JP6668674B2 - 炭化珪素基板 - Google Patents

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Description

本発明は炭化珪素基板に関するものである。
炭化珪素基板は、バルク状の単結晶炭化珪素をスライスして製造することができる。単結晶炭化珪素は、たとえば坩堝内において原料粉末を昇華させて種結晶上に再結晶させる方法(昇華法)により製造することができる。具体的には、坩堝内に原料粉末および種結晶を配置し、誘導加熱によって坩堝を加熱することにより、原料粉末を昇華させて種結晶上に再結晶させる方法が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
特開平9−48688号公報 特開2013−35705号公報
炭化珪素基板においては、反りが発生する場合がある。炭化珪素基板の反りは、炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造プロセスにおいて、種々の問題の原因となる。そこで、反りの低減を可能とする炭化珪素基板を提供することを目的の1つとする。
本発明に従った半導体基板は、カーボン面側主面と、シリコン面側主面とを含み、4Hの結晶構造を有する炭化珪素基板である。カーボン面側主面およびシリコン面側主面の、{0001}面に対するオフ角は4°以下である。直径は100mm以上である。厚みは300μm以上である。そして、カーボン面側主面における窒素濃度がシリコン面側主面における窒素濃度よりも高く、カーボン面側主面とシリコン面側主面とにおけるラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下である。
上記炭化珪素基板によれば、反りの低減を可能とする炭化珪素基板を提供することができる。
炭化珪素基板の構造の一例を示す概略断面図である。 炭化珪素基板の構造の一例を示す概略平面図である。 炭化珪素基板の概略的な製造方法を示すフローチャートである。 炭化珪素基板の製造方法を説明するための概略断面図である。 炭化珪素基板の製造方法を説明するための概略断面図である。
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。本願の半導体基板は、カーボン面側主面と、シリコン面側主面とを含み、4Hの結晶構造を有する炭化珪素基板である。カーボン面側主面およびシリコン面側主面の、{0001}面に対するオフ角は4°以下である。直径は100mm以上である。厚みは300μm以上である。そして、カーボン面側主面における窒素濃度がシリコン面側主面における窒素濃度よりも高く、カーボン面側主面とシリコン面側主面とにおけるラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下である。
炭化珪素基板においては、反りが発生する場合がある。炭化珪素基板の反りは、炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造プロセスにおいて、種々の問題の原因となる。具体的には、たとえばフォトリソグラフィープロセスにおいて基板が吸着により固定される場合、反りは吸着不良の原因となり得る。本発明者らはその原因および対応策について検討し、以下のような知見を得た。
炭化珪素基板は、たとえば昇華法により得られた単結晶炭化珪素をスライスして製造することができる。昇華法では、成長方向に沿った温度勾配が存在する状態で単結晶炭化珪素が成長する。具体的には、昇華法で成長する単結晶炭化珪素においては、先に成長した領域に比べて後で成長した領域の成長温度は高くなる。そのため、後で成長した領域の格子定数は、先に成長した領域の格子定数に比べて大きくなる。また、昇華法による4H構造の炭化珪素の成長では、カーボン面が成長面として採用される場合が多い。
このようにして得られた単結晶炭化珪素を成長方向に交差する面でスライスして炭化珪素基板を製造した場合、シリコン面側主面に近い領域に比べてカーボン面側主面に近い領域の格子定数が大きくなる。特に、単結晶炭化珪素が成長方向に垂直に近い面でスライスされた場合、たとえばカーボン面側主面およびシリコン面側主面の{0001}面に対するオフ角が4°以下になるようにスライスされた場合、カーボン面側主面に近い領域とシリコン面側主面に近い領域との格子定数の差が大きくなる。そして、格子定数の差に起因して、基板内部からシリコン面側主面に向けて延在するextra−half−planeが存在する状態となる。その結果、シリコン面側主面において引張応力が、カーボン面側主面において圧縮応力が発生する。この引張応力および圧縮応力により、炭化珪素基板に反りが発生する。特に、炭化珪素基板の直径が大きい場合、たとえば直径が100mm以上である場合、反りの発生が問題となる。これに対し、本発明者らの検討によれば、カーボン面側主面における窒素濃度がシリコン面側主面における窒素濃度よりも高い状態とすることにより、上記引張応力および圧縮応力が緩和され、反りが抑制される。
本願の炭化珪素基板においては、カーボン面側主面における窒素濃度がシリコン面側主面における窒素濃度よりも高く、カーボン面側主面とシリコン面側主面とにおけるラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下とされている。ここで、引張応力が存在する場合にはラマンピークはプラス側にシフトし、圧縮応力が存在する場合にはラマンピークはマイナス側にシフトする。すなわち、本願の炭化珪素基板においては、ラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下となる程度にまで上記引張応力および圧縮応力が低減されるように、カーボン面側主面における窒素濃度がシリコン面側主面における窒素濃度よりも高く設定される。これにより、本願の炭化珪素基板によれば、反りの低減を可能とする炭化珪素基板を提供することができる。
上記炭化珪素基板において、カーボン面側主面における窒素濃度は、シリコン面側主面における窒素濃度よりも1×1016cm−3以上高く設定されてもよい。このようにすることにより、反りの発生がより確実に抑制される。
上記炭化珪素基板において、カーボン面側主面における窒素濃度と、シリコン面側主面における窒素濃度との差は1×1017cm−3以下であってもよい。これにより、カーボン面側主面とシリコン面側主面とにおける窒素濃度の差を適切に設定することができる。
上記炭化珪素基板において、厚み方向において、窒素濃度が上記カーボン面側主面に近づくにしたがって上昇していてもよい。このようにすることにより、有効に反りの低減を達成することができる。
上記炭化珪素基板において、直径は150mm以上であってもよい。反りの発生しやすい大口径の炭化珪素基板として、本願の炭化珪素基板は好適である。
なお、六方晶炭化珪素の{0001}面(c面)のうち、最表面に珪素原子が並ぶ面はシリコン面、炭素原子が並ぶ面はカーボン面と定義される。本願において、カーボン面側主面とは、カーボン面を主体とする結晶面から構成される主面である。シリコン面側主面とは、シリコン面を主体とする結晶面から構成される主面である。また、本願においてラマンピークシフトとは、FTO(2/4)E2(波数776cm−1)のラマンピークのピークシフトを意味する。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明にかかる炭化珪素基板の一実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態における炭化珪素基板9は、カーボン面側主面91と、シリコン面側主面92とを含む。炭化珪素基板9は、4Hの結晶構造を有する単結晶炭化珪素から構成される。炭化珪素基板9を構成する炭化珪素の{0001}結晶面に対するカーボン面側主面91およびシリコン面側主面92のオフ角は4°以下である。すなわち、カーボン面側主面91およびシリコン面側主面92と{0001}面とのなす角は4°以下である。
図1および図2を参照して、炭化珪素基板9は円盤状の形状を有する。炭化珪素基板9の直径は100mm以上である。炭化珪素基板9の直径は、150mm以上であってもよい。炭化珪素基板9がより大きな直径を有することにより、炭化珪素基板9を用いた半導体装置(ダイオード、電界効果トランジスタなど)の製造を効率よく実施することができる。炭化珪素基板9の厚み(カーボン面側主面91とシリコン面側主面92との距離)は、300μm以上である。炭化珪素基板9の厚みは、600μm以下であってもよい。
そして、カーボン面側主面91における窒素濃度がシリコン面側主面92における窒素濃度よりも高く、カーボン面側主面91とシリコン面側主面92とにおけるラマンピークシフトの差は0.2cm−1以下となっている。カーボン面側主面91における窒素濃度がシリコン面側主面92における窒素濃度よりも高いことにより、カーボン面側主面91とシリコン面側主面92とにおけるラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下となっている。
本実施の形態の炭化珪素基板9においては、カーボン面側主面91とシリコン面側主面92とにおけるラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下となる程度にまでカーボン面側主面91における圧縮応力およびシリコン面側主面92における引張応力が低減されるように、カーボン面側主面91における窒素濃度がシリコン面側主面92における窒素濃度よりも高く設定されている。その結果、本実施の形態の炭化珪素基板9は、反りが低減された炭化珪素基板となっている。
ここで、カーボン面側主面91およびシリコン面側主面92におけるラマンピークシフトは、たとえば以下のように調査することができる。図2を参照して、カーボン面側主面91(またはシリコン面側主面92)の中心で直交する直線を想定する(図2の破線参照)。さらに、当該直線とカーボン面側主面91(またはシリコン面側主面92)の外周との交点を想定する。そして、当該直線上であって、外周との交点から10mmだけ中心に近い点に対応する4つの測定領域99C、中心に対応する測定領域99A、および当該直線上において測定領域99Aと測定領域99Cとの中点に対応する4つの測定領域99Bの合計9か所の測定領域においてラマンピークシフトを測定し、その平均値をもってカーボン面側主面91(またはシリコン面側主面92)とする。
炭化珪素基板9において、カーボン面側主面91における窒素濃度は、シリコン面側主面92における窒素濃度よりも1×1016cm−3以上高く設定されていることが好ましい。このようにすることにより、反りの発生がより確実に抑制される。カーボン面側主面91における窒素濃度と、シリコン面側主面92における窒素濃度との差は1×1017cm−3以下であってもよい。
また、炭化珪素基板9の厚み方向において、窒素濃度がシリコン面92からカーボン面側主面91に近づくにしたがって上昇していることが好ましい。これにより、有効に反りの低減を達成することができる。窒素濃度は、炭化珪素基板9の厚み方向において、シリコン面92からカーボン面側主面91に近づくにしたがって段階的に上昇していてもよい。また、窒素濃度は、炭化珪素基板9の厚み方向において、シリコン面92からカーボン面側主面91に近づくにしたがって連続的に上昇していてもよい。
次に、本実施の形態における炭化珪素基板9の製造方法の一例について、図3〜図5を参照して説明する。本実施の形態の炭化珪素基板9の製造方法では、図4に示す単結晶の製造装置100を用いて炭化珪素の単結晶が作製される。図4を参照して、単結晶の製造装置100は、坩堝1と、断熱部材21,22,23と、放射温度計71,72と、誘導加熱コイル74とを備えている。
坩堝1は、誘導加熱により加熱可能な材料、たとえばグラファイトからなっている。坩堝1は、筒状の形状を有する周壁部11と、周壁部11に接続され、周壁部11の一方の開口を閉塞する底壁部12と、周壁部11に接続され、周壁部11の他方の開口を閉塞し、種結晶51を保持するための保持部14を有する蓋部13とを含む。本実施の形態において、周壁部11は、中空円筒状の形状を有している。底壁部12は、円盤状の形状を有している。周壁部11と底壁部12とは、一体に形成されている。
蓋部13は、周壁部11に対して着脱自在となっている。蓋部13の外周に形成された蓋部結合面13Aと周壁部11の内周に形成された周壁部結合面11Aとが接触することにより、蓋部13は周壁部11に対して固定される。蓋部結合面13Aおよび周壁部結合面11Aには、たとえばらせん状のねじ溝が形成されていてもよい。蓋部13の一方の主面には、当該主面の中央部から突出する保持部14が形成されている。蓋部13を周壁部11に取り付けた状態において、保持部14は、中央軸αを含むように位置する。中央軸αは、周壁部11の中心軸に対応する。保持部14の先端には、種結晶を保持する保持面14Aが形成されている。
断熱部材21,22,23は、たとえば成形断熱材からなっている。断熱部材21,22,23は、たとえばフェルト状の構造を有し、炭素を主成分とする繊維から構成される。断熱部材22は、円盤状の形状を有している。断熱部材22の第1の主面22Bに底壁部12の外面12Bが接触するように、坩堝1が断熱部材22上に配置される。断熱部材21は、中空円筒状の形状を有している。断熱部材21は、坩堝1の周壁部11の外面11Bを全域にわたって覆うように配置される。断熱部材23は、坩堝1の蓋部13の外面13Bを覆うように蓋部13の外面13B上に配置される。坩堝1は、断熱部材21,22,23によって取り囲まれる。
断熱部材22において中央軸αを含む領域には、断熱部材22を厚み方向に貫通する貫通孔22Aが形成されている。この貫通孔22Aを通して坩堝1の底壁部12と向かい合うように、放射温度計71が配置される。放射温度計71により、底壁部12の温度が測定され、原料粉末52の温度が把握される。断熱部材23において中央軸αを含む領域には、断熱部材23を厚み方向に貫通する貫通孔23Aが形成されている。この貫通孔23Aを通して坩堝1の蓋部13と向かい合うように、放射温度計72が配置される。放射温度計72により、蓋部13の温度が測定され、種結晶51の温度が把握される。
誘導加熱コイル74は、断熱部材21に覆われた坩堝1の周壁部11の外面11B側をらせん状に取り囲むように配置される。誘導加熱コイル74は、電源(図示しない)に接続される。誘導加熱コイル74に取り囲まれた領域内に、断熱部材21,22,23に覆われた坩堝1が配置される。
次に、炭化珪素基板の具体的な製造手順について説明する。図3を参照して、本実施の形態における炭化珪素基板の製造方法では、まず工程(S10)として原料粉末配置工程が実施される。この工程(S10)では、図4を参照して、坩堝1の底壁部12の内面12A上に接触するように原料粉末52が配置される。具体的には、蓋部13を取り外した状態で、坩堝1内に炭化珪素の原料粉末52を配置する。
次に、工程(S20)として種結晶配置工程が実施される。この工程(S20)では、保持部14に種結晶51が配置される。種結晶51は、4Hの結晶構造を有する炭化珪素からなる。具体的には、たとえば周壁部11から取り外された蓋部13の保持部14に、種結晶51を貼り付ける。種結晶51は、保持部14の保持面14Aに貼り付けられる。このとき、種結晶51の成長面51Aは、カーボン面とされる。次に、蓋部13を周壁部11に取り付ける。これにより、種結晶51は、中央軸αと交差する領域に配置される。上記工程(S10)〜(S20)により、坩堝1内に原料粉末52および種結晶51が配置される。
次に、工程(S30)として昇華−再結晶工程が実施される。この工程(S30)では、原料粉末52を昇華させて種結晶51上に再結晶させることにより、種結晶51上に単結晶53を成長させる。具体的には、たとえば原料粉末52および種結晶51が内部に配置された坩堝1を断熱部材21,22,23により覆う。さらに、断熱部材21,22,23により覆われた坩堝1を、図4に示すように誘導加熱コイル74に取り囲まれた領域に配置する。そして、誘導加熱コイル74に高周波電流を流すと、坩堝1が誘導加熱により加熱される。
このとき、原料粉末52の温度が種結晶51の温度に比べて高くなるように誘導加熱が実施される。その結果、成長方向である中央軸αに沿って種結晶51側が低く、原料粉末52側が高い温度勾配が形成される。具体的には、たとえば種結晶51の温度は2000℃以上2300℃以下とすることができる。原料粉末52の温度は2100℃以上2400℃以下とすることができる。種結晶51と原料粉末52との温度差は、100℃以上300℃以下とすることができる。また、坩堝1内の圧力は、たとえば1kPa以上5kPa以下とすることができる。坩堝1内は、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気とされる。また、本実施の形態では、坩堝1内に窒素ガスが導入される。坩堝1内への窒素ガスの導入量(流量)は、時間の経過とともに増加するように調整される。窒素ガスの導入量は、段階的に増加させてもよいし、連続的に増加させてもよい。
これにより、炭化珪素の粉末である原料粉末52が昇華し、気体状態の炭化珪素である原料気体が生成する。この原料気体は、種結晶51上に供給される。その結果、図5に示すように、種結晶51上で原料気体が再結晶し、種結晶51上に4Hの結晶構造を有する炭化珪素の単結晶53が成長する。単結晶53内には、窒素が取り込まれる。
上記温度勾配が存在することにより、単結晶炭化珪素である単結晶53においては、先に成長した領域に比べて後で成長した領域の成長温度は高くなる。そのため、何ら対策をとらない場合、単結晶53において後で成長した領域の格子定数は、先に成長した領域の格子定数に比べて大きくなる。本実施の形態では、上述のように坩堝1内に導入される窒素ガスの量が時間の経過とともに増加する。そのため、単結晶53においては、先に成長した領域に比べて後で成長した領域の窒素濃度が高くなる。炭化珪素内に導入される窒素濃度が高くなると、炭化珪素の格子定数は小さくなる。その結果、単結晶53の格子定数の変化が抑制される。そして、この状態が維持されることにより、単結晶53は中央軸αに沿った方向に成長する。そして、予め設定された加熱時間が経過することにより加熱が終了し、工程(S30)が完了する。
次に、工程(S40)としてスライス工程が実施される。この工程(S40)では、工程(S30)において坩堝1内に成長した単結晶53が坩堝1から取り出され、スライスされる。具体的には、工程(S30)における加熱終了後、誘導加熱コイル74に取り囲まれた領域から坩堝1が取り出される。その後、坩堝1の蓋部13が取り外される。そして、蓋部13から単結晶53が採取される。採取された単結晶53は、{0001}面に対する角度が4°以下となる主面を形成するようにスライスされる。その結果、図1を参照して、カーボン面側主面91と、シリコン面側主面92とを含み、カーボン面側主面91およびシリコン面側主面92の、{0001}面に対するオフ角が4°以下である炭化珪素基板9が得られる。
次に、工程(S50)として表面平坦化工程が実施される。この工程(S50)では、工程(S40)において得られた炭化珪素基板9のカーボン面側主面91およびシリコン面側主面92の少なくとも一方が平坦化される。具体的には、カーボン面側主面91およびシリコン面側主面92の少なくとも一方に対し、MP(Mechanical Polishing)、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などの研磨が実施される。そして、洗浄等が実施されることにより、本実施の形態の炭化珪素基板9が得られる。
本実施の形態の炭化珪素基板の製造方法においては、上述のように工程(S30)においてカーボン面を成長面として単結晶53が成長する。また、坩堝1内に導入される窒素ガスの量が時間の経過とともに増加する。そのため、単結晶53においては、先に成長した領域に比べて後で成長した領域の窒素濃度が高くなる。したがって、温度変化に伴う格子定数の増大が抑制される。そして、得られた単結晶53が工程(S40)でスライスされる。その結果、カーボン面側主面91における窒素濃度がシリコン面側主面92における窒素濃度よりも高く、カーボン面側主面91とシリコン面側主面92とにおけるラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下である炭化珪素基板9を製造することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本願の炭化珪素基板は、反りの低減が求められる炭化珪素基板に、特に有利に適用され得る。
1 坩堝
11 周壁部
11A 周壁部結合面
11B 外面
12 底壁部
12A 内面
12B 外面
13 蓋部
13A 蓋部結合面
13B 外面
14 保持部
14A 保持面
21,22,23 断熱部材
22A,23A 貫通孔
22B 第1の主面
51 種結晶
51A 成長面
52 原料粉末
53 単結晶
71,72 放射温度計
74 誘導加熱コイル
9 炭化珪素基板
91 カーボン面側主面
92 シリコン面側主面
99A,99B,99C 測定領域
100 単結晶の製造装置

Claims (5)

  1. カーボン面側主面と、シリコン面側主面とを含み、4Hの結晶構造を有する炭化珪素基板であって、
    前記カーボン面側主面および前記シリコン面側主面の、{0001}面に対するオフ角は4°以下であり、
    直径は100mm以上であり、
    厚みは300μm以上であり、
    前記カーボン面側主面における窒素濃度が前記シリコン面側主面における窒素濃度よりも高く、前記カーボン面側主面と前記シリコン面側主面とにおけるラマンピークシフトの差が0.2cm−1以下である、炭化珪素基板。
  2. 前記カーボン面側主面における窒素濃度は、前記シリコン面側主面における窒素濃度よりも1×1016cm−3以上高い、請求項1に記載の炭化珪素基板。
  3. 前記カーボン面側主面における窒素濃度と、前記シリコン面側主面における窒素濃度との差は1×1017cm−3以下である、請求項1または2に記載の炭化珪素基板。
  4. 厚み方向において、窒素濃度が前記カーボン面側主面に近づくにしたがって上昇する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板。
  5. 直径が150mm以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素基板。
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