JP2011116045A - 輝度向上部材用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 積層構造のポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層にモース硬度が8以上である無機粒子を0.075重量%以上含有し、当該ポリエステルフィルムの結晶化度が35〜45であることを特徴とする輝度向上部材用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明におけるポリエステルフィルムを構成する、ポリエステルフィルムは、機能性や価格の面が優れることから、積層構造を有することを必須とし、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
上記の高硬度の粒子の最外層中の含有量は0.075重量%以上であり、0.10重量%以上が好ましい。当該粒子量が0.075重量%未満では、表面処理光が十分に発揮できない。
本発明において硬度の高い無機粒子を用いる理由は、後の工程で表面処理をするポリエステルフィルムの最外層を比較的硬くすることで、その表面処理、本発明の場合、具体的には、いわゆるラビング処理を行う際に、ある程度のラビング条件においても、効果的に処理が行えるようにするためである。
本発明で用いる粒子の1次粒径は、通常0.50μm以下であり、0.005〜0.50μmの範囲が好ましい。ここでいう1次粒径とは、非凝集性粒子においては、いわゆる平均粒径を指し、凝集性粒子においては、凝集塊を構成する微小粒子の平均粒径を指す。表層中の粒子の1次粒径が0.50μmを超えると、粒子表面の凹凸のサイズが顕著になることがあり、粒子とポリエステルとの間に空隙ができる割合が増大し、比較的ポリエステルと近似した屈折率の粒子種をもってしても、当該空隙による入射光の散乱を低減することができないことがあり、その結果、フィルムが不透明となるおそれがある。また、人による視認性において添加粒子の粒状感が確認できるため、画像鮮明性の点において、問題となることがある。最外層が含有する粒子の1次粒径は細かいほど良く、0.10μm以下、さらには0.07μm以下が好ましい。しかし、1次粒径が0.005μmに達すると凝集性が著しくなり、高剪断の2軸押出機による溶融押出でも微分散せずに、平均粒径0.15μm以上の凝集塊が多数生成してしまう可能性がある。
また、本発明におけるポリエステルフィルムにおける無機粒子の含有方法は、塗布よりも練り込み方法を用いることが好ましい。輝度向上部材用途ポリエステルフィルムでは、後工程において、液晶を塗布する工程があり、当該工程では、リオトロピックとサーモトロピックによる方法を用いることが一般的であり、リオトロピック方法では、溶剤を用いるために、コーティングにより無機粒子を含有させると、この塗布層が溶解された後、粒子凝集などを引き起こし、フィルム面状にムラなどの表面不具合を生じてしまう可能性が高い。
本発明のフィルムの結晶化度は、35〜45であり、好ましくは36〜40の範囲である。フィルム結晶化度が45より大きい、また、35より小さい場合、表面処理効果が薄く、液晶配向膜の配向がし難いばかりでなく、生産上難しいという不具合がある。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
JIS − K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりポリエステルフィルムの全光線透過率を測定した。次のような基準で判断する。
○:88.7〜88.8%の範囲内の透過率
△:88.0〜88.6%の範囲内の透過率
×:88.0%より低い透過率
JIS − K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−300Aによりポリエステルフィルムの全光線透過率を測定した。次のような基準で判断する。
○:1.8%より値が低い
△:1.8〜2.0%
×:2.0%より値が高い
ポリマー10mgをパーキンエルマー社製DSC−1型差動熱量計(DSC)にセットし、N2気流中で20℃/minの昇温速度で加熱してゆき、25〜300℃の測定範囲で該ポリマーの融解に伴う吸熱量(J/g)(実測融解熱:ΔHexp)を求めた。
ΔHexp(J/g)=(ポリマーの融解に伴う吸熱量)/(ポリマーの試料重量)
結晶化度は以下の式で算出できる。
Χc(%)=ΔHexp/ΔH0×100
実測融解熱:ΔHexp(J/g)
完全結晶PETの融解熱:ΔH0(J/g)
ただし、ΔH0はGroeninckxらの値、117.6J/gを用いた。文献として、「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」(湯木 和男 編者 日刊工業新聞社 平成5年版 PP217〜)を参照した。
ラビング評価装置(小型ラビング装置 MRM−100;株式会社イーエッチシー)を用いてラビング処理を行った。このときに用いたラビング布は、吉川加工株式会社製レーヨン布(YA−20−R)である。強度はラビング処理の際に重要な指標となるラビング密度とほぼ同義である。強度の式は以下の通りで、以下の関連の値を調整することで、所望の強度で処理できる。
表面処理強度(mm)=N×l×(1±2Π×r×n/60/v)
(上記式中、Nはラビング処理回数、lはラビング布を巻いたラビングロール押し込み量(mm)、rはラビングロール半径(mm)、nはラビングロールの回転速度(rpm:1/60s−1)、vはフィルム台の移動速度(mm/s)であり、±の+の方はフィルム台移動方向に対して逆回転、−の方はフィルム台移動方向に対して順回転を意味する)
温度23℃ 湿度50%RHで、ラビング処理前後のポリエステルフィルムと蒸留水との接触角を、協和界面化学(株)社製接触角計CA−DT−A型を用いてそれぞれ測定した。接触角は、ラビング処理前後のポリエステルフィルムについて、それぞれ左右2点、試料数3で計6点測定し、平均値を求め接触角とした。尚、水滴の直径は1.5mmで、滴下後1分後の数値を読み取った。
表面水滴接触角上昇値(°)=θ1−θ2
θ1:ラビング処理後のPETフィルムの水滴接触角(2θ/°)
θ2:ラビング処理前のPETフィルムの水滴接触角(2θ/°)
○:7〜9°の値の上昇
△:5〜7°、もしくは、10°の値の上昇
×:5°より値が低い、もしくは、10°を超えて値が減少したもの(ラビングが強すぎて、溝がランダムになり接触角の値が下がってしまう)
ラビング処理後のフィルムについて、配向性液晶が配向可能かどうか、一般的な液晶を用いることで検査した。以下基準に従って評価を行った。
○:ムラやスジがなく表面形状も綺麗なもの
△:ムラやスジが見えるもの
×:液晶配向膜が配向できていないもの、もしくは、表面形状がひどいもの
<ポリエステル(A)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(A)の極限粘度は0.63であった。
ポリエステル(A)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加後、平均粒子径2.0μmのエチレングリコールに分散させたモース硬度5のシリカ粒子を0.2重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(A)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(B)を得た。得られたポリエステル(B)は、極限粘度0.65であった。
ポリエステル(A)で、エステル交換反応終了後に1次粒径0.05μm、モース硬度8のアルミナ粒子をエチレングリコールスラリーとして添加した以外はポリエステルAと同様にして、固有粘度0.65、エステル単位の99%がエチレンテレフタレート、残りはジエチレングリコールとテレフタル酸縮合エステル単位であるポリエステル(C)を得た。アルミナの含有率は1.5部であった。
ポリエステル(C)、(B)をそれぞれ92%、8%の割合で混合した混合原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々290℃で溶融した後、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.7倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で4.3倍延伸し、熱固定温度235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布層を有する厚さ250μm(表層12.5μm、中間層225μm)、固有粘度0.61のポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムについて、レーヨン製のラビング布(吉川加工株式会社)を巻き付けたラビング装置(株式会社イーエッチシー)を用いて、強度41(N=1、l=0.5mm、n=300rpm、r=50mm、v=10mm/sec.)となるようにラビング処理を行った。得られたポリエステルフィルムは、見た目ではラビングの溝が見えないほど綺麗なものであった。さらに、このラビング処理後のポリエステルフィルムについて、クロロホルムに溶かした配向性液晶を塗布し、乾燥後に液晶層が0.03g/m2となるように調整した。得られたラビング処理、液晶層塗布後のポリエステルフィルムを目視で評価したところ、スジやムラは認められずに綺麗なものとなっていた。なお、上記液晶層を構成する化合物例は以下のとおりである。
・ネマチック液晶(ZLI−2293:Merk)
・キラルドーパント(MLC−6248:Merk)
・光重合性液晶(RM257:Merk)
・QtT(Quarter Thiophene:クォーターチオフェン)
参考文献として、K.AMEMIYA et.al.,Applied Physics,Vol.44,No.6A,2005,pp.3748−3750がある。
実施例1において、結晶化度(熱固定温度)、最外層への粒子含有量、モース硬度を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表1に示す通りであった。
実施例1において、結晶化度、最外層への粒子含有量、モース硬度を変更する以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。作製したポリエステルフィルムは表2に示す通りであるが、得られたラビング処理、液晶層塗布後のポリエステルフィルムを目視で評価したところ、スジやムラは認められるなどの不具合を生じた。
Claims (1)
- 積層構造のポリエステルフィルムの少なくとも一方の最外層にモース硬度が8以上である無機粒子を0.075重量%以上含有し、当該ポリエステルフィルムの結晶化度が35〜45であることを特徴とする輝度向上部材用ポリエステルフィルム。
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