JP2014180841A - 積層フィルムの製造方法及び積層フィルムのロール体 - Google Patents

積層フィルムの製造方法及び積層フィルムのロール体 Download PDF

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Abstract

【課題】保護層を積層した状態で電子線などの活性エネルギー線で低温軟化性を有するポリオレフィン層を架橋しても、架橋ポリオレフィン層の表面が平滑である積層フィルムを製造することにある。
【解決手段】ポリオレフィン層と、このポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む未架橋積層フィルムに、活性エネルギー線を照射して、前記ポリオレフィン層を架橋する架橋工程を含む積層フィルムの製造方法において、前記ポリオレフィン層を架橋温度以下の熱変形温度を有するポリオレフィンで形成し、前記保護層を架橋温度より高い熱変形温度を有する合成樹脂で形成し、かつ前記粘着層におけるポリオレフィン層との接触面を中心線平均粗さ0.035μm以下に調整する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン層と、このポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む未架橋積層フィルムを電子線などの活性エネルギー線で架橋する積層フィルムの製造方法及び積層フィルムのロール体に関する。
本出願人は、ヘイズの低い高度な透明性を保持しながら、耐熱性と低温軟化性とを両立できる新規なポリマーとして、国際公開WO2012/144644号公報(特許文献1)において、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体であって、前記環状オレフィンが二環式オレフィンを含み、前記環状オレフィンの割合が、前記鎖状オレフィンと前記環状オレフィンとの合計に対して15モル%を超え、40モル%以下であり、かつ前記鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体のガラス転移温度が20〜80℃である架橋体を提案した。この文献には、各種成形法で前記架橋体をフィルムやシート状に成形することが記載され、実施例では、押出機を用いて厚み100μmのフィルム状試験片を作製した後、電子線で架橋して架橋フィルムを製造している。
一方、フィルムは、通常、生産性や取り扱い性などの点から、ロール状に巻き取られて製造され、保管・流通される。しかし、低温軟化性を有するポリマーで形成されたフィルムは、ロール状態で積層して接触するフィルム同士(フィルム間)が密着し易く、ブロッキングが発生し易い。そのため、ロール状フィルムのブロッキングを防止する方法として、前記フィルムに対して、熱変形温度の高いポリマーで形成された保護フィルムを積層する方法が知られている。
そこで、本出願人は、前記架橋フィルムにおいても、製造過程で未架橋フィルムに保護フィルムを積層した後、電子線で架橋して架橋フィルムを製造したが、環状オレフィン系樹脂フィルムと保護フィルムとの間に気泡が発生した。さらに、前記環状オレフィン系樹脂は、低温軟化性であるため、架橋温度で軟化し、気泡形状が気泡痕として架橋フィルムに転写され、表面が平滑な架橋フィルムを製造できなかった。
国際公開WO2012/144644号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、保護層を積層した状態で電子線などの活性エネルギー線で低温軟化性を有するポリオレフィン層を架橋しても、架橋ポリオレフィン層の表面が平滑である積層フィルムを製造する方法及び積層フィルムのロール体を提供することにある。
本発明の他の目的は、低温軟化性を有するにも拘わらず、ロール状に巻き取って保管及び流通してもブロッキングの発生を防止できる架橋ポリオレフィン層を含む積層フィルムのロール体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、低温軟化性を有する架橋ポリオレフィン層を高い生産性で製造できる積層フィルムの製造方法及び積層フィルムのロール体を提供することにある。
本発明者らは、特許文献1の環状オレフィン系樹脂フィルムと保護フィルムとの間に気泡が発生する原因に関して、まず、気泡の発生源について検討した。検討の結果、気泡の原因は、ラミネートによって生じた空気の膨張や、フィルムの構成成分やフィルムに含まれる添加剤、保護フィルムの粘着成分などの分解物による気泡ではなく、電子線による架橋反応によって生じる水素ガスであることが判明した。さらに、本発明者らは、気泡が滞留(蓄積)するメカニズムについて検討した結果、環状オレフィン系樹脂フィルムと保護フィルムとの界面の微小隙間を基点として水素ガスが滞留して気泡が滞留することを突き止めた。
これらの知見に基づいて、本発明者らは、鋭意検討した結果、表面粗さが平滑な粘着層を有する保護層をポリオレフィン層に積層することにより、保護層を積層した状態で電子線などの活性エネルギー線で低温軟化性を有するポリオレフィン層を架橋しても、架橋ポリオレフィン層の表面が平滑である積層フィルムを製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層フィルムの製造方法は、ポリオレフィン層と、このポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む未架橋積層フィルムに、活性エネルギー線を照射して、前記ポリオレフィン層を架橋する架橋工程を含む積層フィルムの製造方法であって、前記ポリオレフィン層が、架橋温度以下の熱変形温度を有するポリオレフィンで形成され、前記保護層が、架橋温度より高い熱変形温度を有する合成樹脂で形成され、かつ前記粘着層におけるポリオレフィン層との接触面が、中心線平均粗さ0.035μm以下を有する。前記活性エネルギー線は電子線であってもよい。前記ポリオレフィンは、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体であり、かつガラス転移温度20〜80℃を有していてもよい。本発明の製造方法は、前記ポリオレフィン層と、粘着層が積層された保護層とをラミネートし、ロール状に巻き取るラミネート工程をさらに含んでいてもよい。前記ラミネート工程において、ポリオレフィン層及び保護層を、それぞれロール体から巻き戻しながら、ラミネートしてもよい。前記ラミネート工程において、ポリオレフィンの熱変形温度よりも高い温度で加熱してラミネートしてもよい。前記合成樹脂は、ポリオレフィン及び/又はポリエステルであってもよい。
本発明には、電子線架橋ポリオレフィン層と、この電子線架橋ポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む積層フィルムがロール状に巻き取られたロール体であって、前記電子線架橋ポリオレフィン層における前記粘着層との接触面が、中心線平均粗さ0.035μm以下を有するロール体も含まれる。
本発明では、表面粗さが平滑な粘着層を有する保護層がポリオレフィン層に積層されているため、保護層を積層した状態で電子線などの活性エネルギー線で低温軟化性を有するポリオレフィン層を架橋しても、保護層とポリオレフィン層との界面で気泡の滞留を抑制して気泡痕の発生を防止できるため、架橋ポリオレフィン層の表面が平滑である。そのため、光学用途などに適している。また、耐熱性の高い保護フィルムが積層されているため、架橋ポリオレフィン層が低温軟化性を有するにも拘わらず、ロール状に巻き取って保管及び流通してもブロッキングの発生を防止できる。さらに、活性エネルギー線を高い照射量や加速電圧で処理しても、気泡痕が発生しないため、低温軟化性を有する架橋ポリオレフィン層を高い生産性で製造できる。
[架橋工程]
本発明の積層フィルムの製造方法は、ポリオレフィン層と、このポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む未架橋積層フィルムに、活性エネルギー線を照射して、前記ポリオレフィン層を架橋する架橋工程を含む。
(ポリオレフィン層)
前記架橋工程において、前記ポリオレフィン層は、活性エネルギー線(高エネルギー線)で架橋可能であり、かつ架橋温度(架橋工程において、活性エネルギー線が照射されて架橋する際の温度)以下の熱変形温度(軟化温度又はガラス転移温度)を有するポリオレフィンで形成されていればよい。ポリオレフィンの熱変形温度は10〜100℃程度の範囲から選択でき、例えば、20〜80℃(例えば、20〜70℃)、好ましくは25〜60℃、さらに好ましくは30〜50℃(特に30〜40℃)程度である。熱変形温度が高すぎると、架橋により気泡が発生しても気泡痕は転写されず、本発明の効果が発現しない。一方、熱変形温度が低すぎると、フィルムとしての機械的特性が低下する。
なお、本明細書では、熱変形温度は、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製「DSC6200」)を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定できる。
このような特性を有するポリオレフィンとしては、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする環状オレフィン系樹脂(鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体)が好ましい。
鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの鎖状C2−10オレフィン類などが挙げられる。これらの鎖状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィンのうち、好ましくはα−鎖状C2−8オレフィン類であり、さらに好ましくはα−鎖状C2−4オレフィン類(特に、エチレン)である。
環状オレフィンは、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンであり、二環式オレフィンを含む。代表的な二環式オレフィンとしては、例えば、置換基を有していてもよいノルボルネン(2−ノルボルネン)、置換基を有していてもよいオクタリン(オクタヒドロナフタレン)などが例示できる。前記置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、アミド基、ハロゲン原子などが例示できる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
具体的に、二環式オレフィンとしては、例えば、2−ノルボルネン;5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネンなどのアルキル基(C1―4アルキル基)を有するノルボルネン類;5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5−シアノ−2−ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有するオクタリンなどが例示できる。
これらの二環式オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの二環式オレフィンのうち、ノルボルネンやアルキル基(メチル基、エチル基などのC1−4アルキル基)を有するノルボルネンなどのノルボルネン類が好ましい。
環状オレフィンは、二環式オレフィンを含んでいればよく、さらに単環式オレフィン及び/又は三環以上の多環式オレフィンを含んでいてもよい。単環式オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの環状C4−12シクロオレフィン類などが挙げられる。多環式オレフィンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン;2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノシクロペンタジエノナフタレン、メタノオクタヒドロシクロペンタジエノナフタレンなどの誘導体;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどの置換基を有する誘導体;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、シクロペンタジエンの3〜4量体などが挙げられる。
環状オレフィン全体に対して二環式オレフィン(特にノルボルネン類)の割合は10モル%以上であってもよく、例えば、30モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上(特に90モル%以上)であり、二環式オレフィン単独(100モル%)であってもよい。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体において、環状オレフィンの割合(モル比)は、鎖状オレフィンと環状オレフィンとの合計に対して15〜50モル%程度の範囲から選択でき、例えば、16〜40モル%、好ましくは17〜35モル%、さらに好ましくは18〜30モル%(特に18〜25モル%)程度である。
他の共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニルなど);ジエン系単量体(例えば、ブタジエン、イソプレンなど);(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、又はこれらの誘導体((メタ)アクリル酸エステルなど)など]などが例示できる。これらの他の共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの他の共重合性単量体の含有量は、共重合体に対して、例えば、5モル%以下、好ましくは1モル%以下である。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体は、付加重合体であってもよく、開環重合体(開環メタセシス重合体など)であってもよい。また、開環メタセシス重合により得られた重合体は、水素添加された水添樹脂であってもよい。鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の重合には、慣用の方法、例えば、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合(通常、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合)などを利用できる。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、1000〜150000、好ましくは5000〜120000、さらに好ましくは10000〜100000(特に20000〜90000)程度である。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体は、架橋可能な他の樹脂成分と組み合わせてもよい。他の樹脂成分は、通常、鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体に相溶又は架橋する樹脂又はエラストマーであり、鎖状オレフィン系樹脂及び/又は他の環状オレフィン系樹脂などであってもよい。このようなオレフィン系樹脂を用いることにより、架橋密度を調整して柔軟性や耐熱性を制御できる。鎖状オレフィン系樹脂としては、例えば、前記例示の鎖状オレフィン[例えば、エチレンやプロピレンなどのα−C2−4オレフィン(特にエチレン)など]と、必要により共重合性単量体[例えば、前記例示のビニルエステル系単量体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル系単量体など]とを重合成分とする重合体などが例示できる。代表的な鎖状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などである。これらの鎖状オレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィン系樹脂のうち、低、中又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が好ましい。
他の環状オレフィン系樹脂としては、前記環状オレフィンの単独重合体、前記鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体において、環状オレフィンの割合が大きな共重合体(例えば、環状オレフィンの割合が、鎖状オレフィン(例えば、エチレン)と環状オレフィン(例えば、ノルボルネン類)との合計に対して50モル%を超える割合、例えば、50モル%超100モル%以下、好ましくは60〜90モル%程度の共重合体)などが例示できる。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体と、架橋可能な他の樹脂成分との割合(重量比)は、前者/後者=100/0〜50/50、好ましくは99.9/0.1〜60/40、さらに好ましくは99/1〜70/30程度であってもよい。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度Tgは10〜100℃程度の範囲から選択でき、例えば、20〜80℃(例えば、20〜70℃)、好ましくは25〜60℃、さらに好ましくは30〜50℃(特に30〜40℃)程度である。Tgが高すぎると、架橋により気泡が発生しても気泡痕は転写されず、本発明の効果が発現しない。一方、Tgが低すぎると、フィルムとしての機械的特性が低下する。ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で測定できる。
ポリオレフィン層は、慣用の添加剤、例えば、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定材、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオレフィン層の平均厚みは、10〜500μm程度の範囲から選択でき、例えば、20〜400μm、好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは40〜200μm(特に50〜150μm)程度である。ポリオレフィン層の厚みが薄すぎると、フィルム化が困難となり、厚すぎると、ロール状に巻き取るのが困難となる。
ポリオレフィン層は、慣用の成形方法、例えば、押出成形法やキャスト成形法などによりフィルム状に成形できるが、通常、押出成形により成形され、ロール体として巻き取られる。
(保護層)
保護層は、架橋温度よりも高い熱変形温度を有する合成樹脂で形成されていればよい。合成樹脂の熱変形温度(又はガラス転移温度)は、例えば、100℃を超える範囲から選択でき、例えば、110〜350℃、好ましくは120〜300℃、さらに好ましくは150〜280℃(特に200〜270℃)程度である。熱変形温度が低すぎると、保護層が軟化し、ロール体でのブロッキングが発生する。
合成樹脂としては、前記熱変形温度を有していれば特に限定されないが、柔軟性が高く、ロール状に巻き取り易い点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、スチレン系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、セルロースエステルなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン及び/又はポリエステルが汎用される。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などが挙げられる。これらのうち、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂などが挙げられる。これらのうち、PETなどのポリC2−4アルキレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
保護層は、ポリオレフィン層の少なくとも一方の面に積層されていればよく、両面に積層されていてもよい。両面に形成される場合、両層は、異なる合成樹脂で形成されていてもよいが、通常、同種(特に同一)の合成樹脂で形成されている。
保護層は、慣用の添加剤、例えば、アンチブロッキング剤、離型剤、充填剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定材、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
保護層の表面(特に粘着層と接する表面)の形状は、中心線平均粗さRaが0.035μm以下であってもよく、例えば、0.001〜0.035μm(例えば、0.005〜0.032μm)、好ましくは0.008〜0.03μm、さらに好ましくは0.01〜0.028μm(特に0.015〜0.027μm)程度である。平均粗さが大きすぎると、粘着層の表面平滑性も低下し、気泡痕が発生し易くなる。
なお、本明細書では、中心線平均粗さRaは、非接触表面・層断面形状計測システム((株)菱化システム製、商品名「R3300GL−Lite−AC」)で測定できる。
保護層の平均厚み(両面に積層される場合、各厚み)は4〜100μm程度の範囲から選択でき、例えば、5〜80μm、好ましくは10〜60μm、さらに好ましくは15〜50μm(特に20〜40μm)程度である。保護層の厚みが薄すぎると、保護層の機械的強度が低下し、保護機能を損なう虞があり、厚すぎると、ロール状に巻き取るのが困難となる。
第1の保護フィルムと第2の保護フィルムとは、異なる厚みであってもよいが、通常、略同一の厚みである。
ポリオレフィン層の平均厚みと、保護層(両面に積層される場合、各厚み)の平均厚みとの厚み比は、ポリオレフィン層/保護層=0.5/1〜20/1程度の範囲から選択でき、例えば、ポリオレフィン層/保護層=1/1〜10/1、好ましくは1.5/1〜8/1、さらに好ましくは2/1〜6/1(特に3/1〜5/1)程度である。
保護層は、慣用の成形方法、例えば、押出成形法やキャスト成形法などによりフィルム状に成形できるが、通常、押出成形により成形され、ロール体として巻き取られる。
(粘着層)
ポリオレフィン層と保護層とは、粘着層を介して積層されている。粘着層は、慣用の粘着剤(特に透明粘着剤)で形成されている。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤(変性オレフィン系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤などが例示できる。
ゴム系粘着剤としては、例えば、ゴム成分(天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーなど)と、粘着付与剤(テルペン樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、変性オレフィン系樹脂など)との組み合わせなどが挙げられる。
アクリル系粘着剤としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸C2−10アルキルエステルを主成分とするアクリル系共重合体で構成された粘着剤を使用できる。アクリル系共重合体の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなど]、重合性ニトリル化合物[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(例えば、無水マレイン酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、芳香族ビニル類(例えば、スチレンなど)などが挙げられる。
オレフィン系粘着剤としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物などが挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、例えば、シリコーンゴム成分[一官能のRSiO1/2(式中、Rは、メチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などを示す。以下、同じ)と四官能のSiOからなるMQレジンなど]及びシリコーンレジン成分(二官能のRSiO単独、又は二官能のRSiOと一官能のRSiO1/2とを組み合わせたオイル状又はガム状成分など)を有機溶媒に溶解した粘着剤などを使用できる。前記シリコーンゴム成分は架橋されていてもよい。
これらの粘着剤のうち、耐熱性や架橋ポリオレフィン層との剥離性に優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層も、慣用の添加剤、例えば、充填剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定材、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
粘着層の表面(ポリオレフィン層と接する表面)の形状は、中心線平均粗さRaが0.035μm以下である。本発明では、粘着層の表面が平滑であるため、水素ガスの滞留が抑制され、架橋ポリフィルムの気泡痕の発生を抑制できる。前記中心線平均粗さRaは、例えば、0.001〜0.035μm(例えば、0.005〜0.032μm)、好ましくは0.008〜0.03μm、さらに好ましくは0.01〜0.028μm(特に0.015〜0.027μm)程度である。
粘着層の平均厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に1〜5μm)程度である。
粘着層の粘着力は、架橋ポリオレフィン層に対する剥離性に優れる点から、加速電圧200kV、線量360kGyで電子線を照射したとき、例えば、0.01〜0.5N/25mm、好ましくは0.02〜0.2N/25mm(例えば、0.02〜0.1N/25mm)、さらに好ましくは0.02〜0.08N/25mm(特に0.03〜0.07N/25mm)程度である。電子線照射前の粘着力は、例えば、0.01〜0.2N/25mm、好ましくは0.01〜0.1N/25mm、さらに好ましくは0.01〜0.08N/25mm程度である。粘着力が強すぎると、ポリオレフィン層に粘着層が付着したり、ジッピングによりポリオレフィン層が損傷する。特に、ポリオレフィン層は、低温軟化性を有しているため、損傷し易い。粘着力が弱すぎると、ポリオレフィン層と保護層との密着性が低下し、生産性が低下する。なお、本明細書では、粘着層の粘着力はJIS Z0237に準拠した方法で測定できる。
粘着層は、通常、前記保護層の上にコーティングすることにより得られる。コーティング方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、ブレードコーター法、バーコーター法などが汎用される。
(活性エネルギー線の照射方法)
本発明では、活性エネルギー(高エネルギー線)を照射してポリオレフィン層を架橋する。活性エネルギー線としては、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線、X線などの放射線、電子線などが挙げられる。これらのうち、高エネルギーであって架橋温度が高温となり、水素ガスの発生速度が大きく、本発明の効果が顕著に発現する点から、電子線が好ましい。さらに、電子線で架橋すると、加熱による酸化を抑制できるためか、黄変などを防止でき、透明性に優れた架橋ポリオレフィン層が得られる。
電子線の照射方法として、例えば、電子線照射装置などの露光源によって、電子線を照射する方法が利用できる。照射量(線量)は、環状オレフィン系樹脂の厚みにより異なるが、例えば、10〜500kGy(グレイ)、好ましくは20〜450kGy、さらに好ましくは30〜400kGy(特に50〜380kGy)程度である。照射量が小さすぎると、架橋密度や速度が低下し、大きすぎると、架橋密度が高くなりすぎる。さらに、本発明では、照射量を高くしても、気泡痕の発生を抑制できるため、照射量は200kGy以上であってもよく、例えば、250〜500kGy、好ましくは300〜450kGy、さらに好ましくは350〜400kGy程度であってもよい。本発明では、照射量を高く設定できるため、架橋ポリオレフィン層の生産性も向上できる。
加速電圧は、10〜1000kV(例えば、100〜500kV)程度の範囲から選択できるが、加速電圧を高くしても、気泡痕の発生を抑制できるため、加速電圧は150kV以上であってもよく、例えば、160〜400kV、好ましくは170〜300kV、さらに好ましくは180〜250kV程度であってもよい。加速電圧が小さすぎると、架橋密度や速度が低下し、大きすぎると、架橋密度が高くなりすぎる。本発明では、加速電圧を高く設定できるため、架橋ポリオレフィン層の生産性を向上できる。
なお、活性エネルギー線の照射は、空気中で行ってもよく、必要であれば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中で行ってもよい。なお、本発明では、活性エネルギー線の照射後も積層フィルムの変形は抑制される。
(ラミネート工程)
本発明の製造方法は、前記架橋工程の前に、積層フィルムを製造するためのラミネート工程を含んでいてもよい。
ラミネート工程では、粘着層を介してポリオレフィン層と保護層とをラミネートできればよく、特に限定されないが、ポリオレフィン層と、粘着層が積層された保護層とをラミネートし、ロール状に巻き取るのが好ましい。
ラミネート温度は、特に限定されず、常温であってもよいが、ポリオレフィンの熱変形温度(軟化温度又はガラス転移温度)よりも高い温度[特に、(熱変形温度+10℃)〜(熱変形温度+50℃)程度の温度]であってもよく、具体的には、35℃以上、好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは50〜80℃程度であってもよい。ポリオレフィンの熱変形温度よりも高い温度で加熱してラミネートすると、ポリオレフィン層が熱変形して粘着層の表面形状に追従できるため、両層の界面における隙間を埋めることができ、気泡痕の発生を更に抑制できる。
ラミネート工程において、ポリオレフィン層及び保護層を、それぞれロール体から巻き戻しながら、ラミネートしてもよい。本発明では、積層フィルムをロール状に巻き取ることができるため、ラミネート工程と架橋工程とを連続的に行うこともでき、生産性を向上できる。
[積層フィルムのロール体及び架橋ポリオレフィン層]
本発明の製造方法で得られた積層フィルムは、架橋ポリオレフィン層が低温軟化性を有しているものの、熱変形温度の高い合成樹脂で形成された保護層で積層されているため、ロール状に巻き取ってもブロッキングを防止できるため、ロール体として用いることができる。
本発明のロール体は、架橋ポリオレフィン層(特に電子線架橋ポリオレフィン層)と、この架橋ポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む積層フィルムがロール状に巻き取られたロール体である。
架橋ポリオレフィン層における粘着層との接触面(剥離後の架橋ポリオレフィン層の表面)は平滑であり、中心線平均粗さRaは0.035μm以下であり、例えば、0.001〜0.035μm(例えば、0.005〜0.032μm)、好ましくは0.008〜0.03μm、さらに好ましくは0.01〜0.028μm(特に0.015〜0.027μm)程度である。
本発明の積層フィルムから保護層を剥離して架橋ポリオレフィン層(特に電子線架橋ポリオレフィン層)は、ヘイズの低い高度な透明性を保持しながら、耐熱性と低温軟化性とを両立できるポリマーである。
架橋ポリオレフィン層は、透明性及び導光性に優れ、全光線透過率は、例えば、80%以上、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは85〜98%(特に90〜95%)程度である。
架橋ポリオレフィン層は、気泡痕の発生が抑制されているため、ヘイズ(曇価)の発生も抑制できる。ヘイズ(曇価)は、例えば、5%以下であってもよく、好ましくは2%以下(例えば、0〜2%)、さらに好ましくは0.1〜1.5%(特に0.2〜1%)程度である。
なお、本明細書では、全光線透過率及びヘイズは、いずれもJIS K7105に準拠した方法(厚み100μm)で測定できる。なお、ヘイズは、測定試料(フィルム)の表面の凹凸などに起因する外部ヘイズとフィルム内に存在する微結晶に起因する内部ヘイズとがある。本発明の場合、内部ヘイズはほとんど無く、フィルム表面の外部ヘイズにより2%以下程度のヘイズを示す場合があるが、内部ヘイズが殆どないため、厚みを厚くした場合でもヘイズは大きくはならない。
架橋ポリオレフィン層は非晶性樹脂であってもよい。架橋ポリオレフィン層の結晶化度は、例えば、10%以下であってもよく、例えば、0〜10%、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0〜3%(特に0〜1%)程度である。結晶化度が大きいと、従来の方法でも表面平滑性を保持でき、例えば、前記ガラス転移温度が低くても、ゲージバンド痕の発生は抑制され、本発明の効果が小さくなる。
結晶化度は、X線回折法を用い、結晶質部分(ピーク)と非晶質部分(ハロー)のフィッティングを行い、各積分強度を以下の式に代入して結晶化度を算出できる。なお、式中、Xは結晶性散乱積分強度(結晶質部分に由来する散乱積分強度)を示し、Yは非晶性散乱積分強度(非晶質部分に由来する散乱積分強度)を示す。
結晶化度(%)=[X/(X+Y)]×100
架橋ポリオレフィン層のゲル分率は、例えば、5重量%以上であってもよく、例えば、10〜99重量%(例えば、30〜98重量%)、好ましくは50〜97重量%、さらに好ましくは80〜95重量%(特に85〜93重量%)程度であってもよい。詳細には、ゲル分率は、特許文献3の実施例で記載の測定方法で測定できる。
架橋ポリオレフィン層は、架橋点間分子量が大きく、例えば、8000〜30000、好ましくは9000〜25000(例えば、9500〜20000)、さらに好ましくは10000〜18000(例えば、10000〜16000)程度である。架橋ポリオレフィン層の架橋点間分子量は、慣用の方法、例えば、ゴム弾性理論を利用した代表的な方法により求めることができる。この方法では、下記式により架橋点間分子量を算出できる。
G=(ρRT)/M
(式中、Gは剪断弾性率(単位Pa)、ρは密度(g/m)、Rはガス定数(8.314J/K/モル)、Tは絶対温度(K)、Mは架橋点間分子量(g/モル)を示す)
前記剪断弾性率Gはゴム状平坦域(例えば、140℃、角周波数0.1Hz)における貯蔵弾性率により測定できる(貯蔵弾性率の測定方法は上記と同様である)。また、密度ρはアルキメデス法で測定でき、成書「Polymer Engineering and Science, MID-JULY, 1990, Vol.30, No13, P753-761」に記載された重合体の密度を参照することもできる。
架橋ポリオレフィン層の平均厚みは、10〜500μm程度の範囲から選択でき、例えば、20〜400μm、好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは40〜200μm(特に50〜150μm)程度である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた保護層の熱変形温度、粘着層の表面粗さ及び粘着力を、それぞれ、以下の方法で測定し、得られた積層フィルムの外観は以下の方法で評価した。また、実施例及び比較例で用いたフィルムの略号及び内容も以下に列記する。
[ガラス転移温度]
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製「DSC6200」)を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定した。
[中心線平均粗さRa]
非接触表面・層断面形状計測システム((株)菱化システム製、商品名「R3300GL−Lite−AC」)で測定した。
[粘着力]
加速電圧200kV、線量360kGyで電子線を照射した保護層について、JIS Z0237に準拠した方法で測定した。
[外観]
実施例及び比較例で得られた積層フィルムの外観を、任意の10箇所における1cm当たりの気泡痕の平均数を目視観察して測定し、以下の基準で評価した。
○:気泡痕が0個/cmである
×:気泡痕が0個/cmを超える。
[フィルムの略号及び内容]
(ポリオレフィン層)
COCフィルム:環状オレフィン系フィルム、Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS9903」、ガラス転移温度33℃、厚み100μm。
(粘着層を有する保護層)
保護層A:粘着層を有するPETフィルム、(株)サンエー化研製「NSA33T」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心表面粗さRa0.027μm、保護層及び粘着層の合計厚み45μm、粘着層厚み7μm、粘着層の粘着力0.11N/25mm
保護層B:粘着層を有するPETフィルム、(株)サンエー化研製「D33」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.018μm、保護層及び粘着層の合計厚み56μm、粘着層厚み6μm、粘着層の粘着力0.15N/25mm
保護層C:粘着層を有するPETフィルム、藤森工業(株)製「PC−807」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.030μm、保護層及び粘着層の合計厚み30μm、粘着層厚み5μm、粘着層の粘着力0.06N/25mm
保護層D:粘着層を有するPETフィルム、パナック(株)製「耐熱再剥離フィルムST」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.021μm、保護層及び粘着層の合計厚み45μm、粘着層厚み7μm、粘着層の粘着力0.10N/25mm
保護層a:粘着層を有するPETフィルム、パナック(株)製「耐熱再剥離フィルムHP」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.069μm、保護層及び粘着層の合計厚み26μm、粘着層厚み1μm、粘着層の粘着力0.03N/25mm
保護層b:粘着層を有するPETフィルム、パナック(株)製「耐熱再剥離フィルムET」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.042μm、保護層及び粘着層の合計厚み30μm、粘着層厚み5μm、粘着層の粘着力0.03N/25mm
保護層c:粘着層を有するPETフィルム、(株)スミロン製「EC−9005ASL」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.066μm、保護層及び粘着層の合計厚み40μm、粘着層厚み2μm、粘着層の粘着力0.04N/25mm
保護層d:粘着層を有するPETフィルム、藤森工業(株)製「NBO−0415」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.068μm、保護層及び粘着層の合計厚み53μm、粘着層厚み15μm、粘着層の粘着力0.04N/25mm
保護層e:粘着層を有するPETPEフィルム、(株)サンエー化研製「NT15」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.039μm、保護層及び粘着層の合計厚み57μm、粘着層厚み7μm、粘着層の粘着力0.15N/25mm
保護層f:粘着層を有するPETフィルム、(株)サンエー化研製「SAT106T−JSL」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.049μm、保護層及び粘着層の合計厚み45μm、粘着層厚み7μm、粘着層の粘着力0.10N/25mm
保護層g:粘着層を有するPETフィルム、(株)サンエー化研製「SAT2038T−JSL」、保護層のガラス転移温度80℃、粘着層の中心線平均粗さRa0.056μm、保護層及び粘着層の合計厚み45μm、粘着層厚み7μm、粘着層の粘着力0.06N/25mm。
実施例1〜4
COCフィルムを用いて、表1に示す粘着層を有する保護層をニップロール部で速度10m/分、常温にて、前記粘着層をCOCフィルムに貼り合せた試験片(未架橋積層フィルム)を作製した。得られた試験片のCOCフィルム面に、窒素雰囲気中、常温で、EB照射装置((株)NHVコーポレーション製「EBC300−60」)を用いて加速電圧200kV、線量60kGyで電子線を照射し、得られた積層フィルムの外観を評価した結果を表1に示す。その後、線量60kGyでの照射を繰り返し、積算線量360kGyまで照射を行ったが、実施例1〜4で得られた積層フィルムでは、気泡痕は認められなかった。
実施例5〜6
COCフィルムを用いて、表1に示す粘着層を有する保護層をニップロール部で速度10m/分、ロール温度60℃に加温した条件で、前記粘着層をCOCフィルムに貼り合せた試験片(未架橋積層フィルム)を作製した。得られた試験片のCOCフィルム面に、窒素雰囲気中、常温で、EB照射装置((株)NHVコーポレーション製「EBC300−60」)を用いて加速電圧200kV、線量60kGyで電子線を照射し、得られた積層フィルムの外観を評価した結果を表1に示す。
比較例1〜7
COCフィルムを用いて、表1に示す粘着層を有する保護層をニップロール部で速度10m/分、常温にて、前記粘着層をCOCフィルムに貼り合せた試験片(未架橋積層フィルム)を作製した。得られた試験片のCOCフィルム面に、窒素雰囲気中、常温で、EB照射装置((株)NHVコーポレーション製「EBC300−60」)を用いて加速電圧200kV、線量60kGyで電子線を照射したところ、粘着層とCOCフィルムとの界面に気泡が発生し、保護層を剥離後も、気泡痕がCOCフィルムに転写されていた。結果を表1に示す。
Figure 2014180841
本発明の製造方法で得られた積層フィルムから保護層を剥離した架橋ポリオレフィン層は、透明性に優れるため、各種の光学フィルムとして利用できるが、低温軟化性を生かして、光学封止材料(例えば、OCAテープ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)封止剤など)として特に適している。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン層と、このポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む未架橋積層フィルムに、活性エネルギー線を照射して、前記ポリオレフィン層を架橋する架橋工程を含む積層フィルムの製造方法であって、
    前記ポリオレフィン層が、架橋温度以下の熱変形温度を有するポリオレフィンで形成され、
    前記保護層が、架橋温度より高い熱変形温度を有する合成樹脂で形成され、かつ
    前記粘着層におけるポリオレフィン層との接触面が、中心線平均粗さ0.035μm以下を有する製造方法。
  2. 活性エネルギー線が電子線である請求項1記載の製造方法。
  3. ポリオレフィンが、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体であり、かつガラス転移温度20〜80℃を有する請求項1又は2記載の製造方法。
  4. ポリオレフィン層と、粘着層が積層された保護層とをラミネートし、ロール状に巻き取るラミネート工程をさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. ラミネート工程において、ポリオレフィン層及び保護層を、それぞれロール体から巻き戻しながら、ラミネートする請求項4記載の製造方法。
  6. ラミネート工程において、ポリオレフィンの熱変形温度よりも高い温度で加熱してラミネートする請求項4又は5記載の製造方法。
  7. 合成樹脂が、ポリオレフィン及び/又はポリエステルである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 電子線架橋ポリオレフィン層と、この電子線架橋ポリオレフィン層の少なくとも一方の面に粘着層を介して積層された保護層とを含む積層フィルムがロール状に巻き取られたロール体であって、前記電子線架橋ポリオレフィン層における前記粘着層との接触面が、中心線平均粗さ0.03μm以下を有するロール体。
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