JP2009069742A - 光学用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、易滑性、アンチブロッキング性、帯電防止性、耐擦傷性、モワレ防止等の機能を付与した、液晶ディスプレイのバックライトユニット用の拡散シート、プリズムシート等の輝度向上シート用原反シートおよび拡散シート等に適用できる光学用シートを提供するものである。
【解決手段】
プラスチックシート基材の少なくとも片面に粒子を含有する樹脂層が配され、樹脂層に対する粒径50nm以上の粒子の体積含有率が0.1%以上25%以下、樹脂層に対する粒径50nm未満の粒子の体積含有率が1.5%以上50%以下、かつ樹脂層の厚みが30nm以上1000nm以下である光学用シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学用シートに関する。さらに詳しくは、易滑性、ブロッキング防止性、帯電防止性、耐擦傷性を有する液晶ディスプレイのバックライトユニット用の拡散シート、プリズムシート等の光学用シートに関する。
フラットパネルディスプレイ市場は急激な伸びが予想されており、その中でも液晶ディスプレイでは多種多様な光学用シートを使用している。特に液晶ディスプレイのバックライトユニットでは、光源を均一化、高輝度化を実現するために、拡散シートやプリズムシート等、輝度向上シートとして様々な光学用シートが用いられている。これらの光学用シートには一般に易滑性、ブロッキング防止性、帯電防止性、モワレ防止、導光板への傷つき防止性など様々な理由で、光拡散性や光集光性等の光学特性を有する面の反対面にバックコート層が設けられている。一般的にこのバックコート層は粒子径が数μm〜数十μm前後の無機および/または有機粒子をバインダー樹脂と共に有機溶剤に分散して、ポリエステルなどのプラスチックシート基材に塗布して、乾燥する工程を経て得られている(特許文献1〜3)。また、これらはいわゆるオフラインでのコーティングにより得られている。
特開2002−098809号公報 特開2002−243920号公報 国際公開第2003−032074号パンフレット
しかしながら、これらの光学シートは、製膜したプラスチックシート基材上に塗布液を塗布・乾燥工程を経て、いわゆるオフラインコーティングにより作製されている。更に詳しく説明すると、この方法で光学用シートを作製するには、少なくとも粒子径が数μm〜数十μmの粒子と2液型架橋性バインダー樹脂を有機溶剤に分散した塗布液を作製し、その塗布液をプラスチックシート基材に塗布して、有機溶剤を乾燥・除去する工程により製造している。この方法で得られた光学用シートでは、バックコート層上の粒子の脱離を防止するために、乾燥時のバインダー層の厚みが数μm程度形成されている。このように、有機溶剤を使用することで環境負荷が高まるうえ、粒子脱落防止のためバインダー層を厚くする必要があるためコストが高くなる。また、オフラインでコーティングすることで製造工程数が増え、さらにコスト高くなる。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の光学用シートは、プラスチックシート基材の少なくとも片面に粒子を含有する樹脂層が配され、樹脂層に対する粒径50nm以上の粒子の体積含有率が0.1%以上25%以下、樹脂層に対する粒径50nm未満の粒子の体積含有率が1.5%以上50%以下、かつ樹脂層の厚みが30nm以上1000nm以下の光学用シートである。
本発明の光学用シートによれば、易滑性、ブロッキング防止性、帯電防止性、耐擦傷性を有する光学用シートを提供することができる。さらに、本発明の光学用シートは少ない工程で製造でき、さらに有機溶剤を使用しない塗布液で厚みの薄い樹脂層を形成できるので、製造コストや環境負荷を低減することもできる。
以下に本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではない。
本発明の光学用シートは、プラスチックシート基材の少なくとも片面に粒子を含有する樹脂層が配され、樹脂層に対する粒径50nm以上の粒子の体積含有率が0.1%以上25%以下、樹脂層に対する粒径50nm未満の粒子の体積含有率が1.5%以上50%以下、かつ樹脂層の厚みが30nm以上1000nm以下の光学用シートである。
樹脂層に対する粒径50nm以上の粒子の体積含有率が0.1%未満であると、十分な易滑性、ブロッキング防止性が発現しない可能性がある。また、体積含有率が25%を超えると、粒子を樹脂層中に固定することが難しくなり、粒子が脱落してしまう可能性がある。樹脂層に対する粒径50nm以上の粒子の体積含有率は、1%以上、20%以下であることが好ましく、1%以上15%以下であることが更に好ましい。
樹脂層に対する粒径50nm未満の粒子の体積含有率が1.5%未満であると、十分な耐擦傷性が発現しない可能性がある。また、体積含有率が50%を超えると、フィルムのヘイズが高くなる可能性がある。樹脂層に対する粒径50nm未満の粒子の体積含有率は、2%以上、30%以下であることが好ましく、3%以上、25%以下であることが更に好ましい。
樹脂層に対する粒径50nm以上及び粒径50nm未満の粒子の体積含有率は、後述するように光学用シートの表面を電界放射走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡を用いて観察した写真から、粒子の密度と樹脂層の厚みを求め、粒子の平均粒径から下記式を用いて算出する。
・粒子の体積含有率(%)={N×(4/3)×π×(R/2)}/T×100
ここで、Nは光学用シートの表面から観察した1mmあたりの粒子の個数(粒子密度)、Rは粒子の平均粒子径、Tは樹脂層の厚みを表し、RとTの単位はmmである。樹脂層の厚みとは、樹脂層を構成するバインダー樹脂で形成されている部分の厚みのことであり、図1の5で示す部分の厚みのことである。つまり、樹脂層の厚みには、バインダー樹脂から飛び出している粒径50nm以上の粒子の部分は含まない。
樹脂層の厚みが30nm未満であると、粒子を樹脂層に固定することが困難となり、粒子が樹脂層から脱離する可能性がある。また樹脂層の厚みが1000nmより厚いと、粒子は脱落しにくくなるが、光学用シートの全光線透過率が低下する恐れがある。また、樹脂層を後述するインラインコーティング法で形成することが困難となる。インラインコーティング法では、プラスチックシート基材を横延伸する前に樹脂層を形成する塗布液を塗布して、その後プラスチックシート基材を横延伸する。そのため、横延伸後の厚みが1000nmより厚くなるように、あらかじめ粘度の低い塗布液をそれ以上に厚く塗布しておくことが難しいからである。樹脂層の厚みは、60nm以上、500nm以下であることが好ましい。
本発明に係る樹脂層に含有する粒径50nm以上の粒子は、平均粒子径が80nm以上2000nm以下であることが好ましい。粒径50nm以上の粒子が樹脂層の表面に存在することで、易滑性、ブロッキング防止性の効果をより発現させることができる。この意味で平均粒子径が80nm以上であると、樹脂層の表面に粒子に起因する突起が形成され、あるいは樹脂層のバインダー樹脂から粒子の一部が飛び出し、易滑性、ブロッキング防止性をより発現させることができる。平均粒子径が2000nm以下であると、水に均一に分散させることが容易となり、インラインコート法でプラスチックシート基材上に塗布した場合、樹脂層中に粒子が均一に点在するので、樹脂層表面全体に渡って易滑性、ブロッキング防止性を満足することができる。易滑性、ブロッキング防止性の観点から、樹脂層から粒子の一部が飛び出していることがより好ましい。
また、粒径50nm以上の粒子の種類は、易滑性、ブロッキング防止性および導光板への傷つき防止等を考慮すると、シリカ粒子、アルミナ粒子、シリコーン粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリアクリル酸エステル粒子、ポリウレタン粒子、およびナイロン粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明に係る樹脂層に含有する粒径50nm未満の粒子は、平均粒子径が1nm以上50nm未満であることが好ましい。平均粒子径が1nm以上であると、光が散乱する際、波長依存性により透過散乱光が着色することがなく好ましい。平均粒子径が50nm未満であると、多量の粒子を樹脂層に添加しても粒子が脱落することがなく好ましい。
粒径50nm未満の粒子は樹脂層に均一に分散されることで、樹脂層の耐擦傷性を向上させる目的で用いられる。その意味から、粒径50nm未満の粒子の種類は、無機粒子であることが好ましく、金属酸化物や金属窒化物からなる無機粒子であることが更に好ましく、これらの中で流通やコスト等を考慮すると、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛などの無機粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの無機粒子は主に耐擦傷性向上のために添加するものであり、樹脂層に均一に分散された状態で膜強度を向上させるために、粒子自体の硬さが硬いほうが好ましく、より膜強度を向上させるためには、結晶性構造を有する粒子であることが好ましい。
粒径50nm以上の粒子と粒径50nm未満の粒子の形状に関して特に規定は無いが、コストや市販されている粒子の種類等を考慮すると、形状が略球形であることが好ましい。
本発明に係る樹脂層を形成するバインダー樹脂は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、イソシアネート樹脂およびメラミン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種で形成されていることが好ましい。前記バインダー樹脂は、プラスチックシート基材から粒子の脱落を防止するために、プラスチックシート基材との密着性がいいことが好ましい。またバックライトに積載したときの光効率を上げるために透明であることが好ましい。上記樹脂はこれらの特性を満たすことができる。
本発明の光学用シートは、樹脂層を形成した面から光を入射したときの全光線透過率が88%以上であることが好ましい。全光線透過率が88%以上であると、液晶ディスプレイのバックライトに積層する光学用シートとして用いた場合、バックライトとして満足できる輝度が得られる。
本発明の光学シートのヘイズについて特に規定は無いが、樹脂層を形成した面から光を入射したときのヘイズが10%以下であることが好ましい。ヘイズが10%以下であると、液晶ディスプレイのバックライトに積層する光学用シートとして用いた場合、拡散性を抑えられ、バックライトとして満足できる輝度が得られる。
本発明の光学用シートに用いるプラスチックシート基材の厚さは、特に規定は無いが、好ましくは30μm〜350μmであり、さらに好ましくは50μm〜300μmである。厚みが30μm以上であると、塗布液をコーティングした後の寸法安定性や取扱い性がよくなるので好ましい。350μm以下であると、透明性が低下することもなく好ましい。
本発明の光学シートの基材として用いるプラスチックシート基材は、特に限定されるものではないが、ポリエステルフィルムは、安価で透明性、機械的強度に優れており、バックライトユニットからの光や熱に対する十分な耐性を有することから、光学用シートのプラスチックシート基材に用いることが好ましい。
本発明の光学用シートの樹脂層は、表面抵抗率が10〜1013Ω/sqであることが好ましい。帯電しやすい光学用シートであると、光学用シートのカット作業時に帯電による付着が問題となる可能性がある。また、光学用シートが帯電することで埃やチリが付着しやすくなり、不純物が表面に存在した状態で液晶ディスプレイのバックライトに積載すると、その部分が欠点となる恐れがある。樹脂層の表面抵抗値が1013Ω/sq以下であると、帯電が抑えられ上記のような問題が起こりにくくなるので好ましい。表面抵抗率を1013Ω/sq以下とするためには、樹脂層に帯電防止剤を含有することで実現できる。帯電防止剤としては、たとえば、アンモニウム塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、燐酸エステル塩、ホスホン酸エステル塩、イオン性液体、酸化スズ等を有する帯電防止剤を使用することができる。上記帯電防止剤を用いた場合、23℃、65%RH条件化では通常表面抵抗率が10〜1010Ω/sqとなる。表面抵抗率を10Ω/sqより小さくするためには、例えば、ポリチオフェン系帯電防止剤やカーボンナノチューブをバインダー樹脂中に均一分散させることで可能となるが、コストを考慮すると上記で挙げた帯電防止剤を用いることが好ましい。この点から、表面抵抗率は10Ω/sq以上であることが好ましい。
本発明の光学用シートを製造するに際して、樹脂層を設けるのに好ましい方法としては、ポリエステルフィルムの製造工程中に基材フィルム上に樹脂層を設ける方法が好適である。中でも、生産性、コストを考慮すると製造工程中に、樹脂層を形成する塗布液を塗布して、熱処理工程で塗布液を乾燥して樹脂層を設ける方法が最も好適である。この方法を用いると、基材フィルムと同時に樹脂層を設けることで工程が簡略化し、結果として生産性の向上やコストの抑制が可能となる。
例えば、溶融押出しされた結晶配向前のポリエステルフィルムを長手方向に2.5〜5倍程度延伸し、一軸延伸されたフィルムに連続的に塗布液を塗布する。塗布されたフィルムを段階的に加熱されたゾーンを通過しつつ乾燥し、幅方向に2.5〜5倍程度延伸する。更に、連続的に150〜250℃の加熱ゾーンに導き結晶配向を完了させる方法(インラインコート法)によって得ることができる。
本発明の光学用シートを得るために使用する前記塗布液は、バインダー樹脂、粒子及び水を含み、塗布液に対する水の含有量が50重量%以上であることが好ましい。塗布液に有機溶剤の含有率が高いと、大気中に放出されないために、回収装置の取り付けや、有機溶剤の種類によれば、高温の加熱ゾーンを通過する際に発火する恐れがある。そのため、塗布液は水が主成分であり、含有率は50重量%以上であることが好ましい。
塗布液のコーティング方法は、ポリエステルフィルムの製造工程中のフィルムに均一に塗布できればどのような方法を用いても良く、塗布液の粘度等を勘案してコーティング方法を選択することができる。コーティング方法としては、例えばワイヤーバー、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ロッドコーターなどを使用したコーティング方法が挙げられる。
以下に実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は全て重量部を示す。
(評価項目および評価方法)
得られた光学用シートについて、以下の評価を行なった。
(1)樹脂層中の粒子密度
粒径50nm以上の粒子の粒子密度を求める場合、日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”を用い、光学用シートの樹脂層を設けた面を観察した写真から求めた。観察倍率は粒子径により任意に選択できるが、1枚の写真中に少なくとも粒径50nm以上の粒子が50個以上、多くとも500個以下となるようにした。粒子密度は観察写真10枚の平均値とした。
粒径50nm未満の粒子の粒子密度を求める場合、日立(株)製透過型電子顕微鏡“H−7100FA”を用い、光学用シートの樹脂層を設けた面を観察した写真から求めた。観察倍率は粒径により任意に選択できるが、1枚の写真中に少なくとも粒径50nm以上の粒子が50個以上、多くとも500個以下となるようにした。粒子密度は観察写真10枚の平均値とした。
(2)樹脂層の厚み
日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”を用い、光学用シートの断面を顕微鏡倍率5000倍〜20000倍で観察した写真から求めた。厚みは測定視野内の10個の平均値とした。ここで、樹脂層の厚みとは、樹脂層を構成するバインダー樹脂で形成されている部分の厚みのことであり、図1の5で示す部分の厚みのことである。つまり、樹脂層の厚みには、バインダー樹脂から飛び出している粒子径50nm以上の粒子の部分は含まない。
(3)粒子の数平均粒子径
粒径50nm以上の粒子は日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”を用い、光学用シートの樹脂層の表面を顕微鏡倍率1000倍〜100000倍で観察した写真から求めた。光学用シートの樹脂層の表面に存在する粒子を100個任意に選択し、それらの粒子の直交する2方向から測定した粒子径の平均値を各々の粒子の粒子径とし、さらに100個の粒子径の平均値を平均粒子径とした。
粒径50nm未満の粒子は日立(株)製透過型電子顕微鏡“H−7100FA”を用い、光学用シートの樹脂層の表面を顕微鏡倍率100000倍〜500000倍で観察した写真から求めた。光学用シートの樹脂層の表面に存在する粒子を100個任意に選択し、それらの粒子の直交する2方向から測定した粒径の平均値を各々の粒子の粒子径とし、さらに100個の粒子径の平均値を平均粒子径とした。
(4)粒子の体積含有率
(1)の粒子密度N(個/mm)、(2)の樹脂層の厚みT(mm)、(3)の平均粒子径R(mm)から下記式を用いて、粒径50nm以上の粒子、粒径50nm未満の粒子のそれぞれの体積含有率を算出する。
・粒子の体積含有率(%)={N×(4/3)×π×(R/2)}/T×100。
(5)全光線透過率・ヘイズ
50mm角にカットした光学用シートを、スガ試験機(株)製自動直読ヘイズコンピューターHGM−2DP(光源590nm ナトリウムランプ)を用いて、光学用シートの樹脂層を設けた面側から光を入射して測定した。3回測定した平均値を100μm当りに換算し、該サンプルの平均値とした。
(6)粒子脱落性
直径10mmの円柱の先端に、黒のベルベットの布を取り付け、円柱の円部位を樹脂層上に置き、その円柱を3kgの力で50mmの長さを5往復擦りつけた。擦りつけた面を日本電子(株)製電界放射走査型電子顕微鏡“JSM−6700F”を用いて顕微鏡の倍率を100倍〜30000倍で観察し、粒子脱落の有無を以下の基準で評価した。
○:粒子の脱落無し
×:粒子の脱落有り。
(7)つき揃え性
A4サイズにカットした光学用シート5枚を、樹脂層を設けていない面同士が接しないように重ねた。重ねた5枚の光学用シートの端面が揃わないように不規則に混ぜた。つき揃えを行い、端面が揃うまでのつき揃えの回数を以下の基準で評価した。
○:つき揃え回数1〜2回
△:つき揃え回数3〜4回
×:つき揃え回数5回以上。
(8)表面抵抗率
JIS K6911(1995年制定)に基づいて、100mm角にカットした光学用シートを23℃、65%RHの条件下、株式会社アドバンテスト製R8340を用いて、二重リングプローブ法で印加電圧100Vの条件で表面抵抗率を測定した。
(9)耐擦傷性
新東科学株式会社製HEIDON−14D(表面性測定機)を用い、スチールウールホルダにスチールウール(#0000)をセットし、荷重20g重のおもりを載せて、測定長30mmにおいて、300mm/分の速度で3回往復させたときの傷付を目視で、以下の基準で評価した。
○:傷つき無し
×:傷つき有り。
(実施例1)
実質的に粒子を含有しないPETペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給した。押出機により285℃で溶融し、T字型口金によりシート状に押し出した。押し出したシートを、静電印加キャスト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化した。
この未延伸フィルムを95℃に加熱して長手方向に3倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施し、この処理面に下記の塗布液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把時しながら予熱ゾーンに導き、100℃で乾燥後、引き続き連続的に110℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、更に210℃の加熱ゾーンで熱処理を施した後、幅方向に4%弛緩処理し、結晶配向の完了した光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
オキサゾリン基含有アクリレート樹脂 50部
アンモニウム塩系アクリレート樹脂帯電防止剤 50部
界面活性剤0.1部
・粒子
粒子径140nmシリカ粒子 7部
粒子径30nm酸化アルミナ粒子 10部
・水 1883部。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
アクリル系樹脂 47.5部
メラミン系樹脂 2.5部
アンモニウム塩系アクリレート樹脂帯電防止剤 50部
界面活性剤0.1部
・粒子
粒子径140nmシリカ粒子 10部
粒子径20nm酸化アルミニウム粒子 50部
・水 1840部。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが300nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
ウレタン系樹脂 80部
スルホン酸アンモニウム塩系帯電防止剤 20部
界面活性剤0.25部
・粒子
粒子径300nmシリカ粒子 3部
粒子径30nm酸化チタン粒子 20部
・水 1227部。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが500nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
3官能アクリルモノマー 30部
2官能アクリルモノマー 30部
アンモニウム塩系アクリル樹脂帯電防止剤 40部
界面活性剤0.25部
・粒子
粒子径1500nmアクリル粒子 1部
粒子径10nm酸化アルミニウム粒子 70部
・水 829部。
(実施例5)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
アクリル系樹脂 47.5部
メラミン系樹脂 2.5部
アンモニウム塩系帯電防止剤 50部
界面活性剤0.2部
・粒子
粒子径80nmシリカ粒子 10部
粒子径3nm酸化ケイ素粒子 50部
・水 1830部。
(実施例6)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが300nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
アクリル系樹脂 47.5部
メラミン系樹脂 2.5部
アンモニウム塩系帯電防止剤 50部
界面活性剤0.25部
・粒子
粒子径800nmアクリル粒子 1部
粒子径30nm酸化アルミニウム粒子 50部
・水 1199部。
(実施例7)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
アクリル系樹脂 47.5部
メラミン系樹脂 2.5部
アンモニウム塩系帯電防止剤 50部
界面活性剤0.2部
・粒子
粒子径300nmアクリル粒子 5部
粒子径30nm酸化アルミニウム粒子 5部
・水 1890部。
(実施例8)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
オキサゾリン基含有アクリレート樹脂 50部
界面活性剤0.25部
・粒子
粒子径300nmシリカ粒子 2部
粒子径6nm酸化第二錫粒子 50部
・水 898部。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
アクリル系樹脂 47.5部
メラミン系樹脂 2.5部
アンモニウム塩系アクリレート樹脂帯電防止剤 50部
界面活性剤0.25部
・粒子
粒子径140nmシリカ粒子 7部
・水 1893部。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
アクリル系樹脂 47.5部
メラミン系樹脂 2.5部
アンモニウム塩系アクリレート樹脂帯電防止剤 50部
界面活性剤0.25部
・粒子
粒子径30nm酸化アルミニウム粒子 10部
・水 1910部。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で、塗布液の組成のみを下記のように変更して光学用シートを得た。このとき、基材PETフィルムの厚みが100μm、積層した樹脂層の厚みが150nmとなるように押出機の押出量、塗布液の塗布量を調整した。
<塗布液>
・バインダー樹脂
アクリル系樹脂 47.5部
メラミン系樹脂 2.5部
アンモニウム塩系アクリレート樹脂帯電防止剤 50部
界面活性剤0.25部
・粒子
粒子径140nmシリカ粒子 10部
粒子径30nm酸化アルミニウム粒子 150部
・水 1740部。
表1に示すように、実施例1〜8得られた光学用シートは、透過率が良好で、粒子の脱落もなく、つき揃え性に優れ、帯電防止機能を有し、また耐擦傷性も良好であり、易滑性、帯電防止性、ブロッキング防止性を十分に満足できるものであった。
対して、比較例1では、粒径50nm未満の粒子が存在しないため、耐擦傷性が悪化し、比較例2では粒径50nm以上の粒子が存在しないため、つき揃え性が悪化した。また比較例3の光学用シートでは、粒径50nm未満の粒子の体積含有率が多いため、透過率が低く、白濁していた。
Figure 2009069742
光学用シートの断面図
符号の説明
1 プラスチックシート基材
2 バインダー樹脂層
3 粒径が50nm以上の粒子
4 粒径が50nm未満の粒子
5 樹脂層
6 樹脂層の厚み

Claims (8)

  1. プラスチックシート基材の少なくとも片面に粒子を含有する樹脂層が配され、樹脂層に対する粒径50nm以上の粒子の体積含有率が0.1%以上25%以下、樹脂層に対する粒径50nm未満の粒子の体積含有率が1.5%以上50%以下、かつ樹脂層の厚みが30nm以上1000nm以下である光学用シート。
  2. 前記粒径50nm以上の粒子の数平均粒子径が80nm以上2000nm以下である請求項1に記載の光学用シート。
  3. 前記粒径50nm未満の粒子の数平均粒子径が1nm以上50nm未満である請求項1又は2に記載の光学用シート。
  4. 前記粒径50nm以上の粒子が、シリカ粒子、アルミナ粒子、シリコーン粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリアクリル酸エステル粒子、ポリウレタン粒子、およびナイロン粒子からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の光学用シート。
  5. 前記粒径50nm未満の粒子が無機粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の光学用シート。
  6. 前記樹脂層を構成するバインダー樹脂がポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ブロックイソシアネート樹脂およびメラミン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種で形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の光学用シート。
  7. 前記樹脂層が配されている面から光を入射した場合の全光線透過率が88%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光学用シート。
  8. 前記樹脂層の表面抵抗率が10〜1013Ω/sqである請求項1〜7のいずれかに記載の光学用シート。
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