JP2014156059A - 低温溶融封止性及びバリア性を有する複合フィルム及びその製造方法 - Google Patents

低温溶融封止性及びバリア性を有する複合フィルム及びその製造方法 Download PDF

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浩一 梅本
Hisayoshi Ito
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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

【課題】比較的低温で溶融してLEDなどの光電変換素子を封止可能であり、かつガスバリア性に優れる複合フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材層と、この透明基材層に積層され、かつ無機化合物で形成された透明バリア層と、この透明バリア層に積層され、かつ80℃以下のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂で形成された透明封止層とを組み合わせて、光電変換素子を封止するための複合フィルムを調製する。前記透明封止層の表面は、少なくとも透明バリア層と接触する表面において、80〜10°の水接触角を有していてもよい。前記光電変換素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子又は有機太陽電池セルであってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、発光ダイオードなどの光電変換素子を低温で溶融封止可能であり、かつ水分などに対する高いバリア性を有する透明な複合フィルム及びその製造方法に関する。
半導体素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶素子(液晶セル)、光電変換素子(太陽電池セルなど)などの機能素子、これらの機能素子パッケージや前記機能素子又はそのパッケージを実装したプリント基板などの精密部品(又は電子デバイス)は、通常、樹脂で封止し、外的影響(特に、湿度)から保護されている。なかでも、有機太陽電池や有機EL素子は、発光層(又は受光層)が有機化合物で形成された発光ダイオード(LED)を備えている。LEDは、有機化合物中に注入された電子と正孔の再結合によって生じた励起子(エキシトン)によって発光(発電)するが、エキシトンは、極めて反応性に富むため、素子中の水分などにより容易に劣化する。そのため、これらの素子では、高度なバリア性が要求されるが、水分は表面からもエッジからも浸入するため、前記素子を封止できるバリア素材も求められている。
透湿度が低い素子用フィルムとして、WO2004/000920号公報(特許文献1)には、ELディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池などの基板として、ポリエチレンナフタレート基板の上に、ポリエステルとアクリル樹脂と濡れ剤とフィラーとで構成された塗布層、ハードコート層、酸化珪素の蒸着膜で形成されたバリア層、インジウム錫酸化物(ITO)の蒸着膜で形成された透明導電膜を順次積層した積層フィルムが開示されている。
また、特開2008−33095号公報(特許文献2)には、液晶表示パネル、有機又は無機EL表示パネル、電子ペーパーなどの表示部を、表示駆動回路基板と透明電極基板との間に狭持し、ガスバリア性フィルム又はシートで被覆した表示装置が開示されている。この文献には、好適なガスバリア性フィルム又はシートとして、透明樹脂基材上に金属又は金属化合物からなるガスバリア性薄膜、ガスバリア性を有する有機樹脂が形成された積層体が記載されている。
しかし、これらの文献には、封止材について具体的な記載はなく、封止について熱ラミネートや接着剤を用いることなどが記載されているが、金属蒸着したガスバリア性フィルムには熱溶融性が無いため、熱ラミネートは不可能である。さらに、接着剤に関しても記載されておらず、常用の接着剤は親水性の素材であるため、水蒸気に対してバリア性がなく、サイド(側部)からの水の進入を許してしまう。
特開2011−27952号公報(特許文献3)には、無機材料の酸化物又は窒化物で形成された保護層で覆われた電気光学パネルとタッチパネルとが樹脂層で覆われた電気光学装置が開示されている。この文献には、前記樹脂層として、ポリエチレン又はポリエチレン共重合体を主成分とする材料が記載されている。さらに、この文献には、前記電気工学パネルとして、素子基板の上に、陽極と、有機発光層と、陰極と、電極保護層と、有機緩衝層と、ガスバリア層と、封止基板と、封止樹脂層とを備えた有機ELパネルも開示されており、封止樹脂として、エポキシ樹脂が好ましいと記載されている。
しかし、ポリエチレン又はポリエチレン共重合体を主成分とする樹脂層では、透明性が低い上に、融点も高いため、封止に十分な温度まで加熱すると、電気光学素子の特性を低下させる虞がある。さらに、エポキシ樹脂でも、硬化のために加熱が必要であり、電気光学素子の特性を低下させる虞がある。
WO2012/144644号公報(特許文献4)には、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とし、ガラス転移温度が20〜80℃である鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体で形成された光学素子のシート状封止材料が開示されている。
しかし、この文献には、バリア性について記載されていない。
WO2004/000920号公報(請求の範囲、実施例) 特開2008−33095号公報(特許請求の範囲、段落[0024]、図1) 特開2011−27952号公報(特許請求の範囲、段落[0057][0088][0104]、図5) WO2012/144644号公報(請求の範囲)
従って、本発明の目的は、比較的低温で溶融(又は軟化)してLEDなどの光電変換素子を封止(シール又はカバーリング)可能であり、かつガスバリア性に優れる複合フィルム及びこの複合フィルムを備えた電子デバイスを提供することにある。
本発明の他の目的は、透明性が高く、水蒸気バリア性に優れ、有機太陽電池や有機EL素子などのLEDを有効に保護及び封止できる複合フィルム及びこの複合フィルムを備えた電子デバイスを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、透明基材層と、この透明基材層に積層され、かつ無機材料で形成された透明バリア層と、この透明バリア層に積層され、かつ80℃以下のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂で形成された透明封止層とを組み合わせることにより、比較的低温で溶融してLEDなどの光電変換素子を封止(シール又はカバーリング)でき、かつ水蒸気などのガスバリア性も向上できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の複合フィルムは、光電変換素子を封止するための複合フィルムであって、透明基材層と、この透明基材層に積層され、かつ無機材料で形成された透明バリア層と、この透明バリア層に積層され、かつ80℃以下のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂で形成された透明封止層とを含む。前記透明封止層と前記透明バリア層とは、接着層を介することなく、積層されていてもよい。前記透明封止層の表面は、少なくとも透明バリア層と接触する表面において、80〜10°の水接触角を有していてもよい。前記環状オレフィン系樹脂は、20〜70℃のガラス転移温度を有し、かつ鎖状オレフィンと二環式オレフィンを含む環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体であってもよい。前記鎖状オレフィンと前記環状オレフィンとのモル比は、鎖状オレフィン/環状オレフィン=85/15〜60/40であってもよい。前記環状オレフィン系樹脂は、前記鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体であってもよい。前記透明バリア層は、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下、10−2g/(m・day)以下の水蒸気透過度を有していてもよい。前記透明基材層は環状オレフィン系樹脂で形成されていてもよい。前記光電変換素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子又は有機太陽電池セルであってもよい。
本発明には、透明基材層に透明バリア層を積層する第1の積層工程、前記透明バリア層に透明封止層を積層する第2の積層工程を含む前記複合フィルムの製造方法も含まれる。第2の積層工程において、透明封止層の表面のうち、少なくとも透明バリア層と接触する表面を、表面処理(例えば、コロナ放電処理又はプラズマ処理)して水に対する濡れ性を向上させた後、透明バリア層に積層してもよい。
なお、本明細書において、低温軟化性とは、比較的低温(例えば、80℃以下、好ましくは20〜70℃、さらに好ましくは30〜60℃程度)で軟化(又は溶融)し、軟化後の弾性率が軟化前に比べて100分の1以下になることを意味する。
本発明では、透明基材層と、この透明基材層に積層され、かつ無機材料で形成された透明バリア層と、この透明バリア層に積層され、かつ80℃以下のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂で形成された透明封止層とを組み合わせているため、比較的低温で溶融(又は軟化)してLEDなどの光電変換素子を封止(シール又はカバーリング)でき、かつガスバリア性も向上できる。特に、透明性が高く、水蒸気バリア性にも優れるため、有機太陽電池や有機EL素子などのLEDを有効に保護及び封止できる。
[複合フィルム]
本発明の複合フィルムは、透明基材層と、この透明基材層に積層され、かつ無機材料で形成された透明バリア層と、この透明バリア層に積層され、かつ80℃以下のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂で形成された透明封止層とを含む。
(透明基材層)
透明基材層は、透明バリア層を形成可能であればよいが、特に、接着層を介することなく、蒸着などにより、無機材料で形成された透明バリア層と密着できる点から、耐熱性を有する透明材料が好ましい。このような透明材料としては、ガラスなどの無機材料であってもよいが、強度や成形性などの点から、有機材料が汎用される。有機材料としては、例えば、セルロース誘導体(セルロースアセテートなどのセルロースエステルなど)、ポリオレフィン(環状オレフィン系樹脂など)、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、(メタ)アクリル系樹脂などの高分子が挙げられる。これらのうち、耐熱性、耐薬品性及び成形性のバランスに優れる点から、環状オレフィン系樹脂、ポリエステルが汎用される。
環状オレフィン系樹脂としては、後述する透明封止層の項で例示された環状オレフィン(例えば、ノルボルネンなどの二環式オレフィンなど)を含む慣用の環状オレフィン系樹脂であってもよい。環状オレフィン系樹脂は、前記環状オレフィン単位を含んでいればよく、環状オレフィン単位単独で形成されていてもよいが、前記環状オレフィンと、後述する透明封止層の項で例示された鎖状オレフィン(例えば、エチレンなどのC2−10オレフィンなど)との共重合体であってもよい。環状オレフィンと鎖状オレフィンとの割合(モル比)は、例えば、環状オレフィン/鎖状オレフィン100/0〜40/60、好ましくは95/5〜45/55、さらに好ましくは90/10〜50/50程度である。環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度は、80℃を超えるのが好ましく、例えば、85〜200℃、好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜160℃程度である。
ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリアルキレンアリレートであってもよい。ポリエステルのうち、PETやPENなどのポリC2−4アルキレンアリレートが好ましく、耐熱性の点から、PENなどのポリC2−4アルキレンナフタレート樹脂が特に好ましい。さらに、有機材料で形成された基材フィルムは、二軸延伸したフィルムであってもよい。
本発明では、透明性、耐熱性、耐薬品性などに優れる点から、環状オレフィン系樹脂が特に好ましい。
透明基材層は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、着色剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
透明基材層の厚み(平均厚み)は、用途に応じて、10μm〜1mm程度の範囲から選択でき、例えば、10〜500μm、好ましくは20〜400μm、さらに好ましくは30〜300μm程度である。
(透明バリア層)
透明バリア層は、複合フィルムにガスバリア性を付与するために形成され、無機材料で形成されている。
無機材料は、通常、金属又は金属化合物を含んでおり、薄膜(特に、透明性薄膜)を形成可能な金属又は金属化合物で構成されているのが好ましい。このような金属には、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル、銅などの遷移元素;亜鉛などの周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムなどの周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫などの周期表4B族元素;セレン、テルルなどの周期表6B族元素などが例示できる。また、金属化合物としては、前記金属の酸化物、窒化物、酸化窒化物、ハロゲン化物、炭化物、酸化炭化物などが例示できる。これらの無機材料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの無機材料のうち、ガスバリア性のみならず透明性も向上できる点から、アルミニウムなどの周期表3B族元素、珪素などの周期表4B族元素、チタンなどの遷移元素の金属酸化物、金属酸化窒化物、金属酸化炭化物、金属窒化物が好ましい。なかでも、酸化アルミニウム[組成式AlxOy(x,y>0)]、酸化ケイ素[組成式SixOy(x,y>0)]、ケイ素窒化物[組成式SixNy(x,y>0)]、ケイ素酸化窒化物[組成式SixOyNz(x,y,z>0)]、ケイ素酸化炭化物[組成式SixOyCz(x,y,z>0)]が好ましく、透明性、膜の強度及びバリア性などの点から、酸化ケイ素が特に好ましい。
透明バリア層は、ガスバリア性、特に、水蒸気バリア性に優れている。具体的には、水蒸気透過度[単位:g/(m・day)]は、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下、10−2以下であってもよく、例えば、10―2〜10−7、好ましくは10−3〜10−6、さらに好ましくは10−4〜10−6(特に10−5〜10−6)程度である。水蒸気透過度が小さすぎると、バリア性が低下する。
本明細書では、水蒸気透過度は、実施例に記載に方法で測定でき、24時間、1mあたりの水蒸気透過量として求めることができる。
透明バリア層の厚み(平均厚み)は、成膜方法に応じて適宜選択でき、例えば、10〜300nm(例えば20〜300nm)、好ましくは15〜250nm(例えば、20〜200nm)、さらに好ましくは25〜150nm(特に30〜100nm)程度であってもよい。特に、クラックなどの発生を防止し、均一な膜を形成してガスバリア性を保持する点から、物理的気相法では、透明バリア層の厚みを10〜100nm、好ましくは15〜80nm、さらに好ましくは20〜60nm程度に調整してもよく、化学的気相法では、透明バリア層の厚みを50〜400nm、好ましくは60〜350nm、さらに好ましくは80〜300nm程度に調整してもよい。
(透明封止層)
透明封止層は、比較的低温で軟化(又は溶融)し、光電変換素子を封止(シール又はカバリング)するために形成され、80℃以下のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂で形成されている。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、低温軟化性(溶融性)を有するために、80℃以下(特に70℃以下)であればよく、さらに低温での封止性を向上できる点から、例えば、15〜75℃(例えば、20〜70℃)、好ましくは20〜60℃、さらに好ましくは25〜50℃(特に30〜40℃)程度であってもよい。ガラス転移温度が高すぎると、低温での封止性(シール性)が低下するとともに、封止温度が高くなり、光電変換素子の特性を低下させる虞がある。本明細書では、ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で測定できる。
なお、ガラス転移温度は、単量体の割合、単量体の置換基、重合体の分子量などを調整して制御することができる。
環状オレフィン系樹脂は、温度25℃での貯蔵弾性率が100〜4000MPa、好ましくは500〜3000MPa(例えば、750〜2500MPa)、さらに好ましくは1000〜2000MPa(例えば、1200〜1800MPa)程度である。また、温度50℃での貯蔵弾性率は、5〜500MPa、好ましくは10〜300MPa(例えば、20〜280MPa)、さらに好ましくは30〜250MPa(例えば、50〜220MPa)程度である。さらに、温度80℃での貯蔵弾性率は、0.01〜10MPa、好ましくは0.1〜8MPa(例えば、0.5〜7.5MPa)、さらに好ましくは1〜7MPa(例えば、2〜7MPa)程度である。このような特性を有する環状オレフィン系樹脂は、室温付近(20〜25℃程度)では、機械的強度が大きく、30〜80℃程度では、流動性が高い。なお、前記80℃での貯蔵弾性率を「1」としたとき、80℃での貯蔵弾性率に対して25℃での貯蔵弾性率は、例えば、0.05×10〜10×10(例えば、0.1×10〜5×10、好ましくは0.2×10〜1×10、さらに好ましくは0.3×10〜0.7×10程度)である。貯蔵弾性率の比率が小さすぎると、光電変換素子の形状に対する追従性が低下し、大きすぎると、流動性が高くなり、シール性及び封止性が低下し易い。環状オレフィン系樹脂の貯蔵弾性率は、幅5mm、長さ50mmに切り出し、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、RSA−III)を用い、チャック間距離20mm、昇温速度5℃/分及び角周波数10Hzの条件で測定できる。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン単位を含んでいればよいが、低温軟化性を付与できる点から、鎖状オレフィン単位と環状オレフィン単位とを含む樹脂が好ましく、両単位の割合を制御できる点から、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体が特に好ましい。
鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの鎖状C2−10オレフィン類などが挙げられる。これらの鎖状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィンのうち、好ましくはα−鎖状C2−8オレフィン類であり、さらに好ましくはα−鎖状C2−4オレフィン類(特に、エチレン)である。
環状オレフィンは、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンであり、二環式オレフィンを含む。代表的な二環式オレフィンとしては、例えば、置換基を有していてもよいノルボルネン(2−ノルボルネン)、置換基を有していてもよいオクタリン(オクタヒドロナフタレン)などが例示できる。前記置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、アミド基、ハロゲン原子などが例示できる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
具体的に、二環式オレフィンとしては、例えば、2−ノルボルネン;5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネンなどのアルキル基(C1−4アルキル基)を有するノルボルネン類;5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5−シアノ−2−ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有するオクタリンなどが例示できる。
これらの二環式オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの二環式オレフィンのうち、ノルボルネンやアルキル基(メチル基、エチル基などのC1−4アルキル基)を有するノルボルネンなどのノルボルネン類が好ましい。
環状オレフィンは、二環式オレフィンを含んでいればよく、さらに単環式オレフィン及び/又は三環以上の多環式オレフィンを含んでいてもよい。単環式オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの環状C4−12シクロオレフィン類などが挙げられる。多環式オレフィンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン;2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノシクロペンタジエノナフタレン、メタノオクタヒドロシクロペンタジエノナフタレンなどの誘導体;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどの置換基を有する誘導体;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、シクロペンタジエンの3〜4量体などが挙げられる。
環状オレフィン全体に対して二環式オレフィン(特にノルボルネン類)の割合は10モル%以上であってもよく、例えば、30モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上(特に90モル%以上)であり、二環式オレフィン単独(100モル%)であってもよい。二環式オレフィンの割合が少なく、三環以上の多環式オレフィン(特に、四環以上の多環式オレフィン)の割合が多くなると、一次構造が嵩高くなり、低温軟化性が低下する。また、単環式オレフィンの場合、エチレンとの交互共重合となるため、こちらも一次構造が嵩高く、低温軟化性を制御できず、封止性が低下する。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体において、透明性と低温軟化性とを両立する点から、鎖状オレフィン(特に、エチレンなどのα−鎖状C2−4オレフィン)と環状オレフィン(特に、ノルボルネンなどの多環式オレフィン)との割合(モル比)は、例えば、鎖状オレフィン/環状オレフィン=85/15〜60/40程度の範囲から選択でき、例えば、84/16〜65/35、好ましくは83/17〜67/33、さらに好ましくは82/18〜68/32(特に81/19〜70/30)程度である。特に、比較的低温での軟化性(又は溶融性)が要求される場合、両者の割合は、鎖状オレフィン/環状オレフィン=84/16〜75/25、好ましくは82/18〜77/23、さらに好ましくは82/18〜78/22(特に81/19〜79/21)程度であってもよい。環状オレフィンの割合が少なすぎると、ヘーズが発生し、多すぎると、低温軟化性が低下する。
他の共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ジエン系単量体(例えば、ブタジエン、イソプレンなど);(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、又はこれらの誘導体((メタ)アクリル酸エステルなど)など]などが例示できる。これらの他の共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの他の共重合性単量体の含有量は、共重合体に対して、例えば、5モル%以下、好ましくは1モル%以下である。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体は、付加重合により得られた樹脂であってもよく、開環重合(開環メタセシス重合など)により得られた樹脂であってもよい。また、開環メタセシス重合により得られた重合体は、水素添加された水添樹脂であってもよい。鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の重合方法は、慣用の方法、例えば、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合(通常、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合)などを利用できる。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体は非晶性であり、透明性を向上できる点から、結晶化度は0〜3%、好ましくは0〜1%(例えば、0〜0.5%)、さらに好ましくは0〜0.1%(特に略0%)程度であってもよい。結晶化度は、WO2012/144644号公報(特許文献4)に記載の方法で測定できる。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の数平均分子量は、GPCにおいて、ポリスチレン換算で、例えば、1000〜150000、好ましくは5000〜120000、さらに好ましくは10000〜100000(特に20000〜90000)程度である。
環状オレフィン系樹脂は、前記鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の未架橋体あってもよいが、耐熱性を向上できる点から、架橋体であってもよい。
前記鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体は、架橋点間分子量が大きく、例えば、8000〜30000、好ましくは9000〜25000(例えば、9500〜20000)、さらに好ましくは10000〜18000(例えば、10000〜16000)程度である。架橋点間分子量は、WO2012/144644号公報(特許文献4)に記載の方法で測定できる。
架橋体は耐熱性に優れており、140〜150℃における線熱膨張係数は2000ppm/℃以下(例えば、1〜2000ppm/℃)であってもよく、例えば、5〜1000ppm/℃、好ましくは10〜800ppm/℃、さらに好ましくは50〜500ppm/℃(特に100〜400ppm/℃)程度である。
架橋体のゲル分率は、例えば、5重量%以上であってもよく、例えば、10〜99重量%(例えば、30〜98重量%)、好ましくは50〜97重量%、さらに好ましくは80〜95重量%(特に85〜93重量%)程度であってもよい。ゲル分率は、トルエンを用いて3時間還流させる方法で測定できる。
架橋体は、WO2012/144644号公報(特許文献4)に記載の方法で製造でき、電子線やガンマ線などの高エネルギー線(特に電子線)で架橋する方法で製造してもよい。
透明封止層は、他の樹脂成分(環状オレフィン系樹脂と架橋可能なオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン系樹脂や他の環状オレフィン系樹脂など)、重合開始剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、透明基材層の項で例示された慣用の添加剤などを含んでいてもよい。
透明封止層と透明バリア層とは、接着層を介することなく、積層されていてもよい。そのため、前記透明封止層の表面は、無機材料で形成された透明バリア層との密着性を向上できる点から、少なくとも透明バリア層と接触する表面において、85℃以下の水接触角を有していてもよい。前記水接触角は、例えば、80〜10°、75〜20°、70〜30°程度であってもよい。水接触角が大きすぎると、透明バリア層との密着性が低下し、光学変換素子の封止性が低下する。
さらに、透明封止層は、透明バリア層との密着性だけでなく、光電変換素子との密着性を向上させる点から、光電変換素子と接触する表面(透明バリア層と接触する表面と反対側の面)も前述の水接触角を有するのが好ましい。光電変換素子は、通常、無機材料(電極やパーシベッション膜など)で被覆されているため、前記水接触角を有することにより、密着性が向上し、封止性が向上する。
透明封止層は、透明バリア層と組み合わせて、ガスバリア性を向上できる点から、水蒸気透過度[単位:g/(m・day)]は、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下、厚み100μmにおいて、例えば、0.1〜10程度の範囲から選択でき、例えば、0.3以上(例えば、0.5〜5)、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1.5〜3程度であってもよい。透明封止層の水蒸気透過度が小さすぎると、光電変換素子に対する封止性、特に、透明バリア層で遮蔽できないエッジ部(部材間の境界部)や平板状素子の側部に対する封止性(バリア性)が低下する。
透明封止層の厚み(平均厚み)は、10μm以上であってもよく、例えば、12〜500μm、好ましくは15〜200μm、さらに好ましくは20〜100μm(特に25〜50μm)程度である。透明封止層の厚みが薄すぎると、光電変換素子の形状に対して追随するための変形が困難となり、光電変換素子の封止性(シール性又はカバーリング性)が低下するため、エッジ部などでの防湿性が低下する。
(複合フィルムの特性)
また、本発明の複合フィルムは、透明性に優れており、全光線透過率は、厚み100μmにおいて、例えば、80〜99%、好ましくは85〜98%、さらに好ましくは88〜97%(特に90〜95%)程度であってもよい。全光線透過率は、JIS K7105に準じて測定できる。
複合フィルムのヘーズ値(曇価)は、厚み100μmにおいて、5%以下(特に1%以下)であり、例えば、0.1〜1.5%、好ましくは0.15〜1%(例えば、0.2〜0.8%)、さらに好ましくは0.25〜0.7%(特に0.3〜0.6%)程度である。ヘーズは、JIS K7136に準じて測定できる。
本発明の複合フィルムは、透明封止層と透明バリア層とが、接着層を介することなく、積層されているのが好ましい。透明封止層と透明バリア層とが接着層を介することなく、積層されていると、特に、前述のように、透明封止層を表面処理することにより、両層の密着性を向上でき、透明封止層と透明バリア層との層間の接着強度(単位:N/25mm)は、180°剥離試験において、1以上であってもよく、例えば、2〜50、好ましくは3〜30、さらに好ましくは4〜20(特に5〜15)程度である。接着強度が小さすぎると、熱や湿度による材料間の膨張収縮に耐えられず、透明封止層と透明バリア層の界面で剥がれ易くなり、剥離すると、封止材として素子を保護する機能が低下する。
[複合フィルムの製造方法]
本発明の複合フィルムの製造方法は、透明基材層に透明バリア層を積層する第1の積層工程、前記透明バリア層に透明封止層を積層する第2の積層工程を含む。
第1の積層工程において、透明基材に透明バリア層を積層する方法としては、無機材料を含む薄膜を形成可能な方法であれば、特に限定されず、慣用の成膜方法を利用して形成できる。成膜方法としては、例えば、物理的気相法(PVD)[例えば、真空蒸着法、フラッシュ蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンビーム蒸着法、イオンプレーティング法(例えば、HCD法、エレクトロンビームRF法、アーク放電法など)、スパッタリング法(例えば、直流放電法、高周波(RF)放電法、マグネトロン法など)、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法など]、化学的気相法(CVD)[例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、MOCVD法(有機金属気相成長法)、光CVD法など]、イオンビームミキシング法、イオン注入法などが例示できる。これらの成膜方法のうち、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの物理的気相法、化学的気相法などが汎用され、スパッタリング法、プラズマCVD法(特にプラズマCVD法)が好ましい。
第2の積層工程において、透明封止層は、慣用の成形方法、例えば、流延法、押出成形法、ブロー成形法などにより、所定厚みにフィルム状に成形して得られ、架橋体の場合は、前述のように、WO2012/144644号公報(特許文献4)に記載の方法で未架橋のフィルムを架橋することにより得ることができる。特に、透明性の高い透明封止層を形成し易い点から、電子線やガンマ線などの高エネルギー線(特に電子線)を照射して架橋する方法であってもよい。電子線の照射量(線量)は、例えば、100〜500kGy、好ましくは200〜450kGy、さらに好ましくは250〜400kGy程度である。電子線の加速電圧は、例えば、160〜400kV、好ましくは170〜300kV、さらに好ましくは180〜250kV程度である。
透明封止層の表面のうち、少なくとも透明バリア層と接触する表面を表面処理して水に対する濡れ性を向上させた後、透明バリア層に積層してもよい。透明封止層が架橋体で形成されている場合、表面処理は、架橋処理前であってもよいが、濡れ性を保持し易い点から、架橋処理後に表面処理するのが好ましい。
表面処理の方法としては、透明封止層の表面に対して、酸化などにより官能基を生成させて前記濡れ性を付与できればよい。透明封止層の表面を酸化可能な表面処理としては、例えば、放電処理(コロナ放電処理、グロー放電処理、アーク放電処理、プラズマ放電処理など)、酸処理(クロム酸処理など)、紫外線照射処理、焔(火炎)処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。これらの表面処理のうち、高い生産性で簡便に透明封止層を改質できる点から、放電処理が好ましく、コロナ放電処理、プラズマ放電処理が特に好ましい。
コロナ放電処理では、放電条件は、例えば、出力100〜1000W(特に200〜800W)、線速0.1〜10m/分(特に1〜5m/分)程度であってもよい。プラズマ放電処理では、放電条件は、例えば、出力0.1〜10kW(特に1〜5kW)、線速1〜30m/分(特に5〜20m/分)程度であってもよい。
放電処理は、酸素ガスを含む雰囲気で処理すればよく、例えば、0.001%以上(特に0.1〜50%程度)の酸素ガスを含む雰囲気中(例えば、大気中)であってもよく、さらに30%以上(特に50%以上)の窒素ガスを含んでいてもよい。
透明バリア層に透明封止層を積層する方法では、透明封止層を加熱して溶融又は軟化させた後、冷却することにより両層を接着する。加熱温度は、透明封止層を形成する環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度以上であればよく、例えば、50℃以上、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜120℃(特に80〜100℃)程度である。接着においては、熱プレスしてもよく、熱プレスの圧力は、例えば、0.1〜10MPa、好ましくは0.3〜5MPa、さらに好ましくは0.5〜3MPa程度であってもよい。
本発明の複合フィルムは、比較的低温(カバリング又は封止温度などの加工温度)での流動性が高い透明封止層を備えるため、低温の加熱であっても光電変換素子に対する追従性が高く、光電変換素子がエッジ部などを有していても均一かつ緊密に被覆又は封止できる。また、応力緩和性が高いため、透明封止層が固化しても残留歪みが迅速に解放され、残留応力が光電変換素子に作用することがない。しかも、架橋体で形成された透明封止層では、高温では架橋構造により溶融流動性が規制され、耐熱性を有する。
光電変換素子を封止するための加熱温度は、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度以上の温度であって100℃以下の温度で加熱する場合が多い。好ましい加熱温度は、40〜80℃(例えば、45〜75℃、特に45〜65℃)程度であってもよい。必要であれば、常圧又は加圧下で加熱してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られた試験片の特性は、以下の方法で測定した。
[ガラス転移温度]
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製「DSC6200」)を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定を行った。
[透明封止層の水接触角]
実施例の試験片について、JIS R3257に準拠して水接触角を測定した。接触角計(協和界面科学(株)製「DCA−VZ」)を用いて、23℃、50%RHで2mlの液滴を針先に作り、これを試験片の表面に接触させて液滴を作った。接触角は、固体と液体とが接触する点における液体表面に対する接線と固体表面とがなす角であり、液体を含む側の角度で定義した。液体は蒸留水を使用した。
[透明封止層の貯蔵弾性率]
実施例の試験片について、幅5mm、長さ50mmに切り出し、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、RSA−III)を用い、チャック間距離20mm、昇温速度5℃/分及び角周波数10Hzの条件で、100℃での貯蔵弾性率(E’)を測定した。
[透明封止層の線膨張係数]
実施例の試験片について、JIS K7197に準拠して、熱機械的分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、EXSTAR TMA/SS7100)を用いて、20℃から80℃の線膨張係数を測定した。
[水蒸気バリア性]
実施例の試験片について、水蒸気透過度(WVTR)を、MOCON水蒸気透過率測定装置(mocon社製「AQUATRAN」)で測定した。なお、測定は40℃、相対湿度90%RHの条件で行い、24時間、厚み100μm、1mあたりの水蒸気透過量を求めた。
[全光線透過率]
実施例の試験片について、JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−500)を用いて、全光線透過率を測定した。
[ヘーズ]
実施例及び比較例の試験片について、JIS K7136に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−500)を用いて、ヘーズを測定した。
[接着強度]
実施例の試験片について剥離力を測定した。詳しくは、試験片は、23℃、50%RHの環境で1日放置後、23℃、50%RHの環境下で、巾25mm、長さ100mmに裁断し、引張試験に供した。さらに、剥離力は、引張試験機を用いて、透明基材層と透明バリア層との積層体を固定し、透明封止層180°方向に30mm/分の剥離速度で引っ張ることにより測定した。
[湿熱耐久性]
実施例の試験片について、23℃、50%RHの環境で1日放置後、さらに60℃、90%RHの環境下で100時間放置し、透明バリア層と透明封止層との界面での剥離について、目視観察し、以下の基準で評価した。
○:界面での剥離がない
×:界面で剥離している。
実施例1
(透明封止層の調製)
環状オレフィン系樹脂A(Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS9903」、数平均分子量69000、ガラス転移温度33℃、ノルボルネン含量20モル%)を小型押出機((株)プラスチック工学研究所製、20mmφ、L/D=25)に幅150mmのTダイを取り付け、引取速度を調整し、厚み30μmのフィルム状試験片(透明封止層)を調製した。得られたフィルムの水蒸気透過度は2.1g/m・dayであった。
(透明基材層と透明バリア層との積層体の調製)
COPフィルム(日本ゼオン(株)製「ゼオノアフィルムZF16」)の一方の面に対して、プラズマCVD法により、無機材料としてSiONを厚み100nmとなるように蒸着し、無機蒸着COPフィルム(透明基材層と透明バリア層との積層体)を調製した。また、SiONに代えてSiOを用いて、COPフィルムの一方の面に、それぞれ厚み100μmとなるように蒸着し、無機蒸着COPフィルムを調製した。
(複合フィルムの調製)
得られた3種類の無機蒸着COPフィルムの蒸着面と、透明封止層の一方の面とを接触させた状態で80℃に加熱してゴムローラーで仮接着した後、熱プレス機で100℃、0.2MPaの応力で5分間加熱、本接着し、複合フィルムを得た。
実施例2
環状オレフィン系樹脂Aの代わりに、環状オレフィン系樹脂B(Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS9506」、数平均分子量66000、ガラス転移温度70℃、ノルボルネン含量32モル%)を用いて、水蒸気透過度2.2g/m・dayの透明封止層を調製する以外は、実施例1と同様にして複合フィルムを得た。
実施例3
(透明封止層の調製)
実施例1で得られたフィルム状試験片の一方の面を、常圧プラズマ表面処理装置(積水化学工業(株)製「RD640」)で大気圧下、窒素ガス99.9%、酸素ガス0.1%の混合ガス下、出力4kW、線速10m/分でプラズマ放電処理し、透明封止層を調製した。得られた透明封止層の水蒸気透過度は2.1g/m・dayであった。
(複合フィルムの調製)
実施例1で得られた3種類の無機蒸着COPフィルムの蒸着面と、透明封止層のプラズマ表面処理面とを接触させた状態で80℃に加熱して仮接着した後、熱プレス機で100℃、1MPaの応力で本接着し、複合フィルムを得た。
実施例4
(透明封止層の調製)
実施例1で得られたフィルム状試験片を、窒素雰囲気中、常温で、電子線照射装置(岩崎電気(株)製「TYPE:CB250/15/180L」)を用いて、加速電圧200kV、線量300kGyで電子線を照射して架橋した。
さらに、得られた架橋フィルムの一方の面を、実施例3と同様の方法でプラズマ放電処理し、透明封止層を調製した。得られた透明封止層の水蒸気透過度は2.1g/m・dayであった。
(複合フィルムの調製)
得られた透明封止層を用いて、実施例3と同様にして複合フィルムを得た。
実施例5
(透明封止層の調製)
プラズマ放電処理の代わりに、コロナ表面処理装置(ウエッジ(株)社製「スイッチバック自動走行式コロナ表面処理装置」)を用いて、大気下、出力400W、線速2m/分でコロナ放電処理し、透明封止層を調製した。得られた透明封止層の水蒸気透過度は2.1g/m・dayであった。
(複合フィルムの調製)
得られた透明封止層を用いて、実施例3と同様にして複合フィルムを得た。
実施例6
環状オレフィン系樹脂Aの代わりに、環状オレフィン系樹脂B(TOPAS9506、ガラス転移温度70℃)を用いて、水蒸気透過度2.2g/m・dayの透明封止層を調製する以外は、実施例4と同様にして複合フィルムを得た。
実施例1〜6で得られた複合フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2014156059
表1の結果から明らかなように、実施例の複合フィルムは、透明性及び水蒸気バリア性に優れるとともに、低温での封止性に優れる。特に、実施例3〜6の複合フィルムは、透明封止層と透明バリア層との接着強度及び湿熱耐久性も高い。さらに、実施例4〜6の複合フィルムは、透明封止層の耐熱性も高い。
本発明の複合フィルムは、水分の存在により機能が阻害される光励起子を含む光電変換素子、例えば、有機EL素子、有機太陽電池セルなどの封止フィルム又はOCA(オプティカル・クリア・アドヒーシブ)フィルムとして有用である。

Claims (11)

  1. 光電変換素子を封止するための複合フィルムであって、透明基材層と、この透明基材層に積層され、かつ無機化合物で形成された透明バリア層と、この透明バリア層に積層され、かつ80℃以下のガラス転移温度を有する環状オレフィン系樹脂で形成された透明封止層とを含む複合フィルム。
  2. 透明封止層と透明バリア層とが、接着層を介することなく、積層されている請求項1記載の複合フィルム。
  3. 透明封止層の表面が、少なくとも透明バリア層と接触する表面において、80〜10°の水接触角を有する請求項2記載の複合フィルム。
  4. 環状オレフィン系樹脂が、20〜70℃のガラス転移温度を有し、かつ鎖状オレフィンと二環式オレフィンを含む環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体であり、前記鎖状オレフィンと前記環状オレフィンとのモル比が、鎖状オレフィン/環状オレフィン=85/15〜60/40である請求項1〜3のいずれかに記載の複合フィルム。
  5. 環状オレフィン系樹脂が、鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体である請求項4記載の複合フィルム。
  6. 透明バリア層が、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下、10−2g/(m・day)以下の水蒸気透過度を有する請求項1〜5のいずれかに記載の複合フィルム。
  7. 透明基材層が環状オレフィン系樹脂で形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の複合フィルム。
  8. 光電変換素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子又は有機太陽電池セルである請求項1〜7のいずれかに記載の複合フィルム。
  9. 透明基材層に透明バリア層を積層する第1の積層工程、前記透明バリア層に透明封止層を積層する第2の積層工程を含む請求項1〜8のいずれかに記載の複合フィルムの製造方法。
  10. 第2の積層工程において、透明封止層の表面のうち、少なくとも透明バリア層と接触する表面を、表面処理して水に対する濡れ性を向上させた後、透明バリア層に積層する請求項9記載の製造方法。
  11. 表面処理が、コロナ放電処理又はプラズマ処理である請求項10記載の製造方法。
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