以下、本発明の実施形態について説明する。
〔表示用粘着ラベル〕
図1には、本発明の一実施形態に係る表示用粘着ラベル1の断面図が示される。本発明の一実施形態に係る表示用粘着ラベル1は、基材10と、基材10の一方の面側に積層された粘着剤層20と、粘着剤層20における基材10とは反対側の面上に積層された剥離シート30とを備える。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、粘着剤層20は、アクリル系モノマーのブロック共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成されたものである。また、粘着剤層20に含まれる低分子量成分の総量は、100ppm以下である。なお、本明細書において粘着剤組成物に関する「ベースポリマー」とは、粘着剤組成物中のポリマー成分を構成する最も多いポリマーをいい、具体的には、粘着剤組成物中における含有量が、好ましくは50質量%以上であるポリマーをいい、特に好ましくは60質量%以上であるポリマーをいい、さらに好ましくは70質量%以上であるポリマーをいう。また、ベースポリマーの粘着剤組成物中における含有量の上限については特に制限されないものの、通常、100質量%以下である。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、剥離シート30は、剥離基材32と、剥離基材32の一方の面側に積層された剥離剤層31とを備える。ここで、剥離シート30は、剥離剤層31側の面が粘着剤層20上に積層されている。また、剥離剤層31は、オレフィン系重合体をベースポリマーとする剥離剤組成物から形成されたものである。なお、本明細書において剥離剤組成物に関する「ベースポリマー」とは、剥離剤組成物中のポリマー成分を構成する最も多いポリマーをいい、具体的には、剥離剤組成物中における含有量が、好ましくは50質量%以上であるポリマーをいい、特に好ましくは60質量%以上であるポリマーをいい、さらに好ましくは70質量%以上であるポリマーをいう。また、ベースポリマーの剥離剤組成物中における含有量の上限については特に制限されないものの、通常、100質量%以下である。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、粘着剤層20が、アクリル系モノマーのブロック共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成されたものであることで、被着体に対して優れた貼付性を発揮することができる。
また、通常の表示用粘着ラベルのように、粘着剤層を形成するための粘着剤組成物がアクリル系モノマーの重合体をベースポリマーとする場合には、かかる重合体を得るためのアクリル系モノマーの重合は、通常、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等の重合開始剤を用いたフリーラジカル重合により行われる。しかしながら、この場合には、得られた重合体の分子量分布はブロードなピークを有しやすく、数百ppmの未反応のモノマー原料が残存してしまう。
これに対し、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1のように、粘着剤層20を形成するための粘着剤組成物がアクリル系モノマーのブロック共重合体をベースポリマーとする場合には、かかるブロック共重合体を得るためのアクリル系モノマーのブロック共重合は、リビングアニオン重合により行われる。リビングアニオン重合により得られた共重合体の分子量分布はフリーラジカル重合により得られた重合体の分子量分布に比べてシャープなピークを有する傾向があるため、アクリル系モノマーのブロック共重合体には、未反応のモノマー原料が残存しにくい。そのため、粘着剤層20に含まれる低分子量成分の総量は、100ppm以下となる。このような場合、粘着剤層20からのアウトガスの発生が低減する。なお、上記「低分子量成分」とは、分子量が10,000程度以下の成分をいい、具体的には、上記「未反応のモノマー原料」、重合の程度が低いオリゴマー、粘着剤組成物に対して添加剤として添加されるモノマー等を含む。
また、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、前述の通り、剥離剤層31がオレフィン系重合体をベースポリマーとする剥離剤組成物から形成されている。
ここで、剥離剤として一般的に使用される、グラフト重合により得られるシリコーン系樹脂は、主鎖となるシリコーンポリマーに対して、別のシリコーンポリマーやシリコーンモノマーを枝状に結合することで得られるため、未反応のシリコーンポリマーやシリコーンモノマーが生じ易い。また、このようなシリコーン系樹脂は、製造後においても、枝状に結合されたシリコーンポリマーやシリコーンモノマーが主鎖から脱離し易い。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、オレフィン系重合体をベースポリマーとする剥離剤組成物により剥離剤層31が形成されていることにより、剥離剤層31が、上述のような、グラフト重合により得られるシリコーン系樹脂を殆ど含まないか、好ましくは実質的に含まない。これにより、剥離シート30から粘着剤層20へのシリコーン移行が抑制される。そのため、表示用粘着ラベル1は、ハードディスクドライブといった、シリコーンの存在により悪影響を受けやすいデバイスにも好適に使用することができる。なお、剥離剤組成物中における、グラフト重合により得られるシリコーン系樹脂の含有量は、1質量%未満であることが好ましく、特に0.1質量%未満であることが好ましく、さらには0質量%であることが好ましい。
さらに、粘着剤層20に含まれるアクリル系モノマーのブロック共重合体は、一般的にカルボキシ基やヒドロキシ基といった反応性基を有していない。また、剥離剤層31に含まれるオレフィン系重合体もそのような反応性基を有していない。そのため、当該反応性基が分解して生じるガスが発生し難くいとともに、粘着剤層20と剥離剤層31との界面において、それぞれの層を構成する成分同士の反応も生じ難く、その結果、当該反応に起因する粘着力の向上も生じ難いものと推定される。そのため、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1は、剥離性に優れており、特に加熱された場合であっても、その優れた剥離性が維持されるものと推定される。
また、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、粘着剤組成物および剥離剤組成物は、押出成形により、それぞれ粘着剤層20および剥離剤層31を形成するのに適している。このような押出成形は溶剤を使用せず行うことができる。したがって、押出成形により粘着剤層20および剥離剤層31を形成する場合には、残溶剤に起因した、粘着剤層20と剥離剤層31とからのアウトガスの発生を特に低減することができる。
さらに、共押出成形により粘着剤層20および剥離剤層31を形成する場合、後述する通り、剥離剤層31における粘着剤層20と接する面の平滑性がよくなるため、剥離性をより向上させることができる。
以上のように、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1は、被着体に対する貼付性を適切に確保しながらも、アウトガスの発生が抑制されるとともに、剥離剤層から粘着剤層へのシリコーン移行が抑制され、さらには剥離性が優れる。したがって、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1は、デバイス用途に用いられる表示用粘着ラベルとして好適に使用することができ、また、自動ラベラーを用いた剥離シート30の剥離に好適に使用することができる。
1.基材
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、基材10の材料は限定されない。樹脂系の材料を主成分とする樹脂系シートから構成されていてもよいし、紙系の材料から構成されていてもよい。
樹脂系シートに係る樹脂の成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のオレフィン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系重合体;ナイロン6,6、ナイロン6といったナイロン等のアミド系重合体などが例示される。上記の樹脂系シートに係る樹脂として、上記の成分を含有する樹脂のほかに、例えば、アセテート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ−p−フェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエステル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートを使用することが好ましい。基材10はこれらの材料の一種を含有してもよいし、二種以上を含有してもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
基材10を構成する樹脂系シートは、未延伸のものであってもよいし、縦、横などの一軸方向または二軸方向に延伸されたものであってもよい。延伸されたものを使用する場合、特に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましい。
基材10は、上記の樹脂系シートの一層から構成されていてもよいし、上記の樹脂系シートが複数積層されて基材10を構成していてもよい。複数層からなる基材10の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムとの積層体、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムと、ポリエチレンテレフタレートフィルムとを順に積層してなる積層体、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムと、二軸延伸ポリプロピレンフィルムとを順に積層してなる積層体、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムと、ナイロンフィルムとを順に積層してなる積層体等が挙げられる。
基材10が樹脂系の材料から構成される場合には、基材10は、粘着剤層20と共押出成形により製造されたものであってもよい。
基材10が紙系の材料から構成される場合の具体例として、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材、および上記の紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙が挙げられる。
基材10における少なくとも一方の面には、表示用粘着ラベル1としての表示を構成するための所望の印刷を施してもよい。当該印刷は、従来公知の方法により行うことができる。
基材10を構成する材料が着色材料(カーボンブラック、二酸化チタンなどの顔料、および染料が例示される。)を含有することにより、基材10が着色されていてもよい。さらに、機械特性を高めたり耐ブロッキング性を付与したりする観点から、基材10を構成する材料がシリカなどの微粒子を含有していてもよい。基材10は、用途に応じて、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分をさらに含有していてもよい。
基材10には、プライマーコート層、印刷層、コーティング層、金属蒸着層、紫外線防止層等が形成されていてもよく、また、少なくとも片面に金属箔が積層されていてもよい。これらの層および金属箔は、その用途に応じて、基材10のどちらの面に設けてもよい。
基材10の厚さは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されない。例えば基材10の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に20μm以上であることが好ましく、さらには25μm以上であることが好ましい。1000μm以下であることが好ましく、特に500μm以下であることが好ましく、さらには200μm以下であることが好ましい。なお、本明細書において、基材10の厚さとは、前述した、プライマーコート層、印刷層、コーティング層、金属蒸着層、紫外線防止層、金属箔等を含む厚さを意味する。
2.粘着剤層
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、粘着剤層20が、アクリル系モノマーのブロック共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成されたものである。これにより、表示用粘着ラベル1は、被着体に対して優れた貼付性を示すとともに、粘着剤層20からのアウトガスの発生を抑制することが可能となる。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、粘着剤層20に含まれる低分子量成分の総量が、100ppm以下であり、好ましくは80ppm以下であり、特に60ppm以下である。低分子量成分の総量が100ppmを超えると、粘着剤層20からアウトガスが発生し易くなる。特に表示用粘着ラベル1がハードディスクドライブに使用される場合には、発生したアウトガスが、ハードディスクドライブの性能に悪影響を及ぼし易くなる。なお、アウトガス発生の抑制の観点からは、粘着剤層20が低分子量成分を全く含まないことが好ましい。粘着剤層20に含まれる低分子量成分の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
上記アクリル系モノマーのブロック共重合体のブロック構造としては、特に限定されないが、ブロックセグメント(A)、ブロックセグメント(B)が、(A−B)n型、(A−B)n−A型、A−(B−C)n−A型、B−(A−B)n型、(A−B)n−Z型、および(B−A)n−Z型[ここで、A、Bは上記各ブロックセグメントを表し、Zはカップリング剤を表す。nは1〜10の整数を示す。]のいずれか少なくとも一つのブロック構造を有することが好ましい。
上記ブロックセグメント(A)を構成するモノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、上記ブロックセグメント(A)を構成するモノマーは、得られる粘着剤層20の、透明性、耐熱性、耐久性を向上させる観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。上記ブロックセグメント(A)のガラス転移温度(Tg)は、90℃以上であることが好ましく、特に100℃以上であることが好ましく、さらには105℃以上であることが好ましい。また、当該ガラス転移温度(Tg)は、130℃以下であることが好ましく、特に120℃以下であることが好ましい。ブロックセグメント(A)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であることで、粘着剤層20の耐熱性、耐久性、押出成型の加工適性を最適な範囲に制御することが可能となる。
また、上記ブロックセグメント(B)を構成するモノマーとしては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、上記ブロックセグメント(B)を構成するモノマーは、得られる粘着剤組成物の、柔軟性、粘着特性を向上させる観点から、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシルなどのアクリル酸エステルがより好ましく、アクリル酸n−ブチルがさらに好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記ブロックセグメント(B)のガラス転移温度(Tg)は、−40℃以上であることが好ましく、特に−10℃以上であることが好ましい。また、当該ガラス転移温度(Tg)は、50℃以下であることが好ましい。ブロックセグメント(B)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であることで、粘着剤層20の粘着力を最適な範囲に制御することが可能となる。
また、上記ブロックセグメント(C)を構成するモノマーとしては、上記ブロックセグメント(B)を構成するモノマーと同様のものが挙げられる。これらの中でも、上記ブロックセグメント(C)を構成するモノマーは、得られる粘着剤組成物の、柔軟性、粘着特性を向上させる観点から、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシルなどのアクリル酸エステルがより好ましく、アクリル酸n−ヘキシルがさらに好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記ブロックセグメント(C)のガラス転移温度(Tg)は、−40℃以上であることが好ましく、特に−10℃以上であることが好ましい。また、当該ガラス転移温度(Tg)は、50℃以下であることが好ましい。ブロックセグメント(B)のガラス転移温度(Tg)が上記範囲であることで、粘着剤層20の粘着力を最適な範囲に制御することが可能となる。
上記アクリル系モノマーのブロック共重合体は、相対的に軟質なセグメント[ブロックセグメント(B)またはブロックセグメント(C)]の両端に、比較的硬質であって擬似架橋可能なセグメント[ブロックセグメント(A)]が連結した構造を有するものであることが好ましい。具体的には、上記アクリル系モノマーのブロック共重合体は、(A−B)n−A型、A−(B−C)n−A型で表されることが好ましく、特に、(A−B)n−A型で表されるアクリル系モノマーのトリブロック共重合体であることが好ましい。これにより、粘着剤層20が良好な粘着性を発揮しながらも、粘着剤層20からのアウトガスの発生を効果的に抑制することができ、押出成型の加工適性も良好なものとなる。
各セグメントの種類や長さ、量的バランスなどを調整することなどにより、ブロック共重合体全体の凝集力を制御することが可能である。(A−B)n−A型で表されるアクリル系モノマーのトリブロック共重合体における各セグメントの質量比[ブロックセグメント(A)/ブロックセグメント(B)]は、粘着特性を付与する観点から、5/95〜70/30が好ましく、10/90〜50/50が好ましく、15/85〜30/70がより好ましい。
(A−B)n−A型で表されるトリブロック共重合体の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸ブチル(PBA)−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル(2EHA)−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、等が挙げられる。A−(B−C)n−A型で表されるブロック共重合体の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸ブチル(PBA)−ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル(2EHA)−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等が挙げられる。これらのうち、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸ブチル(PBA)−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸ブチル(PBA)−ポリアクリル酸−2−エチルヘキシル(2EHA)−ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を使用することが好ましい。
上記トリブロック共重合体は、温度が室温に近い温度の場合には、末端に位置する擬似架橋可能なセグメントにおいて、他の重合体の擬似架橋可能なセグメントと相互作用して、全体として3次元的な集合構造を有し、温度が高い場合には、擬似架橋が外れて粘度が低下する。したがって、粘着剤層20を形成するための粘着剤組成物がトリブロック共重合体をベースポリマーとすることにより、押出成形の際には良好な流動性を維持しつつ、成形後の状態では、3次元的な集合構造に起因して優れた物性(粘着力、保持力、貯蔵弾性率、引張強度など)を有する粘着剤層20を得ることが可能である。
上記のトリブロック共重合体は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、30,000以上、300,000以下であることと、分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であることとの少なくとも一方を満たすことが好ましい。
なお、本明細書において、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の値は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定された値を意味する。具体的には、GPC測定装置(東ソー社製「HLC−8220GPC」)を使用して、以下に示す条件にて行うものとする。
カラム:TSKgelGMHXL→TSKgelGMHXL→TSKgel2000HXL
注入量:80μl
測定温度:40℃
流速:1ml/分
検出器:示差屈折計
試料濃度:1%(w/v)
上記のトリブロック共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が30,000以上、300,000以下であることにより、かかるトリブロック共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成された粘着剤層20は、被着体に対する密着性の高さと、粘着剤層20の凝集力の高さとを兼ね備えやすい。したがって、かかる粘着剤層20を備える本実施形態に係る表示用粘着ラベル1は、被着体に対する貼付性が良好である。上記のアクリル系ブロック共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、表示用粘着ラベル1の被着体に対する密着性と粘着剤層20の凝集力を安定的に高める観点から、上記アクリルブロック共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は30,000から300,000の範囲にあることが好ましく、40,000から250,000の範囲にあることがより好ましく、50,000から200,000の範囲にあることが極めて好ましい。
上記のトリブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であることにより、トリブロック共重合体に含有される低分子量成分の量を少なくすることがより安定的に実現される。上記の低分子量成分の量をさらに安定的に低減させる観点から、上記のトリブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0以上、5.0以下であることが好ましく、1.0以上、3.0以下であることがより好ましく、1.0以上、2.0以下であることが特に好ましい。上記のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の範囲に関する条件をも満たす場合には、トリブロック共重合体に含有される低分子量成分の量を特に安定的に低減させることができる。したがって、上記の分子量分布(Mw/Mn)に関する条件を満たし、好ましくは上記のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の範囲に関する条件をも満たすことにより、粘着剤層20からのアウトガスの発生を効果的に抑制することが可能となる。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、粘着剤層20を形成するための粘着剤組成物中の上記アクリル系モノマーのブロック共重合体以外の成分については、粘着剤層20に含まれる低分子量成分の総量が100ppm以下であることを満たす限り、限定されない。しかしながら、表示用粘着ラベル1の被着体に対するシリコーンの影響を抑制するため、粘着剤組成物はシリコーン系樹脂およびシリコーンモノマーを実質的に含まないことが好ましい。
粘着剤層20は、粘着剤組成物に溶剤を加えて塗工液を調整し、当該塗工液を基材10や剥離シート30等に塗工することにより形成してもよく、あるいは、押出成形により形成してもよいが、残溶剤に起因した、粘着剤層20からのアウトガスの発生を低減するため、押出成形で形成することが特に好ましい。
粘着剤層20は、構成する材料が着色材料(カーボンブラック、二酸化チタンなどの顔料、および染料が例示される。)を含有することにより、粘着剤層20が着色されていてもよい。粘着剤層20は、用途に応じて、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分をさらに含有していてもよい。
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、粘着剤層20を形成するための粘着剤組成物に、非架橋型樹脂、架橋型樹脂、粘着性付与剤、カップリング剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、難燃剤又は帯電防止剤などの添加剤が添加されてもよい。
非架橋型樹脂は、粘度調整や自着防止に有効である。非架橋型樹脂は、押出機のホッパー内の温度領域において粉体となりうるものであることが好ましい。また、粘着剤組成物中のその他の成分との間で相溶性を有する事が好ましい。添加樹脂がそのような相溶性を有することをより安定的に実現する観点から、添加樹脂は、粘着剤組成物中のその他の成分と同系列の樹脂であることがより好ましい。すなわち、添加樹脂は、アクリル系モノマーのブロック共重合体と同様に、アクリル酸系樹脂であることが好ましい。粘着剤層20における添加樹脂の含有量は、粘着剤組成物の粘度を調整する機能を果たすことができる限り、限定されない。粘着剤層20の添加樹脂の含有量については、0.01質量%超、10質量%未満であることが好ましく、0.1質量%以上、5質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、3質量%以下であることが特に好ましい。
粘着剤層20の厚さは、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、特に5μm以上であることが好ましく、さらには10μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、特に100μm以下であることが好ましく、さらには50μm以下であることが好ましい。当該厚さが1μm以上であることで、表示用粘着ラベル1の被着体に対して優れた粘着性を発揮するものとなる。また、当該厚さが1000μm以下であることで、粘着剤層20からのアウトガスの発生を効果的に抑制することが可能となる。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、粘着剤層20を溶剤(例えば、酢酸エチル)に室温下(23℃)、48時間浸漬する前後の乾燥質量を測定し、浸漬後の質量を浸漬前の質量で除算し、さらに100倍した値として算出した、粘着剤層20のゲル分率は、10%以下であることが好ましく、特に実質的に0%であることが好ましい。本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、粘着剤層20が、アクリル系モノマーのブロック共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成され、アクリル系モノマーのブロック共重合体がカルボキシ基やヒドロキシ基といった反応性基を有していない。そのため、粘着剤の架橋を行う必要がなく、一般的なアクリル系粘着剤の場合に必要な架橋のためのシーズニング期間を省略することができ、表示用粘着ラベルの生産性を高めることが可能となっている。
3.剥離シート
(1)剥離基材
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、剥離基材32の材料は限定されない。樹脂系の材料を主成分とする樹脂系シートから構成されていてもよいし、紙系の材料から構成されていてもよい。
剥離基材32の例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムなどのフィルムや、グラシン紙、上質紙、コート紙、含浸紙、合成紙、クリーンペーパー等の紙を用いることができる。また、これらのフィルムの複数が積層された積層フィルムであってもよい。
剥離基材32が樹脂系シートである場合、当該樹脂系シートは、未延伸のものであってもよいし、縦、横などの一軸方向または二軸方向に延伸されたものであってもよい。延伸されたものを使用する場合、特に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましい。
剥離基材32においては、その表面に設けられる剥離剤層31との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などによる表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果及び操作性の面から好ましく用いられる。
剥離基材32の厚さは、10μm以上であることが好ましく、特に15μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましい。
(2)剥離剤層
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、剥離剤層31は、オレフィン系重合体をベースポリマーとする剥離剤組成物から形成されたものである。そのため、剥離シート30から粘着剤層20へのシリコーン移行が抑制される。さらに、当該剥離剤組成物は、押出成形により、剥離剤層31を形成することに適している。そのため、剥離剤組成物を溶剤で希釈した塗工液を用いて、塗膜を形成し、当該塗膜から剥離剤層31を形成する場合に懸念されるような、残溶剤に起因したアウトガスの発生を低減することができる。また、前記粘着剤層20と剥離剤層31を共押出成形で形成することができるため、生産性も良好となる。
オレフィン系重合体とは、モノマーとしてオレフィンを含む重合体をいう。ここで、オレフィン系重合体は、1種のオレフィンのみからなる単独重合体、2種以上のオレフィンからなる共重合体、1種以上のオレフィンと1種以上のオレフィン以外のモノマーとからなる共重合体、およびこれらの混合物のいずれであってもよい。オレフィンモノマーとしては、炭素数2〜8のオレフィンモノマー、環状構造を有するオレフィンモノマーなどが例示される。炭素数2〜8のオレフィンモノマーとして、エチレン、プロピレン、ブテンならびにこれらの誘導体などが例示される。環状構造を有するオレフィンモノマーとして、ノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエンおよびテトラシクロドデセンならびにこれらの誘導体などが例示される。オレフィン以外のモノマーとして、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルおよびそれらの誘導体といったアクリル系モノマー、酢酸ビニル、スチレン、シリコーン等が例示される。
上記オレフィン系重合体が、複数種のモノマーからなる場合には、ブロック重合体およびランダム重合体のいずれであってもよいし、これらの混合物であってもよい。
オレフィン系重合体としては、具体的には、エチレン単独のモノマーからなる重合体またはエチレンをモノマーとして含む共重合体、プロピレン単独のモノマーからなる重合体またはプロピレンをモノマーとして含む共重合体、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。オレフィン系重合体としては、具体的には、低密度ポリエチレン、α−オレフィン共重合体等が挙げられる。オレフィン系重合体は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、剥離シート30における剥離剤層31側の面にポリエチレンテレフタレートフィルムの片面を貼付した後、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離シート30から剥離したときに、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける剥離剤層31に接触していた面について、光電子分光分析で測定したケイ素原子比率は、5原子%未満であることが好ましく、特に3原子%未満であることが好ましく、さらには1原子%未満であることが好ましい。本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、剥離剤層がオレフィン系重合体をベースポリマーとする剥離剤組成物から形成されたものであることにより、5原子%未満といった比較的低いケイ素原子比率を達成することができる。なお、上記ケイ素原子比率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
剥離剤層31の厚さは、0.5μm以上であることが好ましく、特に5μm以上であることが好ましく、さらには10μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、100μm以下であることが好ましく、特に70μm以下であることが好ましく、さらには50μm以下であることが好ましい。当該厚さが上記範囲であることで、剥離シート30の剥離性がより優れたものとなり、生産性も良好となる。
剥離剤層31における剥離基材とは反対側の面の水に対する静的接触角が、90°以上であることが好ましく、より好ましくは95°以上であり、さらに好ましくは98°以上であり、特に好ましくは100°以上である。また、当該静的接触角は、110°以下であることが好ましく、より好ましくは108°以下であり、さらに好ましくは107°以下であり、特に好ましくは106°以下である。本明細書において、静的接触角とは、全自動接触角計(協和界面科学社製,製品名「DM−701」)を用いて、液滴法により、温度23℃、湿度50%の条件下で測定した値を指す。
(3)剥離シートの物性
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、剥離シート30に対する日東電工社製ポリエステル粘着テープNo.31Bの180°剥離力は、50mN/50mm以上であることが好ましく、特に100mN/50mm以上であることが好ましい。また、当該180°剥離力は、1200mN/50mm未満であることが好ましく、特に1000mN/50mm以下であることが好ましい。上記180°剥離力が50mN/50mm以上であることで、表示用粘着ラベル1からの剥離シート30が意図せず剥がれることを抑制することができる。また、上記180°剥離力が1200mN/20mm未満であることで、表示用粘着ラベル1から剥離シート30を比較的低い剥離力で剥離することが可能となり、そのような剥離を自動ラベラーによって行う場合には、エラーが生じることなく良好に剥離することが可能となる。なお、上記180°剥離力の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
4.物性等
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、表示用粘着ラベル1から剥離シート30を剥離し、露出した粘着剤層20の露出面について、JIS Z0237:2009(ISO 29862−29864:2007)に準拠して測定されたステンレス試験板(以下、試験板という)に対する180°引きはがし粘着力が、0.1N/25mm以上であることが好ましい。従来技術に係るようなラジカル重合により重合させたアクリル系重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、低分子量成分を数百ppm含有している場合がある。このような低分子量成分は、粘着剤層内で、いわゆる粘着付与剤のように、表示用粘着ラベルの被着体に対する粘着性を高める成分として機能しうる。したがって、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1のように、アクリル系モノマーのブロック共重合体をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成された粘着剤層20を備える表示用粘着ラベル1は、被着体に対する貼付性、特に粘着性が低下する傾向を有しうる。
しかしながら、上記の180°引きはがし粘着力が0.1N/25mm以上であれば、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1は被着体に対する貼付性が適切に確保され、好ましい。表示用粘着ラベル1の被着体に対する貼付性を適切に確保することをより安定的に実現する観点から、上記の180°引きはがし粘着力は、0.5N/25mm以上であることがより好ましく、1.0N/25mm以上であることがさらに好ましく、3.0N/25mm以上であることが特に好ましい。
上記の粘着力の上限は設定されない。用途に応じて適宜設定されるべきものである。限定されない例として、50N/25mm以下であること(再剥離性を有しない場合)、30N/25mm以下であること(再剥離性を有する場合)などが挙げられる。
なお、上記180°引きはがし粘着力は、次の測定方法により測定することができる。まず、表示用粘着ラベル1から剥離シート30を剥がし、25mm×150mmに切断して表示用粘着ラベル試験片を得る。次に、JIS Z 0237:2009(ISO 29862−29864:2007)に基づき、23℃、相対湿度50%環境下で、上記の表示用粘着ラベル試験片を試験板に貼付して試験サンプルとする。貼付から24時間後、180°引きはがし法によって引張り速度300mm/分にて、表示用粘着ラベル1を試験板から引きはがし、そのときの測定結果として、180°引きはがし粘着力(単位:N/25mm)が得られる。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、表示用粘着ラベル1から剥離シート30を剥離し、露出した粘着剤層20の露出面について、JIS Z0237:2009に準拠して測定された、J.Dow法による傾斜角30°におけるボールタック値が10以上であることが好ましい。上記のボールタック値が10以上であることにより、表示用粘着ラベル1の粘着剤層20の面のべたつきがより適切となって、かかる表示用粘着ラベル1の被着体への貼付性が向上する。表示用粘着ラベル1の被着体に対する貼付性を適切に確保することをより安定的に実現する観点から、上記のボールタック値は、12以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましい。
なお、上記ボールタック値は、次の測定方法により測定することができる。表示用粘着ラベル1から剥離シート30を剥がし、12mm×150mmに切断して表示用粘着ラベル試験片を得る。そして、当該表示用粘着ラベル試験片について、JIS Z 0237:2009(ISO 29862−29864:2007)に基づき、23℃、相対湿度50%環境下で、傾斜角30°において、ボールタック値が測定される。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1において、表示用粘着ラベル1から剥離シート30を剥離し、露出した粘着剤層20の露出面について、JIS Z0237:2009に準拠して行われた、サンプル貼付面積25mm×25mm、荷重1kg、温度40℃の保持力試験において、表示用粘着ラベル1が剥がれて、印加荷重となる錘が落下するまでの時間、すなわち、保持時間が7万秒間以上であることが好ましい。かかる保持時間が7万秒間以上であることにより、表示用粘着ラベル1を被着体に貼付したときに、粘着剤層20の構成成分が染み出す問題が生じにくく、表示用粘着ラベル1の被着体に対して適切な貼付性を有しやすい。
なお、上記保持時間は、次の測定方法により測定することができる。表示用粘着ラベル1から剥離シート30を剥がし、25mm×150mmに切断して表示用粘着ラベル試験片を得る。次に、JIS Z 0237:2009(ISO 29862−29864:2007)に基づき、温度23℃、相対湿度50%環境下で、サンプル貼付面積25mm×25mmにて、1kgの錘で荷重(9.8N)を加えて、錘が落下するまでの時間として保持時間(単位:秒)が測定される。
〔表示用粘着ラベルの製造方法〕
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1の製造方法は特に限定されないものの、粘着剤層20および剥離剤層31をそれぞれ押出成形で形成する工程を備える方法により製造することが好ましい。前述した粘着剤組成物および剥離剤組成物は、一般的に、押出成形によってそれぞれ粘着剤層20および剥離剤層31を形成するのに適している。また、押出成形により粘着剤層20および剥離剤層31を形成することで、本実施形態に係る表示用粘着ラベル1が優れた剥離性を発揮し易くなる。さらに、押出成形は、粘着剤組成物および剥離剤組成物を希釈するための溶剤を使用することなく行うことができるため、残溶剤に起因した、粘着剤層20と剥離剤層31との界面における、それぞれの層を構成する成分同士の反応を抑制することができ、その結果、剥離シート30を剥離する際の剥離力の増大が回避され、優れた剥離性を維持することができる。以下に、押出成形により本実施形態に係る表示用粘着ラベル1を製造する方法の例を説明する。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1の製造方法の第一の態様は、剥離剤組成物の押出成形により、剥離基材32の片面側に剥離剤層31を設けて、少なくとも剥離剤層31および剥離基材32が積層された剥離シート30を得る工程、および粘着剤組成物の押出成形により、基材10の片面側と剥離シート30における剥離剤層31側の面との間に粘着剤層20を設ける工程を備える。
押出成形により剥離剤層31を設ける方法は、剥離基材32の片面側に剥離剤層31が形成できる限り、特に限定されない。例えば、Tダイ製膜機等を使用して、前述した剥離剤組成物を溶融・混練し、剥離基材32を一定の速度にて移動させながら、剥離基材32の片面に、溶融した剥離剤組成物を押出しラミネートして、剥離基材32の片面側に剥離剤層31が設けられてなる剥離シート30を得ることができる。あるいは、Tダイ製膜機等を使用して、前述した剥離剤組成物および剥離基材32の材料をそれぞれ溶融・混練し、共押出成形することで、剥離基材32の片面側に剥離剤層31が設けられてなる剥離シート30を得てもよい。
押出成形により粘着剤層20を設ける方法についても、基材10と剥離シート30との間に粘着剤層20を形成できる限り、特に限定されない。例えば、Tダイ製膜機等を使用して、前述した粘着剤組成物を溶融・混練し、上記のように得られた剥離シート30および基材10を一定の速度にて移動させながら、基材10の片面側と剥離シート30における剥離剤層31側の面との間に、溶融した粘着剤組成物を押出しラミネートすることで、基材10と粘着剤層20と剥離シート30とが順に積層された積層シートを得ることができる。あるいは、Tダイ製膜機等を使用して、前述した粘着剤組成物および基材10の材料をそれぞれ溶融・混練し、上記のように得られた剥離シート30を一定の速度にて移動させながら、剥離シート30における剥離剤層31側の面に、溶融した粘着剤組成物および基材10の材料を共押出しラミネートすることで、基材10と粘着剤層20と剥離シート30とが順に積層された積層シートを得てもよい。そして、作製された積層シートにおいて、必要に応じて、当該積層シートの基材に対する印刷、当該積層シートのハーフカットや裁断等を行うことで、表示用粘着ラベル1を得ることができる。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1の製造方法の第二の態様は、粘着剤組成物および剥離剤組成物の共押出成形により、基材10の片面側に粘着剤層20を設けるとともに、剥離基材32の片面側に剥離剤層31を設けて、少なくとも基材10、粘着剤層20、剥離剤層31および剥離基材32がこの順に積層された表示用粘着ラベル1を得ることを含む。
第二の態様に係る製造方法によれば、より優れた剥離性を有する表示用粘着ラベル1を製造し易い。一般的に、剥離基材上に剥離剤層を単独で形成した場合、その剥離剤層における剥離基材とは反対側の面(以下「剥離面」という場合がある。)に微細な凹凸が生じる場合がある。そのような剥離面上に粘着剤層を形成すると、粘着剤層が当該凹凸に合わせて形成され、剥離剤層と粘着剤層との接触面積が大きくなり、アンカー効果が生じるため、剥離剤層と粘着剤層との密着性が高くなり易くなる。一方、第二の態様に係る製造方法では、粘着剤組成物および剥離剤組成物を溶融した状態で接触させ、同時に粘着剤層20および剥離剤層31を形成することにより、粘着剤層20と剥離剤層31との界面において上述した凹凸が生じ難い。その結果、当該凹凸に起因した、粘着剤層20と剥離剤層31との密着性の向上が生じ難くなり、表示用粘着ラベル1から剥離シート30を剥離する際の剥離力もより低いものとなる。
また、第二の態様に係る製造方法では、粘着剤層20と剥離剤層31とを合わせた厚さの精度が比較的高い表示用粘着ラベル1を製造し易くなる。粘着剤層20および剥離剤層31を別々に形成する場合、それぞれの層において厚さの誤差が生じ、粘着剤層20と剥離剤層31とを合わせた厚さについては、それらの誤差が合算される。一方、第二の態様に係る製造方法では、粘着剤層20と剥離剤層31とが同時に形成されるため、そのような誤差の合算は生じない。その結果、粘着剤層20および剥離剤層31を別々に形成する場合に比べて、第二の態様に係る製造方法では、厚さ精度が比較的高くなる。
第二の態様における共押出成形の具体的方法は、基材10と剥離基材32との間に、粘着剤層20および剥離剤層31を形成できる限り、特に限定されない。例えば、Tダイ製膜機等を使用して、前述した粘着剤組成物および前述した剥離剤組成物を溶融・混練し、基材10および剥離基材32を一定の速度にて移動させながら、基材10の片面側と剥離基材32の片面側との間に、溶融した粘着剤組成物および剥離剤組成物を共押出しラミネートする。このとき、溶融した粘着剤組成物は基材10に近位に位置し、溶融した剥離剤組成物は剥離基材32に近位に位置するように共押出しを行う。これにより、基材10と粘着剤層20と剥離剤層31と剥離基材32とが順に積層された積層シートを得ることができる。そして、作製された積層シートにおいて、必要に応じて、当該積層シートの基材に対する印刷、当該積層シートのハーフカットや裁断等を行うことで、表示用粘着ラベル1を得ることができる。
以上のように、粘着剤層20を押出成形により設ける場合、粘着剤組成物は、トリブロック共重合体を含有することが好ましい。さらに、トリブロック共重合体は、押出形成を行い易いという観点から、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が30,000以上、300,000以下であることと、分子量分布(Mw/Mn)が5.0以下であることとの少なくとも一方を満たすことが好ましい。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1は、粘着剤組成物または剥離剤組成物を含有する塗布液を用いて製造してもよい。例えば、剥離剤組成物を含有する塗布液を剥離基材32の片面側に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥等することで、剥離剤層31を形成してもよい。それに続いて、得られた剥離シート30における剥離面上に、粘着剤組成物を含有する塗布液を基材10の片面側に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥等することで、粘着剤層20を形成し、当該粘着剤層20の剥離シート30とは反対の面側に基材10を貼付することで積層シートを得てもよい。また、押出成形による工程と、塗布液を用いる工程とを組み合わせてもよく、例えば、上記の通り塗布液を用いて剥離シート30を得た後、当該剥離シート30の片面側に、押出成形により粘着剤層20を形成することで、積層シートを得てもよい。そして、作製された積層シートにおいて、必要に応じて、当該積層シートの基材に対する印刷、当該積層シートのハーフカットや裁断等を行うことで、表示用粘着ラベル1を得ることができる。
以上のように製造された本実施形態に係る表示用粘着ラベル1では、粘着剤層20が前述した粘着剤組成物から形成されているため、アウトガスの発生が抑制され、また、剥離剤層31が前述した剥離剤組成物から形成されていることで、剥離シート30から粘着剤層20へのシリコーン移行が抑制される。さらに、粘着剤層20が前述した粘着剤組成物から形成されているとともに、剥離剤層31が剥離剤組成物から形成されていることで、優れた剥離性を発揮することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
本実施形態に係る表示用粘着ラベル1は、本発明の作用や効果を損なわないかぎり、必要に応じて他の層を有していてもよい。例えば、他の層としては、基材10と粘着剤層20との間や、剥離剤層31と剥離基材32との間には、下塗り層が介在していてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
剥離剤組成物としてのオレフィン系重合体である低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製,製品名「ノバテック LD LC604」,表1中、「LDPE」と表記)を、剥離基材としての二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ:20μm,表1中、「OPP20」と表記)の片面に押出ラミネートして、厚さ20μmの剥離剤層を形成し、剥離シートを得た。
続いて、粘着剤組成物としてのアクリル系モノマーのトリブロック共重合体(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸ブチル(PBA)−PMMA,PMMA比率=18.7mol%,Mw=11.9万,Mw/Mn=1.1,表1中、「PMMA−PBA−PMMA」と表記)を、基材としてのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,製品名「ルミラーT60」,厚さ50μm,表1中、「PET50」と表記)の片面と、上記剥離シートの剥離剤層側の面との間に押出ラミネートして、厚さ20μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを得た。なお、当該粘着シートは、基材への印刷、ハーフカットや裁断等を適宜行うことで、表示用粘着ラベルとすることができる。
〔実施例2〕
実施例1と同様の剥離剤組成物、剥離基材、粘着剤組成物および基材を使用し、剥離剤組成物と、粘着剤組成物とを、剥離基材の片面と、基材の片面との間に共押出成形して、それぞれ厚さ20μmの剥離剤層および粘着剤層を形成し、剥離基材、剥離剤層、粘着剤層および基材が順に積層されてなる粘着シートを得た。なお、当該粘着シートは、基材への印刷、ハーフカットや裁断等を適宜行うことで、表示用粘着ラベルとすることができる。
〔実施例3〕
剥離剤組成物として、オレフィン系重合体であるα−オレフィン共重合体(三井化学社製,製品名「タフマー,表1中、「α−オレフィン」と表記)を使用し、剥離基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm、表中PET38と表記)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして粘着シートを得た。なお、当該粘着シートは、基材への印刷、ハーフカットや裁断等を適宜行うことで、表示用粘着ラベルとすることができる。
〔比較例1〕
剥離シートとして、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(表1中、「PET50」と表記)の一方の面の上に、アルキド樹脂系剥離剤層(表1中、「アルキド系樹脂」と表記)を有する剥離フィルム(リンテック社製,製品名「SP−PFS50AL−5」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
〔比較例2〕
剥離シートとして、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(表中、「PET38」と表記)の片面にシリコーン系の剥離剤層(表1中、「シリコーン系樹脂」と表記)が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET38 1031」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
〔比較例3〕
温度計、攪拌機、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、トルエン75質量部、酢酸エチル75質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)90質量部およびアクリル酸(AA)10質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下で80℃にて8時間重合反応を行い、2EHA−AA共重合体溶液を得た。2EHA−AA共重合体は、Mwが55万であり、2EHAに基づく構成単位とAAに基づく構成単位との質量比(2EHA:AA)は90:10であった。
得られた2EHA−AA共重合体溶液にトルエンを加え、固形分34質量%に調整して、アクリル系共重合体溶液を得た。得られたアクリル共重合体溶液100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製,製品名「コロネートL」,固形分75質量%)0.5質量部および希釈溶剤としてトルエン50質量部を配合し、液状のアクリル系粘着剤組成物Aを製造した。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(表中、「PET38」と表記)の片面にシリコーン系の剥離剤層(表1中、「シリコーン系樹脂」と表記)が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET38 1031」)における剥離面に、液状のアクリル系粘着剤組成物Aをナイフコーターによって塗布し、90℃で1分間乾燥させることで、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。
続いて、この粘着剤層におけるシリコーン系剥離シートとは反対側の面に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,製品名「ルミラーT60」,厚さ50μm,表1中、「PET50」と表記)の片面を貼付して、粘着シートを得た。
〔比較例4〕
温度計、攪拌機、還流冷却器、および窒素ガス導入管を備えた反応装置を用い、トルエン75質量部、酢酸エチル75質量部、ブチルアクリレート(BA)90質量部およびアクリル酸(AA)10質量部を仕込み、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3質量部を加え、窒素ガス雰囲気下で80℃にて8時間重合反応を行い、BA−AA共重合体溶液を得た。BA−AA共重合体は、Mwが50万であり、BAに基づく構成単位とAAに基づく構成単位との質量比(BA:AA)が90:10であった。
得られたBA−AA共重合体溶液にトルエンを加え、固形分34質量%に調整し、アクリル系共重合体溶液を得た。得られたアクリル共重合体溶液100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製,製品名「コロネートL」,固形分75質量%)0.5質量部および希釈溶剤としてトルエン50質量部を配合し、アクリル系粘着剤を形成するための液状のアクリル系粘着剤組成物Bを製造した。
粘着剤組成物Bを使用する以外、比較例3と同様にして粘着シートを得た。
〔試験例1〕(低分子量成分の総量の測定、および耐アウトガス性の評価)
実施例および比較例にて作製した粘着シートのそれぞれの剥離シートを剥離し、粘着剤層の露出面が20cm2となるように粘着シートを切断して評価試料とした。この評価試料をアンプル瓶に封入し、アンプル瓶をパージ&トラップGCMass(日本電子工業社製,製品名「JHS−100A」)にて、120℃で30分間加熱してガスを採取し、その後GCMass(PerkinElmer社製,製品名「TurboMass」)に導入して、n−デカンを用いて作成した検量線より、発生する、分子量が10,000以下の低分子量成分の総量を、n−デカン換算量(単位:ppm)として求めた。結果を表2に示す。さらに、以下の判断基準により、耐アウトガス性を評価した。結果を表2に示す。
○…低分子量成分の総量が、100ppm以下である。
×…低分子量成分の総量が、100ppmを超える。
〔試験例2〕(シリコーン移行性の評価)
実施例および比較例で使用した剥離シート(実施例2および3については、作製した粘着シートから基材と粘着剤層との積層体を剥離して得られる剥離基材と剥離剤層の積層体)の剥離剤層側の面に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製,製品名「ルミラーT60」,厚さ:50μm)の片面を貼付し、温度40℃、4kg/400cm2の荷重を24時間印加した。
その後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離シートから剥離し、当該ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける剥離剤層と接触していた面について、X線光電子分光分析法(XPS)によって測定されるケイ素原子(Si)、炭素原子(C)および酸素原子(O)の量(XPSカウント数)に基づき、下記の式によりケイ素原子比率(原子%)を算出した。
ケイ素原子比率(原子%)=[(Si元素量)/(C元素量)+(O元素量)+(Si元素量)]×100
そして、以下の判断基準により、シリコーン移行性を評価した。結果を表2に示す。
○…ケイ素原子比率が、5原子%未満である。
×…ケイ素原子比率が、5原子%以上である。
〔試験例3〕(剥離性の評価)
実施例および比較例で使用した剥離シート(実施例2および3については、作製した粘着シートから基材と粘着剤層との積層体を剥離して得られる剥離基材と剥離剤層の積層体)の剥離剤層側の面に、ポリエステル粘着テープ(日東電工社製,製品名「No.31B」,厚さ50μm,幅50mm)を2kgのローラ1往復にて貼合し、これをサンプルとした。
得られたサンプルを、23℃、湿度50%の条件下で24時間養生した後、幅50mm、長さ150mmに裁断し、引張試験機にて剥離角度180°、剥離速度300m/分でポリエステル粘着テープ側を剥離することで剥離力(mN/50mm)を測定した。その結果を表2に示す。また、以下の判断基準により、剥離性を評価した。結果を表2に示す。
○…剥離力が、1200mN/50mm未満である。
△…剥離力が、1200mN/50mm以上、1500mN/50mm未満である。
×…剥離力が、1500mN/50mm以上である。
表2から明らかなように、実施例で製造した粘着シートは、アウトガスの発生が抑制され、シリコーン移行も生じ難いとともに、剥離性に優れていた。