JP6715390B2 - 粘着性積層フィルムおよび構造体 - Google Patents
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Description
まず、ITO膜の結晶化処理をおこなうために、表面保護フィルムを透明導電性フィルムのITO膜側に貼り付けた状態で加熱処理をおこなう場合がある。
本発明者らは、表面保護フィルムをITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなう場合に、加熱処理後にITO膜上に粘着性樹脂層の一部が残ってしまうという糊残り現象が起きてしまう場合があることを知見した。
酸化インジウムスズ(ITO)膜の表面を保護するための粘着性積層フィルムであって、
基材層と、上記基材層の一方の面に設けられた粘着性樹脂層と、を備え、
下記の方法で測定される、基材フィルムに蒸着されたITO膜と上記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP0[N/25mm]とし、上記粘着性樹脂層が上記基材フィルムに蒸着された上記ITO膜に接するように上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜に貼り付け、次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した後の上記ITO膜と上記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP1[N/25mm]としたとき、
P1/P0が1.0以上25以下である粘着性積層フィルム。
(剥離強度P0の測定方法)
上記粘着性樹脂層が上記基材フィルムに蒸着された上記ITO膜に接するように、上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜に貼り付ける。次いで、引張試験機を用いて、上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度P0とする。
(剥離強度P1の測定方法)
引張試験機を用いて、上記粘着性積層フィルムを上記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度P1とする。
[2]
上記[1]に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記剥離強度(P0)が0.01N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。
[3]
上記[1]または[2]に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記剥離強度(P1)が0.1N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記粘着性樹脂層は(メタ)アクリル系粘着性樹脂を含む粘着性積層フィルム。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記粘着性樹脂層の厚みが1μm以上50μm以下である粘着性積層フィルム。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムにおいて、
上記基材層を構成する樹脂がポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンエーテルから選択される一種または二種以上を含む粘着性積層フィルム。
[7]
酸化インジウムスズ(ITO)膜と、
上記ITO膜に貼り付けられた表面保護フィルムと、を備え、
上記表面保護フィルムが上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の粘着性積層フィルムである構造体。
以下、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50について説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の粘着性積層フィルム50の構造の一例を模式的に示した断面図である。
(剥離強度P0の測定方法)
粘着性樹脂層20が基材フィルムに蒸着されたITO膜に接するように、粘着性積層フィルム50をITO膜に貼り付ける。次いで、引張試験機を用いて、粘着性積層フィルム50をITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度P0とする。
(剥離強度P1の測定方法)
引張試験機を用いて、粘着性積層フィルム50をITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度P1とする。
そして、本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、ITO膜と粘着性樹脂層との間の加熱処理前後における剥離強度の比という尺度が、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りを抑制するための粘着性フィルムの設計指針として有効であることを初めて見出した。
すなわち、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50は、前述したP1/P0を上記範囲内とすることで、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りを抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50において、P1/P0の下限値は、加熱処理前のITO膜への粘着力すなわち初期の粘着力を良好にする観点や、加熱処理後においてITO膜から粘着性積層フィルム50が浮き上がってしまうことを抑制する観点から、1.0以上である。
また、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50において、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制する観点から、剥離強度(P0)が1.0N/25mm以下であることが好ましく、0.5N/25mm以下であることがより好ましく、0.2N/25mm以下であることがさらに好ましい。
特に、本実施形態においては、粘着性樹脂層20を構成する粘着性樹脂のガラス転移温度や、粘着性樹脂層20を構成する粘着性樹脂における各モノマーの種類や含有割合等が上記P1/P0を制御するための因子として挙げられる。
基材層10は、粘着性積層フィルム50の取り扱い性や機械的特性、耐熱性等の特性をより良好にすることを目的として設けられる層である。
基材層10は特に限定されないが、例えば、樹脂フィルムが挙げられる。
これらの中でも、耐熱性や透明性、機械的強度、価格等のバランスに優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される少なくとも一種がより好ましい。
また、基材層10を形成するために使用する樹脂フィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、基材層10の耐熱性および機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
基材層10は、他の層との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理等を行ってもよい。
粘着性樹脂層20は基材層10の一方の面側に設けられ、ITO膜の表面に接触して粘着する層であり、ITO膜に対して粘着性積層フィルム50を貼り付けるための層である。
粘着性樹脂(P)としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着性樹脂、シリコーン系粘着性樹脂、ウレタン系粘着性樹脂、オレフィン系粘着性樹脂、スチレン系粘着性樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、粘着力の調整を容易にする観点等から、(メタ)アクリル系粘着性樹脂が好ましい。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、またはこれらの混合物を意味する。
これらの中でも、好ましくは炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位(A)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂中の全構成単位の合計を100質量%としたとき、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、55質量%以上92質量%以下であることがより好ましい。
構成単位(B)を形成するモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン等の窒素含有複素環系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
これらの中でも、シアノアクリレートモノマー、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、(N−置換)アミド系モノマー、エポキシ基含有アクリル系モノマーおよび多官能モノマーから選択される一種または二種以上が好ましく、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジルおよびジビニルベンゼンから選択される一種または二種以上がより好ましい。
本実施形態に係る(メタ)アクリル系粘着性樹脂において、構成単位(B)の含有量は、(メタ)アクリル系粘着性樹脂中の全構成単位の合計を100質量%としたとき、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、8質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
より具体的には、ガラス転移温度が好ましくは5℃以上50℃以下、より好ましくは10℃以上40℃以下、さらに好ましくは15℃以上30℃以下である粘着性樹脂(P1)と、ガラス転移温度が好ましくは−50℃以上5℃未満、より好ましくは−40℃以上0℃以下、さらに好ましくは−30℃以上−5℃以下である粘着性樹脂(P2)と、を併用して使用することがより好ましい。
粘着性樹脂(P1)を含むことにより、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制することができる。また、粘着性樹脂(P2)を含むことにより、初期の粘着力をより一層良好にすることができる。
また、粘着性積層フィルム50をITO膜に貼り付けた状態のものを高温高湿度下で保管した後に、加熱処理をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制する観点から、粘着性樹脂層20に含まれる粘着性樹脂(P1)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましい。
また、粘着性樹脂(P1)の含有量を低下させると、P1の値を増加させたり、P1/P0の値を増加させたりすることができる。
重合開始剤としては特に限定されないが、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬工業(株)製、VA−057)等のアゾ系開始剤;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ;過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせ等の過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等を挙げることができる。
上記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の使用量はモノマー100質量部に対して、0.005〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.6質量部であることがより好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。連鎖移動剤の使用量はモノマー100質量部に対して、例えば0.01〜0.4質量部である。
このような架橋剤としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、レソルシンジグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトルエンジイソシアネート3付加物、ポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−(2−メチルアジリジン)プロピオネート等のアジリジン系化合物;N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の4官能性エポキシ系化合物;ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメラミン系化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これらの中でも、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物およびアジリジン系化合物から選択される一種または二種以上を含むことが好ましく、エポキシ系化合物がより好ましい。
界面活性剤としては、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
これらの中でもノニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物がより好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物がさらに好ましい。
本実施形態に係る粘着性樹脂層20中の上記界面活性剤の含有量は、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理または高温高湿下において保管ないし運搬をおこなった際のITO膜上の糊残りをより一層抑制することが可能な観点から、粘着性樹脂層20の全体を100質量%としたとき、6.5質量%を超え35.0質量%以下であることが好ましい。
ここで、粘着性樹脂層20中の界面活性剤の含有量は、下記式により求めることができる。
粘着性樹脂層20中の界面活性剤の含有量=100×(界面活性剤の質量)/粘着性樹脂層20の質量
粘着性樹脂層20の質量は、粘着性樹脂と界面活性剤の質量、さらに可塑剤等の添加剤を含む場合はその質量も合計した値である。
なお、界面活性剤の質量や粘着性樹脂層20の質量は溶剤や水分を除去した固形分の質量である。
本実施形態に係る粘着性積層フィルム50は、粘着性樹脂層20上に離型フィルムをさらに積層させてもよい。離型フィルムとしては、例えば、離型処理が施されたポリエステルフィルム等が挙げられる。
次に、本実施形態に係る粘着性積層フィルム50の製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係る粘着性積層フィルム50は、例えば、基材層10の一方の面に粘着性樹脂層20を形成することにより得ることができる。
基材層10上に粘着剤を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、ロールコーター法、リバースロールコーター法、グラビアロール法、バーコート法、コンマコーター法、ダイコーター法等が採用できる。塗布された粘着剤の乾燥条件は特に制限はないが、一般的には、80〜200℃の温度範囲において、10秒〜10分間乾燥することが好ましい。さらに好ましくは、80〜170℃において、15秒〜5分間乾燥する。架橋剤と粘着性樹脂との架橋反応を十分に促進させるために、粘着剤の乾燥が終了した後、40〜80℃において5〜300時間程度加熱してもよい。
また、基材層10と粘着性樹脂層20とは共押出成形によって形成してもよいし、フィルム状の基材層10とフィルム状の粘着性樹脂層20とをラミネート(積層)して形成してもよい。
これらの有機溶媒は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
さらに、これらの親水性有機溶媒と併用して、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等の1種あるいは2種以上のものを使用することができる。
有機溶媒の使用量は、初期の粘着力と糊残りの抑制とのバランスを向上させる観点から、粘着性樹脂(P)100質量部に対し、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上10質量部以下がより好ましく、1質量部以上8質量部以下がさらに好ましい。
次いで、本実施形態に係る構造体100について説明する。図2は、本発明に係る実施形態の構造体100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係る構造体100は表面保護フィルムとして粘着性積層フィルム50を備えているため、ITO膜の結晶化処理等の高温での加熱処理をおこなってもITO膜上に粘着性樹脂層の一部が残ってしまうという糊残り現象が起きにくい。そのため、ITO膜の汚染を抑制しながら、ITO膜の結晶化処理等の加熱処理を行うことが可能である。
粘着性積層フィルムの作製に用いた材料の詳細は以下の通りである。
架橋剤1:ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、製品名:デナコールEX−614)
界面活性剤1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王社製、製品名:エマルゲン705)
有機溶媒1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
還流冷却管を備えた重合反応器に脱イオン水51.69質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.23質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル19.30質量部、アクリル酸ブチル19.30質量部、アクリロニトリル3.68質量部、メタクリル酸2.30質量部、アクリルアミド2.76質量部、ジビニルベンゼン0.23質量部、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム0.51質量部を添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃にて8時間乳化重合を実施し、得られたエマルションを25%アンモニア水で中和した。以上の手順により、粘着性樹脂1を44.5質量%含む粘着性樹脂溶液を得た。
還流冷却管を備えた重合反応器に脱イオン水54.81質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.22質量部、アクリル酸ブチル25.40質量部、メタクリル酸メチル12.41質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル4.00質量部、メタクリル酸0.89質量部、アクリルアミド0.45質量部、メタクリル酸グリシジル1.33質量部、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム0.49質量部を添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃にて8時間乳化重合を実施し、得られたエマルションを25%アンモニア水で中和した。以上の手順により、粘着性樹脂2を45.0質量%含む粘着性樹脂溶液を得た。
還流冷却管を備えた重合反応器に脱イオン水54.78質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.22質量部、アクリル酸ブチル29.39質量部、アクリロニトリル10.23質量部、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.77質量部、アクリル酸1.78質量部、アクリルアミド1.34質量部、界面活性剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム0.49質量部を添加し、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃にて8時間乳化重合を実施し、得られたエマルションを25%アンモニア水で中和した。以上の手順により、粘着性樹脂3を44.5質量%含む粘着性樹脂溶液を得た。
表1に示す割合で各成分をそれぞれ混合し、粘着剤1を得た。なお、アンモニア水を用いてpHを7に調整し、粘着剤は純水を用い粘度を100mPa・sに調整した。
基材層1上に、粘着剤1を塗布した後、乾燥させて、厚み5μmの粘着性樹脂層を形成し、粘着性積層フィルムを得た。
得られた粘着性積層フィルムについて以下の評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
粘着剤1の代わりに表1に示す割合で調製した粘着剤をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして粘着性積層フィルムをそれぞれ得た。なお、アンモニア水を用いてpHを6.5〜8.5の範囲に調整し、各粘着剤は純水を用いて粘度を100〜200mPa・sに調整した。
得られた粘着性積層フィルムについて以下の評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
(1)剥離強度P0の測定
ITO膜と粘着性樹脂層との間の剥離強度P0は、JIS Z0237に準拠し、下記の方法で測定した。
粘着性樹脂層がポリエステルフィルムに蒸着されたITO膜(卓韋光電社製、P02)に接するように、粘着性積層フィルムを圧力2kg/cm、貼付け速度2m/分の条件でITO膜に貼り付けた。次いで、引張試験機(ORIENTEC社製、RTA−1210A)を用いて、粘着性積層フィルムをITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度(P0)とした。
ITO膜と粘着性樹脂層との間の剥離強度P1は、JIS Z0237に準拠し、下記の方法で測定した。
粘着性樹脂層がポリエステルフィルムに蒸着されたITO膜(卓韋光電社製、P02)に接するように粘着性積層フィルムをITO膜に貼り付けた。次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した。
次いで、引張試験機(ORIENTEC社製、RTA−1210A)を用いて、粘着性積層フィルムをITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度(P1)とした。
剥離強度P1の測定後において、ITO膜側の剥離面の粘着性積層フィルムの糊残りを目視で観察し、下記の基準で粘着性積層フィルムの糊残りを評価した。
◎:目視により、ITO膜側の剥離面に糊残りが観察されず、良好であった
〇:目視により、ITO膜側の剥離面に糊残りがわずかに観察されたものの、おおむね良好であった
×:目視により、ITO膜側の剥離面の全面に糊残りが観察され、不良であった
これに対し、P1/P0が25を超える比較例の粘着性積層フィルムは、ITO膜に貼り付けた状態で加熱処理をおこなった際にITO膜側の剥離面の全面に糊残りが観察された。
Claims (7)
- 酸化インジウムスズ(ITO)膜の表面を保護するための粘着性積層フィルムであって、
基材層と、前記基材層の一方の面に設けられた粘着性樹脂層と、を備え、
下記の方法で測定される、基材フィルムに蒸着されたITO膜と前記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP0[N/25mm]とし、前記粘着性樹脂層が前記基材フィルムに蒸着された前記ITO膜に接するように前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜に貼り付け、次いで、得られた構造体を150℃で60分間加熱処理した後の前記ITO膜と前記粘着性樹脂層との間の剥離強度をP1[N/25mm]としたとき、
P1/P0が1.0以上25以下であり、
前記粘着性樹脂層が、ガラス転移温度が5℃以上30℃以下である(メタ)アクリル系粘着性樹脂(P1)およびガラス転移温度が−50℃以上5℃未満である(メタ)アクリル系粘着性樹脂(P2)を含む粘着性積層フィルム。
(剥離強度P0の測定方法)
前記粘着性樹脂層が前記基材フィルムに蒸着された前記ITO膜に接するように、前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜に貼り付ける。次いで、引張試験機を用いて、前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度P0とする。
(剥離強度P1の測定方法)
引張試験機を用いて、前記粘着性積層フィルムを前記ITO膜から、23℃、引張速度300mm/分の条件で180度方向に剥離し、そのときの強度(N/25mm)を剥離強度P1とする。 - 請求項1に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
前記剥離強度(P0)が0.01N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。 - 請求項1または2に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
前記剥離強度(P1)が0.1N/25mm以上1.0N/25mm以下である粘着性積層フィルム。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
前記粘着性樹脂層は架橋剤をさらに含む粘着性積層フィルム。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
前記粘着性樹脂層の厚みが1μm以上50μm以下である粘着性積層フィルム。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムにおいて、
前記基材層を構成する樹脂がポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンエーテルから選択される一種または二種以上を含む粘着性積層フィルム。 - 酸化インジウムスズ(ITO)膜と、
前記ITO膜に貼り付けられた表面保護フィルムと、を備え、
前記表面保護フィルムが請求項1乃至6のいずれか一項に記載の粘着性積層フィルムである構造体。
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