JP2006059620A - 電子デバイス用封止フィルムおよびそれを用いた表示素子 - Google Patents

電子デバイス用封止フィルムおよびそれを用いた表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機EL素子や液晶表示素子等の、精密で、極めて低湿度、低酸素濃度の動作環境が要求されるデバイスに十分な寿命を与えることが可能な電子デバイス用可とう性封止フィルム、およびそれらを用いた表示素子を提供する
【解決手段】 120℃、24時間の高温試験における寸法変化が一定値以下であり、60℃、相対湿度90%100時間の高温高湿試験における寸法変化が一定値以下であり、酸素透過率が一定値以下であり、透湿度が一定値以下であり、酸素吸着能力が一定値以上であり、かつ、吸湿能力が一定値以上であることを特徴とする電子デバイス用の可とう性封止フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子デバイス用封止フィルム、特に有機EL素子や液晶表示素子等の表示素子に好ましく用いられる封止フィルム、およびそれらを用いた表示素子に関する。
電子デバイスは、一般に湿度(水蒸気)や有機溶剤に弱く、安定して長寿命で動作させるためには、そのパッケージを封止する封止フィルムを用いることが一般的である。封止フィルムは、高いガスバリア性と可とう性とを同時に有することを求められる。
高分子有機材料は、可とう性に優れるが、その種類によっては、ガスバリア性に劣るものが多い。従来から、ガスバリア性に優れる樹脂を選択し、封止剤に使おうとする試みがあり、多くの提案がなされてきた。例えば、有機高分子材料の中で最もガスバリア性に優れた樹脂の1つである脂環式構造含有重合体を用いる封止フィルムが、提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
しかし、例えば有機EL素子をはじめとする近年の電子デバイスの多くを良好に作動させるには、より高いガスバリア性を有するフィルムを要するため、脂環式構造含有重合体を用いたとしても、そのガスバリア性は目的との関係から必ずしも十分とは言えず、より高いガスバリア性を有する封止フィルムの登場が待ち望まれていた。
脂環式構造含有重合体からなるフィルムのガスバリア性を向上する手段の1つとして、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等の脂環式構造含有重合体からなるフィルム上に、例えば無機物(金属酸化物、金蔵窒化物等)からなるガスバリア層を積層することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、有機EL素子をはじめとする精密で、極めて低湿度、低酸素濃度の動作環境が要求されるデバイスについては、このような積層構造を採用しても、デバイスの寿命を十分確保することが難しく、その解決が望まれていた。
特開2003−059645号公報 特開2004−009665号公報
本発明の目的は、上記の課題を解決し、精密で、極めて低湿度・低酸素濃度の動作環境が要求されるデバイスに十分な寿命を与えることが可能な電子デバイス用可とう性封止フィルム、特に有機EL素子や液晶表示素子等の表示素子に好ましく用いられる可とう性封止フィルム、およびそれらを用いた表示素子を提供することにある。
発明者らは、鋭意検討の結果、従来着目されていた封止フィルムのガスバリア性(酸素、水分等の遮断性)のみならず、封止フィルムの吸湿性、脱酸素性が、パッケージ内部のデバイスの寿命を大きく左右することを見出した。
そして、寸法変化が一定値以下であり、酸素透過率および透湿度が一定値以下である封止フィルムであって、酸素吸着能力および吸湿能力が一定値以上である封止フィルムを用いれば、精密なデバイスを、長時間安定に作動させることが可能な封止フィルムを提供でき上記目的を達成できることを見出し、本発明に至った。
さらに本発明者らは、ガスバリア性に富んだ樹脂フィルム(ベースフィルム)と、ガスバリア層からなる、積層フィルムに、さらに乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層を設けることによっても、精密なデバイスを、長時間安定に作動させることが可能な封止フィルムを提供でき、上記目的を達成できることを、見出した。
すなわち、本発明の第1の形態は、
(1) 120℃、24時間の高温試験における寸法変化が±0.15%以下であり、60℃、相対湿度90%、100時間の高温高湿試験における寸法変化が±0.15%以下であり、酸素透過率が0.45cm3/(m2・day・atm)以下であり、透湿度が0.35g/(m2・day)以下であり、酸素吸着能力が100cm3/m2以上であり、かつ、吸湿能力が0.2g/m2以上であることを特徴とする電子デバイス用の可とう性封止フィルムである。
また、本発明の第2の形態は、
(2) 少なくとも、(A)ガスバリア層、(B)ベースフィルム、および(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層から成る電子デバイス用の封止フィルムであって、
(B)ベースフィルムが、120℃、24時間の高温試験における寸法変化が±0.15%以下であり、60℃、相対湿度90%、100時間の高温高湿試験における寸法変化が±0.15%以下であり、酸素透過率が1000cm3/(m2・day・atm)以下であり、透湿度が200g/(m2・day)以下であり、
(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層が、酸素吸着能力が100cm3/m2以上であり、吸湿能力が0.2g/m2以上であることを特徴とする電子デバイス用の可とう性封止フィルムである。
ここで、(A)ガスバリア層とは、酸素透過率が5.0cm3/(m2・day・atm)以下の層をいう。
以下、(3)〜(9)は、それぞれ本発明の好ましい実施態様の1つである。
(3) 上記(B)ベースフィルムが、脂環式構造含有重合体からなることを特徴とする、(2)記載の電子デバイス用の可とう性封止フィルム。ここで、「からなる」とは、上記(B)ベースフィルムの全部が脂環式構造含有重合体で構成されている場合、および、上記(B)ベースフィルムの一部が脂環式構造含有重合体で構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
(4) 上記(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層が、延伸により通気性を有していることを特徴とする、(2)記載の電子デバイス用の可とう性封止フィルム。ここで「通気性を有」するとは、空気の透過率が10cm3/(m2・day・atm)を越えることを言う。
(5) さらに(1)の要件を具備することを特徴とする、(2)から(4)のいずれか1項に記載の、電子デバイス用の可とう性封止フィルム。
(6) 有機EL素子、または、液晶表示素子に用いられることを特徴とする、(1)から(5)のいずれか1項に記載の、可とう性封止フィルム。
(7) (1)から(5)のいずれか1項に記載の可とう性封止フィルムを用いたEL素子
(8) (1)から(5)のいずれか1項に記載の可とう性封止フィルムを用いた液晶表示素子
(9) (7)または(8)に記載のEL素子、または、液晶表示素子を用いたディスプレイ装置
本発明によれば、精密で、極めて低湿度・低酸素濃度の動作環境が要求されるデバイスに十分な寿命を与えることが可能な電子デバイス用可とう性封止フィルムを提供することができる。本発明の電子デバイス用可とう性封止フィルムは、特に有機EL素子や液晶表示素子等の表示素子において好適に使用できる。
第1の電子デバイス用可とう性封止フィルム
本発明の第1の形態は、120℃、24時間の高温試験における寸法変化が±0.15%以下であり、60℃、相対湿度90%、100時間の高温高湿試験における寸法変化が±0.15%以下であり、酸素透過率が0.45cm3/(m2・day・atm)以下であり、透湿度が0.35g/(m2・day)以下であり、酸素吸着能力が100cm3/m2以上であり、かつ、吸湿能力が0.2g/m2以上であることを特徴とする電子デバイス用の可とう性封止フィルムである(以下、「第1の電子デバイス用可とう性封止フィルム」という。)。
本発明の第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの120℃、24時間の高温試験における寸法変化は、±0.15%以下、好ましくは、±0.12%以下、さらに好ましくは、±0.10%以下である。120℃、24時間の高温試験における寸法変化が±0.15%以下であることにより、ベースフィルムと、ベースフィルムに隣接する部材(層)との間で起きる剥離が減少する、又は、第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムと電子デバイス(またはそのパッケージ)との間でおきる剥離が減少するという、効果がもたらされる。この結果、剥離部分より進入した酸素や水蒸気により電子デバイスが動作不安定となったり、寿命が短くなったりするといった現象が抑制される。
120℃、24時間の高温試験における寸法変化は、10cm角のサンプルを120℃にセットした熱風循環式の送風定温乾燥機内に24時間静置し、試験前後の4辺の長さの変化を求め、その平均を算出することによって、測定できる。このときの乾燥機内の相対湿度は、乾燥機の設置環境により若干変動するが、通常10%以下である。
本発明の第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの60℃、相対湿度90%における100時間の寸法変化は、±0.15%以下、好ましくは、±0.12%以下、さらに好ましくは、±0.10%以下である。60℃、相対湿度90%における100時間の寸法変化が±0.15%以下であることにより、ベースフィルムと、ベースフィルムに隣接する部材(層)との間で起きる剥離が減少する、又は、第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムと電子デバイス(または、そのパッケージ)との間でおきる剥離が減少するという、効果がもたらされる。この結果、剥離部分より進入した酸素や水蒸気により電子デバイスが動作不安定となったり、寿命が短くなったりするという現象が抑制される。
60℃、相対湿度90%における100時間の寸法変化は、10cm角のサンプルを60℃、相対湿度90%にセットした恒温恒湿環境試験機に100時間静置し、試験前後の4辺の長さの変化を求め、その平均を算出することによって、測定できる。
本発明の第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの酸素透過率は、0.45cm3/(m2・day・atm)以下、好ましくは、0.40cm3/(m2・day・atm)以下、さらに好ましくは、0.35cm3/(m2・day・atm)以下である。酸素透過率が0.45cm3/(m2・day・atm)以下であることにより、酸素が一因の劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの酸素透過率は、小さいほど好ましく特に下限は存在しないが、現在の測定法の測定限界から、0.001cm3/(m2・day・atm)未満のものを正確に測定することは困難である。
酸素透過率は、JIS K7126のA法(差圧法)により測定できる。一例をあげると、透過セルに直径70mmの円形サンプルをセットし、空気漏れが生じないように均一な圧力で固定した後、透過セルの低圧側、高圧側を順に真空引きする。続いて透過セルの高圧側に酸素を1気圧になるよう導入し、これにより低圧側に透過した酸素ガス量を求め、透過曲線の直線部分の傾きから、酸素透過率を算出することができる。
本発明の第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの透湿度は、0.35g/(m2・day)以下、好ましくは、0.30g/(m2・day)以下、さらに好ましくは、0.25g/(m2・day)以下である。透湿度が0.35g/(m2・day)以下であることにより、湿度(水蒸気)が一因の劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの透湿度は、小さいほど好ましく特に下限は存在しないが、現在の測定法の測定限界から0.001g/(m2・day)未満のものを正確に測定することは困難である。
透湿度は、塩化カルシウムを入れたアルミニウム製カップの上面に、直径120mmの円形サンプルを置き、空気漏れが生じないように固定し、温度40℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽内に入れ、一定時間後に取り出して室温と平衡させ、その質量の変動を求めることによって測定できる。
さらに、本発明の第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの酸素吸着能力は、100cm3/m2以上、好ましくは、120cm3/m2以上、さらに好ましくは、140cm3/m2以上である。酸素吸着能力が100cm3/m2以上であることにより、電子デバイスの劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの酸素吸着能力は、大きいほど好ましく特に上限は存在しないが、EL素子等の表示素子の想定使用期間を考慮すれば、通常は2000cm3/m2で十分である。
酸素吸着能力は、400cm3の空気と、製造後窒素中で保管していた10cm角のサンプル10枚を入れたテトラパック内の24時間後の酸素濃変化を酸素濃度計で求めることによって、測定できる。
さらに、本発明の第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの吸湿能力は、0.2g/m2以上、好ましくは、0.3g/m2以上、さらに好ましくは、0.5g/m2以上である。吸湿能力が0.2g/m2以上であることにより、電子デバイスの劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの吸湿能力は、大きいほど好ましく特に上限は存在しないが、通常1000g/m2以下である。
吸湿能力は、製造後窒素中で保管していた10cm角のサンプル10枚を、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に入れ、24時間後の重量変化を求めることによって、測定できる。
第2の電子デバイス用可とう性封止フィルム
本発明の第2の形態は、(2) 少なくとも、(A)ガスバリア層、(B)ベースフィルム、および(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層から成る電子デバイス用の封止フィルムであって、(B)のベースフィルムが、120℃における寸法変化が±0.15%以下であり、60℃×90%RHでの寸法変化が±0.15%以下であり、酸素透過率が1000cm3/(m2・day・atm)以下であり、透湿度が200g/(m2・day)であり、(C)の乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層が、酸素吸着能力が100cm3/m2以上であり、吸湿能力が0.2g/m2以上であることを特徴とする電子デバイス用の可とう性封止フィルムである(以下、「第2の電子デバイス用可とう性封止フィルム」という。)。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムは、上記(A)ガスバリア層、(B)ベースフィルム、および、(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層を、それぞれ少なくとも1層有していれば良い。第2の電子デバイス用の可とう性封止フィルムは、(A)ガスバリア層、(B)ベースフィルム、または、(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層を2層以上有していても良いが、構造の単純さ、および、コストの安さの観点からは、(A)ガスバリア層、(B)ベースフィルム、および、(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層を、それぞれ一層ずつ有することが好ましい。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムは、上述のように、A)ガスバリア層、(B)ベースフィルム、および、(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層を、それぞれ少なくとも一層有することを要するが、それ以外の層を有することを妨げるものではない。例えば、さらに接着層を有することは、実用上有益である。
各層を積層する順番には特に制限は無く、可とう性封止フィルムの使用目的、および、要求される特性に応じて、(A)/(B)/(C)、(B)/(C)/(A)、(A)/(B)/(C)/(A)等の順番から、適宜選択される。(C)層の有効利用の観点からは、(A)層の内側(電子デバイス側)に(C)層があるのが好ましく、例えば(A)/(B)/(C)/(電子デバイス)の順番に積層することが好ましい。また、EL素子等の酸素および湿度(水蒸気)の影響が大きい電子デバイスの用途に使用する可とう性封止フィルムの場合には、(A)層を複数有することが好ましく、例えば(A)/(B)/(C)/(A)の順番に積層することが好ましい。
各層を積層する方法には特に制限は無く、可とう性封止フィルムの使用目的、および、要求される特性に応じて、従来公知の積層方法から適宜選択すればよい。2以上の層を共押出しによって積層しても良いし、一旦、2以上のフィルムを形成してから、熱圧着や接着剤によって積層しても良い。また、1以上の層をスパッタリング法や溶液法で形成しても良い。
(A)ガスバリア層
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(A)ガスバリア層は、酸素透過率が0.50cm3/(m2・day・atm)以下の層であればよく、素材、厚み、構造等に、特に制限は無い。
従って、(A)ガスバリア層には、従来公知の無機または有機のガスバリア材料を使用することができる。
無機のガスバリア材料としては、例えば、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ge、Ta、Zr、V等の1種以上の金属を用いた金属酸化物、金属窒化物、金属窒化酸化物、金属単体等を好適に用いることができる。より具体的には、アルミニウム酸化物、珪素酸化物、マグネシウム酸化物、ITOなどの金属酸化物や、銀、金などの金属が好適に用いられる。
これらの材料からなる(A)ガスバリア層は厚すぎると曲げ応力によるクラックの恐れがあり、薄すぎると膜が島状に分布するため、いずれもガスバリア性が悪くなる。上記のことより、無機材料からなる(A)バリア膜の厚みは5nm〜500nmの範囲が好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
無機材料からなる(A)ガスバリア層の成膜方法としては、スパッタリング用、CVD法、MBE法、蒸着法等の方法が、好適に用いられる。簡便さの点からは、CVD法が好ましく、(A)バスバリア層の組成、物性等の精密な制御の観点からは、常圧CVD法、プラズマCVD法等が好ましい。しかし、これらの方法に限定されるものではない。
また、本発明の(A)ガスバリア層としては、異なる種類の無機酸化物、無機窒化物もしくは無機酸化窒化物を主成分とする膜が多数積層する構造やバリア膜/紫外線硬化樹脂層/バリア膜を交互に積層する層構成でも良い。コストや簡便さの観点からは、単層の(A)ガスバリア層が好ましく、バリアの信頼性の観点からは、前記に示す多層構造の(A)ガスバリア層が好ましい。
有機材料からなる(A)ガスバリア層としては、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリビニルアルコールなどからなるフィルムやこれらとナイロン、ポリプロピレン、ポリエステルなどとの共押し出しフィルムを用いることができる。また、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなどの2軸延伸フィルムにポリ塩化ビニリデンがコーティングされたものを用いることができる。ポリ塩化ビニリデンは、溶媒中に分散して、直接ベースフィルム(B)上に塗布することもできる。
(B)ベースフィルム層
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(B)ベースフィルムは、120℃、24時間の高温試験における寸法変化が±0.15%以下であり、60℃、相対湿度90%での寸法変化が±0.15%以下であり、酸素透過率が1000cm3/(m2・day・atm)以下であり、透湿度が200g/(m2・day)以下であればよく、その素材、構造、厚み等に特に制限は無い。上記特性を満たす限り、従来公知のフィルム用材料を、(B)ベースフィルムに使用することができる。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(B)ベースフィルムの120℃、24時間の高温試験における寸法変化は、±0.15%以下、好ましくは、±0.12%以下、さらに好ましくは、±0.10%以下である。120℃における24時間の寸法変化が±0.15%以下であることにより、ベースフィルムと、ベースフィルムに隣接する部材(層)との間で起きる剥離が減少する、又は、第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムと電子デバイス(またはそのパッケージ)との間でおきる剥離が減少するという、効果がもたらされる。従って、剥離部分より進入した酸素や水蒸気により電子デバイスの動作が不安定となったり、寿命が短くなったりするという現象を抑制することができる。(B)ベースフィルムの120℃、24時間における寸法変化は、本発明の第1の電子デバイス用可とう性フィルムの説明で述べたのと同様の方法により測定することができる。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(B)ベースフィルムの60℃、相対湿度90%における100時間の寸法変化は、±0.15%以下、好ましくは、±0.12%以下、さらに好ましくは、±0.10%以下である。60℃、相対湿度90%における100時間の寸法変化が±0.15%以下であることにより、ベースフィルムと、ベースフィルムに隣接する部材(層)との間で起きる剥離が減少する、又は、第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムと電子デバイス(またはそのパッケージ)との間でおきる剥離が減少するという、効果がもたらされる。従って、剥離部分より進入した酸素や水蒸気により電子デバイスの動作が不安定となったり、寿命が短くなったりするという現象を抑制することができる。(B)ベースフィルムの120℃における24時間の寸法変化は、本発明の第1の電子デバイス用可とう性フィルムの説明で述べたのと同様の方法により、測定することができる。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(B)ベースフィルムの酸素透過率は、1000cm3/(m2・day・atm)以下、好ましくは、800cm3/(m2・day・atm)以下、さらに好ましくは、500cm3/(m2・day・atm)以下である。酸素透過率が1000cm3/(m2・day・atm)以下であることにより、酸素が一因の劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。(B)ベースフィルムの酸素透過率は、小さいほど好ましく特に下限は存在しないが、現在の測定法の測定限界から、0.001cm3/(m2・day・atm)未満のものを正確に測定することは困難である。(B)ベースフィルムの酸素透過率は、本発明の第1の電子デバイス用可とう性フィルムの説明で述べたのと同様の方法により、測定することができる。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(B)ベースフィルムの透湿度は、200g/(m2・day)以下、好ましくは、180g/(m2・day)以下、さらに好ましくは、150g/(m2・day)以下である。透湿度が200g/(m2・day)以下であることにより、湿度(水蒸気)が一因の劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。(B)ベースフィルムの透湿度は、小さいほど好ましく特に下限は存在しないが、現在の測定限界から、0.001g/(m2・day)未満のものを正確に測定することは困難である。(B)ベースフィルムの透湿度は、本発明の第1の電子デバイス用可とう性フィルムの説明で述べたのと同様の方法により、測定することができる。
脂環式構造含有重合体
本発明の電子デバイス用封止フィルムを構成する(B)ベースフィルムは、脂環式構造含有重合体からなることが好ましい。ここで、「からなる」とは、当該(B)ベースフィルムの全部が当該脂環式構造含有重合体で構成されている場合、および、当該(B)ベースフィルムの一部が当該脂環式構造含有重合体で構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
脂環式構造含有重合体は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有するものであり、主鎖及び側鎖のいずれに脂環式構造を有していてもよい。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別制限されないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であると、耐熱性及び柔軟性に優れた封止層が得られる。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常20重量%以上、好ましくは40重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別限定されず、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造を含有する重合体樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、寸法安定性、酸素透過率、透湿度、耐熱性、機械強度等の観点から、ノルボルネン系重合体水素添加物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物などが好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
本発明に使用されるノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン、トリシクロ〔4.3.12,5.01,6〕−デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ〔4.3.12,5.01,6〕−デカ−3−エン、トリシクロ〔4.4.12,5.01,6〕−ウンデカ−3,7−ジエン、トリシクロ〔4.4.12,5.01,6〕−ウンデカ−3.8−ジエン、トリシクロ〔4.4.12,5.01,6〕−ウンデカ−3−エン、テトラシクロ〔7.4.110,13.01,9.02,7〕−トリデカ−2,4,6−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう:慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ〔8,4,111,14,01,10,03,8〕−テトラデカ−3,5,7,12−11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセンともいう)、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、8−フェニル−テトラシクロ〔4.4.12,5.17,10.0〕−ドデカ−3−エン、ペンタシクロ〔6.5.11,8.13,6.02,7.09,13〕−ペンタデカ−3.10−ジエン、ペンタシクロ〔7.4.13,6.110,13.01,9.02,7〕−ペンタデカ−4.11−ジエンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いられる。
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分を、開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。重合反応は溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で行われる。ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができるが、これらに制限されない。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素添加することにより得ることができる。水素化触媒としては、特に限定されないが、通常、不均一系触媒や均一系触媒が用いられる。
ノルボルネン系モノマー、またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加(共)重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で(共)重合させて得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1、4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられるが、これらに限定されない。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で使用されるノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体又は環状共役ジエン系重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜1000,000、好ましくは8,000〜800,000、より好ましくは10,000〜500,000の範囲であるときに、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適な場合が多い。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素添加物;などを用いることができる。この場合、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素添加物であってもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
本発明で使用されるビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常10,000〜800,000、好ましくは15,000〜500,000、より好ましくは20,000〜300,000の範囲であるときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされて好適な場合が多い。
本発明で使用される脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常80℃以上、好ましくは100℃〜250℃、より好ましくは120℃〜200℃の範囲である。この範囲において、耐熱性と成形加工性とが高度にバランスされ好適な場合が多い。
(B)ベースフィルムには、必要に応じて各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、帯電防止剤などが挙げられるが、本発明の目的を損なわない限り特に制限はない。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、酸化劣化等による着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられ、これらの中でも、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミディルメチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールなどが、耐熱性、低揮発性などの観点から好ましい。
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。
本発明においては、(B)ベースフィルムの変形及び反りを防ぐため、充填材を配合することによって他の層や、電子デバイス(または、そのパッケージ)との線膨張係数を合わせることもできる。充填材としては、ガラスフィラー、カーボンフィラー、金属フィラー、セラミックフィラーなどの無機充填材;シリコーンフィラー、エポキシ樹脂フィラー、ポリアミド繊維などの有機フィラー;などの、プラスチック充填材として一般的に用いられているものを使用できるが、他のフィラーの使用を排除するものではない。
(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層は、酸素吸着能力が100cm3/m2以上であり、かつ、吸湿能力が0.2g/m2以上であれば良く、その素材、構造、厚み等に、特に制限は無い。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層の酸素吸着能力は、100cm3/m2以上、好ましくは、120cm3/m2以上、さらに好ましくは、140cm3/m2以上である。酸素吸着能力が100cm3/m2以上であることにより、電子デバイスの劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層の酸素吸着能力は、大きいほど好ましく特に上限は存在しないが、EL素子等の表示素子の想定使用期間を考慮すれば、通常は2000cm3/m2で十分である。(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層の酸素吸着能力は、本発明の第1の電子デバイス用可とう性フィルムの説明で述べたのと同様の方法により、測定することができる。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムを構成する(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層の吸湿能力は、0.2g/m2以上、好ましくは、0.3g/m2以上、さらに好ましくは、0.5g/m2以上である。吸湿能力が0.2g/m2以上であることにより電子デバイスの劣化(例えばELにおける非発光部の発生)を抑制できるという、効果がもたらされる。(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層の吸湿能力は、大きいほど好ましく特に上限は存在しないが、EL素子等の表示素子の想定使用期間を考慮すれば、通常1000g/m2で十分である。(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層の吸湿能力は、本発明の第1の電子デバイス用可とう性フィルムの説明で述べたのと同様の方法により、測定することができる。
(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層は、延伸加工により、通気性を有していることが好ましい。これにより、酸素吸着能力および吸湿能力が向上するためである。ここで「通気性を有」するとは、空気の透過率が10cm3/(m2・day・atm)を越えることを言う。尚、空気の透過率は以下に記載の酸素透過率測定法において、酸素を空気に替えることで測定することができる。
(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層の好適な例としては、従来提案されている各種の脱酸素剤含有樹脂層に、さらに乾燥剤を添加したものを用いればよい。
各種の脱酸素剤含有樹脂層としては、例えば、鉄粉、第一鉄塩、アスコルビン酸またはその塩、カテコ−ル等を主成分とする脱酸素剤組成物を熱可塑性樹脂に分散したもの、さらにはこれを延伸処理したもの(特開平2−72851号公報)、上記脱酸素剤組成物を含む熱可塑性樹脂を発泡処理したもの(特開昭56−26524号公報)、特開平2−86758に開示されるパルプ等の繊維状物質中に上記脱酸素剤組成物を分散したもの(特開平2−86758号公報)、上記脱酸素剤組成物と樹脂粉末との混合物を加圧及び/または加熱して一体化したもの、ポリオレフィン、ポリアミド等の樹脂中にコバルト、鉄等の遷移金属触媒を分散したもの等、フィルム状またはシ−ト状に一体化したものが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
中でもポリエチレン等の熱可塑性ポリオレフィン系樹脂に鉄粉系脱酸素剤を混練、溶融してシ−ト化し、延伸処理して酸素吸収能の向上を図ったもの(特開平2−72851号公報)は、高酸素吸収能のものが得られ、かつ、加工性がよく、脱酸素剤含有樹脂層として、好適に使用される。
鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、電解鉄粉、噴霧鉄粉等が用いられ、その粒度は細かいものが好ましく、通常、粒径は100μm以下、好ましくは50μm以下である。ハロゲン化金属としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が用いられる。
脱酸素剤に追加して添加すべき乾燥剤としては、所望の吸湿効果を発揮するものであれば特に限定されるものではなく、従来公知の乾燥剤を好適に使用することができる。例えば、二酸化珪素(SiO2)水素化カルシウム(CaH2)、水素化ストロンチウム(SrH2)、水素化バリウム(BaH2)、水素化アルミニウムリチウム(AlLiH4)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂が用いられるが、他の熱可塑性樹脂の使用を排除するものではない。例えば、上記の熱可塑性樹脂15〜70重量%に対し鉄粉系脱酸素剤を30〜85重量%の割合で混練、溶融してシ−ト化し、延伸することで、脱酸素剤含有樹脂層を作製することができる。延伸倍率は1.5〜10倍が好ましい。
本発明の第2の電子デバイス用可とう性封止フィルムは、フィルム全体として、さらに本発明の第1の電子デバイス用可とう性封止フィルムの要件を具備していることが好ましい。
本発明の電子デバイス用可とう性封止フィルムは、デバイス周辺の雰囲気を、極めて低湿度・低酸素濃度に保つことができる。したがって、精密で、極めて低湿度・低酸素濃度の動作環境が要求されるデバイスに長大な寿命を与えることが可能である。本発明の封止フィルム は、EL素子、液晶素子、太陽電池素子(結晶、多結晶、アモルファス等)、タッチパネル、各種電極(ITO、銅電極、錫電極、半田電極等)、ICドライバ等の封止、保護に好適に用いられるが、適用される電子デバイス 用はこれに限られるものではない。有機EL素子および液晶表示素子等の表示素子は、非常に精密であり、特に低湿度、低酸素濃度の動作環境を必要とするため、本発明の封止フィルムが好ましく用いられる。
本発明の電子デバイス用可とう性封止フィルムを用いて作製された有機EL素子および液晶表示素子は、ならびにこれらを用いたディスプレイ装置は、極めて長時間、安定に作動するため、実用的に大きな価値を有する。
[実施例]
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。本発明はいかなる意味においても、これらの実施例に限定されるものではない。
(各層の作製および特性評価)
(120℃、24時間の高温試験における寸法変化)
120℃、24時間の高温試験における寸法変化は、10cm角のサンプルを120℃にセットした熱風循環式の送風定温乾燥機(ヤマト科学(株)製、定温乾燥機 型式DS600)内に24時間静置し、試験前後の4辺の長さの変化率を求めることによって、測定した。4辺の長さの変化は、4辺の変化率の平均とした。
(60℃、相対湿度90%における、100時間の寸法変化)
60℃、相対湿度90%における100時間の寸法変化は、10cm角のサンプルを60℃、相対湿度90%にセットした恒温恒湿環境試験機に100時間静置し、試験前後の4辺の長さの変化率を求めることによって測定した。4辺の長さの変化は、4辺の変化率の平均とした。
(酸素透過率)
酸素透過率は、JIS K7126のA法(差圧法)に準じて測定した。透過セルに直径70mmの円形サンプルをセットし、空気漏れが生じないように均一な圧力で固定した。その後、透過セルの低圧側、高圧側を順に真空引きし。続いて透過セルの高圧側に純度99.9%以上の酸素を1気圧になるよう導入した。高圧側に酸素を1気圧導入後に低圧側に透過した酸素ガス量を、一定時間毎に低圧側の真空度を測定することで求め、透過曲線の直線部分の傾きを求めた。この傾きより酸素透過率を算出した。
(通気性)
上記の酸素透過率測定法において酸素に代えて空気を使用した他は、上記の酸素透過率測定法と同様にして測定した。
(透湿度)
透湿度は、約200gの塩化カルシウムを入れたアルミニウム製カップの上面に、直径120mmの円形サンプルを置き、空気漏れが生じないように固定した。この際のサンプルの有効面積は、アルミ製カップが直径100mmより、78.5cm2である。上記アルミニウム製カップを、温度40℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽内に入れ、20日後に取り出して室温と平衡させ、その質量の変動を求めた。なお、透湿度が1g/(m2・day)以下のサンプルについては、有効面積が200cm2のカップを用いるとともに、試験時間を100日とした。
(酸素吸着能力)
酸素吸着能力は、400cm3の空気(23℃、相対湿度50%)と、製造後窒素中で保管していた10cm角のサンプル10枚を入れたテトラパック内の24時間後の酸素濃変化を酸素濃度計で求めることにより、測定した。
(吸湿能力)
吸湿能力は、製造後窒素中で保管していた10cm角のサンプル10枚を、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に入れ、24時間後の重量変化を求めることによって、測定した。
(ベースフィルム(B-1))
ノルボルネン系モノマーの開環重合体として、6−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン(以下、MTDと略記)の開環重合体をニッケル触媒で水素添加した樹脂(ガラス転移温度:140℃)を用いて、一軸押出機(40mmφ)でシリンダー温度290℃の条件により厚み50μmのベースフィルムを作製した。
作製したフィルムについて、上記の方法で、寸法変化、酸素透過率、および透湿度を測定した。結果を表1に示す。
(ベースフィルム(B−2))
ノルボルネン系モノマーの開環重合体として、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4,4,0,12,5 ,17,10]ドデカ−3−エンの開環重合体をパラジウム/シリカマグネシア触媒で水素添加した樹脂(ガラス転移温度:168℃)を用いて、一軸押出機(40mmφ)でシリンダー温度320℃の条件により厚み50μmのベースシートを作製した。
作製したフィルムについて、上記の方法で、寸法変化、酸素透過率、および透湿度を測定した。結果を表1に示す。
(ベースフィルム(B−3))
ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体として、テトラシクロ[4,4,0,12,5,17,10]−3−ドデセンとエチレン(以下「TCD-3」と略記する)とのランダム共重合体(ガラス転移温度:105℃)を用いて一軸押出機(40mmφ)でシリンダー温度250℃の条件により厚み50μmのベースシートを作製した。
作製したフィルムについて、上記の方法で、寸法変化、酸素透過率、および透湿度を測定した。結果を表1に示す。
(ベースフィルム(B−4))
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポン社製、商品名「テトロン」、厚み50μm)を使用した。このフィルムについて上記の方法で、寸法変化、酸素透過率、および透湿度を測定した。結果を表1に示す。
(ベースフィルム(B−5))
市販のポリカーボネートフィルムを使用した(帝人化成社製、商品名「ピュアエース」、厚み50μm)。このフィルムについて上記の方法で、寸法変化、酸素透過率、および透湿度を測定した。結果を表1に示す。
(乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層(C−1))
線型低密度ポリエチレン樹脂100重量部に、乾燥剤として平均粒子径が0.5μmの酸化カルシウムを20重量部、脱酸素剤として鉄粉(平均粒子径3μm)に塩化ナトリウムを被覆してなる鉄系脱酸素剤を20重量部混合した。これらをヘンシェルミキサーにて混合した後、二軸押出機を用いて230℃において均一に混練しペレット状に加工した。このペレットをTダイが装着された押出成形機を用いて、230℃において溶融押出して未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを70℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールとの間で2.0倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸した後、95℃にて熱固定を行い、厚み25μmで多孔性の乾燥剤・脱酸素剤含有通気フィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の方法で、酸素吸着能力、吸湿能力および通気性を測定した。結果を表2に示す。
(乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層(C−2))
線型低密度ポリエチレン樹脂100重量部に、乾燥剤として平均粒子径が3.0μmの活性アルミナを40重量部、脱酸素剤として鉄粉(平均粒子径3μm)に塩化ナトリウムを被覆してなる鉄系脱酸素剤を20重量部混合した。これらをヘンシェルミキサーにて混合した後、二軸押出機を用いて230℃において均一に混練しペレット状に加工した。このペレットをTダイが装着された押出成形機を用いて、230℃において溶融押出して未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを70℃に加熱した予熱ロールと延伸ロールとの間で2.0倍の延伸倍率で機械方向に一軸延伸した後、95℃にて熱固定を行い、厚み25μmで多孔性の乾燥剤・脱酸素剤含有通気フィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の方法で、酸素吸着能力、吸湿能力および通気性を測定した。結果を表2に示す。
(ガスバリア層(A−1)))
ベースフィルムの片面に、高周波プラズマスパッタリング法を用いて、酸化珪素からなるガスバリア層を形成した。この際、スパッタリングターゲットには酸化珪素を、また、スパッタリングガスにはアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa、酸素分圧16mPa)を用いた。得られた酸化珪素からなるガスバリア層の膜厚は60nmであった。
ガスバリア層の酸素透過率、および透湿度を、上記の方法で測定した。結果を表3に示す。
(ガスバリア層(A−2))
ベースフィルムの片面に、ポリ塩化ビニリデン分散液をバーコート法でコートしたのち、120℃で5分間乾燥させ、厚さ5μmのポリ塩化ビニリデンからなるガスバリア層を形成した。
ガスバリア層の酸素透過率、および透湿度を、上記の方法で測定した。結果を表3に示す。
(実施例1)
(封止フィルムの作製および評価)
片面にガスバリア層(A−1)を設けたベースフィルム(B−1)の他方の面に、乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層(C−1)をアクリル系接着剤により積層し、電子デバイス用可とう性封止フィルムを作製した。この封止フィルムの寸法変化、酸素透過率、透湿度、酸素吸着能力、および、吸湿能力を、上記の方法で測定した。結果を表5に示す。
(EL素子での耐久性評価)
透明電極付のガラス基板を用いて、以下の手法により分散型EL素子を作製し、耐久性の評価を行った。なお、作製したEL素子の発光面積は100mm×50mmとした。
材料として、発光層には、発光体粉末(オスラム・シルバニア社製硫化亜鉛粉末)を、メチルエチルケトン100cc当たり、20gのフッ素エラストマー(ダイキン工業(株)製、商品名:ダイエル)を溶解させたバインダー樹脂1gに対して、2gを分散させた混合物を用いた。誘電層には、メチルエチルケトン100cc当たり、20gのフッ素エラストマー(ダイキン工業(株)製、商品名:ダイエル)を溶解させたバインダー樹脂を用いた。裏面電極には、純度99.9%のアルミニウムを用いた。
ガラス基板の透明電極側(ITO膜側)に発光層材料をバーコータを用いて塗布し、これを120℃、大気中で2時間加熱して乾燥させた。続いて誘電層を同じくバーコータを用いて塗布し、120℃、大気中で2時間加熱して乾燥させた。その際ITO膜電極取り出し部分は残しておいた。厚さはそれぞれ30μm、40μmとなるようにバーコータを調節した。次に裏面電極材料を電子ビーム加熱式真空蒸着法により形成した。厚さは0.3μmとした。最後に上記(封止フィルムの作製)で得られたの可撓性封止フィルムをEL素子の周囲に形成された接着剤層を用いて、EL素子全体を覆う形で裏面電極上に形成し封止した。
この分散型EL素子の透明電極と裏面電極との間に交流200Vrms(正弦波800Hz)を印加して発光させ、耐久性の評価のため分散型EL素子を発光させたまま、温度60℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽内に入れ放置した。これを250時間、500時間経過した後に発光の様子を観察し、非発光部の発生や発光ムラといった発光異常の有無を確認した。結果を、表5に示す。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
電子デバイス用、可とう性封止フィルムの構成を表4に示すものに変更した他は、実施例1と同様にして、封止フィルムの作製および評価、ならびに、EL素子での耐久性評価を行った。結果を、表5に示す。
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Claims (9)

  1. 120℃、24時間の高温試験における寸法変化が±0.15%以下であり、60℃、相対湿度90%、100時間の高温高湿試験における寸法変化が±0.15%以下であり、酸素透過率が0.45cm3/(m2・day・atm)以下であり、透湿度が0.35g/(m2・day)以下であり、酸素吸着能力が100cm3/m2以上であり、かつ、吸湿能力が0.2g/m2以上であることを特徴とする電子デバイス用の可とう性封止フィルム
  2. 少なくとも、(A)ガスバリア層、(B)ベースフィルム、および(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層から成る電子デバイス用の封止フィルムであって、
    (B)のベースフィルムが、120℃、24時間の高温試験における寸法変化が±0.15%以下であり、60℃、相対湿度90%、100時間の高温高湿試験における寸法変化が±0.15%以下であり、酸素透過率が1000cm3/(m2・day・atm)以下であり、透湿度が200g/(m2・day)以下であり、
    (C)の乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層が、酸素吸着能力が100cm3/m2以上であり、吸湿能力が0.2g/m2以上であることを特徴とする電子デバイス用の可とう性封止フィルム。
  3. 上記(B)ベースフィルムが、脂環式構造含有重合体からなることを特徴とする、請求項2記載の電子デバイス用の可とう性封止フィルム。
  4. 上記(C)乾燥剤・脱酸素剤含有樹脂層が、延伸により通気性を有していることを特徴とする、請求項2記載の電子デバイス用の可とう性封止フィルム。
  5. さらに請求項1の要件を具備することを特徴とする、請求項2から4のいずれか1項に記載の、電子デバイス用の可とう性封止フィルム。
  6. 有機EL素子、または、液晶表示素子に用いられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の、可とう性封止フィルム。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の可とう性封止フィルムを用いたEL素子
  8. 請求項1から5のいずれか1項に記載の可とう性封止フィルムを用いた液晶表示素子
  9. 請求項7または8に記載のEL素子、または、液晶表示素子を用いたディスプレイ装置

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