JP2014180840A - 積層フィルム及び光学フィルムの表面平滑性を保持する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温で永久歪み性を有する光学フィルムをロール状に巻き取って保管及び流通してもゲージバンド痕の発生を抑制できる積層フィルムを提供することにある。
【解決手段】光学フィルムの両面に、それぞれ、第1及び第2の保護フィルムを積層して積層フィルムを調製する。前記光学フィルムは、透明樹脂で形成され、かつ60℃及び荷重10mNの条件で、針入方式の熱機械分析による5分後から10分後までの変形率が総厚みに対して1.0%以上である。前記第1及び第2の保護フィルムは、それぞれ、基材層と、この基材層の光学フィルムと接触する面に形成された粘着層とを含む積層体である。前記第1及び第2の保護フィルムの基材層は、それぞれ、合成樹脂で形成され、かつ前記変形率が総厚みに対して1.0%未満である。前記第1及び第2の保護フィルムの粘着層表面の形状は、それぞれ、中心線平均粗さRa0.1μm以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、60℃で永久歪みを有する透明な光学フィルムの両面が保護フィルムで積層された積層フィルム及びロール状に巻き取った光学フィルムの表面平滑性を保持する方法に関する。
フィルムは、通常、生産性や取り扱い性などの点から、ロール状に巻き取られて製造され、保管・流通される。しかし、フィルムに厚みが不均一な部分(凹凸部)が存在すると、ロール状のフィルム(ロール状フィルム又はフィルムのロール体)では、前記凹凸部の上に順次巻き取られたフィルムが前記凹凸部の形状に追随して変形するとともに、巻き締まりにより変形が拡大する場合もある。また、フィルムの巻取り時に同伴した空気層でフィルムが変形する場合もある。このようなフィルムの変形部は、材料によっては巻き戻し後も変形形状が残存し、ゲージバンド痕(又は巻き締まり)と称されている。ゲージバンド痕は、用途によっては、大きな問題となり、光学フィルムでは、フィルムの表面形状が光学特性に大きく影響を与えるため、ロール状にして利用する場合には、ゲージバンド痕が発生しないための厳重な管理が必要となる。
特開2007−91784号公報(特許文献1)には、光学物性に優れるアクリルフィルムに反射防止処理やハードコート処理などの表面処理、印刷処理を施しても、巻き取り外観不良が生じ難いアクリルフィルムとして、メタクリル樹脂及びアクリルゴム粒子を含有するフィルムの側壁部にナーリング加工が施され、そのナーリング高さが3〜30μmであり、かつナーリング加工が施されていない部分の厚みが50〜500μmであるアクリルフィルムが開示されている。
しかし、このアクリルフィルムでは、ナーリング加工が必要であり、生産性が低い上に、ナーリング加工を施した部分は、光学フィルムとして利用できない。
なお、特許文献1には、表面処理層や印刷層の傷や剥がれを抑制するためのマスキングフィルムを添付する処方が知られていると記載されている。しかし、この処方は、表面処理層や印刷層を保護するためのマスキングフィルムであり、アクリルフィルム単独のゲージバンド痕との関係は記載されていない。
特開2008−230722号公報(特許文献2)には、長尺のアクリル系樹脂フィルムをロール状に巻き取ってなるアクリルフィルムロールであって、巻取り後のロール幅方向の平均圧縮強度が45N/m以下であり、かつロール幅方向中の最大圧縮強度が平均圧縮強度の1.3倍以下の範囲であるアクリルフィルムロールが開示されている。
しかし、このフィルムロールは、フィルム巻き取り時に幅方向への揺動、巻き取る際の張力を調整して巻き取る必要があるため、製造条件が煩雑であり、生産性が低下する。
なお、ゲージバンド痕の発生には、温度の影響も大きく、材料によっては、保管時や流通時に高温(例えば、60℃程度)になると、変形し易くなり、ゲージバンド痕の大きさや発生頻度が上昇する。従って、特許文献1及び2の低温での永久歪み性が限りなく小さなアクリル樹脂フィルムとは異なり、低温で永久歪み性を有する材料で形成されたフィルムでは、ゲージバンド痕が発生し易く、管理が困難である。しかし、従来は、低温で永久歪み性を有する光学フィルムが知られていなかったため、ゲージバンド痕が問題となることは少なく、低温で永久歪み性を有するフィルムでは、ゲージバンド痕を厳密に抑制することまでは検討されていなかった。また、低温で管理する場合は設備コストがかかり、ロールではなく、枚葉形態で保管する方法も知られているが、生産性や取り扱い性が低下する。なお、仮に特許文献1及び2の方法を、低温で永久歪み性を有する光学フィルムに適用しても、光学用途に要求されるレベルでゲージバンド痕の発生を抑制するのは困難である。
これに対して、本出願人は、国際公開WO2012/144644号公報(特許文献3)において、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体であって、前記環状オレフィンが二環式オレフィンを含み、前記環状オレフィンの割合が、前記鎖状オレフィンと前記環状オレフィンとの合計に対して15モル%を超え、40モル%以下であり、かつ前記鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体のガラス転移温度が20〜80℃である架橋体を提案した。この架橋体は、透明性と低温軟化性と耐熱性とを両立した新規なポリマーであり、高い透明性を有するため、光学フィルムとして利用できる。しかし、この架橋体は、低温で永久歪み性も有しているため、前述のように、光学フィルムとして利用した場合、前記ゲージバンド痕が発生し易く、光学用途に要求される高品質を維持するための管理が極めて困難であった。
特開2007−91784号公報(請求項1、段落[0003][0005]) 特開2008−230722号公報(請求項1、段落[0014]) 国際公開WO2012/144644号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、低温で永久歪み性を有する光学フィルムをロール状に巻き取って保管及び流通してもゲージバンド痕の発生を抑制できる積層フィルム及び光学フィルムの表面平滑性を保持する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高温で保管及び流通してもゲージバンド痕の発生を抑制できる積層フィルム及び光学フィルムの表面平滑性を保持する方法を提供することにある。
本発明者らは、低温で永久歪み性を有する光学フィルムにおけるゲージバンド痕の発生を抑制するため、まず、特許文献1及び2に記載の製造条件を制御する方法を検討したが、フィルムをロール状に巻き取り、加熱した場合にも、光学用途に要求される高いレベルで表面平滑性を維持するのは困難であった。次に、積層したフィルム間の剥離性を向上させるために使用される離型層(アンチブロッキング層)と同様に、保護フィルムを光学フィルムの片面に積層して、表面平滑性を維持することを検討したが、表面平滑性を維持できなかった。さらに、本発明者らは、検討を続けた結果、思いがけないことに、低温で永久歪み性を有する光学フィルムの両面に特定の保護フィルムを積層することにより、前記光学フィルムをロール状に巻き取って保管及び流通してもゲージバンド痕の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。特に、従来は、低温で永久歪み性を有する光学フィルムのゲージバンド痕の発生を抑制するという課題が存在しなかっただけでなく、両面に等価な機能層を形成する両面テープなどとは異なり、巻き取りロールでは、保護フィルムを片面に形成すれば、必ず光学フィルムと接触するため、両面に形成する必要性は低く、当業者の想定外であった。
すなわち、本発明の積層フィルムは、光学フィルムの両面に、それぞれ、第1及び第2の保護フィルムが積層されたフィルムであって、下記の特性(a)〜(e)を充足する。
(a)前記光学フィルムが、透明樹脂で形成され、かつ60℃及び荷重10mNの条件で、針入方式の熱機械分析による5分後から10分後までの変形率が総厚みに対して1.0%以上である
(b)前記第1及び第2の保護フィルムが、それぞれ、基材層と、この基材層の光学フィルムと接触する面に形成された粘着層とを含む積層体である
(c)前記第1及び第2の保護フィルムの基材層が、それぞれ、合成樹脂で形成され、かつ60℃及び荷重10mNの条件で、針入方式の熱機械分析による5分後から10分後までの変形率が総厚みに対して1.0%未満(特に0.5%以下)である
(d)前記第1及び第2の保護フィルムの粘着層表面の形状が、それぞれ、中心線平均粗さRa0.05μm以下である
(e)前記第1及び第2の保護フィルムの粘着層は、それぞれ、加速電圧200kV、線量350kGyで電子線を照射したとき、0.01〜0.5N/25mmの粘着力を有している。
前記透明樹脂は、ガラス転移温度は20〜70℃の非晶性樹脂であってもよい。前記透明樹脂は、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体であってもよい。前記光学フィルムの平均厚みと、第1又は第2の保護フィルムとの平均厚みとの厚み比は、光学フィルム/第1又は第2の保護フィルム=1/1〜10/1程度である。前記光学フィルムの平均厚みは10〜100μmであり、かつ第1又は第2の保護フィルムとの平均厚みは4〜100μmであってもよい。前記光学フィルムの全光線透過率は80%以上であり、かつヘイズは5%以下であってもよい。前記合成樹脂は、ポリオレフィン及び/又はポリエステルであってもよい。本発明の積層フィルムは、ロール状に巻き取られたロール体であってもよい。
本発明には、ロール状に巻き取られた光学フィルムにゲージバンド痕が発生するのを抑制する方法であって、ロール状に巻き取るフィルムとして前記積層フィルムを用いることにより、ゲージバンド痕が発生するのを抑制する方法も含まれる。本発明の方法において、積層フィルムは、温度40〜60℃で保管及び/又は流通してもよい。
本発明では、低温で永久歪み性を有する光学フィルムの両面が特定の保護フィルムで積層されているため、低温で永久歪み性を有する光学フィルムをロール状に巻き取って保管及び流通してもゲージバンド痕(又は巻き締まり)の発生を抑制でき、特に、高温(例えば、40〜60℃程度)で保管及び流通してもゲージバンド痕の発生を抑制でき、表面平滑性を保持できる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、光学フィルムの両面に、それぞれ第1及び第2の保護フィルム(又は保護層)が積層された積層フィルムである。前記光学フィルムは、低温での永久歪み性を有する透明樹脂で形成されているにも拘わらず、両面に積層された第1及び第2の保護フィルムが、低温での永久歪み性が限りなく小さい合成樹脂で形成されているため、光学フィルムの表面平滑性を向上できる。
(光学フィルム)
光学フィルムは、透明性に優れ、全光線透過率は、例えば、80%以上、好ましくは80〜99%、さらに好ましくは85〜98%(特に90〜95%)程度である。ヘイズ(曇価)は、例えば、5%以下であってもよく、好ましくは2%以下(例えば、0〜2%)、さらに好ましくは0.1〜1.5%(特に0.2〜1%)程度である。本発明は、光学フィルムは透明性又は導光性も高く、ヘイズの発生も抑制できる。
全光線透過率及びヘイズは、いずれもJIS K7105に準拠した方法(厚み100μm)で測定できる。なお、ヘイズは、測定試料(フィルム)の表面の凹凸などに起因する外部ヘイズとフィルム内に存在する微結晶に起因する内部ヘイズとがある。本発明の場合、内部ヘイズはほとんど無く、フィルム表面の外部ヘイズにより2%以下程度のヘイズを示す場合があるが、内部ヘイズが殆どないため、厚みを厚くした場合でもヘイズは大きくはならない。
光学フィルムは、60℃の永久歪みが1%以上である。光学フィルムの永久歪みは、例えば、1〜15%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1.5〜9%(特に3〜8.5%)程度である。60℃の永久歪みが小さすぎると、従来の方法でも表面平滑性を保持でき、本発明の効果が小さくなる。
本明細書では、60℃の永久歪みは、熱機械的分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「EXSTAR TMA/SS7100」)を用い、窒素雰囲気下、温度60℃、荷重10mNの針入モード(0.1mm円錐形プローブ)の条件で5分後から10分後までの針入深さを測定し、フィルムの総厚みに対する針入深さの割合から算出できる。
光学フィルムは、透明樹脂で形成されている。透明樹脂のガラス転移温度Tgは、10〜100℃程度の範囲から選択でき、例えば、20〜70℃、好ましくは25〜60℃、さらに好ましくは30〜50℃(特に30〜40℃)程度である。ガラス転移温度が高すぎると、従来の方法でも表面平滑性を保持でき、本発明の効果が小さくなり、低すぎると、フィルムとしての機械的特性が低下する。ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で測定できる。
透明樹脂は非晶性樹脂であってもよい。透明樹脂の結晶化度は、例えば、10%以下であってもよく、例えば、0〜10%、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0〜3%(特に0〜1%)程度である。結晶化度が大きいと、従来の方法でも表面平滑性を保持でき、例えば、前記ガラス転移温度が低くても、ゲージバンド痕の発生は抑制され、本発明の効果が小さくなる。
結晶化度は、X線回折法を用い、結晶質部分(ピーク)と非晶質部分(ハロー)のフィッティングを行い、各積分強度を以下の式に代入して結晶化度を算出できる。なお、式中、Xは結晶性散乱積分強度(結晶質部分に由来する散乱積分強度)を示し、Yは非晶性散乱積分強度(非晶質部分に由来する散乱積分強度)を示す。
結晶化度(%)=[X/(X+Y)]×100
透明樹脂は、前記特性を充足する限り、特に限定されないが、架橋重合体であってもよい。架橋重合体のうち、架橋剤により架橋可能な重合体(反応性官能基を利用して架橋構造を形成する重合体)の代表的な例としては、例えば、(メタ)アクリル系重合体、脂肪族ポリエステル系重合体、脂肪族ポリアミド系重合体、不飽和ポリエステル系重合体などが例示できる。また、活性エネルギー線の照射により架橋可能な重合体の代表的な例としては、例えば、オレフィン系重合体、ポリウレタン(メタ)アクリレート系重合体、ポリエステル(メタ)アクリレート系重合体、前記不飽和ポリエステル系重合体などが例示できる。これらの架橋重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの架橋重合体のうち、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする環状オレフィン系樹脂(鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体)の架橋体が好ましい。
鎖状オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの鎖状C2−10オレフィン類などが挙げられる。これらの鎖状オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィンのうち、好ましくはα−鎖状C2−8オレフィン類であり、さらに好ましくはα−鎖状C2−4オレフィン類(特に、エチレン)である。
環状オレフィンは、環内にエチレン性二重結合を有する重合性の環状オレフィンであり、二環式オレフィンを含む。代表的な二環式オレフィンとしては、例えば、置換基を有していてもよいノルボルネン(2−ノルボルネン)、置換基を有していてもよいオクタリン(オクタヒドロナフタレン)などが例示できる。前記置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、アミド基、ハロゲン原子などが例示できる。これらの置換基は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
具体的に、二環式オレフィンとしては、例えば、2−ノルボルネン;5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネンなどのアルキル基(C1―4アルキル基)を有するノルボルネン類;5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのアルケニル基を有するノルボルネン類;5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなどのアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン類;5−シアノ−2−ノルボルネンなどのシアノ基を有するノルボルネン類;5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネンなどのアリール基を有するノルボルネン類;オクタリン;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどのアルキル基を有するオクタリンなどが例示できる。
これらの二環式オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの二環式オレフィンのうち、ノルボルネンやアルキル基(メチル基、エチル基などのC1−4アルキル基)を有するノルボルネンなどのノルボルネン類が好ましい。
環状オレフィンは、二環式オレフィンを含んでいればよく、さらに単環式オレフィン及び/又は三環以上の多環式オレフィンを含んでいてもよい。単環式オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの環状C4−12シクロオレフィン類などが挙げられる。多環式オレフィンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン;2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノシクロペンタジエノナフタレン、メタノオクタヒドロシクロペンタジエノナフタレンなどの誘導体;6−エチル−オクタヒドロナフタレンなどの置換基を有する誘導体;シクロペンタジエンとテトラヒドロインデン等との付加物、シクロペンタジエンの3〜4量体などが挙げられる。
環状オレフィン全体に対して二環式オレフィン(特にノルボルネン類)の割合は10モル%以上であってもよく、例えば、30モル%以上、好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上(特に90モル%以上)であり、二環式オレフィン単独(100モル%)であってもよい。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体において、環状オレフィンの割合(モル比)は、鎖状オレフィンと環状オレフィンとの合計に対して15〜50モル%程度の範囲から選択でき、例えば、16〜40モル%、好ましくは17〜35モル%、さらに好ましくは18〜30モル%(特に18〜25モル%)程度である。
他の共重合性単量体としては、例えば、ビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニルなど);ジエン系単量体(例えば、ブタジエン、イソプレンなど);(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、又はこれらの誘導体((メタ)アクリル酸エステルなど)など]などが例示できる。これらの他の共重合性単量体は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。これらの他の共重合性単量体の含有量は、共重合体に対して、例えば、5モル%以下、好ましくは1モル%以下である。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体は、付加重合体であってもよく、開環重合体(開環メタセシス重合体など)であってもよい。また、開環メタセシス重合により得られた重合体は、水素添加された水添樹脂であってもよい。鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の重合には、慣用の方法、例えば、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合、チーグラー型触媒を用いた付加重合、メタロセン系触媒を用いた付加重合(通常、メタセシス重合触媒を用いた開環メタセシス重合)などを利用できる。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、1000〜150000、好ましくは5000〜120000、さらに好ましくは10000〜100000(特に20000〜90000)程度である。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体は、架橋可能な他の樹脂成分と組み合わせてもよい。他の樹脂成分は、通常、鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体に相溶又は架橋する樹脂又はエラストマーであり、鎖状オレフィン系樹脂及び/又は他の環状オレフィン系樹脂などであってもよい。このようなオレフィン系樹脂を用いることにより、架橋密度を調整して柔軟性や耐熱性を制御できる。鎖状オレフィン系樹脂としては、例えば、前記例示の鎖状オレフィン[例えば、エチレンやプロピレンなどのα−C2−4オレフィン(特にエチレン)など]と、必要により共重合性単量体[例えば、前記例示のビニルエステル系単量体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル系単量体など]とを重合成分とする重合体などが例示できる。代表的な鎖状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などである。これらの鎖状オレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの鎖状オレフィン系樹脂のうち、低、中又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が好ましい。
他の環状オレフィン系樹脂としては、前記環状オレフィンの単独重合体、前記鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体において、環状オレフィンの割合が大きな共重合体(例えば、環状オレフィンの割合が、鎖状オレフィン(例えば、エチレン)と環状オレフィン(例えば、ノルボルネン類)との合計に対して50モル%を超える割合、例えば、50モル%超100モル%以下、好ましくは60〜90モル%程度の共重合体)などが例示できる。
鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体と、架橋可能な他の樹脂成分との割合(重量比)は、前者/後者=100/0〜50/50、好ましくは99.9/0.1〜60/40、さらに好ましくは99/1〜70/30程度であってもよい。
架橋体は、前記環状オレフィン系樹脂(鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体)を架橋することにより得られる。架橋の方法は、特に限定されず、紫外線などの活性光線やベータ(β)線やガンマ(γ)線、X線などの放射線(特にガンマ線)などであってもよいが、制御し易く、前記特性を有する新規な架橋体を調製し易い点から、高エネルギー線(電子線やガンマ線)で架橋する方法であってもよい。特に、電子線で架橋すると、加熱による酸化を抑制できるためか、黄変などを防止でき、透明性に優れた架橋体が得られる。架橋体の製造方法としては、WO2012/144644号公報(特許文献3)に記載の方法を利用できる。
架橋体は、JIS K7127に準拠した引張試験(厚み100μmのフィルム)において、破断伸度が10%以上程度であってもよく、例えば、50〜1000%、好ましくは80〜500%(例えば、100〜500%)、さらに好ましくは100〜400%(特に250〜350%)程度であってもよい。さらに、本発明の架橋体は、弾性変形性を示すため、前記引張試験において、降伏点を示さないのが好ましい。
架橋体の耐熱性は、140〜150℃における線熱膨張係数で示すことができる。具体的には、140〜150℃における線熱膨張係数は2000ppm/℃以下(例えば、1〜2000ppm/℃)であってもよく、例えば、5〜1000ppm/℃、好ましくは10〜800ppm/℃、さらに好ましくは50〜500ppm/℃(特に100〜400ppm/℃)程度である。
架橋体のゲル分率は、例えば、5重量%以上であってもよく、例えば、10〜99重量%(例えば、30〜98重量%)、好ましくは50〜97重量%、さらに好ましくは80〜95重量%(特に85〜93重量%)程度であってもよい。詳細には、ゲル分率は、特許文献3の実施例で記載の測定方法で測定できる。
架橋体は、温度25℃での貯蔵弾性率が100〜4000MPa、好ましくは500〜3000MPa(例えば、750〜2500MPa)、さらに好ましくは1000〜2000MPa(例えば、1200〜1800MPa)程度である。さらに、温度80℃での貯蔵弾性率は、0.01〜10MPa、好ましくは0.1〜8MPa(例えば、0.5〜7.5MPa)、さらに好ましくは1〜7MPa(例えば、2〜7MPa)程度である。架橋体の貯蔵弾性率は、特許文献3の実施例に記載の方法で測定できる。
架橋体は、架橋点間分子量が大きく、例えば、8000〜30000、好ましくは9000〜25000(例えば、9500〜20000)、さらに好ましくは10000〜18000(例えば、10000〜16000)程度である。架橋体の架橋点間分子量は、慣用の方法、例えば、ゴム弾性理論を利用した代表的な方法により求めることができる。この方法では、下記式により架橋点間分子量を算出できる。
G=(ρRT)/M
(式中、Gは剪断弾性率(単位Pa)、ρは密度(g/m)、Rはガス定数(8.314J/K/モル)、Tは絶対温度(K)、Mは架橋点間分子量(g/モル)を示す)
前記剪断弾性率Gはゴム状平坦域(例えば、140℃、角周波数0.1Hz)における貯蔵弾性率により測定できる(貯蔵弾性率の測定方法は上記と同様である)。また、密度ρはアルキメデス法で測定でき、成書「Polymer Engineering and Science, MID-JULY, 1990, Vol.30, No13, P753-761」に記載された重合体の密度を参照することもできる。
光学フィルムは、慣用の添加剤、例えば、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
光学フィルムの平均厚みは、10〜300μm程度の範囲から選択でき、例えば、20〜200μm、好ましくは25〜150μm、さらに好ましくは30〜100μm(特に35〜80μm)程度である。光学フィルムの厚みが薄すぎると、フィルム化が困難となり、厚すぎると、ロール状に巻き取るのが困難となる。
(保護フィルム)
第1及び第2の保護フィルムは、それぞれ、基材層と、この基材層の光学フィルムと接触する面に形成された粘着層とを含む積層体である。
(A)基材層
基材層は、低温での永久歪み性が限りなく小さく、60℃の永久歪みが1%未満(特に0.5%以下)である。基材層の永久歪みは、例えば、0.1〜0.8%、好ましくは0.1〜0.5%、さらに好ましくは0.1〜0.3%(特に0.1〜0.2%)程度である。60℃の永久歪みが大きすぎると、光学フィルムの表面平滑性を保持するのが困難となる。
基材層は、合成樹脂で形成されている。基材層としては、前記永久歪み性を有していれば特に限定されないが、柔軟性が高く、ロール状に巻き取り易い点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、アクリル系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、スチレン系重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、セルロースエステルなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、ポリオレフィン及び/又はポリエステルが汎用される。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂などが挙げられる。これらのうち、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリC2−4アルキレンアリレート系樹脂などが挙げられる。これらのうち、PETなどのポリC2−4アルキレン照れフタレート系樹脂が好ましい。
第1の保護フィルムと第2の保護フィルムとは、異なる基材層で形成されていてもよいが、通常、同種(特に同一)の基材層で形成されている。
第1又は第2の保護フィルムの基材層の平均厚みは4〜100μm程度の範囲から選択でき、例えば、5〜80μm、好ましくは10〜60μm、さらに好ましくは15〜50μm(特に20〜40μm)程度である。保護フィルムの基材層の厚みが薄すぎると、光学フィルムの表面平滑性を保持するのが困難となり、厚すぎると、ロール状に巻き取るのが困難となる。
第1の保護フィルムと第2の保護フィルムとは、異なる厚みであってもよいが、通常、略同一の厚みである。
光学フィルムの平均厚みと、第1又は第2の保護フィルムの基材層との平均厚みとの厚み比は、光学フィルム/第1又は第2の保護フィルムの基材層=2/1〜20/1程度の範囲から選択でき、例えば、光学フィルム/第1又は第2の保護フィルムの基材層=1/1〜10/1、好ましくは1.2/1〜8/1、さらに好ましくは1.5/1〜5/1(特に2/1〜4/1)程度である。
基材層は、慣用の添加剤、例えば、アンチブロッキング剤、離型剤、充填剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定材、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(B)粘着層
粘着層は、基材層と光学フィルムとの間に介在し、基材層を光学フィルムに固定する。粘着層は、慣用の透明な粘着剤で形成されている。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、オレフィン系粘着剤(変性オレフィン系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤などが例示できる。
ゴム系粘着剤としては、例えば、ゴム成分(天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマーなど)と、粘着付与剤(テルペン樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、変性オレフィン系樹脂など)との組み合わせなどが挙げられる。
アクリル系粘着剤としては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸C2−10アルキルエステルを主成分とするアクリル系共重合体で構成された粘着剤を使用できる。アクリル系共重合体の共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)クリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなど]、重合性ニトリル化合物[例えば、(メタ)アクリロニトリルなど]、不飽和ジカルボン酸又はその誘導体(例えば、無水マレイン酸、イタコン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、芳香族ビニル類(例えば、スチレンなど)などが挙げられる。
オレフィン系粘着剤としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート−(無水)マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物などが挙げられる。
シリコーン系粘着剤としては、例えば、シリコーンゴム成分[一官能のRSiO1/2(式中、Rは、メチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などを示す。以下、同じ)と四官能のSiOからなるMQレジンなど]及びシリコーンレジン成分(二官能のRSiO単独、又は二官能のRSiOと一官能のRSiO1/2とを組み合わせたオイル状又はガム状成分など)を有機溶媒に溶解した粘着剤などを使用できる。前記シリコーンゴム成分は架橋されていてもよい。
これらの粘着剤のうち、汎用性などの点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層表面(光学フィルムと接する表面)の形状は、中心線平均粗さRaが0.1μm以下であってもよく、例えば、0.001〜0.1μm、好ましくは0.005〜0.08μm、さらに好ましくは0.01〜0.06μm(特に0.02〜0.05μm)程度である。表面粗さが大きすぎると、光学フィルムの表面平滑性が低下する。
なお、本明細書では、中心線平均粗さRaは、非接触表面・層断面形状計測システム((株)菱化システム製、商品名「R3300GL−Lite−AC」)で測定できる。
粘着層の粘着力は、光学フィルムに対する剥離性に優れる点から、加速電圧200kV、線量350kGyで電子線を照射したとき、例えば、0.01〜0.5N/25mm、好ましくは0.02〜0.2N/25mm(例えば、0.02〜0.1N/25mm)、さらに好ましくは0.02〜0.08N/25mm(特に0.03〜0.07N/25mm)程度である。電子線照射前の粘着力は、例えば、0.01〜0.20N/25mm、好ましくは0.01〜0.10N/25mm、さらに好ましくは0.01〜0.08N/25mm程度である。粘着力が強すぎると、光学フィルムへの粘着層の付着や、ジッピングによる光学フィルムへの損傷が起こる。特に、光学フィルムは、低温で永久歪み性を有しているため、損傷し易い。粘着力が弱すぎると、光学フィルムと保護フィルムとの密着性が低下し、生産性が低下する。
なお、本明細書では、粘着層の粘着力はJIS Z0237に準拠した方法で測定できる。
粘着層も、慣用の添加剤、例えば、充填剤、安定化剤(酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤など)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、粘度調整剤、増粘剤、消泡剤などを含有していてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
粘着層の平均厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm(特に1〜5μm)程度である。
[積層フィルムの製造方法及び使用方法]
積層フィルムは、粘着層を介して、光学フィルムと保護フィルムとを一体化(積層)する方法により得られる。光学フィルム及び保護フィルムの基材層は、それぞれ、慣用の製造方法、例えば、押出成形やキャスト成形などによりフィルム状に成形できる。
基材層の上には、コーティングなどにより粘着層を形成してもよい。コーティング方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、ブレードコーター法、バーコーター法などが汎用される。
得られた積層フィルムは、ロール状に巻き取られたロール体として用いられる。本発明では、光学フィルムの両面に保護フィルムが積層されているため、ロール状に巻き取られた光学フィルムにゲージバンド痕が発生するのを抑制できる。さらに、このようなロール体の保管及び/又は流通過程では、通常、60℃近く(例えば、40〜60℃程度)まで温度が上昇することがあるが、そのような場合でも、光学フィルムにゲージバンド痕が発生するのを抑制できる。
ロール体を巻き取るための条件としては、例えば、ライン速度10m/分、巻取張力30Nであり、このような条件で巻き取ったロール体であっても表面平滑性を保持できる。
積層フィルムをロール形態で保存・流通した後、光学フィルムは、保護フィルムを剥離して使用されるが、本発明の積層フィルムでは、光学フィルムから保護フィルムを容易に剥離できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた樹脂の永久歪みは以下の方法で測定し、得られたロール体の表面平滑性は以下の方法で評価した。また、実施例及び比較例で用いたフィルムの略号及び内容も以下に列記する。
[60℃の永久歪み]
永久歪みは、熱機械的分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「EXSTAR TMA/SS7100」)を用い、窒素雰囲気下、温度60℃、荷重10mNの針入モード(0.1mm円錐形プローブ)の条件で5分後から10分後までの針入深さを測定し、フィルムの総厚みに対する針入深さの割合から算出した。
[光学特性]
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られたロール体を、温風乾燥機(エスペック(株)製、商品名「PG−2ST」)にて温度を、25、30、45、60℃で24時間保管した後、フィルムを巻き戻して、光学特性をヘイズに基づいて以下の基準で評価した。ゲージバンド痕(又は巻き締り痕)により光学フィルムのヘイズが1.0%を超える場合は光学用途として使用できない。なお、ヘイズは、ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して、測定した。
○:ゲージバンド痕がなく、光学用途として使用可能
△:ゲージバンド痕はないが、ヘイズが高く光学用途として使用不可
×:ゲージバンド痕が発生し、光学用途として使用不可。
[中心線平均粗さRa]
非接触表面・層断面形状計測システム((株)菱化システム製、商品名「R3300GL−Lite−AC」)で測定した。
[粘着力]
電子線照射後の保護フィルムについて、JIS Z0237に準拠した方法で測定した。
[フィルムの略号及び内容]
COCフィルム1:環状オレフィン系樹脂、Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS9903」を用い、小型押出機((株)プラスチック工学研究所製、20mmφ、L/D=25)に巾150mmのTダイを取り付け、押出温度200℃、チルロール温度10℃、引取速度を調整し、フィルム状試験片を作製した。ガラス転移温度33℃、60℃の永久歪み5.1%、厚み100μm
COCフィルム2:環状オレフィン系樹脂、Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS9903」を用い、COCフィルム1と同様にして、フィルム状試験片を得た。ガラス転移温度33℃、60℃の永久歪み7.5%、厚み50μm
COCフィルム3:環状オレフィン系樹脂、Topas Advanced Polymers GmbH社製、商品名「TOPAS9903」を用い、COCフィルム1と同様にして、フィルム状試験片を得た。ガラス転移温度33℃、60℃の永久歪み8.3%、厚み38μm
PEフィルム1:粘着層を有するポリエチレンフィルム、サンエー化研(株)製、商品名「JA16F」、60℃の永久歪み0.1%、中心線表面粗さRa0.048μm、厚み60μm、粘着層の粘着力0.04N/25mm
PEフィルム2:粘着層を有するポリエチレンフィルム、東レ(株)製、商品名「テレテック7332」、60℃の永久歪み0.1%、中心線表面粗さRa0.160μm、厚み30μm、粘着層の粘着力0.25N/25mm
PETフィルム1:粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、パナック(株)製、商品名「耐熱再剥離フィルムST」、60℃の永久歪み0.1%、中心線表面粗さRa0.021μm、厚み38μm、粘着層の粘着力0.17N/25mm
PETフィルム2:粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、藤森工業(株)製、商品名「PC−807」、60℃の永久歪み0.2%、中心線表面粗さRa0.030μm、厚み25μm、粘着層の粘着力0.18N/25mm
PETフィルム3:粘着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、サンエー化研(株)製、商品名「NSA33T」、60℃の永久歪み0.2%、中心線表面粗さRa0.027μm、厚み38μm、粘着層の粘着力1.35N/25mm。
比較例1
光学フィルムとしてCOCフィルム1(厚み100μm)を用い、この光学フィルムの片面に、保護フィルムとしてPEフィルム2を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅1000mm、長さ100m)を、窒素雰囲気中、常温で、EB照射装置(岩崎電気(株)製「TYPE;EC300/165/800L」)を用いて、加速電圧200kV、積算線量350kGyで電子線を照射して架橋し、ライン速度10m/分、巻取張力30Nの条件で、直径90mmの芯体に対してロール状に巻き取り、ロール体を得た。
比較例2
光学フィルムとしてCOCフィルム1を用い、この光学フィルムの片面に、保護フィルムとしてPETフィルム1を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅1000mm、長さ100m)を用いて比較例1と同様にしてロール体を得た。
比較例3
光学フィルムとしてCOCフィルム1を用い、この光学フィルムの両面に、保護フィルムとしてPEフィルム2を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅1000mm、長さ100m)を用いて比較例1と同様にしてロール体を得た。
比較例4
光学フィルムとしてCOCフィルム1を用い、この光学フィルムの両面に、保護フィルムとしてPETフィルム3を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅1000mm、長さ100m)を作成後、保護フィルムを剥離(引き剥がし角度180°、0.3m/分)するとジッピングが発生し、1mm間隔の折れ目がCOCフィルム1に転写した。
実施例1
光学フィルムとしてCOCフィルム2(厚み50μm)を用い、この光学フィルムの両面に、保護フィルムとして、それぞれPEフィルム1を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅1000mm、長さ100m)を用いて比較例1と同様にしてロール体を得た。
実施例2
COCフィルム2をCOCフィルム1に変更する以外は実施例1と同様にしてロール体を得た。
実施例3
光学フィルムとしてCOCフィルム2(厚み50μm)を用い、この光学フィルムの一方の面に、第1の保護フィルムとしてPEフィルムを常温にて貼り合わせ、他方の面に、第2の保護フィルムとしてPETフィルム1を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅1000mm、長さ100m)を用いて実施例1と同様にしてロール体を得た。
実施例4
COCフィルム2をCOCフィルム1に変更する以外は実施例3と同様にしてロール体を得た。
実施例5
光学フィルムとしてCOCフィルム3(厚み38μm)を用い、この光学フィルムの両面に、保護フィルムとしてPETフィルム2(厚み25μm)を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅350mm、長さ100m)を用いて実施例1と同様にしてロール体を得た。
実施例6
COCフィルム3をCOCフィルム2(厚み50μm)に変更する以外は実施例5と同様にしてロール体を得た。
実施例7
光学フィルムとしてCOCフィルム1を用い、この光学フィルムの両面に、保護フィルムとしてPETフィルム1(厚み38μm)を常温にて貼り合わせた積層フィルム(幅350mm、長さ100m)を用いて実施例1と同様にしてロール体を得た。
実施例及び比較例で得られたロール体の表面平滑性を評価した結果を表1に示す。
Figure 2014180840
表1の結果から明らかなように、実施例のロール体では、光学フィルムの表面平滑性が優れているのに対して、比較例のロール体では、高温保管時の表面平滑性が低かった。
本発明の積層フィルムに含まれる光学フィルムは、各種の光学フィルムとして利用できるが、低温軟化性を生かして、光学封止材料(例えば、OCAテープ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)封止剤など)として特に適している。

Claims (10)

  1. 光学フィルムの両面に、それぞれ、第1及び第2の保護フィルムが積層されたフィルムであって、
    前記光学フィルムが、透明樹脂で形成され、かつ60℃及び荷重10mNの条件で、針入方式の熱機械分析による5分後から10分後までの変形率が総厚みに対して1.0%以上であり、
    前記第1及び第2の保護フィルムが、それぞれ、基材層と、この基材層の光学フィルムと接触する面に形成された粘着層とを含む積層体であり、
    前記第1及び第2の保護フィルムの基材層が、それぞれ、合成樹脂で形成され、かつ60℃及び荷重10mNの条件で、針入方式の熱機械分析による5分後から10分後までの変形率が総厚みに対して1.0%未満であり、
    前記第1及び第2の保護フィルムの粘着層表面の形状が、それぞれ、中心線平均粗さRa0.1μm以下であり、かつ
    前記第1及び第2の保護フィルムの粘着層が、それぞれ、加速電圧200kV、線量350kGyで電子線を照射したとき、0.01〜0.5N/25mmの粘着力を有する積層フィルム。
  2. 光学フィルムにおいて、透明樹脂のガラス転移温度が20〜70℃の非晶性樹脂である請求項1記載の積層フィルム。
  3. 光学フィルムにおいて、透明樹脂が、鎖状オレフィンと環状オレフィンとを重合成分とする鎖状オレフィン−環状オレフィン共重合体の架橋体である請求項1又は2記載の積層フィルム。
  4. 光学フィルムの平均厚みと、第1又は第2の保護フィルムとの平均厚みとの厚み比が、光学フィルム/第1又は第2の保護フィルム=1/1〜10/1である請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 光学フィルムの平均厚みが10〜100μmであり、かつ第1又は第2の保護フィルムとの平均厚みが4〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 光学フィルムの全光線透過率が80%以上であり、かつヘイズが5%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 合成樹脂が、ポリオレフィン及び/又はポリエステルである請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. ロール状に巻き取られたロール体である請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルム。
  9. ロール状に巻き取られた光学フィルムにゲージバンド痕が発生するのを抑制する方法であって、ロール状に巻き取るフィルムとして請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルムを用いることにより、ゲージバンド痕が発生するのを抑制する方法。
  10. 積層フィルムを温度40〜60℃で保管及び/又は流通する請求項9記載の方法。
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