JP5911317B2 - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オリゴマー析出防止性および耐ブロッキング性の良好な積層フィルムに関し、詳細には透明導電性フィルムあるいはタッチパネルの電極基板に好適な積層フィルムに関する。
基材フィルムに各種機能層を積層した積層フィルムは、様々な用途に用いられている。例えば、基材フィルムに反射防止層、ハードコート層、防眩層、防汚層、保護層、透明導電層、帯電防止層等の機能層を1層あるいは複数積層した積層フィルムは、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、保護フィルム、ディスプレイ用フィルター、透明導電性フィルム、電磁波シールドフィルム、帯電防止フィルム等として用いられている。
上記したように積層フィルムの用途が広範囲に広がるに伴って積層フィルムの製造条件や使用条件も多様化し、製造過程で加熱処理されることも多くなっている。特に、ITO膜のような透明導電膜が積層された透明導電性フィルムの製造工程、および透明導電性フィルムをタッチパネルの電極基板に加工する工程では、比較的高温で加熱処理が施される。
基材フィルムとしてプラスチックフィルムが一般的に用いられているが、積層フィルムの製造過程で加熱処理された場合、プラスチックフィルム表面に非架橋成分であるオリゴマー(環状三量体)が析出するという問題が発生する。プラスチックフィルム表面にオリゴマーが析出すると、析出したオリゴマーが生産ラインに付着して汚染したり、積層フィルムの透明性が低下するなどの不都合を招く。
上述のオリゴマー析出防止方法として、基材フィルムにハードコート層や各種被覆層(オリゴマー析出防止層)を設けることが知られている(特許文献1〜5)。
特開平7−13695号公報 特開2007−327065号公報 特開2010−182562号公報 特開2010−253934号公報 特開2011−39978号公報
上述の特許文献に記載されているように、基材フィルムにハードコート層や被覆層を設けると、滑り性や耐ブロッキング性が低下して、積層フィルムの生産工程において搬送性、巻き取り性、剥離性が悪化することがある。
上記特許文献4、5には、耐ブロッキング性を付与するためにハードコート層や被覆層に粒子を含有させることが記載されているが、耐ブロッキング性が十分に発現しなかったり、透明性や外観が低下するなどの問題がある。
また、特許文献5にも記載されているように、ハードコート層の厚みは通常0.5μm以上であり、このような比較的大きい厚みのハードコート層はクラックが発生しやすいという問題、基材フィルムの厚みが比較的小さい場合にはハードコート層の重合収縮によりカールが発生するという問題、コストが大きくなるという問題がある。
また、従来のオリゴマー析出防止のための被覆層はその厚みが小さい場合は十分にオリゴマーの析出を防止できないことがあり、逆に被覆層の厚みを大きくすると耐ブロッキング性が低下する。
従って、本発明の目的は、上記従来技術の課題に鑑み、比較的厚みが小さい被覆層で良好なオリゴマー析出防止と耐ブロッキング性を同時に実現することができる積層フィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、タッチパネルの電極基板に好適な積層フィルムを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
1) 基材フィルム(A)と、この基材フィルム(A)の少なくとも一方の面に基材フィルム(A)側から順に、厚みが5〜300nmの樹脂層(B)と、厚みが30nm以上500nm未満の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを有し、前記樹脂層(B)がこの樹脂層(B)の厚みより大きい平均粒子径を有する粒子を含有する、積層フィルム。
2) 前記樹脂層(B)に含有する粒子の平均粒子径(r)と、前記樹脂層(B)の厚み(d)との関係が、下記式1を満足する、前記1)の積層フィルム。
1.3≦(r/d)≦20 ・・・ 式1
3) 前記樹脂層(B)がさらに架橋剤を含有する熱硬化層である、前記1)または2)の積層フィルム。
4) 前記樹脂層(B)が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する、前記1)〜3)のいずれかの積層フィルム。
5) 前記樹脂層(B)が、ガラス転移点が150℃未満の樹脂を含有する、前記1)〜4)のいずれかの積層フィルム。
6) 前記樹脂層(B)の屈折率が1.55〜1.65の範囲である、前記1)〜5)のいずれかの積層フィルム。
7) 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが30nm以上200nm未満である、前記1)〜6)のいずれかの積層フィルム。
8) 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)が、分子中に重合性官能基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(c)に活性エネルギー線を照射することにより架橋・硬化された層である、前記1)〜7)のいずれかの積層フィルム。
9) 前記活性エネルギー線硬化性組成物(c)における分子中に重合性官能基を有する化合物の含有量が、前記活性エネルギー線硬化性組成物(c)の固形分総量100質量%に対して40質量%以上である、前記8)の積層フィルム。
10) 基材フィルム(A)の一方の面に、前記樹脂層(B)と前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを前記基材フィルム(A)側からこの順に有し、基材フィルム(A)の他方の面に、厚みが30nm以上3μm未満の活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)と透明導電膜(E)とを前記基材フィルム(A)側からこの順に有する、前記1)〜9)のいずれかの積層フィルム。
11) 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が、屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層、屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層、またはこの高屈折率層とこの低屈折率層とが前記基材フィルム(A)側からこの順に積層された積層構成である、前記10)の積層フィルム。
12) 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が、前記屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層と屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層の積層構成であり、この高屈折率層とこの低屈折率層との合計の光学厚みが(1/4)λを満足する、前記11)の積層フィルム。
但し、λは380〜780nmである。
13) 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が、前記屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層であり、この高屈折率層と前記透明導電膜(E)との間にSiO膜を有する、前記11)の積層フィルム。
14) 前記1)〜13)のいずれかの積層フィルムがタッチパネルの電極基板として用いられた、タッチパネル。
本発明によれば、比較的厚みが小さい被覆層で良好なオリゴマー析出防止と耐ブロッキング性とを同時に実現する積層フィルムを提供することができる。本発明の積層フィルムは、透明導電性フィルムやタッチパネルの電極基板に好適である。本発明の好ましい態様によれば、積層フィルムの反射色をニュートラルな無色とすることができる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、透明導電性フィルムや電極基板に適用したときの透明導電膜のパターンが視認される「骨見え現象」を抑制することができる。
本発明の積層フィルムは、基材フィルム(A)と、この基材フィルム(A)の少なくとも一方の面に基材フィルム(A)側から順に樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを有する。そして、樹脂層(B)は厚みが5〜300nmでかつ平均粒子径が樹脂層(B)の厚みより大きい粒子を含有すること、および活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)は厚みが30nm以上500nm未満であることを特徴とする。
なお、以降の説明において、樹脂層(B)に含まれる種々の成分の含有量を規定しているが、これら含有量の値は、樹脂層(B)が基材フィルム(A)の両面に積層されている場合であっても、2つの樹脂層(B)に含まれている成分量を合算して求めた含有量ではなく、個々の樹脂層(B)ごとに求めた含有量の値である。樹脂層(C)についても同様である。
厚みが30nm以上500nm未満の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を設けることによって基材フィルムのオリゴマー析出を防止することができる。また、樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との組み合わせにより、良好な耐ブロッキング性が得られる。
つまり、樹脂層(B)が樹脂層(B)の厚みより大きい平均粒子径を有する粒子を含有し、樹脂層(B)上に厚みが30nm以上500nm未満の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を設けることによって耐ブロッキング性が向上する。
上記の耐ブロッキングの良化については、樹脂層(B)に含有する粒子により樹脂層(B)には粒子に由来する凸構造が形成され、樹脂層(B)上に積層される活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)は薄膜(30nm以上500nm未満)であるために、樹脂層(B)の凸構造が活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)に反映されて活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)に適度な凸構造が形成され、その結果、積層フィルムに耐ブロッキング性が発現すると考えられる。
樹脂層(B)は、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との間に介在し、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との密着性を向上させるという機能も有しており、そのために樹脂層(B)は樹脂を含有することが重要である。
樹脂層(B)に含有する粒子は、平均粒子径が樹脂層(B)の厚みより大きいことが重要である。粒子の平均粒子径が樹脂層(B)の厚みと同等以下の場合は、耐ブロッキング性が十分に得られない。
樹脂層(B)の厚みは、5〜300nmであることが重要である。樹脂層(B)の厚みが5nm未満の場合は、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との密着性が低下する。また、樹脂層(B)の厚みが300nmより大きくなると良好な耐ブロッキング性が得られない。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みは、30nm以上500nm未満であることが重要である。活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが30nm未満の場合は、オリゴマーの析出が十分に防止できない。また、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが500nm以上になると良好な耐ブロッキング性が得られない。
以下、本発明の積層フィルムを構成する各構成要素について詳細に説明する。
[基材フィルム]
本発明の基材フィルムは、プラスチックフィルムが好ましく用いられる。基材フィルムを構成する材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、脂環式アクリル樹脂、シクロオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース、およびこれら樹脂を混合および/または共重合したものが挙げられる。これらの樹脂を未延伸、一軸延伸、二軸延伸してフィルムとしたものを基材フィルムとして適用することができる。
本発明の積層フィルムは各種用途に適用するという観点から、基材フィルムとしては、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性などに優れていることから、ポリエステルフィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好ましく用いられる。その反面、PETフィルムは加熱処理によりオリゴマーが析出し易いという性質を有している。従って、基材フィルムとしてPETフィルムを用いる場合に本発明の効果がより発揮される。
基材フィルムの厚みは、20〜300μmの範囲が適当であり、30〜200μmの範囲が好ましく、50〜150μmの範囲がより好ましい。
[樹脂層(B)]
樹脂層(B)は、少なくとも樹脂と平均粒子径が樹脂層(B)の厚みより大きい粒子を含有する。樹脂層(B)における樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは複数種併用することができる。
樹脂層(B)は、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との間に介在し、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との密着性を向上させる機能(密着性向上機能)を有することが好ましい。この観点から樹脂層(B)は、樹脂としてポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群の中から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。特に、樹脂層(B)はポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
また、上記密着性向上機能をさらに向上させるという観点、および後述する樹脂層(B)のインラインコーティングの際のクラック発生を抑制するという観点から、樹脂層(B)に含有する樹脂は、ガラス転移点(以下、Tgと言う)が150℃未満の樹脂を含有することが好ましい。さらにTgが135℃以下の樹脂を含有することが好ましく、特にTgが110℃以下の樹脂を含有することが好ましい。上記Tgの下限は0℃以上が好ましい。
Tgが150℃未満の樹脂は、樹脂層(B)の全樹脂総量100質量%に対して30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することが好ましく、特に70質量%以上含有することが好ましい。上限は100質量%である。
上記ポリエステル樹脂は、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、例えば多価カルボン酸成分とジオール成分とから重縮合して得られるポリエステル樹脂を用いることができる。
多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸などの3価以上の多価カルボン酸が挙げられる。
ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,及びp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオールなどが挙げられる。
さらに、ポリエステル樹脂の水溶化あるいは水分散化を容易にするために、3価以上多価カルボン酸やスルホ基を有するジカルボン酸等を共重合して、側鎖に親水性基(カルボキシル基やスルホ基)を有するポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
上記アクリル樹脂としては、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレートから選ばれる共重合体などがある。さらに、アクリル樹脂の水溶化あるいは水分散化を容易にするために、スルホ基を有する化合物やカルボキシル基を有する化合物(アクリル酸、メタクリル酸など)を共重合することが好ましい。
上記ウレタン樹脂は、分子内に有するウレタン結合を有する高分子化合物のことであり、通常、ポリオールとポリイソシアネートの反応により合成される。
ポリオールとしては、例えばポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類などが挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。
さらに、ウレタン樹脂の水溶化あるいは水分散化を容易にするために、スルホ基を有する化合物やカルボキシル基を有する化合物を共重合することが好ましい。
樹脂層(B)は、平均粒子径が樹脂層(B)の厚みより大きい粒子を含有する。以下の説明において、樹脂層(B)に含有する粒子は、断りのない限り、平均粒子径が樹脂層(B)の厚みより大きい粒子を指す。
樹脂層(B)に含有する粒子としては特に限定されないが、シリカ粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、ゼオライト粒子などの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などの有機粒子が挙げられる。これらの中でもシリカ粒子が好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。
樹脂層(B)に含有する粒子は、その平均粒子径が樹脂層(B)の厚みより大きいことが重要である。なお、樹脂層(B)に含有する粒子の平均粒子径は、数平均で求めた粒子径である。粒子の平均粒子径の上限は、樹脂層(B)の厚みの20倍以下が好ましい。具体的には、粒子の平均粒子径(r)と樹脂層(B)の厚み(d)の関係は、下記式1を満足することが好ましく、さらに下記式2を満足することが好ましく、特に下記式3を満足することが好ましい。
1.3≦(r/d)≦20 ・・・ 式1
1.5≦(r/d)≦15 ・・・ 式2
2.0≦(r/d)≦10 ・・・ 式3。
粒子の平均粒子径(r)が樹脂層(B)の厚み(d)と同等以下であると、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した後の耐ブロッキング性が得られない。粒子の平均粒子径(r)が樹脂層(B)の厚み(d)に対して20倍を越えると、粒子が樹脂層(B)から脱落したり、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の塗工性や外観が悪化する場合がある。
使用する粒子の平均粒子径は樹脂層(B)の厚み設計に応じて適宜選択されるが、具体的には粒子の平均粒子径は20nm〜1μmの範囲であることが好ましく、50nm〜700nmの範囲がより好ましく、特に100nm〜500nmの範囲が好ましい。粒子の平均粒子径が20nm未満であると耐ブロッキング性が低下することがある。粒子の平均粒子径が1μmを越えると粒子が脱落したり、透明性が低下したり、あるいは外観が悪化することがある。
樹脂層(B)の厚みは、5〜300nmの範囲であることが重要である。樹脂層(B)の厚みが5nm未満の場合は、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との密着性が低下する。また、樹脂層(B)の厚みが300nmより大きくなると活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した後の耐ブロッキング性が得られない。また、樹脂層(B)の厚みが300nmより大きくなると活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の硬度が低下したり、耐擦傷性が低下するなどの不都合が生じることがある。
樹脂層(B)の厚みは、さらに10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、特に20nm以上が好ましい。上限は250nm以下が好ましく、200nm以下が好ましく、特に150nm以下が好ましい。
樹脂層(B)における樹脂の含有量は、樹脂層(B)の固形分総量100質量%に対して30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましく、60質量%以上が最も好ましい。含有量の上限は98質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、90質量%以下が特に好ましい。樹脂層(B)における樹脂の含有量が30質量%未満になると、密着性向上機能が低下することがある。
樹脂層(B)における粒子の含有量は、樹脂層(B)の固形分総量100質量%に対して0.05〜10質量%の範囲が好ましく、0.1〜8質量%の範囲がより好ましく、特に0.5〜5質量%の範囲が好ましい。樹脂層(B)における粒子の含有量が0.05質量%未満であると耐ブロッキング性が得られないことがあり、粒子の含有量が10質量%を越えると透明性が低下したり、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の塗布性が悪化したり、密着性向上機能が発現しないなどの不都合が生じる場合がある。
樹脂層(B)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。樹脂層(B)は上述の樹脂と架橋剤を含有する熱硬化層であることが好ましい。樹脂層(B)をこのような熱硬化層とすることにより、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)との密着性をさらに向上させることができる。樹脂層(B)を熱硬化するときの条件(加熱温度、時間)は特に限定されないが、加熱温度は70℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上が特に好ましく、200℃以上が最も好ましい。上限は300℃以下が好ましい。加熱時間は5〜300秒の範囲が好ましく、10〜200秒の範囲がより好ましい。
上記架橋剤としては、例えばメラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などが挙げられる。これらの中でも、ラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤が好ましく、特にメラミン系架橋剤が好ましい。
メラミン系架橋剤としては、例えばイミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、メチロール基型メチル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、イミノ基型メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂が好ましく用いられる。
樹脂層(B)における架橋剤の含有量は、樹脂層(B)の固形分総量100質量%に対して0.5〜40質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましく、特に2〜20質量%の範囲が好ましい。
基材フィルム(A)上に樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層して得られる積層フィルムの反射色はニュートラルな無色の色相が好ましい。この観点から、基材フィルム(A)としてPETフィルムを用いた場合、樹脂層(B)の屈折率は1.55〜1.65の範囲が好ましく、1.56〜1.64の範囲がより好ましく、特に1.56〜1.63の範囲が好ましい。
樹脂層(B)の屈折率を1.55〜1.65の範囲とするには、樹脂として分子中にナフタレン環を含むポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ナフタレン環を含むポリエステル樹脂は、例えば、共重合成分として1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの多価カルボン酸を使用することによって合成することができる。
樹脂層(B)における分子中にナフタレン環を含むポリエステル樹脂の含有量は、全樹脂総量100質量%に対して5〜70質量%の範囲が好ましく、10〜60質量%の範囲がより好ましい。
樹脂層(B)は、基材フィルム(A)上にウェットコーティング法で塗布し、熱硬化して積層されることが好ましい。さらに基材フィルム(A)の製造工程内で樹脂層(B)をウェットコーティング法で塗布する、いわゆる、インラインコーティング法によって塗布し、熱硬化して積層されることが好ましい。ウェットコーティング法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法等が挙げられる。
基材フィルム(A)上に樹脂層(B)の塗液を塗布する際には、塗布性や密着性を向上させるための予備処理として、基材フィルム(A)表面にコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
上述のインラインコーティング法について、基材フィルム(A)としてポリエステルフィルムを用いた態様について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
インラインコーティング法は、ポリエステル樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で樹脂層(B)の塗布を行う方法である。通常は、ポリエステル樹脂を溶融押出し後、急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)ポリエステルフィルム(aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)ポリエステルフィルム(bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)ポリエステルフィルム(cフィルム)の何れかのフィルムに、樹脂層(B)の塗液を塗布する。
上記の結晶配向が完了する前のaフィルム、bフィルム、またはcフィルムの何れかのポリエステルフィルムに、樹脂層(B)の塗液を塗布し、その後、ポリエステルフィルムを一軸延伸、二軸延伸あるいは熱処理を施しポリエステルフィルムの結晶配向を完了させるとともに樹脂層(B)を設ける。この方法によれば、ポリエステルフィルムと樹脂層(B)との密着性が向上し、またポリエステルフィルムの製膜と樹脂層(B)の積層とを同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。
上記の方法の中でも、長手方向に一軸延伸されたフィルム(bフィルム)に樹脂層(B)の塗液を塗布し、その後、幅方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。
[活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)]
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とは、活性エネルギー線の照射によって架橋・硬化する樹脂層である。活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、線、β線、γ線などが挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましく用いられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)は、分子中に重合性官能基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(c)に活性エネルギー線を照射することにより、架橋・硬化された層であることが好ましい。
重合性官能基としては、エチレン性不飽和基のような炭素−炭素二重結合基を含む官能基が挙げられる。このような官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。本発明において、このような重合性官能基を分子中に2個以上有する化合物が好ましく、特に、重合性官能基を分子中に3個以上有する化合物が好ましく用いられる。
分子中に重合性官能基(炭素−炭素二重結合基を含む官能基)を有する化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの化合物に限定されない。尚、下記の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」なる表現は、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」との2つの化合物を含む。
例えば、分子中に重合性官能基を2個有する化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
分子中に重合性官能基を3個以上有する化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトルエンジイソシアネートウレタンオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
また、多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、市販されているものを使用することができる。例えば、共栄社化学(株)製のウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、根上工業(株)製のUN−3320シリーズ、UN−900シリーズ、新中村化学工業(株)製のNKオリゴUシリーズ、ダイセル・ユーシービー社製のEbecryl1290シリーズなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)は、上述したような分子中に重合性官能基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)を含む活性エネルギー線硬化性組成物(c)を、基材フィルム(A)に予め積層された樹脂層(B)の上に、ウェットコーティング法により塗布し、必要に応じて乾燥(溶剤を蒸発)した後、活性エネルギー線を照射し、架橋・硬化せしめて形成されることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物(c)における分子中に重合性官能基を有する化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物(c)の固形分総量100質量%に対して40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましく、70質量%以上が最も好ましい。上限は100%であるが、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、特に97質量%以下が好ましい。
分子中に重合性官能基を2個以上、さらには3個以上有する化合物を上記のように40質量%以上含有する活性エネルギー線硬化性組成物(c)に活性エネルギー線を照射し、架橋・硬化せしめて形成された活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)は、緻密な架橋構造となり、薄膜(30〜500nm)であっても、基材フィルム(A)からのオリゴマー析出を十分に防止することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)をさらに緻密な架橋構造とするには、活性エネルギー線硬化性組成物(c)における分子中に重合性官能基を有する化合物の含有量は、上記したように50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が特に好ましく、70質量%以上が最も好ましい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合は、活性エネルギー線硬化性組成物(c)は光重合開始剤を含むことが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、
チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製のイルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCUR TPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、Esacure ONE、Esacure KIP150、Esacure KTO46等、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACURE BMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物(c)の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物(c)は、さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)表面の滑り性や耐擦傷性を向上させるために、分子中に重合性官能基を有するポリシロキサン化合物を含有することが好ましい。
このようなポリシロキサン化合物は、分子中のポリシロキサン主鎖の末端あるいは側鎖のいずれかに1個以上の重合性官能基を有する化合物である。重合性官能基は、前述の炭素−炭素二重結合基を含む官能基が挙げられる。
分子中に重合性官能基を有するポリシロキサン化合物における重合性官能基の数は、1〜6個の範囲が好ましい。また、分子中に重合性官能基を有するポリシロキサン化合物としては、ポリジメチルシロキサン化合物が好ましい。
分子中に重合性官能基を有するポリシロキサン化合物としては、特開2009−84327号公報の製造例1−1〜1−3の化合物、あるいはチッソ(株)製のサイラプレーンFM−0711、同FM−0721、同FM−0725、信越化学工業(株)製のX−24−8201、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−2404、X−22−164A、X−22−164C、東レ・ダウコーニング(株)製のBY16−152D、BY16−152、BY16−152C等の市販品を用いることができる。
分子中に重合性官能基を有するポリシロキサン化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物(c)の固形分総量100質量%に対して0.5質量%以上10質量%未満の範囲が好まく、1質量%以上8質量%未満の範囲がより好ましく、1.3質量%以上6質量%未満の範囲がさらに好ましく、特に1.5質量%以上5質量%未満の範囲が好ましい。
分子中に重合性官能基を有するポリシロキサン化合物は重合性官能基を含むので、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の緻密な架橋構造の形成に寄与し、かつ活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)表面の滑り性や耐擦傷性を向上させることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みは、30nm以上500nm未満であることが重要である。活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが30nm未満の場合は、オリゴマーの析出が十分に防止できない。また、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが500nm以上になると、樹脂層(B)に含有する粒子に由来する凸構造が活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)に反映されず、その結果耐ブロッキング性が低下する。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)は前述したように緻密な架橋構造をとることが好ましいが、前述の活性エネルギー線硬化性組成物(c)を用いて緻密な架橋構造を形成すると重合収縮が大きくなり、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが500nm以上になるとカールが発生しやすくなる。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みは、オリゴマー析出防止の観点から40nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、特に60nm以上が好ましい。また、良好な耐ブロッキング性を得るという観点から活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みは、400nm未満が好ましく、300nm未満がより好ましく、特に200nm未満が好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)は、粒子を含有することができる。但し、平均粒子径が活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みより大きい粒子は、実質的に含有しないことが好ましい。ここで、実質的に含有しないとは、活性エネルギー線硬化性組成物(c)に意図的に添加しないことを意味する。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)が、平均粒子径が活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みより大きい粒子を含有すると、ヘイズが大きくなり透明性が低下したり、外観が悪くなったり、あるいはオリゴマー防止効果が低下することがある。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)が含有することができる粒子は、その平均粒子径が活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚み100%に対して90%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、特に50%以下であることが好ましい。このような粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の固形分総量100質量%に対して20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、特に10質量%以下が好ましい。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、基材フィルム(A)の片面のみに樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを設けたものであってもよいし、基材フィルム(A)の両面に樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを設けたものであってもよい。
基材フィルム(A)の一方の面のみに樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を設ける場合は、基材フィルム(A)の他方の面にオリゴマー析出防止層を設けることが好ましい。オリゴマー析出防止層としては、例えば、プラズマCVD法により蒸着されたSiO膜、ハードコート層など挙げられる。本発明においては、上記オリゴマー析出防止層として活性エネルギー線硬化性樹脂層が好ましく用いられる。この活性エネルギー線硬化性樹脂層には、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)が含まれ、他には、例えば活性エネルギー線硬化性樹脂層からなるハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層等を用いることができる。
基材フィルム(A)の他方の面にオリゴマー析出防止層として活性エネルギー線硬化性樹脂層を設ける場合は、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層との間に、本発明の樹脂層(B)もしくは樹脂層(F)を設けることが好ましい。特に、樹脂層(B)を設けることが好ましい。ここで、樹脂層(F)は、樹脂層(F)の厚みより大きい平均粒子径を有する粒子を含有しないこと以外は、樹脂層(B)と同様の構成を採用することができる。
また、基材フィルム(A)の片面もしくは両面に樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを設けた本発明の積層フィルムの片面もしくは両面に機能層(例えば、ハードコート層、防眩層、反射防止層、帯電防止層、防汚層、透明導電膜等)を設けることができる。機能層は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を介して、もしくは介さずに設けることができる。
特に、本発明の積層フィルムは、その片面もしくは両面に透明導電膜(E)を設けて、透明導電性フィルムとすることが好ましい。
[透明導電性フィルム]
本発明の積層フィルムは、上記したように透明導電性フィルムに適用することが好ましい。透明導電性フィルムは、本発明の積層フィルムの片面もしくは両面に透明導電膜(E)が設けられたものである。このような透明導電性フィルムは、タッチパネルの電極基板として好適である。
本発明の積層フィルムが透明導電性フィルムに適用される場合の態様としては、例えば、以下の構成例が挙げられる。尚、下記構成例の中の活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)については詳しくは後述する。
イ)基材フィルム(A)の両面に、樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを基材フィルム(A)側からこの順に有し、さらにその片面もしくは両面に透明導電膜(E)を有する積層フィルム(片面もしくは両面透明導電性フィルム)。
ロ)基材フィルム(A)の一方の面に、樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを基材フィルム(A)側からこの順に有し、基材フィルム(A)の他方の面に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)と透明導電膜(E)とを基材フィルム(A)側からこの順に有する積層フィルム(片面透明導電性フィルム)。
または、上記構成例において活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)上に透明導電膜(E)を設けた両面透明導電性フィルム。
ハ)基材フィルム(A)の両面に、樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを基材フィルム(A)側からこの順に有し、さらにその片面もしくは両面に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)と透明導電膜(E)とを基材フィルム(A)側からこの順に有する積層フィルム(片面もしくは両面透明導電性フィルム)。
ニ)基材フィルム(A)の両面に、樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを基材フィルム(A)側からこの順に有し、さらにその片面もしくは両面に、SiO膜と透明導電膜(E)とを基材フィルム(A)側からこの順に有する積層フィルム(片面もしくは両面透明導電性フィルム)。
ホ)基材フィルム(A)の一方の面に、樹脂層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを基材フィルム(A)側からこの順に有し、基材フィルム(A)の他方の面に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)、SiO膜および透明導電膜(E)を基材フィルム(A)側からこの順に有する積層フィルム(片面透明導電性フィルム)。
または、上記構成例において活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)上に、SiO膜と透明導電膜(E)とを基材フィルム(A)側からこの順に設けた両面透明導電性フィルム。
上記構成例において、基材フィルム(A)上に活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)を積層する場合、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)との密着性を向上させるために、基材フィルム(A)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)との間に樹脂層(B)もしくは樹脂層(F)を介在させることが好ましい。特に、樹脂層(B)を介在させることが好ましい。樹脂層(F)は、前述したように樹脂層(F)の厚みより大きい平均粒子径を有する粒子を含有しないこと以外は、樹脂層(B)と同様の構成を採用することができる。
[活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)]
上述の態様において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物(c)と同様の活性エネルギー線硬化性組成物(d)をウェットコーティング法により塗布し、必要に応じて乾燥(溶剤を蒸発)した後、活性エネルギー線を照射し、架橋・硬化せしめて形成されたものである。
つまり活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物(d)は、前述の活性エネルギー線硬化性組成物(c)に用いられる「分子中に重合性官能基(炭素−炭素二重結合基を含む官能基)を有する化合物(モノマーやオリゴマー)」を含有する。活性エネルギー線硬化性組成物(d)における分子中に重合性官能基を有する化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物(d)の固形分総量100質量%に対して30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましく、60質量%以上が最も好ましい。上限は100質量%であるが、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、特に97質量%以下が好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物(d)は、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、前述の活性エネルギー線硬化性組成物(c)に用いられる光重合開始剤と同様の化合物を用いることができる。また、活性エネルギー線硬化性組成物(d)における光重合開始剤の含有量は、前述の活性エネルギー線硬化性組成物(c)と同様である。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)は、1層のみで構成されてもよいし、2〜3層の積層構成であってもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)は、基材フィルム(A)からのオリゴマー析出を防止する機能を有することが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)の厚み(積層構成の場合は合計厚みを指す)は、オリゴマー析出防止の観点から、30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましく、50nm以上が特に好ましく、60μm以上が最も好ましい。上限の厚みは3μm未満が好ましく、2μm未満がより好ましく、1μm未満が特に好ましく、0.5μm未満が最も好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)は、その上に積層される透明導電膜(E)の反射色や透過色を調整するため色調調整層、あるいはパターン化された透明導電膜(E)のパターン部が視認される、いわゆる「骨見え」を抑制するための屈折率調整層であることが好ましい。つまり、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)は、屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層の1層構成、屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層の1層構成、あるいは上記高屈折率層と低屈折率層とを基材フィルム(A)側からこの順に積層した積層構成であることが好ましい。
さらに、上記高屈折率層の屈折率は、1.63〜1.78の範囲が好ましく、1.65〜1.75の範囲がより好ましい。上記低屈折率層の屈折率は、1.30〜1.48の範囲が好ましく、1.33〜1.46の範囲がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が、高屈折率層の1層構成、低屈折率層の1層構成、あるいは高屈折率層と低屈折率層との積層構成である場合、色調調整および屈折率調整を効果的に発現させるためには、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)の厚み(高屈折率層と低屈折率層との積層構成の場合は合計厚みを指す)は、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、120nm以下が特に好ましく、100nm以下が最も好ましい。下限の厚みは30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましく、50nm以上が特に好ましく、60nm以上が最も好ましい。
特に、透明導電膜(E)がパターン化されている場合は、「骨見え」を抑制するという観点から、高屈折率層と低屈折率層の積層構成が好ましい。この場合、高屈折率層の光学厚みと低屈折率層の光学厚みの合計が、(1/4)λを満足することが好ましい。ここで、光学厚みとは屈折率と厚みの積であり、λは可視光領域の波長範囲である380〜780nmである。
すなわち、高屈折率層の光学厚みと低屈折率層の光学厚みの合計は以下の関係式4を満足することが好ましい。尚、式中、n1は高屈折率層の屈折率、d1は高屈折率層の厚み(nm)、n2は低屈折率層の屈折率、d2は低屈折率層の厚み(nm)を表す。
(380nm/4)≦(n1×d1)+(n2×d2)≦(780nm/4)
95nm≦(n1×d1)+(n2×d2)≦195nm ・・・(式4)。
つまり、高屈折率層の光学厚み(n1×d1)と低屈折率層の光学厚み(n2×d2)との合計は、95nm以上195nm以下であることが好ましい。
さらに、高屈折率層の光学厚みと低屈折率層の光学厚みの合計は95〜163nmの範囲がより好ましく、95〜150nmの範囲が特に好ましく、特に100〜140nmの範囲が最も好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)を高屈折率層として機能させるには、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物(d)に、例えば屈折率が1.65以上の金属酸化物微粒子を含有させる方法が好ましく用いられる。このような金属酸化物微粒子としては、チタン、ジルコニウム、亜鉛、錫、アンチモン、セリウム、鉄、インジウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられ、これらの金属酸化物微粒子は単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。上記金属酸化物微粒子の中でも、特に酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが、透明性を低下させずに屈折率を高めることができるので好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物(d)における金属酸化物微粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物(d)の固形分総量100質量%に対して30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は70質量%以下が好ましく、60質量%以下が好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)を低屈折率層として機能させるには、活性エネルギー線硬化性組成物(d)に、例えば、低屈折率材料として低屈折率無機粒子および/または含フッ素化合物を含有させる方法が好ましく用いられる。特に、含フッ素化合物を含有させる方法が好ましい。
上記低屈折率無機粒子としては、シリカやフッ化マグネシウム等の無機粒子が好ましい。さらにこれらの無機粒子は中空状や多孔質のものが好ましい。このような低屈折率無機粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物(d)の固形分総量100質量%に対して10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、特に30質量%以上が好ましい。上限は70質量%以下が好ましく、60質量%以下が好ましく、特に50質量%以下が好ましい。
上記含フッ素化合物としては、含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマー、含フッ素高分子化合物が挙げられる。ここで、含フッ素モノマーあるいは含フッ素オリゴマーは、分子中に前述の重合性官能基(炭素−炭素二重結合基を含む官能基)とフッ素原子とを有するモノマーあるいはオリゴマーである。
含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマーとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、βー(パーフロロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類、 ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,2−トリフルオロエチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルエチレングリコールなどのジ−(α−フルオロアクリル酸)フルオロアルキルエステル類が挙げられる。
含フッ素高分子化合物としては、例えば、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。
含フッ素化合物の含有量は活性エネルギー線硬化性組成物(d)の固形分総量100質量%に対して、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が特に好ましい。上限は95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
含フッ素化合物の中でも、含フッ素モノマー、含フッ素オリゴマーが好ましく用いられる。含フッ素モノマーおよび含フッ素オリゴマーは、分子中に重合性官能基を有しているので、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)の緻密な架橋構造の形成に寄与(オリゴマー析出防止に寄与に寄与)するとともに、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)を低屈折率化することができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が上記の高屈折率層の1層構成である場合、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)と透明導電膜との間にSiO膜を設けることが好ましい。このSiO膜も前述の屈折率調整の機能を有する。SiO膜の厚みは、5〜50nmの範囲が好ましく、7〜30nmの範囲がより好ましく、特に8〜20nmの範囲がより好ましい。SiO膜は、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相製膜法で積層することが好ましい。
上記のように高屈折率層とSiO膜を積層する場合は、高屈折率層の厚みは50〜110nmの範囲が好ましく、60〜100nmの範囲がより好ましく、特に70〜95nmの範囲が好ましい。
[透明導電膜(E)]
透明導電膜(E)の材料としては、タッチパネルの電極に用いられる公知の材料を用いることができる。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)、ATO(酸化アンチモン錫)等の金属酸化物、銀ナノワイヤー等の金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等が挙げられる。これらの中でもITOが好ましく用いられる。
透明導電膜(E)の厚みは、例えば表面抵抗値を10Ω/□以下の良好な導電性を確保するという観点から、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、特に20nm以上であることが好ましい。一方、透明導電膜(E)の厚みが大きくなりすぎると、前述の色調調整や屈折率調整の効果が小さくなること、および透明性が低下するという不都合が生じることがあるので、透明導電膜(E)の厚みの上限は、60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、特に40nm以下が好ましい。
透明導電膜(E)の形成方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセスを用いることができる。
上記のようにして製膜された透明導電膜(E)はパターン化されていてもよい。パターン化は、透明導電性フィルムが適用される用途に応じて、各種のパターンを形成することができる。なお、透明導電膜(E)のパターン化により、パターン部と非パターン部が形成されるが、パターン部の形状としては、例えば、ストライプ状、格子状等が挙げられる。
透明導電膜(E)のパターン化は、一般的にはエッチングによって行われる。例えば、透明導電膜(E)上にパターン状のエッチングレジスト膜を、フォトリソグラフィ法、レーザー露光法、あるいは印刷法により形成した後エッチング処理することにより、透明導電膜(E)がパターン化される。
エッチング液としては、従来公知のものが用いられる。例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、およびこれらの混合物、ならびにそれらの水溶液が用いられる。
[タッチパネルへの適用]
本発明の積層フィルムは、タッチパネルの電極基板に好適である。さらに、抵抗膜式および静電容量式のタッチパネルの電極基板に好適であり、特に静電容量式タッチパネルの電極基板に好適である。
タッチパネルの電極基板への適用は、本発明の積層フィルムの片面あるいは両面に前述の透明導電膜(E)を設けることによって行われる。本発明の積層フィルムに透明導電膜を(E)を設ける態様は、前述の透明導電性フィルムの態様イ)〜ホ)が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)基材フィルムの屈折率の測定
基材フィルム(PETフィルム)の屈折率は、JIS K7105(1981)に準じてアッベ屈折率計で測定した。
(2)樹脂層(B)、高屈折率層及び低屈折率層の屈折率の測定
それぞれの塗布液をシリコンウエハー上にスピンコーターにて塗工形成した塗膜(乾燥厚み約2μm)について、25℃の温度条件下で位相差測定装置(ニコン(株)製:NPDM−1000)で633nmの屈折率を測定した。
(3)樹脂層(B)の厚みの測定
樹脂層(B)が積層された基材フィルムの断面を超薄切片に切り出し、RuO染色、OsO 染色、あるいは両者の二重染色による染色超薄切片法により、TEM(透過型電子顕微鏡)で断面構造が目視可能な以下の条件にて観察し、その断面写真から樹脂層(B)の厚みを測定する。尚、測定個所は粒子が存在しない部分である。なお、5箇所を測定して、その平均値を樹脂層(B)の厚みとした。
・測定装置:透過型電子顕微鏡(日立(株)製 H−7100FA型)
・測定条件:加速電圧 100kV
・試料調整:凍結超薄切片法
・倍率:30万倍。
(4)活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)および(D)の厚みの測定
積層フィルムの断面を超薄切片に切り出し、透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)で加速電圧100kVにて観察(10万倍の倍率で観察)し、その断面写真から厚みを測定する。尚、測定個所は樹脂層(B)の粒子が存在しない部分における活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)、(D)である。なお、5箇所を測定して、その平均値を活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)、(D)の厚みとした。
(5)樹脂のガラス転移点(Tg)の測定
セイコー電子工業(株)製ロボットDSC(示差走査熱量計)RDC220にセイコー電子工業(株)製SSC5200ディスクステーションを接続して測定した。DSCの測定条件は次の通りである。すなわち、試料10mgをアルミニウムパンに調整後、DSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパン)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素中を用いて急冷処理をした。この試料を10℃/分で昇温し、そのDSCチャートからガラス転移点(Tg)を検知した。
(6)樹脂層(B)に含有させた粒子の平均粒子径の測定
基材フィルムに積層された樹脂層(B)表面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて倍率一万倍で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(たとえばケンブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察箇所を変えてデータを取り込み、合計粒子数5000個以上となったところで次の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径dを平均粒径(直径)とした。
・d=Σdi /N
ここでdi は粒子の等価円直径(粒子の断面積と同じ面積を持つ円の直径)、Nは個数である。
(7)オリゴマー析出防止効果の評価
積層フィルムを150℃のオーブン中に放置し、90分熱処理を行った。熱処理前後のヘイズ値をJIS K 7105(1981)に基づき、日本電色工業(株)製濁度計NDH 2000を用いて測定した。熱処理前後のヘイズ値の変化に基づいてオリゴマー析出防止効果を以下の基準で評価した。尚、透明導電膜(E)を積層する積層フィルムについては、透明導電膜(E)を積層する前のサンプルで測定した。
○:熱処理前後のヘイズ値変化が0.5%未満
×:熱処理前後のヘイズ値変化が0.5%以上。
(8)耐ブロッキング性
積層フィルムを切断して2枚のシート片(20cm×15cm)を作製した。この2枚のシート片を、実施例1〜10および比較例1〜6は活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の面が向かい合うように、実施例11および12は第1面の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)面とハードコート層面が向かい合うように、実施例13〜18は第1面の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)面と第2面の活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)面が向かい合うようにして重ね合わせる。次に、2枚のシート片を重ね合わせた試料をガラス板で挟み込み、約3kgの重りを載せて、50℃、90%(RH)の雰囲気下に48時間放置する。次に、重ね合わせ面を目視により観察しニュートンリングの発生状況を確認した後、両者を剥離し、以下の基準で評価した。
○:剥離前はニュートンリングが発生しておらず、剥離時には剥離音を立てずに軽く剥離される。
△:剥離前は一部ニュートンリングが発生しており、剥離時には小さな剥離音を立てながら剥離される。
×:剥離前は全面にニュートンリングが発生しており、剥離時には大きな剥離音を立てて剥離される。
(9)活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の密着性
積層フィルムを60℃−90%RHの雰囲気下に500時間放置した後、各サンプルの活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)面に1mmのクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90度方向に急速に剥離し、残存した個数により、以下の基準で密着性を評価した。
○:90/100(残存個数/測定個数)以上
×:90/100(残存個数/測定個数)未満。
(10)積層フィルムの反射色
積層フィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)が積層された面とは反対面(両面に活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を設けたサンプルはどちらか一方の面)に黒粘着テープ(日東電工製“ビニルテープNo.21 トクハバ 黒”)を貼り付け、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)面の反射色を暗室三波長蛍光灯下にて目視にて観察し、以下の基準で行った。
○:反射色がニュートラルでほぼ無色である。
×:反射色が着色を呈している。
(11)透明導電膜パターンの視認性
黒い板の上にサンプルを置き、目視により透明導電膜のパターン部が視認できるかどうか以下の基準で評価した。
○:パターン部が視認できない。
×:パターン部が視認できる。
[実施例1]
屈折率1.65で厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、それぞれ樹脂層(B)をPETフィルムの製造工程内でインラインコーティングした。つまり、長手方向に一軸延伸されたPETフィルムの両面にそれぞれ樹脂層(B)形成用塗布液をバーコート法で塗布し100℃で乾燥後、引き続き幅方向に二軸延伸し、230℃で20秒間加熱処理を施し熱硬化させて、両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムを作製した。樹脂層(B)の屈折率は1.59、厚みは90nmであった。
<樹脂層(B)形成用塗布液(水分散体)>
固形分質量比で、Tgが120℃のポリエステル樹脂aを26質量%、Tgが80℃のポリエステル樹脂bを54質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を2質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂a;2,6−ナフタレンジカルボン酸43モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸7モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・ポリエステル樹脂b;テレフタル酸38モル%、トリメリット酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・メラミン系架橋剤;メチロール基型メラミン架橋剤
・粒子;平均粒子径190nmのコロイダルシリカ。
<活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の積層>
両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムの両面の樹脂層(B)上に、それぞれ下記の活性エネルギー線硬化性組成物(c)をグラビアコート法で塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射し硬化させて活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を形成した。活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みは、100nmであった。
(活性エネルギー線硬化性組成物(c))
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート48質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)47質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤に溶解して調製した。
[実施例2〜実施例5、比較例1〜3]
実施例1において、樹脂層(B)の厚みあるいは活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
[実施例6]
下記の樹脂層(B)形成用塗布液に変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。樹脂層(B)の屈折率は、1.56であった。
<樹脂層(B)形成用塗布液(水分散体)>
固形分質量比で、Tgが110℃のポリエステル樹脂cを17質量%、Tgが70℃のポリエステル樹脂dを64質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を1質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂c;2,6−ナフタレンジカルボン酸38モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・ポリエステル樹脂d;テレフタル酸34モル%、トリメリット酸16モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・メラミン系架橋剤;メチロール基型メラミン架橋剤
・粒子;平均粒子径300nmのコロイダルシリカ。
[実施例7〜実施例10、比較例4]
実施例6において、樹脂層(B)の厚みあるいは活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みを表1に示すように変更した以外は、実施例6と同様にして積層フィルムを作製した。
[比較例5]
下記の樹脂層(B)形成用塗布液に変更し、樹脂層(B)の厚みを350nmに変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。樹脂層(B)の屈折率は1.56であった。
<樹脂層(B)形成用塗布液(水分散体)>
固形分質量比で、Tgが110℃のポリエステル樹脂cを17質量%、Tgが70℃のポリエステル樹脂dを64質量%、メラミン系架橋剤を18質量%、粒子を1質量%混合して水分散塗布液を調製した。
・ポリエステル樹脂c;2,6−ナフタレンジカルボン酸38モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸12モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・ポリエステル樹脂d;テレフタル酸34モル%、トリメリット酸16モル%、エチレングリコールを含むジオール成分50モル%を共重合して得られたポリエステル樹脂。
・メラミン系架橋剤;メチロール基型メラミン架橋剤
・粒子;平均粒子径400nmのコロイダルシリカ。
[比較例6]
二軸延伸されたPETフィルム(屈折率1.65、厚み100μm)の両面に、オフラインで下記樹脂層(B)形成用塗布液を積層したこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。樹脂層(B)の屈折率は1.50、樹脂層(B)の厚みは90nmであった。
<樹脂層(B)形成用塗布液>
Tgが159℃のセルロースアセテートプロピオネート(イーストマンコダック社製のCAP504−0.2)100質量部、平均粒子径20nmのコロイダルシリカ1質量部を、メチルエチルケトンとシクロヘキサンの混合溶媒に溶解して、固形分濃度0.8質量%の塗布液を調製した。
[実施例11]
実施例1と同様にして、両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムを作製した。次に、樹脂層(B)が積層されたPETフィルムの一方の面(第1面)の樹脂層(B)上に、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した。
次に、PETフィルムの反対面(第2面)の樹脂層(B)上に、市販のハードコート塗料(JSR(株)製の「デソライトZ7501」)をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが1.5μm(1500nm)のハードコート層を形成した。
[実施例12]
実施例6と同様にして、両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムを作製した。次に、樹脂層(B)が積層されたPETフィルムの一方の面(第1面)の樹脂層(B)上に、実施例6と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した。
次に、PETフィルムの反対面(第2面)の樹脂層(B)上に、市販のハードコート塗料(JSR(株)製の「デソライトZ7501」)をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが1.5μm(1500nm)のハードコート層を形成した。
[実施例13]
実施例1と同様にして、両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムを作製した。次に、樹脂層(B)が積層されたPETフィルムの一方の面(第1面)の樹脂層(B)上に、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した。次に、PETフィルムの反対面(第2面)の樹脂層(B)上に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として下記の高屈折率層と低屈折率層とをPETフィルム側からこの順に積層し、さらに低屈折率層上に下記の透明導電膜(E)を積層して、積層フィルム(透明導電性フィルム)を作製した。
<高屈折率層の積層>
下記の高屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物(d)をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが50nmの高屈折率層を形成した。この高屈折率層の屈折率は1.68であった。
(高屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物(d))
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート21質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中に重合性官能基を9個含む)21質量部、酸化ジルコニウム55質量部、および光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)3質量部を有機溶剤に分散あるいは溶解して調製した。
<低屈折率層の積層>
下記の低屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物(d)をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが40nmの低屈折率層を形成した。この低屈折率層の屈折率は1.40であった。
(低屈折率層形成用の活性エネルギー線硬化性組成物(d))
ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルエチレングリコール87質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)3質量部を有機溶剤に分散あるいは溶解して調製した。
<透明導電膜(E)の積層>
ITO膜を厚みが30nmとなるようにスパッタリング法で積層し、パターン加工(エッチング処理)して透明導電膜(E)を形成した。
[実施例14]
実施例6と同様にして、両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムを作製した。次に、樹脂層(B)が積層されたPETフィルムの一方の面(第1面)の樹脂層(B)上に、実施例6と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した。次に、PETフィルムの反対面(第2面)の樹脂層(B)上に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として実施例13と同様にして高屈折率層と低屈折率層を積層し、さらに低屈折率層上に透明導電膜(E)を積層して積層フィルム(透明導電性フィルム)を作製した。
[実施例15]
実施例13において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として市販のハードコート塗料(JSR(株)製の「デソライトZ7501」)をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが1.5μm(1500nm)のハードコート層を形成した以外は、実施例13と同様にして積層フィルム(透明導電性フィルム)を作製した。
[実施例16]
実施例14において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として市販のハードコート塗料(JSR(株)製の「デソライトZ7501」)をグラビアコート法により塗布し、90℃で乾燥後、紫外線400mJ/cmを照射して硬化させて厚みが1.5μm(1500nm)のハードコート層を形成した以外は、実施例14と同様にして積層フィルム(透明導電性フィルム)を作製した。
[実施例17]
実施例1と同様にして、両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムを作製した。次に、樹脂層(B)が積層されたPETフィルムの一方の面(第1面)の樹脂層(B)上に、実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した。次に、PETフィルムの反対面(第2面)の樹脂層(B)上に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として実施例13と同様の高屈折率層を厚みが85nmとなるように積層した。
さらに高屈折率層上にスパッタ法によりSiO膜(厚み10nm)を積層し、SiO膜上に実施例13と同様にして透明導電膜(E)を積層して、積層フィルム(透明導電性フィルム)を作製した。
[実施例18]
実施例6と同様にして、両面に樹脂層(B)が積層されたPETフィルムを作製した。次に、樹脂層(B)が積層されたPETフィルムの一方の面(第1面)の樹脂層(B)上に、実施例6と同様にして活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層した。次に、PETフィルムの反対面(第2面)の樹脂層(B)上に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として実施例13と同様の高屈折率層を厚みが85nmとなるように積層した。
さらに高屈折率層上にスパッタ法によりSiO膜(厚み10nm)を積層し、SiO膜上に実施例13と同様にして透明導電膜(E)を積層して、積層フィルム(透明導電性フィルム)を作製した。
[積層フィルムの評価]
上記で得られた実施例および比較例の積層フィルムについて、オリゴマー析出防止性、耐ブロッキング性、密着性、反射色および透明導電膜パターンの視認性を評価した。これらの結果を表1、表2、表3に示す。
Figure 0005911317
Figure 0005911317
Figure 0005911317
上記結果から、本発明の実施例は、オリゴマー析出防止性、耐ブロッキング性、密着性及び反射色がいずれも良好である。
また、本発明の積層フィルムを透明導電性フィルムに適用した実施例13〜18において、基材フィルム(A)と透明導電膜(E)との間に活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として、高屈折率層(HR)と低屈折率層(LR)を積層した実施例13、14、および活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)として高屈折率層(HR)を設け、高屈折率層(HR)と透明導電膜(E)との間にSiO膜を設けた実施例17、18は、透明導電膜パターンの視認性(骨見え現象の抑制)が良好である。
一方、比較例1、6は、樹脂層(B)に含まれる粒子の平均粒子径が樹脂層(B)の厚みより小さいために、耐ブロッキング性が劣っている。
比較例2は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが30nm未満であるために、オリゴマー析出防止性が劣っている。
比較例3、4は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが500nm以上であるために、耐ブロッキング性が劣っている。
比較例5は、樹脂層(B)の厚みが300nmを越えているために、耐ブロッキング性が劣っている。
また、比較例6は樹脂層(B)に含有する樹脂のTgが150℃以上であるために、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の密着性が劣っており、さらに、樹脂層(B)の屈折率が1.55未満であるために、活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の反射色が着色を呈している。

Claims (11)

  1. 基材フィルム(A)と、この基材フィルム(A)の少なくとも一方の面に基材フィルム(A)側から順に、厚みが5〜300nmの樹脂層(B)と、厚みが30nm以上500nm未満の活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを有し、前記樹脂層(B)がこの樹脂層(B)の厚みより大きい平均粒子径を有する粒子を含有する、積層フィルムの製造方法であって、
    基材フィルム(A)上に樹脂層(B)を積層する工程、および
    樹脂層(B)の上に、分子中に重合性官能基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(c)を塗布し、活性エネルギー線を照射し、架橋・硬化して活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)を積層する工程を有し、
    前記活性エネルギー線硬化性組成物(c)における分子中に重合性官能基を有する化合物の含有量が、前記活性エネルギー線硬化性組成物(c)の固形分総量100質量%に対して40質量%以上である、
    積層フィルムの製造方法
  2. 前記樹脂層(B)に含有する粒子の平均粒子径(r)と、前記樹脂層(B)の厚み(d)との関係が、下記式1を満足する、請求項1に記載の積層フィルムの製造方法
    1.3≦(r/d)≦20 ・・・ 式1
  3. 前記樹脂層(B)がさらに架橋剤を含有する熱硬化層である、請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法
  4. 前記樹脂層(B)が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
  5. 前記樹脂層(B)が、ガラス転移点が150℃未満の樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
  6. 前記樹脂層(B)の屈折率が1.55〜1.65の範囲である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
  7. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)の厚みが30nm以上200nm未満である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
  8. 基材フィルム(A)の一方の面に、前記樹脂層(B)と前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(C)とを前記基材フィルム(A)側からこの順に有し、前記基材フィルム(A)の他方の面に、厚みが30nm以上3μm未満の活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)と透明導電膜(E)とを前記基材フィルム(A)側からこの順に有する、請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルムの製造方法
  9. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が、屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層の1層構成、屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層の1層構成、またはこの高屈折率層とこの低屈折率層とが前記基材フィルム(A)側からこの順に積層された積層構成である、請求項8に記載の積層フィルムの製造方法
  10. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が、前記屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層と屈折率が1.3〜1.5の低屈折率層との積層構成であり、この高屈折率層とこの低屈折率層との合計の光学厚みが(1/4)λを満足する、請求項9に記載の積層フィルムの製造方法
    但し、λは380〜780nmである。
  11. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(D)が、前記屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層の1層構成であり、この高屈折率層と前記透明導電膜(E)との間にSiO膜を有する、請求項9に記載の積層フィルムの製造方法
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