパネル用透明導電性フィルムに用いられるハードコートフィルムには、透明性が高いことが要求されている。
一方、ハードコートフィルムには、滑り性や耐ブロッキング性が良好であることが求められている。上記特許文献には、滑り性や耐ブロッキング性を向上させるためにハードコート層に粒子を含有させることが開示されている。
一般に、ハードコート層に粒子を含有させるとハードコート層表面に凹凸が形成されて滑り性や耐ブロッキング性が向上するが、ヘイズ値が高くなって透明性が低下する。
また、逆にハードコートフィルムの透明性が高くなりすぎると、ハードコートフィルムの製造工程や加工工程(ハードコートフィルムに透明導電層を積層する工程や積層された透明導電層を加工する工程等)で発生した傷が視認されやすいという問題がある。
従って、本発明の目的は、透明性が高く、滑り性や耐ブロッキング性が良好で、かつ傷が視認し難いハードコートフィルムを提供することにある。さらに本発明は、上記本発明のハードコートフィルムをベースフィルムとして用いた透明導電性フィルム、および該透明導電性フィルムを構成部材として含むタッチパネルを提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1)基材フィルムの一方の面側にハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面側にハードコート層Bを有するハードコートフィルムであって、該ハードコートフィルムのヘイズ値が1.0%超2.5%未満であり、
前記ハードコート層Aの表面およびハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaがそれぞれ25nm未満であり、
かつ前記ハードコート層Bが、平均粒子径が500nm以下である有機粒子を含有することを特徴とする、ハードコートフィルム。
2)前記基材フィルムのヘイズ値が1.0%以下である、前記1)に記載のハードコートフィルム。
3)前記基材フィルムが、屈折率(nf)が1.63〜1.70であるポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
このポリエチレンテレフタレートフィルムは一方の面に易接着層aを有し、他方の面に易接着層bを有し、
易接着層aの屈折率(npa)および易接着層bの屈折率(npb)が、それぞれ1.54〜1.61であり、
前記ハードコート層Aの屈折率(nhA)および前記ハードコート層Bの屈折率(nhB)が、それぞれ1.48〜1.55であり、
かつ下記の式1〜式6の全てを満足する、前記1)または2)に記載のハードコートフィルム。
npa>nhA ・・・・式1
npb>nhB ・・・・式2
nf−npa<0.1 ・・・・式3
nf−npb<0.1 ・・・・式4
npa−nhA<0.1 ・・・・式5
npb−nhB<0.1 ・・・・式6
4)前記ハードコートフィルムのヘイズ値が1.1%以上2.3%未満である、前記1)〜3)のいずれかに記載のハードコートフィルム。
5)前記ハードコート層Aの表面およびハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaがそれぞれ20nm未満である、前記1)〜4)のいずれかに記載のハードコートフィルム。
6)前記ハードコート層Bにおける前記有機粒子の含有量が、ハードコート層Bの固形分総量100質量%に対して、3質量%以上15質量%以下である、前記1)〜5)のいずれかに記載のハードコートフィルム。
7)前記1)〜6)のいずれかに記載のハードコートフィルムの少なくとも一方の面に透明導電層を有する、透明導電性フィルム。
8)前記7)に記載の透明導電性フィルムを構成部材として含む、タッチパネル。
本発明によれば、透明性が高く、滑り性や耐ブロッキング性が良好で、かつ傷が視認し難いハードコートフィルムを提供することができる。このような特性をもつ本発明のハードコートフィルムは透明導電性フィルムに好ましく用いることができる。特に、本発明のハードコートフィルムはタッチパネル用の透明導電性フィルムに好適である。
本発明の好ましい態様によれば、反射色がニュートラルで無色なハードコートフィルムを提供することができる。このような反射色がニュートラルで無色なハードコートフィルムは、透明導電性フィルムに好適であり、特にタッチパネル用透明導電性フィルムに好適である。
本発明のハードコートフィルムは、基材フィルムの一方の面側にハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面側にハードコート層Bを有するハードコートフィルムであって、このハードコートフィルムのヘイズ値は1.0%超2.5%未満である。
そして、本発明のハードコートフィルムは、基材フィルムの一方の面側に設けられたハードコート層Aの表面の中心線平均粗さRaは25nm未満であり、基材フィルムの他方の面側に設けられたハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaは25nm未満であり、当該ハードコート層Bは平均粒子径500nm以下の有機粒子を含有する。
なお、基材フィルムの一方の面側にハードコート層Aを有するとは、基材フィルムの一方の面に直接もしくは他の層(例えば易接着層)を介してハードコート層Aを有することである。同様に、基材フィルムの他方の面側にハードコート層Bを有するとは、基材フィルムの他方面に直接もしくは他の層(例えば易接着層)を介してハードコート層Bを有することである。
ハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超2.5%未満とすることにより、高い透明性が確保でき、かつ傷が発生してもその傷の視認性が低下するという効果(傷が視認しづらくなるという効果)がある。
ハードコートフィルムのヘイズ値は、傷の視認性の観点から1.1%以上が好ましく、1.2%以上がより好ましく、特に1.3%以上が好ましい。一方、高い透明性を確保するという観点から、ハードコートフィルムのヘイズ値は2.3%未満が好ましく、2.0%未満がより好ましく、特に1.9%未満が好ましい。
本発明において、ハードコート層Aの表面およびハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaはそれぞれ25nm未満である。つまり、ハードコート層Aおよびハードコート層Bは、両者とも表面凹凸の小さい比較的平滑な表面を有するハードコート層である。
ハードコート層の表面を比較的平滑にするということは、ハードコート層に比較的大きな粒子(例えば平均粒子径が1μm以上の粒子)を含有させる必要がないということであり、ハードコート層に比較的大きな粒子を含有させることによって起こる製造工程上の問題、例えば粒子の分散不良、粒子の沈降、あるいは粒子の凝集によって異物欠点が発生する等の問題が起こらないという利点がある。また、ハードコート層の表面を比較的平滑にすることによってギラツキを抑制することができる。
しかし、基材フィルムの両面に設けられるハードコート層Aおよびハードコート層Bの中心線平均粗さRaがそれぞれ25nm未満になると、ハードコートフィルムを重ねたときに、ハードコート層Aとハードコート層Bとが向き合って接触したときの滑り性や耐ブロッキング性が低下する。しかし、この問題は、ハードコート層Bに平均粒子径500nm以下の有機粒子を含有させることにより解消する。
また、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの中心線平均粗さRaがそれぞれ25nm未満の場合はハードコートフィルムのヘイズ値は一般的には1.0%以下となる。しかしながら、本発明ではハードコート層Bの製造条件(乾燥条件)を制御することにより、ハードコートフィルムのヘイズ値が1.0%超2.5%未満を実現することができる。詳細は後述する。
[基材フィルム]
基材フィルムとしてプラスチックフィルムが好ましく用いられる。プラスチックフィルムを構成する樹脂としては特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、熱や溶剤に対する耐性が高く、透明性が高いという観点からポリエステル樹脂が好ましく、特に加工性の観点からポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
基材フィルムの厚みは20〜300μmの範囲が好ましく、30〜250μmの範囲がより好ましく、特に50〜200μmの範囲が好ましい。
本発明の基材フィルムとして好ましく用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムの屈折率(nf)は一般的に1.63〜1.70の範囲であり、好ましくは1.64〜1.68の範囲である。
基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合は、両面側にそれぞれ積層されるハードコート層との密着性を強化するという観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に易接着層を設けることが好ましい。
易接着層は、樹脂と架橋剤とを主成分とすることが好ましい。ここで、易接着層が樹脂と架橋剤を主成分とするとは、樹脂と架橋剤の合計含有量が易接着層の固形分総量100質量%に対して50質量%以上を意味し、好ましくは60〜99質量%の範囲であり、より好ましくは70〜98質量%の範囲である。
易接着層における樹脂の含有量は、易接着層の固形分総量100質量%に対して4質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましい。含有量の上限は97質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が特に好ましい。
易接着層における架橋剤の含有量は、易接着層の固形分総量100質量%に対して0.5〜40質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましく、特に2〜20質量%の範囲が好ましい。
樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましい。
架橋剤としては、例えばメラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらの中でも、ラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤が好ましく、特にメラミン系架橋剤が好ましい。
メラミン系架橋剤としては、例えばイミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、イミノ基型メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂が好ましく用いられる。
易接着層は、さらに易滑性向上のために平均粒子径が50〜500nmの粒子を含有することが好ましい。粒子としては無機粒子が好ましく、さらに無機粒子としてシリカ粒子が好ましく用いられる。粒子の含有量は、易接着層の固形分総量100質量%に対して0.05〜10質量%の範囲が好ましく、0.1〜8質量%の範囲がより好ましく、特に0.5〜5質量%の範囲が好ましい。
易接着層の厚みは、10〜300nmの範囲が好ましく、20〜250nmの範囲がより好ましく、特に30〜200nmの範囲が好ましい。
また、ハードコートフィルムの反射色はニュートラルな無色の色相が好ましい。ここで、先述したように、本発明では、ハードコートフィルムの基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられ、かつ、該ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に易接着層が設けられることが好ましい。つまり、本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面が易接着層aを有し、他方の面が易接着層bを有する構成が、特に好ましい。かかる構成を採用する場合、ハードコートフィルムの反射色をニュートラルな無色にするという観点から、易接着層aの屈折率(npa)および易接着層bの屈折率(npb)は、それぞれ1.54〜1.61の範囲であることが好ましく、1.55〜1.60の範囲がより好ましく、特に1.56〜1.59の範囲が好ましい。
なお、易接着層aの屈折率(npa)および易接着層bの屈折率(npb)をそれぞれ1.54〜1.61の範囲とするには、例えば樹脂として分子中にナフタレン環を含むポリエステル樹脂を用いる方法が挙げられる。ナフタレン環を含むポリエステル樹脂は、例えば、共重合成分として1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの多価カルボン酸を使用することによって合成することができる。
易接着層aおよび易接着層bにおける分子中にナフタレン環を含むポリエステル樹脂の含有量は、全樹脂総量100質量%に対して5〜70質量%の範囲が好ましく、10〜60質量%の範囲がより好ましい。
さらにハードコートフィルムの反射色をニュートラルな無色にするという観点から、下記式1〜式6の全てを満足することが好ましい。
npa>nhA ・・・・式1
npb>nhB ・・・・式2
nf−npa<0.1 ・・・・式3
nf−npb<0.1 ・・・・式4
npa−nhA<0.1 ・・・・式5
npb−nhB<0.1 ・・・・式6。
上記式1〜式6において、nfは基材フィルムの屈折率、npaは易接着層aの屈折率、npbは易接着層bの屈折率、nhAはハードコート層Aの屈折率、nhBはハードコート層Bの屈折率である。
上記式2〜6において、左辺は、いずれも0.09未満であることがより好ましく、特に0.08未満であることが好ましい。
また、後述する本発明のハードコート層Aの屈折率(nhA)およびハードコート層Bの屈折率(nhB)は、いずれも1.48〜1.55の範囲が好ましく、1.50〜1.54の範囲がより好ましく、特に1.51〜1.53の範囲が好ましい。ハードコート層Aの屈折率(nhA)やハードコート層Bの屈折率(nhB)を上記の範囲内にすることによって、ハードコートフィルムの反射色を、よりニュートラルな無色にすることができる。
本発明に用いられる基材フィルムのヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。ヘイズ値の下限は0%である。ここで、基材フィルムのヘイズ値とは、上述の易接着層を設ける前の基材フィルム自体のヘイズ値を意味する。基材フィルムのヘイズ値を上記の範囲内にすることによって、ハードコートフィルムの透明性をさらに高めることができる。
基材フィルムのヘイズ値を1.0%以下にするには、基材フィルムに粒子を含有させないことが好ましい。
[ハードコート層A]
ハードコート層Aは、その表面の中心線平均粗さRaが25nm未満である。ハードコート層Aの表面の中心線平均粗さRaが25nm以上となるとハードコートフィルムの透明性が低下する。
ハードコート層Aの表面の中心線平均粗さRaは、さらに20nm未満が好ましく、15nm未満がより好ましい。中心線平均粗さRaの下限は0.5nm程度である。
ハードコート層Aの鉛筆硬度はH以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。ここで、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して測定されるものである。
ハードコート層Aは、その表面の中心線平均粗さRaが25nm未満にするために、平均粒子径1μm以上の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、ハードコート層Aが平均粒子径1μm以上の粒子を実質的に含有しないとは、ハードコート層Aに平均粒子径1μm以上の粒子を意図的に添加しないことを意味する。
詳しくは後述するが、ハードコート層Bは平均粒子径が500nm以下の有機粒子を含有する。そして、これと同様の有機粒子(平均粒子径が500nm以下の有機粒子)をハードコート層Aに含有させても良い。ハードコート層Aに上記有機粒子を含有させる場合の含有量は、ハードコート層Aの固形分総量100質量%に対して1〜10質量%の範囲が適当である。
ハードコート層Aの厚みは、0.5μm以上8μm以下の範囲が好ましく、0.8μm以上6μm以下の範囲がより好ましく、特に1μm以上5μm以下の範囲が好ましい。ハードコート層Aの厚みが8μmより大きくなると、クラックが発生したり、ハードコートフィルムにカールが発生するなどの不都合が生じる場合がある。また、ハードコート層Aの厚みが0.5μm未満になると、鉛筆硬度が低下し傷が入りやすくなる。
[ハードコート層B]
ハードコート層Bは、その表面の中心線平均粗さRaが25nm未満である。ハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaが25nm以上となるとハードコートフィルムの透明性が低下する。
ハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaは、さらに20nm未満が好ましい。中心線平均粗さRaの下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
ハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaが5nm未満となると、滑り性や耐ブロッキング性が低下することがある。
ハードコート層Bの鉛筆硬度はH以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。ここで、鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して測定されるものである。
ハードコート層Bは、平均粒子径が500nm以下である有機粒子を含有する。ハードコート層Bにおける有機粒子の含有量は、滑り性や耐ブロッキング性を向上させるという観点から、ハードコート層Bの固形分総量100質量%に対して3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、5質量%以上が特に好ましい。有機粒子の含有量の上限は、ハードコート層の固形分総量100質量%に対して15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
ハードコート層Bにおける有機粒子の含有量が15質量%を越えて多くなりすぎると、ハードコート層Bの中心線平均粗さRaを25nm未満に制御することが難しくなったり、ハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超2.5%未満に制御することが難しくなるなどの不都合が生じる場合がある。また、ハードコート層Bにおける有機粒子の含有量が15質量%を越えて多くなりすぎると、ハードコート層Bの鉛筆硬度が低下する場合がある。
有機粒子の平均粒子径は、さらに400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、特に250nm以下が好ましい。有機粒子の下限の平均粒子径は、50nm以上が好ましく、70nm以上がより好ましい。
ハードコート層Bに含有させる有機粒子の平均粒子径が500nmより大きくなると、ハードコート層Bの中心線平均粗さRaが本発明の範囲を超えて大きくなったり、ハードコートフィルムのヘイズ値が本発明の範囲を超えて大きくなるなどの不都合が生じる。また、異物欠点が発生しやすくなる。一方、有機粒子の平均粒子径が50nmより小さくなると良好な滑り性や耐ブロッキング性が得られないことがある。
ハードコート層Bに含有させる有機粒子としては、スチレン系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などの有機粒子が好ましく用いられる。これらの有機粒子は乳化重合法により合成されることが好ましく、乳化重合法で合成されることによって平均粒子径が500nm以下の有機粒子を得ることができる。
有機粒子はハードコート層中で凝集せずに単分散の状態で存在させることが可能であり、本発明においてハードコート層Bに含有する有機粒子は凝集せずに単分散の状態で存在することが好ましい。これによって、ハードコート層の中心線平均粗さRaおよびハードコートフィルムのヘイズ値の上昇が抑制される。
ハードコート層Bは、その表面の中心線平均粗さRaが25nm未満にするために平均粒子径1μm以上の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、ハードコート層Bが平均粒子径1μm以上の粒子を実質的に含有しないとは、ハードコート層Bに平均粒子径1μm以上の粒子を意図的に添加しないことを意味する。
ハードコート層Bの厚みは、0.5μm以上5μm未満の範囲が好ましく、0.8μm以上4μm以下の範囲がより好ましく、特に1μm以上3.5μm以下の範囲が好ましい。
ハードコート層Bの厚みが5μm以上となると、滑り性や耐ブロッキング性を向上させるために、平均粒子径500nm以下の有機粒子を多量に含有させる必要があり、それによって異物欠点等が発生したり鉛筆硬度が低下するなどの不都合が生じることがある。また、ハードコート層Bの厚みが0.5μm未満となる鉛筆硬度が低下し、傷が発生しやすくなる。
[ハードコート層Aおよびハードコート層Bの形成方法]
以下の説明において、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの両方に共通する内容に関する場合は、「ハードコート層AB」と表示する。
ハードコート層ABは、熱硬化性あるいは活性エネルギー線硬化性の樹脂を含むハードコート層AB形成用組成物をウェットコーティング法により塗布後、乾燥した後、硬化させた層であることが好ましい。ハードコート層AB形成用組成物としては、特に活性エネルギー線硬化性樹脂を含む組成物が好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化する樹脂であり、分子中にエチレン性不飽和基を有する重合性化合物(例えばモノマー、オリゴマー)が好ましく用いられる。ここで、エチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
ハードコート層ABの鉛筆硬度を高くするという観点から、ハードコート層AB形成用組成物は分子中にエチレン性不飽和基を3個以上有する化合物を含むことが好ましい。以下の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」なる表現は、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」との2つの化合物を含む。
上記の分子中にエチレン性不飽和基を3個以上有する重合化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレオリゴマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンオリゴマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
ハードコート層AB形成用組成物は、上記の分子中にエチレン性不飽和基を3個以上有する重合化合物をハードコート層AB形成用組成物の固形分総量100質量%に対して30質量%以上含むことが好ましく、40質量%以上含むことがより好ましく、特に50質量%以上含むことが好ましい。上限は98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
ハードコート層AB形成用組成物は、さらに分子中にエチレン性不飽和基を1〜2個有する重合化合物(例えばモノマー、オリゴマー)を含むことができる。上記分子中にエチレン性不飽和基を1〜2個有する重合化合物の含有量は、ハードコート層AB形成用組成物の固形分総量100質量%に対して30質量%以下が好ましい。
上記の分子中にエチレン性不飽和基を1個有する重合化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記の分子中にエチレン性不飽和基を2個有する重合化合物としては、例えばネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキエチルジ(メタ)アクリレート、1−ヒドロキプロピルジ(メタ)アクリレート、1−ヒドロキブチルジ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキブチルジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキペンチルジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ハードコート層AB形成用組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメートなどが挙げられる。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、
チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製のイルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46等、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、ハードコート層AB形成用組成物の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
ハードコート層AB形成用組成物には、さらに、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、レベリング剤等を含有させることができる。
ハードコート層Aを形成するためのハードコート層A形成用組成物は、前述した平均粒子径500nm以下の有機粒子を含有することができる。この有機粒子の含有量は、ハードコート層A形成用組成物の固形分総量100質量%に対して1〜10質量%の範囲が適当である。
ハードコート層Bを形成するためのハードコート層B形成用組成物は、前述した平均粒子径500nm以下の有機粒子を含有する。この有機粒子の含有量は、ハードコート層B形成用組成物の固形分総量100質量%に対して3質量%以上15質量%以下が好ましく、4質量%以上12質量%以下がより好ましく、5質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
ハードコート層AB形成用組成物は、平均粒子径1μm以上の粒子は実質的に含有しないことが好ましい。ここで、ハードコート層AB形成用組成物が平均粒子径1μm以上の粒子は実質的に含有しないとは、ハードコート層AB形成用組成物に平均粒子径1μm以上の粒子を意図的に添加しないことを意味する。
ハードコート層AB形成用組成物は有機溶媒を含有することが好ましく、ハードコート層AB形成用組成物の固形分濃度が5〜60質量%となるように(好ましくは固形分濃度が10〜50質量%となるように)、有機溶媒を含有させることが好ましい。ここで、固形分の中には、前述したモノマーやオリゴマーの中の常温で液体のものが含まれる。
ハードコート層AB形成用組成物をウェットコーティングするときに用いられる塗布方法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。
基材フィルム上にハードコート層AB形成用組成物が塗布された後、乾燥され、活性エネルギー線(紫外線や電子線等)が照射され硬化されてハードコート層ABが形成される。
基材フィルムの一方の面にハードコート層Aを形成する工程と、基材フィルムの他方の面にハードコート層Bを形成する工程は、1つの生産ラインで連続的に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
ハードコートフィルムの生産は、通常、ロール・ツー・ロール方式で行われる。ロール・ツー・ロール方式は、ロール状の基材フィルムを連続的に巻き出し、搬送して、ハードコート層AB形成用組成物を塗布、乾燥、活性エネルギー線を照射して硬化した後、ロール状に巻き取る方式である。
ハードコート層Aおよびハードコート層Bの積層を別々の工程で行い、それぞれロール・ツー・ロール方式で行う場合は、先ず、ロール状の基材フィルムを連続的に巻き出し、搬送して、基材フィルムの一方の面にハードコート層A形成用組成物を塗布、乾燥、活性エネルギー線を照射して硬化した後、ロール状に巻き取り、次に、このロール(片面にハードコート層Aが形成されたロール)を連続的に巻き出し、搬送して、基材フィルムの他方の面にハードコート層B形成用組成物を塗布、乾燥、活性エネルギー線を照射して硬化した後、ロール状に巻き取る。
上記において、ハードコート層Aとハードコート層Bの積層順は、ハードコート層Aを先に積層してもよいし、ハードコート層Bを先に積層してもよい。
後述するように、本発明はハードコート層Bの製造条件を制御してハードコートフィルムのヘイズ値を制御することが好ましいが、この場合、ハードコート層Aを先に積層し、その後にハードコート層Bを積層することが好ましい。これによって、ハードコートフィルムのヘイズ値の制御が行い易くなる。
上記したようなロール・ツー・ロール方式の生産工程において、ハードコートフィルムの滑り性や耐ブロッキング性が不十分であると、ロール状に巻き取るときに巻ずれが発生したり、巻き取りロールがブロッキングを起こすことがある。このような巻ずれやブロッキングの問題は本発明のハードコートフィルムでは発生しない。
また、上記の巻ずれやブロッキングの発生をさらに防止するという観点から、前述したように基材フィルムの両面に粒子を含有する易接着層を予め設けておくことが好ましい。
前述したように、ハードコート層Aおよびハードコート層Bの中心線平均粗さRaが25nm未満である場合はハードコートフィルムのヘイズ値は一般的には1.0%以下となるが、本発明ではハードコート層Bの製造条件(乾燥条件)を制御することにより、ハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超2.5%未満とせしめることができる。つまり、乾燥温度を高めにすることによりハードコート層Bのヘイズ値を上昇させることができる。
つまり、平均粒子径500nm以下の有機粒子、活性エネルギー線硬化性樹脂および有機溶媒を含有するハードコート層B形成用組成物を基材フィルム上に塗布後、乾燥温度を制御することによってハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超2.5%未満の範囲に調整することができる。
乾燥温度は、設計ヘイズ値(目標ヘイズ値)、乾燥時間、有機溶媒組成等によって適宜設定されるが、具体的には90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。上限は180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましく、特に150℃以下が好ましい。
ここで、上記乾燥温度はハードコート層B形成用組成物を塗布した後の乾燥工程における最高温度を意味する。つまり、乾燥工程における最高温度が90℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。上限は上記の通りである。
乾燥工程において、乾燥温度90℃以上による乾燥時間は、30秒以上が好ましく、45秒以上がより好ましく、特に60秒以上が好ましい。上限は300秒程度である。
乾燥工程は、上記の90℃以上による乾燥工程(主乾燥工程)の前に、乾燥温度90℃未満で乾燥する初期乾燥工程を設けることが好ましい。これによって塗布されて形成された塗膜のレベリング性が向上し、塗膜の均一性が向上する。初期乾燥工程は、乾燥温度35〜80℃の範囲が好ましく、40〜70℃の範囲がより好ましい。初期乾燥工程の乾燥時間は、10秒以上が好ましく、20秒以上がより好ましく、特に30秒以上が好ましい。上限は100秒以下が好ましく、80秒以下がより好ましい。
上記乾燥条件の制御に加えて、ハードコート層B形成用組成物に含有させる有機溶媒組成を調整することにより、さらに容易に、ハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超(かつ2.5%未満)に制御することができる(以下、かかるヘイズ値の制御を「ヘイズ値の上昇制御」と称する)。つまり、ハードコート層B形成用組成物に含有させる全有機溶媒にうち、沸点100℃未満の低沸点有機溶媒(好ましくは沸点90℃以下の低沸点有機溶媒)の比率を大きくすることによって、ハードコートフィルムのヘイズ値の上昇制御が行いやすくなる。
具体的には、沸点100℃未満の低沸点有機溶媒の含有量は、全有機溶媒100質量%に対して30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は100質量%である。
塗布性(均一な塗布面を得ること)の観点から、上記低沸点有機溶媒と沸点100℃以上の高沸点有機溶媒を組み合わせて含有させることが好ましい。この場合の低沸点有機溶媒と高沸点有機溶媒の含有比率(質量比)は95:5〜30:70の範囲が好ましく、90:10〜40:60の範囲がより好ましく、80:20〜50:50の範囲が特に好ましい。
沸点が100℃未満の低沸点有機溶媒としては、沸点が50℃以上100℃未満のものが好ましく、沸点が50℃以上90℃未満のものがより好ましい。かかる低沸点有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類、メチルエーテル、エチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、蟻酸イソブチル、蟻酸メチル、蟻酸プロピル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、塩化エチリデン、塩化ブチル、塩化メチレン等の含塩素炭化水素類、ベンゼン、シクロヘキサン等の炭化水素類が挙げられる。
沸点が100℃以上の高沸点有機溶媒としては、沸点が100℃以上180以下のものが好ましく、沸点が105℃以上160℃未満のものがより好ましい。かかる高沸点有機溶媒としては、例えば、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール等のエーテル類、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエステル類、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ−ル、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、トルエン、m−キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
ハードコート層B形成用組成物は上記有機溶媒を用いて固形分濃度を5〜60質量%の範囲に調整することが好ましく、10〜50質量%の範囲に調整することがより好ましく、特に20〜40質量%の範囲に調整することが好ましい。
上記した乾燥条件を制御する方法を用いることによって、ハードコート層表面に本発明で規定される中心線平均粗さRaの測定(触針式表面粗さ測定)では検出できないような極微細な凹凸が形成され、その結果として、ヘイズ値が上昇すると推測される。なお、この極微細な凹凸はハードコートフィルムの滑り性や耐ブロッキング性には寄与しないと推測される。
一方、ハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超とするためには、ハードコート層の層内部の光散乱を大きくしてヘイズ値を上昇させる方法がある。例えば、ハードコート層の樹脂成分に対して屈折率差の大きい無機粒子を含有させて層内部の光散乱を大きくする方法がある。しかしながら、無機粒子は一般に凝集しやすく、ハードコート層内に無機粒子の凝集体が多く存在すると、ハードコート層の中心線平均粗さRaを25nm未満に安定的に制御すること、およびハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超2.5%未満の範囲に安定的に制御することが難しくなるという問題がある。従って、本発明では、ハードコート層の層内部の光散乱を大きくするために無機粒子を含有させる方法は好ましくない。
上記は、ハードコートフィルムのヘイズ値の上昇制御方法として、ハードコート層Bの観点から述べたものであるが、このヘイズ値上昇制御方法はハードコート層Aにも適用することができる。つまり、ハードコート層A形成用組成物に、平均粒子径500nm以下の有機粒子、活性エネルギー線硬化性樹脂および有機溶媒を含有させ、この組成物を基材フィルム上に塗布後、乾燥温度を制御することによってハードコートフィルムのヘイズ値を1.0%超2.5%未満の範囲に調整してもよい。
上記のヘイズ値上昇制御方法は、ハードコート層Aとハードコート層Bの両方に適用してもよいし、どちらか一方に適用してもよいが、本発明では少なくともハードコート層Bに適用することが好ましく、特にハードコート層Bのみに適用することがより好ましい。
ハードコート層Aは比較的平滑でクリアーであることが好ましく、上記のヘイズ値上昇制御方法は適用しないことが好ましい。本発明のハードコートフィルムを透明導電性フィルムのベースフィルムとして用いる場合、透明導電層を積層する面のハードコート層は比較的平滑でクリアーであることが好ましい。また、透明導電層の積層工程や加工工程でのハードコートフィルムの滑り性や耐ブロッキング性を確保するために、ハードコート層Aの面に透明導電層を積層し、ハードコート層Bの面には透明導電層は積層せず露出させておくことが好ましい。
[透明導電性フィルム]
本発明のハードコートフィルムは、透明導電性フィルムのベースフィルムとして好適である。つまり、本発明のハードコートフィルムをベースフィルムとして用いた透明導電性フィルムは、本発明のハードコートフィルムのハードコート層Aおよびハードコート層Bの少なくとも一方の面に透明導電層が積層されたものである。
透明導電層は、本発明のハードコートフィルムのどちらか一方の面のみに積層されていてもよいし、両方の面に積層されていてもよいが、ハードコート層Aの面のみに積層されることが好ましい。
透明導電性層を形成する材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)、ATO(酸化アンチモン錫)等の金属酸化物、金属ナノワイヤー(例えば銀ナノワイヤー)、カーボンナオチューブが挙げられる。これらの中でも、ITOが好ましく用いられる。
透明導電層の厚みは、表面抵抗値を10Ω/□以下の良好な導電性を確保するという観点から、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、特に20nm以上であることが好ましい。一方、透明導電層の厚みが大きくなりすぎると、色味(着色)が強くなったり、透明性が低下するという不都合が生じることがあるので、透明導電層の厚みの上限は、60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、特に40nm以下が好ましい。
透明導電層の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライ製膜法(気相製膜法)、あるいはウェットコーティング法が挙げられる。
上記のようにして製膜された透明導電層はパターン化されていてもよい。パターン化は、透明導電性フィルムが適用される用途に応じて、各種のパターンを形成することができる。なお、透明導電層のパターン化により、パターン部と非パターン部が形成されるが、パターン部の形状としては、例えば、ストライプ状、格子状等が挙げられる。
透明導電層のパターン化は、一般的にはエッチングによって行われる。例えば、透明導電層上にパターン状のエッチングレジスト膜を、フォトリソグラフィ法、レーザー露光法、あるいは印刷法により形成した後エッチング処理することにより、透明導電層がパターン化される。
エッチング液としては、従来公知のものが用いられる。例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、およびこれらの混合物、ならびにそれらの水溶液が用いられる。
[タッチパネル]
本発明のハードコートフィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、タッチパネルの構成部材の1つとして好ましく用いられる。
抵抗膜式タッチパネルは、通常、上部電極と下部電極がスペーサーを介して配置された構成となっているが、本発明のハードコートフィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、上部電極および下部電極のどちらか一方あるいは両方に用いることができる。
また、静電容量式タッチパネルは、通常、パターン化されたX電極とY電極で構成されるが、本発明のハードコートフィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、X電極およびY電極のどちらか一方あるいは両方に用いることができる。
タッチパネルに使用される透明導電性フィルムは、透明性および加工性(滑り性や耐ブロッキング性)が良好なこと、加工時に発生する傷が視認されにくいことが要求されるが、本発明のハードコートフィルムをベースフィルとする透明導電性フィルムは、上記特性を十分に満足させることができる。
透明導電性フィルムは、一般的に前述したロール・ツー・ロール方式で連続的に生産されるが、本発明のハードコートフィルムを用いることによって透明導電性フィルムの生産工程における巻ずれや巻き取りロールのブロッキング等の問題が解消される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例における測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)ハードコートフィルムおよび基材フィルムのヘイズ値の測定
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。測定に際し、ハードコートフィルムのハードコート層Bの表面に光が入射するように配置する。
また、基材フィルムのヘイズ値もJIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。
(2)ハードコート層ABの中心線平均粗さRaの測定
JIS B0601(1982)に基づき、触針式表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。
<測定条件>
送り速さ;0.5mm/S
評価長さ;8mm
カットオフ値λc;0.08mm
(3)屈折率の測定その1(ハードコート層A、ハードコート層B、易接着層aおよび易接着層bの屈折率)
ハードコート層A、ハードコート層B、易接着層aおよび易接着層bの屈折率は、それぞれの層形成用組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターにて塗工形成した塗膜(乾燥厚み約2μm)について、25℃の温度条件下で位相差測定装置(ニコン(株)製:NPDM−1000)で633nmの屈折率を測定した。
(4)屈折率の測定その2(基材フィルムの屈折率)
基材フィルム(PETフィルム)の屈折率は、JIS K7105(1981)に準じてアッベ屈折率計で測定した。
(5)鉛筆硬度
ハードコートフィルムのハードコート層Aの表面とハードコート層Bの表面について、それぞれJIS K5600−5−4(1999年)に準拠して測定した。荷重は750g、速度は30mm/minである。測定装置は、新東科学(株)製の表面性硬度計(HEIDON;タイプ14DR)を用いた。測定時の環境は、23℃±2℃、相対湿度55%±5%である。
(6)ハードコート層Bに含有する有機粒子の平均粒子径の測定
ハードコート層Bの断面を電子顕微鏡(約2万〜5万倍)で観察し、その断面写真から、無作為に選択した30個の有機粒子のそれぞれの最大長さを計測し、それらを平均した値を有機粒子の平均粒子径とした。
(7)易接着層に含有する粒子の平均粒子径の測定
基材フィルムに積層された易接着層の表面を、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて倍率一万倍で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(たとえばケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えてデータを取り込み、合計粒子数5000個以上となったところで次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径dを平均粒径(直径)とした。
・d=Σdi /N
ここでdi は粒子の等価円直径(粒子の断面積と同じ面積を持つ円の直径)、Nは個数である。
(8)ハードコートフィルムの透明性の評価
黒紙の上にハードコートフィルムのハードコート層B面を上にして置き、暗室三波長蛍光灯下にて白っぽく見えるかどうかを目視観察し、以下の基準で評価した。
○:白っぽく見えない。
△:僅かに白っぽく見えるが、実用上問題ない。
×:白っぽく見え、実用上問題となる可能性がある。
(9)滑り性
ハードコートフィルムを切断して2枚のシート片(20cm×15cm)を作製する。この2枚のシート片のハードコート層Aとハードコート層Bとが向き合うように2枚のシート片を僅かにずらして重ね合わせて平滑な台上の置き、下方のシート片を指で台上に固定し、上方のシート片を手で滑らせる方法で滑り性の良否判定を行った。測定環境は23℃、55%RHである。
○:上方のシート片の滑り性が良好である。
△:上方のシート片の滑り性は劣るが比較的良好である。
×:上方のシート片が滑らない。
(10)耐ブロッキング性
ハードコートフィルムを切断して2枚のシート片(20cm×15cm)を作製する。この2枚のシート片面のハードコート層Aとハードコート層Bとが向き合うようにして重ね合わせる。次に、2枚のシート片を重ね合わせた試料をガラス板で挟み込み、約3kgの重りを載せて、50℃、90%(RH)の雰囲気下に48時間放置する。次に、重ね合わせ面を目視により観察しニュートンリングの発生状況を確認した後、両者を剥離し、以下の基準で評価した。
○:剥離前はニュートンリングが発生しておらず、剥離時には剥離音を立てずに軽く剥離される。
△:剥離前は一部ニュートンリングが発生しており、剥離時には小さな剥離音を立てながら剥離される。
×:剥離前は全面にニュートンリングが発生しており、剥離時には大きな剥離音を立てて剥離される。
(11)傷の視認性
ハードコートフィルムのハードコート層Bの表面に以下の方法で傷を付ける。各サンプルのハードコート層Bの鉛筆硬度はいずれもHであるので、傷の発生程度は同一である。
新東科学(株)製の表面性硬度計(HEIDON;タイプ14DR)の測定部に、スチールウールホルダー取り付け(スチールウールは#0000を使用)、荷重は2kg、速度は10cm/秒で10往復させて、ハードコートフィルムのハードコート層B面に傷を付けた。
ハードコート層Bの表面に付けられた傷の視認性を暗室三波長蛍光灯下にて目視にて観察し、比較例1をブランクとして以下の基準で評価した。
○:ブランクに比べて傷が明らかに見えにくい。
△:ブランクに比べて傷がやや見えにくい。
×:ブランクと傷の見え方が同等である。
(12)ハードコートフィルムの反射色の目視評価
ハードコートフィルムのハードコート層Bの面に黒粘着テープ(日東電工製“ビニルテープNo.21 トクハバ 黒”)を貼り付け、ハードコート層A面の反射色を暗室三波長蛍光灯下にて目視にて観察し、以下の基準で行った。
同様に、ハードコートフィルムのハードコート層Aの面に黒粘着テープ(日東電工製“ビニルテープNo.21 トクハバ 黒”)を貼り付け、ハードコート層B面の反射色を暗室三波長蛍光灯下にて目視にて観察し、以下の基準で行った。
○:反射色がニュートラルでほぼ無色である。
×:反射色が着色を呈している。
[実施例1]
下記の要領でハードコートフィルムを作製した。
<基材フィルム>
厚みが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、それぞれ下記の易接着層形成用組成物1を乾燥厚みが90nmとなるように積層して、両面に易接着層を有するPETフィルム(積層PETフィルム)を作製した。易接着層を積層する前のPETフィルムのヘイズ値は0.2%、屈折率(nf)は1.65であった。易接着層の屈折率は共に1.59(npa=1.59、npb=1.59)であった。
<易接着層形成用組成物1>
固形分質量比で、ポリエステル樹脂aを26質量%、ポリエステル樹脂bを54質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して易接着層形成用組成物1(水分散塗布液)を調製した。
・ポリエステル樹脂a;2,6−ナフタレンジカルボン酸43モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・ポリエステル樹脂b;テレフタル酸38モル%、トリメリット酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・メラミン系架橋剤;メチロール基型メラミン架橋剤
・粒子;平均粒子径190nmのコロイダルシリカ。
<ハードコートフィルムの作製>
上記積層PETフィルムの一方の面に下記のハードコート層A形成用組成物をグラビアコーターで塗工し、初期乾燥工程(50℃−60秒)および主乾燥工程(80℃−120秒)で熱風乾燥した後、紫外線(積算光量400mJ/cm)を照射して厚みが4μmのハードコート層Aを形成した。このハードコート層Aの屈折率(nHA)は1.52であった。
次に、積層PETフィルムのハードコート層Aが積層された面とは反対面に、下記のハードコート層B形成用組成物をグラビアコーターで塗工し、初期乾燥工程(50℃−45秒)および主乾燥工程(100℃−90秒)で熱風乾燥した後、紫外線(積算光量400mJ/cm)を照射して厚みが2μmのハードコート層Bを形成してハードコートフィルムを得た。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.52であった。
<ハードコート層A形成用組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを50質量部とウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)製の「アートレジンUN901T」を50質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶媒(メチルエチルケトン:シクロヘキサノン=1:1(質量比)の混合溶媒)に溶解した組成物(固形分濃度30質量%)である。尚、メチルエチルケトン(MEK)の沸点は79.5℃、シクロヘキサノン(アノン)の沸点は155.7℃である。
<ハードコート層B形成用組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを92質量部、有機粒子としてスチレン−アクリル系共重合樹脂粒子(ガンツ化成(株)製の商品名「スタフィロイド EA−1135」;平均粒子径130nm)を固形分換算で8質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶媒(酢酸エチル:トルエン=1:1(質量比)の混合溶媒)に溶解あるいは分散した組成物(固形分濃度30質量%)である。尚、酢酸エチル(酢エチ)の沸点は77.1℃、トルエンの沸点は110.6℃である。
[実施例2]
実施例1において、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を110℃に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[比較例1]
実施例1において、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を90℃に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[比較例2]
実施例1において、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[実施例3]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機溶媒を、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンの5:4:1(質量比)混合溶媒に変更し、さらに主乾燥工程の乾燥温度を90℃に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。尚、酢酸エチル(酢エチ)の沸点は77.1℃、メチルエチルケトン(MEK)の沸点は79.5℃、シクロヘキサノン(アノン)の沸点は155.7℃である。
[実施例4]
実施例3において、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を100℃に変更した以外は実施例3と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[実施例5]
実施例3において、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を110℃に変更した以外は実施例3と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[比較例3]
実施例3において、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は実施例3と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[実施例6]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機粒子の含有量を12質量部に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.52であった。
[比較例4]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機粒子の含有量を17質量部に変更し、さらに主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.52であった。
[比較例5]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機粒子の含有量を20質量部に変更し、さらに主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.52であった。
[比較例6]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機粒子を信越化学(株)製の有機粒子「KMP590;平均粒子径1500nm」に変更し、かつ含有量を5質量部に変更し、さらに主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.52であった。
[比較例7]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機粒子の含有量を0質量部に変更し、さらに主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.52であった。
[比較例8]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機粒子をシリカ系超微粒子(日産化学(株)製の「オルガノシリカゾル」;平均粒子径100nm)に変更し、さらに主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.51であった。
[比較例9]
実施例1のハードコート層Bにおいて、有機粒子をコロイダルシリカ(日産化学(株)製の「IPA−ST−L」;平均粒子径45nm)に変更し、さらに主乾燥工程の乾燥温度を80℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。ハードコート層Bの屈折率(nHB)は1.51であった。
[比較例10]
比較例9において、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を100℃に変更した以外は、比較例9と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
[比較例11]
両面に易接着層を有する基材フィルムとして、以下の積層PETフィルムを用いる以外は、比較例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
<基材フィルム>
厚みが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、それぞれ下記の易接着層形成用組成物2を乾燥厚みが90nmとなるように積層して、両面に易接着層を有するPETフィルム(積層PETフィルム)を用意した。易接着層を積層する前のPETフィルムのヘイズ値は0.2%、屈折率(nf)は1.65であった。易接着層の屈折率は共に1.52(npa=1.52、npb=1.52)であった。
<易接着層形成用組成物2>
固形分質量比で、アクリル樹脂を75質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して易接着層形成用組成物2(水分散塗布液)を調製した。
・アクリル系樹脂;メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸/N−メチロールアクリルアミドを63/35/1/1(質量比)で共重合させた水系アクリル樹脂
・メラミン系架橋剤;メチロール基型メラミン架橋剤
・粒子;平均粒子径190nmのコロイダルシリカ。
<評価>
実施例および比較例で作製したハードコートフィルムについて、ヘイズ値、中心線平均粗さRa、鉛筆硬度、透明性、滑り性、耐ブロッキング性、傷の視認性、および反射色を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2014026071
表1の結果から、本発明の実施例はいずれも透明性、滑り性、耐ブロッキング性、傷の視認性、および反射色が良好であることが分かる。
一方、比較例1、2および3は、ハードコートフィルムのヘイズ値が1.0%以下であり、傷の視認性が劣っている(傷が見えやすい)。
比較例4は、ハードコートフィルムのヘイズ値は2.5%未満であるが、ハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaが25nm以上であり、透明性が劣っている。
比較例5は、ハードコート層Bにおける有機粒子の含有量が多く、ハードコートフィルムのヘイズ値が2.5%以上で、ハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaが25nm以上となっており、透明性が劣っている。
比較例6は、ハードコート層Bが平均粒子径500nm超の有機粒子を含有しているため、ハードコートフィルムのヘイズ値が2.5%以上で、ハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaが25nm以上となっており、透明性が劣っている。
比較例7は、ハードコート層Bが有機粒子を含有していないので、滑り性、耐ブロッキング性、および傷の視認性が劣っている。
比較例8は、ハードコート層Bが無機粒子(平均粒子径100nmのシリカ粒子)を含有しているが、ハードコートフィルムのヘイズ値およびハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaが大きくなり、透明性が低下している。また、滑り性と耐ブロッキング性も本発明の実施例に比べて劣っている。
比較例9、10は、ハードコート層Bが無機粒子(平均粒子径45nmのコロイダルシリカ)を含有しているが、ハードコートフィルムのヘイズ値が1.0%以下であり、傷の視認性が劣っており、さらに滑り性と耐ブロッキングも劣っている。
尚、比較例9、10では、ハードコート層Bの主乾燥工程の乾燥温度を変化させた(比較例8は80℃、比較例10は100℃)が、両者のヘイズ値に差はなかった。
比較例11は、PETフィルム(基材フィルム)の屈折率(nf=1.65)と易接着層a,bの屈折率(npa=1.52、npb=1.52)との屈折率差(nf−npa=0.13、nf−npb=0.13)が大きいためにハードコートフィルムの反射色が着色を呈している。

Claims (8)

  1. 基材フィルムの一方の面側にハードコート層Aを有し、基材フィルムの他方の面側にハードコート層Bを有するハードコートフィルムであって、該ハードコートフィルムのヘイズ値が1.0%超2.5%未満であり、
    前記ハードコート層Aの表面およびハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaがそれぞれ25nm未満であり、
    かつ前記ハードコート層Bが、平均粒子径が500nm以下である有機粒子を含有することを特徴とする、ハードコートフィルム。
  2. 前記基材フィルムのヘイズ値が1.0%以下である、請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記基材フィルムが、屈折率(nf)が1.63〜1.70であるポリエチレンテレフタレートフィルムであり、
    このポリエチレンテレフタレートフィルムは一方の面に易接着層aを有し、他方の面に易接着層bを有し、
    易接着層aの屈折率(npa)および易接着層bの屈折率(npb)が、それぞれ1.54〜1.61であり、
    前記ハードコート層Aの屈折率(nhA)および前記ハードコート層Bの屈折率(nhB)が、それぞれ1.48〜1.55であり、
    かつ下記式1〜式6の全てを満足する、請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
    npa>nhA ・・・・式1
    npb>nhB ・・・・式2
    nf−npa<0.1 ・・・・式3
    nf−npb<0.1 ・・・・式4
    npa−nhA<0.1 ・・・・式5
    npb−nhB<0.1 ・・・・式6
  4. 前記ハードコートフィルムのヘイズ値が1.1%以上2.3%未満である、請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  5. 前記ハードコート層Aの表面およびハードコート層Bの表面の中心線平均粗さRaがそれぞれ20nm未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  6. 前記ハードコート層Bにおける前記有機粒子の含有量が、ハードコート層Bの固形分総量100質量%に対して、3質量%以上15質量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のハードコートフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のハードコートフィルムの少なくとも一方の面に透明導電層を有する、透明導電性フィルム。
  8. 請求項7に記載の透明導電性フィルムを構成部材として含む、タッチパネル。
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