JP2015130283A - 透明導電性フィルムの製造方法、および透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム - Google Patents

透明導電性フィルムの製造方法、および透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】透明導電膜の密着性に優れ、かつ良好な視認性が安定的に得られる透明導電性フィルムに用いられるベースフィルムを提供する。
【解決手段】 基材フィルム上に最表層として活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備えたベースフィルムであり、該ベースフィルムの前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施され、このプラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜がドライ方式で積層せしめられる透明導電性フィルムに用いられるベースフィルムであって、前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが70nm未満、屈折率が1.55以下の層であり、かつ前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有することを特徴とする、透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム、および透明導電性フィルムの製造方法に関する。詳しくは、透明導電膜の密着性が良好でかつ視認性が良好な透明導電性フィルムを安定的に製造するために用いられるベースフィルムに関する。
以下の説明において、「透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム」を単に「ベースフィルム」と言うことがあり、また「ベースフィルム」なる表現は断りのない限り「透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム」を意味する。
透明導電性フィルムは、タッチパネル、電子ペーパー、デジタルサイネージなどに用いられている。近年、タッチパネルを備えた表示装置が普及しており、タッチパネルの電極用途として透明導電性フィルムの需要が拡大している。
これらの用途に使用される透明導電性フィルムは、ベースフィルムの片面もしくは両面に透明導電膜を設けることにより製造されている。透明導電膜としては酸化インジウム錫(ITO)等の金属酸化物の薄膜が一般的に用いられており、ベースフィルム上にスパッタリング法や真空蒸着法などのドライ方式によって製膜され積層されている。
タッチパネル用途に用いられる透明導電性フィルムは、視認性が高いことが求められている。例えば、透明導電性フィルムの色味(透過色や反射色)が無彩色に近いこと、パターン化された透明導電膜のパターンが視認される現象(いわゆる「骨見え」)が抑制されていることなどが求められている。
ベースフィルムとして、基材フィルムにハードコート層が積層されたハードコートフィルムが一般に知られている。しかし、ベースフィルムとしてハードコートフィルムを用いた透明導電性フィルムでは、上記の視認性は十分に向上しない。
そこで、透明導電性フィルムの視認性を向上させるために、基材フィルムあるいはハードコートフィルムに各種光学調整層を設けたベースフィルムが提案されている。
例えば、透明導電膜の色調(色味)を調整するために基材フィルムやハードコートフィルムに光学調整層が積層されたベースフィルム(特許文献1〜3)、あるいはパターン化された透明導電膜のパターンが視認される現象(いわゆる「骨見え」)を抑制するために基材フィルムやハードコートフィルムに光学調整層が積層されたベースフィルム(特許文献4〜8)、が提案されている。
一方、ベースフィルムと透明導電膜との密着性を高めるために、SiOスパッタ膜や易接着層(プライマー層)をベースフィルムと透明導電膜との間に介在させる方法、ベースフィルムにコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線照射処理などの表面処理を施す方法が知られている。例えば、プラズマ処理に関しては、基板上に設けられた硬化膜(アクリル系紫外線硬化型皮膜)表面にプラズマ処理を施して後、金属酸化物膜を積層することが提案されている(特許文献9)。
特開2003−251751号公報 特開2004−47456号公報 特開2011−98563号公報 特開2009−76432号公報 特開2010−208169号公報 特開2011−134464号公報 特開2011−248612号公報 特開2013−97562号公報 特開2000−87215号公報
上述したベースフィルムと透明導電膜との密着性を高めるための方法の中でも、プラズマ処理は透明導電膜の製膜工程の中で、オンライン上で連続的に実施できることから生産効率上の利点がある。
また、上述した透明導電性フィルムの視認性を向上させるために用いられるベースフィルムにおいて、このベースフィルムを構成する各種光学調整層は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって硬化する樹脂層)で形成することにより、通常の塗布装置を用いたウェットコーティング法による形成が可能となり、連続的に比較的高速度で生産できるという生産効率上の利点を享受できる。
上記光学調整層の1層当たりの厚みは、通常数nm〜数百nm程度に設計されており、一般的なハードコートフィルムを構成するハードコート層の厚み(1〜20μm程度)に比べて大幅に小さいものである。特に、透明導電膜に隣接する光学調整層は、上述の視認性の観点から、厚みが70nm未満でかつ屈折率が1.55以下であることが好ましいことを確認している。
しかしながら、このような光学調整層(厚みが70nm未満でかつ屈折率が1.55以下)を活性エネルギー線硬化性樹脂層で形成し、この光学調整層(活性エネルギー線硬化性樹脂層)上に透明導電膜をドライ方式で製膜し積層するに際し、光学調整層(活性エネルギー線硬化性樹脂層)の表面に予めプラズマ処理を施して製造された透明導電性フィルムは、良好な視認性が安定的に得られないという問題があることが判明した。
従って、本発明の目的は、透明導電膜の密着性に優れ、かつ良好な視認性が安定的に得られる透明導電性フィルムに用いられるベースフィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、このベースフィルムを用いた透明導電性フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明により基本的に達成された。
[1]基材フィルム上に最表層として下記の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備えたベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理を施す工程(1)、および
プラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜をドライ方式で積層する工程(2)を含む、透明導電性フィルムの製造方法。
<活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)>
活性エネルギー線硬化性樹脂層は、厚みが70nm未満、屈折率が1.55以下、かつ無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有する。
[2]前記工程(2)の後に、透明導電膜をパターン化する工程(3)を有する、前記[1]に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
[3]基材フィルム上に最表層として活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備えたベースフィルムであり、
該ベースフィルムの前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施され、このプラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜がドライ方式で積層せしめられる透明導電性フィルムに用いられるベースフィルムであって、前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが70nm未満、屈折率が1.55以下の層であり、かつ
前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有することを特徴とする、ベースフィルム。
[4]基材フィルムと活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)との間に、屈折率が1.61〜1.80である高屈折率層(B)を有する、[3]に記載の透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム。
[5]基材フィルムと高屈折率層(B)との間に、ハードコート層(C)を有する、[4]に記載の透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム。
本発明によれば、透明導電膜の密着性に優れ、かつ視認性が良好な透明導電性フィルムを安定的に製造することができるベースフィルムを提供できる。また、本発明の透明導電性フィルムの製造方法によれば、透明導電膜の密着性に優れ、かつ良好な視認性を備える透明導電性フィルムが安定的に得られる。
ここで、視認性が良好であるとは、透明導電性フィルムの透明導電膜に起因する色味(例えば、ITO膜の黄色味)が抑制されて無彩色に近づくこと、あるいはパターン化された透明導電膜のパターン部が視認される、いわゆる「骨見え」が抑制されることを意味する。
特に、本発明のベースフィルムを用いることにより、後者の「骨見え」が有効に抑制される。つまり、本発明のベースフィルムを用い、このベースフィルム上にパターン化された透明導電膜を形成することによって製造された透明導電性フィルム(例えば、静電容量式タッチパネル用透明導電性フィルム)は、「骨見え」が抑制され、視認性が向上する。
図1は、実施例2のプラズマ処理前後のベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)面の反射スペクトルである。 図2aは、実施例2のプラズマ処理前のベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)面の反射スペクトルである。 図2bは、実施例2のプラズマ処理後のベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)面の反射スペクトルである。 図3は、比較例1のプラズマ処理前後のベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)面の反射スペクトルである。
本発明のベースフィルムは、基材フィルム上に最表層として活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備える。この活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが70nm未満、屈折率が1.55以下、かつ無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有する。
本発明のベースフィルムは、透明導電性フィルムに用いられるベースフィルムである。本発明のベースフィルムを用いた透明導電性フィルムは、ベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施され、このプラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜がドライ方式で積層せしめられて製造される。
プラズマ処理は、ベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)と透明導電膜との密着性を向上させるために行われる。活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理を施すことによって、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に微細な凹凸が形成され、この微細凹凸が透明導電膜との密着性に寄与していると考えられている。
しかし、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に微細凹凸を形成するために施されるプラズマ処理は、同時に活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面を必要以上に削り取り、膜厚を減少させることが判明した。
上記のプラズマ処理による活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚減少は、プラズマ処理前後のベースフィルムの反射スペクトルを比較することによって確認することができる。
例えば、図3は、後述の実施例における比較例1のプラズマ処理前後のベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)面の反射スペクトルである。符号aはプラズマ処理前の反射スペクトルであり、符号bはプラズマ処理後の反射スペクトルである。反射スペクトルaとbは大きく乖離している。この2つの反射スペクトルの乖離は、プラズマ処理前の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚とプラズマ処理後の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚との差が大きいことを表している。
一方、本発明の実施例2のプラズマ処理前後の反射スペクトルを図1に示す。2つの反射スペクトルaとbはほとんど乖離してなく、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚の差が小さいことを表している。尚、図2aおよび図2bは、図1の反射スペクトルaおよび反射スペクトルbをそれぞれ単独で示した図である。
本発明は、基材フィルム上に最表層として厚みが70nm未満で屈折率が1.55以下である活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備えたベースフィルムを用いることにより、透明導電性フィルムの視認性が向上することを確認している。しかし、プラズマ処理によって活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚減少が起こると、視認性の向上効果が低減する。
本発明において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みは70nm未満の範囲内において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)屈折率(1.55以下の範囲)、透明導電膜の材料や厚み、基材フィルムの種類、あるいは基材フィルムと活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)との間に設けられる他の光学調整層の屈折率や厚み等に応じて、光学的シミュレーションあるいは経験的に視認性向上に有効な厚みに予め設定される。
しかし、上記したように透明導電性フィルムの製造過程におけるプラズマ処理により活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚み(最終膜厚)が減少したり、あるいはプラズマ処理条件によって厚み(最終膜厚)がばらついたりすると、光学調整層としての機能が十分に発現せず良好な視認性が安定的に得られない。特に、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚は70nm未満と薄膜であり、このような薄膜の場合はプラズマ処理による膜減りは光学調整機能を大きく低下させる。
そこで、本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)に無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有させることにより、プラズマ処理における膜厚減少が抑制されることを見出し本発明に至った。
以下、本発明のベースフィルムを構成する各構成要素を詳細に説明する。
[活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)]
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、基材フィルム上に最表層として設けられる層である。活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みは、70nm未満である。活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みが70nm以上となると、透明導電性フィルムの視認性が十分に向上しない。特に透明導電膜の「骨見え」が十分に抑制されない。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みは、前述したように70nm未満の範囲内において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の屈折率(1.55以下の範囲)、透明導電膜の材料や厚み、基材フィルムの種類、あるいは基材フィルムと活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)との間に設けられる他の光学調整層の屈折率や厚み等に応じて、透明導電性フィルムの視認性が向上するように、特に透明導電膜の「骨見え」の抑制効果が最適となるように設計される。具体的には、以下の範囲で調整されることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みは、10〜65nmの範囲で調整されることが好ましく、20〜60nmの範囲で調整されることがより好ましく、25〜55nmの範囲で調整されることが特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みが10nm未満となると、視認性が十分に向上しないことがある。また、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、ウェットコーティング法で塗布し形成されることが好ましいが、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)をウェットコーティング法により精度よく形成するという観点からも、その厚みは10nm以上であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の屈折率は、1.55以下であることが重要である。活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の屈折率が1.55より大きくなると、透明導電性フィルムの視認性が十分に向上しない。特に透明導電膜の「骨見え」が十分に抑制されない。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の屈折率は、さらに透明導電性フィルムの視認性向上の観点(特に透明導電膜の「骨見え」を十分に抑制するという観点)から、その下限は1.38以上が好ましく、そして、その数値範囲は1.38〜1.53の範囲が好ましく、1.40〜1.51の範囲がより好ましく、1.42〜1.49の範囲が特に好ましい。
本発明において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の屈折率、および後述する各層の屈折率は、特に断りの無い限り、波長589nmにおける屈折率である。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有する。無機粒子含有量の上限は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)における無機粒子の含有量が20質量%未満では、プラズマ処理における膜厚減少を十分に抑制することができない。一方、無機粒子の含有量が90質量%を超えると活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の硬度が低下したり、塗工性が悪化したりするなどの不都合が生じることがある。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)における無機粒子の含有量は、プラズマ処理における膜厚減少を有効に抑制するという観点から、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が特に好ましい。
無機粒子の平均粒子径(r:nm)は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚み(d:nm)より小さいことが好ましい。つまり、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚み(d:nm)に対する無機粒子の平均粒子径(r:nm)の比率(r/d)は、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下が特に好ましい。上記比率(r/d)の下限は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましい。このような無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)に、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有させることにより、プラズマ処理による膜厚減少が有効に抑制される。
無機粒子の平均粒子径は、具体的には5〜60nmの範囲が好ましく、10〜50nmの範囲がより好ましく、10〜40nmの範囲が特に好ましい。
無機粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらの無機粒子の中でもシリカが好ましく用いられる。
シリカの形状は特に限定されないが、球状のものが好ましい。また、シリカ粒子の内部に空洞を持つ中空シリカ、あるいは内部に空洞を有しない中実シリカを用いることができる。
プラズマ処理による膜厚減少を有効に抑制するという観点から、中実シリカが好ましく用いられ、特に球状の中実シリカが好ましく用いられる。球状の中実シリカとしては、コロイダルシリカ(コロイド状シリカ)が好ましく用いられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、上記したように比較的多くの無機粒子を含有するので、無機粒子同士が凝集しやすくなる。無機粒子が凝集すると、プラズマ処理による膜厚減少の抑制効果が低減する。従って、無機粒子の凝集を抑制するために表面処理が施された無機粒子を用いることが好ましい。
無機粒子の表面処理に用いられる表面処理剤としては、分子中にエチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤、分子中にフッ素原子を有するシランカップリング剤、および分子中にフッ素原子とエチレン性不飽和基を有する化合物からなる群の中から選ばれる少なくとも一種を用いることが好ましい。
ここで、エチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
分子中にエチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤としては、例えば、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、ビニルトリス(3−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシブチルトリメトキシシラン、アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、アクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシブチルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、メタクリロキシヘプチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
分子中にフッ素原子を有するシランカップリング剤としては、例えば下記の化合物が挙げられる。
CHCHSi(OCH
13CHCHSi(OCH
17CHCHSi(OCH
13CHCHCHSi(OCH
13CHCHCHCHSi(OCH
13CHCHSi(OC
17CHCHCHSi(OC
13CHCHCHCHSi(OC
13CHCHSiCl
13CHCHSiBr
13CHCHCHSiCl
13CHCHSi(OCH)Cl
分子中にフッ素原子とエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフロオロプロピルアクリレート、2−パーフルオロブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロデシルエチルアクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−3−メトキシブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルアクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ドデカフルオロヘプチルアクリレート、ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−パーフルオロブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロデシルエチルメタクリレート、2−パーフルオロ−3−メチルブチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−3−メチルブチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−5−メチルヘキシルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−5−メチルヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、3−パーフルオロ−7−メチルオクチルエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1−トリフルオロメチルトリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレート等が挙げられる。
分子中にフッ素原子とエチレン性不飽和基を有する化合物で表面処理する場合は、予め前述の分子中にエチレン性不飽和基を有するシランカップリング剤で表面処理しておくことが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、少なくとも活性エネルギー線硬化性樹脂と無機粒子を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた層である。活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、活性エネルギー線硬化性組成物をウェットコーティング法により塗布し、乾燥した後、活性エネルギー線を照射して硬化せしめた層であることが好ましい。
ウェットコーティング法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等の塗布方法を用いることができる。
活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、β線、γ線などが挙げられる。これらの活性エネルギー線の中でも、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましく用いられる。
紫外線を照射するための光源としては、特に限定されないが、例えば、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく用いられる。また、紫外線を照射するときに、低酸素濃度下の雰囲気下、例えば、酸素濃度が500ppm以下の雰囲気下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができるので好ましい。
紫外線の照射光量は、50mJ/cm以上が好ましく、100mJ/cm以上がより好ましく、特に150mJ/cm以上が好ましい。上限は2000mJ/cm以下が好ましく、1000mJ/cm以下がより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線によって重合されて硬化する樹脂を意味する。かかる活性エネルギー線硬化性樹脂としては、分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物(モノマーやオリゴマー)が挙げられる。ここで、エチレン性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基等が挙げられる。
尚、以下の説明において、「・・・(メタ)アクリレート」とは、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」の総称である。
分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する化合物として、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート−トルエンジイソシアネートウレタンオリゴマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート−イソホロンジイソシアネートウレタンオリゴマーなどが挙げられる。
また、多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、市販されているものを使用することができる。例えば、共栄社化学(株)製のウレタンアクリレートAHシリーズ、ウレタンアクリレートATシリーズ、ウレタンアクリレートUAシリーズ、根上工業(株)製のUN−3320シリーズ、UN−900シリーズ、新中村化学工業(株)製のNKオリゴUシリーズ、ダイセル・ユーシービー社製のEbecryl1290シリーズなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂として、分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物が好ましく、更に分子中にエチレン性不飽和基を3個以上有する化合物が好ましく用いられる。
活性エネルギー線硬化性組成物における活性エネルギー線硬化性樹脂の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましい。上限は80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合は、活性エネルギー線硬化性組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
また、光重合開始剤は一般に市販されており、それらを使用することができる。例えば、
チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア379、イルガキュア819、イルガキュア127、イルガキュア500、イルガキュア754、イルガキュア250、イルガキュア1800、イルガキュア1870、イルガキュアOXE01、DAROCURTPO、DAROCUR1173等、日本シイベルヘグナー(株)製のSpeedcureMBB、SpeedcurePBZ、SpeedcureITX、SpeedcureCTX、SpeedcureEDB、EsacureONE、Esacure KIP150、EsacureKTO46等、日本化薬(株)製のKAYACURE DETX−S、KAYACURE CTX、KAYACUREBMS、KAYACURE DMBI等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の屈折率を上述した範囲に調製するために、含フッ素化合物を含有させてもよい。
含フッ素化合物としては、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、βー(パーフロロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類、 ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,2−トリフルオロエチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ−(α−フルオロアクリル酸)−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルエチレングリコールなどのジ−(α−フルオロアクリル酸)フルオロアルキルエステル類が挙げられる。
[基材フィルム]
本発明における基材フィルムの材料は、特に限定されるものではないが、かかる材料として、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と称することがある)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファン等が挙げられる。好ましくは、熱、溶剤、折り曲げ等の加工時の負荷に対する耐性が高く、透明性が特に高い点で、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂等が挙げられ、より好ましくは、加工性に優れている点でポリエステルが使用される。ポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
基材フィルムの厚みは、20〜300μmの範囲が適当であり、50〜250μmの範囲が好ましく、50〜200μmの範囲がより好ましい。
基材フィルムは、少なくとも活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を積層する側の面に易接着層が設けられていることが好ましい。易接着層は基材フィルムの両面に積層されていることがより好ましい。
易接着層は、樹脂を含有する層であることが好ましい。かかる樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
易接着層の厚みは、5〜200nmの範囲が好ましく、10〜150nmの範囲がより好ましく、特に15〜120nmの範囲が好ましい。
易接着層は架橋剤を含有することが好ましい。かかる架橋剤としては、例えばメラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。これらの中でも、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤が好ましく用いられる。
易接着層における架橋剤の含有量は、易接着層の固形分総量100質量%に対して、1〜40質量%の範囲が好ましく、3〜35質量%の範囲がより好ましく、5〜30質量%の範囲が特に好ましい。
易接着層は、更に滑り性や耐ブロッキング性の向上のために、有機あるいは無機の粒子を含有することが好ましい。このような粒子としては特に限定されないが、例えばシリカ、炭酸カルシウム、ゼオライト粒子などの無機粒子や、アクリル粒子、シリコーン粒子、ポリイミド粒子、テフロン(登録商標)粒子、架橋ポリエステル粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋重合体粒子、コアシェル粒子などの有機粒子が挙げられる。これらの粒子の中でも、シリカが好ましく、更にコロイダルシリカが好ましく用いられる。
易接着層における粒子の含有量は、易接着層の固形分総量100質量%に対して0.05〜8質量%の範囲が好ましく、0.1〜5質量%の範囲がより好ましい。
易接着層は、基材フィルム上にウェットコーティング法により積層されていることが好ましい。特に易接着層を基材フィルムの製造工程内で積層する、いわゆる「インラインコーティング法」で積層されていることが好ましい。基材フィルム上に易接着層を塗布する際には、塗布性や密着性を向上させるための予備処理として、基材フィルム表面にコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
[ベースフィルムの構成]
本発明のベースフィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の最表面に活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を有する。活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、基材フィルムの両面に設けることができるが、基材フィルムの一方の面のみ(片面のみ)に設けることが好ましい。この場合、基材フィルムの他方の面(活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を有する面とは反対面)には、後述するハードコート層(H)が設けられていることが好ましい。
本発明のベースフィルムは、基材フィルムと活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)との間に屈折率が1.61〜1.80である高屈折率層(B)を有していることが好ましい。この構成(基材フィルム/高屈折率層(B)/活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の構成)とすることにより、更に透明導電性フィルムの視認性が向上する。
高屈折率層(B)の屈折率は、透明導電膜の「骨見え」の抑制の観点から、更に1.62〜1.77の範囲が好ましく、1.63〜1.75の範囲がより好ましい。
高屈折率層(B)の厚みは、透明導電膜の「骨見え」の抑制の観点から、20〜65nmの範囲が好ましく、25〜60nmの範囲がより好ましく、30〜55nmの範囲が特に好ましい。
高屈折率層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を積層する方法としては、高屈折率層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)とを、それぞれ1層ずつウェットコーティング法により塗布して積層してもよいし、ウェットコーティング法により同時に積層塗布してもよいし、あるいは1つの塗布液を1回ウェットコーティング法により塗布した後層分離させて形成してもよい。
1層ずつウェットコーティング法により塗布して積層する方法は、高屈折率層(B)をウェットコーティングし乾燥および硬化させて形成した後、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)をウェットコーティングし乾燥および硬化させて形成する方法である。高屈折率層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の形成は、別々の工程で行ってもよいし、1つの工程で連続的に行ってもよい。
ウェットコーティング法により同時に積層塗布する方法は、同時に積層塗布が可能なコーティング方法、例えば、多層スロットダイコーター、多層スライドビードコーター、エクストルージョン型ダイコーター等を用いて高屈折率層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)とを同時に積層塗布し、乾燥および硬化性させる方法である。
1つの塗布液を1回ウェットコーティング法により塗布した後、層分離させて形成する方法は、高屈折率層(B)の成分と活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の成分を含む1つの塗布液をウェットコーティング法により1回塗布した後、乾燥過程で層分離させて高屈折率層(B)と活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)とを形成する方法である。
上記の層分離させる方法は、例えば、特開2007−133236号公報、特開2008−7414号公報、特開2008−7415号公報、特開2009−58954号公報、特開2009−75576号公報、特開2009−198748号公報、特開2010−39417号公報、特開2010−196043号公報、特開2010−215746号公報、特開2011−84710号公報、特開2012−31325号公報、特開2012−36394号公報等に記載されており、これらの方法を参照して用いることができる。
高屈折率層(B)は、少なくとも活性エネルギー線硬化性樹脂と金属酸化物微粒子を含有する層であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、前述の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)に用いられるものと同様のものを用いることができる。
金属酸化物微粒子としては、屈折率が1.7〜2.8の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。かかる金属酸化物微粒子としては、チタン、ジルコニウム、亜鉛、錫、アンチモン、セリウム、鉄、インジウム等の金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物微粒子の具体例としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、リンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられ、これらの金属酸化物微粒子は単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。上記金属酸化物微粒子の中でも、特に酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが、透明性を低下させずに高屈折率層(B)の屈折率を高めることができるので好ましい。
高屈折率層(B)における金属酸化物微粒子の含有量は、高屈折率層(B)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が特に好ましく、45質量%以上が最も好ましい。上限は90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、特に80質量%以下が好ましい。
本発明のベースフィルムは、更に、基材フィルムと高屈折率層(B)との間に、ハードコート層(C)を有していることが好ましい。この構成(基材フィルム/ハードコート層(C)/高屈折率層(B)/活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の構成)とすることにより、ベースフィルムの耐擦傷性が向上し、基材フィルムからのオリゴマー析出が抑制され、そして透明導電性フィルムの視認性が向上する。
上記観点から、ハードコート層(C)の厚みは0.3〜5μmの範囲が好ましく、0.5〜4μmの範囲がより好ましく、特に1〜3μmの範囲が好ましい。このハードコート層(C)の屈折率は、1.48〜1.54の範囲が適当であり、1.50〜1.53の範囲が好ましい。
ハードコート層(C)は、活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた層であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、前述の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)に用いられるものと同様のものを用いることができる。
[ハードコート層(H)]
ハードコート層(H)は、ベースフィルムおよび透明導電性フィルムに良好なすべり性や耐ブロッキング性を付与するために、粒子を含有することが好ましい。
ハードコート層(H)が粒子を含有することにより、ベースフィルムのヘイズ値が大きくなり透明性が低下する傾向にあるが、ハードコート層(H)の厚み(T)に対して、粒子の平均粒子径(D)が十分に小さい粒子を用いることによってヘイズ値の上昇を抑制することができる。
つまり、ヘイズ値の上昇を抑制しながら良好なすべり性や耐ブロッキング性を確保するという観点から、ハードコート層(H)の厚み(T)[μm]に対する粒子の平均粒子径(D)[μm]の比率(D/T)は、0.01〜0.5の範囲が好ましく、0.02〜0.3の範囲がより好ましく、特に0.03〜0.2の範囲が好ましい。
ハードコート層(H)に含有させる粒子の平均粒子径は、具体的に、0.5μm未満が好ましく、0.4μm未満がより好ましく、0.3μm未満が特に好ましい。平均粒子径の下限は、0.03μm以上が好ましく、0.04μm以上がより好ましく、0.05μm以上が特に好ましい。
粒子としては、有機粒子や無機粒子を用いることができる。有機粒子を構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂粒子が好ましく用いられる
ここでアクリル系樹脂粒子とは、アクリル樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子、アクリルモノマーあるいはメタクリルモノマーと他のモノマー(例えば、スチレン、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、シリコーンアクリレート、シリコーンメタクリレート等)との共重合樹脂粒子が含まれる。
上記共重合樹脂粒子の中でも、スチレン−アクリル共重合樹脂粒子やスチレン−メタクリル共重合樹脂粒子のようなスチレン−アクリル系共重合樹脂粒子が好ましく用いられる。
これらの有機粒子は乳化重合法により合成されることが好ましく、乳化重合法で合成されることによって平均粒子径が0.5μm未満の有機粒子を得ることができる。
無機粒子としてはシリカが好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。
ハードコート層(H)における粒子の含有量は、ハードコート層(H)の固形分総量100質量%に対して3〜30質量%の範囲が好ましく、5〜25質量%の範囲がより好ましく、特に7〜20質量%の範囲が好ましい。
ハードコート層(H)の厚みは、良好なすべり性や耐ブロッキング性を得るという観点およびベースフィルムのカールバランスを維持するという観点から、0.5〜5μmの範囲が好ましく、0.8〜4μmの範囲がより好ましく、特に1〜3μmの範囲が好ましい。
ハードコート層(H)は、活性エネルギー線硬化性樹脂を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた層であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、前述の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)に用いられるものと同様のものを用いることができる。
[プラズマ処理]
本発明のベースフィルムは、その活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施され、このプラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜がドライ方式で積層せしめられる透明導電性フィルムに用いられる。
このプラズマ処理に際し、ガスを導入することが好ましい。導入ガスとしては、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水蒸気等が好ましく用いられる。
プラズマ処理は、真空下で行うことが好ましい。真空度としては、100Pa以下が好ましく、10Pa以下がより好ましく、1Pa以下が特に好ましい。真空度の下限は特に限定されないが、1×10−4Pa程度である。
プラズマ出力は、100〜1000Wの範囲が好ましく、200〜800Wの範囲がより好ましい。処理時間は10〜500秒間が好ましく、20〜300秒間がより好ましい。
プラズマ処理に使用される電極材料としては、ステンレス、Ti、Fe、Cr等が挙げられるが、ステンレスたTiが好ましく用いられる。
[透明導電性フィルムの製造方法]
本発明のベースフィルムを用いた透明導電性フィルムの製造方法は、基材フィルム上に最表層として下記の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備えたベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理を施す工程(1)、プラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜をドライ方式で積層する工程(2)を含む。
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理を施す工程(1)は、前述したプラズマ処理が施される。
透明導電膜をドライ方式で積層する工程(2)は、工程(1)でプラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)上に直接に透明導電膜がドライ方式で積層される。ドライ方式としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が用いられる。
透明導電膜の材料としては、透明導電性フィルムに用いられる公知の材料を用いることができる。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム錫)、ATO(酸化アンチモン錫)などの金属酸化物が挙げられる。これらの中でもITOが好ましく用いられる。
透明導電膜の厚みは、透明導電膜の視認性を向上させるという観点から小さい方が好ましく、具体的には50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましく、特に25nm以下が好ましい。透明導電膜の厚みの下限は、低抵抗の透明導電膜を確保するという観点から5nm以上が好ましく、7nm以上がより好ましく、10nm以上が特に好ましい。
透明導電膜の表面抵抗値は、1000Ω/□以下が好ましく、500Ω/□以下が好ましい。
本発明の透明導電性フィルムの製造方法は、上記の工程(2)の後に、更に透明導電膜をパターン化する工程(3)を有することが好ましい。
透明導電膜をパターン化する工程(3)は、フォトレジストエッチング方法が好ましく用いられる。このフォトレジストエッチング方法は、透明導電膜上に所定パターンのエッチングレジスト膜を形成する工程(エッチングレジスト膜形成工程)、透明導電膜をエッチングする工程(エッチング工程)、エッチングレジスト膜をアルカリ液で剥離する工程(剥離工程)等からなる。
透明導電膜のパターン形状は、透明導電性フィルムが適用される用途に応じて、各種パターンが採用される。この透明導電膜のパターン化により、パターン部と非パターン部が形成されるが、パターン部のパターン形状としては、例えば、ストライプ状、格子状、あるいはこれらの組み合わせ等が挙げられる。具体的には、例えば、特開2006−344163号公報、特開2011−128896号公報等に開示されているパターンが挙げられる。
パターン化された透明導電膜を有する透明導電性フィルムは、透明導電膜のパターン部(透明導電膜がエッチングされずに残存している部分(導電部))と非パターン部(透明導電膜がエッチングされて除去された部分(非導電部))との反射率や透過率の違い、あるいはパターン部と非パターン部の色調の違いにより、パターン部が視認される、いわゆる「骨見え」が起こり、透明導電膜の視認性を低下させている。この「骨見え」の問題は、本発明のベースフィルムを用いることにより低減される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における、測定方法および評価方法を以下に示す。
[測定方法および評価方法]
(1)屈折率の測定1
各層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターにて塗工形成した塗膜(乾燥厚み約2μm)について、25℃の温度条件下で位相差測定装置(ニコン(株)製:NPDM−1000)で589nmの屈折率を測定した。この塗工形成した塗膜の屈折率をもって各層の屈折率とする。よって、下記の実施例および比較例における各層の屈折率の値は、ここで測定した屈折率の値(各層を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を塗工形成した塗膜の屈折率の値)である。
(2)屈折率の測定2
基材フィルム(PETフィルム)の屈折率は、JIS K7105(1981)に準じて、アッベ屈折率計で589nmの屈折率を測定した。
(3)各層の厚みの測定
ベースフィルムの断面を超薄切片に切り出し、透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)で加速電圧100kVにて5万倍〜30万倍の倍率でサンプルの断面を観察し、各層の厚みを測定した。尚、複数層構成で層の境界が明確でない場合は必要に応じて染色処理を施した。
(4)活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)およびハードコート層(H)に含有する粒子の平均粒子径の測定
活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)およびハードコート層(H)の断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)で加速電圧100kVにて5万倍〜30万倍の倍率で観察し、その断面写真から、無作為に選択した30個の粒子のそれぞれの最大長さを計測し、それらを平均した値を粒子の平均粒子径とした。
(5)透明導電膜(ITO膜)の密着性
透明導電性フィルムのパターン化された透明導電膜(ITO膜)の表面に1mm(正方形状)のクロスカットを100個入れ、ニチバン(株)製セロハンテープをその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90度方向に急速に剥離し、以下の基準で密着性を評価した。
○:透明導電膜は全く剥がれていない。
×:透明導電膜の剥がれが認められる。
(6)透明導電膜のパターンの視認性「骨見え」の評価
黒い板の上に透明導電膜が上になるように透明導電性フィルムを置いて、目視により透明導電膜のパターン部が視認できるかどうか以下の基準で評価した。
○:パターン部が視認できない(良好レベル)。
△:パターン部が僅かに視認できるが、許容レベルである。
×:パターン部が明確に視認できる(不可レベル)。
[製造例1]
下記の要領でベースフィルムを作製した。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の作製>
実質的に外部添加粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施した後、一軸延伸フィルムの両面に下記の易接着層塗布組成物をそれぞれ塗布した。
次に、両面にそれぞれの易接着層塗布組成物が塗布された1軸延伸フィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃で乾燥、ラジエーションヒーターを用いて110℃に上げ、再度90℃で乾燥した後、引き続き連続的に120℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、続いて220℃の加熱ゾーンで20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した二軸延伸PETフィルムを作製した。このPETフィルムは両面に易接着層を有するPETフィルムである。このPETフィルムの厚みは100μm、両面に設けられた易接着層の厚みは、それぞれ90nmであった。
(易接着層塗布組成物)
下記のポリエステル樹脂を100質量部、メラミン系架橋剤(メチロール型メラミン系架橋剤(三和ケミカル(株)製の「ニカラックMW12LF」))を15質量部、平均粒子径が190nmのコロイダルシリカを1質量部含有する水系分散物である。
<ポリエステル樹脂>
下記の共重合組成からなるポリエステル樹脂である。
・カルボン酸成分
テレフタル酸 35モル%
2,6−ナフタレンジカルボン酸 9モル%
5−Naスルホイソフタル酸 6モル%
・グリコール成分
エチレングリコール 49モル%
ジエチレングリコール 1モル%。
<ベースフィルムの作製>
上記で作製したPETフィルムの一方の面の易接着層上にハードコート層(H)を積層し、次いでPETフィルムの他方の面(ハードコート層(H)が積層されている面とは反対面)の易接着層上にハードコート層(C)、高屈折率層(B)および活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)をこの順に積層してベースフィルムを作製した。
<ハードコート層(H)の積層>
上記で作製したPETフィルムの一方の面の易接着層上に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物hをウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布して、90℃で乾燥後、紫外線を500mJ/cm照射し硬化させてハードコート層(H)を形成した。このハードコート層(H)は、厚み1.0μm、屈折率が1.52であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物h>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを87質量部、有機粒子としてスチレン−アクリル系共重合樹脂粒子(ガンツ化成(株)製の商品名「スタフィロイド EA−1135」;平均粒子径0.13μm)を固形分換算で8質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に分散・溶解して調製した。
<ハードコート層(C)の積層>
上記でハードコート層(H)が積層されたPETフィルムの他方の面(ハードコート層(H)が積層されている面とは反対面)の易接着層上に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物cをウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布して、90℃で乾燥後、紫外線を500mJ/cm照射し硬化させてハードコート層(C)を形成した。このハードコート層(C)は、厚み1.5μm、屈折率が1.52であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物c>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート58質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)の「UN−901T」;分子中にエチレン性不飽和基を9個含む)37質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に分散・溶解して調製した。
<高屈折率層(B)の積層>
上記で積層したハードコート層(C)の上に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物bをウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布して、90℃で乾燥後、紫外線を350mJ/cm照射し硬化させて高屈折率層(B)を形成した。この高屈折率層(B)は、厚みが37nm、屈折率が1.65であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物b>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート47質量部、酸化ジルコニウム50質量部、および光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)3質量部を有機溶媒(プロピレングリコールモノエチルエーテル)に分散・溶解して調製した。
<活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の積層>
上記で積層した高屈折率層(B)の上に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物a1をウェットコーティング法(グラビアコート法)により塗布して、90℃で乾燥後、紫外線を350mJ/cm照射し硬化させて活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を形成した。この活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが42nm、屈折率が1.48であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a1>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを53質量部、含フッ素化合物として(ダイキン工業(株)製のフッ素樹脂「AR110」)を15質量部、下記の表面処理コロイダルシリカ(1)を30質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)2質量部を有機溶媒(メチルエチルケトン)に分散・溶解して調製した。
<表面処理コロイダルシリカ(1)>
コロイダルシリカ(日産化学工業(株)のオルガノシリカゾル「MEK−ST」;平均粒子径20nm)100質量部にメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを5質量部添加し、50℃で1時間加熱処理して調製した。
[製造例2]
製造例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a2に変更する以外は、製造例1と同様にしてベースフィルムを作製した。この活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが42nm、屈折率が1.47であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a2>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを43質量部、含フッ素化合物として(ダイキン工業(株)製のフッ素樹脂「AR110」)を10質量部、上記の表面処理コロイダルシリカ(1)を45質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)2質量部を有機溶媒(メチルエチルケトン)に分散・溶解して調製した。
[製造例3]
製造例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a3に変更する以外は、製造例1と同様にしてベースフィルムを作製した。この活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが45nm、屈折率が1.46であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a3>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを30質量部、含フッ素化合物として(ダイキン工業(株)製のフッ素樹脂「AR110」)を8質量部、上記の表面処理コロイダルシリカ(1)を60質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)2質量部を有機溶媒(メチルエチルケトン)に分散・溶解して調製した。
[製造例4]
製造例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a4に変更する以外は、製造例1と同様にしてベースフィルムを作製した。この活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが45nm、屈折率が1.46であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a4>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを68質量部、含フッ素化合物として(ダイキン工業(株)製のフッ素樹脂「AR110」)を30質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)2質量部を有機溶媒(メチルエチルケトン)に分散・溶解して調製した。
[製造例5]
実施例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を形成するための活性エネルギー線硬化性組成物を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a5に変更する以外は、製造例1と同様にしてベースフィルムを作製した。この活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが42nm、屈折率が1.47であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a5>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを63質量部、含フッ素化合物として(ダイキン工業(株)製のフッ素樹脂「AR110」)を25質量部、上記の表面処理コロイダルシリカ(1)を10質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア(登録商標)184」)2質量部を有機溶媒(メチルエチルケトン)に分散・溶解して調製した。
[製造例6]
製造例1において、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みを80nmに変更する以外は、製造例1と同様にしてベースフィルムを作製した。
[活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の特性]
上記の製造例1〜6で得られたベースフィルムを構成する活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の特性を表1に示す。
Figure 2015130283
[実施例1〜3、比較例1〜3]
製造例1〜6で得られたベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に、下記条件でプラズマ処理を施した。
<プラズマ処理条件>
・真空度:1Pa
・導入ガス:アルゴン
・プラズマ出力(電極強度):500W
・フィルム搬送速度:1m/分
・照射距離(ベースフィルムと電極との距離):70mm
・電極材料:Ti。
<透明導電膜(ITO膜)の積層>
次に、プラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に、透明導電膜(ITO膜)を厚みが12nmとなるようにスパッタリング法で積層し、以下のエッチング処理を施して格子状パターンのITO膜を形成して、透明導電性フィルムを得た。
<エッチング処理>
ITO膜上に市販のアクリル系ネガ型のドライレジストフィルムを貼り合わせ、このドライレジストフィルムの上からフォトマスクを介してメタルハライドランプで露光し、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で現像して格子状パターンのエッチングレジスト膜を形成した。この格子状パターンのエッチングレジスト膜を介してITO膜をエッチング処理(5質量%の塩酸(塩化水素水溶液)に1分間浸漬)し、続いてエッチングレジスト膜を45℃の2質量%水酸化ナトリウム水溶液で剥離処理し、最後に水洗して格子状パターンのITO膜を形成した。
[比較例11〜16]
製造例1〜6で得られたベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に、プラズマ処理を施さない以外は、実施例1〜3および比較例1〜3と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
[評価]
上記で得られた透明導電性フィルムについて、透明導電膜(ITO膜)の密着性と透明導電膜のパターン視認性「骨見え」を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2015130283
本発明の実施例1〜3は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施されており、透明導電膜の密着性が良好である。更に、実施例1〜3は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)が無機粒子を20質量%以上含有しており、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施されても、透明導電膜のパターン視認性「骨見え」は良好もしくは許容レベルである。
一方、比較例1、2は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)が無機粒子を全く含有していないか、もしくは無機粒子の含有量が20質量%未満であるため、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施されると、透明導電膜のパターン視認性「骨見え」が悪化している。これは、プラズマ処理によって活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚が減少していることが起因していると推測される。
比較例3は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みが70nm以上であり、透明導電膜のパターン視認性「骨見え」が劣っている。
比較例11〜16は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)表面にプラズマ処理が施されていないため、透明導電膜の密着性が劣っている。
また、比較例14、15は、比較例1、2と同じベースフィルムを用いているが、比較例14、15はプラズマ処理が施されていないため、比較例1、2に比べて透明導電膜のパターン視認性「骨見え」が良好である。これは、比較例1、2はプラズマ処理によって活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚が減少し、一方比較例14、15はプラズマ処理が施されていないため活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の膜厚減少が起こっていないことが起因していると推測される。
比較例16は、活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の厚みが70nm以上であり、透明導電膜のパターン視認性「骨見え」が劣っている。
a:プラズマ処理前の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)面の反射スペクトル
b:プラズマ処理後の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)面の反射スペクトル

Claims (5)

  1. 基材フィルム上に最表層として下記の活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備えたベースフィルムの活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理を施す工程(1)、および
    プラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜をドライ方式で積層する工程(2)を含む、透明導電性フィルムの製造方法。
    <活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)>
    活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが70nm未満、屈折率が1.55以下、かつ無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有する。
  2. 前記工程(2)の後に、透明導電膜をパターン化する工程(3)を有する、請求項1に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
  3. 基材フィルム上に最表層として活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)を備えたベースフィルムであり、
    該ベースフィルムの前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面にプラズマ処理が施され、このプラズマ処理が施された活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の表面に透明導電膜がドライ方式で積層せしめられる透明導電性フィルムに用いられるベースフィルムであって、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、厚みが70nm未満、屈折率が1.55以下の層であり、かつ
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)は、無機粒子を活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)の固形分総量100質量%に対して20質量%以上含有することを特徴とする、透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム。
  4. 基材フィルムと活性エネルギー線硬化性樹脂層(A)との間に、屈折率が1.61〜1.80である高屈折率層(B)を有する、請求項3に記載の透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム。
  5. 基材フィルムと高屈折率層(B)との間に、ハードコート層(C)を有する、請求項4に記載の透明導電性フィルムに用いられるベースフィルム。
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