JPWO2019003781A1 - 機能性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
このような非晶性フィルムは、脆く、傷がつきやすいため、搬送工程や加工工程での使用、又は保管時における保護のため、通常、少なくとも当該非晶性フィルムが装置等と接触する面に支持フィルムを設けた積層体の態様で使用又は保管される。
例えば、特許文献1には、保護フィルムの少なくとも一方の面側に粘着剤層を有するキャリアフィルムと、前記粘着剤層を介して剥離可能に積層した透明導電性フィルムと、を含み、特定の構成とカール値に係る特定の要件を満たす透明導電性フィルム積層体が開示されている。そして、当該特許文献1に記載のキャリアフィルムは、前記透明導電性フィルム中の透明樹脂フィルムが非晶性シクロオレフィン系樹脂からなり、前記保護フィルムが当該非晶性シクロオレフィン系樹脂とは異なる樹脂であり、かつガラス転移温度が130℃以上である非晶性樹脂で形成されていることを必須としている。
したがって、前記積層体は、所定の荷重がかかった状態で高温条件下に曝される。高温下で所定の荷重がかかる工程を経る場合、非晶性フィルムを保護するために適切な支持フィルムを用いないと、当該支持フィルムが大きく変形してしまうという問題がある。このように、支持フィルム自体が変形すると、前記非晶性フィルムを含む積層体が大きくカールするといった不具合に繋がる。非晶性フィルムを含む積層体が大きくカールすると、その後の工程で、搬送不良や加工不良等が発生するため、生産時のトラブル、歩留まりの低下といった生産性の低下等の問題に繋がる。
ここで、特許文献1に記載されている非晶質樹脂からなる保護フィルムは、RtoRプロセス等の高温下で荷重がかかるプロセスで用いる場合、ブロッキングによる巻取り不良が発生する虞がある。また、保護フィルム自体が非晶質樹脂のため、脆性により保護フィルム自体が破断する虞がある。加えて、非晶質樹脂からなる保護フィルムの価格が非常に高いといった経済的なデメリットも存在する。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高温環境下で荷重がかかる場合でも、カールを抑制できる機能性フィルムを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]を提供する。
[1] 非晶性フィルムと支持フィルムとの積層体である機能性フィルム、又は非晶性フィルムと粘着剤層と支持フィルムとをこの順で直接積層した積層体である機能性フィルムであって、前記支持フィルムが下記条件(I)を満たす、機能性フィルム。
条件(I):引張荷重50g/5mm条件下、25℃から150℃まで5℃/分の昇温速度で昇温した後、続けて、150℃から25℃まで5℃/分の降温速度で降温させた後に測定される熱膨張率の絶対値が0.50%以下
[2] 前記支持フィルムのガラス転移温度(Tg)が、前記非晶性フィルムのガラス転移温度(Tg)未満である、前記[1]に記載の機能性フィルム。
[3] 前記支持フィルムがポリエステル系フィルムである、前記[1]又は[2]に記載の機能性フィルム。
[4] 前記ポリエステル系フィルムが、延伸応力を解消する処理を施されたポリエステル系フィルムである、前記[3]に記載の機能性フィルム。
[5] 前記支持フィルムのガラス転移温度(Tg)が、前記非晶性フィルムのガラス転移温度(Tg)以上である、前記[1]に記載の機能性フィルム。
[6] 前記支持フィルムがポリイミド系フィルムである、前記[5]に記載の機能性フィルム。
[7] 前記支持フィルムの厚さが10μm以上300μm以下である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の機能性フィルム。
[8] 前記非晶性フィルムが、シクロオレフィン系フィルム及びポリカーボネート系フィルムからなる群より選ばれる1種以上である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の機能性フィルム。
[9] 前記非晶性フィルムの厚さが1μm以上100μm以下である、前記[1]〜[8]のいずれかに記載の機能性フィルム。
[10] 光学用デバイスに用いる前記[1]〜[9]のいずれかに記載の機能性フィルム。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10〜90、より好ましくは30〜60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10〜60」とすることもできる。同様に、同一事項に対する「好ましくは10以上、より好ましくは30以上」の記載と「好ましくは90以下、より好ましくは60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10以上60以下」とすることもできる。
本発明の機能性フィルムは、非晶性フィルムと支持フィルムとの積層体である機能性フィルム、又は非晶性フィルムと粘着剤層と支持フィルムとをこの順で直接積層した積層体である機能性フィルムであって、前記支持フィルムが下記条件(I)を満たす、機能性フィルムである。
条件(I):引張荷重50g/5mm条件下、25℃から150℃まで5℃/分の昇温速度で昇温した後、続けて、150℃から25℃まで5℃/分の降温速度で降温させた後に測定される熱膨張率の絶対値が0.50%以下
本発明者らは、非晶性フィルムを有する機能性フィルムを、条件(I)を満たす支持フィルムを有する積層体とすることで、高温環境下で荷重がかかる場合でも、カールを抑制できる機能性フィルムを提供し得ることを見出した。
前記機能性フィルムの構成としては、例えば、図1及び2に示す構成が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
図1は、本発明の機能性フィルムに係る実施態様の一例である、非晶性フィルム11と支持フィルム12とからなる機能性フィルム1の断面図である。
当該態様の機能性フィルム1の製造方法としては、例えば、支持フィルム12上に非晶性フィルム11を形成する原材料樹脂の溶液を直接塗布し、乾燥して形成する方法、又は支持フィルム12を形成する樹脂と非晶性フィルム11を形成する樹脂とを共押出して機能性フィルム1を成形する方法等が挙げられる。
当該態様の機能性フィルム2の製造方法としては、例えば、予め用意した支持フィルム12上に粘着剤層13を設けて、当該粘着剤層13の露出面に対して、予め用意した非晶性フィルム11を積層し、ラミネーター等を用いて貼り合せる方法が挙げられる。
または、予め用意した非晶性フィルム11上に粘着剤層13を設けて、当該粘着剤層13の露出面に対して、予め用意した支持フィルム12を積層し、ラミネーター等を用いて貼り合せる方法が挙げられる。
当該機能性フィルムの厚さは、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。または、後述する各層の厚さの合計として算出することもできる。
また、前記機能性フィルムは、後述する実施例に記載の方法で測定されるカール量が、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下、より更に好ましくは5mm以下である。
以下、前記機能性フィルムを構成する各部材について更に詳細に説明する。
前記非晶性フィルムは、非晶性樹脂から形成されたフィルムであって、透明性及び寸法安定性に優れる観点から、好ましくはシクロオレフィン系フィルム及びポリカーボネート系フィルムからなる群より選ばれる1種以上であり、更に、吸水率が低く耐熱性にも優れる観点から、より好ましくはシクロオレフィン系フィルムである。
ここで、非晶性樹脂とは、X線回折法(XRD)で測定される結晶化度が25%未満である樹脂をいう。一方、結晶性樹脂とは、当該結晶化度が25%以上である樹脂をいう。
また、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメチルシクロテトラドデセン、トリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、及びジメタノオクタヒドロナフタレン等の多環式の環状オレフィン;並びにシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロオクタトリエン、及びシクロドデカトリエン等の単環式の環状オレフィン等もシクロオレフィン系樹脂を構成するモノマーとすることができる。
また、シクロオレフィン系樹脂が共重合体である場合、その分子の配列状態は特に限定されるものではなく、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
また、これらのシクロオレフィン系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも市販品を入手することができ、例えば、いずれも商品名で、日本ゼオン社から販売されている「ZEONORFILM(登録商標)」;グンゼ社から販売されている「Fフィルム」;JSR社から販売されている「ARTON(登録商標)フィルム」;積水化学工業社から販売されている「エスシーナ(登録商標)」等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂は、主鎖中にカーボネート基を有する樹脂である。ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されず、公知のものが使用できる。ポリカーボネートとしては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、又は芳香族−脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、透明性等に優れる観点から、好ましくは芳香族−脂肪族ポリカーボネート及び芳香族ポリカーボネートからなる群より選ばれる1種以上、より好ましくは芳香族ポリカーボネートである。
芳香族ポリカーボネートは、芳香族ジオールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法や溶融エステル交換法で反応させる方法、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させる方法、又は環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させる方法によって得ることができる。
芳香族ポリカーボネートとしては、例えば、ビスフェノール類を用いたポリカーボネートが挙げられる。当該ビスフェノール類を用いたポリカーボネートとしては、例えば、ビスフェノールAポリカーボネート、分岐ビスフェノールAポリカーボネート、発砲ポリカーボネート、コポリカーボネート、ブロックコポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリホスホネートカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)等が挙げられる。また、ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノールAポリカーボネートブレンド、ポリエステルブレンド、ABSブレンド、ポリオレフィンブレンド、スチレン−無水マレイン酸共重合体ブレンドのようなその他成分とブレンドしたポリカーボネートを含有する樹脂組成物も含まれる。
前記ポリカーボネート系樹脂は、市販品としても入手可能であり、例えば、いずれも商品名で、帝人社から販売されている「パンライト(登録商標)」;三菱瓦斯化学社から販売されている「ユーピロン(登録商標)」;等が挙げられる。
また、これらのポリカーボネート系樹脂のフィルムやその延伸フィルムも市販品を入手することができ、例えば、いずれも商品名で、帝人社から販売されている「ピュアエース(登録商標)」;三菱瓦斯化学社から販売されている「ユーピロン(登録商標)・シート」;等が挙げられる。
また、非晶性フィルム表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化等のエッチング処理や下塗り処理等の表面処理を必要に応じて施してもよい。
また、前記非晶性フィルムを形成する非晶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、更に好ましくは150℃以上である。また、当該ガラス転移温度(Tg)の上限値としては、特に制限はないが、好ましくは250℃、より好ましくは200℃、更に好ましくは180℃である。
当該非晶性フィルムの厚さ及びガラス転移温度(Tg)の値は、それぞれ、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
前記支持フィルムは、下記条件(I)を満たす、支持フィルムである。
条件(I):引張荷重50g/5mm条件下、25℃から150℃まで5℃/分の昇温速度で昇温した後、続けて、150℃から25℃まで5℃/分の降温速度で降温させた後に測定される熱膨張率の絶対値が0.50%以下
当該条件(I)で規定する熱膨張率は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定される値である。
当該条件を満たす支持フィルムのガラス転移温度(Tg)としては、好ましくは140℃未満、より好ましくは130℃未満、更に好ましくは100℃以下である。また、当該ガラス転移温度(Tg)の下限値としては、好ましくは10℃、より好ましくは20℃、更に好ましくは50℃である。
当該支持フィルムを用いる場合、前記支持フィルムのガラス転移温度(Tg)と、前記非晶性フィルムのガラス転移温度(Tg)との差は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上である。
前記ポリエステル系フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリアリレートフィルム等が挙げられ、汎用性の観点から、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。
前記延伸応力を解消する処理を施されたポリエステル系フィルムとしては、好ましくは延伸応力を解消する加熱処理を施されたポリエステル系フィルム、より好ましくはアニール処理されたポリエステル系フィルムであり、更に好ましくは延伸応力を解消する加熱処理を施されたPETフィルム、より更に好ましくはアニール処理されたPETフィルムである。
なお、アニール処理方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。アニール処理条件は、アニール処理後のポリエステル系フィルムが前述の条件(I)を満たし、悪影響を及ぼさない範囲で行うのであれば、特に制限されない。
前記アニール処理されたポリエステル系フィルムは、市販品としても入手可能であり、例えば、アイム社から販売されている「アニールフィルム」、「スーパーアニールフィルム」等が挙げられる。
当該条件を満たす支持フィルムのガラス転移温度(Tg)としては、前述の条件(I)を満たし易くする観点から、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上である。また、当該ガラス転移温度(Tg)の上限値としては、特に制限はないが、好ましくは400℃、より好ましくは350℃、更に好ましくは300℃である。
当該支持フィルムを用いる場合、前記支持フィルムのガラス転移温度(Tg)と、前記非晶性フィルムのガラス転移温度(Tg)との差は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは130℃以上である。
前記ポリイミド系フィルムとしては、例えば、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられ、耐熱性及び寸法安定性の観点から、好ましくはポリイミドフィルムである。
前記ポリイミドフィルムは、市販品としても入手可能であり、例えば、東レ・デュポン社から販売されている「カプトン(登録商標)」等が挙げられる。
前記支持フィルムが前記ポリエステル系フィルムの場合、当該ポリエステル系フィルムの厚さは、前述の条件(I)を満たし易くする観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、更に好ましくは100μm以上である。また、取扱性及び経済性の観点から、前記ポリエステル系フィルムの厚さは、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは150μm以下である。
前記支持フィルムが前記ポリイミド系フィルムの場合、当該ポリイミド系フィルムの厚さは、前述の条件(I)を満たし易くする観点から、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、更に好ましくは50μm以上である。また、取扱性及び経済性の観点から、前記ポリイミド系フィルムの厚さは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
前記支持フィルムの厚さ及びガラス転移温度(Tg)の値は、それぞれ、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
前記積層体である機能性フィルムは、前記非晶性フィルムと前記支持フィルムとの間に粘着剤層を有する積層体であることが好ましい。
本明細書における「粘着剤層」とは、粘着剤から形成され得る層だけでなく、接着剤から形成され得る層をも包含して意味するものであり、粘着性及び/又は接着性を有するものとして理解される。
本発明の機能性フィルムが粘着剤層を有する場合、当該粘着剤層を構成する粘着剤及び/又は接着剤としては、機能性フィルムの用途に応じて適宜選択することができる。
また、粘着剤層は、用途に応じて、再剥離性、永久粘着性又は永久接着性を有する層を適宜選択することができる。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」又は「メタクリル」の一方若しくは双方を意味する用語として使用する。また、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」の一方もしくは双方を意味する用語として使用する。
アルキル基の炭素数が4〜10である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、アルキル基の炭素数が6〜10である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の炭素数が8の(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル(2EHA)が更に好ましい。
これらの粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型の接着剤は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射を受けて硬化する性質を有している。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、有機溶剤を含まない、いわゆる無溶剤型の接着剤が好ましい。(メタ)アクリレート系接着剤、エン/チオール系接着剤、エポキシ系接着剤、オキセタン系接着剤、エポキシ/オキセタン系接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤等の光ラジカル重合反応を利用する接着剤;エポキシ系、ビニルエーテル系、オキセタン系等の光カチオン重合反応を利用する接着剤;等が挙げられる。
熱硬化型の接着剤は、加熱により硬化する性質を有している。熱硬化型接着剤としては、有機溶剤を含まない、いわゆる無溶剤型の接着剤が好ましい。熱硬化型の接着剤としては、常温以上で硬化する接着剤が含まれ、例えば、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、(メタ)アクリレート系接着剤、エン/チオール系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリエステル系接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ナイロン系接着剤、変性オレフィン系接着剤等が挙げられる。
当該粘着剤層の厚さは、例えば、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
本発明の機能性フィルムは、前記非晶性フィルムを有する機能性フィルムであるため、光学用デバイスの製造に用いられる機能性フィルムとして好適である。例えば、光学用デバイス用の機能性フィルムとして用いる場合、前記非晶性フィルム上に、更に、その他の各種機能層を1層又は2層以上積層して光学用デバイス部材を製造するために使用することができる。すなわち、前記機能性フィルムとその他の各種機能層とを含む積層体としても用いることができる。前記その他の機能層としては、例えば、透明導電性膜、光学調整層、ガスバリア層及び偏光板からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。また、例えば、前記非晶性フィルム自体を位相差フィルム、液晶セル基盤等の基盤、又は偏光板保護フィルムとして用いることもできる。このような製造過程では前記支持フィルムが、非晶性フィルムを保護するためのプロテクトフィルムとしても機能する。前記支持フィルムをプロテクトフィルムとして使用する場合、前記粘着剤層は再剥離性を有していることが好ましい。
そして、本発明の機能性フィルムは、高温環境下で荷重がかかる場合でもカールを抑制できる。そのため、光学用デバイスに用いられる光学用部材の製造過程で、例えば、RtoRプロセス等の高温で荷重がかかるようなプロセスで使用される機能性フィルムとしてより好適である。すなわち、当該プロセスを経て製造される光学用デバイス用の機能性フィルムとして、より好適である。
無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化珪素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子層に用いる高分子化合物としては、ポリオルガノシロキサン、ポリシラザン系化合物等の珪素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフエニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。これらの高分子化合物は1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。これら高分子化合物の中でも、より優れたガスバリア性を有する珪素含有高分子化合物が好ましい。珪素含有高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、及びポリオルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。これらの中で、優れたガスバリア性を有するバリア層を形成できる観点から、ポリシラザン系化合物が好ましい。
上述した中では、ガスバリア性の観点から、無機酸化物、無機窒化物又は金属を原料とする無機蒸着膜が好ましく、更に、透明性の観点から、無機酸化物又は無機窒化物を原料とする無機蒸着膜が好ましい。また、無機化合物の蒸着膜、またはポリシラザン系化合物を含む層に改質処理を施して形成された酸素、窒素、珪素を主構成原子として有する層からなる酸窒化珪素層が、層間密着性、ガスバリア性、及び耐折り曲げ性を有する観点から、好ましく用いられる。
プラズマイオン注入処理の具体的な処理方法としては、外部電界を用いて発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ポリシラザン化合物含有層に対して注入する方法、又は、外部電界を用いることなく、ガスバリア層形成用材料からなる層に印加する負の高電圧パルスによる電界のみで発生させたプラズマ中に存在するイオンを、ポリシラザン化合物含有層に注入する方法が挙げられる。
プラズマ処理は、ポリシラザン化合物含有層をプラズマ中に晒して、含珪素ポリマーを含有する層を改質する方法である。例えば、特開2012−106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。紫外線照射処理は、ポリシラザン化合物含有層に紫外線を照射して含珪素ポリマーを含有する層を改質する方法である。例えば、特開2013−226757号公報に記載の方法に従って、紫外線改質処理を行うことができる。これらの中でも、ポリシラザン化合物含有層の表面を荒らすことなく、その内部まで効率よく改質し、よりガスバリア性に優れるガスバリア層を形成できることから、イオン注入処理が好ましい。
当該ガスバリア層の膜厚は、20nm〜50μmであることが好ましく、より好ましくは30nm〜1μm、更に好ましくは40〜500nmである。ガスバリア層の膜厚がこの範囲にあると、優れたガスバリア性や密着性が得られるとともに、柔軟性と、被膜強度とを両立させることができるため好ましい。
そして、本発明の機能性フィルムは、高温環境下で荷重がかかる場合でもカールを抑制できる。そのため、前記非晶性フィルム上に、前記ガスバリア層を形成する過程で、高温環境下に曝される場合でも好適に用いることができる。
各実施例及び各比較例で用いた各非晶性フィルム、及び各支持フィルムの厚さは、テクロック社製の定圧厚さ測定器(型番:「PG−02J」、標準規格:JIS K6783:1994、JIS Z1702:1994、JIS Z1709:1995に準拠)を用いて測定した。
乾燥後の粘着剤層の厚さは、各実施例及び各比較例で得られた粘着剤層付き支持フィルムの厚さを同様の方法を用いて測定し、予め測定した支持フィルムの厚さを差し引いた値を用いた。
各実施例及び各比較例で用いた各非晶性フィルム及び各支持フィルムを横(TD方向)5mm×縦(MD方向)15mmの短冊状に切断して試験片を作製した。その後、粘弾性測定装置(TAinstruments社製「DMA Q800」)を用いて、引張モードにて、試験片のtanδ(損失弾性率と貯蔵弾性率との比)を、周波数10Hz、昇温速度5℃/分、大気雰囲気下で0〜350℃にて測定した。なお、ポリエチレンフィルムの測定時には、液体窒素を利用して、−150〜100℃にて測定した。この温度範囲において、tanδが最大値を示す温度を読み取り、各非晶性フィルム及び支持フィルムのガラス転移温度(Tg)とした。
なお、MD方向のMDとは、Machine Directionの略記であり、MD方向はフィルム成形時の長尺方向を意味する。また、TD方向のTDとは、Transverse Directionの略記で、TD方向はフィルム成形時の幅方向を意味する。
各実施例及び各比較例で用いた各支持フィルムの熱膨張率は、次の方法にて測定した。
NETZSCH JAPAN社製「TMA−4000SE」を用い、有効測定範囲:横(TD方向)5mm×縦(MD方向)15mmの試験片に対し、MD方向に50gの引張荷重をかけ、一定荷重モードで測定を行った。25℃から150℃まで5℃/分の昇温速度で昇温した後、続けて、150℃から25℃まで5℃/分の降温速度で降温させた際のチャートを確認し、25℃まで降温した後の試験片のMD方向における変位量(収縮の場合は負の値で表す。)及びMD方向における初期試験片長の値から、下記式に基づいて熱膨張率を算出した。
熱膨張率[%]=(変位量[mm]/初期試験片長[mm])×100
各実施例及び各比較例で作製した機能性フィルム1〜12を、横(TD方向)100mm×縦(MD方向)100mmのサイズに裁断して試験片を作製した。
当該試験片を、MD方向に1,000gの荷重をかけた状態で、エスペック社製オーブン「SPHH−202」を用いて、150℃5分間加熱した。
5分間の加熱後、当該試験片をオーブン中から取り出して、自然冷却し、当該試験片の温度が室温(25℃)まで降温したことを確認し、試験片の荷重を取り除いてから、水平なテーブル上に試験片を静置させた。試験片の4つの角(4頂点)の浮高さ(テーブル面からの高さ)を定規で測定し、得られた4つの高さの平均値を算出し、その値をカール量とした。
当該カール量の値が20mm以下の場合を「良好」とし、20mmを超える場合は「不良」であるとして、各試験片のカールの抑制効果について、その良否判断を行なった。
得られた結果を下記表1に示す。
なお、前記カール量の値は、非晶性フィルム側が浮き上がる場合を正の値で、支持フィルム側が浮き上がる場合を負の値で記載した。
支持フィルムとして、アニール処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(1)(アイム社製、品番「SAF1000PET50」、厚さ50μm)を用い、当該支持フィルム上に、2EHA系粘着剤を乾燥後の粘着剤層の膜厚が10μmとなるように塗布し塗膜を形成した。当該支持フィルム上の塗膜を、100℃で1分間加熱して粘着剤層を形成した。
非晶性フィルムとして、シクロオレフィンポリマーフィルム(1)(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム(登録商標)、品番「ZF14−023」、厚さ23μm)を用い、前記支持フィルム上の粘着剤層の露出面と当該非晶性フィルムの表面とを、日本オフィスラミネーター社製のロール式ラミネート機「RSH−380SL」を用いて貼合わせ、積層体である機能性フィルム1を得た。
実施例1で用いた支持フィルムを、アニール処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(2)(アイム社製、品番「AF2000PET125」、厚さ125μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、機能性フィルム2を得た。
実施例1で用いた支持フィルムを、アニール処理済みポリエチレンテレフタレートフィルム(3)(アイム社製、品番「AF2000PET250」、厚さ250μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、機能性フィルム3を得た。
実施例1で用いた支持フィルムを、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、カプトン(登録商標)、品番「200H」、厚さ50μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、機能性フィルム4を得た。
実施例2で用いた非晶性フィルムを、シクロオレフィンポリマーフィルム(2)(日本ゼオン社製、ゼオノアフィルム(登録商標)、品番「ZF16−040」、厚さ40μm)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、機能性フィルム5を得た。
実施例2で用いた非晶性フィルムを、シクロオレフィンコポリマーフィルム(グンゼ社製、品番「F1−ISO」、厚さ80μm)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、機能性フィルム6を得た。
実施例2で用いた非晶性フィルムを、ポリカーボネートフィルム(帝人社製、ピュアエース(登録商標)、品番「C110」、厚さ40μm)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、機能性フィルム7を得た。
実施例4で用いた非晶性フィルムを、ポリカーボネートフィルム(帝人社製、ピュアエース(登録商標)、品番「C110」、厚さ40μm)に変更したこと以外は、実施例4と同様にして、機能性フィルム8を得た。
実施例1で用いた支持フィルムを、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製、品番「PET25T600E」、厚さ25μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、機能性フィルム9を得た。
実施例1で用いた支持フィルムを、ポリエチレンフィルム(東レフィルム加工社製、トレテック(登録商標)、品番「7332」、厚さ50μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、機能性フィルム10を得た。
比較例1で用いた非晶性フィルムを、ポリカーボネートフィルム(帝人社製、ピュアエース(登録商標)、品番「C110」、厚さ40μm)に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、機能性フィルム11を得た。
実施例1で用いた支持フィルムを、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン(登録商標)、品番「125A4300」、厚さ125μm)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、機能性フィルム12を得た。
一方、支持フィルムの熱膨張率の値(絶対値)が大きい比較例1〜4の機能性フィルム9〜12は、高温環境下で荷重がかかる条件下では、カール量が大きくなり、カールを抑制することが困難であることが確認された。
11 非晶性フィルム
12 支持フィルム
13 粘着剤層
Claims (10)
- 非晶性フィルムと支持フィルムとの積層体である機能性フィルム、又は非晶性フィルムと粘着剤層と支持フィルムとをこの順で直接積層した積層体である機能性フィルムであって、前記支持フィルムが下記条件(I)を満たす、機能性フィルム。
条件(I):引張荷重50g/5mm条件下、25℃から150℃まで5℃/分の昇温速度で昇温した後、続けて、150℃から25℃まで5℃/分の降温速度で降温させた後に測定される熱膨張率の絶対値が0.50%以下 - 前記支持フィルムのガラス転移温度(Tg)が、前記非晶性フィルムのガラス転移温度(Tg)未満である、請求項1に記載の機能性フィルム。
- 前記支持フィルムがポリエステル系フィルムである、請求項1又は2に記載の機能性フィルム。
- 前記ポリエステル系フィルムが、延伸応力を解消する処理を施されたポリエステル系フィルムである、請求項3に記載の機能性フィルム。
- 前記支持フィルムのガラス転移温度(Tg)が、前記非晶性フィルムのガラス転移温度(Tg)以上である、請求項1に記載の機能性フィルム。
- 前記支持フィルムがポリイミド系フィルムである、請求項5に記載の機能性フィルム。
- 前記支持フィルムの厚さが10μm以上300μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
- 前記非晶性フィルムが、シクロオレフィン系フィルム及びポリカーボネート系フィルムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
- 前記非晶性フィルムの厚さが1μm以上100μm以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
- 光学用デバイスに用いる請求項1〜9のいずれか1項に記載の機能性フィルム。
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