JPWO2018181453A1 - 粘着性積層フィルムおよび構造体 - Google Patents

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Abstract

本発明の粘着性積層フィルム(50)は、酸化インジウムスズ(ITO)膜の表面を保護するための粘着性積層フィルムであって、基材層(10)と、基材層(10)の一方の面に設けられた粘着性樹脂層(20)と、を備える。そして、本発明の粘着性積層フィルム(50)において、基材フィルムに蒸着されたITO膜と粘着性樹脂層(20)との間の剥離強度をP0[N/25mm]とし、粘着性樹脂層(20)が基材フィルムに蒸着されたITO膜に接するように粘着性積層フィルム(50)をITO膜に貼り付け、次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した後のITO膜と粘着性樹脂層(20)との間の剥離強度をP1[N/25mm]としたとき、P1/P0が1.0以上25以下である。

Description

本発明は、粘着性積層フィルムおよび構造体に関する。
タッチパネルや電子ペーパー等には酸化インジウムスズ(ITO)膜が形成された透明導電性フィルムが用いられている。この透明導電性フィルムには、表面に汚れや損傷が生じるのを防止するために、表面保護フィルムが貼り合わせられる場合がある。
このような透明導電性フィルムに用いられる表面保護フィルムに関する技術としては、例えば、特許文献1(特開2015−202681号公報)に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、透明導電性フィルムの透明導電膜が形成された面とは反対側の面を保護するための表面保護フィルムであって、積層ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層を有し、150℃で90分加熱した際に、塗布層表面のエステル環状三量体析出量が1.2mg/m以下であることを特徴とする導電性フィルム用表面保護フィルムが記載されている。
特開2015−202681号公報
本発明者らの検討によれば、ITO膜が形成された透明導電性フィルムに用いられる表面保護フィルムに関し、以下のような課題を見出した。
まず、ITO膜の結晶化処理をおこなうために、表面保護フィルムを透明導電性フィルムのITO膜側に貼り付けた状態で加熱処理をおこなう場合がある。
本発明者らは、表面保護フィルムをITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなう場合に、加熱処理後にITO膜上に粘着性樹脂層の一部が残ってしまうという糊残り現象が起きてしまう場合があることを知見した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りを抑制することが可能な粘着性積層フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、ITO膜と粘着性樹脂層との間の加熱処理前後における剥離強度の比という尺度が、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りを抑制するための粘着性フィルムの設計指針として有効であるという知見を得て、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下に示す粘着性積層フィルムおよび構造体が提供される。
[1]
酸化インジウムスズ(ITO)膜の表面を保護するための粘着性積層フィルムであって、
基材層と、上記基材層の一方の面に設けられた粘着性樹脂層と、を備え、
下記の方法で測定される、基材フィルムに蒸着されたITO膜と上記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP[N/25mm]とし、上記粘着性樹脂層が上記基材フィルムに蒸着された上記ITO膜に接するように上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜に貼り付け、次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した後の上記ITO膜と上記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP[N/25mm]としたとき、
/Pが1.0以上25以下である粘着性積層フィルム。
(剥離強度Pの測定方法)
上記粘着性樹脂層が上記基材フィルムに蒸着された上記ITO膜に接するように、上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜に貼り付ける。次いで、引張試験機を用いて、上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度Pとする。
(剥離強度Pの測定方法)
引張試験機を用いて、上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度Pとする。
[2]
上記[1]に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記剥離強度(P)が0.01N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。
[3]
上記[1]または[2]に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記剥離強度(P)が0.1N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記粘着性樹脂層は(メタ)アクリル系粘着性樹脂を含む粘着性積層フィルム。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記粘着性樹脂層の厚みが1μm以上50μm以下である粘着性積層フィルム。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記基材層を構成する樹脂がポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンエーテルから選択される一種または二種以上を含む粘着性積層フィルム。
[7]
酸化インジウムスズ(ITO)膜と、
上記ITO膜に貼り付けられた表面保護フィルムと、を備え、
上記表面保護フィルムが上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムである構造体。
本発明によれば、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りを抑制することが可能な粘着性積層フィルムを提供することができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
本発明に係る実施形態の粘着性積層フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態の構造体の構造の一例を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。また、数値範囲の「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。また、本実施形態において、「(メタ)アクリル」とは」アクリル、メタクリル、またはアクリルおよびメタクリルの両方を意味する。
1.粘着性積層フィルム
以下、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50について説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の粘着性積層フィルム50の構造の一例を模式的に示した断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50は、酸化インジウムスズ(ITO)膜の表面を保護するための粘着性積層フィルムであって、基材層10と、基材層10の一方の面に設けられた粘着性樹脂層20と、を備える。そして、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50において、下記の方法で測定される、基材フィルムに蒸着されたITO膜と粘着性樹脂層20との間の剥離強度をP[N/25mm]とし、粘着性樹脂層20が基材フィルムに蒸着されたITO膜に接するように粘着性積層フィルム50をITO膜に貼り付け、次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した後のITO膜と粘着性樹脂層20との間の剥離強度をP[N/25mm]としたとき、P/Pが1.0以上25以下である。
(剥離強度Pの測定方法)
粘着性樹脂層20が基材フィルムに蒸着されたITO膜に接するように、粘着性積層フィルム50をITO膜に貼り付ける。次いで、引張試験機を用いて、粘着性積層フィルム50をITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度Pとする。
(剥離強度Pの測定方法)
引張試験機を用いて、粘着性積層フィルム50をITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度Pとする。
本発明者らの検討によれば、表面保護フィルムをITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなう場合に、加熱処理後にITO膜上に粘着性樹脂層の一部が残ってしまうという糊残り現象が起きてしまう場合があることを知見した。
そして、本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、ITO膜と粘着性樹脂層との間の加熱処理前後における剥離強度の比という尺度が、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りを抑制するための粘着性フィルムの設計指針として有効であることを初めて見出した。
すなわち、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50は、前述したP/Pを上記範囲内とすることで、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りを抑制することが可能となる。
本実施形態に係る粘着性積層フィルム50において、P/Pの上限値は25以下であるが、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制する観点から、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることが特に好ましい。
また、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50において、P/Pの下限値は、加熱処理前のITO膜への粘着力すなわち初期の粘着力を良好にする観点や、加熱処理後においてITO膜から粘着性積層フィルム50が浮き上がってしまうことを抑制する観点から、1.0以上である。
本実施形態に係る粘着性積層フィルム50において、初期の粘着力をより一層良好にし、ITO膜から粘着性積層フィルム50が浮き上がってしまうことを抑制する観点から、剥離強度(P)が0.01N/25mm以上であることが好ましく、0.02N/25mm以上であることがより好ましく、0.03N/25mm以上であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50において、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制する観点から、剥離強度(P)が1.0N/25mm以下であることが好ましく、0.5N/25mm以下であることがより好ましく、0.2N/25mm以下であることがさらに好ましい。
剥離強度(P)は0.1N/25mm以上1.0N/25mm以下であることが好ましい。これにより、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制しつつ、加熱処理後においてITO膜から粘着性積層フィルム50が浮き上がってしまうことをより一層抑制することができる。
本実施形態において、P/Pを上記のような範囲に調整するためには、例えば、粘着性樹脂層20を構成する各成分の種類や配合割合、粘着性樹脂層20を構成する粘着性樹脂における各モノマーの種類や含有割合等を高度に制御する必要がある。
特に、本実施形態においては、粘着性樹脂層20を構成する粘着性樹脂のガラス転移温度や、粘着性樹脂層20を構成する粘着性樹脂における各モノマーの種類や含有割合等が上記P/Pを制御するための因子として挙げられる。
本実施形態に係る粘着性積層フィルム50全体の厚みは、機械的特性と取扱い性のバランスの観点から、好ましくは2μm以上550μm以下であり、より好ましくは6μm以上330μm以下、さらに好ましくは12μm以上165μm以下である。
次に、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50を構成する各層について説明する。
<基材層>
基材層10は、粘着性積層フィルム50の取り扱い性や機械的特性、耐熱性等の特性をより良好にすることを目的として設けられる層である。
基材層10は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
基材層10を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタアクリレート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリイミド;ポリエーテルイミド;エチレン・酢酸ビニル共重合体;ポリアクリロニトリル;ポリカーボネート;ポリスチレン;アイオノマー;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニレンエーテル等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
これらの中でも、耐熱性や透明性、機械的強度、価格等のバランスに優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種がより好ましい。
基材層10は単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、基材層10を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、基材層10の耐熱性および機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
基材層10の厚みは、良好なフィルム特性を得る観点から、好ましくは1μm以上500μm以下、より好ましくは5μm以上300μm以下、さらに好ましくは10μm以上150μm以下である。
基材層10は、他の層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
<粘着性樹脂層>
粘着性樹脂層20は基材層10の一方の面側に設けられ、ITO膜の表面に接触して粘着する層であり、ITO膜に対して粘着性積層フィルム50を貼り付けるための層である。
粘着性樹脂層20は粘着性樹脂(P)を含んでいる。
粘着性樹脂(P)としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂、スチレン系粘着性樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、粘着力の調整を容易にする観点等から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂が好ましい。
粘着性樹脂層20に使用される(メタ)アクリル系粘着性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(A)を含む共重合体が挙げられる。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能な他のモノマーと、を含む混合物を共重合することにより得ることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(A)を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の炭素数が1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
これらの中でも、好ましくは炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(A)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂中の全構成単位の合計を100質量%としたとき、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、55質量%以上92質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂は、凝集力、耐熱性、架橋性等をより良好にする観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能な他のモノマー由来の構成単位(B)をさらに含む。
構成単位(B)を形成するモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン等の窒素含有複素環系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
これらの中でも、シアノアクリレートモノマー、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、(N−置換)アミド系モノマー、エポキシ基含有アクリル系モノマーおよび多官能モノマーから選択される一種または二種以上が好ましく、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジルおよびジビニルベンゼンから選択される一種または二種以上がより好ましい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂において、構成単位(B)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂中の全構成単位の合計を100質量%としたとき、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、8質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る粘着性樹脂層20において、より一層良好な初期の粘着力を有しながら、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制する観点から、粘着性樹脂(P)は、ガラス転移温度が異なる2種類以上の樹脂を併用して使用することが好ましい。
より具体的には、ガラス転移温度が好ましくは5℃以上50℃以下、より好ましくは10℃以上40℃以下、さらに好ましくは15℃以上30℃以下である粘着性樹脂(P1)と、ガラス転移温度が好ましくは−50℃以上5℃未満、より好ましくは−40℃以上0℃以下、さらに好ましくは−30℃以上−5℃以下である粘着性樹脂(P2)と、を併用して使用することがより好ましい。
粘着性樹脂(P1)を含むことにより、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制することができる。また、粘着性樹脂(P2)を含むことにより、初期の粘着力をより一層良好にすることができる。
また、粘着性樹脂層20がガラス転移温度が異なる粘着性樹脂(P1)および粘着性樹脂(P2)を含む場合、粘着性樹脂層20に含まれる粘着性樹脂(P1)の含有量は、粘着性樹脂(P1)および粘着性樹脂(P2)の合計含有量を100質量%としたとき、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制する観点から、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることがさらにより好ましく、75質量%以上であることが特に好ましい。また、粘着性樹脂(P1)の含有量を増加させると、Pの値を低下させたり、P/Pの値を低下させたりすることができる。
また、粘着性積層フィルム50をITO膜に貼り付けた状態のものを高温高湿度下で保管した後に、加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制する観点から、粘着性樹脂層20に含まれる粘着性樹脂(P1)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましい。
また、粘着性樹脂層20がガラス転移温度が異なる粘着性樹脂(P1)および粘着性樹脂(P2)を含む場合、粘着性樹脂層20に含まれる粘着性樹脂(P1)の含有量は、粘着性樹脂(P1)および粘着性樹脂(P2)の合計含有量を100質量%としたとき、より一層良好な初期の粘着力を得る観点から、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、93質量%以下であることがさらに好ましい。
また、粘着性樹脂(P1)の含有量を低下させると、Pの値を増加させたり、P/Pの値を増加させたりすることができる。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂の製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合および各種ラジカル重合等の公知の製造方法を適宜選択できる。なお、ラジカル重合における溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエン等が用いられる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は特に限定されず適宜選択して使用することができる。
重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬工業(株)製、VA−057)等のアゾ系開始剤;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ;過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ等の過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等を挙げることができる。
上記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の使用量はモノマー100質量部に対して、0.005〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.6質量部であることがより好ましい。
また、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、(メタ)アクリル系粘着性樹脂の分子量を適宜調整することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤の使用量はモノマー100質量部に対して、例えば0.01〜0.4質量部である。
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
本実施形態に係る粘着性樹脂層20中の粘着性樹脂(P)の含有量は、初期の粘着力と糊残りの抑制とのバランスの観点から、粘着性樹脂層20の全体を100質量%としたとき、60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上99質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上98質量%以下であることがさらに好ましく、85質量%以上97質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態に係る粘着性樹脂層20は、粘着性樹脂(P)の粘着力および凝集力を調整する観点から、粘着性樹脂(P)に加えて、架橋性の官能基を1分子中に2個以上有する架橋剤をさらに含むことが好ましい。
このような架橋剤としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましく、エポキシ系化合物がより好ましい。
本実施形態に係る粘着性樹脂層20中の上記架橋剤の含有量は、初期の粘着力と糊残りの抑制とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(P)100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上8質量部以下がより好ましく、1質量部以上6質量部以下がさらに好ましい。
粘着性樹脂層20は、粘着性樹脂(P)の粘着力および凝集力を調整する観点から、粘着性樹脂(P)に加えて、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ジバルミチルベンジルメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルベンジルメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ジアンモニウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸カルシウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;脂肪酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪族カルボン酸塩;ポリオキシアルキレン単位含有硫酸エステル塩(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩等);ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム等のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩;ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、モノアルキルスルホコハク酸ジナトリウム等のアルキルスルホコハク酸塩;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩;スルホン酸塩または硫酸エステル基と重合性の炭素−炭素(不飽和)二重結合とを分子中に有する界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル化合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル化合物等のポリオキシアルキレン単位含有エーテル化合物;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレンアルキルエステル化合物;ポリオキシエチレンアルキルアミン等のポリオキシアルキレンアルキルアミン化合物;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のソルビタン化合物等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
これらの界面活性剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でもノニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物がより好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物がさらに好ましい。
本実施形態に係る粘着性樹脂層20中の上記界面活性剤の含有量は、初期の粘着力と糊残りの抑制とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(P)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下がより好ましく、1質量部以上8質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態に係る粘着性樹脂層20中の上記界面活性剤の含有量は、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理または高温高湿下において保管ないし運搬をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制することが可能な観点から、粘着性樹脂層20の全体を100質量%としたとき、6.5質量%を超え35.0質量%以下であることが好ましい。
ここで、粘着性樹脂層20中の界面活性剤の含有量は、下記式により求めることができる。
粘着性樹脂層20中の界面活性剤の含有量=100×(界面活性剤の質量)/粘着性樹脂層20の質量
粘着性樹脂層20の質量は、粘着性樹脂と界面活性剤の質量、さらに可塑剤等の添加剤を含む場合はその質量も合計した値である。
なお、界面活性剤の質量や粘着性樹脂層20の質量は溶剤や水分を除去した固形分の質量である。
粘着性樹脂層20は、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料等)、軟化剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状物、箔状物等のその他の成分をさらに配合してもよい。
粘着性樹脂層20の厚みは特に制限されないが、初期の粘着力と糊残りの抑制とのバランスの観点から、例えば、1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることがより好ましく、2μm以上15μm以下であることがさらに好ましく、3μm以上12μm以下が特に好ましい。
<その他の層>
本実施形態に係る粘着性積層フィルム50は、粘着性樹脂層20上に離型フィルムをさらに積層させてもよい。離型フィルムとしては、例えば、離型処理が施されたポリエステルフィルム等が挙げられる。
<粘着性積層フィルムの製造方法>
次に、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る粘着性積層フィルム50は、例えば、基材層10の一方の面に粘着性樹脂層20を形成することにより得ることができる。
粘着性樹脂層20は、例えば、基材層10上に、粘着性樹脂(P)、必要に応じて架橋剤、界面活性剤、その他の成分等を含む粘着剤を塗布することにより形成することができる。粘着剤は、粘着性樹脂(P)、必要に応じて架橋剤、界面活性剤、その他の成分等を有機溶媒に溶解して塗布液として使用してもよいし、水に乳化させて水系エマルジョンとして使用してもよい。また、粘着剤が液状の場合はそのまま使用してもよい。
基材層10上に粘着剤を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件は特に制限はないが、一般的には、80〜200℃の温度範囲において、10秒〜10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80〜170℃において、15秒〜5分間乾燥する。架橋剤と粘着性樹脂との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤の乾燥が終了した後、40〜80℃において5〜300時間程度加熱してもよい。
また、基材層10と粘着性樹脂層20とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層10とフィルム状の粘着性樹脂層20とをラミネート(積層)して形成してもよい。
粘着性樹脂層20を形成するために使用される粘着剤が水系エマルジョンの場合、基材層10への粘着剤の塗工性を向上させるために、例えば有機溶媒を含むのが好ましい。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;ジアセトンアルコール等の親水性有機溶媒等を挙げることができる。これらの中でもジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体が好ましい。
これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
さらに、これらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の1種あるいは2種以上のものを使用することができる。
有機溶媒の使用量は、初期の粘着力と糊残りの抑制とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(P)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下がより好ましく、1質量部以上8質量部以下がさらに好ましい。
2.構造体
次いで、本実施形態に係る構造体100について説明する。図2は、本発明に係る実施形態の構造体100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る構造体100は、酸化インジウムスズ(ITO)膜70と、ITO膜70に貼り付けられた表面保護フィルムと、を備え、表面保護フィルムが本実施形態に係る粘着性積層フィルム50である。ITO膜70は、例えば基材層90上に形成されている。
本実施形態に係る構造体100は表面保護フィルムとして粘着性積層フィルム50を備えているため、ITO膜の結晶化処理等の高温での加熱処理をおこなってもITO膜上に粘着性樹脂層の一部が残ってしまうという糊残り現象が起きにくい。そのため、ITO膜の汚染を抑制しながら、ITO膜の結晶化処理等の加熱処理を行うことが可能である。
基材層90としては可視光領域で無色透明であり、ITO膜を形成可能なもので軟質な材料が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;シクロオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリイミド樹脂;セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレートやシクロオレフィン系樹脂等が好ましい。
基材層90上にITO膜を形成する方法としては、均一な薄膜を形成できる方法であれば特に限定されない。例えば、スパッタリング、蒸着、各種CVD、スピンコート法、ロールコート法、スプレー塗布、ディッピング塗布等が挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
<材料>
粘着性積層フィルムの作製に用いた材料の詳細は以下の通りである。
基材層1:ポリプロピレン(PP)フィルム(東レフィルム加工社製、製品名:3701J、厚み:40μm)
架橋剤1:ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、製品名:デナコールEX−614)
界面活性剤1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王社製、製品名:エマルゲン705)
有機溶媒1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
(粘着性樹脂1)
還流冷却管を備えた重合反応器に脱イオン水51.69質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.23質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル19.30質量部、アクリル酸ブチル19.30質量部、アクリロニトリル3.68質量部、メタクリル酸2.30質量部、アクリルアミド2.76質量部、ジビニルベンゼン0.23質量部、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム0.51質量部を添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃にて8時間乳化重合を実施し、得られたエマルションを25%アンモニア水で中和した。以上の手順により、粘着性樹脂1を44.5質量%含む粘着性樹脂溶液を得た。
(粘着性樹脂2)
還流冷却管を備えた重合反応器に脱イオン水54.81質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.22質量部、アクリル酸ブチル25.40質量部、メタクリル酸メチル12.41質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル4.00質量部、メタクリル酸0.89質量部、アクリルアミド0.45質量部、メタクリル酸グリシジル1.33質量部、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム0.49質量部を添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃にて8時間乳化重合を実施し、得られたエマルションを25%アンモニア水で中和した。以上の手順により、粘着性樹脂2を45.0質量%含む粘着性樹脂溶液を得た。
(粘着性樹脂3)
還流冷却管を備えた重合反応器に脱イオン水54.78質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.22質量部、アクリル酸ブチル29.39質量部、アクリロニトリル10.23質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.77質量部、アクリル酸1.78質量部、アクリルアミド1.34質量部、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム0.49質量部を添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃にて8時間乳化重合を実施し、得られたエマルションを25%アンモニア水で中和した。以上の手順により、粘着性樹脂3を44.5質量%含む粘着性樹脂溶液を得た。
[実施例1]
表1に示す割合で各成分をそれぞれ混合し、粘着剤1を得た。なお、アンモニア水を用いてpHを7に調整し、粘着剤は純水を用い粘度を100mPa・sに調整した。
基材層1上に、粘着剤1を塗布した後、乾燥させて、厚み5μmの粘着性樹脂層を形成し、粘着性積層フィルムを得た。
得られた粘着性積層フィルムについて以下の評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
[実施例2〜10および比較例1]
粘着剤1の代わりに表1に示す割合で調製した粘着剤をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして粘着性積層フィルムをそれぞれ得た。なお、アンモニア水を用いてpHを6.5〜8.5の範囲に調整し、各粘着剤は純水を用いて粘度を100〜200mPa・sに調整した。
得られた粘着性積層フィルムについて以下の評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
<評価>
(1)剥離強度Pの測定
ITO膜と粘着性樹脂層との間の剥離強度Pは、JIS Z0237に準拠し、下記の方法で測定した。
粘着性樹脂層がポリエステルフィルムに蒸着されたITO膜(卓韋光電社製、P02)に接するように、粘着性積層フィルムを圧力2kg/cm、貼付け速度2m/分の条件でITO膜に貼り付けた。次いで、引張試験機(ORIENTEC社製、RTA−1210A)を用いて、粘着性積層フィルムをITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度(P)とした。
(2)剥離強度Pの測定
ITO膜と粘着性樹脂層との間の剥離強度Pは、JIS Z0237に準拠し、下記の方法で測定した。
粘着性樹脂層がポリエステルフィルムに蒸着されたITO膜(卓韋光電社製、P02)に接するように粘着性積層フィルムをITO膜に貼り付けた。次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した。
次いで、引張試験機(ORIENTEC社製、RTA−1210A)を用いて、粘着性積層フィルムをITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度(P)とした。
(3)糊残り
剥離強度Pの測定後において、ITO膜側の剥離面の粘着性積層フィルムの糊残りを目視で観察し、下記の基準で粘着性積層フィルムの糊残りを評価した。
◎:目視により、ITO膜側の剥離面に糊残りが観察されず、良好であった
〇:目視により、ITO膜側の剥離面に糊残りがわずかに観察されたものの、おおむね良好であった
×:目視により、ITO膜側の剥離面の全面に糊残りが観察され、不良であった
Figure 2018181453
/Pが1.0以上25以下である実施例の粘着性積層フィルムは、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りが抑制されていた。
これに対し、P/Pが25を超える比較例の粘着性積層フィルムは、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際にITO膜側の剥離面の全面に糊残りが観察された。
この出願は、2017年3月29日に出願された日本出願特願2017−066128号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (7)

  1. 酸化インジウムスズ(ITO)膜の表面を保護するための粘着性積層フィルムであって、
    基材層と、前記基材層の一方の面に設けられた粘着性樹脂層と、を備え、
    下記の方法で測定される、基材フィルムに蒸着されたITO膜と前記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP[N/25mm]とし、前記粘着性樹脂層が前記基材フィルムに蒸着された前記ITO膜に接するように前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜に貼り付け、次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した後の前記ITO膜と前記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP[N/25mm]としたとき、
    /Pが1.0以上25以下である粘着性積層フィルム。
    (剥離強度Pの測定方法)
    前記粘着性樹脂層が前記基材フィルムに蒸着された前記ITO膜に接するように、前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜に貼り付ける。次いで、引張試験機を用いて、前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度Pとする。
    (剥離強度Pの測定方法)
    引張試験機を用いて、前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度Pとする。
  2. 請求項1に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
    前記剥離強度(P)が0.01N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
    前記剥離強度(P)が0.1N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
    前記粘着性樹脂層は(メタ)アクリル系粘着性樹脂を含む粘着性積層フィルム。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
    前記粘着性樹脂層の厚みが1μm以上50μm以下である粘着性積層フィルム。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
    前記基材層を構成する樹脂がポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンエーテルから選択される一種または二種以上を含む粘着性積層フィルム。
  7. 酸化インジウムスズ(ITO)膜と、
    前記ITO膜に貼り付けられた表面保護フィルムと、を備え、
    前記表面保護フィルムが請求項1乃至6のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムである構造体。
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