JP5412321B2 - 透明性に優れた離型フィルム - Google Patents
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さらに詳細には、粘着剤層に離型フィルムを貼り合わせた状態で、これらの光学フィルム及び粘着フィルムの性能を検査・測定できるように、全光線透過率が高く、且つヘイズ値が低くて透明性に優れていると共に、離型剤の脱落が少なく、剥離特性・残留接着特性に優れた離型フィルムに関するものである。
また、本発明の離型フィルムは、粘着剤層が積層された各種の光学フィルムの粘着剤層に貼り合わせて使用することができる。
また、本発明の離型フィルムは、片面に粘着剤層が積層され、その反対側面に離型性を有する粘着フィルムに使用することができる。
また、その粘着フィルムを使用する必要が生じた時点で、離型フィルムを剥がすことにより粘着剤層が露出し、他の基材などに貼り合わせることができる。剥がされた離型フィルムは不要であり廃棄される。
また、基材に粘着剤層を積層してなる粘着フィルムにおいて、基材の一方の面に離型剤を塗布して離型フィルムの機能を持たせ、基材の他方の面に粘着剤を塗布して、ロール状に巻取ることにより、離型フィルムを省くことも必要に応じて可能である。
タッチパネルやディスプレイに代表される光学用途では、最近、光学フィルム部材を光学粘着剤(全光線透過率が高い粘着剤)で貼り合わせ、複合部材を作成することが広く行なわれている。このような用途では離型フィルムを積層した状態で光学フィルムや複合材を検査することが行なわれており、その際には、離型フィルムに剥離特性や残留接着特性以外に光学特性として全光線透過率が高く、ヘイズが低いことが求められている。
また、特許文献5にはポリエステルフィルムの少なくとも片面に、不活性微粒子を含有する離型層を設けた離型フィルムが開示されている。
また、特許文献6にはポリエステルフィルムの片面に離型層を有するフィルムであり、離型層側から入射した紫外線の絶対反射率が360〜370nmの波長領域全域にわたって5.5%以下である離型フィルムが開示されている。
偏光板用途の場合、偏光板(または偏光子)で全光線のうち、半分の量の光が透過しないため、離型フィルムの透明性がある程度高ければ使用可能であるが、偏光板以外の光学部材の検査時には特許文献1〜4の離型フィルムでは、透明性が十分ではなく、より全光線透過率の高い離型フィルムが求められている。
特許文献5の段落0026には、離型層に含有される球状シリカ粒径が大きくなり過ぎると、異物が発生しやすくなるため、球状シリカ粒子の平均粒径は好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下であることが記載されている。また、特許文献5の段落0018には離型フィルムの用途は透明性が要求される場合、遮光性が要求される場合のいずれもある旨が記載され、段落0023では不活性微粒子としてカーボンブラック等の有色粒子も例示されている。また、実施例でも全光線透過率の数値は特に示されていない。
これらの記載からは、特許文献5は、可視光線に対する全光線透過率に優れる離型フィルムを得るための手段を特に開示していないと考えられる。
しかしながら、特許文献6の離型フィルムは、フォトリソグラフィーにおいて露光時に照射される紫外光が離型フィルムで反射することによる問題を解決する発明である。離型層側の界面の反射率が低いのみならず、該界面を透過した紫外光を吸収するため、段落0029〜0031には、離型フィルムに紫外線吸収性を付与すると同時に可視光線透過性を維持する方法が記載されているが、具体的には、離型フィルムを構成するポリエステルフィルム中に染料、顔料、紫外線吸収剤等を含有して着色する方法であり、実施例でも全光線透過率の数値は特に示されていない。
これらの記載からは、特許文献6は、可視光線に対する全光線透過率に優れる離型フィルムを得るための手段を特に開示していないと考えられる。
前記離型剤層に含まれる離型剤が、シリコーン系の離型剤であることが好ましい。
前記離型フィルム全体の全光線透過率が89%以上であり、且つ、ヘイズ値が3%以下であることが好ましい。
また、本発明は、両面に粘着面を有する粘着剤層と、前記の離型フィルムの2枚とを備え、前記離型フィルムの離型剤層を対向させて、前記粘着剤層の両方の粘着面にそれぞれ貼り合わせてなる積層フィルムを提供する。
また、本発明は、基材フィルムの片面に離型剤層を有する前記の離型フィルムと、前記離型フィルムの前記離型剤層が形成された面の反対側面に積層された粘着剤層とを備え、ロール状に巻取られてなる粘着フィルムを提供する。
光学特性の具体的な値としては、離型フィルムの全光線透過率89%以上、ヘイズ3%以下であり、しかも剥離性能が安定し残留接着特性も優れた離型フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の離型フィルムの一例であって、透明性を有するポリエステル樹脂からなる基材フィルム1の片面に、ブロッキング防止用の微粒子3として無機微粒子及び/又はポリマー微粒子を含有する透明な凹凸層2を形成し、該凹凸層2の上に更に離型剤層4を形成してなる離型フィルム5を模式的に示している。
無機微粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、ガラス粉末、タルクからなる無機粒子群から選択された1種以上であることが好ましい。また、ポリマー微粒子が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂からなる高分子樹脂粒子群から選択された1種以上であることが好ましい。
下地剤としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、シラン系コーティング剤、シリケート系コーティング剤などが挙げられる。離型剤がシリコーン系離型剤の場合、下地剤がシランカップリング剤を含有することが好ましい。
このような凹凸層2を設けることにより、基材フィルム1に離型剤を直接付着させた場合と比較して離型剤の付着力を増大して、離型剤の脱落を抑制し、残留接着特性を向上することができる。
これにより、下地剤層7の厚さが薄く、あるいは微粒子3の量が少なくても、微粒子3が下地剤層7の中に埋没せず、微粒子3の粒子径と下地剤層7の平均的な膜厚との差に相当する凸部および凹部を含むブロッキング防止用の表面起伏が形成される。なお、微粒子3の上部表面に下地剤が薄く付着しても、或いは付着していなくても、構わない。
また、微粒子3の平均粒子径は、下地剤層7の膜厚より大きく、特に下地剤層7の膜厚の2〜3倍またはそれ以上であることが好ましい。
離型剤は、溶剤を混ぜて塗布するものでもよく、無溶剤で塗布可能なものでもよい。
ポリジメチルシロキサン等のシリコーンは、ポリマーに限られるものではなく、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン(四量体)などのオリゴマーを含んでも良い。
離型剤層4の表面起伏は、ブロッキングの防止に適している。また、微粒子3の上が離型剤層4で覆われるため、離型剤層4の表面が他の物品の表面と摩擦しても、微粒子3の脱落を効果的に抑制することができる。
したがって、全光線透過率85%以上、ヘイズ3%以下のポリエステルフィルムからなる基材フィルム1を用いて、離型フィルム5全体の全光線透過率が89%以上であり、且つ、離型フィルム5のヘイズ値が3%以下である離型フィルム5を得ることができる。
図2は、基材12の少なくとも片面に粘着剤層13が積層された1つ以上の粘着面14を有する積層体11と、離型フィルム5とを備え、積層体11の粘着剤層13の粘着面14に、離型フィルム5の離型面6を貼り合わせてなる積層フィルム10を模式的に示している。図2では、離型フィルム5の片面の離型面6の詳細は図示を省略しているが、図1の離型面6と同様に、微粒子3を含有する凹凸層2と離型剤層4を備えている。
粘着剤層13は、例えばタッチパネルやディスプレイ等の光学用途において、光学フィルムをガラス基板などの透明基板等の被着体に貼合するために用いることができる。
離型フィルム5は、微粒子3による表面起伏のため、ブロッキングが起こりにくく、離型フィルム5を粘着剤層13から剥離し、さらにロールに巻き取る作業を円滑に行うことができる。また、微粒子3が脱落しにくく、粘着剤層13の粘着力を損ねることもない。
離型フィルム5の全光線透過率が高いため、離型フィルム5を積層した積層フィルム10の状態で、光学フィルムや複合材等の積層体11を検査することが可能である。
厚さ:50μm、全光線透過率:90.3%、ヘイズ:0.6%のポリエステルフィルムの片面に、シラン系コーティング剤(東レダウコーニング株式会社製シランカップリング剤 商品名:SH3067とアルミキレート化合物の混合物)100重量%に球状シリカ粒子(粒子径5μm)0.45重量%の割合で均一に混合して調製した下地剤を乾燥厚0.2μmで塗布し、乾燥させ凹凸層を形成した。さらに凹凸層の上にシリコーン系離型剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、商品名:BY24−179、乾燥後の屈折率:1.41)を乾燥厚0.1μmで塗布・乾燥させて、実施例1の離型フィルムを製造した。
離型フィルムの全光線透過率は、JISK7105に規定する方法により測定した。JISK7105に準じて、日本電色株式会社製のヘイズメーター「NDH2000」を使用して全光線透過率を測定し、3点の平均値を測定値とした。
離型フィルムのヘイズ値は、JISK7105に規定する方法により測定した。JISK7105に従い、日本電色株式会社製のヘイズメーター「NDH2000」を使用してヘイズ値を測定し、3点の平均値を測定値とした。
離型フィルムの離型面にポリエステル粘着テープ(日東電工株式会社製、商品名:ポリエステルテープNo.31B)を貼り合わせ、20g/cm2の荷重下、70℃で20時間エージングした後、引張試験機にて剥離速度300mm/分、剥離角度180°にて引き剥がした際の剥離強度として剥離力を測定した。
上記(剥離力の測定)による試験後の離型フィルムから引き剥がした粘着テープを被着体(ステンレス板)に対してローラで圧着し、23℃、55%RHの環境下で1時間放置した後、引張試験機にて剥離速度300mm/分、剥離角度180°にて当該被着体から剥離するときの剥離力を測定して残留粘着力とした。
これとは別に未使用の粘着テープを同一材質の被着体に圧着して剥離するときの剥離力を同様に測定して基準粘着力とした。
残留接着率は、(残留粘着力)/(基準粘着力)×100(%)という式により算出した。
上記(剥離力の測定)による試験後の離型フィルムの表面を指の腹で強く3回擦った後、擦った部分を目視で観察して、離型剤の脱落がほとんどなかったものを(○)、離型剤の脱落が少しあったものを(△)、離型剤の脱落が著しかったものを(×)として評価した。
実施例1の離型フィルムは、全光線透過率が95.1%、ヘイズ値が1.3%、剥離力が65mN/50mm、残留接着率が97%であり、離型剤の脱落がほとんどなく、離型剤密着性は(○)であった。また、離型フィルムを重ねてもブロッキングせず、剥離性にも優れていた。
基材フィルムとして厚さ:50μm、全光線透過率:87.9%、ヘイズ:1.3%のポリエステルフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の離型フィルムを製造した。実施例2の離型フィルムは、全光線透過率が92.2%、ヘイズ値が1.7%、剥離力が70mN/50mm、残留接着率が96%であり、離型剤の脱落がほとんどなく、離型剤密着性は(○)であった。また、離型フィルムを重ねてもブロッキングせず、剥離性にも優れていた。
基材フィルムとして厚さ:50μm、全光線透過率:88.1%、ヘイズ:1.1%のポリエステルフィルム、離型剤としてシリコーン系離型剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KS−847T、乾燥後の屈折率:1.41)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の離型フィルムを製造した。実施例3の離型フィルムは、全光線透過率が92.8%、ヘイズ値が1.5%、剥離力が85mN/50mm、残留接着率が99%であり、離型剤の脱落がほとんどなく、離型剤密着性は(○)であった。また、離型フィルムを重ねてもブロッキングせず、剥離性にも優れていた。
基材フィルムとして厚さ:50μm、全光線透過率:87.4%、ヘイズ:2.8%のポリエステルフィルムの片面に、下地層としてシラン系コーティング剤(東レダウコーニング株式会社製シランカップリング剤 商品名:SH3067とアルミキレート化合物の混合物)100重量%に球状シリカ粒子(粒子径5μm)0.05重量%の割合で均一に混合して調製した下地剤を乾燥厚0.2μmで塗布し、乾燥させ凹凸層を形成した。さらに凹凸層の上にシリコーン系離型剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KS−847T、乾燥後の屈折率:1.41)を乾燥厚0.1μmで塗布・乾燥させて、実施例4の離型フィルムを製造した。実施例4の離型フィルムは、全光線透過率が91.4%、ヘイズ値が3.0%、剥離力が90mN/50mm、残留接着率が98%であり、離型剤の脱落がほとんどなく、離型剤密着性は(○)であった。また、離型フィルムを重ねてもブロッキングせず、剥離性にも優れていた。
図5に、本発明の離型フィルムにおいて、離型剤の膜厚と離型フィルムの全光線透過率との関係の一例を模式的に示す。
実施例1において、下地層を設けず凹凸層を施さない以外は実施例1と同様にして、比較例1の離型フィルムを製造した。
比較例1の離型フィルムは、全光線透過率が94.3%、ヘイズ値が0.9%、剥離力が340mN/50mm、残留接着率が92%であり、離型面を指の腹で擦った際には離型剤の脱落が発生、離型剤密着性は(×)であった。しかも、離型フィルムを重ねた際にブロッキングし、剥離性と離型剤の密着性が劣る結果となった。
実施例1において、下地剤に球状シリカ粒子を添加しないで塗布したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の離型フィルムを製造した。
比較例2の離型フィルムは、全光線透過率が95.3%、ヘイズ値が0.8%、剥離力が290mN/50mm、残留接着率が92%であり、離型剤の脱落がほとんどなく、離型剤密着性は(○)であった。しかし、離型フィルムを重ねた際にブロッキングし、剥離性が劣る結果となった。
Claims (8)
- 全光線透過率85%以上、ヘイズ3%以下のポリエステルフィルムからなる基材フィルムの少なくとも片面に、無機微粒子および/またはポリマー微粒子からなるブロッキング防止用の微粒子が、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、シラン系コーティング剤、シリケート系コーティング剤からなる群から選択した下地剤を含有した下地剤層により接着されてなり、前記ブロッキング防止用の微粒子の平均粒子径が、前記下地剤層の膜厚みよりも大きく、前記ブロッキング防止用の微粒子が、前記下地剤層の膜厚みよりも上方に突出した構造を有する透明な凹凸層を設け、さらに前記凹凸層の上に、屈折率1.40〜1.45の離型剤からなる離型剤層を厚さ0.05〜0.15μmとなるように設けたことを特徴とする離型フィルム。
- 前記下地剤層の膜厚みが0.05μm〜0.4μmであることを特徴とする請求項1に記載の離型フィルム。
- 前記無機微粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、ガラス粉末、タルクからなる無機粒子群から選択された1種以上であり、
前記ポリマー微粒子が、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂からなる高分子樹脂粒子群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の離型フィルム。 - 前記離型剤層に含まれる離型剤が、シリコーン系の離型剤であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の離型フィルム。
- 前記離型フィルム全体の全光線透過率が89%以上であり、且つ、ヘイズ値が3%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の離型フィルム。
- 少なくとも片面に粘着剤層が積層された1つ以上の粘着面を有する積層体と、請求項1から5のいずれかに記載の離型フィルムとを備え、前記積層体の粘着剤層の粘着面に、前記離型フィルムの離型剤層を貼り合わせてなる積層フィルム。
- 両面に粘着面を有する粘着剤層と、請求項1から5のいずれかに記載の離型フィルムの2枚とを備え、前記離型フィルムの離型剤層を対向させて、前記粘着剤層の両方の粘着面にそれぞれ貼り合わせてなる積層フィルム。
- 基材フィルムの片面に離型剤層を有する請求項1から5のいずれかに記載の離型フィルムと、前記離型フィルムの前記離型剤層が形成された面の反対側面に積層された粘着剤層とを備え、ロール状に巻取られてなる粘着フィルム。
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