JP2011116045A - 輝度向上部材用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶を塗布した際の配向を制御でき、ムラやスジ状の欠陥の生じない、輝度向上部材用フィルムとして好適に利用することのできるポリエステルフィルムを安価にかつ歩留まり良く提供する。
【解決手段】 積層構造のポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層にモース硬度が8以上である無機粒子を0.075重量%以上含有し、当該ポリエステルフィルムの結晶化度が35〜45であることを特徴とする輝度向上部材用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、輝度向上部材用として好適なポリエステルフィルムに関するものである。
液晶関連部材で輝度向上の役割を果たすものには、輝度上昇フィルムとして、BEF(Brightness Enhancement Film:3M社製)や反射型偏光フィルム、DBEF(Dual BrightnessEnhancement Film:3M社製)が知られており、携帯電話から液晶TVまで幅広く使われている。これらのフィルムによると、例えば、液晶TVにおいて、バックライト光量やライトの本数、LEDの個数が減らせ、環境的なメリットがある。
しかし、これらのフィルムは、価格が高いこと、供給の安定性等の懸念点がある。これらの代替製品の検討がなされているが、輝度上昇フィルムとして満足できる特性を有するフィルムはまだ完成していない。
BEFやDBEFのように輝度向上を達成するためには、いくつか方法がある。例えば、ポリマー表面の形状を鋳型で付与することで光の反射を利用する方法(BEF)、フィルムに超積層構造を付与させる方法(DBEF)、また、入射してそのまま透過しない光のリサイクルを利用する様々なネマッチック液晶やコレステリック液晶などをポリマーに塗布、配向させる方法がある。
ポリマーに液晶を塗布する方法が価格や供給安定性の点で優位であるが、ポリマー表面とその接する液晶との配向制御が鍵となる。
通常、ネマチック液晶やコレステリック液晶などの配向性を有する液晶を塗布する部材としてはポリイミドが一般的であり、その鍵となるのは、配向制御のために行う表面処理、例えば、ラビング処理であるが、代替フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合、表面処理後の、例えば、ラビング処理後の液晶塗布時に、ポリイミドとの配向性の違いから、液晶が上手く配向できないことや、ムラ状やスジ状の外観欠陥が生じることなどが問題となる。
特開2003−43260号公報 特開2003−84284号公報 特開2004−226945号公報 特開2006−113513号公報 特開2008−249901号公報 特表2002−502503号公報 特表2003−526802号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、液晶を塗布した際の配向を制御でき、ムラやスジ状の欠陥の生じない、輝度向上部材用フィルムとして好適なポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、積層構造のポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層にモース硬度が8以上である無機粒子を0.075重量%以上含有し、当該ポリエステルフィルムの結晶化度が35〜45であることを特徴とする輝度向上部材用ポリエステルフィルムに存する。
本発明のポリエステルフィルムによれば、液晶を塗布した際の配向を制御でき、ムラやスジ状の欠陥の生じない、輝度向上部材用フィルムとして好適に利用することのできるポリエステルフィルムを安価にかつ歩留まり良く提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルフィルムを構成する、ポリエステルフィルムは、機能性や価格の面が優れることから、積層構造を有することを必須とし、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において使用するポリエステルは、生産コストの削減や工程作業容易化を追及した結果、ホモポリエステルであることが好ましい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。
本発明のフィルムの少なくとも一方の最外層に、特定の無機粒子を特定量含有する必要がある。すなわち、本発明のポリエステルフィルムの最外層に含有する粒子のモース硬度は8以上である。モース硬度が8未満であると、表面処理効果が存分に発揮できない。本発明で用いる粒子としては、具体的には、酸化アルミニウム、シリコンカーバイド、バナジウムカーバイド、チタンカーバイド、ボロンカーバイド、ほう化タングステン、ボロンナイトライト等を挙げることができる。そして、これらの中では、工業的に入手が容易な酸化アルミニウムまたはシリコンカーバイド、これらの中でも、酸化アルミニウムが好ましい(例えば、特開平5-128490号公報等に具体例の記載がある)。
上記の高硬度の粒子の最外層中の含有量は0.075重量%以上であり、0.10重量%以上が好ましい。当該粒子量が0.075重量%未満では、表面処理光が十分に発揮できない。
本発明において硬度の高い無機粒子を用いる理由は、後の工程で表面処理をするポリエステルフィルムの最外層を比較的硬くすることで、その表面処理、本発明の場合、具体的には、いわゆるラビング処理を行う際に、ある程度のラビング条件においても、効果的に処理が行えるようにするためである。
本発明で用いる粒子の1次粒径は、通常0.50μm以下であり、0.005〜0.50μmの範囲が好ましい。ここでいう1次粒径とは、非凝集性粒子においては、いわゆる平均粒径を指し、凝集性粒子においては、凝集塊を構成する微小粒子の平均粒径を指す。表層中の粒子の1次粒径が0.50μmを超えると、粒子表面の凹凸のサイズが顕著になることがあり、粒子とポリエステルとの間に空隙ができる割合が増大し、比較的ポリエステルと近似した屈折率の粒子種をもってしても、当該空隙による入射光の散乱を低減することができないことがあり、その結果、フィルムが不透明となるおそれがある。また、人による視認性において添加粒子の粒状感が確認できるため、画像鮮明性の点において、問題となることがある。最外層が含有する粒子の1次粒径は細かいほど良く、0.10μm以下、さらには0.07μm以下が好ましい。しかし、1次粒径が0.005μmに達すると凝集性が著しくなり、高剪断の2軸押出機による溶融押出でも微分散せずに、平均粒径0.15μm以上の凝集塊が多数生成してしまう可能性がある。
また、本発明におけるポリエステルフィルムにおける無機粒子の含有方法は、塗布よりも練り込み方法を用いることが好ましい。輝度向上部材用途ポリエステルフィルムでは、後工程において、液晶を塗布する工程があり、当該工程では、リオトロピックとサーモトロピックによる方法を用いることが一般的であり、リオトロピック方法では、溶剤を用いるために、コーティングにより無機粒子を含有させると、この塗布層が溶解された後、粒子凝集などを引き起こし、フィルム面状にムラなどの表面不具合を生じてしまう可能性が高い。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、上記の無機粒子のほかに、いわゆるバイモーダルによる表面処理効果向上のため、他種の粒子を用いてもよく、シリカ粒子を併用することが好ましい。
併用するシリカ粒子の形状に関しては、特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。
併用する粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.1〜2μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、易滑性を十分に付与できない場合がある。一方、3μmを超える場合には、フィルムの製膜時に、その粒子の凝集物のために透明性が低下することがあるほかに、破断などを起こしやすくなる傾向があり、生産性の面で問題になることがある。
併用する粒子の最外層中の含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合には、フィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル層中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化もしくはエステル交換反応終了後、添加するのが良い。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常10〜350μm、好ましくは50〜250μmの範囲である。
次に本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明のポリエステルフィルム製造に関しては、同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
本発明のポリエステルフィルムの結晶化度も特別な表面状態を作り出すという理由で、本発明においては重要な要件である。本発明でいう結晶化度とは、示差熱量計(以下、DSCと略記する)測定における融解熱法で定義する。このとき、完全結晶PETの融解熱(ΔH)は、Groeninckxらの値、117.6J/gを採用した。
本発明のフィルムの結晶化度は、35〜45であり、好ましくは36〜40の範囲である。フィルム結晶化度が45より大きい、また、35より小さい場合、表面処理効果が薄く、液晶配向膜の配向がし難いばかりでなく、生産上難しいという不具合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、通常、ラビング布によるラビング処理が施されて加工されるを指すが、そのラビング密度の指標として、40程度の強度が最も良かった。強度の値が小さい値、例えば35よりも小さい値ならば、配向がままならず、さらに、強度の値が大きい値、例えば50よりも大きい値ならば、フィルム表面に目視で確認出来るほどの傷が付いてしまい、外観の不具合となってしまう。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、ラビング効果を評価する1つの方法として、水滴接触角の測定が推奨される。ラビングによる表面処理後のフィルム表面の水滴接触角の値はラビング前と比較して上昇する傾向がある。これは、一方向にナノサイズの溝が付くためと考えられ、最適条件では、水滴接触角が極大値を取り、ラビングを過度に行った場合、ナノサイズの溝が異方性を持って付いてしまうため、値が極端に下がってしまう。その場合、目に見える傷がポリエステルフィルム表面に入ってしまい、不具合となる。
本発明のポリエステルフィルムの表面処理後の水滴接触角の値は、表面処理前と比較して好ましくは5〜10°程度の上昇が良く、さらに好ましくは7〜9°程度の上昇が良い。ラビング処理後の水滴接触角の値が5%よりも小さい値ならば、配向がままならず、さらに、10°を超えて、水滴接触角の値が落ちるところまで表面処理してしまうと、フィルム表面に目視で確認出来るほどの傷が付いてしまい、外観の不具合となってしまうことがある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)ポリエステルフィルムの透過率測定
JIS − K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりポリエステルフィルムの全光線透過率を測定した。次のような基準で判断する。
○:88.7〜88.8%の範囲内の透過率
△:88.0〜88.6%の範囲内の透過率
×:88.0%より低い透過率
(4)ポリエステルフィルムのヘーズ(濁度)測定
JIS − K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりポリエステルフィルムの全光線透過率を測定した。次のような基準で判断する。
○:1.8%より値が低い
△:1.8〜2.0%
×:2.0%より値が高い
(5)DSC測定による結晶化度の計算
ポリマー10mgをパーキンエルマー社製DSC−1型差動熱量計(DSC)にセットし、N気流中で20℃/minの昇温速度で加熱してゆき、25〜300℃の測定範囲で該ポリマーの融解に伴う吸熱量(J/g)(実測融解熱:ΔHexp)を求めた。
ΔHexp(J/g)=(ポリマーの融解に伴う吸熱量)/(ポリマーの試料重量)
結晶化度は以下の式で算出できる。
Χc(%)=ΔHexp/ΔH×100
実測融解熱:ΔHexp(J/g)
完全結晶PETの融解熱:ΔH(J/g)
ただし、ΔHはGroeninckxらの値、117.6J/gを用いた。文献として、「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」(湯木 和男 編者 日刊工業新聞社 平成5年版 PP217〜)を参照した。
(6)表面処理強度の計算
ラビング評価装置(小型ラビング装置 MRM−100;株式会社イーエッチシー)を用いてラビング処理を行った。このときに用いたラビング布は、吉川加工株式会社製レーヨン布(YA−20−R)である。強度はラビング処理の際に重要な指標となるラビング密度とほぼ同義である。強度の式は以下の通りで、以下の関連の値を調整することで、所望の強度で処理できる。
表面処理強度(mm)=N×l×(1±2Π×r×n/60/v)
(上記式中、Nはラビング処理回数、lはラビング布を巻いたラビングロール押し込み量(mm)、rはラビングロール半径(mm)、nはラビングロールの回転速度(rpm:1/60s−1)、vはフィルム台の移動速度(mm/s)であり、±の+の方はフィルム台移動方向に対して逆回転、−の方はフィルム台移動方向に対して順回転を意味する)
(7)表面処理後のフィルムの表面水滴接触角測定
温度23℃ 湿度50%RHで、ラビング処理前後のポリエステルフィルムと蒸留水との接触角を、協和界面化学(株)社製接触角計CA−DT−A型を用いてそれぞれ測定した。接触角は、ラビング処理前後のポリエステルフィルムについて、それぞれ左右2点、試料数3で計6点測定し、平均値を求め接触角とした。尚、水滴の直径は1.5mmで、滴下後1分後の数値を読み取った。
評価については、以下の式にて算出した。
表面水滴接触角上昇値(°)=θ1−θ2
θ1:ラビング処理後のPETフィルムの水滴接触角(2θ/°)
θ2:ラビング処理前のPETフィルムの水滴接触角(2θ/°)
ラビング処理後のフィルムの表面水滴接触角について、次のような基準で判断する。
○:7〜9°の値の上昇
△:5〜7°、もしくは、10°の値の上昇
×:5°より値が低い、もしくは、10°を超えて値が減少したもの(ラビングが強すぎて、溝がランダムになり接触角の値が下がってしまう)
(8)表面処理後フィルムへの液晶塗布後の見た目評価
ラビング処理後のフィルムについて、配向性液晶が配向可能かどうか、一般的な液晶を用いることで検査した。以下基準に従って評価を行った。
○:ムラやスジがなく表面形状も綺麗なもの
△:ムラやスジが見えるもの
×:液晶配向膜が配向できていないもの、もしくは、表面形状がひどいもの
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
<ポリエステル(B)の製造方法>
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加後、平均粒子径2.0μmのエチレングリコールに分散させたモース硬度5のシリカ粒子を0.2重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.65であった。
<ポリエステル(C)の製造方法>
ポリエステル(A)で、エステル交換反応終了後に1次粒径0.05μm、モース硬度8のアルミナ粒子をエチレングリコールスラリーとして添加した以外はポリエステルAと同様にして、固有粘度0.65、エステル単位の99%がエチレンテレフタレート、残りはジエチレングリコールとテレフタル酸縮合エステル単位であるポリエステル(C)を得た。アルミナの含有率は1.5部であった。
実施例1:
ポリエステル(C)、(B)をそれぞれ92%、8%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々290℃で溶融した後、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で4.3倍延伸し、熱固定温度235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布層を有する厚さ250μm(表層12.5μm、中間層225μm)、固有粘度0.61のポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムについて、レーヨン製のラビング布(吉川加工株式会社)を巻き付けたラビング装置(株式会社イーエッチシー)を用いて、強度41(N=1、l=0.5mm、n=300rpm、r=50mm、v=10mm/sec.)となるようにラビング処理を行った。得られたポリエステルフィルムは、見た目ではラビングの溝が見えないほど綺麗なものであった。さらに、このラビング処理後のポリエステルフィルムについて、クロロホルムに溶かした配向性液晶を塗布し、乾燥後に液晶層が0.03g/mとなるように調整した。得られたラビング処理、液晶層塗布後のポリエステルフィルムを目視で評価したところ、スジやムラは認められずに綺麗なものとなっていた。なお、上記液晶層を構成する化合物例は以下のとおりである。
(化合物例)
・ネマチック液晶(ZLI−2293:Merk)
・キラルドーパント(MLC−6248:Merk)
・光重合性液晶(RM257:Merk)
・QtT(Quarter Thiophene:クォーターチオフェン)
参考文献として、K.AMEMIYA et.al.,Applied Physics,Vol.44,No.6A,2005,pp.3748−3750がある。
実施例2〜7:
実施例1において、結晶化度(熱固定温度)、最外層への粒子含有量、モース硬度を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表1に示す通りであった。
Figure 2011116045
比較例1〜6:
実施例1において、結晶化度、最外層への粒子含有量、モース硬度を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表2に示す通りであるが、得られたラビング処理、液晶層塗布後のポリエステルフィルムを目視で評価したところ、スジやムラは認められるなどの不具合を生じた。
Figure 2011116045
本発明のポリエステルフィルムは、輝度向上部材用として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 積層構造のポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層にモース硬度が8以上である無機粒子を0.075重量%以上含有し、当該ポリエステルフィルムの結晶化度が35〜45であることを特徴とする輝度向上部材用ポリエステルフィルム。
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